特許第6093263号(P6093263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6093263-シリアル通信装置 図000002
  • 特許6093263-シリアル通信装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093263
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】シリアル通信装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/24 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   G06F1/24 351
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-154930(P2013-154930)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-26210(P2015-26210A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 康司
【審査官】 宮下 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−51515(JP,A)
【文献】 特開昭61−123086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/24
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル通信線上の信号を受信してシリアル信号を出力するシリアル受信部と、
前記シリアル信号をパラレル信号に変換するとともにタイミングパルス信号を生成するシリアル/パラレル変換部と、
前記パラレル信号を蓄積するパラレルデータ蓄積部と、
前記パラレルデータ蓄積部から前記パラレル信号を読み出すプロセッサと、
前記タイミングパルス信号の変化を監視し、該タイミングパルス信号が所定の時間以上変化しない場合に、前記シリアル受信部、前記シリアル/パラレル変換部、及び前記プロセッサにリセット信号を出力するパルス監視部と、
を備えることを特徴とするシリアル通信装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記リセット信号を割り込み要求とすることを特徴とする、請求項1に記載のシリアル通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信異常を判定するシリアル通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一定周期でシリアル通信を行うシステムでは、通信ケーブルがはずれたり通信相手の電源が落とされたりするなどの要因で一定時間信号を受信しない場合、通信異常と判定するものがある。
【0003】
このような通信異常を検知する手法として、プロセッサが信号を受信する時間の間隔を測定し、一定時間信号を受信しない場合には受信装置を初期化するという手法が考えられるが、プロセッサの処理が煩雑になってしまう。
【0004】
そこで、シリアル通信線上の信号の変化をウォッチドッグタイマなどの監視手段により監視し、通信異常をプロセッサの処理によらず検知してリセット信号を生成するシリアル通信装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−172173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシリアル通信装置では、監視手段に入力される信号は、通信相手と接続されたシリアル通信線上の受信信号又はクロック信号と、ストローブ信号である。これらの信号線を分岐して監視手段への入力としているが、信号の歪みや減衰、反射などの原因となり信号品質上好ましくない。また、信号線は伝送経路上でノイズの影響を強く受けるため、監視手段が誤動作するおそれがある。また、HDLC(High-Level Data Link Control)手順などのクロック信号及びストローブ信号を用いないビット同期通信方式の場合には、監視手段への入力に受信信号を用いるほかない。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、受信信号の品質を低下させず、且つ、精度の高いリセット信号を生成することが可能なシリアル通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るシリアル通信装置は、シリアル通信線上の信号を受信してシリアル信号を出力するシリアル受信部と、前記シリアル信号をパラレル信号に変換するとともにタイミングパルス信号を生成するシリアル/パラレル変換部と、前記パラレル信号を蓄積するパラレルデータ蓄積部と、前記パラレルデータ蓄積部から前記パラレル信号を読み出すプロセッサと、前記タイミングパルス信号の変化を監視し、該タイミングパルス信号が所定の時間以上変化しない場合に、前記シリアル受信部、前記シリアル/パラレル変換部、及び前記プロセッサにリセット信号を出力するパルス監視部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るシリアル通信装置において、前記プロセッサは、前記リセット信号を割り込み要求とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シリアル通信線上の信号を直接監視するのではなく、シリアル/パラレル変換部が出力するタイミングパルスを監視するため、受信信号の品質を低下させず、且つ、精度の高いリセット信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るシリアル通信装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシリアル通信装置で用いられる信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によるシリアル通信装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るシリアル通信装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、シリアル通信装置は、シリアル受信部1と、シリアル/パラレル変換部2と、パラレルデータ蓄積部3と、プロセッサ4と、パルス監視部5とを備える。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係るシリアル通信装置で用いられる信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
【0015】
シリアル受信部1は、シリアル通信線上の受信信号100の物理信号変化を論理データであるシリアル信号11に変換し、シリアル/パラレル変換部2に出力する。なお、受信信号100とシリアル信号11は同一の信号であってもよい。
【0016】
シリアル/パラレル変換部2は、シリアル受信部1から入力されたシリアル信号11をnビット(n≧2)のパラレル信号21に変換してパラレルデータ蓄積部3に出力する。図2ではn=8としている。また、シリアル/パラレル変換部2は、nビットのパラレル信号ごとに1つのパルスを形成するタイミングパルス信号22を生成し、パラレルデータ蓄積部3及びパルス監視部5に出力する。
【0017】
パラレルデータ蓄積部3は、タイミングパルス信号22の変化するタイミングで、パラレル信号21を蓄積する。
【0018】
プロセッサ4は、パラレルデータ蓄積部3からパラレル信号31を読み出し、所定の処理を行う。
【0019】
パルス監視部5は、タイミングパルス信号22を監視し、タイミングパルス信号22が変化しない時間を検出する。パルス監視部5は、タイミングパルス信号22が所定の時間以上変化しない場合には、リセット信号51を生成し、シリアル受信部1、シリアル/パラレル変換部2、及びプロセッサ4に出力する。シリアル受信部1、シリアル/パラレル変換部2、及びプロセッサ4は、リセット信号51が入力されると、初期化(リセット)処理を行う。
【0020】
上述したように、本発明に係るシリアル通信装置においては、パルス監視部5は、通信線上の受信信号100を分岐した信号ではなく、シリアル/パラレル変換部2が出力するタイミングパルス信号22を監視する。そのため、受信信号100の分岐により受信信号の品質が低下するという問題は生じない。また、パルス監視部5は、受信信号100のノイズの影響を直接受けず、また、仮にタイミングパルス信号22のタイミングが多少ずれたとしてもパルス信号の検知には影響を受けない。よって、誤動作のおそれを軽減し、精度の高いリセット信号を生成することができる。さらに、本発明に係るシリアル通信装置は、簡単なディジタル回路により構成され、システムの処理負荷を低減することができる。
【0021】
ここで、プロセッサ4は、リセット信号51を自身への割り込み要求として入力してもよい。プロセッサ4は、割り込み要求により割り込み処理を起動して通信異常処理を行い、該処理の終了後に再度受信可能な状態となる。このようにすることで、通信異常の発生時にプロセッサ4の初期化プロセスを省略でき、再度受信可能な状態に早期に復帰することができる。
【0022】
上述の実施形態は、代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、受信信号の品質を低下させることなく、且つ、精度の高いリセット信号を生成することができるため、シリアル通信の通信異常発生時に装置を初期化する任意の用途に有用である。
【符号の説明】
【0024】
1 シリアル受信部
2 シリアル/パラレル変換部
3 パラレルデータ蓄積部
4 プロセッサ
5 パルス監視部
11 シリアル信号
21,31 パラレル信号
22 タイミングパルス信号
51 リセット信号
100 受信信号
図1
図2