(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を各図を参照して説明する。
【0015】
<実施形態1>
図1に、実施形態1に係る冷却塔100の概略構成を示す。冷却塔100は、冷水槽101と、冷水槽101の上方において、上下方向に延びる排気通路107の周囲を囲むように配された組立ユニット群102と、組立ユニット群102の各上方にわたって水平方向に配されたファン甲板103と、ファン甲板103の上面に沿って延設された温水供給管104と、ファン甲板103の上面において、排気通路107と重なる位置に配された送風機106と、送風機106に連結された電動機105とを備えてなる。組立ユニット群102は、後述する構成を有する複数の冷却塔用組立ユニット1(以下、「組立ユニット1」と称する。)を上下方向に積み上げてなる。
【0016】
尚、冷却塔100の内部には各上記した構成要素を支持するための複数の骨組部材108が配されている。
【0017】
図2及び
図3に組立ユニット1の全体構成を示す。組立ユニット1は、六面体の各角部を結ぶように配置された複数の梁(長梁2aと短梁2b)及び複数の柱2cを有してなる枠体2と、枠体2の内部空間Sに収容され、上下方向に積み上げられて配置された1以上の充填材3と、複数の柱2cに配されたルーバー5及び支持部材6と、枠体2の内部空間Sにおいて支持部材6に支持されたエリミネータ7とを有する。
【0018】
枠体2は、水平方向に延びて配された複数の長梁2a及び短梁2bと、上下方向に延びて配された複数の柱2c(ここでは第一柱2ca、第二柱2cb、第三柱2cc、第四柱2cd)とを連結してなり、六面体状の内部空間Sを有する。枠体2の各側面と上面と下面とにそれぞれ対応する部分は複数のブレース(斜材)2e、2fを用いて補強されている。枠体2の下方には充填材3を載置するための複数の板状のサポート部材2gと、エリミネータ7で生じた水を充填材3側に戻す水戻し板としての板材2hとが間隔をおいて並設される。枠体2の上方には充填材3を上方から押さえるための複数の板状の押さえ部材2dが間隔をおいて並設される。一例として、長梁2a及び短梁2bは溝形鋼を用いてそれぞれ構成され、複数の柱2cは一例として鋼管を用いて構成される。内部空間Sにおいて、複数の柱2cのうち、枠体2の一辺の両端に位置する第一柱2caと第二柱2cbの各側部にわたり支持部材6が架設されている。また、第一柱2caと第二柱2cbとは反対側に位置する枠体2の他辺において、前記他辺の両端に位置する第三柱2ccと第四柱2cdの各側部にわたりルーバー5が配されている。
【0019】
尚、実施形態1における内部空間Sは一例として直方体状としているが、これに限定されず、例えば立方体、或いは平行六面体として構成してもよい。このため、複数の柱2cは厳密に垂直方向に延びる構成に限定されず、垂直方向に対して若干傾斜して上下方向に延びる構成としてもよい。
【0020】
充填材3は、一例として凹凸表面を有する樹脂製の複数の板(不図示)を立てた状態とし、各板の間に間隔をおいた状態で、対向する各板の凹部及び凸部の一部を嵌合して並設してなり、全体として直方体状の外観を有する。冷却塔100の駆動時には内外に気体及び水を流通させ、前記気体と前記水とを熱交換させる。具体的には、各板の表面に前記水として利用する循環水の水膜を形成し、各板の間隔に水平方向から流入した気体(外気)に循環水を接触させることにより、外気と循環水とを熱交換させる。一例として充填材3は、内部空間Sにおいて下段に2個併設し、その上段に2個を積み上げて並設され、合計4個にわたり配置されている。尚、組立ユニット1では、内部空間Sに各エリミネータ7及び各充填材3をともに配置する関係上、内部空間Sにおいて第一柱2ca及び第二柱2cbよりも第三柱2cc及び第四柱2cd寄りの位置に各充填材3が偏在している。
【0021】
尚、充填材3の形状は直方体状に限定されず、立方体や平行六面体、或いはその他の多面体状のいずれかの形状としてもよい。
【0022】
ルーバー(サクショングリル)5は、複数の短冊状の板体5aを用い、各板体5aを水平方向を長手方向として上下方向に間隙をおいて並設してなる。ルーバー5は第三柱2cc及び第四柱2cdの各側部にわたり、内部空間Sに外気を導入するために枠体2の外方に配設される。具体的に組立ユニット1では
図3に示すように、ルーバー5の各板体5aの間に存在する間隙(開口4)から外気が内部空間Sに導入されるように図られる。尚、ルーバー5は外部から接近する異物が組立ユニット1内に侵入するのを防止するとともに、充填材3内を流通する循環水が外部に飛散するのを防止する役目もなす。このような各機能を発揮させるため、冷却塔100ではルーバー5は組立ユニット群102において、外部に臨むように配される。ルーバー5は、例えばFRP等の材料を用いて構成できる。
【0023】
エリミネータ(除滴板)7は、樹脂製の複数の波状のシート体を立てた状態で互いに間隔をおいて並設してなり、全体として厚みの薄い長板状の外観を有する。冷却塔100の駆動時には、充填材3から気流の下流側である側方に流出した外気中の水分の一部を除去する。組立ユニット1では、2つのエリミネータ7が内部空間Sにおいて、充填材3の各側面と第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間に、充填材3の各側面と対向して立てられた状態で、支持部材6を挟んで上下方向に並んで配置される。このときエリミネータ7は枠体2の上方から下方にかけてわずかに傾斜するように配置される。上方のエリミネータ7の下方端部は支持部材6の水戻し板部6bに載置され、下方のエリミネータ7の下方端部は枠体2における板材2hの上面に載置される。冷却塔100では、エリミネータ7は組立ユニット群102において、排気通路107を臨むように配される。なお、エリミネータ7は傾斜するように配置する構成に限定されず、例えば垂直方向に真っ直ぐ立てて配置しても良い。
【0024】
支持部材6は
図4に示すように、上下方向に立てて配された板状の取付部6aと、取付部6aに連結されて略水平方向に延びる水戻し板部6bと、水戻し板部6bの上面及び下面にそれぞれ立設された複数の突出部6cと、枠体2の内方側の端部6fとを有する。この端部6fは充填材3の側面と当接するように対向して配される部位であって、充填材3の側面と面接触により当接する当接部6dを有してなる。支持部材6は充填材3をその側面より支持する部材として用いられる。
【0025】
尚、当接部6dは充填材3の側面に直接当接する構成に限定されない。従って、例えば当接部6dがシート体や板体等の別体を介し、充填材3の側面に間接的に当接していてもよい。このような構成も本発明において、支持部材が充填材の側面と当接する構成に含むものとする。
【0026】
取付部6aは支持部材6を第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部にわたって架設するための部位であり、一方の面を第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部と面接触させた状態で、複数のボルトB及びナット(不図示)を用いた締結具により第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部と連結される。これにより支持部材6は第一柱2ca及び第二柱2cbに対して片持ち状態で固定される。尚、取付部6aと第一柱2ca及び第二柱2cbとの連結方法はボルトB及びナットを用いた上記締結方法に限定されず、ねじのみを用いて固定する締結方法の他、溶接等の連結方法を用いてもよい。尚、実施形態1では取付部6aは第一柱2caから第二柱2cbに延びる長板状に構成されており、これによって取付部6aは水戻し板部6bと連続し且つ、支持部材6が充填材3の側面と当接する部位(端部6f)よりも外方に立設された壁部を兼ねている。
【0027】
当接部6dは枠体2における短梁2bの長手方向に延びる長板状であり、水戻し板部6bの端部から下方に延びて形成される。当接部6dは平坦な外表面を有する。当接部6dの幅W1は、上下方向に積み上げられた各充填材3の側面に対して当接部6dが一定の面積でそれぞれ面接触により当接できるように設定される。組立ユニット1では、第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部に対し、所定高さに取付部6aを取り付けることで、当接部6dが上側の充填材3の下端部の側面及び下側の充填材3の上端部の側面と面接触して当接するように配される(
図5参照)。
【0028】
水戻し板部6bは平板状であり、枠体2の内方に向かって延び且つ第一柱2caから第二柱2cbまで延びる上面を有する。水戻し板部6bの上面は、枠体2の内方に向かって下方勾配をなすように傾斜している。水戻し板部6bの上面及び下面は平面視すると矩形状の平坦な表面を有する。水戻し板部6bは冷却塔100の駆動時に各充填材3から気流の下流側である側方に流出した循環水の一部をその上面に伝わらせ、各充填材3側に戻す役目をなす。ここで水戻し板部6bは
図2に示すように、上側の充填材3の下端よりも上方に位置している。水戻し板部6bの上面及び下面には、短梁2bの長手方向に沿って1以上(ここでは一例として複数)のリブ状の突出部6cが間隙6eをおいてそれぞれ立設されている。
図4に示すように、水戻し板部6bにおける突出部6cと取付部6aとの間の最短距離W2は、長梁2aに沿ったエリミネータ7の厚みに合わせて設定される。これにより水戻し板部6bの上面には、枠体2の内部空間Sで上下方向に配されるエリミネータ7のうち、上方に位置するエリミネータ7の下方端部が載置され、水戻し板部6bの下面には、下方に位置するエリミネータ7の上方端部が載置される。このとき、上方に位置するエリミネータ7の下方端部が、水戻し板部6bの上面に立設された突出部6cと第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間で挟まれて位置決めされ、下方に位置するエリミネータ7の上方端部が、水戻し板部6bの下面に立設された突出部6cと第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間で挟まれて位置決めされる。このように第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部と各突出部6cとの間で、各エリミネータ7の端部が挟まれて位置決めされることで、上下方向に並ぶ2つのエリミネータ7が立てられた状態でそれぞれ支持部材6により支持される。尚、水戻し板部6bにおける突出部6cと充填材3との間の最短距離W3は適宜調整が可能である。実施形態1では、支持部材6のうち水戻し板部6bと当接部6dとが板体を曲げ加工して一体的に形成されている。このため、比較的低コストで支持部材6を作製できる利点がある。尚、当接部6dと同様に取付部6aについても板体を曲げ加工することで、水戻し板部6bと一体的に形成してもよい。
【0029】
以上の構成を有する冷却塔100は、駆動時には外部より送られてくる温水(循環水)が温水供給管104の散水ノズル104aから下方の組立ユニット群102に向けて散水される。このとき循環水はファン甲板103に設けられた開口103aを介して、組立ユニット群102の上面全体にいきわたって散水されるように図られる。なお、温水の供給は温水供給管104と散水ノズル104aの組み合わせによる供給に限定されず、例えば温水槽を設置し、当該温水槽の下部に散水ノズル104aを設置して、当該温水槽に水を供給(貯留)することによって当該温水槽の下部に設けられた散水ノズル104aを通じて供給するようにしても良い。
【0030】
一方、電動機105の駆動力により送風機106が駆動されると、送風機106のファンの回転に伴い、排気通路107中の空気が外部に排出される。これにより排気通路107の内部が負圧になり、組立ユニット群102の外周に設けられたルーバー5を介し、外気が組立ユニット群102の各組立ユニット1における充填材3に流入する。このとき外気は、充填材3に水平方向から流入し、充填材3を構成する各板の表面に沿って重力で下方に流れる循環水と接触して熱交換する。この熱交換によって循環水が冷却されて冷水となる。冷水は充填材3を通って下方から流出する。冷水は開口101aを介して冷水槽101に貯水され、その後に図示しない配管を通じて所望の用途に再利用される。組立ユニット群102の各充填材3から流出した外気はエリミネータ7を構成する波状のシート体と接触し、除水される。これにより除水された外気はエリミネータ7を通過し、排気通路107から送風機106により外部に排気される。
【0031】
ここで組立ユニット1によれば、以下の諸効果を期待することができる。
【0032】
第一に、組立ユニット1をトラック等に積載して輸送する際や冷却塔100の施工組立を実施する際等において、組立ユニット1に振動や揺れ等の外力が伝わったり、第一柱2ca及び第二柱2cbが第三柱2cc及び第四柱2cdよりも下方を向く方向に組立ユニット1が傾斜される場合が想定される。このような場合において各充填材3の荷重が支持部材6に加わると、支持部材6は
図5に示すように、第一柱2ca及び第二柱2cbに固定された取付部6aを支点とし、当接部6dで各充填材3を押し返し、各充填材3を元の位置に載置された状態で支持する。これにより、支持部材6で支持された各充填材3が第一柱2ca及び第二柱2cb側に向かって位置ずれを生じるのを効果的に防止することができる。その結果として冷却塔100の施工組立時には、組立ユニット群102における正規の位置に各組立ユニット1の充填材3を配置できるので、冷却塔100の設計通りの優れた冷却効率の発揮を期待することが可能である。
【0033】
尚、組立ユニット1では
図2及び
図3に示すように、各充填材3が長梁2aの長手方向に沿って第三柱2cc及び第四柱2cdの近傍に偏在している。このため第三柱2cc及び第四柱2cdと充填材3の側面との間に存在する間隙は、第一柱2ca及び第二柱2cbと充填材3の側面との間に存在する間隙に比べて非常に小さい。従って、内部空間Sで充填材3が第一柱2ca及び第二柱2cb側に位置ずれを生じるおそれは低いと考えられる。さらに充填材3は、枠体2の下方においてサポート部材2gと接し、上方において押さえ部材2dと近接している。従って組立ユニット1では、第一柱2ca及び第二柱2cbに支持部材6を設けることで、上下方向及び長梁2aの長手方向に沿った方向のいずれにおいても充填材3の位置ずれを防止できると考えられる。
【0034】
第二に、組立ユニット1では、支持部材6が上面を有する水戻し板部6bと、端部6fよりも外方に立設された壁部としての取付部6aとを有している。このため、冷却塔100の駆動時においては
図5に示すように、水戻し板部6bの上面に配置された上方のエリミネータ7で生じた水が水戻し板部6bの上面に付着すると、水は取付部6aに案内されて水戻し板部6bの上面を伝い、各突出部6c間に存在する間隙6eを介して充填材3に戻される。さらに、エリミネータ7と対向する充填材3の側面から水滴が飛び出し、水戻し板部6bの上面に落下した場合でも、この水が水戻し板部6bの上面を伝って再度、充填材3に戻されるように図られる。このとき、水戻し板部6bの上面が枠体2の内方に向かって下方勾配をなすように傾斜しているので、水戻し板部6bの上面を伝う水は一層効率よく充填材3に戻される。このように充填材3に戻された水は再び外気との熱交換に供される。一方、エリミネータ7からは十分に除水された外気が排気通路107側に通過される。
【0035】
尚、内部空間Sの下方に配置されたエリミネータ7で生じた水は、板材2hの上面を伝って枠体2の内方に向かって流れ、各サポート部材2gの間隙を介して下方に落下する。この水は組立ユニット群102において当該組立ユニット1の下方に隣接する別の組立ユニット1に到達し、枠体2の各押さえ部材2dの間隙から充填材3に戻されて、外気との熱交換に供される。
【0036】
このように組立ユニット1では、従来はエリミネータ7で除水された後、充填材3に戻されなかった循環水の一部を再び充填材3で熱交換に供することができる。よって組立ユニット1では、例えば冷却塔100を駆動させた場合に外気に連れられて各充填材3内の循環水の一部が十分に外気と熱交換する前に充填材3の外に流出してしまい、各充填材3の冷却効率が循環水の不足により低下する問題の発生を抑制し、充填材3で外気との熱交換に供される循環水の量を増やすことができる。よって結果として、冷却塔100の冷却効率の向上を期待できる。
【0037】
尚、実施形態1では、各充填材3の側面と面接触する支持部材6の当接部6dを平坦面としたが、
図6に示す変形例の支持部材6Aのように、当接部6dの内方の表面に充填材3側に向かって平板状の延設部6gを設け、この延設部6gを上下に積層された2つの充填材3の間に挟み込むように配置してもよい。このような構成を持つ組立ユニットにおいても実施形態1と同様に循環水の良好な冷却効果が奏されることに加え、支持部材6Aを各充填材3の間で挟持することにより支持部材6Aを良好に位置決めできるので、水戻し板部6bの上面を流れる水滴を安定して充填材3側に戻す効果を期待することができる。尚、延設部6gは平板状の形態に限らず、例えば軸状部材やリブ状部材等のいずれかの形態としてもよい。
【0038】
以下、本発明に係るその他の実施形態に係る支持部材について、実施形態1の支持部材6との差異を中心に説明する。
【0039】
<実施形態2>
実施形態2に係る支持部材6Bは、
図7に示すように、支持部材6と共通した構造を有するが、リブ状の突出部6cを用いず、フレーム状の突出部6c1を用いた点が異なっている。突出部6c1は、具体的には丸鋼材料からなる丸棒部材の各両端を同方向に直角状に曲げ加工されてなる。支持部材6Bでは、2つの突出部6c1がその各両端において、水戻し板部6bの上面と下面とにそれぞれ溶接等により連結されて固定されている。各両端で固定された突出部6c1と水戻し板部6bとの間には、間隙6eが確保されている。
【0040】
このような構成を有する支持部材6Bを用いた場合には、実施形態1と同様に、上方に位置するエリミネータ7の下方端部が、水戻し板部6bの上面に立設された突出部6c1と第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間で挟まれて位置決めされ、下方に位置するエリミネータ7の上方端部が、水戻し板部6bの下面に立設された突出部6c1と第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間で挟まれて位置決めされ、上下方向に並ぶ2つのエリミネータ7が立てられた状態でそれぞれ支持部材6Bにより支持される。また、冷却塔の駆動時において、水戻し板部6bの上面に水滴が付着すると、水滴は水戻し板部6bの上面を伝い、間隙6eを介して充填材3に戻され、再び外気との熱交換に供される。従って実施形態1と同様に、充填材3における循環水の良好な冷却効果を期待することが可能である。
【0041】
さらに突出部6c1は丸棒部材を用い、その両端を曲げ加工して構成することができるため、支持部材6Bを比較的容易に作製することが可能である。
【0042】
<実施形態3>
実施形態3に係る支持部材6Cは、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、取付部6aに連続して上面及び下面が略水平に配された平坦部6b1と、平坦部6b1に連続して配され、水平面に対して下方勾配をなすように傾斜した傾斜部6b2と、傾斜部6b2に連続して略水平に延設された延設部6gとを備える。平坦部6b1の上面及び下面には、実施形態2の支持部材6Bと同様の構成を有する突出部6c1が設けられている。また延設部6gの上面及び下面のそれぞれに対し、充填材3の側面に対する当接部として機能し且つ突出部6c1と同様の構成を有する突出部6hが設けられている。
【0043】
このような支持部材6Cは、
図8(b)に示すように、上下に積層された2つの充填材3の間に延設部6gが挟持されるとともに、一対の突出部6hがこれら2つの充填材3の側面と当接するように配される。これにより支持部材6Aと同様に、支持部材6Cが2つの充填材3によって良好に位置決めされる。また、2つの充填材3が支持部材6C側に向かって位置ずれを生じそうな場合には、2つの充填材3が突出部6hにおいて支持部材6Cに支持され、その位置ずれが防止される。一方、取付部6aと各突出部6c1との間に上方のエリミネータ7の下方端部と、下方のエリミネータ7の上方端部とが挟み込まれ、各エリミネータ7が立てられた状態で支持部材6Cに支持される。
【0044】
ここで支持部材6Cでは、冷却塔の駆動時に平坦部6b1の上面に水滴が付着すると、水滴は取付部6aに案内されて傾斜部6b2に向かい、傾斜部6b2の上面を流れ落ちる。このときの重力の作用によって、水滴は延設部6gの上面を伝って充填材3側に戻されるように勢い付けられる。従って支持部材6Cでは、充填材3側に効率よく水滴を戻すことができ、循環水の良好な冷却効果を期待することができる。
【0045】
<その他の事項>
実施形態1ではクロスフロー方式の冷却塔100の構成を例示したが、本発明を適用可能な冷却塔はこの方式に限定されず、その他の形式、例えばカウンタフロー方式の冷却塔に適用することもできる。
【0046】
組立ユニット1の内部空間Sに収容する充填材3の数は当然ながら4個に限定されず、3個以下または5個以上であってもよい。この際、上下方向に3以上の充填材3を積み上げる場合には、各充填材3の側面を支持部材6で支持できるように、複数の支持部材6を第一柱2ca及び第二柱2cbの側部にわたり架設してもよい。
【0047】
組立ユニット1は枠体2にルーバー5及びエリミネータ7を配した構成としたが、ルーバー5及びエリミネータ7は必須の構成ではなく、このうち少なくともいずれかを省略した構成の組立ユニットとしてもよい。
【0048】
組立ユニット1は内部空間Sにおいて、充填材3の側面と第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部との間に支持部材6を設ける構成に限定されない。例えば充填材3の側面と第三柱2cc及び第四柱2cdの各側部との間にも一定の間隙が存在する場合には、充填材3の側面と第三柱2cc及び第四柱2cdの各側部との間に支持部材6を設けてもよい。
【0049】
水戻し板部6bの上面には取付部6aから当接部6dに向かって延びる1または複数の溝部を形成してもよい。これによりエリミネータ7で生じた水を溝部に流通させて効率よく充填材3に戻すことができると考えられる。また、水戻し板部6bは挿通孔を有する構成としてもよいし、フレーム構造を有する構成としてもよい。但し、エリミネータ7で生じた水を充填材3側に戻す効果を良好に得るためには、水戻し板部6bの上面はある程度の面積を有していることが望ましい。
【0050】
水戻し板部6bは上面を傾斜させずに水平に配してもよい。このような構成でも、取付部6aによってエリミネータ7から落下する水を取付部6aで案内し、水戻し板部6bの上面を伝わらせて充填材3に戻すことができる。但し、水戻し板部6bの上面を枠体2の内方に向けて傾斜させれば、水戻し板部6bの上面を伝う水を一層効率よく充填材3に戻すことができると考えられる。
【0051】
取付部6aは長板状の構成に限定されず、例えば第一柱2ca及び第二柱2cbの各側部と対応する位置にのみ重なるように配した2つの板材を用いて構成することもできる。しかしながら、実施形態1のように取付部6aを長板状に構成し、取付部6aに壁部としての機能を兼ねさせると、エリミネータ7から落下する水を効率よく充填材3側に案内する効果を期待できるので望ましい。
【0052】
実施形態1では取付部6aを長板状に構成することで、取付部6aが上方のエリミネータ7が載置される水戻し板部6bの位置よりも外方に立設された壁部を兼ねるように構成したが、本発明はこれに限定されず、取付部6aとは別に支持部材に壁部を設けてもよい。この場合、例えば水戻し板部6bの上面における取付部6aの近傍位置に、エリミネータ7の下方端部の縁辺に沿って一定の高さの壁部を延設することができる。
【0053】
充填材3に流入させる気体は外気に限定されず、別途用意した乾燥空気や不活性ガスなど、外気以外の気体であってもよい。
【0054】
実施形態1においては、複数の組立ユニット1を上段から下段にかけて内側(排気通路107側)に向けて位置ズレさせた状態で積層し、これによって上段側の組立ユニット1から流下した水が下段の組立ユニット1内に配置された充填材3を流下する際にほとんど熱交換されないまま排気通路107側に飛散することを抑制している。しかしながら、本発明を適用する冷却塔はこのように組立ユニット1を配置した構成に限定されない。例えば、上段と下段に位置する各組立ユニット1をそれぞれ垂直方向に真っ直ぐに積層して配置した構成にしてもよい。
【0055】
また、複数の組立ユニット1を上下方向に複数段にわたり設置する場合、組立ユニット1の上部又は底部に落下する水を外側に移送するための移送部材を設置してもよい。具体的には、例えば
図3に示すように、複数設置されたサポート部材2gの間に上方向から落下する水を外側(
図3でいう左方向)に向けて水を流下させるための傾斜板を設けることができる。これにより、当該組立ユニット1の下部で供給される水が外側に移送されるため、下段に配置される組立ユニット1において流下した水が、誘引される空気に引きずられてほとんど熱交換されないまま充填材3の内側(
図3でいう右方向)に移動し、エリミネータ7側に飛散することを抑制することが出来る。このような移送部材は組立ユニット1の下部に限定されず、組立ユニット1の上部に設置してもよい。この場合、上段側の組立ユニット1から流下する水を下段側の組立ユニット1の上部に設置された移送部材で水を移送させる。このような構成は、複数の組立ユニット1を垂直に積層して設置する場合、特に有効である。
【0056】
また、各組立ユニット1の上部に散水孔(もしくは散水ノズル)を備えた散水箱(温水箱)を設けるようにしてもよい。このように各組立ユニット1に温水箱を設けることで、各組立ユニット1に配置される充填材3に効率よく水を散水することができる。この場合、冷却塔100の上部には水を散布する散水ノズル104aが設置されているため、積層した際に上から2段目以降の組立ユニット1の上部に散水箱を設ける用にしてもよく、冷却塔100の中間部分(
図1の場合、上から3段目の組立ユニット1)に位置する組立ユニット1の上部に散水箱を設けてもよい。このような構成は、各組立ユニット1を垂直に積層して配置する場合、特に有効である。
【0057】
尚、本発明における支持部材は、原則として充填材の側面に当接しているが、実際には施工誤差等の理由により、支持部材と充填材の側面との間に微少な間隙(例えば数ミリ程度の間隙)が生じる場合も考えられる。しかしながら、このような構成であっても充填材がずれを生じうる場合において、支持部材が充填材と当接し、これを支持することが可能である。本発明では、このように支持部材と充填材の側面との間に微少な間隙が生じている場合も、支持部材が実質的に充填材の側面に当接しているものとする。