(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、太陽光の熱エネルギーを季節ごとに適宜な量だけ建築物の内部に取り込むことができ、例えば太陽光の熱エネルギーを暖房として用いる場合には、当該建築物の内部(特定の空間)を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる熱ダクト及びそれを設けた建築物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、太陽光の熱エネルギーを建築物の内部に取り込むための熱ダクトであって、中空筒状の部材であってその内部で太陽光を案内する案内部と、前記案内部の内部に太陽光を入射させる入射部と、前記案内部の内部で案内された太陽光を外部へ放出する放出部と、を具備し、前記入射部は、太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させる透過状態変化部を具備し
、前記案内部には、前記入射部と前記放出部との間において、前記案内部の外周部に蓄熱材が設けられるものである。
【0009】
請求項2においては、前記案内部には、断熱材が設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記案内部は、赤外線域の反射率が80%以上に形成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記透過状態変化部は、光の入射角度に対応して当該光の透過率を変化させる視野選択ガラスにより構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の熱ダクトを設けたものである。
【0013】
請求項6においては、前記入射部は、前記建築物の壁面に、当該入射部から前記案内部の内部に太陽光が入射可能となるように配置され、前記透過状態変化部は、夏季における太陽光の入射角度に対応して当該太陽光の透過状態を低透過状態に変化させ、冬季における太陽光の入射角度に対応して当該太陽光の透過状態を高透過状態に変化させるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、太陽光の熱エネルギーを季節ごとに適宜な量だけ建築物の内部に取り込むことができ、例えば太陽光の熱エネルギーを暖房として用いる場合には、当該建築物の内部(特定の空間)を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。
【0016】
請求項2においては、太陽光の熱エネルギーの損失を防止すると共に、内部結露の発生を防止することができる。
【0017】
請求項3においては、太陽光の熱エネルギーの損失を防止することができる。
【0018】
請求項4においては、太陽光の透過状態を変化させるための装置を設ける必要がなく、簡易な構成で太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させることができる。
【0019】
請求項5においては、太陽光の熱エネルギーを季節ごとに適宜な量だけ建築物の内部に取り込むことができ、例えば太陽光の熱エネルギーを暖房として用いる場合には、当該建築物の内部(特定の空間)を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。
【0020】
請求項6においては、太陽光の透過状態を変化させるための装置を設ける必要がなく、簡易な構成で太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る熱ダクト100を設けた住宅1の全体的な構成について説明する。
【0023】
住宅1は、人の居住を用途とする二階建ての建物である。住宅1は、四方を取り囲んだ壁部10の内側に、一階床部20と、一階と二階との境界部となる二階床部30と、を有する。
【0024】
図1に示すように、住宅1の二階には、寝室31と、二階廊下32とが、二階床部30に配置される。
【0025】
寝室31は、住宅1の南部分に配置される。二階廊下32は、住宅1の北部分に配置される。なお、二階床部30の内部には、太陽光の熱エネルギーを住宅1の内部に取り込むための熱ダクト100が配設される。
【0026】
図1及び
図2に示すように、住宅1の一階には、玄関21と、一階廊下22と、トイレ23と、折り返し階段24と、階段下収納25と、リビング26と、デッキ27と、車庫28とが、一階床部20に配置される。
【0027】
玄関21は、住宅1の北部分に配置される。玄関21の南側には、南方向に向かって一階廊下22が延設される。一階廊下22の西側には、北から南に向かって順にトイレ23及び折り返し階段24が配置される。折り返し階段24の下方には階段下収納25が配置される。一階廊下22の南側には、リビング26が配置される。一階廊下22の東南側には、デッキ27が配置される。一階廊下22の東側には、車庫28が配置される。
【0028】
なお、住宅1は、本発明に係る「建築物」の一実施形態である。本発明に係る「建築物」は、住宅に限定するものではなく、例えばオフィスビルや、駅舎や、ホテル等の建物であってもよい。
【0029】
次に、
図1から
図5を用いて、熱ダクト100の構成について詳細に説明する。
【0030】
熱ダクト100は、太陽光の熱エネルギーを住宅1の内部に取り込むためのものである。より詳細には、熱ダクト100は、太陽光の熱エネルギーを住宅1の一階廊下22に取り込み、当該一階廊下22の暖房として用いるためのものである。熱ダクト100は、二階床部30の内部に配置される。すなわち、熱ダクト100は、一階に滞在する人や二階に滞在する人に視認されない場所に配置される。熱ダクト100は、主として案内部110と、入射部120と、放出部130と、により構成される。
【0031】
案内部110は、中空筒状の部材であって、その内部で太陽光を案内(搬送)するものである。より詳細には、
図4に示すように、案内部110は、入射部120から入射した太陽光を、当該案内部110の内部で繰り返し反射させて放出部130に到達させるものである。
図1及び
図2に示すように、案内部110は、二階床部30の内部を、住宅1の南側の壁部10から北側へ向けて略直線状に延出される。案内部110の中途部は、リビング26の上方であって、寝室31の下方に位置する。案内部110の先端部(北側端部)は、一階廊下22の上方に位置する。
【0032】
また、案内部110は、赤外線域の反射率が高い材料により形成される。これによって、案内部110は、当該案内部110の内部での赤外線域の損失を抑制することができる。なお、案内部110は、赤外線域の反射率が80%以上であるアルミ材等の金属製の材料により形成されることが望ましい。これによって、案内部110は、当該案内部110の内部での赤外線域の損失をより一層抑制することができる。
【0033】
また、
図3に示すように、案内部110の外周部には、断熱材111が取り付けられる。断熱材111は、グラスウール等の繊維系断熱材であり、案内部110の外周部の形状に沿って略隙間無く配置される。これによって、太陽光の赤外線域が案内部110の内部で反射する際に発生する熱エネルギーの損失を防止することができる。また、これによって、熱エネルギーが案内部110の外部に逃げて当該案内部110が冷却されることを防止し、ひいては当該案内部110の内部に内部結露が発生すること防止することができる。
【0034】
また、案内部110の北側端部には、当該案内部110の下側面が下側へ向けて緩やかに傾斜する傾斜部112が形成され、下側へ向けて突出した突出部113が形成される。案内部110により案内される太陽光は、傾斜部112及び突出部113により北側方向から下側方向(後述する放出部130)へ向けて案内方向が変更されることになる(
図4参照)。
【0035】
また、案内部110の北側端部(より詳細には、案内部110の突出部113)には、放出部130が形成される。また、案内部110の南側端部には、入射部120が形成される。
【0036】
入射部120は、案内部110の内部に太陽光を入射させるものである。入射部120は、案内部110の南側面が外側を臨むように開口された開口部である。入射部120は、案内部110の内部に太陽光を最大限に入射させることができるように、上下方向の開口幅(長さ)が出来るだけ長くなるように形成される。
【0037】
また、入射部120は、住宅1の南側の壁部10に形成された壁部開口部11と接続される。壁部開口部11は、南北方向視にて入射部120と略同一形状であって略同位置となるように、住宅1の南側の壁部10に開口された開口部である。壁部開口部11は、住宅1の南側の壁部10であって、一年を通じて(夏季や冬季等の季節を問わず)太陽光により照射される場所(住宅1の屋根や他の建築物の日陰等とならない場所)に形成される。
【0038】
また、入射部120には、透過性を有する視野選択ガラス121が配設される。視野選択ガラス121は、太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させる部材である。視野選択ガラス121は、その板面を南北方向へ向け、住宅1の外部と案内部110の内部とを区画するように配置される。視野選択ガラス121は、光の入射角度に対応して当該光の透過率を変化させることができる。より詳細には、
図5(a)に示すように、光の入射角度が角度A1であるか、又は角度A2であるかに対応して当該光の透過率を変化させる。
【0039】
放出部130は、案内部110の内部で案内された太陽光を外部へ放出するものである。放出部130は、案内部110の突出部113の下側面が下側を臨むように開口された開口部である。放出部130には、透過性を有するアクリル板131が配設される。アクリル板131は、その板面を上下方向へ向け、案内部110の内部と住宅1の一階廊下22とを区画するように配置される。なお、本実施形態ではアクリル板131を設ける構成としているが、当該アクリル板131を設けない構成とすることもできる。
【0040】
また、放出部130は、住宅1の二階床部30の下側面に形成された二階床部開口部33と接続される。二階床部開口部33は、上下方向視にて放出部130と略同一形状であって略同位置となるように、二階床部30の下側面に開口された開口部である。二階床部開口部33は、二階床部30のうち一階廊下22の上方(天井)となる位置に形成される。
【0041】
次に、
図4を用いて、太陽光の熱エネルギーを取り込む熱ダクト100の様子について説明する。
【0042】
太陽光は、住宅1の南側の壁部10へ向けて照射している。壁部10に照射された太陽光は、壁部開口部11及び熱ダクト100の入射部120(より詳細には、入射部120の視野選択ガラス121)を介して熱ダクト100の案内部110の内部に入射する。なお、案内部110の内部に入射した太陽光は、当該案内部110の内部に入射する際に視野選択ガラス121により入射する光量が変化される。そして、案内部110の内部に入射した太陽光は、当該案内部110の内部で繰り返し反射しながら北側へ向けて案内される。そして、案内部110の内部の北側端部に到達した太陽光は、傾斜部112及び突出部113により下側へ向けて案内方向が変更される。そして、突出部113の放出部130に到達した太陽光は、放出部130(より詳細には、放出部130のアクリル板131)及び二階床部開口部33を介して熱ダクト100の案内部110の外部、すなわち一階廊下22に放出される。
【0043】
このように、熱ダクト100により太陽光、より詳細には、太陽光の赤外線域が一階廊下22に放出されることによって、一階廊下22の空気温度が上昇されることになる。つまり、熱ダクト100により太陽光の熱エネルギーを住宅1の一階廊下22に取り込み、当該一階廊下22の暖房として用いることができる。
【0044】
ここで、住宅1の一階廊下22は、リビング26や寝室31等とは異なり、人が滞在する時間が短い場所である。したがって、一般的に、住宅1の一階廊下22を暖房装置を用いて空気温度を上昇させることは非効率であり行われない。さらに、住宅1の一階廊下22は、住宅1の概ね北側に配置されている。したがって、住宅1の一階廊下22には、通常であれば(熱ダクト100を設けていない構成であれば)太陽光の熱エネルギーを取り込むことができない。
【0045】
しかしながら、住宅1は熱ダクト100を設けることにより、通常であれば太陽光の熱エネルギーを取り込むことができない(住宅1の概ね北側に配置されている)一階廊下22に太陽光の熱エネルギーを取り込むことができる。すなわち、一階廊下22の空気温度が低い(適宜な温度環境ではない)場合には、暖房装置を用いなくても(すなわち、動力を用いなくて省エネ効果を有しながらも)、太陽光の熱エネルギーにより当該一階廊下22の空気温度を上昇させ、当該一階廊下22を適宜な温度環境とすることができる。
【0046】
次に、
図5及び
図6を用いて、熱ダクト100により住宅1の一階廊下22を季節ごとに対応した適宜な温度環境とする構成について説明する。
【0047】
前述の如く、視野選択ガラス121は、太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させる部材である。視野選択ガラス121は、
図5(a)に示すように、光の入射角度が角度A1であるか、又は角度A2であるかに対応して当該光の透過率を変化させる。
【0048】
より詳細には、
図5(b)に示すように、視野選択ガラス121は、光の入射角度が角度A1である場合には、当該角度A1に対応して当該光の透過率が低くなるように(例えば、30%以下に)設定される。すなわち、このような場合、視野選択ガラス121は、光の透過状態が低透過状態となる。
【0049】
一方、
図5(c)に示すように、視野選択ガラス121は、光の入射角度が角度A2である場合には、当該角度A2に対応して当該光の透過率が高くなるように(例えば、70%以上に)設定される。すなわち、このような場合、視野選択ガラス121は、光の透過状態が高透過状態となる。
【0050】
ここで、角度A1及び角度A2は、季節ごとの視野選択ガラス121への太陽光の入射角度に応じて設定される。すなわち、太陽の高度は季節ごとに異なるものであるため、壁部開口部11及び熱ダクト100の入射部120(より詳細には、入射部120の視野選択ガラス121)を介して熱ダクト100の案内部110の内部に入射する太陽光の入射角度は、季節ごとに異なっている。
【0051】
より詳細には、夏季には、太陽の高度は高くなるため、太陽から視野選択ガラス121への入射角度は大きくなる。そして、このような夏季の場合の太陽から視野選択ガラス121への入射角度が、角度A1として設定される。
【0052】
一方、冬季には、太陽の高度は低くなるため、太陽から視野選択ガラス121への入射角度は小さくなる。そして、このような冬季の場合の太陽から視野選択ガラス121への入射角度が、角度A2として設定される。
【0053】
図6(a)は、夏季の場合、すなわち太陽光から視野選択ガラス121への入射角度が角度A1の場合の熱ダクト100の態様を示している。このような場合、視野選択ガラス121は太陽光の透過率が低くなるように設定され、当該太陽光の透過状態が低透過状態となる。すなわち、視野選択ガラス121を介して案内部110の内部に入射する太陽光の光量は、当該入射前と比べて大きく減少することになる。
【0054】
これによって、夏季の場合には、住宅1の一階廊下22に取り込む太陽光の熱エネルギーの量を大きく減少させ、当該一階廊下22の空気温度が必要以上に上昇しないようにしている。すなわち、太陽光の熱エネルギーを夏季に適宜な量だけ住宅1の一階廊下22に取り込んで、当該一階廊下22を夏季に対応した適宜な温度環境としている。
【0055】
図6(b)は、冬季の場合、すなわち太陽光から視野選択ガラス121への入射角度が角度A2の場合の熱ダクト100の態様を示している。このような場合、視野選択ガラス121は太陽光の透過率が高くなるように設定され、当該太陽光の透過状態が高透過状態となる。すなわち、視野選択ガラス121を介して案内部110の内部に入射する太陽光の光量は、当該入射前と比べてほとんど減少しないことになる。
【0056】
これによって、冬季の場合には、住宅1の一階廊下22に取り込む太陽光の熱エネルギーの量をほとんど減少させず、当該一階廊下22の空気温度を出来るだけ上昇させるようにしている。すなわち、太陽光の熱エネルギーを冬季に適宜な量だけ住宅1の一階廊下22に取り込んで、当該一階廊下22を冬季に対応した適宜な温度環境としている。
【0057】
このように、案内部110の内部に太陽光を入射させる際に太陽光の透過状態を変化させるための装置(動力)を設ける必要がなく、簡易な構成で太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させることができる。そして、太陽光の熱エネルギーを夏季や冬季等の季節ごとに適宜な量だけ住宅1の一階廊下22に取り込むことができ、当該住宅1の特定の空間である一階廊下22を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。
【0058】
以上のように、熱ダクト100は、
太陽光の熱エネルギーを建築物(住宅1)の内部(一階廊下22)に取り込むための熱ダクトであって、
中空筒状の部材であってその内部で太陽光を案内する案内部110と、
前記案内部110の内部に太陽光を入射させる入射部120と、
前記案内部110の内部で案内された太陽光を外部へ放出する放出部130と、
を具備し、
前記入射部120は、太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させる透過状態変化部(視野選択ガラス121)を具備するものである。
【0059】
このような構成により、太陽光の熱エネルギーを季節ごとに適宜な量だけ建築物(住宅1)の内部(一階廊下22)に取り込むことができ、例えば太陽光の熱エネルギーを暖房として用いる場合には、当該建築物(住宅1)の内部(特定の空間である一階廊下22)を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。
【0060】
また、熱ダクト100において、前記案内部110には、断熱材111が設けられるものである。
【0061】
このような構成により、太陽光の熱エネルギーの損失を防止すると共に、内部結露の発生を防止することができる。
【0062】
また、熱ダクト100において、前記案内部100は、赤外線域の反射率が80%以上に形成されるものである。
【0063】
このような構成により、太陽光の熱エネルギーの損失を防止することができる。
【0064】
また、熱ダクト100において、前記透過状態変化部(視野選択ガラス121)は、光の入射角度に対応して当該光の透過率を変化させる視野選択ガラス121により構成されるものである。
【0065】
このような構成により、太陽光の透過状態を変化させるための装置を設ける必要がなく、簡易な構成で太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させることができる。
【0066】
また、以上のように、住宅1は、前述の如く構成された熱ダクト100を設けたものである。
【0067】
このような構成により、太陽光の熱エネルギーを季節ごとに適宜な量だけ建築物(住宅1)の内部(一階廊下22)に取り込むことができ、例えば太陽光の熱エネルギーを暖房として用いる場合には、当該建築物(住宅1)の内部(特定の空間である一階廊下22)を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。
【0068】
また、住宅1において、
前記入射部120は、前記建築物(住宅1)の壁面(南側の壁部10)に、当該入射部120から前記案内部110の内部に太陽光が入射可能となるように配置され、
前記透過状態変化部(視野選択ガラス121)は、
夏季における太陽光の入射角度(角度A1)に対応して当該太陽光の透過状態を低透過状態に変化させ、
冬季における太陽光の入射角度(角度A2)に対応して当該太陽光の透過状態を高透過状態に変化させるものである。
【0069】
このような構成により、太陽光の透過状態を変化させるための装置を設ける必要がなく、簡易な構成で太陽光の透過状態を低透過状態又は高透過状態に変化させることができる。
【0070】
なお、熱ダクト100は、本発明に係る「熱ダクト」の一実施形態である。本発明に係る「熱ダクト」は、熱ダクト100の構成に限定するものではない。
【0071】
また、案内部110は、本発明に係る「案内部」の一実施形態である。本発明に係る「案内部」は、案内部110の構成に限定するものではない。
【0072】
例えば、
図7に示すように、本発明に係る第二実施形態である第二案内部210は、第二案内部210の外周部に取り付けられた断熱材111と、当該第二案内部210の外周部と、の間に蓄熱材201を配置する構成とすることができる。蓄熱材201は、太陽光の赤外線域が案内部110の内部で反射する際に発生する熱エネルギーを一定時間だけ保存することができる。
【0073】
また、例えば、第二案内部210の外周部に(断熱材111が取り付けられず)蓄熱材201だけを取り付ける構成(不図示)とすれば、当該蓄熱材201に蓄熱させた熱により、熱ダクト100の上方に配置される寝室31や、下方に配置されるリビング26の空気温度を上昇させることができ、一階廊下22以外の特定の空間も適宜な温度環境とすることができる。
【0074】
また、案内部110は略直線状に延出される構成としたが、本発明に係る「案内部」は湾曲状に延出したり、折り返し部を複数設ける構成であってもよい。但し、本発明に係る「案内部」は、当該「案内部」の内部での赤外線域の損失を出来るだけ抑制するため、例えば前記折り返し部が1箇所であったり、長さが455mmから5000mm程度であることが望ましい。
【0075】
また、案内部110は赤外線域の反射率が高いアルミ材等の金属製の材料により形成される構成としたが、本発明に係る「案内部」は前記金属製以外の材料により形成される構成であってもよい。但し、前述の如く本発明に係る「案内部」を前記金属製以外の材料により形成する場合には、当該材料により形成された「案内部」の内部に遮熱塗料を塗布する等して赤外線域の反射率を高くする必要がある。
【0076】
また、案内部110は赤外線域の反射率が80%以上の材料により形成されるが、夏季において住宅1の一階廊下22に取り込まれる太陽光の熱エネルギーの量をさらに減少させるために、赤外線域の反射率に上限(例えば、反射率が85%以下)を設ける構成であってもよい。これによって、太陽光の熱エネルギーを夏季に、より適宜な量だけ住宅1の一階廊下22に取り込んで、当該一階廊下22を夏季に対応した、より適宜な温度環境とすることができる。
【0077】
また、案内部110は二階床部30の内部に配置される構成としたが、本発明に係る「案内部」は二階の天井となる部分に配置される構成であってもよい。
【0078】
また、入射部120は、本発明に係る「入射部」の一実施形態である。本発明に係る「入射部」は、入射部120の構成に限定するものではない。
【0079】
例えば、入射部120は、住宅1の南側の壁部10に形成された壁部開口部11と接続される構成としたが、西側や南東側等の壁部10に形成された壁部開口部11と接続される構成であってもよい。
【0080】
また、壁部開口部11は、一年を通じて(夏季や冬季等の季節を問わず)太陽光により照射される場所(住宅1の屋根や他の建築物の日陰等とならない場所)に形成される構成としたが、太陽の高度に応じて冬季には太陽光により照射される一方、夏季には太陽光により照射されない場所に形成される構成であってもよい。これによって、夏季には、住宅1の一階廊下22に取り込む太陽光の熱エネルギーの量をより大きく減少させ、当該一階廊下22の空気温度が必要以上に上昇しないようにすることができる。
【0081】
また、放出部130は、本発明に係る「放出部」の一実施形態である。本発明に係る「放出部」は、放出部130の構成に限定するものではない。
【0082】
例えば、放出部130は、太陽光の熱エネルギーを住宅1の一階廊下22に放出する構成としたが、トイレ23や折り返し階段24や階段下収納25や二階廊下32に放出する構成であってもよい。また、例えば階段下収納25に当該空間内の温度調整が必要な機器(蓄電装置等)を配置した場合には、当該空間内を前記機器に対して適宜な温度環境とすることができる。すなわち、本発明の構成から奏される効果として、特定の空間を適宜な温度環境とすることには、人に対して適宜な温度環境とすることだけでなく、機器に対して適宜な温度環境とすることも含まれる。
【0083】
また、視野選択ガラス121は、本発明(請求項1)に係る「透過状態変化部」の一実施形態である。本発明(請求項1)に係る「透過状態変化部」は、視野選択ガラス121の構成に限定するものではない。
【0084】
例えば、本発明(請求項1)に係る「透過状態変化部」は、調光ガラスを設けて季節ごとに電気的に光の透過率を変化させる構成であってもよい。より詳細には、夏季には前記調光ガラスを電気的に光の透過率が低くなるように設定する。すなわち、このような場合、前記調光ガラスは、光の透過状態が低透過状態となる。一方、冬季には前記調光ガラスを電気的に光の透過率が高くなるように設定する。すなわち、このような場合、前記調光ガラスは、光の透過状態が高透過状態となる。
【0085】
また、本発明に係る「透過状態変化部」には、
図7に示すように、入射部120及び壁部開口部11の外側に開閉可能な蓋部材202を設ける構成であってもよい。より詳細には、夏季には蓋部材202により入射部120及び壁部開口部11を閉鎖することによって、住宅1の一階廊下22に取り込む太陽光の熱エネルギーの量をより大きく減少させ、当該一階廊下22の空気温度が必要以上に上昇しないようにすることができる。
【0086】
また、視野選択ガラス121は、本発明(請求項2)に係る「視野選択ガラス」の一実施形態である。本発明(請求項2)に係る「視野選択ガラス」は、視野選択ガラス121の構成に限定するものではない。
【0087】
例えば、視野選択ガラス121は、光の透過率を角度A1及び角度A2の、2つの角度により変化させているが、さらに角度A3を設け、光の透過率を3つの角度により変化させる構成であってもよい。これによって、太陽光の熱エネルギーを夏季や冬季に加えて、春季(秋季)の季節ごとに適宜な量だけ住宅1の一階廊下22に取り込むことができ、当該住宅1の特定の空間である一階廊下22を季節ごとに対応した適宜な温度環境とすることができる。