(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記一般式
5で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式
5のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位と、一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位
と、下記一般式1で表わされる繰り返し単位、下記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位とを含むコポリマーであって、
前記コポリマーの少なくとも一方の末端は、置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基によって置換されたコポリマーと、
無機粒子またはその前駆体と、
を含む、複合体組成物:
【化1】
【化2】
(上記一般式
5または一般式4において、
R11は、
【化3】
であり、
R
12及びR
13は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
208、ここで、R
208は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
209R
210R
211、ここで、R
209、R
210及びR
211は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n7及びn8は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。)
【化4】
(上記一般式1において、
R
1は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC3〜C30脂環族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、または置換若しくは非置換のC2〜C30のヘテロ環基を含み、
R
2は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、
R
3及びR
4は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
200、ここで、R
200は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
201R
202R
203、ここで、R
201、R
202及びR
203は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。)
【化5】
(上記一般式2において、
R
5は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、
R
6及びR
7は、同一または異なり、それぞれ独立して、
−CF3、−CCl3、−CBr3、−CI3、−F、−Cl、−Br、−I、−NO2、−CN、−COCH3または−CO2C2H5であり、
R
8及びR
9は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
204、ここで、R
204はC1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
205R
206R
207、ここで、R
205、R
206及びR
207は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n3は、1〜4の整数であり、n5は、0〜3の整数であり、n3+n5は、4以下の整数であり、
n4は、1〜4の整数であり、n6は、0〜3の整数であり、n4+n6は、4以下の整数である。)
前記複合体組成物に含まれる無機粒子またはその前駆体は、Ti、Si、Al、Zr、Sn、B及びCeよりなる群から選ばれる1以上の元素の酸化物または水酸化物、あるいは、前記酸化物または水酸化物を形成しうる前駆体である、請求項1乃至請求項9のうちのいずれか一項に記載の複合体組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、透明性、耐熱性、機械的強度及び柔軟性に優れたポリイミドコポリマーと無機粒子との複合体組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、透明性、耐熱性、機械的強度及び柔軟性に優れたポリ(アミド−イミド)コポリマーと無機粒子との複合体組成物を提供することである。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、前記ポリイミドコポリマーと無機粒子との複合体組成物または前記ポリ(アミド−イミド)コポリマーと無機粒子との複合体組成物を含む成形品を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前記成形品を備えるディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、下記一般式3で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位と、下記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位とのうちの一つ以上と、下記一般式1で表わされる繰り返し単位、下記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位とを含むコポリマーであって、前記コポリマーの少なくとも一方の末端は、置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基によって置換されたコポリマーと、無機粒子またはその前駆体と、を含む、コポリマーと無機粒子との複合体組成物が提供される。アミド酸繰り返し単位は、ポリイミドの前駆体である“ポリアミド酸(ポリアミック酸)を構成する繰り返し単位”を意味する。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
上記一般式3または一般式4において、
R
10は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC3〜C30脂環族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、または置換若しくは非置換のC2〜C30のヘテロ環基であり、
R
11は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基を含み、前記芳香族有機基は、一つの芳香族環であるか、2以上の芳香族環が互いに接合されて縮合環を形成するか、または、2以上の芳香族環が単一結合、またはフルオレニレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−または−C(=O)NH−の官能基によって連結されており、
R
12及びR
13は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
208、ここで、R
208は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
209R
210R
211、ここで、R
209、R
210及びR
211は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n7及びn8は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。
【0013】
【化3】
【0014】
上記一般式1において、
R
1は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC3〜C30脂環族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、または置換若しくは非置換のC2〜C30のヘテロ環基を含み、
R
2は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、
R
3及びR
4は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素元素、ハロゲン元素、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
200、ここで、R
200は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
201R
202R
203、ここで、R
201、R
202及びR
203は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n1及びn2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0015】
【化4】
【0016】
上記一般式2において、
R
5は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、
R
6及びR
7は、同一または異なり、それぞれ独立して、電子吸引基であり、
R
8及びR
9は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
204、ここで、R
204はC1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
205R
206R
207、ここで、R
205、R
206及びR
207は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n3は、1〜4の整数であり、n5は、0〜3の整数であり、n3+n5は、4以下の整数であり、
n4は、1〜4の整数であり、n6は、0〜3の整数であり、n4+n6は、4以下の整数である。
【0017】
上記一般式3で表わされる繰り返し単位は、下記一般式5で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式5で表わされるイミド繰り返し単位を形成しうるアミド酸繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0018】
【化5】
【0019】
上記一般式5において、
R
11、R
12、R
13、n7及びn8は、前記上記一般式3における説明と同様である。
【0020】
具体的に、上記一般式1において、前記R
1は、下記一般式で表わされる群から選ばれうる。
【0021】
【化6】
【0022】
具体的に、上記一般式2において、前記R
6及びR
7は、同一または異なり、それぞれ独立して、−CF
3、−CCl
3、−CBr
3、−CI
3、−F、−Cl、−Br、−I、−NO
2、−CN、−COCH
3または−CO
2C
2H
5であってもよい。
【0023】
具体的に、上記一般式1及び一般式2において、前記R
2及びR
5は、同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれうる。
【0024】
【化7】
【0025】
上記一般式において、
R
18〜R
29は同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、または置換若しくは非置換のC6〜C20の芳香族有機基であり、
n11及びn14〜n20は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
n12及びn13は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。
【0026】
さらに具体的に、前記R
2及びR
5は、同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれうる。
【0027】
【化8】
【0028】
一方、前記第3の繰り返し単位は、下記一般式6で表わされる繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。
【0029】
【化9】
【0030】
上記一般式6において、
R
14は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−、−C(=O)NH−、または置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基を含み、前記芳香族有機基は、一つの芳香族環であるか、2以上の芳香族環が互いに接合されて縮合環を形成するか、または、2以上の芳香族環が単一結合、またはフルオレニレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−または−C(=O)NH−の官能基によって連結されており、
R
15は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、
R
16及びR
17は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
212、ここで、R
212は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
213R
214R
215、ここで、R
213、R
214及びR
215は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、
n9及びn10は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0031】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式3で表わされる繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。
【0032】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式4で表わされる繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。
【0033】
前記コポリマーは、それぞれ約500g/mol〜約200,000g/molの重量平均分子量を有していてもよい。
【0034】
前記コポリマーにおいて、上記一般式3で表わされる繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位の全モル数と、上記一般式4で表わされる繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位の全モル数は、約99:1〜約1:99のモル比を有していてもよい。
【0035】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。
【0036】
前記コポリマーは、上記一般式3または一般式4で表わされる繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3または一般式4の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位と第2の繰り返し単位の全モル数と、上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位の全モル数は、約95:5〜約5:95のモル比を有していてもよい。
【0037】
上記一般式1で表わされる繰り返し単位は、下記一般式7〜9で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式2で表わされる繰り返し単位は、下記一般式10〜12で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式3で表わされる繰り返し単位は、下記一般式13で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式4で表わされる繰り返し単位は、下記一般式14で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式6で表わされる繰り返し単位は、下記一般式15〜17で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
【化18】
【0047】
【化19】
【0048】
【化20】
【0049】
前記コポリマーは、上記一般式10で表わされる繰り返し単位と、上記一般式13で表わされる繰り返し単位と、上記一般式14で表わされる繰り返し単位と、を含んでいてもよい。
【0050】
前記実施形態に係るコポリマーと無機粒子との複合体組成物は、コポリマーの少なくとも一方の末端に、置換または非置換のシロキサンまたはシラノール基が置換される。
【0051】
前記コポリマーの少なくとも一方の末端に置換される、置換または非置換のシロキサンまたはシラノール基は、下記一般式20で表わされるシロキサンまたはシラノール基である:
【0052】
【化21】
【0053】
上記一般式20において、
Raは、置換若しくは非置換のアルキル基(アルキレン基)、置換若しくは非置換のアルケニル基(アルケニレン基)、置換若しくは非置換のアルキニル基(アルキニレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルキル基(シクロアルキレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルケニル基(シクロアルケニレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルキニル基(シクロアルキニレン基)、置換若しくは非置換のアリール基(アリーレン基)、または置換若しくは非置換のアラルキル基(アラルキレン基)であってもよく、
前記Rb〜Rdは、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0054】
具体的に、上記一般式20は、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよい。
【0055】
【化22】
【0056】
上記一般式において、Re〜Rgは、同一または異なり、それぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0057】
前記コポリマーと無機粒子との複合体組成物に含まれる無機粒子またはその前駆体は、Ti、Si、Al、Zr、Sn、B及びCeよりなる群から選ばれる1以上の元素の酸化物または水酸化物、あるいは、前記酸化物または水酸化物を形成しうる前駆体であってもよい。
【0058】
具体的に、前記Ti、Si、Al、Zr、Sn、BまたはCe元素の酸化物または水酸化物を形成しうる前駆体化合物は、前記元素のアルコキシド、エステル、アセチルアセトナート、またはハライド(halide;ハロゲン化物)であってもよい。
【0059】
具体的に、前記無機粒子は、シリカ(SiO
2)またはTiO
2であってもよい。
【0060】
前記シリカの前駆体としては、有機シリカ前駆体または無機シリカ前駆体を含んでいてもよく、有機シリカ前駆体は、下記一般式で表わされる化合物を用いてもよい。
【0061】
【化23】
【0062】
上記一般式において、
Rh〜Rmは、同一または異なり、それぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0063】
無機シリカ前駆体は、テトラエチルオルソシリケート(テトラエトキシシラン;テオス(TEOS))を含んでいてもよい。
【0064】
TiO
2の前駆体としては、オルトチタン酸テトライソプロピルを用いてもよい。
【0065】
前記無機粒子または無機粒子の前駆体は、前記コポリマーの重量に対して、約5重量%〜約95重量%の無機粒子を提供するのに十分な含量で含まれてもよい。具体的に、前記無機粒子または無機粒子の前駆体は、前記コポリマーの重量に対して、約10重量%〜約90重量%、より具体的には、前記コポリマーの重量に対して、約15重量%〜約80重量%の無機粒子を提供するのに十分な含量で含まれてもよい。
【0066】
本発明の他の実施形態によれば、前記ポリイミドコポリマーと無機粒子との複合体組成物を含む成形品を提供する。
【0067】
具体的には、前記成形品は、フィルム、ファイバ、コート材、または接着剤であってもよい。
【0068】
前記成形品は、360nm〜700nmの波長範囲における総光線透過率が約70%以上であってもよく、430nm波長の光に対する光線透過率が約55%以上であってもよい。
【0069】
前記成形品は、約50℃〜約400℃の温度範囲において約30ppm/℃以下の平均熱膨張係数(CTE:Coefficient of thermal expansion)を有していてもよい。
【0070】
前記成形品は、約7%以下のヘイズを有していてもよい。
【0071】
前記成形品は、約20%以下の黄色度(YI)を有していてもよい。
【0072】
前記成形品は、約400℃以上のガラス転移温度(Tg)を有していてもよい。
【0073】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記成形品を備えるディスプレイ装置を提供する。
【0074】
その他の本発明の実施形態の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0075】
本発明の一実施形態に係るコポリマーと無機粒子との複合体組成物は、溶媒への可溶性、加工性及び光学的な特性に優れており、熱膨張係数を下げることができる他、高い耐熱性及び機械的強度を有していることから、成形品の製造、特に、高い耐熱性と透明性が求められるディスプレイ装置用のフィルムの製造に好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、本発明の実施形態を詳述する。ただし、これは単なる例示に過ぎず、これによって本発明が制限されることはなく、本発明は、後述する請求項の範囲によって定義されるだけである。
【0078】
この明細書において、特に断りのない限り、「置換」とは、本発明の官能基のうちの1以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH
2、NH(R
100)またはN(R
101)(R
102)であり、ここで、R
100、R
101及びR
102は同一または異なり、それぞれ独立して、C1〜C10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換の脂環族有機基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換のアルキニル基、置換若しくは非置換のヘテロアリール基、及び置換若しくは非置換のヘテロ環基よりなる群から選ばれる1種以上の置換基で置換されたものを意味し、前記置換基は、互いに連結されて環を形成することができる。
【0079】
この明細書において、特に断りのない限り、「アルキル基」とは、C1〜C30のアルキル基を意味し、具体的には、C1〜C15のアルキル基を意味し、「シクロアルキル基」とは、C3〜C30のシクロアルキル基を意味し、具体的には、C3〜C18のシクロアルキル基を意味し、「アルコキシ基」とは、C1〜C30アルコキシ基を意味し、具体的には、C1〜C18のアルコキシ基を意味し、「エステル基」とは、C2〜C30のエステル基を意味し、具体的には、C2〜C18のエステル基を意味し、「ケトン基」とは、C2〜C30のケトン基を意味し、具体的には、C2〜C18のケトン基を意味し、「アリール基」とは、C6〜C30のアリール基を意味し、具体的には、C6〜C18のアリール基を意味し、「アルケニル基」とは、C2〜C30のアルケニル基を意味し、具体的には、C2〜C18のアルケニル基を意味し、「アルキニル基」とは、C2〜C30のアルキニル基、特にC2〜C18のアルキニル基を意味し、「アルキレン基」とは、C1〜C30のアルキレン基を意味し、具体的には、C1〜C18のアルキレン基を意味し、「アリーレン基」とは、C6〜C30のアリーレン基を意味し、具体的には、C6〜C16のアリーレン基を意味する。
【0080】
また、この明細書において、特に断りのない限り、「脂肪族有機基」とは、C1〜C30のアルキル基、C2〜C30のアルケニル基、C2〜C30のアルキニル基、C1〜C30のアルキレン基、C2〜C30のアルケニレン基、またはC2〜C30のアルキニレン基を意味し、具体的には、C1〜C15のアルキル基、C2〜C15のアルケニル基、C2〜C15のアルキニル基、C1〜C15のアルキレン基、C2〜C15のアルケニレン基、またはC2〜C15のアルキニレン基を意味し、「脂環族有機基」とは、C3〜C30のシクロアルキル基、C3〜C30のシクロアルケニル基、C3〜C30のシクロアルキニル基、C3〜C30のシクロアルキレン基、C3〜C30のシクロアルケニレン基、またはC3〜C30のシクロアルキニレン基を意味し、具体的には、C3〜C15のシクロアルキル基、C3〜C15のシクロアルケニル基、C3〜C15のシクロアルキニル基、C3〜C15のシクロアルキレン基、C3〜C15のシクロアルケニレン基、またはC3〜C15のシクロアルキニレン基を意味し、「芳香族有機基」とは、一つの芳香族環、2以上の芳香族環がともに縮合環をなすもの、または2以上の芳香族環が単一結合、または、フルオレニレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、pの範囲は、1≦p≦10である)、−(CF
2)
q−(ここで、qの範囲は、1≦q≦10である)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−、及び−C(=O)NH−から選ばれる官能基、特に、−S(=O)
2−で連結されたものを含む、C6〜C30グループ、例えば、C6〜C30のアリール基、またはC6〜C30のアリーレン基を意味し、具体的には、C6〜C16のアリール基、またはフェニレン基などのC6〜C16のアリーレン基を意味し、「ヘテロ環基」とは、O、S、N、P、Si及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるヘテロ原子を一つの環内に1個〜3個含有するC2〜C30のシクロアルキル基、C2〜C30のシクロアルキレン基、C2〜C30のシクロアルケニル基、C2〜C30のシクロアルケニレン基、C2〜C30のシクロアルキニル基、C2〜C30のシクロアルキニレン基、C2〜C30のヘテロアリール基、またはC2〜C30のヘテロアリーレン基を意味し、具体的には、O、S、N、P、Si及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるヘテロ原子を一つの環内に1個〜3個含有するC2〜C15のシクロアルキル基、C2〜C15のシクロアルキレン基、C2〜C15のシクロアルケニル基、C2〜C15のシクロアルケニレン基、C2〜C15のシクロアルキニル基、C2〜C15のシクロアルキニレン基、C2〜C15のヘテロアリール基、またはC2〜C15のヘテロアリーレン基を意味する。
【0081】
この明細書において、特に断りのない限り、「組み合わせ」とは、混合または共重合を意味する。
【0082】
さらに、この明細書において、「*」は、他の原子と連結される部分を意味する。
【0083】
本発明の一実施形態は、下記一般式3で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位と、下記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位とのうちの一つ以上と、下記一般式1で表わされる繰り返し単位、下記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位とを含むコポリマーであって、前記コポリマーの少なくとも一方の末端は、置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基によって置換されたコポリマーと、
無機粒子またはその前駆体と、
を含むコポリマーと無機粒子との複合体組成物を提供する:
【0086】
上記一般式3または一般式4において、
R
10は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1〜C30の脂肪族有機基、置換若しくは非置換のC3〜C30の脂環族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、または置換若しくは非置換のC2〜C30のヘテロ環基であり、具体的には、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基であってもよく、さらに具体的には、−C(CF
3)
2−であってもよい。
【0087】
R
11は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基を含み、前記芳香族有機基は一つの芳香族環であるか、2以上の芳香族環が互いに接合されて縮合環を形成するか、または2以上の芳香族環が単一結合、またはフルオレニレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−または−C(=O)NH−の官能基によって連結されており、具体的には、前記芳香族有機基の少なくとも一つの水素原子は、電子吸引基で置換されていてもよい。このとき、前記電子吸引基は、−CF
3、−CCl
3、−CBr
3、−CI
3、−F、−Cl、−Br、−I、−NO
2、−CN、−COCH
3または−CO
2C
2H
5であってもよいが、これに限定されない。
【0088】
R
12及びR
13は、同一または異なり、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
208、ここで、R
208は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
209R
210R
211、ここで、R
209、R
210及びR
211は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基である。
【0089】
n7及びn8は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。
【0091】
上記一般式1において、
R
1は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC3〜C30の脂環族有機基、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基、または置換若しくは非置換のC2〜C30のヘテロ環基、または置換若しくは非置換のC13〜C20のフルオレニレン基である。
【0092】
R
2は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、具体的には、フェニレン基またはビフェニレン基であってもよい。
【0093】
R
3及びR
4は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
200、ここで、R
200は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
201R
202R
203、ここで、R
201、R
202及びR
203は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基であり、具体的には、水素原子であってもよい。
【0094】
n1及びn2は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0095】
具体的には、前記R
1は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0097】
具体的には、前記R
2は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0099】
上記一般式において、
R
18〜R
29は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、または置換若しくは非置換のC6〜C20の芳香族有機基であり、
n11及びn14〜n20は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、
n12及びn13は、それぞれ独立して、0〜3の整数である。
【0100】
さらに具体的には、前記R
2は、同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0103】
上記一般式2において、
R
5はそれぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、具体的には、フェニレン基またはビフェニレン基であってもよい。
【0104】
R
6及びR
7は、同一または異なり、それぞれ独立して、電子吸引基である。
【0105】
R
8及びR
9は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
204、ここで、R
204は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
205R
206R
207、ここで、R
205、R
206及びR
207は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基である。
【0106】
n3は、1〜4の整数であり、n5は、0〜3の整数であり、n3+n5は、4以下の整数であり、
n4は、1〜4の整数であり、n6は、0〜3の整数であり、n4+n6は、4以下の整数である。
【0107】
具体的に、前記R
5は、同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0109】
上記一般式において、
R
18〜R
29、n11〜n20についての説明は、前記R
2における説明と同様である。
【0110】
具体的には、前記R
6及びR
7は、電子吸引基であり、前記電子吸引基は、−CF
3、−CCl
3、−CBr
3、−CI
3、−F、−Cl、−Br、−I、−NO
2、−CN、−COCH
3または−CO
2C
2H
5であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0111】
さらに具体的には、R
5は、同一または異なり、それぞれ独立して、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよい。
【0113】
上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位またはこれらの繰り返し単位の組み合わせはアミド繰り返し単位であって、これらの繰り返し単位を含む場合、溶媒への可溶性、加工性、柔軟性及び光学的特性に優れており、熱膨張係数を下げることができる。これにより、前記繰り返し単位を含むコポリマーは、優れた光学的特性、例えば、透明性を有することができ、優れた加工性及び柔軟性を有することができ、低い熱膨張係数を有することができる。
【0114】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。前記コポリマーが前記繰り返し単位を前記範囲で含む場合、これを含むコポリマーの光学的特性、加工性及び柔軟性を効果的に改善することができる。具体的には、前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第3の繰り返し単位を1個〜100個、さらに具体的には、1個〜20個含んでいてもよい。
【0115】
一方、前記第3の繰り返し単位は、下記一般式6で表わされる繰り返し単位をさらに含んでいてもよい。
【0117】
上記一般式6において、
R
14は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−、−C(=O)NH−、または置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基を含み、前記芳香族有機基は一つの芳香族環であるか、2以上の芳香族環が互いに接合されて縮合環を形成するか、2以上の芳香族環が単一結合、またはフルオレニレン基、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH(OH)−、−S(=O)
2−、−Si(CH
3)
2−、−(CH
2)
p−(ここで、1≦p≦10)、−(CF
2)
q−(ここで、1≦q≦10)、−C(CH
3)
2−、−C(CF
3)
2−または−C(=O)NH−の官能基によって連結されており、具体的には−S(=O)
2−によって連結されていてもよい。
【0118】
R
15は、それぞれの繰り返し単位において同一または異なり、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6〜C30の芳香族有機基であり、具体的には、フェニレン基またはビフェニレン基であってもよい。
【0119】
R
16及びR
17は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エーテル基(−OR
212、ここで、R
212は、C1〜C10の脂肪族有機基である)、シリル基(−SiR
213R
214R
215、ここで、R
213、R
214及びR
215は、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C10の脂肪族有機基である)、置換若しくは非置換のC1〜C10の脂肪族有機基、またはC6〜C20の芳香族有機基である。
【0120】
n9及びn10は、それぞれ独立して、0〜4の整数である。
【0121】
前記コポリマーが上記一般式6で表わされる繰り返し単位をさらに含む場合、コポリマーの透光度を改善することができる。
【0122】
上記一般式3または一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式3または一般式4で表わされるイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位は、耐熱性及び機械的強度に優れており、成形品の製造時に耐溶剤性に優れており、延伸時に結晶の生成を抑えることができる。これにより、前記第1の繰り返し単位及び/又は第2の繰り返し単位を含むコポリマーは、優れた熱的特性及び機械的強度を有することができる。
【0123】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式3で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式3のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第1の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。具体的には、第1の繰り返し単位を1個〜100個、さらに具体的には、1個〜20個含んでいてもよい。
【0124】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、イミド化によって上記一般式4のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせを含む第2の繰り返し単位を1個〜1,000個含んでいてもよい。具体的には、第2の繰り返し単位を1個〜100個、さらに具体的には、1個〜20個含んでいてもよい。
【0125】
前記繰り返し単位が前記範囲として含まれる場合、前記コポリマーの熱的特性及び機械的強度を効果的に改善することができ、また、光学的な特性も改善することができる。具体的には、同一または互いに異なる上記一般式3または一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式3のイミド繰り返し単位または一般式4のイミド繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位は1個〜100個、さらに具体的には、1個〜20個含まれてもよい。
【0126】
前記コポリマーは約500g/mol〜約200,000g/molの重量平均分子量を有することができる。前記コポリマーの重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記コポリマーの熱的特性及び機械的強度を効果的に改善することができ、また、光学的な特性も改善することができる。具体的には、前記コポリマーは約5,000g/mol〜約100,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0127】
一方、上記一般式3で表わされる繰り返し単位は、下記一般式5で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式5で表わされるイミド繰り返し単位を形成しうるアミド酸繰り返し単位を含んでいてもよい:
【0129】
上記一般式5において、
R
11、R
12、R
13、n7及びn8についての説明は、上記一般式3における説明と同様である。
【0130】
上記一般式3の繰り返し単位が上記一般式5で表わされる繰り返し単位を含む場合、前記コポリマーにおいて、上記一般式3および/または一般式5で表わされる繰り返し単位、および/またはイミド化によって上記一般式3および/または一般式5の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位の全モル数と、上記一般式4で表わされる繰り返し単位、および/またはイミド化によって上記一般式4の繰り返し単位を形成するアミド酸繰り返し単位の全モル数は、約99:1〜約1:99のモル比を有することができる。この場合、前記コポリマーは、優れた耐熱性、機械的強度及び柔軟性を有することができ、優れた光学的特性、具体的には、透光度を有することができる。
【0131】
前記コポリマーにおいて、前記第1の繰り返し単位に含まれる全繰り返し単位と前記第2の繰り返し単位に含まれる全繰り返し単位は、約99:1〜約1:99のモル比を有することができる。
【0132】
前記コポリマーは、同一または互いに異なる上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、上記一般式6で表わされる繰り返し単位を、それぞれ1個〜1,000個含んでいてもよい。
【0133】
前記コポリマーは、前記第1の繰り返し単位と前記第2の繰り返し単位に含まれる全繰り返し単位と、前記第3の繰り返し単位に含まれる全繰り返し単位は、約95:5〜約5:95のモル比、具体的には、約90:10〜約10:90のモル比を有することができる。
【0134】
前記コポリマーに含まれる全繰り返し単位の数、及び全繰り返し単位のモル比が前記範囲内である場合、前記コポリマーは、優れた光学的特性、耐熱性、機械的強度及び柔軟性を有することができる。
【0135】
上記一般式1で表わされる繰り返し単位は、下記一般式7〜9で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式2で表わされる繰り返し単位は、下記一般式10〜12で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式3(または一般式5)で表わされる繰り返し単位は、下記一般式13で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式4で表わされる繰り返し単位は、下記一般式14で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよく、上記一般式6で表わされる繰り返し単位は、下記一般式15〜17で表わされる繰り返し単位を含んでいてもよいが、これに限定されるものではない。
【0147】
前記実施形態に係るコポリマーと無機粒子との複合体組成物は、コポリマーの少なくとも一方の末端に、置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基が置換される。
【0148】
前記コポリマーの少なくとも一方の末端に置換される、置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基は、下記一般式20で表わされるシロキサンまたはシラノール基である:
【0150】
上記一般式20において、
Raは、置換若しくは非置換のアルキル基(アルキレン基)、置換若しくは非置換のアルケニル基(アルケニレン基)、置換若しくは非置換のアルキニル基(アルキニレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルキル基(シクロアルキレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルケニル基(シクロアルケニレン基)、置換若しくは非置換のシクロアルキニル基(シクロアルキニレン基)、置換若しくは非置換のアリール基(アリーレン基)、または置換若しくは非置換のアラルキル基(アラルキレン基)であってもよく、
前記Rb〜Rdは、同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0151】
具体的に、上記一般式20は、下記一般式で表わされる群から選ばれてもよく、これに限定されない。
【0153】
上記一般式において、Re〜Rgは、同一または異なり、それぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0154】
前記コポリマーの一方の末端に前記シロキサンまたはシラノール基を置換することにより、後述するように、前記コポリマーと無機粒子または無機粒子の前駆体が混合されて組成物を形成する場合、前記無機粒子または無機粒子の前駆体は、前記コポリマーのシロキサンまたはシラノールの末端と結合することによって組成物内において凝集することなく、均等に分散してコポリマーとよく混合され、これにより、前記コポリマーと無機粒子または無機粒子の前駆体を含む組成物が高い耐熱性及び優れた光学特性を示すことになる。
【0155】
前記コポリマーの一方の末端に置換されたシロキサンまたはシラノール基は、以後、前記組成物を乾燥及び加熱して成形品を製造する過程において、前記無機粒子または無機粒子の前駆体と加水分解による架橋結合を形成し、これにより、前記コポリマーは、フィルムなどに成形される場合に、コポリマーの間に架橋結合が形成されることにより、より高い機械的強度、耐熱性、及び光学特性を実現することができる。以上のように、本発明の組成物は、前記コポリマーの末端の前記シロキサンまたはシラノール基と無機粒子が、混合時、水素結合などによって結合して無機粒子の均等な分散を助ける状態で存在する。よって、必ずしも一体化した形態であるとはいえない。しかしながら、この組成物を乾燥、加熱して成形する場合には、コポリマーの末端の前記シロキサンまたはシラノール基と無機粒子との間の架橋結合が起きて一体化する形態となる。
【0156】
前記コポリマーと無機粒子との複合体組成物に含まれる無機粒子またはその前駆体は、Ti、Si、Al、Zr、Sn、B及びCeよりなる群から選ばれる1以上の元素の酸化物または水酸化物、あるいは、前記酸化物または水酸化物を形成しうる前駆体を含む。
【0157】
具体的に、前記Ti、Si、Al、Zr、Sn、B、またはCe元素の酸化物または水酸化物を形成しうる前駆体化合物は、前記元素のアルコキシド、エステル、アセチルアセトナート、またはハライド(halide;ハロゲン化物)であってもよく、これに限定されない。
【0158】
具体的に、前記無機粒子は、シリカ(SiO
2)またはTiO
2である。
【0159】
シリカの前駆体としては、有機シリカ前駆体または無機シリカ前駆体を含んでいてもよく、有機シリカ前駆体は、下記一般式で表わされる化合物を用いてもよいが、これらに限定されない:
【0161】
上記一般式において、
Rh〜Rmは、同一または異なり、それぞれ独立して、C1〜C20のアルキル基、C2〜C20のアルケニル基、C2〜C20のアルキニル基、C3〜C20のシクロアルキル基、またはC6〜C18のアリール基であってもよい。
【0162】
無機シリカ前駆体は、テトラエチルオルソシリケート(テトラエトキシシラン;テオス(TEOS))を含んでいてもよく、これに限定されない。
【0163】
TiO
2の前駆体としては、オルトチタン酸テトライソプロピルを用いてもよく、これに限定されない。
【0164】
前記無機粒子または無機粒子の前駆体は、前記コポリマーの重量に対して、約5重量%〜約95重量%の無機粒子を提供するのに十分な含量で含まれうる。具体的に、前記無機粒子または無機粒子の前駆体は、前記コポリマーの重量に対して、約10重量%〜約90重量%、さらに具体的には、前記コポリマーの重量に対して、約15重量%〜約80重量%の無機粒子を提供するのに十分な含量で含まれうる。
【0165】
前記含量範囲で前記無機粒子または無機粒子の前駆体を含む場合、ポリイミド共重合体のみを用いる場合に比べて、高い光学特性を維持しながらも、優れた耐熱性及び低い熱膨張係数(CTE)を実現することができる。
【0166】
前記コポリマーが前記無機粒子または無機粒子の前駆体を含む場合、前記コポリマーと前記無機粒子または無機粒子の前駆体を含む複合体組成物は、高い機械的強度、耐熱性、及び優れた光学特性が実現され、熱膨張係数(CTE)を下げることができ、加工性も一層改善される。
【0167】
ディスプレイ用プラスチック基板には、高い透光度、耐溶媒性、低い熱膨張係数(CTE)、耐熱性などが求められ、特に、有機発光ダイオード(OLED)向けプラスチック基板の場合、酸化物薄膜トランジスター(oxide TFT)またはポリシリコン薄膜トランジスター(polysilicon TFT)の形成に際して400℃以上の高温に晒される(露出される)ため、高い耐熱性と、高温における無色、透明性の維持が必要である。
【0168】
しかしながら、ほとんどのポリマーの場合、400℃以上の温度に晒される(露出される)場合に黄変によってOLED向け基板として用い難い場合が多い。一般に多用されるポリイミドの場合、光学的特性を改善するために、バルキーな側鎖基、またはキンク(kink)構造を導入したり、フルオリン化合物を用いたりする場合が多いが、この場合、熱膨張係数(CTE)が高くなるという問題がある。なお、脂環族化合物を導入したポリマーの場合、透光度及び低い熱膨張係数(CTE)を達成することができるが、熱的安定性が不足して高温における酸化による変色の問題が深刻である。
【0169】
しかしながら、前記実施形態に係るコポリマーと無機粒子またはこの前駆体を含む複合体組成物は、透明、無色の特徴を示すポリイミドまたはポリ(イミド−アミド)コポリマーを基本とし、ここにシリカまたはTiO
2などの無機粒子またはこれらの前駆体を含む複合体組成物を形成することにより、前記無機粒子または無機粒子の前駆体による高い耐熱性、機械的強度、及び低い熱膨張係数(CTE)が実現される。特に、前記組成物は、フィルムの形成に際して即座に前記コポリマーと前記無機粒子または無機粒子の前駆体が架橋結合を形成することにより、より高い機械的強度、耐熱性、及び優れた光学的特性が実現される。
【0170】
さらに、上述したように、無機物の高充填による相分離の問題を解消するためにオリゴマー末端にシロキサンまたはシラノール基を置換することにより、これらのシロキサンまたはシラノール末端は、前記無機粒子または無機粒子の前駆体と前記コポリマーとが架橋結合を形成するようにし、これにより、一層高い機械的強度及び一層高い耐熱性並びに優れた光学特性が実現される。
【0171】
具体的に、前記ポリイミドコポリマー(ポリアミドコポリマーないしポリ(アミド−イミド)コポリマー)は、約380nm〜約750nmの波長範囲において総光線透過率が約80%以上であってもよく、約400nmの波長の光に対する光線透過率が約55%以上であってもよい。前記ポリイミドコポリマー(ポリアミドコポリマーないしポリ(アミド−イミド)コポリマー)の光に対する光線透過率が前記範囲内である場合に、前記ポリイミドコポリマー(ポリアミドコポリマーないしポリ(アミド−イミド)コポリマー)は、透明性が求められる種々の分野に用いられる成形品の製造のために使用可能であり、優れた色再現性を有することができる。具体的には、前記ポリイミドコポリマー(ポリアミドコポリマーないしポリ(アミド−イミド)コポリマー)は、約380nm〜約750nmの波長範囲において総光線透過率が約80%ないし約95%であってもよく、約400nmの波長の光に対する光線透過率が約55%ないし約90%であってもよい。
【0172】
一方、前記組成物内のポリイミドまたはポリ(イミド−アミド)コポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、交互コポリマーなど、いずれの形態でもよい。
【0173】
以下、前記コポリマーと前記無機粒子またはその前駆体を含む複合体組成物の製造方法について説明する。
【0174】
本発明の一実施形態により、前記第1の繰り返し単位及び/又は前記第2の繰り返し単位と、前記第3の繰り返し単位とを含むコポリマーの製造方法は、ジアミン及びジカルボン酸誘導体から上記一般式1で表わされる繰り返し単位、上記一般式2で表わされる繰り返し単位、またはこれらの繰り返し単位の組み合わせであるモノマーを製造するステップと、前記製造されたモノマーに、上記一般式3で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式3のイミドを形成するアミド酸繰り返し単位を製造するためのモノマー、及び/又は上記一般式4で表わされるイミド繰り返し単位、またはイミド化によって上記一般式4のイミドを形成するアミド酸繰り返し単位を製造するためのモノマーを添加して一緒に共重合するステップと、前記共重合されたコポリマーの少なくとも一方の末端に前記置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基を置換するステップと、を含む。一実施形態においては、前記コポリマーは両末端の両方において、それぞれ独立して、前記置換若しくは非置換のシロキサンまたはシラノール基で置換されてもよい。
【0175】
本発明の実施形態に係るコポリマーは、一部特定の方法によってのみ製造することができるわけではなく、当該技術分野において通常の知識を有する者に公知のポリ(イミド−アミド)コポリマーの製造に関する種々の方法を使用して製造することができるということが十分理解できるであろう。
【0176】
上記一般式1及び一般式2の繰り返し単位は、アミド繰り返し単位であって、これらは一般に、例えば、低温溶液重合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法などを用いて製造することができるが、これに限定されるものではない。
【0177】
これらのうち、低温溶液重合法を例にとって前記アミド繰り返し単位を製造する方法について説明する。前記低温溶液重合法は、非プロトン性極性溶媒にてカルボキシル酸ジクロライドとジアミンを重合することによりアミド繰り返し単位を製造する。
【0178】
前記非プロトン性極性溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、或いは、ヘキサメチルホスホルアミド(hexamethylphosphoramide)、γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、これらを単独でまたは組み合わせて用いることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、キシレン、トルエンなどの芳香族炭化水素を用いることもできる。なお、ポリマーの溶解を促すために、前記溶媒に前記溶媒の総量に対して約50重量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩をさらに添加することもできる。
【0179】
上記一般式1または一般式2の繰り返し単位は、前記非プロトン性極性溶媒の存在下、例えば、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン(4,4’−(9−fluorenylidene)dianiline;BAPF)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’−bis(trifluoromethyl)benzidine;TFDB)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−diaminodiphenyl sulfone;DADPS)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4−(4−aminophenoxy)phenyl)sulfone;BAPS)、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン(2,2’,5,5’−tetrachlorobenzidine)、2,7−ジアミノフルオレン(2,7−diaminofluorene)、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン(1,1−bis(4−aminophenyl)cyclohexane)、4,4’−メチレンビス−(2−メチルシクロヘキシルアミン)(4,4’−methylenebis−(2−methylcyclohexylamine))、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4−diaminooctafluorobiphenyl)、3,3’−ジヒドロキシベンジジン(3,3’−dihydroxybenzidine)、1,3−シクロヘキサンジアミン(1,3−cyclohexanediamine)及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるジアミンと、例えば、トレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride;TPCl)、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride;IPCl)、ビフェニルジカルボニルクロライド(biphenyl dicarbonyl chloride;BPCl)、ナフタレンジカルボニルクロライド、テルフェニルジカルボニルクロライド、2−フルオロ−トレフタロイルクロライド及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるカルボン酸ジクロライドとを混合して反応させることにより得られる。このとき、一般式1の繰り返し単位または一般式2の繰り返し単位の所望の組成に合わせて、前記ジアミンと前記カルボン酸ジクロライドの種類及び量を適切に選択して用いることができるということはいうまでもない。
【0180】
一方、上記一般式1の繰り返し単位または一般式2の繰り返し単位の製造に際して、前記ジアミンを前記カルボン酸ジクロライドよりも過剰に用いる場合に、製造された繰り返し単位の末端にアミン基が存在するようにしてもよい。
【0181】
一方、上記一般式3及び一般式4の繰り返し単位はイミド繰り返し単位であって、これらのイミド(ポリイミド)は、一般に、イミド(ポリイミド)の前駆体であるアミド酸(ポリアミド酸;ポリアミック酸)を製造した後、これをイミド化する通常の方法により製造することができる。例えば、イミド(ポリイミド)の前駆体であるアミド酸(ポリアミド酸;ポリアミック酸)は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させて製造することができ、これを熱的または化学的イミド化によってポリイミドを製造することができる。
【0182】
一例として、前記アミド酸(ポリアミド酸;ポリアミック酸)の製造のためには、例えば、2,2−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2−bis−(3,4−dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride;6FDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(3,3’,4,4’−biphenyltetracarboxylic dianhydride;BPDA)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(benzophenone tetracarboxylic dianhydride;BTDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアンハイドライド(bis(3,4−dicarboxyphenyl)sulfone dianhydride)及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物と、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’−bis(trifluoromethyl)benzidine;TFDB)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’−diaminodiphenyl sulfone;DADPS)、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン(4,4’−(9−fluorenylidene)dianiline;BAPF)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4−(4−aminophenoxy)phenyl)sulfone;BAPS)、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン(2,2’,5,5’−tetrachlorobenzidine)、2,7−ジアミノフルオレン(2,7−diaminofluorene)、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン(1,1−bis(4−aminophenyl)cyclohexane)、4,4’−メチレンビス−(2−メチルシクロヘキシルアミン)(4,4’−methylenebis−(2−methylcyclohexylamine))、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4−diaminooctafluorobiphenyl)、3,3’−ジヒドロキシベンジジン(3,3’−dihydroxybenzidine)、1,3−シクロヘキサンジアミン(1,3−cyclohexanediamine)及びこれらの組み合わせよりなる群から選ばれるジアミンを用いて製造することができる。このとき、所望の組成に合わせて、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンの種類及び量を適切に選択して用いることができるということはいうまでもない。
【0183】
一方、前記アミド酸(ポリアミド酸;ポリアミック酸)の製造に際して、前記ジアミンを前記テトラカルボン酸二無水物よりも過剰に用いる場合、製造されるコポリマーの末端にアミン基が存在するようにしてもよい。
【0184】
上記では、一般式1及び/又は一般式2の繰り返し単位を含むポリアミドの製造方法、及び一般式3及び/又は一般式4の繰り返し単位を含むポリイミドの製造方法をそれぞれ説明したが、本発明の一実施形態に係るポリ(アミド−イミド)コポリマーを製造する場合、前記それぞれの繰り返し単位を形成するモノマーを一緒に混合して重合するか、または、先にアミド繰り返し単位を含むモノマーを製造した後、ここにイミド製造用のモノマーを添加して共重合することによってポリ(アミド−イミド)コポリマーを製造することもできる。
【0185】
上記のようにして製造されたコポリマーの一方の末端にシロキサンまたはシラノール基を置換する。すなわち、前記製造されたポリ(アミド−イミド)コポリマー溶液に、上述した一般式20のシロキサンまたはシラノール基を含む化合物を添加し、これを攪拌、混合することにより、コポリマーの(少なくとも)一方の末端にシロキサンまたはシラノール基が置換されたポリ(アミド−イミド)コポリマーを得られる。
【0186】
このように、コポリマーの(少なくとも)一方の末端にシロキサンまたはシラノール基を置換することは、コポリマーの製造後に、前記コポリマーを含む溶液にシロキサンまたはシラノール基を含む化合物を混合するだけで行われる。
【0187】
以下、前記製造された、(少なくとも)一方の末端にシロキサンまたはシラノール基が置換されたコポリマーと、無機粒子または無機粒子の前駆体を含む複合体組成物の製造方法について説明する。この複合体組成物の製造方法も簡単である。
【0188】
すなわち、前記製造された(少なくとも)一方の末端にシロキサンまたはシラノール基が置換されたコポリマーに、無機粒子または無機粒子の前駆体を含む溶液を添加し、これらを混合、攪拌することにより、前記シロキサンまたはシラノール基が置換されたコポリマーと無機粒子またはその前駆体を含む複合体組成物を製造することができる。
【0189】
前記複合体組成物は、これを基板の上にコートして乾燥することにより、無機ナノ粒子を含む有機高分子フィルムに成形可能である。
【0190】
前記実施形態に係るコポリマーは、所望の用途に応じて分子量を適切に調節することにより、オリゴマーまたは高分子量のポリマーとして製造可能である。
【0191】
オリゴマーとして製造する場合に、これは粘度が低くてOLED向け基板の製造に用いられるスピンコートに好適である。すなわち、上述したようにして製造されたオリゴマーと無機粒子との複合体組成物を基板の上にスピンコートし、これを乾燥することにより、直ちにOLED向け透明基板フィルムを容易に製造することができる。オリゴマーを用いて光学フィルムを製造することが容易ではないが、本発明の一実施形態に係るオリゴマーと無機粒子との複合体組成物を用いる場合に、上述したように、前記オリゴマーの(少なくとも)一方の末端に置換されたシロキサンまたはシラノール基と、前記無機粒子または無機粒子前駆体がフィルムの形成と同時にインサイチュにて架橋結合を形成することにより、十分な引っ張り強度と機械的強度、高い耐熱性と低い熱膨張係数(CTE)、及び透明度を維持する光学フィルムとして製造可能である。
【0192】
したがって、本発明のさらに他の一実施形態においては、前記コポリマーと無機粒子との複合体を含む成形品を提供する。
【0193】
前記成形品は、フィルム、ファイバ、コート材、接着剤などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0194】
前記成形品は、前記コポリマーと無機粒子との複合体組成物を用いて、乾湿式法、乾式法、湿式法などにより形成することができるが、これに限定されるものではない。具体的に、上述したように、前記成形品は、光学フィルムであってもよく、この場合、前記コポリマーと無機粒子との複合体組成物は、基板の上にスピンコートなどの方法により適用された後、これを乾燥及び硬化することにより容易に製造可能である。
【0195】
前記コポリマーと無機粒子との複合体を含む成形品は、360nm〜700nmの波長範囲において総光線透過率が約70%以上、具体的には(好ましくは)、約75%以上であってもよく、430nmの波長の光に対する光線透過率が約55%、具体的には(好ましくは)、約60%以上であってもよい。前記コポリマーと無機粒子との複合体を含む成形品の光に対する光線透過率が前記範囲内である場合に、前記成形品は、優れた色再現性を有することができる。具体的には(好ましくは)、前記成形品は、360nm〜750nmの波長範囲において総光線透過率が約75%〜約95%であってもよく、430nmの波長の光に対する光線透過率が約60%〜約90%であってもよい。
【0196】
前記成形品は、約30ppm/℃以下の熱膨張係数(CTE)を有することができる。前記成形品の熱膨張係数が前記範囲内である場合、優れた耐熱性を有することができる。具体的には、前記成形品は、約25ppm/℃以下、さらに具体的には、約20ppm/℃以下の熱膨張係数を有することができる。
【0197】
前記成形品は、約400℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。本発明の一実施形態に係るコポリマーと無機粒子との複合体組成物は、前記無機粒子の導入によって、ガラス転移温度が400℃以上に顕著に向上可能であり、このような高いガラス転移温度は、OLEDの製造などの高温における工程のために非常に重要である。
【0198】
前記成形品は、約7%以下のヘイズを有することができる。前記成形品のヘイズの範囲が前記範囲内である場合に、前記成形品は十分に透明であるため優れた鮮明度を有することができる。具体的には、前記成形品は、約5%以下、さらに具体的には、約3%以下のヘイズを有することができる。
【0199】
前記成形品は、約20%以下の黄色度(yellow index;YI)を有することができる。前記成形品の黄色度が前記範囲内である場合、透明な無色を帯びることがある。
【0200】
前記成形品がフィルムである場合、例えば、約0.01μm〜約1,000μmの厚さを有することができるが、これに限定されるものではなく、用途に応じて厚さを適切に調節することができる。
【0201】
前記成形品は、上記の如き透明性、耐熱性、機械的強度、及び低い熱膨張係数(CTE)を有しながらも、コポリマーの柔軟性をそのまま維持することにより、前記成形品は、素子用の基板、ディスプレイ用の基板、光学フィルム、集積回路(integrated circuit;IC)パッケージ、電着フィルム(adhesive film)、多層可撓性プリント回路(flexible printed circuit;FRC)、テープ、タッチパネル、光ディスク用保護フィルムなどの種々の分野において使用可能である。
【0202】
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記成形品を備えるディスプレイ装置を提供する。具体的には、前記ディスプレイ装置は、液晶表示装置(liquid cryatal display device;LCD)、有機発光ダイオードなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0203】
前記ディスプレイ装置のうち液晶表示装置(LCD)について
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の断面図である。
【0204】
図1を参照すると、前記液晶表示装置は、薄膜トランジスター表示板100と、これと向かい合う共通電極表示板200と、両表示板100、200の間に挟持されている液晶層3と、を備える。
【0205】
先ず、薄膜トランジスター表示板100について説明する。
【0206】
基板110の上に、ゲート電極124と、ゲート絶縁膜140と、半導体154と、複数の抵抗性接触部材163、165と、ソース電極173及びドレイン電極175がこの順に形成されている。ソース電極173及びドレイン電極175は互いに分離されており、ゲート電極124を中心として向かい合う。
【0207】
一つのゲート電極124と、一つのソース電極173及び一つのドレイン電極175は、半導体154とともに一つの薄膜トランジスター(thin film transistor;TFT)をなし、薄膜トランジスターのチャネルは、ソース電極173とドレイン電極175との間の半導体154に形成される。
【0208】
ゲート絶縁膜140と、ソース電極173及びドレイン電極175の上には保護膜180が形成されており、保護膜180には、ドレイン電極175を露出する接触口185が形成されている。
【0209】
保護膜180の上には、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質からなる画素電極191が形成されている。画素電極191は、接触口185を介してドレイン電極175と接続される。
【0210】
次いで、共通電極表示板200について説明する。
【0211】
共通電極表示板200は、基板210の上にブラックマトリックスと呼ばれる遮光部材220が形成されており、基板210及び遮光部材220の上にはカラーフィルタ230が形成されており、カラーフィルタ230の上には共通電極270が形成されている。
【0212】
このとき、前記基板110、210は、前記ポリ(アミド−イミド)コポリマーと無機粒子の複合体を含む成形品から製作されていてもよい。
【0213】
一方、前記ディスプレイ装置のうち有機発光ダイオード(OLED)について
図2に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る有機発光ダイオードの断面図である。
【0214】
図2を参照すると、基板300の上に薄膜トランジスター320と、キャパシター330及び有機発光素子340が形成されている。薄膜トランジスター320は、ソース電極321と、半導体層323と、ゲート電極325及びドレイン電極322を備え、キャパシター330は、第1のキャパシター331及び第2のキャパシター332を備え、有機発光素子340は、画素電極341と、中間層342及び対向電極343を備える。
【0215】
具体的には、基板300の上に、半導体層323と、ゲート絶縁膜311と、第1のキャパシター331と、ゲート電極325と、層間絶縁膜313と、第2のキャパシター332と、ソース電極321及びドレイン電極322が形成されている。ソース電極321及びドレイン電極322は互いに分離されており、ゲート電極325を中心として向かい合う。
【0216】
層間絶縁膜313と、第2のキャパシター332と、ソース電極321及びドレイン電極322の上には平坦化膜317が形成されており、平坦化膜317には、ドレイン電極322を露出する接触口319が形成されている。
【0217】
平坦化膜317の上には、ITOまたはIZOなどの透明な導電物質からなる画素電極341が形成されている。画素電極341は、接触口319を介してドレイン電極322と接続される。
【0218】
画素電極341の上には、中間層342及び対向電極343がこの順に形成されている。
【0219】
平坦化膜317の上における、画素電極341と、中間層342及び対向電極343が形成されていない個所に画素限定膜318が形成されている。
【0220】
このとき、前記基板300は、前記ポリ(アミド−イミド)コポリマーと無機粒子との複合体を含む成形品から製作されていてもよい。
【実施例】
【0221】
以下、本発明の実施形態について実施例を挙げて説明する。これらの実施例は、本発明の実施形態を説明するためのものであり、これらによって本発明の範囲が制限されることはない。
【0222】
実施例
合成例1:シロキサン基で置換されたオリゴ(アミド−アミド酸)の合成
下記反応式1に従い、上記一般式2の繰り返し単位を含むDA119を製造した。
【0223】
【化49】
【0224】
すなわち、アミド繰り返し単位に相当する前記DA119モノマーは、丸底フラスコに、溶媒としてのN,N−ジメチルアセトアミド(DMCA;N,N−dimethylacetamide)800g内に、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(2,2’−bis(trifluoromethyl)benzidine;TFDB)2モル当量(0.08モル、25.6192g)とピリジン2.2モル当量(0.088モル、6.96g)を溶かした後、残留しているTFDBを80mlのDMACで洗い取った。ビフェニルジカルボニルクロライド(BPCl)11.1648g(1モル当量、0.04モル)を、4回に分けて、5℃のTFDB溶液に混合し、15分間激しく攪拌した。
【0225】
得られた溶液(結果溶液)を窒素雰囲気において2時間攪拌した後、1kgのNaClを含有する7Lの水に入れて0℃まで冷却した。得られた混合物(結果混合物)を12時間かけて0℃まで冷却して有機物の沈殿を完了した。固形物をろ過し、1.5Lの脱イオン水に4回に亘って再懸濁及び再ろ過した。ろ過器上の最終ろ過物を適切に加圧して残存する水を最大限に除去し、所定の重量を有するまで窒素流で乾燥した。予備乾燥された生成物を水酸化ナトリウム及び窒素雰囲気を含む真空デシケータにおいて36時間さらに保持して残存物を除去し、90℃、真空下において乾燥して、前記反応式1に記載の生成物としてモノマーであるDA119を得た。
【0226】
機械攪拌器と窒素流入口が取り付けられた250mlの4口二重壁反応器(4−neck double walled reactor)に、前記製造したDA119 4.4051g(0.0052mol)とTFDB 2.2226g(0.0069mol)を80℃のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)39.97gに入れて完全に溶解されるまで攪拌した。温度を20℃まで下げた後、6−FDA(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド)0.5994g(0.0013mol)、BPDA(3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド)3.5729g(0.0121mol)、及びNMP9.234gを徐々に添加した後、24時間かけて反応させて15重量%の固形分のアンハイドライド−末端オリゴ(アミド−アミド酸)を得た。この溶液に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(3−Aminopropyl triethoxysilane(APS))を徐々に添加した後、6時間かけて反応させて、シロキサン基で末端が置換されたオリゴ(アミド−アミド酸(PAD−573)溶液を得た(
図3参照)。
【0227】
合成例2:シロキサン基で置換されたオリゴ(アミド−アミド酸)シリカナノ複合体の製造及びこれを用いたフィルムの製造
前記ナノ複合体の製造工程を
図4に簡単に示す。
【0228】
具体的に、前記合成例1において製造されたシロキサン基で末端が置換されたオリゴ(アミド−アミド酸)PAD−573(溶液)5g(18重量%の固形分含量)を20mlのバイアルに入れた。次いで、テトラエチルオルソシリケート(テトラエトキシシラン;テオス(TEOS))(サムチュン・ピュア・ケミカル社製、99%)0.3086gとH
2O/NMP(4:6(質量比)混合物)0.1308gを前記バイアルに入れた。前記混合物を24時間かけて攪拌し、ガラス基板の上においてスピンキャストした。
【0229】
高いシリカの含量を得るために、前記PAD−573の固形分含量対比50重量%及び60重量%のテトラメチルオルトシリケート(TMOS)(アルドリッチ社製、99%)を用いて、上記と同様にして混合物を得、該混合物を24時間かけて攪拌し、ガラス基板の上においてスピンキャストした。
【0230】
詳しくは、前記混合物をガラス基板(5×5cm)に点滴して、800rpmの回転速度にてスピンコートした。スピンコートされた溶液を80℃の熱板の上において1時間かけて予備乾燥して過剰の溶媒を蒸発させた。前記ガラス基板を、窒素雰囲気下において、3℃/分の速度にて320℃まで昇温させた後、1時間かけて320℃において硬化させた。
【0231】
製造された全てのフィルムを400℃に加熱された炉に30分間入れて熱安定性テストを行った。
【0232】
製造されたシロキサン基で両末端が置換されたポリイミド−アミド(PIA)フィルムに対する理論的なモル組成を下記表1に示す。PIA10は、SiO
2の理論的な含量が10重量%であることを意味し、PIA20は、SiO
2の理論的な含量が20重量%であることを意味する。残りも上記と同様に解釈さるべきである。
【0233】
【表1】
【0234】
実験例:フィルムの性能評価
実験例1:透光度(透過率)
コニカミノルタCM2600d分光光度計の透過opacity/hazeモードを用いて製造されたフィルムの光特性を測定した。360nm〜700nmの波長範囲においてスペクトルを記録した。
【0235】
実験例2:熱膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)
熱膨張係数(CTE)は、TMA Q400(TAインストゥルメンツ社製、USA)を用いて、下記の加熱プログラムにより測定した。測定値としては、2回目のスキャン値を採用し、測定温度区間は、50℃〜300℃であった:
1回目のスキャン条件:5分等温維持→5℃/分の昇温速度にて300℃まで加熱→40℃まで冷却
2回目のスキャン条件:5℃/分の昇温速度にて400℃まで加熱。
【0236】
合成例2において製造されたフィルムの光学特性を
図5及び
図6に示す。
図5及び
図6から明らかなように、シリカの含量が増えるにつれてフィルムの透光度(透過率)が増大した。しかしながら、シリカの含量が50%及び60%以上に増大すれば、シリカの凝集によって透光度(透過率)が減少し、ヘイズも7%以上になることが分かる(下記表2参照)。
【0237】
図7は、前記フィルムを400℃において30分間加熱した後、430nm及び全体波長範囲(360nm〜740nm)におけるポリマーフィルムの透光度(透過率)を示すものである。PIAナノ複合体フィルムは、純粋な高分子フィルムであるPIAフィルムに比べて高い透過度(透過率)を示す。特に、シリカの含量が40%及び50%である場合に430nmにおけるポリマーフィルムの透光度(透過率)はそれぞれ80.08%及び74.74%であった。
【0238】
下記表2は、前記フィルムのシリカの含量による光学特性をまとめたものである。
【0239】
【表2】
【0240】
実験例3:熱重量分析(TGA)
ナノ複合体の熱的安定性を、TGA Q500熱重量分析器(TAインストゥルメンツ社製、USA)を用いて、窒素雰囲気下(ガス流速:70ml/分)において10℃/分の昇温速度にて、25℃から600℃まで昇温されたAl
2O
3中においてサンプル10〜15mgに対して測定した。
【0241】
図8は、シリカの含量による前記フィルムの寸法変化を示すグラフである。
【0242】
図8から明らかなように、純粋なPIAフィルム(シリカの含量;図中の0%のグラフ)の場合、300℃以上において大きさの変化が急激に上昇するが、シリカの含量(10%→40%(いずれも質量%))が増えるにつれて高い温度、例えば、400℃まで昇温しても、フィルムの寸法変化の度合いは弱くなる(図中の10%〜40%のグラフ参照)。
【0243】
下記表3は、50℃〜300℃の範囲において測定したTd(熱分解温度)、Tg(ガラス転移温度)、及び熱膨張係数(CTE)をまとめて示すものである。
【0244】
【表3】
【0245】
上記表3から明らかなように、シリカを含有する複合体フィルムの場合、50℃〜300℃の範囲における平均熱膨張係数(CTE)値は、14.44〜28.20ppm/℃である。シリカの導入は、ガラス転移温度を400℃以上に昇温させるが、これは、OLEDのような光学フィルムの製造工程において非常に重要な特性である。ナノ複合体フィルムのTgの上昇は、有機高分子鎖がシリカ粒子と架橋結合されたときに現れるものであり、これは、有機高分子と無機粒子との間のより強い相互作用を示す。
【0246】
実験例4:屈折率の測定及びシリカの含量評価
ナノ複合体の屈折率を、633nmにおいて、プリズムカップラーMetricon MODEL 2010/Mを用いて測定した。シリカの含量は、下記の数式(1)で表わされるローレンツ−ローレンツの式に従い計算した。
【0247】
【数1】
【0248】
式中、n、n
s及びn
pは、複合体、シリカ及び純粋高分子の屈折率に対して測定し、v
s及びv
pは、シリカ及び純粋なポリマーの体積分率を示す。
【0249】
以上述べたように、本発明の実施形態に係るコポリマーと無機粒子との複合体組成物は、コポリマー(ポリイミド−アミド;PIA)が有する柔軟な特性をそのまま維持しながら、無機粒子の導入によって、より高い耐熱性、機械的強度、及び透明性を有し、しかも、より低い熱膨張係数(CTE)を有することにより、400℃以上の高温における工程を必要とする可撓性OLEDディスプレイ装置の基板などの材料として用いて好適な特徴を与えるということが分かる。
【0250】
以上、本発明の好適な実施例について詳述したが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、次の特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付図面の範囲内において種々に変形して実施することが可能であり、これもまた本発明の権利範囲に属するということはいうまでもない。