特許第6093225号(P6093225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093225
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】出銑口ロッド交換装置
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/12 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   C21B7/12 302
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-76974(P2013-76974)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-201773(P2014-201773A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】NSプラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】古舘 昭二
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−139150(JP,U)
【文献】 特開昭56−127178(JP,A)
【文献】 実開平03−018156(JP,U)
【文献】 特開平08−176626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開孔機の下方に設置され、前記開孔機に対する穿孔用ロッドの供給および回収を行う出銑口ロッド交換装置であって、
前記穿孔用ロッドを収納するロッドホルダと、前記ロッドホルダから取り出された穿孔用ロッドをクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置を昇降させる昇降装置とを備え、
前記クランプ装置は、前記穿孔用ロッドを上面側に磁力吸着するマグネットであることを特徴とする出銑口ロッド交換装置。
【請求項2】
請求項1に記載した出銑口ロッド交換装置において、
前記昇降装置は、床面上に設置されて前記クランプ装置を支持するパンタグラフ式のリンク機構と、前記リンク機構を駆動する水平方向に延びる伸縮装置とを有することを特徴とする出銑口ロッド交換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した出銑口ロッド交換装置において、
前記クランプ装置は、永電磁マグネットを内蔵した本体を有することを特徴とする出銑口ロッド交換装置。
【請求項4】
請求項3に記載した出銑口ロッド交換装置において、
前記クランプ装置は、前記本体の上面に設置された少なくとも一対の支持部材を有し、前記支持部材は、前記永電磁マグネットのヨークを兼ねていることを特徴とする出銑口ロッド交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は出銑口ロッド交換装置に関し、高炉の出銑口開孔機に穿孔用ロッドを供給および回収する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄用の高炉においては、湯溜部の炉体壁面に出銑口を形成しておき、この出銑口から溶銑を流出させ、樋で受けて取り出している。
出銑口は、出銑時以外は粘土状のマッド材により封止されている。出銑する際には、専用の開孔機を用いて外部からマッド材を穿孔し、出銑口を開いて溶銑を流出させている。このような出銑作業は2〜4時間毎に行われる。
【0003】
開孔機は、出銑口を封止するマッド材に穿孔するためにドリルおよび金棒を用いる。ドリルは、回転切削による掘削とともに打撃による掘削に利用される。一方、金棒は、専ら出銑途中の孔詰まり時に打撃による清掃を行うために利用される。これらのドリルおよび金棒は、打撃による掘削等に利用されるとともに、溶銑と接することで高温になることから寿命が短く、通常は使用のつど取り替えられている。
このようなドリルおよび金棒(あわせて穿孔用ロッド)の開孔機への供給ないし装着、開孔機からの分離ないし回収を行うために、開孔機には出銑口ロッド交換装置が設置される(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の装置は、高炉の出銑口開孔機用のドリル・金棒交換機であって、開孔機待避位置下に設置され、回転切削用のドリルを複数本収納するドリルホルダと、打撃穿孔用の金棒を複数本収納する金棒ホルダ(金棒スキッド)と、ドリルまたは金棒を割り出す(何れかを選択して取り出す)割出装置と、割り出されたドリルまたは金棒を開孔機に着脱する着脱装置と、使用済のドリルおよび金棒を回収する古金棒回収装置とを備えて構成される。
【0005】
このうち、着脱装置は、ドリルまたは金棒をクランプして直角方向へ移動させるフィード装置と、ドリルまたは金棒を軸方向に移動させて開孔機に接続させる挿入装置と、これらのフィード装置および挿入装置を一括して昇降させるリフタとを備える。
さらに、着脱装置は、ドリルまたは金棒をクランプするために、ドリルまたは金棒と交差する仮想面に沿って回転駆動される回転アームと、回転アーム先端に設置されてドリルまたは金棒をクランプするグリップ(ハンド)と、グリップの開口部を常に上向きにするタイロッドとを備える。
【0006】
このような出銑口ロッド交換装置においては、開孔機に装着するドリルまたは金棒が、割出装置によりドリルホルダまたは金棒スキッドから割り出される。割り出されたドリルまたは金棒は、グリップにクランプされ、回転アームが回転することで割出装置から開孔機の装着位置の直下へとトラバースされる。さらに、昇降装置で上昇されることで開孔機の装着位置に保持され、挿入装置で軸方向に駆動されて装着される。回収する際には、逆の動作により取り出され、古金棒回収装置へと送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1では、ドリルまたは金棒をクランプするグリップが、機械的なクランプアンクランプ動作を行うものであり、その駆動源として例えばエアシリンダを用いており、この機械的な重量が大きいうえに動作に必要な装置スペースが大きい。そして、グリップは、クランプアンクランプ動作の機械的なストロークが必要であるため、開孔機に近接した空間を占有するような固定的な設置ができず、リフタを用いて下方から昇降により近接するように設置される。
【0009】
このようなリフタは、重量が大きなグリップを含む機械構成を支持して昇降させる必要があり、大型のシリンダ装置を備えたものが必要となる。そして、このような大型のリフタを設置するために、設置場所の床にリフタを収容するピットを設ける必要があった。
このように、従来の装置では、大型化および設置作業の繁雑化に加え、さらなる高コスト化が避けられないという問題があった。
【0010】
本発明の主な目的は、装置を小型化し、設置作業を簡素化し、かつコストを低減できる出銑口ロッド交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、開孔機の下方に設置され、前記開孔機に対する穿孔用ロッドの供給および回収を行う出銑口ロッド交換装置であって、前記穿孔用ロッドを収納するロッドホルダと、前記ロッドホルダから取り出された穿孔用ロッドをクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置を昇降させる昇降装置とを備え、前記クランプ装置は、前記穿孔用ロッドを上面側に磁力吸着するマグネットであることを特徴とする。
【0012】
このような本発明では、クランプ装置がマグネットであるため、エアシリンダ等を必要とせず、重量が軽減できるうえ設置スペースも小さくて済む。さらに、クランプアンクランプに機械的な動作が必要ないため、動作速度の向上も期待できる。そして、クランプ装置が軽量化されることで、昇降装置の小型化および簡素化が可能となり、床面にピットを形成する必要がなくなり、これらにより装置を小型化し、設置作業を簡素化し、かつコストを低減することができる。
【0013】
本発明において、前記昇降装置は、床面上に設置されて前記クランプ装置を支持するパンタグラフ式のリンク機構と、前記リンク機構を駆動する水平方向に延びる伸縮装置とを有することが望ましい。
伸縮装置としては、エアシリンダ、油圧シリンダ、あるいはモートルシリンダ他の電動機などを用いることができる。
このような本発明では、パンタグラフ式のリンク機構を利用することで垂直方向のシリンダを用いる必要がなく、前述した床面のピット等を解消できるとともに、水平方向のシリンダを駆動源として利用できるので、所要の動力を簡単に得ることができる。
また、パンタグラフ式のリンク機構であるため、従来の回転アームのように先端のグリップの向きが変化することがなく、従来のタイロッド等のグリップの姿勢を上向きに維持する機構を省略して、装置を簡素化することができる。
【0014】
本発明において、前記クランプ装置は、永電磁マグネットを内蔵した本体を有することが望ましい。
このような本発明では、永電磁マグネットを用いることで、磁力吸着を随時断続できるとともに、電流断の状態でも吸着を維持することができる。
【0015】
本発明において、前記クランプ装置は、前記本体の上面に設置された少なくとも一対の支持部材を有し、前記支持部材は、前記永電磁マグネットのヨークを兼ねていることが望ましい。
このような本発明では、支持部材により穿孔用ロッドを安定保持することができるとともに、支持部材がヨークを兼ねているため、穿孔用ロッドの磁力吸着を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の出銑口ロッド交換装置によれば、装置を小型化し、設置作業を簡素化し、かつコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態を示す正面図。
図2】前記実施形態を示す側面図。
図3】前記実施形態のクランプ装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の出銑口ロッド交換装置10は、開孔機1の下方の床面9上に設置され、この開孔機1に対する穿孔用ロッドRの供給および回収を行うものである。穿孔用ロッドRとしては、ドリルRdと金棒Riとが用いられる。
【0019】
開孔機1は、製銑用の高炉における出銑を行うために、高炉の炉体に形成された出銑口(図示省略)の開孔を行うものであって、開孔作業時には図示の状態から傾動し、高炉の出銑口の軸線Ahに沿って延びる長尺箱状の開孔機本体2と、開孔機本体2の下面に設置されて前述した穿孔用ロッドR(ドリルRdまたは金棒Ri)を軸線Ah上に吊り下げ支持するハンガ3と、ハンガ3で吊り下げ支持された穿孔用ロッドRを軸方向に送り出すドリフタ4とを有する。
【0020】
ドリフタ4は、開孔機本体2の内部に設置された図示しない駆動機構により開孔機本体2の下面に沿って軸線Ah方向へ移動可能である。
ドリフタ4には、ハンガ3で吊り下げ支持された穿孔用ロッドRの後端に接続可能なシャフト5が設置されている。
シャフト5は、ドリフタ4の内部に設置された図示しないモータ等により回転駆動されるとともに、同じくドリフタ4の内部に設置された打撃装置により穿孔用ロッドRに軸線方向の打撃を加えることができる。
【0021】
このような開孔機1においては、出銑口の穿孔を行う場合には、穿孔用ロッドRとしてドリルRdまたは金棒Riを装着し、シャフト5を回転させ、穿孔用ロッドRによる回転切削および打撃による穿孔を行う。
これらのドリルRdまたは金棒Riを開孔機1に装着するために、出銑口ロッド交換装置10が設置されている。
【0022】
出銑口ロッド交換装置10は、穿孔用ロッドR(ドリルRdおよび金棒Ri)を収納するロッドホルダ20と、ロッドホルダ20から取り出された穿孔用ロッドRをクランプするクランプ装置40と、クランプ装置40を昇降させて穿孔用ロッドRを開孔機1の装着位置に保持する昇降装置30とを備えている。
【0023】
ロッドホルダ20は、図2に示すように、開孔機本体2の側方の床面9上に設置された本体21を有し、その上面にドリルRdを複数本収納するドリルホルダ22を有するとともに、その上方に2段の棚状に設置されてそれぞれ金棒Riを複数本収納する金棒ホルダ23を有する。
ドリルホルダ22および金棒ホルダ23は、それぞれ開孔機本体2に近い側が低く形成されており、各々に収納されたドリルRdおよび金棒Riは重力により開孔機本体2側へと付勢されている。
【0024】
ドリルホルダ22および金棒ホルダ23の開孔機本体2側には、図示しないシャッタが設置され、これらのシャッタにより割出装置24が構成されている。
割出装置24においては、1つのドリルホルダ22および2つの金棒ホルダ23のうち何れかのシャッタを開くことで、ドリルRdまたは金棒Riの何れかを選択して取り出すことが可能である。
本体21のロッドホルダ20の直下位置には、割出装置24で取り出された穿孔用ロッドR(ドリルRdまたは金棒Ri)をクランプ装置40に引き渡すステージ25が形成されている。
【0025】
クランプ装置40は、ロッドホルダ20のステージ25において穿孔用ロッドR(ドリルRdまたは金棒Ri)を掴み、開孔機本体2の直下まで上昇し、ハンガ3に引き渡すものである。
このために、クランプ装置40は昇降装置30に支持されている。
【0026】
昇降装置30は、床面9上に設置されて上端部でクランプ装置40を支持するパンタグラフ式のリンク機構38と、リンク機構38を駆動する水平方向に延びる伸縮装置としてのエアシリンダ39とを有する。
リンク機構38は、一端を床面9上に回動自在に支持された第1リンク31と、その他端に回動自在に接続された第2リンク32とを、左右一対備えている。
一方(図1左側)の第1リンク31の下端には補助リンク33が接続され、補助リンク33は第1リンク31の床面9に対する支軸より上方に延びている。
他方(図1右側)の第1リンク31の下端には駆動リンク34が接続され、駆動リンク34は一端が第1リンク31の床面9に対する支軸より上方に延び、他端が同支軸より下方に延びている。
【0027】
駆動リンク34は一端にはエアシリンダ39が接続されている。
駆動リンク34の他端には下部水平リンク35に回動自在に連結され、下部水平リンク35の他端は補助リンク33に回動自在に連結されている。
左右の第2リンク32の上端は、それぞれ上部水平リンク36の各端部に回動自在に連結されている。
上部水平リンク36の両端にはそれぞれクランプ装置40が固定されている。
【0028】
このようなリンク機構38においては、エアシリンダ39を収縮させることで、図1に実線で示すように、駆動リンク34および補助リンク33が起立した状態となり、第1リンク31および第2リンク32も起立した状態とされ、クランプ装置40は上昇位置へと移動される。
一方、エアシリンダ39を伸長させることで、図1に一点鎖線で示すように、駆動リンク34および補助リンク33が倒れた状態となり、第1リンク31および第2リンク32も屈曲した状態とされ、クランプ装置40は下降位置へと移動される。
【0029】
クランプ装置40は、穿孔用ロッドR(ドリルRdまたは金棒Ri)を掴むために、永電磁マグネットによる磁力吸着を行うものである。
図3に示すように、クランプ装置40は、矩形箱状の本体41を有し、この本体41の内部には永電磁マグネット42が設置されている。
【0030】
本体41の上面には2対の支持部材43が設置されている。
各対の支持部材43は、先端の互いに向かい合う側に斜面44が形成されており、この向かい合う斜面44は、穿孔用ロッドR(ドリルRdまたは金棒Ri)を確実に保持できるように、相互の最大間隔(上端位置)は穿孔用ロッドRの直径より大きく、かつ最小間隔(下端位置)は穿孔用ロッドRの直径より小さく形成されている。
また、支持部材43は、永電磁マグネット42の各極のヨークを兼ねており、このために支持部材43は本体41上面における永電磁マグネット42の各極に対応した位置に合わせて設置されている。
【0031】
このような本実施形態においては、出銑口ロッド交換装置10により、開孔機1に装着するドリルRdまたは金棒Riが供給される。
すなわち、ロッドホルダ20にストックされていた穿孔用ロッドR(ドリルRdおよび金棒Ri)は、割出装置24により何れかが選択され、ステージ25に送られる。
この際、昇降装置30によりクランプ装置40を予め下降位置に保持しておき、ステージ25に穿孔用ロッドRが供給された後に上昇させれば、ステージ25に保持されている穿孔用ロッドRをクランプ装置40で持ち上げることができる。
クランプ装置40で持ち上げられる穿孔用ロッドRは、支持部材43の斜面44の間に安定支持されるとともに、永電磁マグネット42に通電することで支持部材43に磁力吸着され、脱落等が生じることがない。
【0032】
昇降装置30によりクランプ装置40を上昇させることで、これに保持された穿孔用ロッドRも上昇し、開孔機1の下面側に保持される。
保持された穿孔用ロッドRを開孔機1のハンガ3を開閉させることで保持するとともに、ドリフタ4を前進させてシャフト5を穿孔用ロッドRに連結させる。
この際、穿孔用ロッドRは軸方向に押されることになるが、クランプ装置40において永電磁マグネット42に瞬間的に通電して着磁させることで支持部材43に磁力吸着されるため、軸方向へのずれを生じることがない。
【0033】
このような本実施形態によれば、以下に述べるような効果が得られる。
本実施形態では、クランプ装置40における穿孔用ロッドRの保持にマグネットによる磁力吸着を用いる。このため、従来のクランプ装置のようなエアシリンダ等を必要とせず、重量が軽減できるうえ設置スペースも小さくて済む。さらに、クランプアンクランプに機械的な動作が必要ないため、動作速度の向上も期待できる。そして、クランプ装置40が軽量化されることで、昇降装置の小型化および簡素化が可能となり、床面9にピットを形成する必要がなくなり、これらにより装置を小型化し、設置作業を簡素化し、かつコストを低減することができる。
【0034】
本実施形態では、パンタグラフ式のリンク機構38を利用することで垂直方向のシリンダを用いる必要がなく、前述した床面9のピット等を解消できるとともに、水平方向のエアシリンダ39を駆動源として利用できるので、所要の動力を簡単に得ることができる。
また、パンタグラフ式のリンク機構38であるため、従来の回転アームのように先端のグリップの向きが変化することがなく、従来のタイロッド等のグリップの姿勢を上向きに維持する機構を省略して、装置を簡素化することができる。
【0035】
本実施形態では、クランプ装置40のマグネットとして永電磁マグネット42を用いることで、磁力吸着を随時断続できるとともに、電流断の状態でも吸着を維持することができる。
また、クランプ装置40は、本体41の上面に設置された少なくとも一対の支持部材43を有し、支持部材43は、永電磁マグネットのヨークを兼ねているため、支持部材43により穿孔用ロッドRを安定保持することができるとともに、支持部材43がヨークを兼ねているため、穿孔用ロッドRの磁力吸着を効果的に行うことができる。
【0036】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内の変形などは本発明に含まれるものである。
例えば、クランプ装置40は2つに限らず、3つ以上であってもよく、1つだけであってもよい。
前記実施形態では2つのクランプ装置40を1つの昇降装置30で支持したが、各クランプ装置40にそれぞれ独立した昇降装置30を用いてもよい。
昇降装置30は、一対の第1リンク31および第2リンク32を用いた概略六角形状のリンク機構38に限らず、概略菱形となる平行リンクあるいはリンクが交差するX字状のリンク機構等を用いてもよく、要するに上部に支持したクランプ装置40を昇降させることができればよい。
【0037】
前記実施形態では、伸縮装置としてエアシリンダ39を用いたが、伸縮装置としては油圧シリンダ、あるいはモートルシリンダ他の電動機などを用いてもよい。
さらに、前記実施形態では省略したが、使用済のドリルおよび金棒を回収する古金棒回収装置を備えていてもよく、同回収装置への穿孔用ロッドRの取り出しにも本実施形態のクランプ装置40および昇降装置30を利用してもよい。
クランプ装置40における支持部材43は2対に限らず、一対あるいは3対以上であってもよい。また、対応する複数対に限らず、片側が1個で反対側が2個の支持部材となるような非対称の配置であってもよい。
さらに、クランプ装置40としては。支持部材43を片側だけとし、反対側は本体41の上面で受けるようにしてもよい。この場合、本体41の上面を支持部材43のある側に下るように傾斜させ、穿孔用ロッドRが重力により支持部材43に当接するように配置することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は出銑口ロッド交換装置に関し、高炉の出銑口開孔機に穿孔用ロッドを供給および回収する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…開孔機
10…出銑口ロッド交換装置
2…開孔機本体
20…ロッドホルダ
21…本体
22…ドリルホルダ
23…金棒ホルダ
24…割出装置
25…ステージ
3…ハンガ
30…昇降装置
31…第1リンク
32…第2リンク
33…補助リンク
34…駆動リンク
35…下部水平リンク
36…上部水平リンク
38…リンク機構
39…伸縮装置であるエアシリンダ
4…ドリフタ
40…クランプ装置
41…本体
42…永電磁マグネット
43…支持部材
44…斜面
5…シャフト
9…床面
Ah…軸線
R…穿孔用ロッド
Rd…ドリル
Ri…金棒
図1
図2
図3