(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093193
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】管継手構造
(51)【国際特許分類】
F16L 21/04 20060101AFI20170227BHJP
F16L 21/02 20060101ALI20170227BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
F16L21/04
F16L21/02 A
F16L21/02 D
F16L21/02 E
F16L55/00 S
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-12236(P2013-12236)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-142047(P2014-142047A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231877
【氏名又は名称】日本鋳鉄管株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝
(72)【発明者】
【氏名】松島 誠二
(72)【発明者】
【氏名】星野 光義
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−306888(JP,A)
【文献】
特開平10−132168(JP,A)
【文献】
特開2005−156320(JP,A)
【文献】
特開2014−084973(JP,A)
【文献】
実開平04−133089(JP,U)
【文献】
実開昭59−070989(JP,U)
【文献】
米国特許第04878695(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/04
F16L 21/02
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象管の端部に継手部材を接続する管継手構造において、第1抜け止め手段と第2抜け止め手段とを備え、前記第1抜け止め手段は、前記接続対象管の管端内に挿入される、外周面に歯部が形成された抜け止め部材と、前記継手部材の端部内周面と前記接続対象管の端部外周面との間に形成された隙間内に挿入される封止部材と、前記封止部材を押し込んで、前記接続対象管を縮径させ、かくして、前記接続対象管の内周面に前記歯を食い込ませる押し込み機構とからなり、前記第2抜け止め手段は、前記継手部材内に形成された継手部材側係合部と、前記抜け止め部材に形成された、前記継手部材側係合部と係合する抜け止め部材側係合部とからなり、前記継手部材側係合部は、前記継手部材の内周面に沿って間隔をあけて形成され、前記抜け止め部材側係合部は、前記抜け止め部材の内周面に沿って間隔をあけて形成され、前記継手部材側係合部の間隔は、前記抜け止め部材側係合部の幅より広く形成されていることを特徴とする管継手構造。
【請求項2】
前記歯部は、前記抜止め部材の挿入側面(S2)と、前記抜止め部材の反挿入側面(S1)とを有し、前記挿入側面(S2)の、前記抜止め部材の軸線(L)に対する外角の角度(θ2)は、前記反挿入側面(S1)の、前記抜止め部材の軸線(L)に対する外角の角度(θ1)より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の管継手構造。
【請求項3】
前記歯部は、前記抜止め部材の軸回りに螺旋状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の管継手構造。
【請求項4】
前記押し込み機構は、前記封止部材に当接される押し輪と、前記押し輪と前記継手部材とを締結するボルトとナットとからなることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項5】
前記抜け止め部材の前記封止部材と接する面には、突部が形成されていること特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項6】
前記継手部材は、前記接続対象管の端部と被接続対象管の端部とを接続する接続継手部材であることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項7】
前記継手部材は、前記接続対象管の端部を閉塞するキャップ部材であることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項8】
前記封止部材は、ゴム製であることを特徴とする、請求項1から7の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項9】
前記接続対象管は、樹脂管であることを特徴とする、請求項1から8の何れか1つに記載の管継手構造。
【請求項10】
前記樹脂管は、ポリエチレン管であることを特徴とする、請求項9に記載の管継手構造。
【請求項11】
前記被接続対象管は、金属管であることを特徴とする、請求項6に記載の管継手構造。
【請求項12】
前記被接続対象管は、樹脂管であることを特徴とする、請求項6に記載の管継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管継手構造、特に、管端部に接続するキャップ部材や接続継手部材を含む管継手構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン管と鋳鉄管とを接続するための従来の継手構造としては、
図6に示すようなメカニカル継手構造が知られている。
【0003】
この継手構造は、ポリエチレン管21の端部に接続される継手部材または鋳鉄管22が、フランジ23を有するメカニカル継手部24を備えている。ポリエチレン管21の端部内には、補強部材25が打ち込まれて、ポリエチレン管21の端部の剛性が高められており、その端部外周には、ロックリング26とカラーリング27とからなる抜け止めリング28が装着されている。
【0004】
さらに、抜け止めリング28からポリエチレン管21の奥側に隣接して、バックアップリング30、ゴム輪33(角ゴム輪32と丸ゴム輪31)、座金34、押し輪29が順に装着されている。このように各部材が装着され、ポリエチレン管21がメカニカル継手部24に挿入された状態で、押し輪29のリブ部で座金34を押すように、フランジ23のボルト孔23aと押し輪29のボルト孔29aにボルト35を通してナット36で締め付けることにより接続されるものである(特許文献1参照)。
【0005】
また、ポリエチレン管21の端部を閉塞する従来のキャップ構造として、
図7に示すような融着キャップ構造が知られている。このキャップ構造は、受口部37を有し、受口部37の内面部に発熱線38を備えたキャップ部材39を用い、ポリエチレン管21の端部を受口部37の内側に挿入し、キャップ部材39の端子部40から引き出された発熱線38の引出線41に電圧を印加してキャップ部材39をポリエチレン管21の端部に融着接続するものである(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−132168号公報
【特許文献2】特開平11−210978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したメカニカル継手構造は、接続対象管(例えば、ポリエチレン管21の端部の外周に抜け止めリング28(ロックリング26、カラーリング27)を装着するスペースと、バックアップリング30、ゴム輪33(丸ゴム輪31、角ゴム輪32)、座金34等の封止部材を配置するスペースが必要となる。このため接続対象管の管端から管軸に沿って接続するに要するスペースが長くなり、埋設管の場合等は、掘削に時間と労力を要し、また、継手自体の大型化によって良好な作業性が得られない問題があった。
【0008】
一方、
図7に示すような融着キャップ構造は、例えば、鋳鉄管22からポリエチレン管21への入れ替え工事を行う場合の仮閉塞等に用いられるが、この場合には、入れ替え工事が進行する毎にポリエチレン管21の端部を切断して融着キャップ部分は廃棄されることになる。これによると、融着キャップ部分の融着作業に時間と労力を要すると共に、施工の進行に伴って出る大量の廃棄物の処理が問題となっている。
【0009】
従って、この発明の目的は、管端部に接続するキャップ部材や接続継手部材を含む管継手構造において、接続対象管の管端部の接続スペースを短くすること、継手構造を小型化することにより接続作業を改善すること、鋳鉄管からポリエチレン管への入れ替え工事における作業性を改善すること、施工時に廃棄物を出さず、再利用可能なキャップ構造を得ることができること等を目的とする管継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0011】
請求項1に記載の発明は、接続対象管の端部に継手部材を接続する管継手構造において、第1抜け止め手段と第2抜け止め手段とを備え、前記第1抜け止め手段は、前記接続対象管の管端内に挿入される、外周面に歯部が形成された抜け止め部材と、前記継手部材の端部内周面と前記接続対象管の端部外周面との間に形成された隙間内に挿入される封止部材と、前記封止部材を押し込んで、前記接続対象管を縮径させ、かくして、前記接続対象管の内周面に前記歯を食い込ませる押し込み機構とからなり、前記第2抜け止め手段は、前記継手部材内に形成された継手部材側係合部と、前記抜け止め部材に形成された、前記継手部材側係合部と係合する抜け止め部材側係合部とからなり、
前記継手部材側係合部は、前記継手部材の内周面に沿って間隔をあけて形成され、前記抜け止め部材側係合部は、前記抜け止め部材の内周面に沿って間隔をあけて形成され、前記継手部材側係合部の間隔は、前記抜け止め部材側係合部の幅より広く形成されていることに特徴を有するものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記歯部は、前記抜止め部材の挿入側面(S2)と、前記抜止め部材の反挿入側面(S1)とを有し、前記挿入側面(S2)の、前記抜止め部材の軸線(L)に対する外角の角度(θ2)は、前記反挿入側面(S1)の、前記抜止め部材の軸線(L)に対する外角の角度(θ1)より大きいことに特徴を有するものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、
前記歯部は、前記抜止め部材の軸回りに螺旋状に形成されていることに特徴を有するものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、
前記押し込み機構は、前記封止部材に当接される押し輪と、前記押し輪と前記継手部材とを締結するボルトとナットとからなることに特徴を有するものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、
前記抜け止め部材の前記封止部材と接する面には、突部が形成されていることに特徴を有するものである。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、
前記継手部材は、前記接続対象管の端部と被接続対象管の端部とを接続する接続継手部材であることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、
前記継手部材は、前記接続対象管の端部を閉塞するキャップ部材であることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項8記載の発明は、請求項1から7の何れか1つに記載の発明において、
前記封止部材は、ゴム製であること特徴を有するものである。
【0019】
請求項9記載の発明は、請求項1から8の何れか1つに記載の発明において、
前記接続対象管は、樹脂管であること特徴を有するものである。
【0020】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載の発明において、
前記樹脂管は、ポリエチレン管であること特徴を有するものである。
【0021】
請求項11記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記被接続対象管は、金属管であること特徴を有するものである。
【0022】
請求項12記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記被接続対象管は、樹脂管であること特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、封止部材を押し込んで接続対象管を縮径させて、接続対象管の内周面に抜け止め部材の歯を食い込ませると共に、継手部材内に形成された継手部材側係合部と抜け止め部材に形成された抜け止め部材側係合部とを係合させる構造とすることによって、接続対象管の抜け止めを確実に図ることができると共に、接続対象管の外周面に抜け止めリングとメカニカル継手部とを並べて配置する従来の管継手構造に比べて、接続対象管の管端から管軸に沿って接続するに要するスペースの長さを短くすることができる。
【0025】
また、従来の管継手構造のように、接続対象管の外周面に抜け止めリングとメカニカル継手部とを並べて配置する必要がないので、継手部材の長さを短くすることができる。この結果、接続に要する部品数を減らし、かつ、継手構造を小型化することができるので、管継手の接続作業を改善することができる。
【0026】
さらに、上述した継手部材の構成を備えたキャップ部材を用いて、鋳鉄管からポリエチレン管への入れ替え工事における管端閉塞を行う場合には、施工時に廃棄物を出さず、再利用可能なキャップ構造を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】継手部材が接続継手部材である、この発明の管継手構造を示す断面図である。
【
図3】抜け止め部材側係合部と継手部材側係合部とが係合していない状態を示す
図1のA矢視図である。
【
図5】継手部材がキャップ部材である、この発明の管継手構造を示す断面図である。
【
図7】従来のキャップ構造を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、継手部材が接続継手部材である、この発明の管継手構造の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
図1は、継手部材が接続継手部材である、この発明の管継手構造を示す断面図、
図2は、
図1のA矢視図である。
【0030】
図1および
図2において、1は、接続対象管としてのポリエチレン管である。接続対象管は、ポリエチレン管以外の樹脂管であっても良い。2は、継手部材としての接続継手部材である。接続継手部材2は、ポリエチレン管1の端部と被接続対象管である別のポリエチレン管3の端部とを接続する。被接続対象管は、ポリエチレン管3以外に鋳鉄管や鋼管等の金属管であっても良い。
【0031】
4は、第1抜け止め手段であり、抜け止め部材5と封止部材6と押し込み機構7とから構成されている。
【0032】
抜け止め部材5は、筒状をなし、ポリエチレン管1の管端部内に挿入される。抜け止め部材5の一端には、ポリエチレン管1の管端面に当接するフランジ5aが形成され、抜け止め部材5の外周面には、周方向に亘って歯部5bが形成されている。フランジ5aの外径は、ポリエチレン管1の外径より大きく、ポリエチレン管1の外周面から突出したフランジ5a部分には、封止部材6が当接される。抜け止め部材5のフランジ5a側内周面には、抜け止め部材5の内周面に沿って間隔をあけて抜け止め部材側係合部5cが形成されている。
【0033】
歯部5bは、断面山形をなし、
図4に示すように、歯部5bの挿入側面(S2)の、抜け止め部材5の軸線(L)に対する外角の角度(θ2)は、反挿入側面(S1)の、抜け止め部材5の軸線(L)に対する外角の角度(θ1)より大きく形成されている。このように形成することによって、抜け止め部材5をポリエチレン管1の端部内に挿入しやすく、一方、後述するように、ポリエチレン管1の縮径により、歯部5bがポリエチレン管1の内周面に食い込んだ後は、ポリエチレン管1の抜け出しを確実に阻止することができる。
【0034】
なお、
図4に示すように、歯部5bの頂角(θ3)を鋭角に形成すれば、歯部5bがポリエチレン管1の内周面に食い込みやすくなるので、ポリエチレン管1の抜け出し防止効果がさらに向上する。
【0035】
歯部5bは、抜け止め部材5の軸方向に間隔をおいて独立して形成されるが、歯部5bを抜け止め部材5の軸回りに螺旋形状に形成しても良い。歯部5bを螺旋形状にすることにより、抜け止め部材5をポリエチレン管1の端部内に、例えば、抜け止め部材5に打撃を加えて挿入する際、挿入がきつい状況においても、打撃に代えて抜け止め部材5を回転させながら挿入することにより、螺旋形状部がねじの作用をなして、抜け止め部材5を容易に挿入することができる。また、抜け止め部材5を取り外す際にも、ねじの作用により取り外しが容易に行える。
【0036】
なお、
図4に示すように、後述する封止部材6に接する側の、抜け止め部材5のフランジ5a面に突部5dを形成すれば、封止部材6に、後述する押し込み機構7により押し込み力が作用した際に、突部5dにより封止部材6に生じる反力を、接続継手部材2の端部内周面とポリエチレン管1の端部外周面に効率良く伝達することができる。この結果、シール性が向上すると共に、ポリエチレン管1を確実に縮径させることができる。突部5dは、フランジ5a面に沿って環状に形成すると良い。
【0037】
封止部材6は、ゴム輪からなり、接続継手部材2の端部内周面とポリエチレン管1の端部外周面との間に形成された隙間(M1)内に挿入される。封止部材6が押し込み機構7により隙間(M1)の奥部に押し込まれると、この押し込み力は、封止部材6の外周面が接続継手部材2により拘束されているので、ポリエチレン管1を縮径する力となる。ポリエチレン管1が縮径すると、抜け止め部材5の歯部5bがポリエチレン管1の内周面に食い込む。
【0038】
押し込み機構7は、封止部材6に当接される押し輪8と、押し輪8と接続継手部材2とを締結するボルト9と、ボルト9に螺合するナット10とから構成されている。ボルト9は、押し輪8に形成されたボルト孔8aと接続対象管2に形成されたボルト孔2aとに挿通される。
【0039】
11は、第2抜け止め手段であり、接続継手部材2の軸線方向中央部に接続継手部材2の内周面に沿って間隔をあけて形成された継手部材側係合部2bと、上述した、抜け止め部材5に形成された抜け止め部材側係合部5cとからなっている。
【0040】
図2に示すように、継手部材側係合部2bの間隔(L1)は、抜け止め部材側係合部5cの幅(L2)より広く形成されている。これによって、
図3に示すように、継手部材側係合部
2b間に抜け止め部材側係合部5cを挿入し、接続継手部材2を、
図3中、反時計方向に角度(θ)だけ回転させれば、継手部材側係合部
2bと抜け止め部材側係合部5cとが重なり、継手部材側係合部
2bと抜け止め部材側係合部5cとが係合する。この結果、接続継手部材2からのポリエチレン管1の抜けを、第1抜け止め手段による抜け止め効果と相俟って確実に防止することができる。
【0041】
以上のように構成されている、継手部材が接続継手部材である、この発明の管継手構造によれば、以下のようにして、ポリエチレン管の端部に接続継手部材を接続することができる。
【0042】
図1および
図2に示すように、ポリエチレン管1の外周に押し輪8と封止部材6とを装着し、ポリエチレン管1の端部内に抜け止め部材5を挿入する。次いで、抜け止め部材5を挿入したポリエチレン管1の端部に接続継手部材2を嵌め込む。この際、継手部材側係合部
2b間に抜け止め部材側係合部5cを挿入し、接続継手部材2を、継手部材側係合部
2bと抜け止め部材側係合部5cとが重なる位置まで回転させて、継手部材側係合部
2bと抜け止め部材側係合部5cとを係合させる。
【0043】
次いで、接続継手部材2の端部内周面とポリエチレン管1の端部外周面との間に形成された隙間(M1)に封止部材6を挿入する。次いで、ボルト9を押し輪8に形成されたボルト孔8aと接続継手部材2に形成されたボルト孔2aとに挿通し、ナット10を締める。これによって、封止部材6は、接続継手部材2の端部内周面とポリエチレン管1の端部外周面との間に形成された隙間(M1)の奥部に押し込まれる。封止部材6が押し込まれると、封止部材6によってポリエチレン管1が縮径し、抜け止め部材5の歯部5bがポリエチレン管1の内周面に食い込む。この結果、ポリエチレン管1に抜け出し力が作用しても、ポリエチレン管1の内周面に抜け止め部材5の歯部5bが食い込むので、継手部材側係合部2aと抜け止め部材側係合部5cとの係合効果と相俟って、ポリエチレン管1の接続継手部材2からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0044】
このようにして、ポリエチレン管1の端部に接続継手部材2を接続することができる。
【0045】
接続継手部材2を介してポリエチレン管1に接続する被接続対象管は、ポリエチレン管3以外に鋳鉄管や鉄管等の金属管であっても良い。また、接続継手部材2を被接続対象管の端部に形成しても良い。
【0046】
上述した、継手部材が接続継手部材である、この発明の管継手構造によれば、封止部材6を押し込んでポリエチレン管1を縮径させ、かくして、ポリエチレン管1の内周面に抜け止め部材5の歯5bを食い込ませる構造とすることによって、ポリエチレン管1の外周面に抜け止めリング28とメカニカル継手部24とを並べて配置する従来の管継手構造に比べて、ポリエチレン管1の管端から管軸に沿って接続するに要するスペースの長さ(L1)を短くすることができる(
図1参照)。
【0047】
しかも、第1抜け止め手段4と第2抜け止め手段11との相乗効果によって、ポリエチレン管1の接続継手部材2からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0048】
また、従来の管継手構造(
図6参照)のように、接続対象管の外周面に抜け止めリング28とメカニカル継手部24とを並べて配置する必要がないので、接続に要する部品数を減らし、かつ、接続継手部材2の長さを短くすることができる。この結果、継手構造を小型化することができるので、管継手の接続作業を改善することができる。
【0049】
次に、継手部材がキャップ部材である、この発明の管継手構造の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0050】
図5は、継手部材がキャップ部材である、この発明の管継手構造を示す断面図である。
【0051】
図5において、
図1と同一番号は、同一物を示し、説明は、省略する。12は、継手部材としてのキャップ部材であり、ポリエチレン管1の端部を閉塞する。キャップ部材12の内面には、
図1における継手部材側係合部2bに相当するキャップ部材側係合部12bが形成されている。
【0052】
キャップ部材12の長さ(L2)は、従来の管継手構造(
図6参照)のように、接続対象管の外周面に抜け止めリング28とメカニカル継手部24とを並べて配置する必要がないので、短くすることができるので、キャップ部材12を小型・軽量化することができる。この結果、ポリエチレン管1の閉塞の作業性を向上させることができる。
【0053】
継手部材がキャップ部材である、この発明の管継手構造は、例えば、既設の鋳鉄管をポリエチレン管に取り替える、管の交換工事において有効に用いることができる。すなわち、管の交換工事は、一日の作業が終了した時点で、ポリエチレン管1の端部を閉塞する必要があるが、この際に、この発明の管継手構造を、下記のように有効に用いることができる。
【0054】
管の交換工事で新設されたポリエチレン管1の外周に押し輪8と封止部材6とを装着し、端部内に抜け止め部材5を挿入する。次いで、抜け止め部材5を挿入したポリエチレン管1の端部にキャップ部材12を嵌め込む。この際、キャップ部材側係合部12b間に抜け止め部材側係合部5cを挿入し、接続継手部材2を、キャップ部材側係合部12bと抜け止め部材側係合部5cとが重なる位置まで回転させて、キャップ部材側係合部12bと抜け止め部材側係合部5cとを係合させる。
【0055】
次いで、キャップ部材12の端部内周面とポリエチレン管1の端部外周面との間に形成された隙間(M2)に封止部材6を挿入する。次いで、ボルト9を押し輪8に形成されたボルト孔8aとキャップ部材12に形成されたボルト孔12aとに挿通し、ナット10を締める。これによって、封止部材6は、キャップ部材12の内周面とポリエチレン管1の端部外周面との間に形成された隙間(M2)の奥部に押し込まれる。封止部材6が押し込まれると、封止部材6によってポリエチレン管1が縮径し、抜け止め部材5の歯部5bがポリエチレン管1の内周面に食い込む。この結果、ポリエチレン管1に抜け出し力が作用しても、ポリエチレン管1の内周面に抜け止め部材5の歯部5bが食い込むので、キャップ部材側係合部12bと抜け止め部材側係合部5cとの係合効果と相俟って、キャップ部材12は、ポリエチレン管1から外れるおそれはなく、ポリエチレン管1の端部を確実に閉塞することができる。
【0056】
また、キャップ部材12は、ボルト9を外すことによって、ポリエチレン管1に対して着脱自在であるので、キャップ部材12を再利用することができる。これによって、
図7に示した従来技術における融着キャップ部分の切断により生じる廃棄物処理の問題を解消することができる。
【0057】
上述した、継手部材がキャップ部材である、この発明の管継手構造によれば、継手部材の構成を備えたキャップ部材12を用いて、鋳鉄管からポリエチレン管への入れ替え工事における管端閉塞を行う場合には、施工時に廃棄物を出さず、再利用可能なキャップ構造を得ることできる。
【符号の説明】
【0058】
1:ポリエチレン管
2:接続継手部材
2a:ボルト孔
2b:継手部材側係合部
3:ポリエチレン管
4:第1抜け止め手段
5:抜け止め部材
5a:フランジ
5b:歯部
5c:抜け止め部材係合部
5d:突部
6:封止部材
7:押し込み機構
8:押し輪
8a:ボルト孔
9:ボルト
10:ナット
11:第2抜け止め手段
12:キャップ部材
12a:ボルト孔
12b:キャップ部材側係合部
21:ポリエチレン管
22:鋳鉄管
23:フランジ
23a:ボルト孔
24:メカニカル継手
25:補強材
26:ロックリング
27:カラーリング
28:抜け止めリング
29:押し輪
29a:ボルト孔
30:バックアップリング
31:丸ゴム輪
32:角ゴム輪
33:ゴム輪
34:座金
35:ボルト
36:ナット
37:受口部
38:発熱線
39:キャップ部材
40:端子部
41:引出線