(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093128
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】押入構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
E04F19/08 102B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-193179(P2012-193179)
(22)【出願日】2012年9月3日
(65)【公開番号】特開2014-47579(P2014-47579A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月18日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 配布日 平成24年4月5日 配布方法 大和ハウス工業株式会社の各支店に顧客に配布する目的でカタログを配送 公開者 大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505336873
【氏名又は名称】株式会社近藤典子Home&Life研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】在原 典子
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】木口 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 知洋
(72)【発明者】
【氏名】富田 綾子
【審査官】
五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−174551(JP,U)
【文献】
特開2003−184298(JP,A)
【文献】
実開昭58−186046(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押入空間内に、すのこ状の中段部と、この中段部よりも上方に位置する枕棚と、押入空間を左右に仕切るすのこ状の仕切り板と、を備えており、上記枕棚の下面には奥行き方向に延びるレール部が横方向に間隔をおいて複数形成されており、上記仕切り板が上記レール部を利用して付け替え可能に配置されることを特徴とする押入構造。
【請求項2】
請求項1に記載の押入構造において、上記すのこ状の中段部の板間の隙間が奥行き方向に延びており、上記レール部とその下方に位置する上記隙間を利用して上記仕切り板が装着され、上記中段部の板は板材に固定されることを特徴とする押入構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の押入構造において、上記仕切り板は、複数の縦桟を有してなることを特徴とする押入構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の押入構造において、上記押入空間の左右の壁に最も近い位置に配置されたときの上記仕切り板と上記壁との間に隙間が形成され、上記壁に最も近い仕切り板で位置規制された収容物と上記壁との間に通気隙間が確保されることを特徴とする押入構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の押入構造において、上記仕切り板は、その上端部の奥行き寸法が下端部の奥行き寸法よりも短いテーパ形状を有することを特徴とする押入構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通気性に優れた押入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の表面材と複数の裏面材と有し、前記複数の表面材を互いに所定間隔離間させてすのこ状に並列させるとともに、表面材の長手方向前端部、中間部及び後端部において、前記表面材の並列体の幅方向に沿ってそれぞれ前記裏面材を配置して、これら裏面材を表面材に固定してなる押入用中段棚板が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、すのこ形状の中棚の構築に際して、すのこ板の連結部材と載置根太を兼用して省資材とし、且つ構築を容易にした中棚構築キットが開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、押入の下面を吸気口側に位置させ押入の上面を排気口に位置させた家屋の押入換気構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2997256号
【特許文献2】実用新案登録第3115651号
【特許文献3】実開平1―92444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記いずれの特許文献も押入の上下方向の通気性を良好にしただけであり、また、収納が効率的に行えるものではなかった。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、収納が効率的に行え、住む人の暮らしに合わせて収容態様を変化させていくことができ、更に、十分な通気性を確保できる押入構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の押入構造は、上記の課題を解決するために、押入空間内に、すのこ状の中段部と、この中段部よりも上方に位置する枕棚と、押入空間を左右に仕切るすのこ状の仕切り板と、を備えており、上記枕棚の下面には奥行き方向に延びるレール部が横方向に間隔をおいて複数形成されており、上記仕切り板が上記レール部を利用して付け替え可能に配置されることを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、押入空間を左右に仕切る上記仕切り板が上記枕棚の下面に形成された任意のレール部を利用して任意の位置に付け替え可能に配置されるので、収納が効率的に行え、住む人の暮らしに合わせて収容態様を変化させていくことができる。また、上記仕切り板がすのこ状であるので、上記すのこ状の中段部による上下方向の通気性だけでなく、横方向の通気性についても良好にできる。
【0010】
上記すのこ状の中段部の板間の隙間が奥行き方向に延びており、上記レール部とその下方に位置する上記隙間を利用して上記仕切り板が装着されることとしてもよい。これによれば、上記中段部に仕切り板専用の案内部を形成する必要がなく、構造の簡素化が図れる。
【0011】
上記仕切り板は、複数の縦桟を有してなることとしてもよい。これによれば、上記仕切り板に加わる横からの力を上記複数の縦桟で受け止めることになり、上記縦桟に加わる力は上記レール部、さらには上記中段部の隙間で受け止められ、上記仕切り板を撓みにくくできる。
【0012】
上記押入空間の左右の壁に最も近い位置に配置されたときの上記仕切り板と上記壁との間に隙間が形成されるようにしてもよい。これによれば、押入内の壁側に収容される収容物は上記壁に最も近い仕切り板で位置規制され、上記収容物と上記壁との間に通気隙間が確保されるので、通気性を良好にできる。
【0013】
上記仕切り板は、その上端部の奥行き寸法が下端部の奥行き寸法よりも短いテーパ形状を有することとしてもよい。これによれば、上記仕切り板による圧迫感を軽減できる。また、枕棚への収納物の出し入れにおいて上記仕切り板が邪魔になりにくい。
【発明の効果】
【0014】
本発明であれば、収納が効率的に行え、住む人の暮らしに合わせて収容態様を変化させていくことができ、更に、十分な通気性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】同図(A)および(B)は本発明の一実施形態に係る押入構造を示した斜視図である。
【
図2】
図1に示した押入構造の側面から見た説明図である。
【
図3】
図1に示した押入構造の使用例を示す説明図である。
【
図4】
図1に示した押入構造の使用例を示す説明図である。
【
図5】
図1に示した押入構造の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、この発明の実施形態に係る押入構造を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る押入構造は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0017】
図1(A)(B)および
図2に示すように、この実施形態の押入構造1は、押入空間内に、すのこ状の中段部2と、この中段部2よりも上方に位置する枕棚3と、押入空間を左右に仕切るすのこ状の仕切り板4と、を備えている。この押入構造1の開口面には図示しない襖が配置される。
【0018】
上記すのこ状の中段部2は、奥行き方向に長い複数の薄板2aを横方向に所定間隔をおいて配置し、これら複数の薄板2aが裏面に設けた板材2bによって相互に固定されたものである。上記薄板2aの配置態様により、当該薄板2a間の隙間は、押入空間の奥行き方向に延びて形成される。
【0019】
上記枕棚3は上記中段部2よりも奥行きを浅くして形成される。また、上記枕棚3の下面には奥行き方向に延びるレール部5が横方向に間隔をおいて複数形成されている。上記レール部5は、2枚の薄板を離間させて配置し、上記離間部を凹溝としたものである。また、各レール部5は、その真下に上記薄板2a間の隙間が位置するよう設けられている。
【0020】
上記仕切り板4は、水平上端部と水平下端部との間に複数の縦桟4aを有してなる。また、上記仕切り板4は、上記水平上端部の奥行き寸法が上記水平下端部の寸法よりも短いテーパ形状を有する。例えば、上記水平下端部の寸法は上記中段部2の奥行き寸法と同寸とされ、上記水平上端部の寸法は上記枕棚3の奥行き寸法と同寸とされる。
【0021】
また、上記仕切り板4の上記水平上端部の幅は上記レール部5(凹溝)に入る寸法とされ、上記水平下端部の幅は上記薄板2a間の隙間に入る寸法とされている。そして、上記仕切り板4は、任意の上記レール部5と上記薄板2a間の隙間を利用して任意の位置に付け替え可能に配置される。また、上記中段部2において、上記押入空間の左右の壁に最も近い位置には上記薄板2aが配置されているので、上記仕切り板4が上記押入空間の左右の壁に最も近い位置に配置されたときの上記仕切り板4と上記壁との間には隙間が形成される。
【0022】
この実施形態では、押入床面から上記中段部2までの高さ寸法は市販二段収納ケースが入る程度の700mmとされており、上記中段部2から上記枕棚3までの高さ寸法は布団縦置幅サイズの1050mmとされており、押入床面から上記枕棚3までの高さ寸法は大人女性が手の届く程度の1900mmとされている。なお、上記中段部2と上記枕棚3との間の収納奥面に横桟を3本程度配置し、収容物が押入奥面に触れて通気性を損ねるのを防止するようにしてもよい。
【0023】
図3は
図2に対応させて上記押入構造1の使用形態を示した説明図である。上記中段部2には二段ケース11が設けられている。そして、襖で引き出しにくい上記ケース11の左の上下2個の引き出し部分11aは引き出されて上記枕棚3上に置かれている。そして、上記ケース11の左の上下2個のケース枠部分にはタオルケットや毛布が丸められて収納される。上記押入構造1の左側空間は2個の仕切り板4が設けられており、これら2個の仕切り板4の間に掛け布団が畳まれて収納される。敷布団は上記ケース11の上に配置され、上記掛け布団と敷布団とが分けて収納することができる。
【0024】
図4に示す使用形態では、上記中段部2の上と下に市販のラック12を配置し、高さのある空間を仕切って収納物の出し入れをしやすくしている。また、板(或いはすのこ)13にキャスターを取り付け、奥のものを出しやすくしている。
【0025】
図5に示す使用形態では、上記押入構造1の空間は4個の上記仕切り板4によって中央空間と左右空間とに仕切られておいる。上記中央空間は襖の縁が位置するため引き出しにくいので、比較的小さなものが収容される。
【0026】
以上述べたように、上記仕切り板4が上記枕棚3の下面に形成された任意のレール部5を利用して任意の位置に付け替え可能に配置されて上記押入空間内を左右に仕切ることができるので、収納が効率的に行え、住む人の暮らしに合わせて収容態様を変化させていくことができる。また、上記仕切り板4がすのこ状であるので、上下方向の通気性だけでなく横方向の通気性についても良好にできる。
【0027】
上記中段部2の薄板2a間の隙間が奥行き方向に延びており、上記レール部5とその下方に位置する上記薄板2a間の隙間を案内部として利用して上記仕切り板4が装着されるので、上記中段部2に仕切り板専用の案内部を形成する必要がなく、構造の簡素化が図れる。
【0028】
また、上記仕切り板4は、これに加わる横からの力を上記複数の縦桟4aで受け止めることになり、上記縦桟4aに加わる力は、上記レール部5と上記中段部2の薄板2a間の隙間とにより受け止められるから、上記仕切り板4を撓みにくくできる。
【0029】
また、上記押入空間の左右の壁に最も近い位置に配置されたときの上記仕切り板4と上記壁との間に隙間が形成されるようにしたので、押入内の壁側に収容される収容物は上記壁に最も近い仕切り板4で位置規制される。これにより、上記収容物と上記壁との間に通気隙間が確保され、通気性を良好にできる。
【0030】
また、上記仕切り板4は、上記水平上端部の奥行き寸法が上記水平下端部の奥行き寸法よりも短いテーパ形状を有するので、上記仕切り板4による圧迫感を軽減できる。また、上記枕棚3への収納物の出し入れにおいて上記仕切り板4が邪魔になりにくい。
【符号の説明】
【0031】
1 押入構造
2 中段部
2a 薄板
2b 板材
3 枕棚
4 仕切り板
4a 縦桟
5 レール部