特許第6093090号(P6093090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6093090均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093090
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/70 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   D01F6/70 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-513884(P2016-513884)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-520164(P2016-520164A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】KR2014004980
(87)【国際公開番号】WO2015026051
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0098754
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515315543
【氏名又は名称】ヒョソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HYOSUNG CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ ミョン
(72)【発明者】
【氏名】キ,ボ ラム
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヨン ス
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−519179(JP,A)
【文献】 特表2003−531309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00〜 8/18
C08G18/00〜18/87
71/00〜71/04
D01D 1/00〜13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の測定方法に基づく原糸の断面異形度が1.20以下、HSEが50%以上のポリウレタンウレア弾性糸であって、2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネートがジイソシアネートの全体に対して15%超〜30モル%含まれ、ポリオールとジイソシアネートの下記の(式1)で定義される1次重合時のNCO%が3.0〜4.1%の範囲を有するポリウレタンウレア弾性糸。
NCO%=[100×2×NCO化学式量×(キャッピング比−1)/{ジイソシアネート分子量×キャッピング比)+ポリオール分子量}・・・(式
上記(式)においてキャッピング比はジイソシアネートモル比/ポリオールモル比である。
1)断面異形度の測定方法であって、ポリウレタンウレア弾性糸を長手方向に垂直に切断して断面のW及びHの長さを顕微鏡で測定し、W/H比で定義される断面異形度を計算する測定方法。ここで、Wは原糸の断面を横断(cross)する最も長い直線の長さであり、Hは原糸の断面を横断する最も長い直線(W)と垂直に交差する最も短い直線の長さである。
2)HSEの測定方法であって、初期原糸L0を大気に露出された状態で100%伸張した後に長さL1を測定し、次いで170℃で1分間乾熱処理してから室温で冷却した後で原糸の長さL2を測定し、後乾熱処理された原糸を弛緩された状態において100℃で30分間湿熱処理し、室温で乾燥して原糸の長さL3を測定し、下記の(式)によりHSEを測定する測定方法。
HSE(%)={(L3−L0)/(L1−L0)}×100・・・(式
【請求項2】
前記ポリウレタンウレア弾性糸において、紡糸ノズル通過直前の重合物の固形分含量が40重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタンウレア弾性糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸に関する。より詳しくは、ポリウレタン予備重合体の製造のときにジイソシアネートに4,4´‐ジフェニルメタンジイソシアネートを含む1種以上のジイソシアネートに2,4´‐ジフェニルメタンジイソシアネート2〜25モル%混合して用い、最終ポリウレタンウレア重合物の固形分含量が40重量%以上であることを特徴とする、均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンウレアは、一般にポリオールと過量のジイソシアネート化合物を反応させてポリオールの両末端にイソシアネート基を有する予備重合体(prepolymer)を得る1次重合反応物と、前記予備重合体を適切な溶媒に溶解した後、その溶液にジアミン系またはジオール系鎖延長剤を添加し、モノアルコールまたはモノアミンなどのような鎖終結剤などを反応させる段階を経て、ポリウレタンウレア繊維の紡糸液を作った後、乾式及び湿式紡糸によってポリウレタンウレア弾性糸を得る。
【0003】
このようなポリウレタンウレア弾性糸は優れた弾性及び弾性回復力を有する固有の特性のために様々な用途に用いられており、その用途範囲が拡大しているにつれて従来の繊維に新たな付加的特性が引き続いて求められている。
【0004】
一般にポリウレタンウレア弾性糸は、熱に敏感な相手糸(ナイロン、シルク、綿など)との混用編織後に実施される後加工においてセッティングのための高い熱処理によって相手糸の熱脆化を生じ、これは原反物を黄変させるとかタッチ(touch)を低下させるなどの問題が生じていた。このような問題を解決するために低温でも熱セッティングが可能なポリウレタンウレア弾性糸に対する需要が増加して、その間弾性糸の製造業体ではポリウレタンウレア系弾性糸の熱硬化性を向上させるための努力が持続的になされてきた。
【0005】
例えば、特許文献1(米国特許第5,948,875号)では鎖延長剤として2‐メチル‐1,5-ペンタンジアミンを50モル%以上用いてポリウレタンウレア弾性糸の熱硬化性を改善する方法が開示されており、米国特許第6,472,494号では混合される2,4-ジフェニルジイソシアネートの含量を23〜55モル%に適用してポリウレタンウレア弾性糸の熱硬化性を改善する方法が開示されており、特許文献2(国内自社特許第0,942,359号)では2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを2〜25モル%を混合し、補助鎖延長剤として1、2−ジアミノプロパンを用いて熱硬化性を改善する方法が開示されている。しかし、前記特許らにより公開の技術は、耐熱性が低下し、モジュラスと弾性回復率が不十分であって紡糸中に糸テンションが低減し、糸流動が増加して作業性に不利を来たし、原糸の均一性が不十分であって交・編織物適用の際に原反物の品質が不良化する不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,948,875号明細書
【特許文献2】韓国特許第0,942,359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上のように、現在までは優れた均一性と熱硬化性を同時に有するポリウレタンウレア弾性糸を製造する技術は完璧に定立されてはいない状態にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る実施形態によれば、以下の測定方法に基づく原糸の断面異形度が1.20以下、HSEが50%以上のポリウレタンウレア弾性糸である。
1)断面異形度の測定方法であって、ポリウレタンウレア弾性糸を長手方向に垂直に切断して断面のW及びHの長さを顕微鏡で測定し、W/H比で定義される断面異形度を計算する測定方法。ここで、Wは原糸の断面を横断(cross)する最も長い直線の長さであり、Hは原糸の断面を横断する最も長い直線(W)と垂直に交差する最も短い直線の長さである。
【0009】
2)HSEの測定方法であって、初期原糸L0を大気に露出された状態で100%伸張L1した後、170℃で1分間乾熱処理してから室温で冷却した後で原糸の長さL2を測定し、乾熱処理された原糸を弛緩された状態において100℃で30分間湿熱処理し、室温で乾燥して原糸の長さL3を測定し、下記の(式1)によりHSEを測定する測定方法。
【0010】
HSE(%)={(L3−L0)/(L1−L0)}×100・・・(式1)
本発明に係る他の実施形態によれば、ポリオールとジイソシアネート重合物からなるポリウレタンウレア弾性糸において、
1)ジイソシアネートの全体重量対比2〜25モル%の2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれた混合物を用いて予備重合体を製造し、
2)予備重合体に鎖延長剤を添加してポリウレタンウレア重合物を得た後、
3)最終ポリウレタンウレア重合物の固形分含量が40重量%以上のポリウレタンウレア紡糸原液を製造してこれを紡糸することを特徴とする均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸を提供する。
【0011】
本発明に係る他の実施形態によれば、第1ジイソシアネートの含量は75〜98モル%であり、第2ジイソシアネートの含量は2〜25モル%であり、この際、第2ジイソシアネートは2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートを用いることを特徴とする。2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートは既存の4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート対比立体的構造を有しており、立体障害のためにハードセグメント分子間、水素結合力及び分子内の水素結合力が弱化してソフトセグメント含量が増加したものと同様の効果を奏することから、原糸の熱硬化性を向上させる効果がある。
【0012】
本発明に係る他の好適な実施形態によれば、最終ポリウレタンウレア重合物の固形分含量が40重量%以上であることを特徴とする。固形分含量が40重量%以上であれば、紡糸中に原糸表面の乾燥速度と原糸内部-表面間のソルベント拡散速度と間の偏差が低減して原糸の断面がより円形に近づくようになって断面異型度(non‐round type cross section)の値が1.0に近づいており、原糸の断面異型度が1.0に近づき、原糸の断面異型度が1.0に近づくほど原糸の均一性は改善される効果がある。
【0013】
本発明に係るポリウレタンウレア弾性糸は原糸の断面異型度が1.20以下であり、uster%が1.0未満であり、乾熱温度170℃処理後、Heat Set Efficiency(HSE)が50%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、均一性と熱硬化性に優れるポリウレタンウレア弾性糸を製造することによって、均一性の低下がないことから原反物の品質が優れており、低温における熱セッティングが可能であって、相手糸の熱脆化を防止することによって従来より交・編織物の黄変がなくタッチ(touch)に優れている効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】原糸の断面における最も長い直線の長さHと最も短い直線の長さ(W)を模式的に示す図である。
図2】U%を求めるための面積比を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態のポリウレタンウレア弾性糸についてより詳細に説明する。しかしながら、本発明の実施例は多様な形態に変形が可能であって、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるのではない。なお、この明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
本発明の実施形態に係る弾性糸は、過量のジイソシアネートにポリオールを重合させて予備重合体を得て、これを有機溶媒に溶解させた後、その溶液に鎖延長剤及び鎖終止剤を添加して2次重合を遂行して紡糸原液を製造する。この際、鎖延長剤及び鎖終止剤は全部を一挙に添加するか、または2つ以上の段階に区分して添加できる。
【0018】
本発明においてポリウレタンウレア弾性糸の製造に用いられるジイソシアネートの具体例としては、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5′-ナフタレンジイソシアネート、1,4′-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4′‐シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′‐ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートなどがあり、これらのジイソシアネートのうち、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートを含む1種以上のジイソシアネートに2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートを混合して用い、この際、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートの含量は2〜25モル%が適正である。
【0019】
2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネートは、既存の4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネートに対比して立体的な構造を有しているので、立体障害のためにハードセグメント分子間の水素結合力及び分子内の水素結合力が弱化してソフトセグメント含量が増加したものと同様の効果を奏することにより原糸の熱硬化性が向上する効果がある。
2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートの含量が2モル%未満であれば熱硬化性の向上効果が不十分であり、25モル%を超過すれば原糸モジュラスが急激に低下する不都合を生じるので、本発明において前記2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートの含量は前記範囲内にあることが好ましい。
【0020】
本発明において用いられる高分子ジオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、 ポリカーボネートジオール、アルキレンオキシドとラクトンモノマーの混合物と、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールの共重合体、3-メチル‐テトラヒドロフランとテトラヒドロフランの共重合体などから1種またはこれらの2種以上の混合物を挙げられるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。
【0021】
本発明において予備重合体のイソシアネート重量比率は、ポリウレタンウレア弾性糸としての適正な物性発現のために1.7〜4.1%であるのが好ましい。もしも予備重合体のイソシアネート重量比率が1.7%未満であるか、4.1%を超過すれば弾性糸の深刻な物性低下を来たす。
【0022】
鎖延長剤としては、ジアミンなどが用いられ、例えば、エチレンジアミン、1,2‐ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、2,3‐ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、及び1,4-シクロヘキサンジアミンなどの1種またはこれらの2種以上の混合物を挙げられる。
【0023】
ポリウレタンウレアの鎖終止剤としては、1官能基を有するアミン、例えば、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミンなどが用いられる。
最終ポリウレタンウレア重合物の固形分含量が40重量%以上であることを特徴とする。固形分含量が40重量%以上であれば固形分対比ソルベント(solvent)の含量が低くなるので、紡糸中に原糸表面のソルベント乾燥速度対比原糸内部で表面間のソルベント拡散速度間の偏差が低減することによってより均一な乾燥がなされて、ポリウレタンウレア弾性糸の断面が円形に近接する効果をもたらし、断面異形度は1.0に近づく。断面異形度値が1.0に近づくほど弾性糸は均一な円形の断面を有することになってuster%が改善され、このような弾性糸を用いて交・編織物を編織及び染加工する場合、原反物の品質を向上させる効果がある。
【0024】
また、本発明においては紫外線、大気スモッグ及びスパンテックス加工に伴う熱処理過程などによるポリウレタンウレアの変色と物性の低下を防止するために、紡糸原液に立体障害フェノール系化合物、ベンゾフラン‐オン系化合物、セミカルバジド系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、重合体性3級アミン安定剤などを適切に組み合わせて添加することができる。
【0025】
さらに、本発明のポリウレタンウレア弾性糸は、前記成分以外にも二酸化チタン、マグネシウムステアレートなどのような添加剤を含ませられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を通して本発明の優秀性を詳細に説明するが、このような実施例は、単に本発明を例証するためのものであって、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0026】
後述する実施例及び比較例で言及するポリマーのNCO%測定法及びポリウレタンウレア弾性糸の物性は、次のように測定した。
<NCO%測定法>
NCO%=[100×2×NCO化学式量×(キャッピング比−1)/{ジイソシアネート分子量×キャッピング比)+ポリオール分子量}
上記式においてキャッピング比はジイソシアネートモル比/ポリオールモル比である。
【0027】
<原糸の強度及び伸度>
自動強伸度測定装置(MEL基、Textechno社)を用いて試料の長さ10cm,引張速度100cm/minにして測定する。この場合、破断時の強度と伸度の値が測定され、原糸200%伸張時に原糸にかかる荷重(200%モジュラス)も測定される。
【0028】
<原糸の断面異形度>
原糸を長手方向に垂直に切断して断面上でW及びHの長さを顕微鏡で測定した上で比率を計算し、1.0に近接するほど断面が円形に近づいて均一性が優れるもので定める。
【0029】
<断面異形度=W/H>
図1に示されるように、W:原糸の断面を横断(cross)する最も長い直線の長さH:原糸の断面を横断する最も長い直線(W)と垂直に交差する最も短い直線の長さ、として、断面異形度=W/Hが定義される。
【0030】
<原糸のU%>
Uster%測定装置(KET-QT)を用いてFeeding RollerのSpeedを原糸「de」によって異なる(20dは30m/min)ように設定して測定する。一定の速度で20秒間解糸された原糸の太さをセンサーが自動的に読んで平均値を計算して0%基準ラインを描く。この値を基準に単位時間当たりセンサーが読んだ原糸の太さがより太ければ0%基準ライン対比(+)領域にポイントを取り、太さが細ければ0%基準ライン対比(−)領域にポイントを取って図2に示されるようにグラフが描かれる。0%基準ラインから外れる程度を面積で計算してU%を示し、値が小さいほど原糸の均一性が優れる。
U%=0%基準ラインを外れる面積(図2の黒い部分)/0%基準ラインの下の面積(図2の横線部の長方形)×100
【0031】
<原糸の熱硬化性>
初期原糸L0を大気に露出された状態で100%伸張L1した後、170℃で1分間乾熱処理してから室温で冷却した後で原糸の長さL2を測定する。乾熱処理された原糸を弛緩した状態で100℃で30分間湿熱処理し、室温で乾燥して原糸の長さL3を測定する(ここで、L0,L1,L2,L3は、各工程(処理)後の原糸の長さを言う)。熱硬化性およびHSEはそれぞれ下記の式によって求められる。
【0032】
乾熱硬化性(%)={(L2−L0)/(L1−L0)}×100
HSE(%)={(L3−L0)/(L1−L0)}×100
(実施例1)
キャッピング比CR 1.80,4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート95モル%と、2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート5モル%含量で調製した。鎖延長剤としてはエチレンジアミンと1,2‐ジアミノプロパンを80モル%と20モル%の比率で、鎖終結剤としてはジエチルアミンを用いた。鎖延長剤と鎖終結剤の比率は10:1にし、用いられたアミンは総濃度7モル%に調製し、溶媒としてはジメチルアセトアミドを用いて最終重合物の固形分含量が45重量%のポリウレタンウレア紡糸溶液を得た。
上記のように収得した紡糸原液を900m/minの速度で乾式紡糸して20デニール1フィラメントのポリウレタンウレア弾性糸を製造し、その物性を評価して表1に示した。
【0033】
(実施例2)
4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート85モル%と、2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート15モル%の含量で調製することを除いては、実施例1と同様に実施してポリウレタンウレア弾性糸を製造し、その物性を評価して表1に示した。
【0034】
(実施例3)
4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート75モル%と、2,4′―ジフェニルメタンジイソシアネート25モル%の含量で調製することを除いては、実施例1と同様に実施してポリウレタンウレア弾性糸を製造し、その物性を評価して表1に示した。
【0035】
(実施例4)
4,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート70モル%と、2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネート30モル%の含量で製造することを除いては、実施例1と同様に実施してポリウレタンウレア弾性糸を製造し、その物性を評価して表1に示した。
【0036】
(比較例1)
最終重合物の固形分含量を35重量%にすることを除いては、実施例3と同様に実施してポリウレタンウレア弾性糸を製造し、その物性を評価して表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
上記表1のように、2,4′‐ジフェニルジイソシアネートを25モル%以上用いる場合、均一性と熱硬化性は優れるが200%モジュラスが低下することが確認できる。また、最終重合物の2,4′‐ジフェニルメタンジイソシアネートを2〜25モル%用いても最終重合物の固形分含量が40重量%未満の場合、熱硬化性に優れているが、断面異形度はU%が不十分であることが確認できる。
【0039】
以上、本発明の好ましい例についてある程度特定的に説明したが、これらについて多様な変更ができることは言うまでもない。そのために、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書の中で特定的に記載された形態とは別の形態に本発明を実施できることは当然なものとして理解されるべきである。
図1
図2