(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カムリングがカバーとシールプレートに圧入されたノックピンに隙間嵌めされた状態で、ポンプハウジングが該カムリングとともにロータ及びベーンを内蔵するように被着されてそれらのカバーとシールプレートにボルト締結される請求項1または2に記載のベーンポンプの組立方法。
【背景技術】
【0002】
従来のベーンポンプとして、特許文献1に記載の如く、ポンプハウジングとカバーとの間にシールプレートを介装し、ポンプハウジングとカバーに枢支したドライブ軸に固定したロータと、ロータに組込まれるベーンと、ロータ及びベーンの周囲に配置されるカムリングとをポンプハウジングに内蔵し、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結してなるものがある。
【0003】
この従来のベーンポンプの組立段階では、
図9に示す如く、ポンプハウジング1とカバー2とシールプレート3のそれぞれに、相対応する第1の位置決め孔1A、2A、3Aを設けるとともに、第2の位置決め孔1B、2B、3B(不図示)を設ける。そして、カバー2とシールプレート3に設けた第1の位置決め孔2A、3Aと第2の位置決め孔2B、3Bのそれぞれに中空状の第1のダウエルピン4Aと第2のダウエルピン4B(不図示)のそれぞれを隙間嵌めする。更に、これらのカバー2とシールプレート3にポンプハウジング1を被着し、ポンプハウジング1に設けた第1の位置決め孔1Aと第2の位置決め孔1Bのそれぞれを上記の第1のダウエルピン4Aと第2のダウエルピン4Bのそれぞれのシールプレート3の上面から突出している部分に隙間嵌めする。このようにして、第1と第2のダウエルピン4A、4Bを介して互いに位置合せされたポンプハウジング1とカバー2とシールプレート3がボルト締結される。
【0004】
尚、ポンプハウジング1が上述の如くにカバー2とシールプレート3に被着され、ベーンポンプが組立てられたとき、ポンプハウジング1にはカムリング5とともにロータ6及びベーン7が内蔵され、カムリング5がカバー2とシールプレート3に圧入されたノックピン8に隙間嵌めされ、ドライブ軸9がポンプハウジング1とカバー2のそれぞれに設けた軸受ブッシュ1K、2Kに嵌合される。
【0005】
ここで、第1と第2のダウエルピン4A、4Bを、カバー2とシールプレート3に設けた第1と第2の位置決め孔2A、2B、3A、3Bと、ポンプハウジング1に設けた第1と第2の位置決め孔1A、1Bに隙間嵌めしているのは、ポンプハウジング1に内蔵したカムリング5、ロータ6、ベーン7、シール部材等の交換点検のために、ポンプハウジング1、カバー2、シールプレート3を互いに分解可能にするためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のベーンポンプの組立段階では、ポンプハウジング1とカバー2とシールプレート3がダウエルピン4A、4Bを介して互いに位置合せされる。
【0008】
ところが、ダウエルピン4A、4Bは、中空筒体で剛性が低く、しかも短尺であるため、隙間嵌めされた位置決め孔に対して倒れ易い。カバー2の位置決め孔2A、シールプレート3の位置決め孔3Aにダウエルピン4Aを隙間嵌めし、カバー2の位置決め孔2B、シールプレート3の位置決め孔3Bにダウエルピン4Bを隙間嵌めした後、ポンプハウジング1をそれらの上から被着するとき、ダウエルピン4A、4Bの倒れの有無を目視できない。カバー2とシールプレート3の側のダウエルピン4A、4Bが
図9(B)に示す如くに倒れた状態で、これらのダウエルピン4A、4Bがポンプハウジング1の位置決め孔1A、1Bにかじりながら組込まれても、これを外方から確認できないため、ポンプハウジング1とカバー2、シールプレート3との位置ずれを回避できない。
【0009】
本発明の課題は、ベーンポンプにおいて、ポンプハウジングとカバーとシールプレートを正しく位置合せしてボルト締結可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、ポンプハウジングとカバーとの間にシールプレートを介装し、ポンプハウジングとカバーに枢支したドライブ軸に固定したロータと、ロータに組込まれるベーンと、ロータ及びベーンの周囲に配置されるカムリングとをポンプハウジングに内蔵し、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結してなるベーンポンプの組立方法において、組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結するようにしたものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに、相対応する第1の位置決め孔を設けるとともに、相対応する第2の位置決め孔を設け、組立台に立設した中実状の第1の位置決めピンに、ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた第1の位置決め孔を隙間嵌めし、かつ組立台に立設した中実状の第2の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた第2の位置決め孔を隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結するようにしたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに相対応する位置決め孔を設けるとともに、ポンプハウジングとカバーのそれぞれにドライブ軸のための相対応する軸受ブッシュを嵌合し、組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めし、かつ組立台に立設したドライブ軸と同一寸法形状の中実状の位置決め冶具にポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュを隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結するようにしたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに相対応する位置決め孔を設けるとともに、ポンプハウジングとカバーのそれぞれにドライブ軸のための相対応する軸受ブッシュを嵌合し、組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めし、かつドライブ軸をポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュに隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結するようにしたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに係る発明において更に、前記カムリングがカバーとシールプレートに圧入されたノックピンに隙間嵌めされた状態で、ポンプハウジングが該カムリングとともにロータ及びベーンを内蔵するように被着されてそれらのカバーとシールプレートにボルト締結されるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
(請求項1)
(a)組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結する。位置決めピンは、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー(又はポンプハウジング)に設けた位置決め孔を貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた位置決め孔に対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決めピンをポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔に対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになり、それらの3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0016】
尚、ポンプハウジングとカバーとシールプレートの位置合せ孔に隙間嵌めされた位置決めピンは、それらの3者のボルト締結後にそれらの位置決め孔から撤去される。
【0017】
(請求項2)
(b)組立台に立設した中実状の第1の位置決めピンに、ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた第1の位置決め孔を隙間嵌めし、かつ組立台に立設した中実状の第2の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた第2の位置決め孔を隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結する。第1と第2の位置決めピンは、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー(又はポンプハウジング)に設けた第1と第2の位置決め孔を貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた第1と第2の位置決め孔に対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、第1と第2の位置決めピンを、ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた第1と第2の位置決め孔に対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになり、それらの3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0018】
(請求項3)
(c)組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めし、かつ組立台に立設したドライブ軸と同一寸法形状の中実状の位置決め冶具にポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュを隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結する。
【0019】
ここで、位置決めピンは、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー(又はポンプハウジング)に設けた位置決め孔を貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた位置決め孔に対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決めピンを、ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔に対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0020】
同時に、位置決め冶具は、中実棒であって剛性が高く、しかもポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた軸受ブッシュに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決め冶具を、ポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0021】
即ち、位置決めピンと位置決め冶具により、ポンプハウジングとカバーとシールプレートの3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0022】
(請求項4)
(d)組立台に立設した中実状の位置決めピンにポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔を隙間嵌めし、かつドライブ軸をポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュに隙間嵌めした状態で、ポンプハウジングとカバーとシールプレートとをボルト締結する。
【0023】
ここで、位置決めピンは、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー(又はポンプハウジング)に設けた位置決め孔を貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた位置決め孔に対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決めピンを、ポンプハウジングとカバーとシールプレートのそれぞれに設けた位置決め孔に対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0024】
同時に、ドライブ軸は、中実棒であって剛性が高く、しかもポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた軸受ブッシュに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、ドライブ軸を、ポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0025】
即ち、位置決めピンとドライブ軸により、ポンプハウジングとカバーとシールプレートの3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0026】
(請求項5)
(e)ポンプハウジングが上述の如くにカバーとシールプレートに被着され、ベーンポンプが組立てられたとき、ポンプハウジングにはカムリングとともにロータ及びベーンが内蔵され、カムリングがカバーとシールプレートに圧入されたノックピンに隙間嵌めされ、ドライブ軸がポンプハウジングとカバーのそれぞれに設けた軸受ブッシュに嵌合される。
これにより、互いに位置合せされてボルト締結されたポンプハウジングとカバーに対し、ドライブ軸、ロータ、ベーン、カムリングも位置合せされて組付けられるものになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ベーンポンプ10は、
図1、
図2に示す如く、ポンプハウジング11とカバー12との間にシールプレート13を介装している。
【0029】
ベーンポンプ10は、ポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに相対応する軸受ブッシュ12K、13Kを嵌合し、これらの軸受ブッシュ12K、13Kにドライブ軸14を枢支している。ベーンポンプ10は、ドライブ軸14に固定したロータ15と、ロータ15の周方向に設けた複数のベーン溝に出没自在に装填されて組込まれる複数のベーン16と、ロータ15及びベーン16の周囲に配置されるカムリング17とを、ポンプハウジング11に内蔵している。ロータ15及びカムリング17のシールプレート13側の側面は第1のサイドプレート18により覆われ、それらの反対側の側面は第2のサイドプレート19により覆われている。
【0030】
ベーンポンプ10は、カバー12とシールプレート13の直径方向2位置にノックピン21を圧入して備える。そして、第1のサイドプレート18が、ノックピン21のシールプレート3から突出している部分に圧入されるとともに、カバー12の軸受ブッシュ12Kに枢支されているドライブ軸14に挿入される。更に、ロータ15及びベーン16を伴うカムリング17がノックピン21のサイドプレート18から突出している部分に隙間嵌めされ、かつロータ15が上記ドライブ軸14にスプライン結合される。更に、第2のサイドプレート19が、ノックピン21のカムリング17から突出している部分に嵌入される。更に、ポンプハウジング11が、第2のサイドプレート19の内外周に設けたOリング22、23に封着され、そのポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kにドライブ軸14を枢支するとともに、両ノックピン21によりロータ15、ベーン16、カムリング17、両サイドプレート18、19を一体化したポンプユニットUを内蔵するようにそれらの内蔵部品に被着され、ボルト24によりカバー12、シールプレート13と締結される。
【0031】
以下、ポンプンハウジング11とカバー12とシールプレート13を上述の如くにボルト締結する組立段階で、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13を互いに位置合せする方法について説明する。
【0032】
(実施例1)(
図1、
図2、
図3、
図4)
実施例1のベーンポンプ10では、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに、相対応する第1の位置決め孔11A、12A、13Aを設けるとともに、相対応する第2の位置決め孔11B、12B、13Bを設け(
図1、
図2)、以下の手順で組立てられる。
【0033】
(1)
図3(A)に示す如く、組立台100に立設した中実状の第1の位置決めピン101Aに、カバー12とシールプレート13に設けた第1の位置決め孔12A、13Aを隙間嵌めし、同じく組立台100に立設した中実状の第2の位置決めピン101Bに、カバー12とシールプレート13に設けた第2の位置決め孔12B、13Bを隙間嵌めする。
【0034】
尚、カバー12、シールプレート13にはノックピン21が圧入されている。
【0035】
(2)
図3(B)に示す如く、カバー12のブッシュ12Kにドライブ軸14を枢支する。そして、第1のサイドプレート18が、ノックピン21のシールプレート3から突出している部分に圧入されるとともに、カバー12の軸受ブッシュ12Kに枢支されているドライブ軸14に挿入される。更に、ロータ15及びベーン16を伴うカムリング17がノックピン21のサイドプレート18から突出している部分に隙間嵌めされ、かつロータ15が上記ドライブ軸14にスプライン結合される。
【0036】
(3)
図4(A)に示す如く、第2のサイドプレート19が、ノックピン21のカムリング17から突出している部分に嵌入される。
【0037】
(4)
図4(B)に示す如く、上述(1)でシールプレート13から突出した第1と第2の位置決めピン101A、101Bのそれぞれに、ポンプハウジング11に設けた第1と第2の位置決め孔11A、11Bのそれぞれを隙間嵌めし、結果として、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13が第1と第2の位置決めピン101A、101Bによって互いに位置合せされた状態となり、これらのポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト24により締結されるものになる。
【0038】
このとき、ポンプハウジング11が、第2のサイドプレート19の内外周に設けたOリング22、23に封着され、そのポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kにドライブ軸14を枢支するとともに、両ノックピン21によりロータ15、ベーン16、カムリング17、両サイドプレート18、19を一体化したポンプユニットUを内蔵するようにそれらの内蔵部品に被着される。
【0039】
ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト締結された後、それらのポンプハウジング11、カバー12、シールプレート13から第1と第2の位置決めピン101A、101Bが撤去される。
【0040】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)組立台100に立設した中実状の第1の位置決めピン101Aに、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた第1の位置決め孔11A、12A、13Aを隙間嵌めし、かつ組立台100に立設した中実状の第2の位置決めピン101Bにポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた第2の位置決め孔11B、12B、13Bを隙間嵌めした状態で、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13とをボルト締結する。第1と第2の位置決めピン101A、101Bは、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー12(又はポンプハウジング11)に設けた第1と第2の位置決め孔11A、12A、13A、11B、12B、13Bを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた第1と第2の位置決め孔11A、12A、13A、11B、12B、13Bに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、第1と第2の位置決めピン101A、101Bを、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた第1と第2の位置決め孔11A、12A、13A、11B、12B、13Bに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになり、それらの3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0041】
(b)ポンプハウジング11が上述の如くにカバー12とシールプレート13に被着され、ベーンポンプ10が組立てられたとき、ポンプハウジング11にはカムリング17とともにロータ15及びベーン16が内蔵され、カムリング17がカバー12とシールプレート13に圧入されたノックピン21に隙間嵌めされ、ドライブ軸14がポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kに嵌合される。
【0042】
これにより、互いに位置合せされてボルト締結されたポンプハウジング11とカバー12に対し、ドライブ軸14、ロータ15、ベーン16、カムリング17も位置合せされて組付けられるものになる。
【0043】
(実施例2)(
図5、
図6)
実施例2のベーンポンプ10では、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに、相対応する位置決め孔11A、12A、13Aを設けるとともに、ポンプハウジング11とカバー12のそれぞれにドライブ軸14のために相対応するように嵌合した軸受ブッシュ11K、12Kを利用し、以下の手順で組立てられる。
【0044】
(1)
図5(A)に示す如く、組立台100に立設した中実状の位置決めピン101に、カバー12とシールプレート13に設けた位置決め孔12A、13Aを隙間嵌めし、同じく組立台100に立設したドライブ軸14と同一寸法形状の中実状の位置決め冶具201に、カバー12に設けた軸受ブッシュ12Kを隙間嵌めする。
【0045】
尚、カバー12、シールプレート13にはノックピン21が圧入されている。
【0046】
(2)
図5(B)に示す如く、第1のサイドプレート18が、ノックピン21のシールプレート3から突出している部分に圧入されるとともに、カバー12の軸受ブッシュ12Kに枢支されている位置決め冶具201に挿入される。更に、ロータ15及びベーン16を伴うカムリング17がノックピン21のサイドプレート18から突出している部分に隙間嵌めされ、かつロータ15が上記位置決め冶具201にスプライン結合される。
【0047】
(3)
図6(A)に示す如く、第2のサイドプレート19が、ノックピン21のカムリング17から突出している部分に嵌入される。
【0048】
(4)
図6(B)に示す如く、上述(1)でシールプレート13から突出した位置決めピン101に、ポンプハウジング11に設けた位置決め孔11Aを隙間嵌めし、かつ位置決め冶具201の上端部にポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kを隙間嵌めし、結果としてポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13が位置決めピン101、位置決め冶具201によって互いに位置合せされた状態となり、これらのポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト24により締結されるものになる。
【0049】
このとき、ポンプハウジング11が、第2のサイドプレート19の内外周に設けたOリング22、23に封着され、そのポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kに位置決め冶具201を枢支するとともに、両ノックピン21によりロータ15、ベーン16、カムリング17、両サイドプレート18、19を一体化したポンプユニットUを内蔵するようにそれらの内蔵部品に被着される。
【0050】
ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト締結された後、それらのポンプハウジング11、カバー12、シールプレート13から位置決めピン101A、位置決め冶具201が撤去される。そして、ポンプハウジング11の軸受ブッシュ11K、カバー12の軸受ブッシュ12Kにドライブ軸14が枢支される。
【0051】
本実施例によれば、組立台100に立設した中実状の位置決めピン101にポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた位置決め孔11A、12A、13Aを隙間嵌めし、かつ組立台100に立設したドライブ軸14と同一寸法形状の中実状の位置決め冶具201にポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kを隙間嵌めした状態で、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13とをボルト締結する。
【0052】
ここで、位置決めピン101は、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー12(又はポンプハウジング11)に設けた位置決め孔11A、12A、13Aを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた位置決め孔11A、12A、13Aに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決めピン101を、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた位置決め孔11A、12A、13Aに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0053】
同時に、位置決め冶具201は、中実棒であって剛性が高く、しかもポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた軸受ブッシュ11K、12Kに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決め冶具201を、ポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0054】
即ち、位置決めピン101と位置決め冶具201により、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13の3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0055】
(実施例3)(
図7、
図8)
実施例3のベーンポンプ10では、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに、相対応する位置決め孔11A、12A、13Aを設けるとともに、ポンプハウジング11とカバー12のそれぞれにドライブ軸14のために相対応するように嵌合した軸受ブッシュ11K、12Kを利用し、以下の手順で組立てられる。
【0056】
(1)
図7(A)、(B)に示す如く、組立台100に立設した中実状の位置決めピン101に、カバー12とシールプレート13に設けた位置決め孔12A、13Aを隙間嵌めし、同じく組立台100上に設けた支持台100Aに支持されるドライブ軸14を、カバー12に設けた軸受ブッシュ12Kに隙間嵌めする。
【0057】
尚、カバー12、シールプレート13にはノックピン21が圧入されている。
【0058】
(2)
図7(B)に示す如く、第1のサイドプレート18が、ノックピン21のシールプレート3から突出している部分に圧入されるとともに、カバー12の軸受ブッシュ12Kに枢支されているドライブ軸14に挿入される。更に、ロータ15及びベーン16を伴うカムリング17がノックピン21のサイドプレート18から突出している部分に隙間嵌めされ、かつロータ15が上記ドライブ軸14にスプライン結合される。
【0059】
(3)
図8(A)に示す如く、第2のサイドプレート19が、ノックピン21のカムリング17から突出している部分に嵌入される。
【0060】
(4)
図8(B)に示す如く、上述(1)でシールプレート13から突出した位置決めピン101に、ポンプハウジング11に設けた位置決め孔11を隙間嵌めし、かつドライブ軸14の上端部にポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kを隙間嵌めし、結果として、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13が位置決めピン101、ドライブ軸14によって互いに位置合せされた状態となり、これらのポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト24により締結されるものになる。
【0061】
このとき、ポンプハウジング11が、第2のサイドプレート19の内外周に設けたOリング22、23に封着され、そのポンプハウジング11の軸受ブッシュ11Kにドライブ軸14を枢支するとともに、両ノックピン21によりロータ15、ベーン16、カムリング17、両サイドプレート18、19を一体化したポンプユニットUを内蔵するようにそれらの内蔵部品に被着される。
【0062】
ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13がボルト締結された後、それらのポンプハウジング11、カバー12、シールプレート13から位置決めピン101が撤去される。
【0063】
本実施例によれば、組立台100に立設した中実状の位置決めピン101にポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた位置決め孔11A、12A、13Aを隙間嵌めし、かつドライブ軸14をポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kに隙間嵌めした状態で、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13とをボルト締結する。
【0064】
ここで、位置決めピン101は、中実棒であって剛性が高く、しかもカバー12(又はポンプハウジング11)に設けた位置決め孔11A、12A、13Aを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた位置決め孔11A、12A、13Aに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、位置決めピン101を、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13のそれぞれに設けた位置決め孔11A、12A、13Aに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0065】
同時に、ドライブ軸14は、中実棒であって剛性が高く、しかもポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kを貫通して延在する長尺をなすため、隙間嵌めされた軸受ブッシュ11K、12Kに対し、中空状ダウエルピンの如くの倒れを生じない。従って、ドライブ軸14を、ポンプハウジング11とカバー12のそれぞれに設けた軸受ブッシュ11K、12Kに対する同軸上に確実に隙間嵌めするものになる。
【0066】
即ち、位置決めピン101とドライブ軸14により、ポンプハウジング11とカバー12とシールプレート13の3者を正しく位置合せしてボルト締結できる。
【0067】
尚、本発明における位置決めピン101A、101B、101、位置決め冶具201、ドライブ軸14等の軸と、位置決め孔11A、12A、13A、11B、12B、13B、軸受ブッシュ11K、12K等の穴との「隙間嵌め」とは、軸と穴の径を例えば8mmとしたとき、軸の公差を例えば0〜-0.03mmとし、穴の公差を例えば0〜+0.03mmとする程度である。
【0068】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。