(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒューズは、自動車等に搭載されている電気回路や、電気回路に接続されている各種電装品を保護するために用いられてきた。詳しくは、電気回路中に意図しない過電流が流れた場合に、ヒューズの溶断部が過電流による発熱により溶断して、各種電装品に過度な電流が流れないように保護している。
【0003】
このヒューズには、様々な種類のものが知られているが、例えば、
図7に示す特許文献1に記載のヒューズ500が知られている。
【0004】
この特許文献1のヒューズ500は、
図7(a)及び(b)に示すように、溶断部520を備えた板状のヒューズエレメント530と、そのヒューズエレメント530を覆う絶縁ハウジング540とからなる。そして、このヒューズ500は、ヒューズエレメント530を絶縁ハウジング540の下側の開口端550から差し込むように取り付けて製造される。
【0005】
ただ、絶縁ハウジング540の下側が開口したままの状態では、例えば、複数のヒューズ500が袋詰めにされた場合に、他のヒューズの端子が、その開口端550から絶縁ハウジング540の内部に入り込み、溶断部520を損傷させる虞がある。
【0006】
そこで、このヒューズ500は、溶断部520を保護するために、
図7(b)に示すように、下側の開口端550を被蓋するためのフラップ560を設けている。このフラップ560は、絶縁ハウジング540の一部を折り曲げて、開口端550を被蓋するように形成されている。そして、
図7(a)に示すように、折り曲げられたフラップ560が元に戻らないための防止策として、端子510の内側に係止爪531を設けている。
【0007】
しかしながら、この特許文献1のヒューズ500は、フラップ560を設けることで、フラップ曲げ工程が別途必要になり、さらに、折り曲げられたフラップが元に戻らないための防止策を講じる必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態におけるヒューズの各部材の形状や材質等は、一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。また、以下の説明では、
図1(a)に示したように、絶縁ハウジング40を平面視した状態で、X方向をヒューズの左右方向、Y方向をヒューズの上下方向、Z方向をヒューズの前後方向とする。
【0022】
図1(a)から(d)は、本願発明のヒューズ100の絶縁ハウジング40を示しており、詳しくは、
図1(a)が絶縁ハウジング40の平面図を、
図1(b)が絶縁ハウジング40の側面図を、
図1(c)が絶縁ハウジング40の底面図を、
図1(d)が、
図1(c)におけるA−A断面図を示している。
【0023】
この絶縁ハウジング40は、下方が開口した、中空の略直方体形状をしている。具体的には、絶縁ハウジング40は前後左右を、前壁41、後壁42、左壁43、及び右壁44で囲まれ、その上端を上壁45で覆われ、下端は開口端50により開放されている。
【0024】
また、
図1(c)に示すように、開口端50の両側にも、開口端51が設けられている。しかし、
図3(b)にて後述するように、絶縁ハウジング40にヒューズエレメント30が差し込まれれば、この開口端51は導電端子10により塞がれる。そのため、本願発明における、他のヒューズの端子が入り込む虞のある開口とは、開口端50を指す。
【0025】
また、絶縁ハウジング40の板厚方向の両側の前壁41と後壁42には、A−A線を中心線として線対称の位置に計4つの突起部60が設けられている。この突起部60は、
図1(d)に示すように、開口端50から絶縁ハウジング40の上端側に位置する上壁45の内壁面まで、連続して形成されている。また、各突起部60は、その長手方向(上下方向)に直交する断面が、半円形状となっている。
【0026】
なお、この絶縁ハウジング40は、ナイロン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等の電気絶縁性の材料を用いて射出形成等により一体形成されている。ただし、このように一体形成する方法以外にも、例えば、個別に形成された各壁部を組み付けて絶縁ハウジング40全体を形成してもよく、その形成方法は適宜変更できる。
【0027】
次に、
図2(a)に、本願発明のヒューズ100のヒューズエレメント30の平面図を、
図2(b)に、ヒューズエレメント30の底面図を示す。このヒューズエレメント30は、平行に揃えられた薄板状の一対の導電端子10と、その導電端子10間に設けられた薄肉状の溶断部20とからなる。
【0028】
なお、この溶断部20は、略逆U字状をしているが、これに限られず、定格電流、溶断時間等に応じて、種々の形状にすることができる。また、導電端子10及び溶断部20の材質は、亜鉛の他に銅、ニッケル、アルミニウム、銀等、又はこれらの合金を使用することができる。
【0029】
次に、
図3(a)から(c)は、
図1に示す絶縁ハウジング40に、
図2に示すヒューズエレメント30を取り付けて得られたヒューズ100を示しており、
図3(a)はヒューズ100の平面図、
図3(b)は底面図、
図3(c)は
図3(b)におけるB−B断面図を示している。
【0030】
このヒューズ100は、絶縁ハウジング40の開口端50から、ヒューズエレメント30を内部に差し込むように取り付けることで得られる。
図3(a)から(c)に示すように、溶断部20は絶縁ハウジング40内に収容され、外部環境から保護されている。また、導電端子10の先端側は、ヒューズボックス等と接続するために、露出した状態となっている。
【0031】
図3(b)に示すように、絶縁ハウジング40内にヒューズエレメント30が収容された状態では、溶断部20は、その前後を前壁41及び後壁42により、その上側を上壁45により囲まれている。一方、溶断部20の下側の開口端50には、他のヒューズの端子の進入を防止するために、突起部60が設けられている。したがって、溶断部20は、あらゆる方向において、他のヒューズの端子の進入から保護されている。
【0032】
ところで、
図3(b)に示すように、溶断部20の前後の前壁41及び後壁42は、溶断部20から所定の距離だけ離され、溶断部20の周囲には空間Sが確保されている。この溶断部20は、過電流が流れた際に、加熱されて融点に達し、所定の時間で溶断するように、その溶断特性が設計されている。そのため、前壁41及び後壁42が溶断部20に接近しすぎると、溶断部20周囲の温度等の条件が最適とならず、所望の溶断特定が発揮されない。そこで、溶断部20と前壁41及び後壁42とのそれぞれの距離は最適となるように設計され、溶断部20の周囲には最適な空間Sが確保されている。また、突起部60の数や大きさ等も、この空間Sが最適に確保される範囲内で、決定されている。
【0033】
次に、
図3(c)に示すように、突起部60は、開口端50から絶縁ハウジング40の上端側に位置する上壁45の内壁面まで、連続して線状に形成されている。そのため、絶縁ハウジング40内に収容された溶断部20の一部が、
図3(c)に示すように、平面視した状態で、突起部60と交差する位置関係になる。
【0034】
詳しくは後述するが、この様な位置関係になると、過電流が流れて垂下した溶断部20は、絶縁ハウジング40の内壁面に設けられた突起部60に接触する。そのため、垂下した溶断部20が絶縁ハウジング40の内壁面に直接接触する場合と比較して、奪われる熱量が減り、所望の溶断特性を発揮しやすくなる。
【0035】
また、このように、突起部60を所定の長さの連続した線状にすることで、あらゆる形状の溶断部20が垂下しても、上記所望の溶断特性を発揮しやすい効果が得られる。溶断部20は、一対の導電端子10の間に設けられるが、
図3(c)に示すように略逆U字状以外の形状をしている場合もある。ただ、その場合であっても、突起部60は、一対の導電端子10の間に位置し、所定の長さの線状であるから、平面視で溶断部20と必ず交差することになる。そのため、溶断部20はどのような形状をしていても、垂下した際に突起部60に接触する可能性が高く、所望の溶断特性を発揮しやすいのである。
【0036】
なお、突起部60は、開口端50の内壁面から絶縁ハウジング40の上壁45の内壁面まで連続して形成されているが、当該事項は、他のヒューズの端子が開口端50から進入することを防止するために、必須ではない。
【0037】
つまり、絶縁ハウジング40の開口端50の内壁面に突起部60が設けられさえすれば、開口端50から進入しようとする他のヒューズの端子と突起部60とが接触することになる。よって、突起部60は、長尺状に連続して設けなくてもよく、例えば、絶縁ハウジング40の開口端50側のみに、任意の長さで、短尺状に部分的に設けてもよい。
【0038】
また、突起部60の端部61は、
図3(c)に示すように、開口端50の端面に揃うように配置されているが、この配置に限定する必要はなく、端部61が開口端50の端面から上壁45側へ引っ込んだように配置してもよい。つまり、開口端50側から進入しようとする他のヒューズの端子が、溶断部20に接触することを防止出来ればよいので、端部61は、開口端50の端面に揃う位置(
図3(c)の状態)から溶断部20の下端部21より下方の位置までの範囲内(
図3(c)の斜線で示した範囲Vを参照)に配置されればよい。
【0039】
よって、本願発明の突起部が「絶縁ハウジングの開口端の内壁面に形成される」とは、絶縁ハウジング40の内壁面に形成された突起部60の端部61が、開口端50に面する位置から溶断部20の下端部21より下方の位置までの範囲内、つまり、
図3(c)に示す範囲V内に配置されることを含む。
【0040】
では、次に、
図3(d)を参照して、溶断部20が垂下した場合について説明する。
【0041】
図3(d)に示すように、過電流が流れ溶融した溶断部20が垂下すると、その垂下した部分と突起部60の表面とが接触する。そのため、溶断部20がこれ以上垂下して、後壁42の内壁面に接触することを防ぐことができる。一方、突起部60が無ければ、垂下した溶断部20は、後壁42の平坦な内壁面と広い範囲で面接触することになり、その接触部分から多くの熱が奪われてしまう。つまり、垂下した溶断部20が、突起部60と接触した場合の接触面積は、後壁42の平坦な内壁面と広い範囲で面接触する場合と比較して少なくなるので、奪われる熱量が減り、所望の溶断特性を発揮しやすくなる。
【0042】
また、突起部60の配置数は限定されないが、特に、同じ内壁面に互いに離間した状態で、少なくも2つ以上配置することが好ましい。溶断部20は、両端部が導電端子10に固定され、その中央が宙に浮いた状態となっているので、過電流が流れ溶融すると、その中央部が重力により垂下してくる。そして、
図3(d)に示すように、溶断部20の中央部から少し離れた2箇所を、両側から2つの突起部60(突起部60aと突起部60b)が支持するため、溶断部20がそれ以上垂下して、後壁42の内壁面に接触することを、より一層確実に回避することができる。
【0043】
また、溶断部20の形状やヒューズ100の姿勢次第では、
図3(d)に示すように、溶断部20の中央部がそのまま下方へ垂下せずに、左右へずれた位置に垂下する場合もある。しかしながら、互いに離間した突起部60を2つ以上配置することで、溶断部20の垂下部が、いずれかの突起部60(突起部60a又は突起部60b)に接触することになり、後壁42の内壁面に接触することを回避できる。
【0044】
なお、溶断部20と絶縁ハウジング40の内壁面(前壁41及び後壁42の内壁面)との間には、十分な間隔が空けてあるので、いかなる場合も、必ず、垂下した溶断部20が絶縁ハウジング40の内壁面に接触するというわけではない。ただ、ヒューズ100の使用状態等により、想定以上に溶断部20が垂下する場合もあり、そのような場合に突起部60が上記効果を発揮することが期待されるのである。
【0045】
次に、
図4(a)から(d)を参照して、他のヒューズの端子が絶縁ハウジング内部に入り込むことが防止されることについて詳細に説明する。
【0046】
ヒューズ100の保管や搬送時には、沢山のヒューズ100が袋詰めにされるので、絶縁ハウジング40の開口端50へ他のヒューズの端子が入り込む場合がある。そして、入り込んだ他のヒューズの端子により、溶断部20が損傷を受ける虞がある。そこで、他のヒューズの端子があらゆる角度(縦、横、斜め)から開口端50へ入り込もうとしても、突起部60により進入が防止されることについて、
図4(b)から(d)に場合分けして説明する。
【0047】
まず、
図4(a)では、ヒューズ100の開口端50の構成について詳しく説明する。
【0048】
図4(a)に示すように、開口端50の中央には、一対の導電端子10の内側部分が迫出している。そこで、便宜的に、その導電端子10より前方の開口端50を前方開口端52、導電端子10の間の中央の開口端50を中央開口端53、導電端子10より後方の開口端50を後方開口端54と呼ぶ。
【0049】
また、前方開口端52の横幅及び後方開口端54の横幅をL1とし、前方開口端52の縦幅(前壁41の内面と導電端子10の前面との距離)、及び後方開口端54の縦幅(導電端子10の後面と後壁42の内面との距離)をL2とする。つまり、前方開口端52と後方開口端54の形状は同一形状となっている。さらに、開口端50の縦幅(前壁41の内面から後壁42の内面までの距離)をL3、中央開口端53における一対の導電端子10間の距離をL4とする。また、前壁41の内面、及び後壁42の内面に、それぞれ設けられた突起部60の半径はRとする。
【0050】
また、
図4(b)から(d)に、斜線で示した他のヒューズの導電端子110の横幅(長手方向の幅)をL5、縦幅(短手方向の幅)をL6とする。なお、同一種類のヒューズが袋詰めにされる場合が多いので、その場合は、他の導電端子110の横幅L5及び縦幅L6は、ヒューズ100の導電端子10の横幅及び縦幅とそれぞれ同一となる。
【0051】
では、
図4(b)を参照して、他の導電端子110が横になった状態で、前方開口端52へ入り込もうとする場合について説明する。また、以下で説明する事項は、前方開口端52と同じ形状をした後方開口端54についても同様に成立する。
【0052】
前方開口端52の横幅L1は他の導電端子110の横幅L5以上で、且つ、前方開口端52の縦幅L2は他の導電端子110の縦幅L6以上に設定されている場合、
図4(b)に示すように、他の導電端子110が前方開口端52に横向きになった状態で入り込もうとする。しかしながら、前壁41の内壁には突起部60が設けられているので、他の導電端子110は突起部60に接触し、前方開口端52に入り込むことができない。
【0053】
なお、
図4(b)に示すように、横向きになった状態の他の導電端子110が、前方開口端52に入り込むことをより確実に防止するためには、突起部60の頂点から導電端子10の端面までの距離L7=(L2−R)を、他の導電端子110の縦幅L6より小さくする。なお、突起部60が半円形状でない場合は、この半径Rは、絶縁ハウジング40の内壁面から突起部60の頂点までの距離に置き換えられる。
【0054】
また、当然であるが、前方開口端52の横幅L1が他の導電端子110の横幅L5未満であり、又は、前方開口端52の縦幅L2が他の導電端子110の縦幅L6未満に設定されている場合は、他の導電端子110が横向きになった状態で、前方開口端52へ入り込むことはない。
【0055】
なお、導電端子10間の横幅L4は、他の導電端子110の横幅L5より狭くなっているので、他の導電端子110が横になった状態で、中央開口端53から入り込むことはない。
【0056】
では、次に、
図4(c)を参照して、他の導電端子110が斜めになった状態で、開口端50へ入り込もうとする場合について説明する。
【0057】
図4(c)に示すように、略四角形状をした開口端50の幅は、その対角線上が最も広くなる。したがって、他の導電端子110がその対角線におおよそ沿った方向で、つまり斜めになった状態で、開口端50へ入り込もうとする場合がある。
【0058】
しかしながら、
図4(c)に示すように、絶縁ハウジング40の板厚方向の両側の内壁面にそれぞれ突起部60が設けてあるので、他の導電端子110は、前壁41の内壁に設けられた突起部60、又は後壁42の内壁に設けられた突起部60のいずれかに接触する。そのため、より確実に他の導電端子110の進入を防止することができる。
【0059】
また、互いに離間した突起部60を少なくとも2つ以上、同じ内壁面に配置してもよい。例えば、
図4(c)に示すように、前壁41の内壁面に、互いに離間した2つの突起部60a及び突起部60bを配置する。すると、
図4(c)に示すように他の導電端子110が右斜めの状態だけでなく、左斜めの状態で進入しようとしても、他の導電端子110は突起部60aに接触するので、開口端50へ入り込むことができない。
【0060】
このように、互いに離間した突起部60を少なくとも2つ以上、同じ内壁面に配置すれば、他の導電端子110が、右斜めや左斜めといったあらゆる斜角で開口端50に進入しようとしても、より確実に進入を防止することができる。
【0061】
なお、他の導電端子110が斜めになった状態で、開口端50に入り込むことを防止するための突起部60の配置は様々なものが考えられるが、例えば、以下に示すように配置してもよい。
【0062】
例えば、他の導電端子110の中心が開口端50の中心Oからずれた状態で入り込もうとすると、他の導電端子110の一部が開口端50の周囲端面のいずれかに接触して進入を防止できる。しかしながら、
図4(c)に示すように、開口端50の中心Oと他の導電端子110の中心とがほぼ重なるように入り込む場合は、他の導電端子110が開口端50の周囲端面のいずれにも接触せずに、開口端50に入り込む可能性がある。
【0063】
そこで、
図4(c)に示すように、開口端50の中心点O(つまり、開口端50の対角線の中点)に対して点対称となる位置に突起部60b及び突起部60cを設ける。すると、他の導電端子110の中心が開口端50の中心点Oと重なるように、他の導電端子110が入り込もうとしても、他の導電端子110の両端が、突起部60b及び突起部60cにそれぞれ接触する。したがって、他の導電端子110が斜めに入り込むことをより確実に防止できる。
【0064】
では、次に、
図4(d)を参照して、他の導電端子110が縦になった状態で、開口端50へ入り込もうとする場合について説明する。
【0065】
開口端50の縦幅L3が、他の導電端子110の横幅(長手方向の幅)L5以上に設定されている場合、
図4(d)に示すように、他の導電端子110が縦になった状態で開口端50に入り込もうとする。しかしながら、
図4(d)に示すように、板厚方向の両側の内壁面(前壁41及び後壁42の内壁面)にそれぞれ突起部60を設けたので、他の導電端子110は、前壁41の内壁に設けられた突起部60、又は後壁42の内壁に設けられた突起部60のいずれかに接触する。そのため、より確実に他の導電端子110の進入を防止することができる。
【0066】
また、互いに離間した突起部60を少なくとも2つ以上、同じ内壁面に配置してもよい。例えば、
図4(d)に示すように、前壁41に、互いに離間した2つの突起部60a及び突起部60bを配置する。すると、
図4(d)に示すように他の導電端子110が開口端50の中央の位置から進入する場合だけでなく、中央から左右にずれた位置から進入しようとしても、突起部60a又は突起部60bのいずれかに接触するので、開口端50へ入り込むことができない。
【0067】
このように、互いに離間した突起部60を少なくとも2つ以上、同じ内壁面に配置すれば、縦になった状態の他の導電端子110が、左右のあらゆる位置から開口端50に進入しようとしても、より確実にその進入を防止することができる。
【0068】
なお、他の導電端子110が縦になった状態で、開口端50に入り込むことを防止するための突起部60の配置は様々なものが考えられるが、例えば、以下に示すように配置してもよい。
【0069】
例えば、板厚方向の相対する突起部60の頂点間の距離L8を、他の導電端子110の横幅(長手方向の幅)L5未満に設定すれば、他の導電端子110が縦になった状態で入り込もうとしても、他の導電端子110の両端が、相対する突起部60にそれぞれ接触することになる。したがって、他の導電端子110が縦に入り込むことを防止しやすくなる。
【0070】
また、隣接する突起部60の端部間の距離L9を、他の導電端子110の縦幅(短手方向の幅)L6未満に設定すれば、他の導電端子110が縦になった状態で、隣接する突起部60の間を抜けて、開口端50に入り込むことを防止しやすくなる。
【0071】
なお、当然であるが、開口端50の縦幅L3が他の導電端子110の横幅L5未満に設定されている場合、他の導電端子110が開口端50に縦になった状態で入り込むことはない。
【0072】
以上のように、
図4(b)から(d)に、他の導電端子110が開口端50へ入り込もうとする代表的な想定パターンを示した。そして、各パターンごとに、最適な突起部60の配置や大きさ等の実施例を示した。しかしながら、これらの実施例に示す突起部60の配置や大きさ等の条件は、あくまでも各パターンにおいて、他の導電端子110が開口端50へ入り込むことをより防止しやすいように、その一例を示すものであって、この実施例に示す条件に限定しなくても、突起部60が絶縁ハウジング40の開口端50の内壁面に設けられることにより、他の導電端子110が開口端50へ入り込むことを防止できる効果が得られることは当然である。
【0073】
(変形例1及び変形例2)
以下では、
図5(a)及び(b)を参照して、本願発明のヒューズ100の変形例1であるヒューズ200、及び変形例2であるヒューズ300について説明する。ヒューズ200及びヒューズ300の構成は、突起部260及び突起部360の形状が、それぞれヒューズ100の突起部60と異なるが、他の点においては、ヒューズ100と共通している。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0074】
図5(a)に示すように、ヒューズ200の突起部260の形状は三角形状となっている。そして、開口端250に他の導電端子110が、例えば、縦、横、又は斜めの状態(
図4参照)で入り込もうとしても、突起部260に接触する。そのため、他の導電端子110が開口端250から絶縁ハウジング240内に入り込めず、溶断部220は損傷を受けることがない。
【0075】
次に、
図5(b)に示すように、ヒューズ300の突起部360の形状は台形形状となっている。そして、他の導電端子110が、例えば、縦、横、又は斜めの状態(
図4参照)で開口端350に入り込もうとしても、突起部360に接触して、他の導電端子110が絶縁ハウジング340内に入り込むことができない。
【0076】
上記変形例に示すように、突起部の形状は任意に変更することできる。そして、当該突起部が開口端に設けられているので、他のヒューズの端子がハウジング内部に入り込むことを防止できる。
【0077】
(変形例3)
以下では、
図6(a)から(d)を参照して、本願発明のヒューズ100の変形例3であるヒューズ400について説明する。ヒューズ400の構成は、突起部460の形状がヒューズ100の突起部60の形状と異なるが、他の点においては、ヒューズ100と共通している。したがって、共通する構成については、説明を省略する。
【0078】
図6(a)から(c)に示すように、突起部460の形状は、開口端450側と上端側とで異なっている。具体的には、
図6(a)に示すように、開口端450から溶断部420の下端部421の下方までは、半円形状の下方突起部461が連続して設けられ、下端部421から上端側へは、つまり、溶断部420と交差する範囲では、三角形状の上方突起部462が連続して設けられている。
【0079】
そして、この突起部460は、
図4(b)に示すように、絶縁ハウジング440の板厚方向の両側の前壁441及び後壁442に、計4つ設けられている。
【0080】
また、
図4(c)には、突起部460を拡大した底面図が示してある。下方突起部461から、三角形状の上方突起部462が突出しているのがわかる。このように、溶断部420に交差する位置の上方突起部462を三角形状としたのは、溶断部420が所望の溶断特性を更に発揮しやすくするためである。
【0081】
具体的には、
図4(d)に示すように、過電流が流れ垂下した溶断部420は、三角形状をした上方突起部462の頂点と点接触する。このように点接触させることで、接触面積を極力減らすことができ、その結果、接触部分から奪われる熱量が減って、溶断部420が所望の溶断特性を更に発揮しやすくなる。
【0082】
なお、本願発明のヒューズは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。