特許第6093345号(P6093345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093345
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ヒトGDNFの変異体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/48 20060101AFI20170227BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   C07K14/48ZNA
   C12N15/00 A
   A61K37/02
   A61P25/16
【請求項の数】10
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-505179(P2014-505179)
(86)(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公表番号】特表2014-512369(P2014-512369A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】US2012031927
(87)【国際公開番号】WO2012141936
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月5日
(31)【優先権主張番号】61/474,024
(32)【優先日】2011年4月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルン,ドンミエン,ドエン,ムン
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジロン
(72)【発明者】
【氏名】マーチャント,カルパナ,マヘシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガネム,マームド
(72)【発明者】
【氏名】オー’ブライアン,リンダ,マウリーン
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ロザムンド,キャロル
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−512709(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0127419(US,A1)
【文献】 国際公開第97/011964(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/053536(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/090523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号9)、および
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号12)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヒトGDNF変異体。
【請求項2】
METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号28)および
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号35)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、Δ31−N末端切断型GDNF変異体を調製するための中間体。
【請求項3】
前記アミノ酸配列が、MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号35)である、請求項に記載の中間体。
【請求項4】
請求項1に記載のヒトGDNF変異体と、1つ以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項5】
パーキンソン病を治療するための、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
医薬として使用するための請求項1に記載のヒトGDNF変異体。
【請求項7】
パーキンソン病の治療に使用するための請求項1に記載のヒトGDNF変異体。
【請求項8】
請求項1に記載のヒトGDNF変異体を哺乳動物(ただし、ヒトを除く)に投与する工程を含む、哺乳動物におけるパーキンソン病を治療するための方法。
【請求項9】
療法として使用するための請求項1に記載のヒトGDNF変異体。
【請求項10】
有効量の請求項1に記載のヒトGDNF変異体を、それを必要とする哺乳動物(ただし、ヒトを除く)に投与することを含む、パーキンソン病を治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬分野、特に治療タンパク質の分野である。具体的には、本発明は、ヒト神経膠細胞由来の神経栄養因子(GDNF)の新規変異体に関する。GDNFの新規変異体は、パーキンソン病の治療に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
GDNFは、インビトロ及びインビボでドーパミン作動性ニューロンに対する栄養支援を提供すると報告されている周知の神経栄養因子である。更に、GDNFは、機能改善を提供し、パーキンソン病の齧歯類神経保護作用を有することが報告されている。大腸菌(E.Coli)由来の野生型GDNFタンパク質は、パーキンソン病を患っている患者に対して主に投与されており、様々な結果を生じる。2つの小規模な非盲検研究において、野生型GDNFは、運動機能の長期にわたる改善をもたらすことが報告された。しかしながら、34人の患者のランダム化プラセボ対照の第IIa相検査において、GDNFの被殻内送達は6ヶ月で症状の改善を示さなかった。バイオマーカーシグナルの増加は、注入部位周辺の直近組織における事象のみであった。1つの最近の報告では、GDNFは、死にかけている神経を救う有望な分子であり得るが、脳の正確な領域に分子を送達することは未だにかなり困難であると述べている(非特許文献1)。
【0003】
切断型GDNFタンパク質は、特許文献1(PCT/US96/14915)に報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第97/11964号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nature,Vol 466:2010年8月19日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、所望の薬理学的特性、安定性、及び生体内分布特性を有する新規GDNF変異体が依然として必要とされている。送達装置において安定であり、かつ、所望の脳生体内分布を促進する一方、所望の効能及び受容可能な免疫原性特性を示すGDNFの変異型が必要とされている。1つ以上のこれらの望ましい特性を提供するGDNF変異体は、特にパーキンソン病の治療における使用について、薬学的に有用な新規薬物療法であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、望ましい生体内分布特性及び薬学的に許容可能な免疫原性プロファイルを提供する、安定で適切に有効なGDNF変異体を提供するために導入された特定のアミノ酸置換を有する、N−末端にて最初の31アミノ酸を欠損した成熟ヒトGDNFドメインの新規切断型GDNF変異体(「Δ31−N−末端切断型GDNF」)を提供する。本発明は、ヒト野生型GDNFと比較して、改善された薬学的安定性、並びに改善された生体内分布、減少したヘパリン結合、減少したアミド分解、スクシンイミド形成に対する減少した感受性、及び減少した免疫原性可能性を有する変異体を含む、成熟ヒト野生型GDNFより1つ以上の利点を与えるヒトGDNFの特定の変異体を提供する。特定の新規GDNF変異体は、パーキンソン病患者のための有用な新規治療選択肢であり得る。
【0008】
本発明は、配列番号23:
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI(配列番号23)
(配列中、
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
を含むヒトGDNF変異体を提供する。
【0009】
更に、本発明は、前記変異体が、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号:9)、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号:12)、および
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILREHSAKECGCI(配列番号:15)
からなる群から選択されるヒトGDNF変異体を提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、配列番号9:
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
に示すようなアミノ酸配列を含むヒトGDNF変異体を提供する。
【0011】
更に、本発明は、成熟ヒトGDNFのΔ31−N−末端切断型変異体を調製するのに有用な中間体を提供する。中間体は、配列番号23:
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI(配列番号23)
のアミノ酸配列を含み、この配列は、シグナル分泌ペプチドを有し、N末端で伸長される。多数のシグナル分泌ペプチド配列が本願明細書において使用され得る。例示的なシグナル分泌ペプチド配列は、METDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号25)の配列を有するマウスカッパリーダーシグナル分泌ペプチド、及びMATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSA(配列番号32)の配列を有するヒト成長ホルモンシグナル分泌ペプチドを含む。
【0012】
これらのシグナル分泌ペプチドを有する中間体は、他のリーダー配列を有する切断型GDNF構造物より増加した収率を有する特許請求されたヒトGDNF変異体を生成できる。よって、シグナル分泌ペプチドを含む開示された中間体は、
METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号28);または
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号35)
のアミノ酸配列を有する。
【0013】
本発明は、本発明により特許請求されるヒトGDNFの変異体と、1種以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。本発明は、医薬として使用するためのヒトGDNFの変異体を提供する。更に、本発明は、パーキンソン病の治療に使用するためのヒトGDNFの変異体を提供する。本発明は、療法として使用するためのGDNFの変異体を提供する。
【0014】
Xaa84がAであり、Xaa88がKであり、Xaa90がKである変異体が好ましい。
【0015】
Xaa84がKであり、Xaa88がRであり、Xaa90がRである変異体が好ましい。
【0016】
Xaa125がKであり、Xaa130がRである変異体が好ましい。
【0017】
Xaa84がAであり、Xaa88がKであり、Xaa90がKであり、Xaa125がEであり、Xaa130がEである変異体が好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
N末端の1〜31個のアミノ酸残基中に位置する正電荷を恐らく介して野生型GDNFがヘパリンと細胞外マトリックスに結合し、これによって脳内中の送達時にGDNFの分布を制限することが報告されている(Linら,J Neurochem 63,758−768,1994;Rickardら,Glycobiology 13,419−426,2003;Piltonenら,Experimental Neurology 219,499−506,2009)。また、GDNFが、機能改善を提供し、パーキンソン病の齧歯類モデル及び霊長類モデルにおける神経保護作用を有することが報告されている(Tomacら,1995;Gashら,1996)。大腸菌由来の野生型GDNFタンパク質は、パーキンソン病を患っている患者に対して主に投与され、様々な結果を生じている。2つの小規模な非盲検研究において、GDNFは、運動機能における長期にわたる改善をもたらした(Gillら,2003,Slevinら,2005)。加えて、ドーパミン作動性ニューロン発芽の増加が、無関係の原因(すなわち、心筋梗塞)によって亡くなった一人の患者で証明された(Loveら,2005)。しかしながら、Amgenによって行われた34人の患者におけるランダム化したプラセボ対照の第IIa相試験において、GDNF(リアテルミン)の被殻内送達は、6ヶ月で症状の改善を何も示さなかった(Langら,2006)。特許請求されたGDNF変異体は、以前に試験した大腸菌由来の野生型GDNFタンパク質と比較して、改善された特性を示す。
【0019】
シグナルペプチド(最初の19個のアミノ酸、配列番号4)、プロドメイン(イタリック、配列番号5)、及び成熟ペプチド(下線、配列番号3)を含有する野生型GDNF完全長構築物配列(211aa)は、配列番号1のように示される:
MKLWDVVAVCLVLLHTASAFPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKRSPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKNRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSDKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI。野生型GDNF完全長DNA配列は、配列番号2のように示される:
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTTTCCCACTGCCAGCCGGCAAGAGACCCCCAGAGGCCCCAGCCGAGGACAGAAGCCTGGGCAGGCGGAGGGCCCCATTCGCCCTGAGCAGCGACAGCAACATGCCAGAGGACTACCCCGACCAGTTCGACGACGTCATGGACTTCATCCAGGCCACCATCAAGAGGCTGAAGAGGTCACCCGACAAGCAGATGGCCGTGCTGCCCAGGCGGGAGAGGAACAGGCAGGCCGCCGCCGCCAACCCAGAGAATTCCAGGGGCAAGGGCAGAAGGGGTCAACGGGGCAAGAACAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGACAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC。
【0020】
本発明の変異体のアミノ酸位置は、成熟ヒト野生型GDNF(配列番号3)の134個のアミノ酸ポリペプチドから決定される。変異は、元のアミノ酸、その後にアミノ酸位置の番号、その後に置換アミノ酸が表記される。各変異体の数字表示は、切断前の野生型成熟配列(「成熟WT GDNF」)に基づく。例えば、位置84でLys(K)(すなわち、K84)をAla(A)に置換することは、K84Aと表記される。同様に、位置84でLys(K)をAla(A)に置換し、位置88でArg(R)をLys(K)に置換し、位置90でArg(R)をLys(K)に置換し、そして位置95でAsp(D)をGlu(E)に置換する多重置換は、K84A/R88K/R90K/D95Eと表記される。本願明細書において用いられるように、略語「KAKKE」は、K84A−R88K−R90K−D95Eを意味する。
【0021】
本願明細書において用いられるように、「完全長GDNF」は、シグナルペプチド、プロドメイン、および成熟ドメインを含む、完全タンパク質配列を意味する。
【0022】
本願明細書において用いられるように、「成熟GDNF」又は「完全長成熟GDNF」は、完全GDNF成熟ドメイン(切断されたシグナルペプチド及びプロドメインを含む)を意味する。
【0023】
本願明細書において用いられるように、「Δ31−N末端切断型GDNF」は、N末端で最初の31個のアミノ酸を欠損するGDNF成熟ドメインを意味する。本願明細書において用いられるように、「Δ31−N末端切断型GDNF」及び「ヒトGDNF変異体」(又は「GDNFv」)は、交換可能に用いられる。
【0024】
完全長GDNF構築物は、5日間に亘ってHEK293細胞中にトランスフェクトされた場合、主に完全長成熟GDNFを生成する。完全長GDNF構築物が長期間に亘りかつ安定な細胞株発生の間にCHO細胞内にトランスフェクトされた場合、GDNFの切断型形態は、主要な形態となる(Linら,Science 260,1130−1132,1993)。成熟ヒトGDNFのデルタ31(「Δ31」)切断型変異型(アミノ酸残基数は1から31までN末端で欠失している)は、配列番号8を有し、混合物から精製され得る。
【0025】
N末端切断型Δ31GDNF変異体は、DNAレベルで成熟GDNFペプチドのプロドメインペプチド配列及び最初の31個のアミノ酸残基の両方を欠損させ、かつ、多数の分泌シグナル配列ペプチド、例えば天然GDNF分泌シグナルペプチド(配列番号4:MKLWDVVAVCLVLLHTASA);マウスカッパリーダー分泌シグナルペプチド(配列番号25:METDTLLLWVLLLWVPGSTG);及びヒト成長ホルモン分泌シグナルペプチド(配列番号32:MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSA)を用いることによって、哺乳類又は細菌の発現系において生成され得る。これらの構築物は、一種類の同種31−N末端切断型GDNF変異体を生成することができる。
【0026】
当業者は、特許請求されたGDNF変異体がグリコシル化の可能性を排除しないことを理解するだろう。特許請求されたGDNF変異体は、用いられた発現系に依存して、必要に応じ、グリコシル化されてもよい。例えば、哺乳類の発現されたGDNF変異体は、N49位でグリコシル化されるが、細菌の発現された変異体ではグリコシル化されない。
【0027】
完全長天然配列構築物(配列番号2)が発現中に用いられる場合、種々のN末端切断を有するGDNF種の混合物は、プロドメイン領域を有するか又は有さない成熟形態(非切断型)と同様に生成される。
【0028】
以下の実施例は、実質的に以下に示すように実施され、本発明のヒトGDNF変異体の特定の特性を評価するために用いられ得る。
【実施例】
【0029】
実施例1
タンパク質発現、精製及び免疫原性分析
a.大腸菌発現GDNFvのサブクローニング、変異、発現、アンフォールディング、リフォールディング、及び精製
サブクローニング
プラスミドpET−30a(+)/rhGDNFを保有する大腸菌(E.Coli)株BL21−CodonPlus(DE3)−RIPLを、37℃で一晩、30μg/mLの最終濃度でカナマイシンを含有するLuria−Bertani肉汁培地中で増殖させる。細胞を遠心分離によって収集後、プラスミドベクターを、製造業者のプロトコルに従ってQIAquick Spin Miniprep kit(Qiagen)を用いて単離する。次いで、単離プラスミドDNAを、Δ31−GDNFタンパク質(成熟ヒトGDNFのN末端から切断した31残基)及びΔ31−N38Q−GDNFタンパク質(成熟ヒトGDNFのN末端から切断した31残基であって、38位でアスパラギン残基はグルタミンに置換されている)をそれぞれコードするΔ31−GDNF及びΔ31−N38Q−GDNF遺伝子のプライマー伸長反応に用いる。これは、遺伝子の5’及び3’末端までアニールするように設計されたNdeI及びXhoI制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する、オリゴヌクレオチドプライマーΔ31−for、Δ31−rev、Δ31−N38Q−for、及びΔ31−N38Q−rev(それぞれ配列番号6、7、39、及び40)を用いて達成され得る。センス及びアンチセンスプライマーの5’末端で導入されたNdeI及びXhoI制限部位は、Δ31−GDNF及びΔ31−N38Q−GDNFをベクターpET−30a(+)の対応部位中にクローニングさせる。プライマー伸長反応を、80ngのテンプレートDNAと順方向及び逆方向プライマーとPCR Supermix(Invitrogen #10572−014)を用いることにより、全量100μlにおいて、94℃で3分間実施し、その後、94℃で1分間、55℃で0.5分間、そして72℃で1分間という3ステップサイクルを16回実施し、72℃で最後の10分間実施する。得られた単位複製配列は、アガロースゲル電気泳動で確認し、製造業者のプロトコルに従ってQIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて洗浄する。
【0030】
増幅した31−GDNF又はΔ31−N38Q−GDNF遺伝子及びpET−30a(+)ベクターの両方を、NdeI及びXhoIを用いて37℃で2時間消化し、QIAquick Gel Extraction kitを用いてアガロースゲル電気泳動によりDNAを精製する。次いで、Δ31−GDNF又はΔ31−N38Q−GDNFを、T4 DNAリガーゼを用いかつ製造業者のプロトコルに従ってpET−30a(+)プラスミド中へライゲーションする。2〜5μlのライゲーション反応混合物を用い、製造業者のプロトコル(Agilent #230280)に従って、50〜100μlの大腸菌(E.coli)株BL21−CodonPlus(DE3)−RIPL化学的コンピテント細胞に直接、形質転換する。最終濃度30μl/mlでカナマイシンを含有するLuria−Bertani寒天プレート上に播種することで得られた形質転換コロニーを、標準的なT7プロモーター及びT7ターミネーターオリゴヌクレオチドプライマーを用いることによって、抽出されたプラスミドを両方向においてシーケンシングすることで、正確な構築物の存在についてスクリーニングする。
【0031】
変異
部位特異的突然変異誘発を、QuikChange Multi Site−Directed Mutagenesis kit(Stratagene,La Jolla,CA)を用いて実施し、Δ31−N38Q−D95E−GDNF及びΔ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E−GDNFを調製する。この方法は、テンプレートとしてpET−30a(+)中に挿入したΔ31−N38Q−GDNF、並びに順方向および逆方向プライマーとしてそれぞれΔ31−N38Q−D95E−forおよびΔ31−N38Q−D95E−revオリゴヌクレオチド(表1、配列番号41及び42)を使用する。続いて、pET−30a(+)へ挿入した首尾良く変異したΔ31−N38Q−D95E遺伝子をテンプレートとして用い、Δ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E−for及びΔ31−K84A−R88K−R90K−D95E−D95E−revオリゴヌクレオチド(表1、配列番号:43及び44)を順方向と逆方向プライマーとしてそれぞれ用いて、Δ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E−GDNFを生成する。DNA配列を確認し、プラスミドを大腸菌(E.Coli)株BL21−CodonPlus(DE3)−RIPL化学的コンピテント細胞へ形質転換する。
【0032】
タンパク質発現
プラスミドpET−30a(+)/GDNFvを保有する大腸菌(E.Coli)細胞BL21−CodonPlus(DE3)−RIPLの永久凍結ストックを用いて、37℃で最終濃度30μg/mlにてカナマイシンを含有する50mlの2×TY肉汁培地中に植菌する。9時間後、5mlのスターター培養物を用いて、37℃で6×2lの同じ液体培養培地に植菌する。培養物が600nmで0.8から1.4の間の吸光度に達すると、典型的には16時間後に、IPTGを1mMの最終濃度まで加え、培養物の温度を5時間、27から30℃の間に下げる。細胞を10,000gで20分間4℃にて遠心分離することで収集し、−80℃に保存する。
【0033】
可溶化−リフォールディング
細胞ペーストを、pH8で2〜3容量の0.2mg/mlのリゾチーム、5mMのMgClおよび50mMのTris−Clの溶液中に懸濁し、氷上で30分間攪拌しながらインキュベートさせる。得られたスラリーを10分間氷上で超音波処理する(5秒パルス、2秒インターバル、30〜40%振幅)。その後、GDNFvを、20,000gで20分間遠心分離することで細胞溶解物から単離する封入体の形態で回収し、4Mグアニジン、90mMシステイン、20mMのTris−Cl、pH8.5中に可溶化する。タンパク質を、0.2Mグアニジン、2M尿素、20mMのTris−Cl、pH8.75で10倍希釈することで活性形態までリフォールディングする。リフォールディングした混合物を2日間4℃で維持する。
【0034】
精製
リフォールディングしたGDNFvを、以下の3ステップのカラムクロマトグラフィーによって均質になるまで精製する。
1.SPカラム上での陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
2.フェニルカラムカラム上での疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
3.Superdex−75カラム上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
最初に復元タンパク質を、20mM酢酸ナトリウム、pH5中で平衡化したSPセファロース高速流カラムに適用する。GDNFvを、20mM酢酸ナトリウム、pH5中で0.3から1MのNaClまで上昇する線形塩勾配で溶出する。CEXメインストリームプールに、最終濃度2.5MのNaClを補充し、次いで、20mMクエン酸ナトリウム、pH5中でフェニルセファロースHP疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに適用する。HICカラムを、20mMクエン酸ナトリウム、pH5中で2.5から0MのNaClまで下降する線形塩勾配で溶出する。GDNFvは、HICカラムにきつく結合する。次いで、HICメインストリームプールを濃縮し、最終的にSuperdex−75カラムに適用し、タンパク質をPBS、pH7.4で溶出する。最終プールを濃縮し、0.22ミクロン膜で濾過し、−80℃で保存する。
【0035】
b.哺乳類細胞におけるGDNFvの発現及び精製
GDNF変異体をコードする遺伝子を、標準的な分子生物学技術を用いるか又はCMVプロモーター駆動哺乳類発現ベクター中の遺伝子合成により調製し得る。組み換えプラスミドを用いて、ヒト胚腎臓293EBNA(HEK293)細胞へ一過性にトランスフェクトし、培地を5日後に収集する。別の方法では、安定なチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を生成して、GDNF変異体を発現する。変異体タンパク質をコードする遺伝子を、製造業者の指示に従って、プロドメインを有する天然GDNFシグナル配列を有するフレーム中で、グルタミン合成酵素(GS)含有発現プラスミド骨格(pEE12.4ベースのプラスミド,Lonza Biologics,Slough,UK)へサブクローニングする。pEE12.4ベースのベクター中の完全長GDNF構築物(配列番号2)をCHOへトランスフェクトし、GDNFの切断型形態を生成する。ここで、Δ31は主要形態であり、混合物から精製し得る。プロドメイン及び最初のN末端の31個のアミノ酸を除去する場合、Δ31−N末端切断型GDNF変異体を、完全長及び上述した切断型生成物の混合物から精製する必要なく、哺乳類発現系において効率的かつ清潔に生成する。また、天然GDNF分泌シグナルペプチドを、マウスカッパリーダー分泌シグナルペプチド又はヒト成長ホルモン分泌シグナルペプチドを含む、複数の分泌シグナルペプチドと置換し得る。Δ31−N末端切断型GDNF変異体は、開示された全ての分泌シグナルペプチドと共に効率的かつ清潔に生成し続けるが、発現の可変レベルを有する。所望の変異を組み込んだGDNF変異体を、マウスカッパシグナル配列を有するフレーム中で適切な発現ベクター(例えば、pEMK−NF2,Lonza)へサブクローニングする。
【0036】
精製
GDNFvを、以下の4ステップのビーズカラムクロマトグラフィーによって均質になるまで精製する。
1.SPカラム上での陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
2.フェニルカラムカラム上での疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
3.多数モデルCapto MMCカラム上での陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
4.Superdex−75カラム上でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
簡潔に言えば、最初に、収集したGDNF変異体タンパク質を含有する培養培地を、20mM酢酸ナトリウム、pH5で平衡化したSPセファロース高速流カラムへ適用する。GDNFvを、20mM酢酸ナトリウム、pH5中で0から1MのNaClまで線形塩勾配で溶出する。CEXメインストリームプールに、最終濃度2.5MのNaClを補充し、次いで、20mM酢酸ナトリウム、pH5中でフェニルセファロースHP疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムに適用する。HICカラムを、20mM酢酸ナトリウム、pH5中で2.5から0MのNaClまで逆線形塩勾配で溶出する。GDNFvは、HICカラムに弱く結合する。次いで、フロースルー(flow through)と早期溶出画分のプールを、pH5でマルチモデル樹脂のCapto MMCカラムに適用する。カラムを50mMのTris−Cl、pH8で洗浄し、次いでGDNFvを、50mMのTris−Cl、pH8中で0から1MのNaClまで線形塩勾配で溶出する。最終的に、Capto MMCメインストリームをSuperdex−75カラムに適用し、タンパク質をPBS、pH7.4で溶出する。最終プールを0.22ミクロン膜で濾過し、2〜8℃で保存する。
【0037】
【表1】
【0038】
免疫原性可能性のEpivax分析
減少した結合HLA−DRの可能性を有する選択したヒトGDNF変異体を作製し(配列番号12及び15)、GFRα及びヘパリン結合アッセイにおいて野生型GDNFと比較する。
【0039】
実施例2
GDNF野生型及びΔ31GDNF変異体の安定性
完全長成熟GDNF野生型及びΔ31−N末端切断型GDNF変異体の安定性を、複数の分析技術(例えば、RP−HPLC、SE−HPLC、陽イオン交換HPLC、及び質量分析)を用いて評価して、これらの分子中の任意の分解部位を特定し得る。次いで、変異を行い、化学分解部位を除去し、ヒトGDNF変異体の安定性を向上させる。
【0040】
分析的逆相クロマトグラフィー(RP−HPLC)
Zorbax C SB−300Å、3.5ミクロン、4.6×50mmカラム(Agilent Technologies #865973−909)において60℃で加熱する。移動相はHO中で0.1%TFAである。GDNFvは、35分間、1ml/分の流速で、30分に亘って5から50%までの線形アセトニトリル勾配により、19〜20分の保持時間で、214nmでの単一ピークとして溶出する。
【0041】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC)
TSK−G−2000−SW−XL、5ミクロン、7.8×300mmカラム(TOSOH BIOSEP #08540)において。35分間、0.5ml/分の流速で、移動相:PBS+350mMのNaCl、pH7.4。GDNFvは、約16〜17分の保持時間で214nmでの単一ピークとして溶出する。
【0042】
分析的陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX−HPLC)
Dionex、Propac WCX−10、4×250mmカラム(Dionex #054993)において。移動相は、20mMリン酸ナトリウム、10%アセトニトリル、pH7である。GDNFvは、52分間、1ml/分の流速で、45分に亘って0.15から0.6MのNaClまでの線形塩勾配により、25〜30分の保持時間で、複合ピークとして溶出する。
【0043】
野生型(完全長細菌GDNF)対野生型CHO GDNFv(N末端Δ31切断型GDNF)の化学的安定分析(LC−MS)
野生型(完全長細菌GDNF)対野生型CHO GDNFv(N末端Δ31切断型GDNF)に、4週間、37℃でストレスを与えて、化学的非安定性に関連し得るアミノ酸を同定する。
【0044】
サンプル
1.4週間、4℃で1.0mg/mLの野生型大腸菌(E.Coli)完全長GDNF
2.4週間、37℃で1.0mg/mLの野生型大腸菌(E.Coli)完全長GDNF
3.4週間、4℃で1.0mg/mLの野生型CHOΔ31−GDNFv
4.4週間、37℃で1.0mg/mLの野生型CHOΔ31−GDNFv
【0045】
インタクトかつ部分的な分子分析
10μLアリコートの各サンプル(溶液は20μLの水又は10μLアリコートの各溶液と混合する)を、40μLの100mMのtris−HClバッファー、pH8、1.0μLの50mg/mLのDTTと、周囲温度で30分間混合する。各サンプルをLC/MS分析に供する。
【0046】
Lys−C消化物
20μLアリコートの各サンプル溶液を、スピードバキュームシステム下で乾燥するために凍結乾燥し、次いで材料を、0.5μLの50mg/mLのDTT及び4.5μLの6Mグアニジン−HCl、0.5Mのtris−HClバッファー、pH8中で再構成する。混合物を37℃で30分間インキュベートし、次いで各溶液を93μLの水で希釈し、2μLの0.2mg/mLのLys−C(Wako)で37℃にて2時間処理する。CHO GDNFvに関して、30μLのトリプシン消化物を37℃で1時間(炭水化物プロファイルを評価するために)、0.5μLのPNGase Fで処理する。消化物を、LC/MS分析前にHO中で2μLの10%TFAで酸性化する。
【0047】
LC/MS分析
サンプル溶液を、Waters Acquity UPLCに連結されたWaters SYNAPT質量分析、又はWaters 2795 HPLCに連結されたWater LCTプレミア質量分析により分析する。
【0048】
トップ−ダウン分析
野生型GDNFについての開裂生成物を、部分的に減少したGDNFについてのLC−MS分析により取得する。複数開裂生成物を同定し、これらの開裂に関する定量的データを表2に示す。いくつかの開裂(N15/R16、N22/P23、N25/S26、及びN38/R39の間の開裂)は、スクシンイミド形成を介する脱アミドと類似する分解経路を有する。野生型CHOΔ31−GDNFvに関して、最初の31個のアミノ酸残基をN末端から切断する。CHO GDNFvは、1つの鎖あたり2つの潜在的なN−グリコシル化部位を有しているが、1つの部位のみがNグリコシル化される。観察された主要グリカンは、異なるガラクトシル化を有するジ−又はトリ−アンテナリーオリゴ糖である。興味深いことに、有意なシアル化グリカンは何も検出されない(表3)。
【0049】
ボトム−アップ分析(ペプチドマッピング)
減少したGDNF安定性サンプルのLys−C消化物のUVクロマトグラフは、GDNFペプチド126〜129を除いて、全ての期待されたペプチドが検出されることを示している。CHO材料について、N末端ペプチド(R32より前)は検出されない。N49を含有するペプチド38〜60はグリコシル化され、95%より多くのAsn49で占められる。N85を含有するペプチド85〜96はグリコシル化されない。これらの結果は、減少したGDNFサンプルについてのLC/MS分析と一致している。
【0050】
全般的に、野生型及びCHO材料の両方についてのホモダイマーは主要構成要素である。早期に溶出する少数構成要素はモノマーである。質量分析解析によると、GDNF Cys41は、モノマーについて遊離Cys残基とのジスフィルド結合を形成する。モノマーピークについての相対的割合は非常に低く、それらは、紫外線分析によると、CHOについて<1%であり、野生型について<0.5%である。モノマー内容物は、ストレスを与えた材料については変化しない。
【0051】
分解(例えば、酸化、脱アミノ化及び異性化)もまた、ペプチドマッピングから得られる。結果を表4に示す。大腸菌(E.coli)由来の野生型完全長GDNFは、2つのMet残基、M(−1)およびM6を含み、これらの部位の酸化は比較的低い。GDNFは、Trp残基を何も含まない。GDNFは、完全長モノマーについて8つのAsp残基を有する。主要な脱アミノ部位はN25及びN38である。高いpHバッファーでより速く脱アミノ化が起こるので、これらの部位についての相対的割合は、pH5又は6のバッファー中でストレスを与えた場合、低くなるはずである。1つのアイソマーペプチド85〜96を同定したが、これは、Iso−Aspに対するAspの異性化、又はアミノ酸残基のラセミ化のいずれが原因かは明確ではない。高いpHストレスは、一般的なラセミ化であり、低いpHストレスはAsp異性化であることは周知である。野生型完全長GDNFについて、いくつかのペプチドは、コントロール(4℃)サンプル及びストレスを与えた(37℃)サンプルの両方について異なる質量を示す。それらは、大腸菌(E.coli)生合成中に最も起きやすい誤取り込み(mis−incorporation)である。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
これらのデータは、CHO細胞中で生成されたΔ31−N末端切断型GDNF変異体が化学的安定性を向上させていることを示している。これは、4週間37℃でストレスを与えられた場合の大腸菌(E.coli)で生成された完全長野生型成熟ヒトGDNFと比較して、有意な酸化及び脱アミドを起こしやすい部位を含む最初の31個のアミノ酸残基の欠失が原因である。更に、表5に示すように、変異前の完全長WT−大腸菌(E.Coli)GDNF又はΔ31−N末端切断型GDNF変異体のいずれかと比較して、変異後では、変異した2つのΔ31−N末端切断型GDNF変異体(それぞれN38Q及びD95E)の生物物理学的かつ生化学的特性において顕著な向上が観察された。
【0056】
【表5】
【0057】
実施例3
インビトロ結合活性
以下のアッセイは、ヒトGDNFの特定の変異体が、GFRα1レセプター結合を維持しながらヘパリン結合を減少させて、種々の異なるヘパリン及びレセプター結合特性を提供することを実証する。
【0058】
BiacoreでのGFRに対するGDNFvの結合反応速度
GDNF変異体(GDNFv:N末端−Δ31−切断型)は、大腸菌(E.coli)(細菌)又は哺乳類細胞(CHO細胞又はHEK293EBNA細胞)中で発現し、実施例1に記載されるように精製し得る。変異体のプライマー配列は、用いられる発現系とは関係なく同じままである。
【0059】
Biacore(登録商標)2000装置を、ヒト及びラットのGDNFファミリーレセプター(GFRα1及びGFRα2)に対するGDNFvの結合反応速度を測定するために用いる。測定を25℃で実施する。サンプルを、HBS−EPバッファー(150mM塩化ナトリウム、3mMのEDTA、0.005%(w/v)界面活性剤P−20、pH7.4)中に溶解する。タンパク質A、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を、アミンカップリング化学を用いて約200反応単位(RU)のレベルでCM4センサーチップ(GE Healthcare #BR−1005−39)のフローセル1から4上で固定して、GFR Fcキメラ(組み換えヒトGFRα−1/GDNF Rα−1 Fc キメラ;組み換えヒトGFRα−2/GDNF Rα−2 Fcキメラ;組み換えラットGFRα−1/GDNF Rα−1Fcキメラ;組み換えマウスGFRα−2/GDNF Rα−2 Fcキメラ)を捕捉する。
【0060】
結合を複数サイクルを用いて評価する。各サイクルは、以下のステップからなる:1)約1.0μg/mL濃度の約10μLのGFRの注入、及び120〜150RUの捕捉を目的とした10μL/分の流速。2)10nMと0.04nMとの間の最終濃度範囲における50μL/分の流速で250μLのGDNFvの注入、その後分解のために20分の注入。3)約30μLの10mMグリシン塩酸塩、pH1.5を用いる再生成。各サイクルに関する会合速度及び解離速度を、BIA評価ソフトウェア、バージョン4.1における「1:1(Langmuir)結合」モデルを用いて評価する。
【0061】
結果を以下の表6〜8に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
ELISAを用いるGFRα1に対するヒトGDNF変異体の結合
GDNF野生型及び変異体をELISAアッセイで試験する。この試験において、プレートに結合したレセプター(GFRα1)に対するGDNFタンパク質の結合を測定する。「GDNF無し」状態及び/又は「無関係タンパク質」状態をネガティブコントロールとして使用する。
【0066】
96ウェルプレート(Greiner 655081免疫結合ELISAプレート)の各ウェルを炭酸塩バッファー、pH9.6中で1μg/mlにて70μlのヒトGFRα1(組み換えヒトGFRα1−Fcキメラ、担体を含まない)でコーティングする。無関係レセプターがコーティングされる場合、それは無関係Fcキメラであり、GFRα1と同じ濃度でコーティングされる。プレートを密閉し、一晩4℃でインキュベートする。ウェルを吸引し、自動プレート洗浄器を用いて、洗浄バッファー(20mMのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン、pH7.4、0.15MのNaCl、0.1%のTween−20)で2度洗浄する。プレートを、室温にて少なくとも1時間、ウェル当たり200μlのブロッキングバッファー(上述の洗浄バッファー中の3%カーネーションインスタントミルク)でブロックする。プレートを洗浄バッファで2度洗浄する。
【0067】
GDNFタンパク質を、適切な濃度範囲でブロッキングバッファー中へ連続希釈する(典型的には5μg/mLから開始して1:10に連続希釈する)。ブロッキングバッファのみからなるGDNFコントロールは使用しない。各GDNF溶液の50μlを3連でGFRα1でコーティングしたウェルへ加える。プレートを室温で1.5時間インキュベートする。次いで、ウェルを洗浄バッファで3回洗浄する。
【0068】
ブロッキングバッファー中で1μg/mlの濃度まで希釈した50μlアリコートのビオチン化抗ヒトGDNF抗体(R&D Systems、ビオチン化ヤギ抗ヒトGDNFポリクローナル抗体、カタログ番号BAF212)を各ウェルに加え、室温で45分間インキュベートする。次いで、ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄する。
【0069】
ブロッキングバッファー中で1:1000に希釈した50μlアリコートのセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役ストレプトアビジン(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号016−030−084)を各ウェルに加え、室温で20〜30分間インキュベートする。代わりに、30〜90分間のインキュベーション時間で、1:2000希釈を使用してもよい。次いで、ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄する。50μlの発色基質(すなわち、OPD基質)を各ウェルに加え、室温で2〜3分間展開させた。反応を各ウェルに100μlの1NのHClを加えることで停止する。ウェルの吸光度をMolecular Devices SpectraMax250プレートリーダー上で490nmで読み取る。各状態についての3連のウェルに関する平均吸光度を決定し、得られた値を、Graph Pad Prismソフトウェアを用いてEC50計算のために処理して、95%の信頼範囲を得る。これらの範囲を以下の表9にまとめる。
【0070】
ELISAを用いるヘパリンに対するヒトGDNF変異体の結合
GDNF野生型及び変異体をELISAアッセイで試験する。この試験において、プレートに結合したヘパリンに対するGDNFタンパク質の結合を測定する。「GDNF無し」状態をネガティブコントロールとして使用する。
【0071】
96ウェルのヘパリン結合プレート(BD BioSciencesヘパリン結合プレート、カタログ番号354676)の各ウェルを、PBS中で5μg/mlにて70μlのヘパリン(Sigmaからのヘパリンと、Porcine Intestinal Mucosa、カタログ番号H−3149からのヘパリンナトリウム塩の混合分子量)でコーティングする。プレートを密閉し、光から保護して、一晩室温でインキュベートする。ウェルを吸引し、自動プレート洗浄器を用いて、洗浄バッファーで3回洗浄する。プレートを、37℃で90〜120分間、ウェル当たり200μlのブロッキングバッファーでブロックする(プレートはこのインキュベーションの間、密閉する)。プレートを洗浄バッファで2度洗浄する。
【0072】
GDNFタンパク質を、適切な濃度範囲でブロッキングバッファー中へ連続希釈する(典型的には5μg/mLから開始して1:10に連続希釈する)。ブロッキングバッファのみからなる「GDNF無し」コントロールを使用する。50μlアリコートの各GDNF溶液を、3連でヘパリンでコーティングしたウェルに加える。プレートを室温で1.5〜2時間インキュベートする。次いで、ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄する。
【0073】
ブロッキングバッファー中で1μg/mlの濃度まで希釈した50μlアリコートのビオチン化抗ヒトGDNF抗体を、各ウェルに加え、室温で45分間から1時間までインキュベートする。次いで、ウェルを洗浄バッファーで3回洗浄する。
【0074】
ブロッキングバッファー中で1:1000希釈した50μlアリコートのセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役ストレプトアビジンを、各ウェルに加え、室温で20〜30分間インキュベートする。代わりに、30〜90分間のインキュベーション時間で、1:2000希釈を使用してもよい。次いで、ウェルを洗浄バッファで3回洗浄する。50μlアリコートの発色基質(すなわち、OPD基質)を各ウェルに加え、室温で2〜3分間展開させる。反応を各ウェルに100μlの1NのHClを加えることで停止する。ウェルの吸光度をプレートリーダー上で490nmで読み取る。各状態についての3連のウェルに関する平均吸光度を決定し、得られた値を、Graph Pad Prismソフトウェアを用いてEC50計算のために処理して、95%の信頼範囲を得る。これらの範囲を以下の表9にまとめる。
【0075】
【表9】
【0076】
これらのデータは、野生型GDNF(「WT大腸菌GDNF」と称される)からのN末端の31個のアミノ酸(「CHOΔ31GDNF」と称される変異体)の欠失が、GFRα1レセプター結合を維持しながら、ヘパリン結合を有意に(約10倍)減少できることを示し、また、これらのデータは、種々の異なるヘパリン及びレセプター結合特性がヒトGDNFの追加変異体を介して達成され得ることを示している。
【0077】
実施例4
インビトロ活性
NS−1神経突起伸長
神経分化についてのGDNF活性を、ラット神経スクリーン−1細胞(PC12サブクローン)を用いて評価する。細胞を、コラーゲンでコーティングしたフラスコ内で95%湿度で37℃にてF−12K基礎培地、12.5%の加熱不活性化したウマ血清、2.5%の加熱不活性化したウシ胎仔血清(FBS)、1×GlutaMAX(商標)(Invitrogen、カタログ番号35050061)、及び1×抗−抗(Invitrogen、カタログ番号15240)中で維持する。神経突起伸長を測定するため、神経スクリーン−1細胞を、内部60ウェルのみを用いて、増殖培地中でウェル当たり2200個の細胞にてコラーゲンI96−ウェルプレートへと播種する。細胞接着の24時間後、培地を除去し、8点希釈シリーズ中に希釈したGDNFを加えた1μg/mlでGFRα1−Fcを含有する新規成長培地を、1つの濃度当たり3連のウェルまたはの6つのウェルのいずれかでプレートに加える。1μg/mlのGFRα1−Fcを加えた培地をネガティブコントロールとして含み、25ng/mlの神経突起成長因子を加えた培地をアッセイにおける細胞反応についてのポジティブコントロールとして含む。プレートを37℃、95%湿度で96時間インキュベートし、次いで各ウェルに対して45μlの固定液を加え、そして1時間室温でインキュベートすることで固定する。プレートを、Neurite Outgrowth Hit Kit(商標)(Cellomics、カタログ番号K07−0001−1)からの1×洗浄バッファーで2度洗浄し、次いでキットからの1×バッファーで2度洗浄する。細胞を製造業者の指示書に従ってキットからの神経突起成長試薬を用いて免疫染色する。プレートをアレイスキャン装置上にロードし、アレイスキャンソフトウェア及びCellomicからの神経プロファイリングアルゴリズムを用いて分析する。アルゴリズムにより生成されたデータを、Graph Pad Prismソフトウェアを用いてEC50計算のために処理する。
【0078】
複数の変異体を神経分化における活性について試験して、各変異体について観察されたEC50を表10Aに列挙する。
【0079】
【表10A】
【0080】
本願明細書において試験した全てのGDNFサンプルは、種々の程度で神経突起成長アッセイにおける活性を有する。Δ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E−K125E−R130E変異体についての用量曲線は、実施した2つの実験において最大用量における安定期に達しないので、EC50を計算できなかった。他の4つのGDNF変異体についてのEC5095%信頼区間は、このアッセイにおける活性の同様のレベルを示している範囲で重複する。
【0081】
C−Retレセプターリン酸化
c−Retレセプターリン酸化アッセイを、Y1016位でのcRetレセプターリン酸化の誘導を示すために用い得る。c−Retレセプターリン酸化についてのGDNF活性を、ヒトc−Retを過剰発現させるために安定的にトランスフェクトしたヒト神経芽腫細胞株SH−SY5Y(ATCC)由来の細胞中で評価する。細胞をダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、10%のFBS、3μg/mlのブラストサイジン中で維持する。c−Retリン酸化について、細胞を、ブラストサイジンを含まない増殖培地中で24ウェルコラーゲンでコーティングしたプレート内にウェル当たり5×10で播種し、一晩付着させる。培地を、24時間、低グルコースDMEM+0.25%BSA(ウシ血清アルブミン)に変更する。飢餓培地を除去し、細胞を、グルコース無しのDMEM、0.25%のBSA、1μg/mlのGFRα1−Fc中で30分間37℃にてGDNFで処理する。各GDNF変異体を複数濃度で試験する。処理培地を除去し、細胞を、M−Per抽出試薬+プロテアーゼ阻害剤カクテル、ホスファターゼ阻害剤1、ホスファターゼ阻害剤カクテル2、及びホスファターゼ阻害剤カクテル3(Sigma(商標))の氷冷溶解バッファー中のプレート表面から擦り取る。細胞懸濁液を完全に溶解するためボルテックスし、細胞ペレット残屑まで14,000×gで遠心分離し、上清を、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ試薬を用いてタンパク質濃度について定量化する。各GDNF溶解物について、10μgタンパク質を、4〜12%のNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis−Trisゲル(Invitrogen、カタログ番号NP0322)により分離し、PVDFブロットに移す。チロシン1016ホスホ−Retを、ウサギポリクローナル抗体及びヤギ−抗−ウサギ−HRP抗体で検出し、c−Retをマウスモノクローナル抗体及びヤギ−抗−マウス−HRP抗体で検出する。ブロットを、Supersignal West Pico(商標)(Thermo Scientific、カタログ番号34081)試薬で展開し、x線フィルムに曝す。
【0082】
5つのGDNF変異体(WT−大腸菌−GDNF、CHOΔ31GDNF、CHOΔ31−N38Q−D95E GDNF、CHOΔ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E GDNF、及びCHOΔ31−N38Q−K84A−R88K−R90K−D95E−K125E−R130E GDNF)を、グルコース無しのDMEM、0.25%のBSA培地+1μg/mlのGFRα1−Fc中で、0.8、2.0、4.0、10、20、50及び100ng/mlの4つの濃度でc−Retリン酸化活性について試験する。培地のみ、培地+1μg/mlのGFRα1−Fc、及び培地+100ng/mlのCHOΔ31GDNFをまた、ネガティブコントロールとして試験する。5つのGDNF変異体の各々を、8〜15ng/mlのEC50でc−Retリン酸化を誘導する。これらのデータは、全ての5つのGDNF変異体が用量依存的にY1016にてc−Retリン酸化を誘導することを示している。
【0083】
表10Bにまとめているように、操作したΔ31−N末端切断型GDNF変異体は、生物物理学的かつ生化学的特性において顕著な向上を示しており(表5、6、9、及び10A)、37℃で4週間のインキュベーション後、最適化された生物学的特性(例えば、同等のGFRα1レセプター結合、減少したヘパリン結合、及び同等の神経突起伸長)を維持した。
【0084】
【表10B】
【0085】
実施例5
DAターンオーバーアッセイにおけるGDNF変異体活性
オスのSprague−Dawleyラットを、イソフルラン(O中3%)を用いて麻酔する。頭を剃り、ヨード溶液で殺菌した後、動物を、温度制御マットを備えた定位固定フレーム上に置く。眼を眼科用ゲルで保護し、麻酔をイソフルラン(O中1〜2%)を用いて維持する。
【0086】
正中切開を動物頭部に行い、頭皮及び下層組織が現れ、頭蓋骨をブレグマが可視化できるまで乾燥させる。尾状核についての座標を、GDNFを注入するためにブレグマと硬膜表面から測定する。28ゲージ注入カニューレをこの位置までゆっくりと低下させ、注入をポンプを用いて1分間後に開始する。2μlボーラスの試験GDNFを0.5μl/分で4分に亘って左半球へ注入し、カニューレを、注入を中断してから所定の位置に更に3分間残す。カニューレを除去してから、注入部位を閉じ、手術後に鎮痛剤を投与し、動物を温度制御ケージ内で回復させて、その後、ホームケージへ移動させる。動物を、その地域の倫理指針に従って手術後に検査する。注入後の適切な間隔にて、動物を屠殺し、脳を除去し、尾状核を正確に解剖し、秤量し、ドーパミン及び代謝物のHPLC分析まで凍結させる。
【0087】
凍結組織を迅速に解凍させて、0.5mlの均質化バッファー(0.1Mの過塩素酸(PCA)、0.1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2.5mg/Lのアスコルビン酸)中で均質化し、その後、20,000gで15分間遠心分離する。上清を除去し、シリンジの無い濾過器で濾過する。ドーパミン(DA)、ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)及びホモバニリン酸(HVA)の分析を、電気化学的検出器と連結したHPLCを用いて実施する。20μlアリコートの各サンプルを注入し、外部校正曲線(LC4C、BAS、USA)に対して定量化する。移動相は、Hypersil BDS(Base Deactivated Silica)(Thermo Scientific、カタログ番号28105)150×3.0mm C18 3μの粒子カラムを40℃で用いる、100mMのNaHPO、100mMのHPO、2mMのOSA、1mMのEDTA、13%のメタノール(MeOH)、pH2.8からなる。データをEmpowerクロマトグラフィーソフトウェアを用いて回収する。4パラメータロジスティックフィットを、ng/g湿潤重量組織として発現前の全てのデータについて実施する。ドーパミンターンオーバー測定は、(DOPAC+HVA)/DAとして、かつ、左半球(処理済)対右半球(インタクト)を用いて行った比較として表す。
【0088】
【表11】
【0089】
データは、表11中で名付けた各GDNF変異体が、インタクト半球と比較して、処理済み半球におけるドーパミンターンオーバーが有意に増加することを示している。
【0090】
実施例6
インビボアッセイ
6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)により誘導される逆行性損傷モデル
オスのSprague−Dawleyラットを、イソフルラン(O中3%)を用いて麻酔する。頭を剃り、ヨード溶液で殺菌した後、動物を、温度制御マットを備えた定位固定フレーム上に置く。眼を眼科用ゲルで保護し、麻酔をイソフルラン(O中1〜2%)を用いて維持する。
【0091】
正中切開を動物頭部に行い、頭皮及び下層組織が現れ、頭蓋骨をブレグマが可視化できるまで乾燥させた。尾状核についての座標を、10ugの6−ヒドロキシドーパミン(6−OHDA)を注入するためにブレグマと硬膜表面から測定する。28ゲージ注入カニューレをこの位置までゆっくりと低下させ、注入を1分後に開始する。2μlボーラスの6−OHDAを0.5μl/分で4分に亘って左半球へ注入し、注入を中断したら、カニューレを更に3分間所定の位置に残す。
【0092】
6−OHDA注入後の30分にて試験GDNFを、同じプロトコルを用いて注入する。GDNF注入の座標は、上記のようにブレグマ及び硬膜表面から前方−後方+1.0、LM−2.5、DV−4.5mmである。
【0093】
カニューレを除去すると、切開部位を閉じ、手術後に鎮痛剤を投与し、動物を温度制御ケージ内で回復させて、その後、ホームケージへ移動する。動物を、その地域の倫理指針に従って手術後に検査する。注入後の適切な間隔にて、動物を屠殺し、脳を除去し、尾状核および黒質を正確に解剖し、秤量し、ドーパミン及び代謝物のHPLC分析まで凍結させる。
【0094】
凍結組織を迅速に解凍させて、0.5mlの均質化バッファー(0.1MのPCA、0.1mMのEDTA、2.5mg/Lのアスコルビン酸)中で均質化し、その後、20,000×gで15分間遠心分離する。上清を除去し、シリンジのない濾過器で濾過する。ドーパミン(DA)、DOPAC及びHVAの分析を、電気化学的検出器と連結したHPLCを用いて実施する。20μlのアリコートの各サンプルを注入し、外部校正曲線に対して定量化する。移動相は、40℃にてBDS Hypersil 150×3.0mm C18 3μ粒子カラムを用いる、100mMのNaHPO、100mMのHPO、2mMのOSA、1mMのEDTA、13%のMeOH、pH2.8からなる。データをEmpowerクロマトグラフィーソフトウェアを用いて回収する。4パラメータロジスティックフィットを、ng/g湿潤重量組織として表す前の全てのデータについて実施する。比較を左半球(処理済)対右半球(インタクト)を用いて行う。
【0095】
【表12】
【0096】
【表13】
【0097】
尾状核への6−OHDAの投与は、インタクト側と比較して処理側におけるドーパミンレベルの有意な減少をもたらす(表12)。有意な欠損もまた、GDNFの投与により予防される黒質において観察される(表13)。本願明細書において試験したGDNFの全ての変異体は、処理側と比較してビヒクルとは有意に異なっている。
【0098】
ラット脳における急性生体内分布
オスのSprague−Dawleyラットを、イソフルラン(O中3%)を用いて麻酔する。頭を剃り、ヨード溶液で殺菌した後、動物を、温度制御マットを備えた定位固定フレーム上に置く。眼を眼科用ゲルで保護し、麻酔をイソフルラン(O中1〜2%)を用いて維持する。
【0099】
正中切開を動物の頭部に行い、頭皮及び下層組織が現れ、頭蓋骨をブレグマが可視化できるまで乾燥させる。尾状核についての座標を、GDNF(前方−後方+0.5、外側内側−3.0、背側腹側−5.5mm)を注入するためにブレグマと硬膜表面から測定する。30ゲージの注入カニューレをこの位置までゆっくりと低下させ、注入(ポンプを用いる)を1分後に開始する。2μlのボーラスの試験GDNFを0.5μl/分にて4分に亘って左半球へ注入し、カニューレを、注入を中断してから更に3分間、所定の位置に残す。カニューレを除去すると、切開部位を閉じ、手術後に鎮痛剤を投与し、次いで動物を温度制御ケージ内で回復させる。注入後の適切な間隔にて、動物を屠殺し、脳を除去し、免疫組織化学のための低温切開片化まで凍結させる。
【0100】
ラット脳におけるGDNF免疫組織化学(IHC)
注入したGDNFの生体内分布を、免疫組織化学アッセイにおいて試験し、この試験において、注入した抗原(GDNF及びGDNF変異体)に対する抗体の結合をラット脳中で測定する。アイソタイプコントロール抗体をネガティブコントロールとして使用する。
【0101】
凍結したラット脳の低温切開片化を、平面を作製するためにラット脳マトリクスを用いて、−20℃にて低温保持装置内に維持しながら、小脳の切り取りにより開始する。Optimal Cutting Temperature(商標)(OCT、Sakura又は他の同様のベンダー)を、冷却した低温保持装置検体チャック上に置く。OCTが凍結し始めると、ラット脳の平坦な尾表面を、−20℃に冷却した鉗子を用いて検体チャック上に置き、これにより、吻側−大部分の脳が検体チャックから外方に向いた状態でOCTが所定の位置に脳を留める。検体チャックを対象ホルダー内に置いて閉める。ミクロトームブレードをナイフホルダー内に挿入した後、低温保持装置上の切り取り機能を用いて、注入トラックに対して吻側の嗅球並びに大脳を捨てる。8um厚の切片を300μm間隔で取り、正電荷を帯びたスライドガラス上に置く。2つ又は3つの隣接する間隔の切片を、各ラット脳について各スライドガラス上に置く。次いで、スライドを20分間室温にて4%パラホルムアルデヒド中に入れ、tris緩衝化生理食塩水tween−20(TBST)洗浄バッファー中でリンスする。室温で染色溶液を用いて、二重内因性酵素ブロックとともにスライドを10分間インキュベートし、TBST洗浄バッファーでリンスし、アビジン及びビオチンブロックそれぞれを15分間インキュベートし、TBST洗浄バッファーで洗浄し、60分間タンパク質ブロックでブロックし、エアーナイフを用いてスライドを吹く。ビオチン化抗ヒトGDNF又はビオチン化ヤギIgGを、バックグラウンド低下剤を用いて2μg/mlまで抗体希釈物中で希釈し、60分間スライド上でインキュベートし、次いでTBST洗浄バッファーで3回リンスする。スライドを標識したストレプトアビジンビオチン2(LSAB2)(Dako、カタログ番号K0609)とともに10分間インキュベートし、TBST洗浄バッファーでリンスする。スライドをDAB+(DAB希釈物中の2滴のDAB)とともに5分間インキュベートし、次いでTBST洗浄バッファーでリンスし、その後、蒸留水でリンスする。スライドを自動染色器から除いた後、それらをHematoxylin(商標)で対比染色し、Cytoseal XYL(商標)(Stephens Scientific、カタログ番号8312−4)を用いてカバースリップする。スライドを乾燥させ、次いでAperio XTを用いて分析して生体内分布を定量化する。
【0102】
ラット脳におけるGDNFの生体内分布の定量化
スライドの画像を、Aperio ScanScope XT(Controllerソフトウェアのv10.00.00.1805で稼動する)上で20倍の倍率設定にて取得する。スライドについてのメタデータをAperioのウェブベースのソフトウェア、Spectrum(v10.0.1346.1806)内に保存する。
【0103】
各脳切片を、Aperioのイメージ閲覧ソフトウェア、ImageScope(v10.0.36.1805)を用いて手動でアウトライン化する。第一の研究については、最小量の目に見える切片化アーチファクトを有する全ての脳切片をアウトライン化する。第二の研究については、スライドラベルに最も近い全ての脳切片をアウトライン化する。各アウトライン化領域を、Aperioの「ポジティブピクセルカウント(Positive Pixel Count)」アルゴリズム(v9)[画像ズーム=.01及び強度閾値弱(上限)=235以外は、全てのパラメータがそれらのデフォルト設定に維持されている状態]を用いて分析する。
【0104】
各ラットについてGDNF分布領域(mm)を、ポジティブピクセルアルゴリズムからのポジティブ及び強いポジティブ領域を合計することで算出する。対応スチューデントt検定を統計的有意性を決定するために使用する。
【表14】
【0105】
ヘパリン結合に関するELISAデータ(表9)は、野生型GDNFに対する改変が、大腸菌(E.Coli)−WT GDNFと比較してヘパリン結合を減少できることを示している。これらのデータは、上記の表14に示すように生体内分布データと一緒に、ヘパリン結合を減少させる変異体がラット脳における生体内分布の増加をもたらし得ることを確認する。上記の表で列挙されたN38Q−D95E及びN38Q−K84A−R88K−R90K−D95E変異体は、大腸菌(E.Coli)−WT−GDNFと比較して生体内分布を増加させた。
【0106】
本発明の新規GDNF変異体は、好ましくは、種々の経路により投与される医薬組成物として処方される。最も好ましくは、このようなGDNF変異体は非経口投与又は頭蓋内投与用である。このような医薬組成物及び同等物を調製するためのプロセスは当該分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A.Gennaroら,eds.,第19版,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
【0107】
治療有効量は、患者に対して治療的有効性を与えるのに必要な本発明の新規GDNF変異体の量である。実際に投与されるGDNF変異体の量が、治療される状態、選択される投与経路、投与される実際の活性薬剤、年齢、体重、及び個々の患者の反応、並びに患者の症状の重篤度を含む、関連する環境を考慮して医師により決定されることは理解されるだろう。
【0108】
配列表
<配列番号1;PRT1;ホモサピエンス>
MKLWDVVAVCLVLLHTASAFPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKRSPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKNRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSDKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0109】
<配列番号2;DNA;ホモサピエンス>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTTTCCCACTGCCAGCCGGCAAGAGACCCCCAGAGGCCCCAGCCGAGGACAGAAGCCTGGGCAGGCGGAGGGCCCCATTCGCCCTGAGCAGCGACAGCAACATGCCAGAGGACTACCCCGACCAGTTCGACGACGTCATGGACTTCATCCAGGCCACCATCAAGAGGCTGAAGAGGTCACCCGACAAGCAGATGGCCGTGCTGCCCAGGCGGGAGAGGAACAGGCAGGCCGCCGCCGCCAACCCAGAGAATTCCAGGGGCAAGGGCAGAAGGGGTCAACGGGGCAAGAACAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGACAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0110】
<配列番号3;PRT1;ホモサピエンス>
SPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKNRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSDKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0111】
<配列番号4;PRT1;ホモサピエンス>
MKLWDVVAVCLVLLHTASA
【0112】
<配列番号5;PRT1;ホモサピエンス>
FPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKR
【0113】
<配列番号6;DNA;プライマー>
TATACATATGCGTGGACAACGTGGTAAAAACCGTGGTTGTGTGCTG
【0114】
<配列番号7;DNA;プライマー>
GGTGCTCGAGTTATTAAATGCAGCCGCAACGTTTCGCGCT
【0115】
<配列番号8;PRT1;ホモサピエンス>
RGQRGKNRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSDKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0116】
<配列番号9;PRT1;人工配列>
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0117】
<配列番号10;DNA;人工配列>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTTTCCCACTGCCAGCCGGCAAGAGACCCCCAGAGGCCCCAGCCGAGGACAGAAGCCTGGGCAGGCGGAGGGCCCCATTCGCCCTGAGCAGCGACAGCAACATGCCAGAGGACTACCCCGACCAGTTCGACGACGTCATGGACTTCATCCAGGCCACCATCAAGAGGCTGAAGAGGTCACCCGACAAGCAGATGGCCGTGCTGCCCAGGCGGGAGAGGAACAGGCAGGCCGCCGCCGCCAACCCAGAGAATTCCAGGGGCAAGGGCAGAAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0118】
<配列番号11;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASAFPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKRSPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0119】
<配列番号12;PRT1;人工配列>
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0120】
<配列番号13;DNA;人工配列>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTTTCCCACTGCCAGCCGGCAAGAGACCCCCAGAGGCCCCAGCCGAGGACAGAAGCCTGGGCAGGCGGAGGGCCCCATTCGCCCTGAGCAGCGACAGCAACATGCCAGAGGACTACCCCGACCAGTTCGACGACGTCATGGACTTCATCCAGGCCACCATCAAGAGGCTGAAGAGGTCACCCGACAAGCAGATGGCCGTGCTGCCCAGGCGGGAGAGGAACAGGCAGGCCGCCGCCGCCAACCCAGAGAATTCCAGGGGCAAGGGCAGAAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGGCCAACCTGAGCAAGAACAAGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0121】
<配列番号14;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASAFPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKRSPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0122】
<配列番号15;PRT1;人工配列>
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILREHSAKECGCI
【0123】
<配列番号16;DNA;人工配列>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTTTCCCACTGCCAGCCGGCAAGAGACCCCCAGAGGCCCCAGCCGAGGACAGAAGCCTGGGCAGGCGGAGGGCCCCATTCGCCCTGAGCAGCGACAGCAACATGCCAGAGGACTACCCCGACCAGTTCGACGACGTCATGGACTTCATCCAGGCCACCATCAAGAGGCTGAAGAGGTCACCCGACAAGCAGATGGCCGTGCTGCCCAGGCGGGAGAGGAACAGGCAGGCCGCCGCCGCCAACCCAGAGAATTCCAGGGGCAAGGGCAGAAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGGCCAACCTGAGCAAGAACAAGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGGAGCACAGCGCCAAGGAGTGCGGCTGCATC
【0124】
<配列番号17;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASAFPLPAGKRPPEAPAEDRSLGRRRAPFALSSDSNMPEDYPDQFDDVMDFIQATIKRLKRSPDKQMAVLPRRERNRQAAAANPENSRGKGRRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILREHSAKECGCI
【0125】
<配列番号18;DNA;ホモサピエンス>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCT
【0126】
<配列番号19;DNA;人工配列>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0127】
<配列番号20;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0128】
<配列番号21;DNA;人工配列>
ATGAAGCTGTGGGACGTGGTGGCCGTGTGCCTGGTGCTGCTGCACACCGCCAGCGCTAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGGCCAACCTGAGCAAGAACAAGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0129】
<配列番号22;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0130】
<配列番号23;PRT1;人工配列>
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI
(配列中:
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
【0131】
<配列番号24;PRT1;人工配列>
MKLWDVVAVCLVLLHTASARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI
(配列中:
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
【0132】
<配列番号25;PRT1;ハツカネズミ>
METDTLLLWVLLLWVPGSTG
【0133】
<配列番号26;DNA;ハツカネズミ>
ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTACTGCTGCTCTGGGTTCCAGGATCTACCGGT
【0134】
<配列番号27;DNA;人工配列>
ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTACTGCTGCTCTGGGTTCCAGGATCTACCGGTAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0135】
<配列番号28;PRT1;人工配列>
METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0136】
<配列番号29;DNA;人工配列>
ATGGAGACAGACACACTCCTGCTATGGGTACTGCTGCTCTGGGTTCCAGGATCTACCGGTAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGGCCAACCTGAGCAAGAACAAGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0137】
<配列番号30;PRT1;人工配列>
METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0138】
<配列番号31;PRT1;人工配列>
METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI
(配列中:
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
【0139】
<配列番号32;PRT1;ホモサピエンス>
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSA
【0140】
<配列番号33;DNA;ホモサピエンス>
ATGGCTACCGGCAGCAGGACCTCTCTGCTGCTGGCCTTCGGCCTGCTGTGCCTGCCCTGGCTGCAGGAAGGCAGCGCC
【0141】
<配列番号34;DNA;人工配列>
ATGGCTACCGGCAGCAGGACCTCTCTGCTGCTGGCCTTCGGCCTGCTGTGCCTGCCCTGGCTGCAGGAAGGCAGCGCCAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGAAGAACCTGAGCAGGAACAGGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0142】
<配列番号35;PRT1;人工配列>
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0143】
<配列番号36;DNA;人工配列>
ATGGCTACCGGCAGCAGGACCTCTCTGCTGCTGGCCTTCGGCCTGCTGTGCCTGCCCTGGCTGCAGGAAGGCAGCGCCAGGGGTCAACGGGGCAAGCAGAGGGGCTGCGTGCTGACCGCCATCCACCTGAACGTGACCGACCTGGGCCTGGGCTACGAGACCAAGGAGGAGCTGATCTTCAGGTACTGCAGCGGCAGCTGCGACGCCGCCGAGACCACCTACGACAAGATCCTGGCCAACCTGAGCAAGAACAAGCGGCTGGTCTCCGAGAAGGTGGGCCAGGCCTGCTGCAGGCCCATCGCCTTCGACGACGACCTGAGCTTCCTGGACGACAACCTGGTGTACCACATCCTGAGGAAGCACAGCGCCAAGAGATGCGGCTGCATC
【0144】
<配列番号37;PRT1;人工配列>
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI
【0145】
<配列番号38;PRT1;人工配列>
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI
(配列中:
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
【0146】
<配列番号39;DNA;プライマー>
TATACATATGCGTGGACAACGTGGTAAACAACGTGGTTGTGTGCTG
【0147】
<配列番号40;DNA;プライマー>
GGTGCTCGAGTTATTAAATGCAGCCGCAACGTTTCGCGCT
【0148】
<配列番号41;DNA;プライマー>
GTCTGGTGAGCGAGAAAGTGGGTCAG
【0149】
<配列番号42;DNA;プライマー>
CTGACCCACTTTCTCGCTCACCAGAC
【0150】
<配列番号43;DNA;プライマー>
CCTATGATAAAATCCTGGCAAACCTGAGCAAGAACAAACGTCTGGTGAGCGAGAAAG
【0151】
<配列番号44;DNA;プライマー>
CTTTCTCGCTCACCAGACGTTTGTTCTTGCTCAGGTTTGCCAGGATTTTATCATAGG
【0152】

配列番号1:AA−ヒトGDNF野生型完全長
配列番号2:DNA−ヒトGDNF野生型完全長
配列番号3:AA−ヒト成熟野生型GDNF
配列番号4:AA−ヒトGDNF天然分泌シグナルペプチド
配列番号5:AA−ヒトGDNFプロドメイン
配列番号6:DNA−Δ31−順方向プライマー
配列番号7:DNA−Δ31−逆方向プライマー
配列番号8:AA−変異体1:Δ31GDNF
配列番号9:AA−GDNF変異体2:Δ31+N38Q+D95E(クローンD9)タンパク質(103aa)
配列番号10:DNA構造配列−GDNF変異体2:Δ31+N38Q+D95E(クローンD9)DNA(pEE12.4)
配列番号11:AA−GDNF変異体2:Δ31+N38Q+D95E(クローンD9)タンパク質構造物(211aa).
配列番号12:AA−GDNF変異体3:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(クローンF2.1)タンパク質配列(103aa)
配列番号13:DNA構造配列−GDNF変異体3:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(クローンF2.1)DNA配列
配列番号14:AA−GDNF変異体3:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(クローンF2.1)タンパク質構造物(211aa)
配列番号15:AA−GDNF変異体4:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E+K125E+R130E(クローン4.3)タンパク質配列(103aa):
配列番号16:DNA構造配列−GDNF変異体4:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E+K125E+R130E(クローン4.3)DNA配列
配列番号17:AA−GDNF変異体4:Δ31+N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E+K125E+R130E(クローン4.3)タンパク質構造物
配列番号18:DNA−ヒトGDNF天然分泌シグナルペプチド
配列番号19:DNA−天然ペプチド−Δ31N38Q+D95E構造物
配列番号20:AA−天然ペプチド−Δ31N38Q+D95E(122aa):
配列番号21:DNA−天然ペプチド−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E
配列番号22:AA−天然ペプチド−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(122aa):
配列番号23:変異体のAA−コンセンサス配列
配列番号24:変異体のAA−天然ペプチド−コンセンサス配列
配列番号25:AA−マウスκリーダー分泌シグナルペプチド(MKL)
配列番号26:DNA−マウスκリーダー分泌シグナルペプチド(MKL)
配列番号27:DNA−MKL−Δ31N38Q+D95E構造物
配列番号28:AA−MKL−Δ31N38Q+D95E(123aa):
配列番号29:DNA−MKL−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E構造物
配列番号30:AA−MKL−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(123aa):
配列番号31:変異体のAA−マウスκリーダー−コンセンサス配列
配列番号32:AA−ヒト成長ホルモン分泌シグナルペプチド(hGH)
配列番号33:DNA−ヒト成長ホルモン分泌シグナルペプチド(hGH)
配列番号34:DNA−hGH−Δ31N38Q+D95E構造物
配列番号35:AA−hGH−Δ31N38Q+D95E(129aa):
配列番号36:DNA−hGH−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E構造物
配列番号37:AA−hGH−Δ31N38Q+K84A−R88K−R90K−D95E(123aa):
配列番号38:変異体のAA−hGH−コンセンサス配列
配列番号39:DNA−Δ31−N38Q−順方向プライマー
配列番号40:DNA−Δ31−N38Q−逆方向プライマー
配列番号41:DNA−Δ31−N38Q−D95E−順方向プライマー
配列番号42:DNA−Δ31−N38Q−D95E−逆方向プライマー
配列番号43:DNA−Δ31−N38Q−KAKKE−順方向プライマー
配列番号44:DNA−Δ31−N38Q−KAKKE−逆方向プライマー
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。

[1] 配列番号23:
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILXaa84NLSXaa88NXaa90RLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRXaa125HSAKXaa130CGCI
(配列中、
i)Xaa84はKまたはAであり、
ii)Xaa88はRまたはKであり、
iii)Xaa90はRまたはKであり、
iv)Xaa125はKまたはEであり、
v)Xaa130はRまたはEである)
のアミノ酸配列を含む、ヒトGDNF変異体。
[2] 前記変異体が、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号9)、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号12)、および
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILREHSAKECGCI(配列番号15)
からなる群から選択される、[1]に記載のヒトGDNF変異体。
[3] 前記変異体が、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号9)
である、[2]に記載のヒトGDNF変異体。
[4] 前記変異体が、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号12)
である、[2]に記載のヒトGDNF変異体。
[5] 前記変異体が、
RGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILANLSKNKRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILREHSAKECGCI(配列番号15)
である、[2]に記載のヒトGDNF変異体。
[6] METDTLLLWVLLLWVPGSTGRGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号28)および
MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号35)
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、Δ31−N末端切断型GDNF変異体を調製するための中間体。
[7] 前記アミノ酸配列が、MATGSRTSLLLAFGLLCLPWLQEGSARGQRGKQRGCVLTAIHLNVTDLGLGYETKEELIFRYCSGSCDAAETTYDKILKNLSRNRRLVSEKVGQACCRPIAFDDDLSFLDDNLVYHILRKHSAKRCGCI(配列番号35)である、[6]に記載の中間体。
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体と、1つ以上の薬学的に許容可能な希釈剤、担体または賦形剤とを含む、医薬組成物。
[9] 有効量の[8]に記載の組成物を、それを必要とするヒト患者に投与することを含む、パーキンソン病のための治療方法。
[10] 医薬として使用するための[1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体。
[11] パーキンソン病の治療に使用するための[1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体。
[12] [1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるパーキンソン病を治療するための方法。
[13] 療法として使用するための[1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体。
[14] 有効量の[1]〜[5]のいずれかに記載のヒトGDNF変異体を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、パーキンソン病を治療する方法。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]