特許第6093155号(P6093155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093155
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20170227BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170227BHJP
【FI】
   F21S8/08 200
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-252936(P2012-252936)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-102923(P2014-102923A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】小林 正自
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−090058(JP,A)
【文献】 特開2012−181950(JP,A)
【文献】 特開2005−158540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00−19/00
E01F 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点の隅切り部またはその近傍にあるポールに設置される照明装置であって、
前記隅切り部に隣接する交差点への進入走路に対する退出走路のうち、前記隅切り部と隣接しない退出走路と、該退出走路に隣接する隅切り部と、該退出走路の横断歩道と、を照射するように構成されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
主光軸がそれぞれ異なる複数のランプアセンブリから構成されるか、または主光軸がそれぞれ異なる複数のランプユニットを一つのランプアセンブリ内に組み込んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ランプアセンブリまたは前記ランプユニットの光源として、複数のブロックに分割された発光ダイオードが使用されることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点の隅切り部に設置される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国土交通省による「道路照明施設設置基準」によると、交差点照明の役割として以下の三つが挙げられている。
i)遠方から交差点の存在がわかること。
ii)交差点付近に存在する他の自動車、歩行者等が、交差点より手前から識別できること。
iii)交差点内に存在する他の自動車、歩行者等が、交差点内において識別できること。
【0003】
上記の要件を満たす交差点照明の配置例を図1に示す。従来では、交差点からやや離れた4箇所(図中のA)に照明装置を配置し、交差点内の歩行者に観察者から逆向きに光を照らすシルエット視で、歩行者を視認させていた。
【0004】
近年では、交差点内での右直事故防止などのために、交差点の隅切り部(図中のB)にも照明装置を追加配置することが推奨されている。4箇所の隅切り部Bに照明装置を設置したときの照射範囲Cを図2に示す。各照明装置は、隅切り部を中心に、横断歩道C、歩道待機部D、さらには交差点の中央部までを照明する。特許文献1には、図2と同様に、交差点の隅切り部に設置された照明器具が歩道待機部と横断歩道とを照明する様子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−190624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように隅切り部Bに照明装置を追加設置することで、交差点から離れたA部のみに照明装置を設置する場合と比べて、横断歩道や歩道待機部に存在する歩行者の視認性が向上する。しかしながら、交差点外の走路(例えば図2中のEの位置)を乱横断する歩行者の視認性は確保されていない。通常、交差点からこの位置へと車両が進行すると交差点内よりも照明が突然暗くなるため、事故が発生しやすいと考えられている。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、横断歩道上の歩行者の視認性を高めるとともに、交差点外の走路を乱横断する歩行者等の視認性を確保する照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、交差点の隅切り部またはその近傍にあるポールに設置される照明装置であって、交差点を挟んで隅切り部の対面側に位置する車両の走路と、該走路に隣接する隅切り部および横断歩道を照射するように構成される。
【0009】
この態様によると、照明装置が設置されている隅切り部の交差点を挟んだ対面側に位置する車両の走路を照射するため、走路を乱横断する歩行者が手前側から照射される逆シルエット視の状態になり、交差点内または近傍を走行する車両からの歩行者の視認性が向上する。
【0010】
主光軸がそれぞれ異なる複数のランプアセンブリから構成されるか、または主光軸がそれぞれ異なる複数のランプユニットを一つのランプアセンブリ内に組み込んで構成されてもよい。
【0011】
ランプアセンブリまたは前記ランプユニットの光源として、複数のブロックに分割された発光ダイオードが使用されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、横断歩道上の歩行者の視認性が高まるとともに、交差点外の走路を乱横断する歩行者の視認性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の交差点照明装置の配置例である。
図2図1の照明装置の照射範囲を示す図である。
図3】(a)は本発明の一実施形態に係る照明装置の外観図であり、(b)は照明装置の側面図である。
図4】交差点の隅切り部に設置された照明装置の第1ランプアセンブリの照射範囲を示す図である。
図5】第1ランプアセンブリの照射範囲に加え、第2ランプアセンブリの照射範囲を示す図である。
図6】第1および第2ランプアセンブリの照射範囲に加え、第3ランプアセンブリの照射範囲を示す図である。
図7】ランプアセンブリを構成するランプユニットの一例を示す断面図である。
図8】ランプアセンブリを構成するランプユニットの一例を示す断面図である。
図9】ランプアセンブリを構成するランプユニットの一例を示す断面図である。
図10】ランプアセンブリを構成するランプユニットの一例を示す断面図である。
図11】ランプアセンブリを構成するランプユニットの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図3(a)は本発明の一実施形態に係る照明装置10の外観図であり、図3(b)は照明装置10の側面図である。照明装置10は、交差点の隅切り部またはその近傍に設置されるポール12と、ポール12の最上部に取り付けられる第1ランプアセンブリ14、第2ランプアセンブリ16と、ポール12の中間に取り付けられる第3ランプアセンブリ18と、を備える。ランプアセンブリ14、16、18は、照射範囲および照射方向がそれぞれ異なっている。各ランプアセンブリは、光源として発光ダイオードを使用する複数のランプユニット20の組み合わせで構成される。
【0015】
第1ランプアセンブリ14は、照明装置10が設置されている隅切り部の交差点を挟んだ対面側に位置する車両の走路と、この走路に隣接する隅切り部および横断歩道を照射するように構成される。このため、図3(b)に示すように、第1ランプアセンブリ14は、その照射面が真下ではなくやや上向きとなるようにポール12に取り付けられる。
【0016】
図4は、交差点の隅切り部に設置された照明装置10の第1ランプアセンブリ14の照射範囲44を示す。以下では、交差点の左上隅に設置された一台の照明装置の照射範囲について説明するが、交差点の他の3箇所の隅切り部に設置された照明装置の照射範囲も同様である。
【0017】
図示のように、第1ランプアセンブリ14は、照明装置10が設置されている隅切り部を照明するのではなく、交差点内から照明装置10の下側に隣接する走路34の直進方向に延びる広範囲を主に照明する。さらに、第1ランプアセンブリ14は、走路34上の横断歩道36のほぼ全体も照明する。対向車線35を走行する対向車32へのグレアを発生させないように、対向車32の手前を横切るようなカットオフライン44aを形成することが好ましい。
【0018】
図4のように、第1ランプアセンブリ14が交差点内のみならず交差点から離れた走路34までを広範囲に照射することによって、交差点外を乱横断する歩行者50や、走路34内を不規則に走行する自転車52を、照明装置10の手前側から照明することができる。このため、走路34上の車両30のドライバーから見ると、歩行者50や自転車52が逆シルエット視となるため、歩行者および自転車の視認性が向上する。
【0019】
図3に戻り、第2ランプアセンブリ16は、第1ランプアセンブリ14とは略直角方向に延びるようにポール12に取り付けられる。第2ランプアセンブリ16も、第1ランプアセンブリ14と同様に、真下ではなく照射面がやや上向きとなるように取り付けられる。
【0020】
図5は、第1ランプアセンブリの照射範囲44に加え、第2ランプアセンブリ16の照射範囲46を示す。第2ランプアセンブリ16は、照明装置10が設置されている隅切り部(左上隅)と対角に位置する隅切り部(右下隅)の歩道待機部37と、歩道待機部37の左側に隣接する横断歩道38および車線39を照射するように構成される。対向車線31を走行する対向車33へのグレアを発生させないように、対向車33の手前を横切るようなカットオフライン46aを形成することが好ましい。
【0021】
第2ランプアセンブリ16を設けることで、車両30が交差点を右折するときでも、横断歩道38上の歩行者や車線39を乱横断する歩行者や自転車が、車両30のドライバーから見ると逆シルエット視となるため、歩行者および自転車の視認性が向上する。
【0022】
図3に戻り、第3ランプアセンブリ18は、第1および第2アセンブリの下方でポール12の中間に取り付けられる。第3ランプアセンブリ18は、ポールが設置された隅切り部と、その周辺の歩道待機部および交差点内を照射するよう下向きに光を発する。
【0023】
図6は、第1および第2ランプアセンブリの照射範囲44、46に加え、第3ランプアセンブリ18の照射範囲48を示す図である。第3ランプアセンブリ18は、図2で説明した照明装置と同様に、照明装置が設置された隅切り部の周辺を照明する。
【0024】
図3では、照射範囲および照射方向がそれぞれ異なるランプアセンブリ14、16、18を一つのポール上に複数設けることを説明した。この代わりに、図4〜6に示した照射範囲を構成する複数のランプユニットを、一つのランプアセンブリ(例えば第1ランプアセンブリ14)内に組み込んでもよい。
【0025】
上述したように、各ランプアセンブリは、それぞれが光源として発光ダイオードを使用する複数のランプユニットの組み合わせで構成される。以下、ランプユニットの構成例を図7−11に示す。
【0026】
図7は、第1および第2ランプユニットの照射範囲のうち、照明装置の対面側の歩道待機部や走路を照射するランプユニット70の構成を示す。リフレクタ74の内側には略回転放物面形状の反射面が形成されており、発光ダイオード72から発せられた光を反射する。
【0027】
図8は、第1および第2ランプユニットの照射範囲のうち、照明装置の対面側の歩道待機部や走路を照射するランプユニット80の構成を示す。リフレクタ84の内側には略回転楕円面形状の反射面が形成されており、発光ダイオード82から発せられた光を反射し、投影レンズ86を通して照射する。
【0028】
図9は、第1ランプユニットの照射範囲44のカットオフライン44aや、第2ランプユニットの照射範囲46のカットオフライン46aを形成するためのランプユニット90の構成を示す。リフレクタ94の内側には略回転楕円面形状の反射面が形成されており、発光ダイオード92から発せられた光を反射し、投影レンズ98を通して照射する。リフレクタ94と投影レンズ98の間に位置するシェード96によって、カットオフラインが形成される。
【0029】
図10は、第1ランプユニットの照射範囲44のカットオフライン44aや、第2ランプユニットの照射派に46のカットオフライン46aを形成するためのランプユニット100の構成を示す。リフレクタ104、108の内側には略回転放物面形状の反射面が形成されており、発光ダイオード102から発せられた光をそれぞれ反射する。リフレクタ104と108の間に位置するシェード106によって、カットオフラインが形成される。
【0030】
図11は、照明装置の設置された隅切り部とその周辺を照明する第3ランプアセンブリ18に組み込まれるランプユニット110を示す。ランプユニット110のリフレクタ114の内側には略放物柱形状の反射面が形成されており、発光ダイオード112から発せられた光を拡散する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、照明装置が設置されている隅切り部の交差点を挟んだ対面側に位置する車両の走路を照射するため、走路を乱横断する歩行者等が手前側から照射される逆シルエット視の状態になり、交差点内または近傍を走行する車両からの歩行者等の視認性が向上する。また、この照明装置を交差点の全ての隅切り部に設置することで、交差点内の歩行者は、交差点内の任意の位置にある車両から見て少なくとも一つの照明装置によって必ず逆シルエット視になるため、交差点付近の歩行者等の視認性が向上する。
【0032】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【0033】
実施の形態では、各ランプユニットの反射面形状により配光を調整することを述べたが、各ランプユニットのアウターレンズに拡散角の異なる複数のレンズステップを設け、このレンズステップにより配光を調整してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 照明装置、 12 ポール、 14 第1ランプアセンブリ、 16 第2ランプアセンブリ、 18 第3ランプアセンブリ、 20 ランプユニット、 B 隅切り部、 C 横断歩道、 D 歩道待機部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11