特許第6093154号(P6093154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093154
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】収容容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20170227BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20170227BHJP
   C30B 33/08 20060101ALI20170227BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20170227BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
   H01L21/265 Z
   C30B33/08
   C30B29/36 A
   H01L21/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-252754(P2012-252754)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2014-103180(P2014-103180A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年6月8日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超高温耐熱TaCを用いた自己循環型SiCプロセス環境の実用化」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000222842
【氏名又は名称】東洋炭素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】鳥見 聡
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 紀人
(72)【発明者】
【氏名】野上 暁
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−016691(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0083890(US,A1)
【文献】 特開2010−265126(JP,A)
【文献】 特開2008−230944(JP,A)
【文献】 特開2011−233780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/02
H01L 21/265
C30B 29/36
C30B 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Siの蒸気圧下での加熱処理によりエッチングされる単結晶SiC基板を収容する収容容器の製造方法であって、
前記収容容器はタンタル金属からなるとともに、前記タンタル金属の内部空間側に炭化タンタル層が設けられており、当該炭化タンタル層に溶融したSiを接触させた状態で加熱することで、当該炭化タンタル層の更に内部空間側にタンタルシリサイド層を形成するタンタルシリサイド層形成工程を含むことを特徴とする収容容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の収容容器の製造方法であって、
前記タンタルシリサイド層形成工程では、収容された前記単結晶SiC基板の少なくとも上方の壁面に、前記タンタルシリサイド層が形成されることを特徴とする収容容器の製造方法
【請求項3】
請求項1又は2に記載の収容容器の製造方法であって、
前記タンタルシリサイド層形成工程では、内部空間を形成する壁面の全体にわたって前記タンタルシリサイド層が形成されることを特徴とする収容容器の製造方法
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の収容容器の製造方法であって、
前記タンタルシリサイド層形成工程では、1μmから300μmの厚みの前記タンタルシリサイド層が形成されることを特徴とする収容容器の製造方法
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の収容容器の製造方法であって、
前記タンタルシリサイド層形成工程では、TaSi2からなる前記タンタルシリサイド層が形成されることを特徴とする収容容器の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、単結晶SiC基板の表面をエッチングする際に当該単結晶SiC基板を収容する収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
SiCは、Si等と比較して耐熱性及び機械的強度等に優れるため、新たな半導体材料として注目されている。なお、単結晶SiC基板の表面には、初めは結晶欠陥等が存在していることがある。
【0003】
特許文献1は、この単結晶SiC基板の表面を平坦化する(修復する)表面平坦化方法を開示する。この表面平坦化方法では、収容容器に収容された単結晶SiC基板に炭化層及び犠牲成長層を形成し、この犠牲成長層をエッチングすることで、表面を平坦化する。これにより、エピタキシャル成長のための高品質な種基板を生産することができる。
【0004】
また、犠牲成長層の形成時等では、Si蒸気圧での加熱処理が必要となる。特許文献1では、Si蒸気圧を実現するために、図6に示すような収容容器を用いている。図6に示すように、単結晶SiC基板94が収容される収容容器90は、互いに嵌合可能な上容器91及び下容器92を備えている。上容器91及び下容器92のうち、内部空間を構成する部分の壁面には、Si93が固着されている。この構成により、加熱処理時にSi14が蒸発し、収容容器90の内部空間にSi蒸気圧を形成することができる。
【0005】
一般的には、上記のようにして生産された種結晶に対して、エピタキシャル成長、イオン注入、及びイオン活性化等の処理が行われる。
【0006】
特許文献2は、単結晶SiC基板の表面にカーボン層(グラフェンキャップ)を形成した上で、上記のイオン活性化を行うことで、イオン活性化時のSi及びSiCの昇華を抑制する方法を開示する。その後、この方法では、カーボン層を除去するとともに、イオン注入不足部分を除去するために、Si蒸気圧において単結晶SiC基板の表面をエッチングする。なお、特許文献2では、Si蒸気圧を実現するために、収容容器にSiペレットを配置する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−230944号公報
【特許文献2】特開2011−233780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のように内部空間の壁面にSiを固着した場合、加熱処理時に当該Siが溶融することがある。特に、内部空間の上側の壁面に固着されたSiが溶融すると、単結晶SiC基板上にSiが落下してしまう。なお、内部空間の上側の壁面にSiを固着しない場合、Siの圧力分布が不均一となり加熱処理を適切に行うことができない。
【0009】
また、特許文献2では収容容器の内部にSiペレット置くが、この方法でもSiの圧力分布が不均一となり加熱処理を適切に行うことができない。従って、エッチングを均一に行うことができない。
【0010】
なお、特許文献2では、カーボン層を形成する工程、及びカーボン層を除去する工程が必要であるため、工程が繁雑になってしまう。
【0011】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、Siが単結晶SiC基板上に落下せず、内部空間内のSiの圧力分布を均一とすることが可能な収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0013】
本発明の観点によれば、Siの蒸気圧下での加熱処理によりエッチングされる単結晶SiC基板を収容する収容容器の製造方法において、以下のタンタルシリサイド層形成工程を含む方法が提供される。この収容容器はタンタル金属からなるとともに、前記タンタル金属の内部空間側に炭化タンタル層が設けられており、前記タンタルシリサイド層形成工程では、当該炭化タンタル層に溶融したSiを接触させた状態で加熱することで、当該炭化タンタル層の更に内部空間側にタンタルシリサイド層を形成する。
【0014】
従来のように収容容器の内面にSiを固着させてSiを供給する構成は、Siが溶融することで単結晶SiC基板に悪影響を与えることがあるが、本願のように、タンタルシリサイド層によって内部空間にSiを供給することで、その悪影響を防止できる。また、上記の方法でタンタルシリサイド層を形成することで、加熱処理時にSiが溶融しない収容容器を簡単かつ低コストに作成することができる。
【0015】
前記の収容容器の製造方法においては、前記タンタルシリサイド層形成工程では、収容された前記単結晶SiC基板の少なくとも上方の壁面に、前記タンタルシリサイド層が形成されることが好ましい。
【0016】
上記の方法で製造した収容容器を用いることにより、溶融したSiが単結晶SiC基板上に落下することを防止しつつ、Si蒸気圧を実現できる。
【0017】
前記の収容容器の製造方法においては、前記タンタルシリサイド層形成工程では、内部空間を形成する壁面の全体にわたって前記タンタルシリサイド層が形成される
【0018】
上記の方法で製造した収容容器を用いることにより、内部空間内をSiの圧力を均一にすることができるので、エッチングを均一に行うことができる。
【0023】
前記の収容容器の製造方法においては、前記タンタルシリサイド層形成工程では、1μmから300μmの厚みの前記タンタルシリサイド層が形成されることが好ましい。
【0024】
この厚みのタンタルシリサイド層が設けられることで、内部空間に供給するSiを十分に確保しつつ、収容容器の割れを適切に防止することができる。
【0025】
前記の収容容器の製造方法においては、前記タンタルシリサイド層形成工程では、TaSi2からなる前記タンタルシリサイド層が形成されることが好ましい。
【0026】
これにより、溶融したSiを接触させて加熱するだけで、タンタルシリサイド層を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の表面処理方法に用いる高温真空炉の概要を説明する図。
図2】坩堝の構成を示す図。
図3】1000℃で1atmにおけるTa,Si,Cのフェーズダイアグラム。
図4】加熱温度と、タンタルシリサイドから昇華するSi蒸気圧の分圧を示すグラフ。
図5】各工程における基板の様子を概略的に示す図。
図6】従来例における、収容容器の構成を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
初めに、図1を参照して、本実施形態の加熱処理で用いる高温真空炉(半導体製造装置)10及び坩堝30について説明する。図1は、本発明の表面処理方法に用いる高温真空炉の概要を説明する図である。図2は、坩堝30の構成を示す図である。
【0036】
図1に示すように、高温真空炉10は、本加熱室21と、予備加熱室22と、を備えている。本加熱室21は、単結晶SiC基板を1000℃以上2300℃以下の温度に加熱することができる。予備加熱室22は、単結晶SiC基板を本加熱室21で加熱する前に予備加熱を行うための空間である。
【0037】
本加熱室21には、真空形成用バルブ23と、不活性ガス注入用バルブ24と、真空計25と、が接続されている。真空形成用バルブ23により、本加熱室21の真空度を調整することができる。不活性ガス注入用バルブ24により、本加熱室21内の不活性ガス(例えばArガス)の圧力を調整することができる。真空計25により、本加熱室21内の真空度を測定することができる。
【0038】
本加熱室21の内部には、ヒータ26が備えられている。また、本加熱室21の側壁や天井には図略の熱反射金属板が固定されており、この熱反射金属板によって、ヒータ26の熱を本加熱室21の中央部に向けて反射させるように構成されている。これにより、単結晶SiC基板を強力且つ均等に加熱し、1000℃以上2300℃以下の温度まで昇温させることができる。なお、ヒータ26としては、例えば、抵抗加熱式のヒータや高周波誘導加熱式のヒータを用いることができる。
【0039】
また、単結晶SiC基板は、坩堝(収容容器)30に収容された状態で加熱される。坩堝30は、適宜の支持台等に載せられており、この支持台が動くことで、少なくとも予備加熱室から本加熱室まで移動可能に構成されている。
【0040】
坩堝30は、互いに嵌合可能な上容器31と下容器32とを備えている。また、坩堝30は、図2に示すように、坩堝30の外側から内部空間側の順に、タンタル層(Ta)、タンタルカーバイド層(TaC及びTa2C)、及びタンタルシリサイド層(TaSi2)から構成されている。
【0041】
タンタル層及びタンタルカーバイド層から構成される坩堝は従来から知られているが、本実施形態の坩堝30は、更にタンタルシリサイド層が形成されている。このタンタルシリサイド層は、坩堝30の内部空間をSi蒸気圧にするためのものであり、特許文献1における内壁に固着させたSi、特許文献2におけるSiペレットに該当する。
【0042】
以下、タンタルシリサイド層の形成方法について説明する。タンタルシリサイド層は、溶融させたSiを坩堝の内壁面に接触させて、1800℃以上2000℃以下程度で加熱することで形成される。これにより、TaSi2から構成されるタンタルシリサイド層が実現できる。なお、本実施形態では、30μmから50μm程度のタンタルシリサイド層を形成するが、内部空間の体積等に応じて、例えば1μmから300μmの厚みであっても良い。
【0043】
以上のように処理を行うことで、タンタルシリサイド層を形成することができる。
【0044】
なお、本実施形態ではタンタルシリサイドとしてTaSi2が形成される構成であるが、他の化学式で表されるタンタルシリサイド(例えば図3のフェーズダイアグラムに示されているタンタルシリサイド)が形成されていても良い。また、複数のタンタルシリサイドが重ねて形成されていても良い。
【0045】
図4には、加熱温度と、タンタルシリサイドから昇華するSi蒸気圧の分圧を示すグラフが示されている。図4に示すように、タンタルシリサイドから昇華するSi蒸気圧は比較的高い圧力を示している。更に、タンタルシリサイド層は、内部空間を構成する壁面(当然、単結晶SiC基板40の上側の壁面を含む)の全体にわたって形成される。これにより、内部空間のSiの圧力分布を均一にすることができる。
【0046】
単結晶SiC基板を加熱処理する際には、初めに、図1の鎖線で示すように坩堝30を高温真空炉10の予備加熱室22に配置して、適宜の温度(例えば約800℃)で予備加熱する。次に、予め設定温度(例えば、約1800℃)まで昇温させておいた本加熱室21へ坩堝30を移動させ、単結晶SiC基板を加熱する。
【0047】
次に、上記の高温真空炉10を利用して単結晶SiC基板40から半導体素子を製造する処理について図5を参照して説明する。図5は、各工程における基板の様子を概略的に示す図である。
【0048】
初めに、図5(a)に示すように、単結晶SiC基板40にエピタキシャル層41を形成する。エピタキシャル層を形成する方法は、任意であり、公知の気相エピタキシャル法や準安定溶媒エピタキシャル法等を用いることができる。更には、単結晶SiC基板40がOFF基板である場合、ステップフロー制御によってエピタキシャル層を形成するCVD法を用いることもできる。
【0049】
次に、図5(b)に示すように、エピタキシャル層41が形成された単結晶SiC基板40にイオン注入を行う。このイオン注入は、対象物にイオンを照射する機能を有するイオンドーピング装置を用いて行う。イオンドーピング装置によって、エピタキシャル層41の表面の全面又は一部に選択的にイオンが注入される。そして、イオンが注入されたイオン注入部分42に基づいて半導体素子の所望の領域が形成されることになる。
【0050】
また、イオンが注入されることによって、図5(c)に示すように、イオン注入部分42を含むエピタキシャル層41の表面が荒れた状態になる(単結晶SiC基板40の表面が損傷し、平坦度が悪化する)。
【0051】
次に、注入したイオンの活性化、及び、イオン注入部分42等へのエッチングを行う。本実施形態では、両方の処理を1つの工程で行う。具体的には、Si蒸気圧下で1500℃以上2200℃以下、望ましくは1600℃以上2000℃以下の環境で加熱処理(アニール処理)を行う。これにより、注入されたイオンを活性化することができる。また、単結晶SiC基板40の表面がエッチングされることで、イオン注入部分42の荒れた部分が平坦化されていく(図5(d)を参照)。
【0052】
この平坦化の際には、以下に示す反応が行われる。
(1) SiC(s) → Si(v)I + C(s)
(2) 2SiC(s) → Si(v)II + SiC2(v)
(3) SiC(s) + Si(v)I+II → Si2C(v)
(4) C(s)I + 2Si(v) → Si2C(v)
【0053】
ここで、上述のように本実施形態では坩堝30の内部空間は、Siの圧力分布を均一にすることができる。また、この内部空間を構成する壁面にタンタルシリサイド層が形成されているため、例えば式(3)及び(4)によりSiが減少した場合であっても即座にSiが供給されるので、内部空間が常にSiの蒸気圧となる。従って、式(1)及び式(2)が起こりにくくなり、単結晶SiC基板40の表面の炭化を抑制しつつエッチングことができる。
【0054】
従って、本実施形態の坩堝30を用いることにより、特許文献2のようにカーボン層(グラフェンキャップ)を形成する必要がない。従って、カーボン層を形成及び除去する工程を省略することができるので、処理を簡素化することができる。
【0055】
また、イオン注入後における単結晶SiC基板40の表面から数十nm程度には、イオン濃度が不足する部分(イオン注入不足部分)が表れることが知られている。そのため、上記のエッチングは、このイオン注入不足部分が除去されるまで継続される(図5(e)を参照)。
【0056】
以上の処理を行うことで、平坦度及び十分な電気的活性を有する半導体素子表面が形成される。この半導体素子表面を利用して、半導体を製造することができる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態の坩堝30は、Siの蒸気圧下での加熱処理によりエッチングされる単結晶SiC基板40を収容する。この坩堝30は、タンタル金属からなるとともに、内部空間側に炭化タンタル層が設けられ、当該炭化タンタル層の更に内部空間側にタンタルシリサイド層が設けられる。
【0058】
これにより、Siを固着させる構成と異なり、Siが溶融することがないので、Siが単結晶SiC基板40に悪影響を与えることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態の坩堝30には、収容された単結晶SiC基板40の少なくとも上方の壁面において、タンタルシリサイド層が設けられている。
【0060】
これにより、溶融したSiが単結晶SiC基板40上に落下することを防止しつつ、Si蒸気圧を実現できる。
【0061】
また、本実施形態の坩堝30において、タンタルシリサイド層は、内部空間を形成する壁面の全体にわたって設けられている。
【0062】
これにより、内部空間内をSiの圧力を均一にすることができるので、エッチングを均一に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態の坩堝30は、イオンが注入された単結晶SiC基板40の表面のイオン注入不足部分を除去するエッチング工程において、単結晶SiC基板40を収容するために用いられる。
【0064】
これにより、イオン注入不足部分を除去するエッチング工程において、上記の効果を発揮させることができる。また、本実施形態では内部空間のSiの圧力が均一であるので、単結晶SiC基板40の炭化を抑制することができるので、カーボン層(グラフェンキャップ)を形成することなく、イオン活性化処理を行うことができる。
【0065】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、収容容器90をイオン注入後のエッチングのために用いたが、均一なエッチング等が要求される工程であれば、様々な工程に上記の制御を適用することができる。
【0067】
例えば、エピタキシャル成長を行う前の基板(結晶欠陥等を有する基板)を平坦化する方法として、特許文献1に示すように、炭化層及び犠牲成長層を形成して犠牲成長層をエッチングする方法が知られている。この犠牲成長層のエッチングを行う際に本実施形態の収容容器90を用いることができる。この場合、犠牲成長層を均一に除去することができる。
【0068】
上記実施形態では、カーボン層(グラフェンキャップ)を形成する処理を行わないが、この処理を行っても良い。また、カーボン層を形成する工程を行った後は、上記の式(4)によりカーボン層を除去することができる。従って、カーボン層を除去する処理と、イオンを活性化する処理と、単結晶SiC基板をエッチングする処理と、を1つの工程で行うことができる。
【0069】
タンタルシリサイド層を形成する方法は上記実施形態で示した方法に限られず、上記で説明した構成(組成)の収容容器が形成できるのであれば、任意の方法を用いることができる。
【0070】
処理を行った環境及び用いた単結晶SiC基板等は一例であり、様々な環境及び単結晶SiC基板に対して適用することができる。例えば、加熱温度は上記で挙げた温度に限られず、より低温とすることでエッチング速度を一層低下させることができる。また、上述した高温真空炉以外の加熱装置を用いても良い。
【0071】
収容容器は、内部空間が形成されており、上記で説明した構成(組成)であれば形状は任意である。例えば、外形が円柱状であっても良いし、立方体状又は直方体状であっても良い。
【符号の説明】
【0072】
10 高温真空炉(半導体製造装置)
21 本加熱室
22 予備加熱室
30 坩堝(収容容器)
40 単結晶SiC基板
41 エピタキシャル層
42 イオン注入部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6