(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インキツボキーを複数備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの量を調整し、このインキツボローラに供給されたインキをインキ呼び出しローラの呼び出し動作によりインキローラ群を介して刷版へ供給するインキ供給装置におけるインキローラ群に、次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ供給方法において、
前の刷版を使用しての印刷ジョブの終了後、前記インキローラ群のインキの流動経路の末端に位置するインキ着ローラを脱とするとともに、前記インキ呼び出しローラの呼び出し動作を停止し、前記インキローラ群を複数のローラ小群に分割するローラ群分割ステップと、
前記ローラ群分割ステップによって分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキをインキ掻き取り部材で掻き取って除去するインキ除去ステップと
を備えることを特徴とするインキ供給方法。
インキツボキーを複数備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの量を調整し、このインキツボローラに供給されたインキをインキ呼び出しローラの呼び出し動作によりインキローラ群を介して刷版へ供給するインキ供給装置におけるインキローラ群に、次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ供給装置において、
前記インキローラ群のインキの流動経路の末端に位置するインキ着ローラを脱とするとともに、前記インキ呼び出しローラの呼び出し動作を停止し、前記インキローラ群を複数のローラ小群に分割するローラ群分割手段と、
前の刷版を使用しての印刷ジョブの終了後、前記ローラ群分割手段が行う前記インキ着ローラを脱とするタイミング、前記インキ呼び出しローラの呼び出し動作を停止するタイミング、前記インキローラ群を複数のローラ小群に分割するタイミングを制御する制御手段と、
前記ローラ群分割手段によって分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキをインキ掻き取り部材で掻き取って除去するインキ除去手段と
を備えることを特徴とするインキ供給装置。
【背景技術】
【0002】
図25に輪転印刷機における各色の印刷ユニット内のインカー(インキ供給装置)の要部を示す。同図において、1はインキツボ、2はインキツボ1に蓄えられたインキ、3はインキツボローラ、4(4−1〜4−n)はインキツボローラ3の軸方向に複数並設して設けられたインキツボキー、5はインキ呼び出しローラ、6はインキローラ群、7は刷版、8は刷版7が装着された版胴、9はゴム胴、50は圧胴である。
【0003】
このインキ供給装置は、インキツボキー4−1〜4−nの開度調整によってインキツボ1内のインキ2をインキツボローラ3に供給し、このインキツボローラ3に供給されたインキをインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作によりインキローラ群6を介して刷版7へ供給する。
【0004】
刷版7には絵柄が焼き付けられており、刷版7に供給されたインキをゴム胴9が受け取り、ゴム胴9が受け取ったインキがゴム胴9と圧胴50との間を流れる印刷用紙(被印刷体)51に転写される。
【0005】
なお、インキローラ群6のインキの流動経路の末端には、刷版7に接するインキ着ローラ6−1〜6−4が設けられている。また、刷版7に対しては、インキ着ローラ6−1〜6−4を介するインキと合わせて、水舟53に蓄えられた湿し水が水着ローラ52を介して供給される。
【0006】
このインキ供給装置において、印刷ジョブの切り替えを行う場合、すなわち前の印刷ジョブの刷版7を交換して次の印刷ジョブの刷版7’とする場合、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に変更し、インキツボ1内のインキ2をインキローラ群6を介して交換された刷版7’へ供給する。この場合、本刷りの前に試刷りを行って、インキ供給量を調整し、満足すべき色調を得る。これにより、インキローラ群6、版胴8およびゴム胴9に、所望のインキ膜厚分布(インキ膜厚さの勾配)が作られる。
【0007】
しかしながら、従来のインキ供給装置では、刷版7を刷版7’に交換して次の印刷ジョブを行おうとした場合、前の印刷ジョブの刷版7に対するインキ膜厚分布がインキローラ群6に残っている。この場合、前の印刷ジョブの刷版7に対するインキ膜厚分布を次の印刷ジョブの刷版7’に対するインキ膜厚分布に徐々に変えて行かなければならず、満足すべき色調を得るまでにインキ供給量の調整と試刷りを過大に必要とし、「印刷前準備時間の増加」、「労働負荷の増大」、「印刷資材の浪費」、「生産効率の低下」、「コストアップ」等の問題が生じる。
【0008】
このため、満足すべき色調を得るまでのインキ供給量の調整と試刷りの回数を少なくすることを目的として、特許文献1や特許文献2に示された「インキ膜厚の制御方法」が提案されている。
【0009】
〔特許文献1(刷り減らし+プレインキング2)〕
特許文献1に示されたインキ膜厚の制御方法では、印刷ジョブの切り替えに際して、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作をオフとしたうえ、前の印刷ジョブの刷版7を装着したままの状態で本機を運転し、所定枚数の印刷(白紙印刷)を行い、これによってインキ供給装置内のインキを減らし(刷り減らし)、インキローラ群6に上流から下流になるにしたがって薄くなる印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布Ma(
図26(a)参照)、すなわち刷版7の絵柄のない部分に対応するインキ膜厚分布Maを残す(インキリムービング)。
【0010】
次に、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に設定したうえ、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とした状態で、本機を運転し、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6に残されている印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布Maに次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mb(
図26(b)参照)を重畳する(プレインキング2)。
【0011】
〔特許文献2(壺返し+プレインキング1)〕
特許文献2に示されたインキ膜厚の制御方法では、印刷ジョブの切り替えに際して、インキツボキー4−1〜4−nの開き量をゼロに設定し、その状態でインキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6上のインキを全てインキツボ1内に戻す(壺返し)。これにより、インキローラ群6内の各ローラがインキを保有していない状態となる。
【0012】
次に、インキツボキー4−1〜4−nの開度を所定開度(例えば、50%)としたうえ、またインキツボローラ3の回転量を所定量(例えば、50%)としたうえ、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、印刷中に必要される最低限のインキ膜厚分布Ma(
図26(a)参照)をインキローラ群6に形成する(プレインキング1の第1ステップ)。
【0013】
そして、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に設定したうえ、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とした状態で、本機を運転し、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6に形成されている印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布Maに次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mb(
図26(b)参照)を重畳する(プレインキング1の第2ステップ)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に示されたインキ膜厚の制御方法(刷り減らし+プレインキング2)では、インキローラ群6上にインキ膜厚分布Maを残す際、白紙印刷を行うため、紙が無駄になるという問題があった。
【0016】
また、特許文献2に示されたインキ膜厚の制御方法(プレインキング(−)=壺返し+プレインキング1)では、インキローラ群6上の全てのインキをインキツボ1に戻し、ゼロから修正したインキ膜厚分布(Ma+Mb)を形成するため、時間がかかるという問題があった。また、この方法では、乳化したインキ(湿し水と練り合わされたインキ)をインキツボ1に戻すため、印刷障害が発生し、印刷資材が無駄になるという問題もあった。
【0017】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、刷版を交換して次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成する際に、白紙印刷を行うことなく、また壺返しを行うことなく、短時間で、インキローラ群に形成されているインキ膜厚分布を補正することが可能なインキ供給方法およびインキ供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するために本発明は、前の刷版を使用しての印刷ジョブの終了後、インキローラ群のインキの流動経路の末端に位置するインキ着ローラを脱とするとともに、インキ呼び出しローラの呼び出し動作を停止し、インキローラ群を複数のローラ小群に分割するローラ群分割ステップと、ローラ群分割ステップによって分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキをインキ掻き取り部材で掻き取って除去するインキ除去ステップとを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0019】
この発明によれば、前の刷版を使用しての印刷ジョブの終了後(前の印刷ジョブの終了後)、インキ着ローラが脱とされた状態で、またインキ呼び出しローラの呼び出し動作が停止された状態で、インキローラ群が複数のローラ小群に分割される。そして、この分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキがブレードやスクレイパーによって掻き取って除去される。本発明では、インキローラ群を複数のローラ小群に分割するが、その数は2以上であればその数は幾つあってもよい。また、本発明では、分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキを除去するが、一部のローラ小群であればその数は複数であってもよい。
【0020】
例えば、本発明において、2つのローラ小群に分割可能な構成とした場合、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とに分割される。そして、この分割されたローラ小群のうちの一部のローラ小群として、例えば上流側のローラ小群内のインキが除去される。この場合、上流側のローラ小群内のインキは、インキ呼び出しローラの呼び出し動作が停止されているので、壺返しすることはできない。また、上流側のローラ小群が下流側のローラ小群から切り離されているので、白紙印刷によって除去することもできない。そこで、本発明では、壺返しや白紙印刷ではなく、ブレードやスクレイパーによって掻き取るようにして、上流側のローラ小群内のインキを除去するものとする。
【0021】
本発明は、さらに、インキ除去ステップによって一部のローラ小群内のインキが除去された後、分割されている複数のローラ小群を連結して1つのインキローラ群に戻すローラ群連結ステップと、各インキツボキーの開き量を次のジョブの印刷で使用する刷版の絵柄に応じた値に設定する開量設定ステップと、ローラ群連結ステップによってインキローラ群が1つのインキローラ群に戻された状態で、開量設定ステップによって各インキツボキーの開き量が次のジョブの印刷で使用する刷版の絵柄に応じた値に設定された状態で、インキ呼び出しローラの呼び出し動作を所定回数行い、1つに戻されたインキローラ群に次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ膜厚分布形成ステップとを備えることを特徴とする(請求項2)。
【0022】
例えば、本発明において、2つのローラ小群に分割可能な構成とした場合、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とが連結された1つのインキローラ群に戻された状態で、かつ各インキツボキーの開き量が次のジョブの印刷で使用する刷版の絵柄に応じた値に設定された状態で、インキ呼び出しローラの呼び出し動作を所定回数行うことによって、1つに戻されたインキローラ群に次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布が形成される。
【0023】
本発明は、さらに、インキ膜厚分布形成ステップによって次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布が形成されたインキローラ群を複数のローラ小群に分割するローラ群再分割ステップと、ローラ群再分割ステップによって分割された後もしくは分割される前に、複数のローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と次のジョブの印刷に使用する刷版が装着されている版胴とを着状態にする着ステップと、ローラ群再分割ステップによって分割され、着ステップによって着状態とされている版胴およびローラ小群を所定回転数回転させて、そのローラ小群内のインキを版胴に装着されている刷版に供給するインキ供給ステップとを備えることを特徴とする(請求項3)。
【0024】
この発明によれば、インキローラ群に次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布が形成され、この次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布が形成されたインキローラ群が複数のローラ小群に分割される。また、分割された後もしくは分割される前に、複数のローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と次のジョブの印刷に使用する刷版が装着されている版胴とが着状態とされる。すなわち、複数のローラ小群に分割された後、その分割された複数のローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と版胴とが着状態とされる。あるいは、複数のローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と版胴とが着状態とされた後、複数のローラ小群に分割される。そして、分割され、着状態とされている版胴およびローラ小群が所定回転数回転され、そのローラ小群内のインキが版胴に装着されている刷版に供給される。
【0025】
例えば、本発明において、2つのローラ小群に分割可能な構成とした場合、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とに分割される。また、分割された後もしくは分割される前に、下流側のローラ小群と版胴とが着状態とされる。そして、分割され、着状態とされている版胴および下流側のローラ小群が所定回転数回転され、その下流側のローラ小群内のインキが版胴に装着されている刷版に供給される。この場合、下流側のローラ小群内の比較的薄いインキ膜厚分布のインキのみが刷版に供給されるものとなり、版胴におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0026】
なお、特許文献1に示されたインキ膜厚の制御方法(刷り減らし+プレインキング2)や特許文献2に示されたインキ膜厚の制御方法(壺返し+プレインキング1)では、インキローラ群に形成されている印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布に次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を重畳した後、インキ着ローラを着とし、交換された次の印刷ジョブの刷版および洗浄されたゴム胴にインキローラ群内のインキを供給して印刷を開始するようにしているので、版胴およびゴム胴にインキが全くない状態から次のジョブの印刷が開始されるものとなり、版胴、ゴム胴およびインキローラ群に、印刷中に、最終的な本刷り時のインキ膜厚分布が形成されるまでは正常な印刷物が印刷できず、多くの損紙が発生し、印刷資材が無駄になる、という問題があった。
【0027】
また、インキローラ群に形成されている印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布に次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を重畳した後、次のジョブの印刷を開始する前に、インキ着ローラと水着ローラと版胴とゴム胴とを接触させた状態にして印刷機を所定回数回転させ、版胴およびゴム胴にもインキを供給することが考えられる(例えば、特許文献3参照)。しかし、この場合、インキ供給装置内の全てのインキがインキローラ群、版胴およびゴム胴内で均されるため、版胴およびゴム胴に過分なインキが多量に供給されてしまい、版胴およびゴム胴におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎる。このため、その多量に供給された過分なインキが消費されるまで、多くの損紙が発生してしまう、という問題が発生する。
【0028】
これに対し、本発明では、下流側のローラ小群内の比較的薄いインキ膜厚分布のインキのみが刷版に供給される為、上記したような問題が発生しない。
【0029】
なお、本発明では、版胴に装着されている刷版に供給されたインキをゴム胴を介することなく直接被印刷体に転写することも可能であるが、ゴム胴を介して転写する場合には、着ステップにおいて、ローラ群再分割ステップによって分割された後もしくは分割される前に、複数のローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と次のジョブの印刷に使用する刷版が装着されている版胴とを着状態にするとともに、当該版胴とゴム胴とを着状態にする。また、インキ供給ステップにおいて、ローラ群再分割ステップによって分割され、着ステップによって着状態とされている版胴およびローラ小群ならびにゴム胴を所定回転数回転させて、そのローラ小群内のインキを版胴に装着されている刷版およびゴム胴に供給するようにする(請求項4)。これにより、本発明において、例えば、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とに分割するものとした場合、下流側のローラ小群内の比較的薄いインキ膜厚分布のインキのみが刷版およびゴム胴に供給されるものとなり、版胴およびゴム胴におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0030】
本発明は、さらに、インキ供給ステップによるインキの供給後、分割されている複数のローラ小群を連結して1つのインキローラ群に戻して、版胴に装着されている刷版を使用しての次のジョブの印刷を開始する印刷開始ステップを備えることを特徴とする(請求項5)。これにより、本発明において、例えば、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とに分割するものとした場合、下流側のローラ小群内のインキを供給して版胴(あるいは版胴およびゴム胴)に対してインキ膜厚分布を形成した後、上流側のローラ小群と下流側のローラ小群とを連結して1つのローラ群に戻した状態で、次のジョブの印刷が開始される。この場合、次のジョブの印刷時のインキ膜厚分布(最終的な本刷り時のインキ膜厚分布)は、印刷中に作成される。この際、下流側のローラ小群および版胴(あるいは版胴およびゴム胴)内のインキ膜厚分布は薄くなっているため、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群および版胴(あるいは版胴およびゴム胴)に本刷り中のインキ膜厚分布が速やかに形成されるものとなる。
【0031】
なお、本発明は、上述したインキ供給方法を適用した装置としても構成することが可能である。本願の請求項6〜10の発明は、請求項1〜5のインキ供給方法に係る発明を装置としたものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、前の刷版を使用しての印刷ジョブの終了後、インキローラ群のインキ流動経路の末端に位置するインキ着ローラを脱とするとともに、インキ呼び出しローラの呼び出し動作を停止し、インキローラ群を複数のローラ小群に分割し、この分割された複数のローラ小群のうちの一部のローラ小群内のインキをインキ掻き取り部材で掻き取って除去するようにしたので、一部のローラ小群内のインキをブレードやスクレイパーなどで掻き取って除去するようにして、印刷ジョブの切替時に、白紙印刷を行うことなく、また壺返しを行うことなく、短時間で、次のジョブの印刷に使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布をインキローラ群に形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るインキ供給方法の実施に用いる印刷ジョブ切替制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【0035】
この印刷ジョブ切替制御装置100は、CPU10、RAM11、ROM12、入力装置13、表示器14、出力装置(プリンタ等)15、印刷停止スイッチ16、印刷ジョブ切替開始スイッチ17、印刷機の原動モータ18、原動モータドライバ19、原動モータ用ロータリーエンコーダ20、D/A変換器21、印刷機の原点位置検出器22、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23、インキ呼び出し装置24を備えている。
【0036】
また、ローラ群分割・連結用エアシリンダ25、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ26、水着ローラ着脱用エアシリンダ28、水着ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ29、給紙装置30、印刷ユニット31、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ32、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ33、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ40、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ41、インキ掻き取り時の回転回数設定器27、版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数設定器34、インキ装置内プレインキング時の回転回数設定器35、プレインキング時の回転速度設定器36、印刷速度設定器37、メモリ38、入出力インターフェイス(I/O,I/F)39−1〜39−11を備えている。
【0037】
図2はこの印刷ジョブ切替制御装置100によって制御される各印刷ユニット内のインキ供給装置の要部を示す図である。同図において、
図25と同一符号は
図25を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。このインキ供給装置において、インキローラ群6は同図に点線で示すラインL1を境として、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割可能とされている。
【0038】
具体的には、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとの間に位置するローラ6Cを支点P1を回動中心として揺動する揺動アーム42の一端部に軸支させ、この揺動アーム42の他端部にローラ群分割・連結用エアシリンダ25を連結して設けている。なお、揺動アーム42は、他と区別するためにここでは一点鎖線で示している。
【0039】
この構造において、ローラ群分割・連結用エアシリンダ25を伸長動作させると(
図3参照)、揺動アーム42が支点P1を回動中心として矢印A方向へ揺動し、この揺動に伴ってローラ6Cの周面が上流側のローラ小群6Aのインキ流動経路の最下端に位置するローラ6A1の周面から離れ、またローラ6Cの周面が下流側のローラ小群6Bのインキ流動経路の最上端に位置するローラ6B1の周面から離れる。これにより、インキローラ群6が上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割される。
【0040】
この状態からローラ群分割・連結用エアシリンダ25を縮退動作させると、揺動アーム42が支点P1を回動中心として矢印B方向へ揺動し、この揺動に伴ってローラ6Cの周面が上流側のローラ小群6Aのインキ流動経路の最下端に位置するローラ6A1の周面に対接し、またローラ6Cの周面が下流側のローラ小群6Bのインキ流動経路の最上端に位置するローラ6B1の周面に対接する(
図2参照)。これにより、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとが連結され、1つのインキローラ群6に戻される。
【0041】
また、インキローラ群6に対しては、上流側のローラ小群6Aのローラ6A2の周面に接して上流側のローラ小群6A内のインキを掻き取るインキ掻き取りブレード43と、このインキ掻き取りブレード43によって掻き取られたインキを回収するインキ受け44とが設けられている。インキ掻き取りブレード43に対してはインキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ40が設けられている。インキを掻き取る場合には、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ40を縮退動作させて、インキ掻き取りブレード43をローラ6A2の周面に対接させる(
図4参照)。インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ40を伸長動作させると、インキ掻き取りブレード43がローラ6A2の周面から離れる。
【0042】
この印刷ジョブ切替制御装置100において、CPU10は、インターフェイス39−1〜39−11を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM11やメモリ38にアクセスしながら、ROM12に格納されたプログラムに従って動作する。
【0043】
原動モータ用ロータリーエンコーダ20は、印刷機の原動モータ18の所定回転角毎に回転パルスを発生して、原動モータドライバ19に出力する。印刷機の原点位置検出器22は、印刷機の1回転毎の原点位置を検出し、原点位置検出信号を発生して印刷機の回転回数カウント用カウンタ23に出力する。
【0044】
インキ呼び出し装置24はインキ呼び出しローラ5に対して設けられている。インキ呼び出し装置24をオンとすると、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作が開始され、インキ呼び出し装置24をオフとすると、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作が停止される。
【0045】
水着ローラ着脱用エアシリンダ28は水着ローラ52に対して設けられている。水着ローラ着脱用エアシリンダ28を伸長動作させると、水着ローラ52が着状態(刷版7(7’)に接した状態)となり、水着ローラ着脱用エアシリンダ28を縮退動作させると、水着ローラ52が脱状態(刷版7(7’)から離れた状態)となる。
【0046】
インキ着ローラ着脱用エアシリンダ32はインキ着ローラ6−1〜6−4に対して設けられている。インキ着ローラ着脱用エアシリンダ32を伸長動作させると、インキ着ローラ6−1〜6−4が着状態(刷版7(7’)に接した状態)となり、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ32を縮退動作させると、インキ着ローラ6−1〜6−4が脱状態(刷版7(7’)から離れた状態)となる。
【0047】
図5にメモリ38の内容を示す。メモリ38にはメモリM1〜M13が設けられる。メモリM1にはインキ掻き取り時の印刷機の回転回数N1が記憶される。メモリM2には版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N2が記憶される。メモリM3にはインキ装置内プレインキング時の印刷機の回転回数N3が記憶される。メモリM4にはプレインキング時の印刷機の回転速度Vprが記憶される。メモリM5には印刷速度Vpが記憶される。メモリM6にはカウント値Nが記憶される。メモリM7には各インキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率が記憶される。メモリM8にはインキツボキーの総数nが記憶される。メモリM9には絵柄面積率とインキツボキーの開き量との関係を示す絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルが記憶される。メモリM10には各インキツボキーの開き量が記憶される。メモリM11にはインキツボローラの回転量が記憶される。メモリM12には印刷機の回転回数カウント用カウンタのカウント値が記憶される。メモリM13には印刷機の低速速度VLが記憶される。
【0048】
なお、
図1において、200はインキ供給装置におけるインキツボローラ3を駆動するインキツボローラ制御装置、300−1〜300−nはインキ供給装置におけるインキツボキー4−1〜4−nの開き量を制御するインキツボキー制御装置である。インキツボローラ制御装置200およびインキツボキー制御装置300−1〜300−nは各色のインキ供給装置毎に設けられているが、この実施の形態では説明を簡単とするためにインキ供給装置は1つとする。すなわち、1つのインキ供給装置を代表して、その動作を説明する。
【0049】
〔印刷ジョブ切替制御装置の概略的な動作〕
印刷ジョブ切替制御装置100の詳細な動作の説明に入る前に、理解を容易とするために、その概略的な動作について説明しておく。
【0050】
(1)給紙を停止すると共に刷版7を用いての印刷を停止する(前の印刷ジョブを終了する)。印刷を停止すると、胴抜きが行われてゴム胴9が版胴8および圧胴50から離れると共に、インキ着けロー6−1〜6−4が脱とされ、水着ローラ52が脱とされ、版胴8から離れる(
図3参照)。この場合、インキローラ群6には、
図6(a)に示すように、刷版7の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mcが残される。すなわち、前の印刷ジョブのインキ膜厚分布Mcが残される。
【0051】
(2)印刷機停止状態で、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止し、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する。これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mcは、
図6(b)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布McBとに分かれる。
【0052】
(3)印刷機の回転速度を印刷速度まで増速し、インキ掻き取りブレード43を上流側のローラ小群6A内のローラ6A2に着にし、その状態で印刷機を一定回転(インキ掻き取り時の回転回数N1)させ、上流側のローラ小群6A内のインキを掻き取る(
図4参照)。これにより、
図6(c)に示されるように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAがほゞ零となる。この時、下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布は、インキ掻き取り時の回転回数N1により均されて、平坦なインキ膜厚分布McB’となる。
【0053】
(4)印刷機を停止し、版胴8に装着されている刷版7を次のジョブの印刷に使用する刷版7’に交換するとともにゴム胴9を洗浄する(
図6(d))。
【0054】
(5)インキツボキー4−1〜4−nの開き量を次のジョブの印刷に使用する刷版7’の絵柄に応じた値に設定する。すなわち、次の印刷ジョブの絵柄に応じた値に設定する。そして、印刷機をプレインキング時の回転速度Vprまで増速し、その状態でインキ装置内プレインキング時の回転回数N3だけインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を行わせ、インキローラ群6に次のジョブの印刷時のインキ膜厚分布Mdを作成する(
図6(e))
【0055】
(6)インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止し、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する。これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mdは、
図6(f)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布MdAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布MdBとに分かれる。
【0056】
(7)インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ52を着とすると共に、版胴8とゴム胴9のみを着状態とする。すなわち、インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ52を刷版7’の版面に接した状態とすると共に、ゴム胴9を版胴8に対してのみ着とする(呼び出し動作は停止したまま)。これにより、下流側のローラ小群6Bと水着ローラ52と版胴8とゴム胴9とが着状態とされる(
図6(g))。
【0057】
(8)この状態で、印刷機を版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N2だけ回転させ、下流側のローラ小群6B内のインキを版胴8に装着されている刷版7’およびゴム胴9に供給する(
図6(h))。この場合、下流側のローラ小群6B内の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0058】
すなわち、
図7に示されるように、
図6(e)に対応する
図7(e)の工程の後、インキローラ群6を分割せずに、インキ着ローラ6−1〜6−4と水着ローラ52と版胴8とゴム胴9とを着状態にして(
図7(f))、印刷機を所定回数回転させ、版胴8およびゴム胴9にもインキを供給することが考えられるが、この場合、インキ供給装置内の全てのインキがインキローラ群6、版胴8およびゴム胴9内で均されるため、版胴8およびゴム胴9に過分なインキが多量に供給されてしまい、版胴8およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎる(
図7(g))。
【0059】
これに対して、
図6(e)の工程の後、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割することにより(
図6(f))、下流側のローラ小群6B内の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり(
図6(g),(h))、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0060】
(9)この後、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを連結して1つのインキローラ群6に戻して(
図6(i))、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を行わせ、ゴム胴9を圧胴50に対しても着状態として、すなわち版胴8、ゴム胴9および圧胴50間を接触させた胴入れ状態として(
図2参照)、版胴8に装着されている刷版7’を使用しての次のジョブの印刷を開始する。
【0061】
この場合、次のジョブの印刷時のインキ膜厚分布(最終的な本刷り時のインキ膜厚分布)は、印刷中に作成される。この際、下流側のローラ小群6Bおよび版胴8およびゴム胴9内のインキ膜厚分布MdB’は薄くなっているため、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布Me(
図6(j))が速やかに形成されるものとなる。
【0062】
図7に示された方法では、版胴8およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎるため(
図7(g))、本刷り中のインキ膜厚分布Me(
図7(h))が形成されるまでに時間がかかり、多くの損紙が発生してしまう。これに対して、本実施の形態では、版胴8およびゴム胴9に対して形成されるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれるので、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布が速やかに形成されるものとなり、刷版7’を交換しての次のジョブの印刷開始後、短時間で正常な印刷物が得られるものとなる。
【0063】
なお、
図6を用いて説明した概略的な動作では、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割した後に(
図6(f))、下流側のローラ小群6Bを版胴8に対して着状態とするようにしたが(
図6(g))、
図8に示すように、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する前に下流側のローラ小群6Bを版胴8に対して着状態とし(
図8(f))、その後にインキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する(
図8(g))ようにしてもよい。
【0064】
〔印刷ジョブ切替制御装置の詳細な動作〕
印刷ジョブを切り替える場合、オペレータは印刷停止スイッチ16をオンとする。すると、CPU10は、印刷停止スイッチ16がオンとされたことを確認し(
図9:ステップS101のYES)、給紙装置30に給紙停止指令を出力し、印刷機への給紙を停止させるとともに(ステップS102)、胴抜き指令、インキ着ローラの脱指令、水着ローラの脱指令を出力する(ステップS103、S104、S105)。
【0065】
すなわち、胴抜き指令によって、ゴム胴9を版胴8および圧胴50から脱とする。また、インキ着ローラの脱指令によって、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とし、刷版7から離した状態とする。また、水着ローラの脱指令によって、水着ローラ52を脱とし、刷版7から離した状態とする。また、CPU10は、原動モータドライバ19に停止信号を出力し、原動モータ20を停止させる。これにより、印刷機が停止する(
図6(a))。
【0066】
〔データの入力〕
次に、オペレータは、インキ掻き取り時の回転回数N1、版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N2、インキ装置内プレインキング時の印刷機の回転回数N3、プレインキング時の印刷機の回転速度Vpr、印刷速度Vpを入力する(
図9,
図10:ステップS107、S109、S111、S113、S115)。
【0067】
なお、この場合、インキ掻き取り時の回転回数N1はインキ掻き取り時の回転回数設定器27より行い、版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N2の入力は版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数設定器34より行い、インキ装置内プレインキング時の印刷機の回転回数N3の入力はインキ装置内プレインキング時の回転回数設定器35より行い、プレインキング時の印刷機の回転速度Vprの入力はプレインキング時の回転速度設定器36より行い、印刷速度Vpの入力は印刷速度設定器37より行う。
【0068】
CPU10は、インキ掻き取り時の回転回数設定器27より入力されたインキ掻き取り時の回転回数N1をメモリM1に格納し(ステップS108)、版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数設定器34より入力された版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N2をメモリM2に格納し(ステップS110)、インキ装置内プレインキング時の回転回数設定器35より入力されたインキ装置内プレインキング時の印刷機の回転回数N3をメモリM3に格納し(ステップS112)、プレインキング時の回転速度設定器36より入力されたプレインキング時の印刷機の回転速度VprをメモリM4に格納し(ステップS114)、印刷速度設定器37より入力された印刷速度VpをメモリM5に格納する(ステップS116)。
【0069】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄面積率の入力〕
また、CPU10は、入力装置13より入力された刷版7のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率をメモリM7に格納する。なお、この実施の形態において、刷版7のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の測定には、本出願人による特許文献4や特許文献5に示されているような「絵柄面積率測定装置」を用い、この「絵柄面積率測定装置」を用いて測定した絵柄面積率を可搬型のメモリに書き込み、この絵柄面積率が書き込まれた可搬型のメモリを入力装置13にセットすることによって、刷版7のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の入力を行う。なお、CPU10と「絵柄面積率測定装置」とをオンラインで結び、「絵柄面積率測定装置」から直接、刷版7のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率を取り込むようにしてもよい。
【0070】
CPU10は、入力装置13に可搬型のメモリがセットされると、すなわちインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率が入力されると(
図11:ステップS117のYES)、メモリM6内のカウント値NをN=1として上書きし(ステップS118)、メモリM6からカウント値Nを読み出し(ステップS119)、N番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率を可搬型のメモリから読み出して、メモリM7のN番目のインキツボキー用のアドレス位置に記憶させる(ステップS120)。
【0071】
そして、メモリM6内のカウント値Nを読み出し(ステップS121)、そのカウント値Nに1を加算してメモリM6に上書きし(ステップS122)、メモリM8からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS123)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS124のYES)、ステップS119〜S124の処理動作を繰り返す。これにより、インキツボキー4−1〜4−nに対応する刷版7の各領域毎の絵柄面積率が可搬型のメモリから読み出され、メモリM7に格納されて行く。
【0072】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキーの開き量の設定〕
次に、オペレータは、印刷ジョブ切替開始スイッチ17をオンとする。印刷ジョブ切替開始スイッチ17がオンとされると(ステップS125のYES)、CPU10は、メモリM6内のカウント値NをN=1として上書きし(
図12:ステップS126)、メモリM6からカウント値Nを読み出し(ステップS127)、メモリM7のN番目のインキツボキー用のアドレス位置より、N番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率を読み出す(ステップS128)。
【0073】
そして、メモリM9内の絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを読み出し(ステップS129)、この絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを用いて、N番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率より、N番目のインキツボキーの開き量を求め、この求めたN番目のインキツボキーの開き量をメモリM10のN番目のインキツボキー用のアドレス位置に記憶させると共に(ステップS130)、N番目のインキツボキー制御装置300に送信する(ステップS131)。
【0074】
そして、N番目のインキツボキー制御装置300からN番目のインキツボキーの開き量の受信完了信号が送信されてきたことを確認し(ステップS132のYES)、メモリM6内のカウント値Nを読み出し(ステップS133)、そのカウント値Nに1を加算してメモリM6に上書きし(ステップS134)、メモリM8からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS135)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS136のYES)、ステップS127〜S136の処理動作を繰り返す。
【0075】
これにより、刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率に対応するインキツボキー4−1〜4−nの開き量が求められ、メモリM10に記憶されて行くと共に、インキツボキー制御装置300−1〜300−nに送信されて行く。
【0076】
〔インキツボキーの開き量の設定が完了していることの確認〕
次に、CPU10は、メモリM6内のカウント値NをN=1として上書きし(
図13:ステップS137)、メモリM6からカウント値Nを読み出し(ステップS138)、N番目のインキツボキー制御装置300からのインキツボキーの開き量の設定完了信号の有無を確認する(ステップS139)。
【0077】
N番目のインキツボキー制御装置300からインキツボキーの開き量の設定完了信号が送信されてきたことを確認すると(ステップS139のYES)、メモリM6内のカウント値Nを読み出し(ステップS140)、そのカウント値Nに1を加算してメモリM6に上書きし(ステップS141)、メモリM8からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS142)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS143のYES)、ステップS138〜S143の処理動作を繰り返す。
【0078】
そして、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えると(ステップS143のYES)、CPU10は、インキツボキーの開き量の設定が完了していると判断し、全てのインキツボキー制御装置300(300−1〜300−n)に、全インキツボキーの開き量設定完了信号を送信する(ステップS144)。
【0079】
〔インキローラ群の分割〕
次に、CPU10は、インキ呼び出し装置24に動作停止信号を出力し(
図14:ステップS145)、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止させる。そして、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ26に分割信号を出力し(ステップS146)、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割させる(
図3参照)。
【0080】
これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mcは、
図6(b)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布McBとに分かれる。
【0081】
〔上流側のローラ小群内のインキの掻き取り〕
次に、CPU10は、メモリM5から印刷速度Vpを読み出し(ステップS147)、原動モータドライバ19にD/A変換器21を介して回転指令を出力する(ステップS148)。これにより、印刷機が回転し始め、その速度が印刷速度Vpまで上昇する。そして、CPU10は、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ41に着信号を出力する(ステップS149)。これにより、
図4に示されるように、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ40が縮退動作し、インキ掻き取りブレード43がローラ6A2の周面に対接し、上流側のローラ小群6A内のインキの掻き取り(インキの除去)が開始される。
【0082】
CPU10は、この上流側のローラ小群6A内のインキの除去を、印刷機の回転回数がメモリM1中のインキ掻き取り時の回転回数N1に達するまで続ける。すなわち、CPU10は、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ41に着信号を出力した後(ステップS149)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(ステップS150)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS151)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値を読み出してメモリM12に記憶し(ステップS152)、メモリM1中のインキ掻き取り時の回転回数N1を読み出し(ステップS153)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値がインキ掻き取り時の回転回数N1に達するまで(ステップS154のYES)、ステップS152〜S154の処理動作を繰り返す。
【0083】
そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値がインキ掻き取り時の回転回数N1に達した時点で(ステップS154のYES)、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ41に脱信号を出力し(
図15:ステップS155)、上流側のローラ小群6A内のインキの除去を完了させる。
【0084】
これにより、
図6(c)に示されるように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAがほゞ零となる。この時、下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布は、インキ掻き取り時の回転回数N1により均されて、平坦なインキ膜厚分布McB’となる。
【0085】
そして、CPU10は、メモリM13から低速速度VLを読み出し(ステップS156)、回転指令を原動モータドライバ19に出力する(ステップS157)。これにより、印刷機は低速速度VLで回転する。
【0086】
そして、印刷停止スイッチ16がONとされると(ステップS158のYES)、CPU10は、原動モータドライバ19に停止信号を出力し、印刷機を停止させる。
【0087】
〔版交換・洗浄〕
一方、オペレータは、印刷機が停止され、インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ52が脱とされている状態で(
図6(c))、版胴8に装着されている刷版7を次のジョブの印刷に使用する刷版7’に交換するとともにゴム胴9の洗浄を行う(
図6(d))。
【0088】
〔インキローラ群の連結〕
次に、オペレータは、印刷ジョブ切替開始スイッチ17を再びオンとする。印刷ジョブ切替開始スイッチ17がオンとされると(ステップS160のYES)、CPU10は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ26に連結信号を出力し(ステップS161)、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを連結し、1つのインキローラ群6に戻す(
図6(d))。
【0089】
〔インキ装置内プレインキング(インキ膜厚分布形成ステップ)〕
次に、CPU10は、メモリM4に格納されているプレインキング時の回転速度Vprを読出し(
図16:ステップS162)、その読出したプレインキング時の回転速度Vprを原動モータドライバ19に出力する(ステップS163)。また、メモリM11に格納されているインキツボローラの回転量を読み出し(ステップS164)、その読み出したインキツボローラの回転量をインキツボローラ制御装置200に送信する(ステップS165)。
【0090】
そして、インキツボローラ制御装置200からのインキツボローラの回転量受信完了信号を受けて(ステップS166のYES)、インキ呼び出し装置24に動作信号を出力し(ステップS167)、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を開始させる。CPU10は、このインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を、印刷機の回転回数がメモリM3中のインキ装置内プレインキング時の回転回数N3に達するまで続ける(ステップS168〜S173)。
【0091】
すなわち、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(ステップS168)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS169)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値を読み出してメモリM12に記憶し(ステップS170)、メモリM3中のインキ装置内プレインキング時の回転回数N3を読み出し(ステップS171)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値がインキ装置内プレインキング時の回転回数N3に達するまで(ステップS172のYES)、ステップS170〜S172の処理動作を繰り返す。
【0092】
これにより、インキローラ群6に次のジョブの印刷時のインキ膜厚分布Mdが形成される(
図6(e))。
【0093】
〔インキローラ群の分割(ローラ群再分割ステップ)〕
CPU10は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値がインキ装置内プレインキング時の回転回数N3に達すると(ステップS172のYES)、インキ呼び出し装置24に動作停止信号を出力し、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止させる(ステップS173)。
【0094】
そして、CPU10は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ26に分割信号を出力し(
図17:ステップS174)、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに再分割させる(
図3参照)。
【0095】
これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Meは、
図6(f)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布MdAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布MdBとに分かれる。
【0096】
〔下流側のローラ小群と版胴およびゴム胴とを着状態とする(着ステップ)〕
次に、CPU10は、水着ローラの着指令、インキ着ローラの着指令、版胴とゴム胴の着指令を出力する(ステップS175、S176、S177)。すなわち、水着ローラの着指令によって、水着ローラ52を着とし、刷版7’に接した状態とする。また、インキ着ローラの着指令によって、インキ着ローラ6−1〜6−4を着とし、刷版7’に接した状態とする。また、版胴とゴム胴の着指令によって、版胴8とゴム胴9のみを着状態とする。すなわち、ゴム胴9を版胴8に対してのみ着とする。これにより、下流側のローラ小群6Bと版胴8およびゴム胴9とが着状態とされる(
図6(g))。
【0097】
〔版胴・ゴム胴プレインキング(インキ供給ステップ)〕
そして、この状態で、CPU10は、印刷機の回転回数がメモリM2中の版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N2に達するまで、印刷機を回転させる(ステップS178〜S182)。
【0098】
すなわち、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(ステップS178)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS179)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値を読み出してメモリM12に記憶し(ステップS180)、メモリM2中の版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N2を読み出し(ステップS181)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値が版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N2に達するまで(ステップS182のYES)、ステップS180〜S182処理動作を繰り返す。
【0099】
これにより、下流側のローラ小群6B内のインキが版胴8に装着されている刷版7’およびゴム胴9に供給される(
図6(h))。この場合、下流側のローラ小群6B内の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0100】
〔次のジョブの印刷(印刷開始ステップ)〕
〔インキローラ群の連結〕
CPU10は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ23のカウント値が版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N2に達すると(ステップS182のYES)、インキ呼び出し装置24に動作信号を出力し、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を開始させる(
図18:ステップS183)。
【0101】
そして、CPU10は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ26に連結信号を出力し(ステップS184)、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを再連結し(
図2参照)、1つのインキローラ群6に戻す(
図6(i))。
【0102】
〔印刷開始〕
そして、CPU10は、メモリM5から印刷速度Vpを読み出し(ステップS185)、原動モータドライバ19にD/A変換器21を介して印刷速度の回転指令を出力し(ステップS186)、印刷機の速度を印刷速度Vpとする。また、給紙装置30に給紙指令を出力し(ステップS187)、印刷機への給紙を開始する。また、胴入れ指令(圧胴とゴム胴の着指令)を出力し(ステップS188)、ゴム胴9を圧胴50に対しても着状態とする。すなわち、版胴8、ゴム胴9および圧胴50間を接触させた胴入れ状態とする(
図2参照)。これにより、刷版7’を使用しての次のジョブの印刷が開始される。
【0103】
この場合、次のジョブの印刷時のインキ膜厚分布(最終的な本刷り時のインキ膜厚分布)は、印刷中に作成される。この際、下流側のローラ小群6Bおよび版胴8およびゴム胴9内のインキ膜厚分布MdB’は薄くなっているため、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布Meが速やかに形成されるものとなる(
図6(j))。
【0104】
このようにして、本実施の形態では、版胴8およびゴム胴9に対して形成されるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれ、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布が速やかに形成されるものとなり、刷版7’を交換しての次のジョブの印刷開始後、短時間で正常な印刷物が得られるものとなる。
【0105】
〔インキツボローラ制御装置〕
図19にインキツボローラ制御装置200の内部構成の概略を示す。インキツボローラ制御装置200は、CPU201、RAM202、ROM203、インキツボローラ駆動用モータ204、インキツボローラ駆動用モータドライバ205、インキツボローラ駆動用モータ用ロータリーエンコーダ206、入出力インターフェイス(I/O,I/F)207,208、メモリ209,210を備えており、インターフェイス207を介して印刷ジョブ切替制御装置100と接続されている。メモリ209には受信したインキツボローラの回転量が記憶される。メモリ210には目標とするインキツボローラの回転量が記憶される。
【0106】
CPU201は、印刷ジョブ切替制御装置100よりインキツボローラの回転量が送られてくると(
図20:ステップS201のYES)、その受信した回転量をメモリ209に記憶する(ステップS202)。また、印刷ジョブ切替制御装置100に、インキツボローラの回転量受信完了信号を送信する(ステップS203)。また、受信したインキツボローラの回転量を目標とするインキツボローラの回転量(目標回転量)としてメモリ210に記憶する(ステップS204)。そして、メモリ210から目標回転量を読み出し(ステップS205)、インキツボローラ駆動用モータドライバ205へ送り、インキツボローラ駆動用モータ204の回転量を目標回転量に合わせ込む(ステップS206)。
【0107】
〔インキツボキー制御装置〕
図21にインキツボキー制御装置300(300−1〜300−n)の内部構成の概略を示す。インキツボキー制御装置300は、CPU301、RAM302、ROM303、インキツボキー駆動用モータ304、インキツボキー駆動用モータドライバ305、インキツボキー駆動用モータ用ロータリーエンコーダ306、カウンタ307、入出力インターフェイス(I/O,I/F)308,309、メモリ310〜313を備えており、インターフェイス308を介して印刷ジョブ切替制御装置100と接続されている。メモリ310には受信したインキツボキーの開き量が記憶される。メモリ311には目標とするインキツボキーの開き量が記憶される。メモリ312にはカウンタ307のカウント値が記憶される。メモリ313には現在のインキツボキーの開き量が記憶される。
【0108】
CPU301は、印刷ジョブ切替制御装置100よりインキツボキーの開き量が送られてくると(
図22:ステップ301のYES)、その受信した開き量をメモリ310に記憶するとともに(ステップS302)、印刷ジョブ切替制御装置100にインキツボキーの開き量受信完了信号を送信する(ステップS303)。また、受信したインキツボキーの開き量を目標とする開き量としてメモリ311に記憶する(ステップS304)。
【0109】
そして、カウンタ307のカウント値を読み取ってメモリ312に記憶し(ステップS305)、この読み取ったカウンタ307のカウント値より現在のインキツボキーの開き量を求めてメモリ313に記憶し(ステップS306)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS307)、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じであれば(ステップS308のYES)、直ちにステップS317(
図23)へ進み、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する。
【0110】
現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じでない場合には(ステップS308のNO)、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じになるまでインキツボキー駆動用モータ304を駆動した後(
図23:ステップS309〜S316)、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する(ステップS317)。
【0111】
すなわち、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量よりも小さい場合には(ステップS309のYES)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に正転指令を送り(ステップS310)、カウンタ307よりカウント値を読み出して(ステップS312)、そのカウント値より現在のインキツボキーの開き量を演算し(ステップS313)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS314)、現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致するまで(ステップS315のYES)、ステップS312〜S315の処理動作を繰り返す。
【0112】
また、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量よりも大きい場合には(ステップS309のNO)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に逆転指令を送り(ステップS311)、カウンタ307よりカウント値を読み出して(ステップS312)、そのカウント値より現在のインキツボキーの開き量を演算し(ステップS313)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS314)、現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致するまで(ステップS315のYES)、ステップS312〜S315の処理動作を繰り返す。
【0113】
そして、ステップS315において現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致すれば(ステップS315のYES)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に停止指令を出力し(ステップS316)、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する(ステップS317)。
【0114】
印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力すると(ステップS317)、CPU301は、印刷ジョブ切替制御装置100からの全インキツボキーの開き量設定完了信号を受信した時点で(ステップS318のYES)、印刷ジョブ切替制御装置100へのインキツボキーの開き量の設定完了信号の出力を停止する(ステップS319)。
【0115】
なお、上述した実施の形態では、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに2分割するようにしたが(ローラ6Cも含めれば厳密には3分割)、3分割したり、4分割したりするなど、さらに多くのローラ小群に分割するようにしてもよい。また、その場合、分割されたローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と次のジョブの印刷に使用する刷版が装着されている版胴とを着状態にすればよい。
【0116】
また、上述した実施の形態では、揺動アーム42を用いてインキローラ群6を分割・連結するようにしたが、インキローラ群6を分割・連結する機構は揺動アームを用いた機構に限られるものでないことは言うまでもない。
【0117】
また、上述した実施の形態では、版胴8に装着されている刷版7(7’)に供給されたインキをゴム胴9を介して印刷用紙51に転写する例で説明したが、版胴8に装着されている刷版7(7’)に供給されたインキをゴム胴9を介することなく直接印刷用紙51に転写する例においても(
図24参照)、同様にして本発明を適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。