特許第6093291号(P6093291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6093291磁気装身具の要素部品及びそれを用いた磁気装身具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093291
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】磁気装身具の要素部品及びそれを用いた磁気装身具
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20170227BHJP
   A61N 2/08 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A44C25/00 A
   A61N2/08 H
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-267494(P2013-267494)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-123107(P2015-123107A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】313017104
【氏名又は名称】株式会社メディカル・アイ
(74)【代理人】
【識別番号】100098899
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 信市
(74)【代理人】
【識別番号】100163865
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 健
(72)【発明者】
【氏名】田組 真司
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3094850(JP,U)
【文献】 特開2011−125643(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0148809(US,A1)
【文献】 実開昭54−059988(JP,U)
【文献】 特開2001−178512(JP,A)
【文献】 実開昭55−005531(JP,U)
【文献】 特開2003−235620(JP,A)
【文献】 特開平11−103915(JP,A)
【文献】 実開昭55−032181(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0083698(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
A61N 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向へと着磁された希土類磁石からなる柱状小片を、前記柱状小片とほぼ同長又はそれよりも長い筒状小片の中心孔へと挿入し、前記筒状小片の前記中心孔の両端開口を封止材にて封止してなる集成体であって、
前記希土類磁石の着磁方向は、複数の前記集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用するような着磁方向とされ、
前記希土類磁石の着磁方向は、柱状小片の長手方向と直交する方向であり、
前記筒状小片は、前記集成体が互いに隣接した場合に、相対向する磁極間を結びかつ外側に湾曲する漏れ磁束が生ずるように非磁性又は弱磁性材料からなる、ことを特徴とする磁気装身具の要素部品。
【請求項2】
前記非磁性又は弱磁性材料が、ステンレス鋼等の錆びにくい材料又は防錆処理を施された材料である、ことを特徴とする請求項に記載の磁気装身具の要素部品。
【請求項3】
前記封止材が、非磁性又は弱磁性材料からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の磁気装身具の要素部品。
【請求項4】
前記非磁性又は弱磁性材料が、合成樹脂やガラス等のように、装飾性があり、かつ加工性のある材料である、ことを特徴とする請求項に記載の磁気装身具の要素部品。
【請求項5】
前記希土類磁石が、ネオジム磁石である、ことを特徴とする請求項1に記載の磁気装身具の要素部品。
【請求項6】
前記筒状小片は、断面が円又は多角形の外形を有する筒状小片である、ことを特徴とする請求項に記載の磁気装身具の要素部品。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載の要素部品を互いの磁気吸引力によりループ状に複数連接してなる、ことを特徴とする磁気装身具。
【請求項8】
前記磁気装身具が、磁気指輪、磁気ブレスレット、又は磁気ネックレスである、ことを特徴とする請求項に記載の磁気装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、磁気装身具(例えば、磁気ネックレス、磁気ブレスレット等々)の要素部品、及びそれを用いた磁気装身具に係り、特に、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適な要素部品に関する。
【背景技術】
【0002】
通し紐や連結金具の不要なブレスレットに好適な要素部品としては、非磁性物質(磁石に吸い付く力の弱い物質)からなる球状小片内に、これを貫通するようにして、ネオジム磁石からなる円柱状小片を挿入固定すると共に、この円柱状小片の露出する前後端部(N極、S極)を球状小片の球面曲率に併せて曲面加工することで、全体として、完全な球状集成体(玉)としたものが知られている。
【0003】
このような球状集成体(玉)にあっては、同様にしてなる多数の玉を、球体表面に露出するN極とS極との磁気吸引力を介して連接することで、任意の長さのブレスレットを構成することができる(特許文献1参照)。
【0004】
なお、磁石を内蔵する要素部品同士を連結金具を介して連接してなる通常の磁気ネックレス、磁気ブレスレット等々においては、長手方向又は直径方向へと着磁されたネオジム磁石からなる円柱状小片を、筒状小片の中心孔へと挿入し、中心孔の両端開口を連結金具にて閉塞してなる柱状集成体は、従来より、種々知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−103915号公報
【特許文献2】特開平05−307314
【特許文献3】特開2003−235620
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の要素部品である球状集成体(玉)にあっては、(1)球状集成体(玉)に埋め込まれた円柱状小片(円柱状ネオジム磁石)の両端(N極、S極)は、球体表面に剥き出し状態であるから、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたりするほか、汗との接触により容易に錆びやすいこと、(2)球状集成体(玉)同士の結合は、基本的には、円柱状ネオジム磁石同士の直接的な磁気結合を介して行われるものであるから、結合部における磁気抵抗が低く(透磁率が高く)、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から発生しにくいこと、(3)隣接する球状集成体(玉)同士の接触は1点で行うものであるから、余程強力な磁力を有する磁石を使用しない限り、球状集成体(玉)同士の結合が弱く、強い力で引っ張られたときに、容易に分離しやすいこと、と言った問題点があった。
【0007】
この発明は、上述したこの種の要素部品における従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であって、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたり、或いは汗との接触により錆が生じたりすることがないようにした磁気装身具の要素部品を提供することにある。
【0008】
この発明の他の目的とするところは、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であって、結合部における磁気抵抗が高く(透磁率が低く)、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生するようにした磁気装身具の要素部品を提供することにある。
【0009】
この発明の他の目的とするところは、さほど強力な磁力を有する磁石を使用せずとも、要素部品同士の結合力が強く、強い力で引っ張られたときに、容易に分離することがないようにした磁気装身具の要素部品を提供することにある。
【0010】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば、容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する磁気装身具の要素部品により解決されるものと考えられる。
【0012】
すなわち、本発明に係る要素部品は、所定方向へと着磁された希土類磁石からなる柱状小片を、前記柱状小片とほぼ同長又はそれより長い筒状小片の中心孔へと挿入し、前記筒状小片の前記中心孔の両端開口を封止材にて封止してなる柱状集成体であって、前記希土類磁石の着磁方向は、複数の前記柱状集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用するような着磁方向とされている、ことを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、複数の前記柱状集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用して、柱状集成体同士が自動的に連接されることから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具を構成できることに加えて、希土類磁石からなる柱状小片は筒状小片及び封止材によりその周囲を保護されることとなるため、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたりすることがなく、しかも汗と接触しないから錆を生ずる虞もないと言う利点を有する。
【0014】
本発明に係る要素部品の好ましい実施の形態にあっては、前記筒状小片が非磁性又は弱磁性材料からなるものであってもよい。
【0015】
このような構成によれば、複数の前記集成体を並列向きで整列したとき、隣接する前記柱状集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用して、柱状集成体同士が自動的に連接されることから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であることに加えて、隣接するN極とS極との間には非磁性又は弱磁性材料からなる筒状小片が介在されることから、結合部における磁気抵抗が高く(透磁率が低く)、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生する利点がある。このとき、前記非磁性又は弱磁性材料が、ステンレス鋼等の錆に強い材質または防錆処理を施された材質であると、上述の作用効果に加えて、錆びにくく美観に優れる利点がある。
【0016】
本発明に係る要素部品の好ましい実施の形態にあっては、前記封止材が非磁性又は弱磁性材料からなるものであってもよい。
【0017】
このような構成によれば、複数の前記柱状集成体を直列向きで整列したとき、隣接する前記柱状集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用することから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であることに加えて、隣接するN極とS極との間には非磁性又は弱磁性材料からなる封止材が介在されることから、結合部における磁気抵抗が高く(透磁率が低く)、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生する利点がある。このとき、前記非磁性又は弱磁性材料が、合成樹脂やガラス等のように、装飾性があり、かつ加工性のある材料であると、美観に優れる利点がある。
【0018】
本発明に係る要素部品の好ましい実施の形態にあっては、前記希土類磁石がネオジム等の磁石であってもよい。
【0019】
このような構成によれば、多数の前記柱状集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記柱状集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用することから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であることに加えて、筒状小片内に収容することから、もっとも磁気が強力であるが錆び易かくかつ脆いと言うネオジム等の磁石の欠点を補える利点がある。
【0020】
本発明に係る要素部品の好ましい実施の形態にあっては、前記希土類磁石の着磁方向が、柱状小片の長手方向と直交する方向であってもよい。
【0021】
このような構成によれば、複数の前記集成体を並列向きで整列したとき、隣接する前記柱状集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用して、柱状集成体同士が自動的に連接されることから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であることに加えて、隣接する前記柱状集成体同士は、その長手方向の全長に亘って線接触するから、隣接する柱状集成体同士は、強力に結合し、容易には離脱しない利点がある。このとき、前記筒状小片が、断面が円(楕円又は長円を含む)、磁極近傍の面が断面弧状の曲面、又は多角形の外面を有する筒状小片であると、隣接する柱状集成体同士は、強固に結合しつつスムーズに広い角度範囲で回転するから、指輪のような曲率が小さな小径ループの磁気装身具でも容易に対応できる利点がある。
【0022】
別の一面から見た本発明は、上記発明又はその実施形態のいずれかに記載の要素部品を互いの磁気吸引力によりループ状に複数連接してなることを特徴とする磁気装身具として把握することもできる。
【0023】
このような構成の磁気装身具によれば、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具に好適であって、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたり錆びたりすることがなく、結合部における磁気抵抗が高く、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生し、さほど強力な磁力を有する磁石を使用せずとも、要素部品同士の結合が強く、強い力で引っ張られたときに、容易に分離することがないと言った様々な利点を有する。このとき、前記磁気装身具が、磁気指輪、磁気ブレスレット、又は磁気ネックレスであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の要素部品又はそれを使用した磁気装身具によれば、複数の柱状集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用して、柱状集成体同士が自動的に連接されることから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具を構成できることに加えて、希土類磁石からなる柱状小片は筒状小片及び封止材によりその周囲を保護されることとなるため、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたり錆びたりすることがないと言う利点を有するほか、隣接するN極とS極との間には非磁性又は弱磁性材料からなる筒状小片又は封止材が介在されることから、結合部における磁気抵抗が高く、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生する利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明に係る要素部品の分解斜視図である。
図2図2は本発明に係る要素部品の内部構造を示す説明図である。
図3図3は、着磁方向を示す説明図である。
図4図4は要素部品を用いて作成された腕輪(ブレスレット)の斜視図である。
図5図5は腕輪(ブレスレット)の装着動作の説明図である。
図6図6は首輪(ネックレス)の装着動作の説明図である。
図7図7は指輪の装着動作の説明図である。
図8図8は断面形状の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る要素部品及びそれを用いた磁気装身具の好適な実施の一形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
本発明に係る要素部品の分解斜視図が図1に、内部構造の説明図が図2にそれぞれ示されている。それらの図に示されるように、本発明に係る要素部品1は、所定の方向へと着磁された希土類磁石からなる柱状小片2を、この柱状小片2とほぼ同長又はそれよりも僅かに長い筒状小片3の中心孔3aへと挿入し、筒状小片3の中心孔3aの両端開口を封止材4a,4bにて封止してなる柱状集成体として構成されている。
【0028】
柱状小片2としては、断面が円形(楕円形、長円形も含む)の柱状小片2(図8(a)参照)、断面が任意角数の多角形の柱状小片2A,2B(図8(b)(c)参照)、さらには断面が異形四角形の柱状小片2C(図8(d)参照)を適宜に採用することができる。中でも、図8(a)及び図8(d)のように、磁極(N,S)側の外周面が断面弧状の曲面であると、複数個を連接した際に、隣接する集成体同士が線接触を維持したままで、所定角度範囲でスムーズに転がることから、任意の曲率のループに容易に対応できる利点がある。図1の例では、特に、製造容易性や磁束密度均一化等を意図して、断面が円形の柱状小片2が採用されている。
【0029】
柱状小片2の材料となる希土類磁石としては、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、プラセオ磁石、サマリウム鉄窒素磁石等々の公知の希土類磁石を適宜に採用することができる。図示例では、錆びやすく脆い欠点はあるものの、もっとも、磁力が強いことを考慮してネオジム磁石が採用されている。
【0030】
希土類磁石からなる柱状小片2の着磁方向としては、図3(a)に示されるように、並列接続を意図して、長手方向と直交する方向へとN極とS極とが分極するようにした着磁方向、図3(b)に示されるように、直列接続を意図して、長手方向へとN極とS極とが分極するようにした着磁方向のほか、様々な着磁方法が考えれる。図1の例では、要素部品1同士を並列接続することを意図して、図3(a)に示される着磁方向、すなわち断面真円形の円柱状小片2を、その中心軸を含む平面を境として、二つの断面半円形の領域に分け、一方がN極で他方がS極とになるような着磁方向が採用されている。
【0031】
筒状小片3としては、図8に示されるように、断面が真円状、楕円状、長円状、任意角数の多角形状、異形多角形のもの(3,3A,3B,3C)を適宜に採用することができる。図1の例では、外形断面が真円状の円筒体(長さ8.0mm、外径4.0mm)が採用されている。先に述べたように、外形断面が真円状、又は非真円の円状(長円状、楕円状を含む)、異形多角形状等々であると、互いの磁気吸着状態を維持したまま、適宜の角度範囲でスムーズに転がりあって変位可能でることから、比較的に大半径ループの首輪(ネックレス)のみならず、腕輪(ブレスレット)、指輪と言った比較的に小半径ループのループ状装身具としても、ループの曲率変化に対応して、スムーズな装着感を提供することができる。また、筒状小片3の中心孔3aの断面形状は、筒状小片3内に柱状小片2が安定的に静止するためには、柱状小片2の断面形状に整合するものであることが好ましい。
【0032】
筒状小片3の材質としては、金属のみならず、合成樹脂も含む、様々な材質を採用することができるが、図3(a)に示される並列接続において、隣接する要素片同士が磁石の吸引力で結合する際に、その結合部において、N極とS極との間に介在して、磁気治療に有効な漏洩磁束をできるだけ多く生じさせるためには、磁気抵抗の高い非磁性の材料(アルミ合金やステンレス鋼等の非磁性金属や合成樹脂)の採用が好ましい。また、長期間の使用によっても、汗との接触により錆びにくいことも重要である。このような観点から、図1に示される筒状小片3の材質としては、ステンレス鋼が採用されている。
【0033】
筒状小片3の肉厚は、隣接する筒状小片の結合部において、2倍の厚みとなって、磁気抵抗を生成するものであるから、隣接する磁石の磁力との関係にて決められるべきものである。
【0034】
封止剤4a,4bとしては、筒状小片3の両端開口を密に封止することのできるものであれば、その具体的な構造は任意であるが、図3(b)に示される直列接続において、隣接する要素片同士が磁石の吸引力で結合する際に、その結合部において、N極とS極との間に介在して、磁気治療に有効な漏洩磁束をできるだけ多く生じさせるためには、磁気抵抗の高い非磁性の材質の採用が好ましい。このとき、封止材4a,4bが、合成樹脂やガラス等のように、装飾性があり、かつ加工性のある材料であると、美観に優れる利点がある。
【0035】
次に、以上の構成よりなる要素部品1の作用について、図4図7を参照しながら説明を行う。
【0036】
要素部品1を使用して作成された腕輪(ブレスレット)の一例が図4及び図5に示されている。それらの図から明らかなように、この腕輪5は、本発明に係る要素部品1を多数並列状態にして連接してなるものである。すなわち、先に図3(a)を参照して説明したように、複数の要素部品1,1・・・を並列状態にて接近させると、隣接する一方の要素部品1に内蔵する柱状小片2のN極(又はS極)が他方の要素部品1に内蔵する柱状小片2のS極(N極)と吸引し合うことにより、それら複数の要素部品1,1,1・・・は、並列姿勢を維持しつつ、磁石の吸引力を介して一連に結合され、それら一連の要素部品の両端に位置する2つの要素部品が同様にして互いに吸着することで、ループ状の磁気装身具である磁気腕輪(磁気ブレスレット)5が完成する。このとき、ネオジム磁石からなる柱状小片2は筒状小片3及び封止材4a,4bによりその周囲を保護されることとなるため、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたりすることがないと言う利点を有する。
【0037】
腕輪の装着動作の説明図が図5に示されている。本発明の磁気腕輪(磁気ブレスレット)5を人の腕に装着するに際しては、先ず、同図(a)に示されるように、複数の要素部品1を並列姿勢で連接してなる開ループ状態の紐状要素部品列を、人の腕の上面に巻き掛けする。
【0038】
すると、隣接する各一対の要素部品同士は、互いの円筒状周面同士をその長手方向へ沿う1線で接触しつつ磁気結合するものであるから、個々の要素部品同士が転がって、上述の紐状要素部品列は自重により腕の両側に逆U字状に垂れ下がるようにして湾曲する。このとき、個々の要素部品1は、主として、その長手方向と直交する面内においてのみ、所定の角度範囲で転がり変位するものであるから、上述の紐状要素部品列が湾曲に際して大きく捻れることはない。
【0039】
因みに、特許文献1に記載の球状要素部品(玉)の場合には、個々の要素部品は互いに点接触するものであるから、任意の方向へと自由に転がり変位可能であり、仮に、ブレスレットに適用した場合には、腕に巻き掛けすると、任意の方向へと湾曲してねじれが生じ、腕への装着操作が煩雑である。
【0040】
しかも、開ループ状態にある紐状要素部品列の両端に位置する2つの要素部品には、要素部品の連結個数に対応する強い磁気強度のN極とS極とが現れる。そのため、恰も時計バンドを腕に装着する要領で、紐状要素部品列の両端を手繰り寄せれば、図5(b)に矢印で示されるように、それら2つの端部に位置する要素部品は独りでに強力な磁気の力で吸引されて吸着され、閉ループ状の紐状要素部品列である磁気腕輪(磁気ブレスレット)5が完成するから、難なく、装着を完了することができる。
【0041】
首輪の装着状態の説明図が図6に、指輪の装着状態が図7に、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、首輪6及び指輪7の構造は、ループの大きさが腕輪(ブレスレット)5の場合と異なることを除き、腕輪(ブレスレット)5の場合と同様であるから、重複説明は省略する。
【0042】
この実施形態に係る要素部品1によれば、隣接する要素部品間の結合が、円筒体の外周面同士の線接触によるものであるから、任意の曲率のループ軌跡に容易に対応することとなり、要素部品の個数を増減するだけで、ループ径の異なり、かつ長期の使用においても錆の生じにくい磁気装身具(腕輪5、首輪6、指輪7)を容易に実現することができる。
【0043】
しかも、相隣接する要素部品同士の結合部には、磁気抵抗の大きな非磁性物質であるステンレス鋼が介在されているため、隣接する一方の要素部品内蔵の磁極(例えば、ネオジム磁石のN極)と他方の要素部品内蔵の磁極(例えば、ネオジム磁石のS極)との間の磁路の磁気抵抗は比較的に大きく、そのため、一方の磁極から他方の磁極へ向かう磁束は大きく外側に湾曲(漏洩)して人体の一部を経由することとなり、そのような磁気漏洩が要素部品同士のすべての結合部で生ずることから、良好な磁気治療効果が期待される。
【0044】
なお、本発明においては、図3(b)に示されるように、要素部品内の柱状小片の着磁方向を長手方向としてもよく、その場合には、これを直列接続することによって、ネックレスなどの大ループな磁気装身具を比較的少数の要素部品にて実現することができる。この場合にも、隣接する磁極間には、非磁性物質である合成樹脂が介在されるため、上述と同様な磁気漏洩による磁気治療効果を期待することできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の要素部品又はそれを用いた磁気装身具によれば、複数の柱状集成体を同一向きで整列したとき、隣接する前記集成体同士の間に磁気的な吸引力が作用して、柱状集成体同士が自動的に連接されることから、通し紐や連結金具の不要な磁気装身具を構成できることに加えて、希土類磁石からなる柱状小片は筒状小片及び封止材によりその周囲を保護されることとなるため、吸引結合時の衝撃で欠けたり割れたり、汗との接触で錆びたりすることがないと言う利点を有するほか、隣接するN極とS極との間には非磁性材料からなる筒状小片又は封止材が介在されることから、結合部における磁気抵抗が高く、磁気治療に有効な漏れ磁束が、結合部から充分に発生する利点もある。
【符号の説明】
【0046】
1 要素部品
2 柱状小片
3 筒状小片
4a 封止材
4b 封止材
5 腕輪(ブレスレット)
6 首輪(ネックレス)
7 指輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8