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特許6093350容量性接触センサのための評価方法および評価デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093350
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】容量性接触センサのための評価方法および評価デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   G06F3/01 510
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-517724(P2014-517724)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2014-527217(P2014-527217A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012062651
(87)【国際公開番号】WO2013004603
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】102011078534.5
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511242328
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブルガー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェンス, ホルガー
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−055723(JP,A)
【文献】 特開2008−225648(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/069926(WO,A2)
【文献】 国際公開第2011/041031(WO,A2)
【文献】 特開2012−078924(JP,A)
【文献】 米国特許第04175239(US,A)
【文献】 特開2007−150733(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01− 3/0489
H01H 36/00−36/02
H03K 17/74−17/98
H03M 11/00
H04M 1/00
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用デバイス内に配置された容量性接触センサのための評価方法であって、前記容量性接触センサは、交番電場が放出されるように交番信号を受信する少なくとも1つの伝送電極(SE)と、前記伝送電極(SE)と容量性結合を有する少なくとも1つの受信電極(EE)とを含み、前記容量性結合は、ユーザの手が前記携帯用デバイスを把持することによって変化し、前記少なくとも1つの受信電極(EE)において、測定信号(S1)が受信され、前記測定信号(S1)は、前記少なくとも1つの伝送電極(SE)と前記少なくとも1つの受信電極(EE)との間の結合静電容量の時間経過を表し
前記方法は、
前記携帯用デバイスが前記ユーザの手によって把持されている場合、前記携帯用デバイスが前記ユーザの手によって把持されていない場合よりも高いレートで前記測定信号(S1)をサンプリングすることと、
前記測定信号(S1)が少なくとも1つの検出基準を満たす場合、少なくとも1つの検出信号(S2)を生成することによって前記ユーザの手が前記携帯用デバイスをどのように保持しているかの変化を検出することであって、前記検出基準は、閾値を定義する、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記測定信号(S1)は、低域通過フィルタリングされ、前記測定信号(S1)の低域通過フィルタリング後、前記測定信号(S1)と前記低域通過フィルタリングされた測定信号との間の差異信号が形成され、前記差異信号は、前記閾値と比較される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記差異信号の生成は、前記測定信号(S1)の微分および前記測定信号(S1)の高域通過フィルタリングのうちの1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記検出基準は、上方閾値(UT)および/または下方閾値(LT)を含み、好ましくは、前記検出基準は、上限値(UL)および/または下限値(LL)を含み、前記上限値(UL)は、前記上方閾値(UT)を上回り、前記下限値(LL)は、前記下方閾値(LT)を下回る、請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記差異信号が前記下方閾値(LT)を下回る場合、第1の検出信号(S2.1)が生成され、および/または、前記差異信号が前記上方閾値(UT)を上回る場合、第2の検出信号(S2.2)が生成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記差異信号が前記下方閾値(LT)を下回り、かつ、前記下限値(LL)を上回る場合、第1の検出信号(S2.1)が生成され、および/または、前記差異信号が前記上方閾値(UT)を上回り、かつ、前記上限値(UL)を下回る場合、第2の検出信号(S2.2)が生成される、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)は、デジタル信号であり、前記検出信号(S2.1、S2.2)が少なくとも1つの情報基準を満たす場合、情報信号(S3)が生成される、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記情報基準は、
前記第1の検出信号(S2.1)の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
前記第2の検出信号(S2.2)の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
前記第1の検出信号(S2.1)のパルスの立ち上がりエッジと前記第2の検出信号(S2.2)のパルスの立ち上がりエッジとの間の
時間間隔が、所定の値を上回るか、または下回ること、
前記第1の検出信号(S2.1)のパルスまたは前記第2の検出信号(S2.2)のパルスのパルス持続時間が、所定の値を上回るか、または下回ること、
所定の時間期間(Δt)内において、前記第1の検出信号(S2.1)、または前記第2の検出信号(S2.2)、または前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)が、所定の数のパルスを含むこと、および、
前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)のパルスのシーケンスが、ある一定のパターンを含むこと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結合静電容量は、伝送方式または吸収方式によって測定される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記測定信号(S1)の信号レベルが前記デバイスが未だ把持されていないことを示す所定の基準レベルを下回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第1のサンプリングレートを使用してサンプリングされ、前記測定信号(S1)の信号レベルが前記デバイスが把持されていることを示す所定の基準レベルを上回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第2のサンプリングレートを使用してサンプリングされ、前記第1のサンプリングレートは、好ましくは、前記第2のサンプリングレートより低い、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記測定信号(S1)の信号レベルが所定の基準レベルを下回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第1の増幅を使用して増幅され、前記測定信号(S1)の信号レベルが前記所定の基準レベルを上回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第2の増幅を使用して増幅され、前記第2の増幅は、前記測定信号(S1)が、常時、前記容量性接触センサの動作範囲内にあるように選定される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記受信電極(EE)において、少なくとも1つの第2の測定信号(S1b)が、受信され、前記差異信号の生成に先立って、前記測定信号(S1)および前記少なくとも1つの第2の測定信号(S1b)は、互に組み合わされ、前記差異信号は、前記組み合わされた測定信号から生成され、前記測定信号(S1;S1b)は、好ましくは、組み合わせることに先立って、信号事前処理を受ける、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
容量性接触センサのための評価デバイスであって、前記評価デバイスは、前記容量性接触センサの少なくとも1つの伝送電極(SE)および少なくとも1つの受信電極(EE)と結合されるように動作可能であり、前記評価デバイスは、請求項1〜12のいずれかに記載の評価方法を実施するように適合されている、評価デバイス。
【請求項14】
電気携帯用デバイスであって、前記電気携帯用デバイスにおいて、少なくとも1つの伝送電極(SE)および少なくとも1つの受信電極(EE)が、配列され、評価デバイスと結合され、前記評価デバイスは、請求項1〜12のいずれかに記載の評価方法を実施するように適合され、前記電気携帯用デバイスは、好ましくは、モバイル無線ユニット、遠隔制御、ゲーム用コンソールのための入力手段、ポータブルミニコンピュータ、スマートフォン、コンピュータマウス、およびコンピュータのための入力手段のうちの少なくとも1つを含む、電気携帯用デバイス。
【請求項15】
前記電気携帯用デバイスは、変形可能様式で設計され、前記電気携帯用デバイスの変形は、前記少なくとも1つの伝送電極(SE)と前記少なくとも1つの受信電極(EE)との間の結合静電容量の変動を生じさせる、請求項14に記載の電気携帯用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、に関する。加えて、本発明は、本発明による評価方法を実施するように適合されている、容量性接触センサのための評価デバイスに関する。加えて、本発明による評価デバイスを含む電気携帯用デバイスが、本発明によって提供される。
【背景技術】
【0002】
携帯用デバイス、特に、携帯電話に配置され、それぞれ、手による電気携帯用デバイスの接触および把持を検出し得る、容量性接触センサが、先行技術から公知である。電気携帯用デバイスの接触および把持が、それぞれ検出されると、電気携帯用デバイスは、例えば、スリープモードから動作モードに移行され得る。動作モードの変更後、電気携帯用デバイスの把持の検出時、なおもさらなる機能が、電気携帯用デバイス内でアクティブ化され得る。例えば、手による携帯電話の把持の検出は、携帯電話が手によって把持されると、着信呼に応答するために使用され得る。
【0003】
しかしながら、携帯用デバイスの把持に割り当てられている機能は、携帯用デバイスの把持が実際に生じたときのみ、実施され得る。例えば、携帯電話に着信する呼は、呼の着信中に携帯電話が既に手によって把持されている場合、手によって携帯電話を把持することによって、応答することはできない。電気携帯用デバイスが既に手によって把持されている場合、携帯用デバイスのさらなる動作は、容量性ベースでは、もはや検出されることができない。携帯用デバイスのさらなる機能、例えば、呼への応答は、従来の様式で、例えば、機械的キーを作動させることによってのみ、作動されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目標は、例えば、電気携帯用デバイスにおいて、携帯用デバイスが既に手によって把持されている場合にも、容量性ベースで、動作入力の検出を可能にする解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目標は、独立請求項に表されるように、容量性接触センサのための評価方法および容量性接触センサのための評価デバイスならびに本発明による評価デバイスを含む電気携帯用デバイスによって達成される。本発明の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項に表される。
【0006】
それによると、容量性接触センサのための評価方法が提供され、容量性接触センサは、容量性結合状態にされることが可能である、少なくとも1つの伝送電極および少なくとも1つの受信電極を含み、
−少なくとも1つの受信電極において、少なくとも1つの伝送電極と少なくとも1つの受信電極との間の結合静電容量の時間経過を表す、測定信号が、タップされ、
−基準信号が、測定信号から形成され、
−基準信号が少なくとも1つの検出基準を満たす場合、少なくとも1つの検出信号が生成される。
【0007】
また、容量性接触センサのための評価方法が提供され、容量性接触センサは、少なくとも1つのセンサ電極を含み、
−少なくとも1つのセンサ電極において、センサ電極と基準接地との間の容量性負荷の時間経過を表す、測定信号が、タップされ、
−基準信号が、測定信号から形成され、
−基準信号が少なくとも1つの検出基準を満たす場合、少なくとも1つの検出信号が生成される。
【0008】
以下、2つの前述の評価方法の有利な実施形態が、規定される。
【0009】
測定信号は、低域通過フィルタリングされ得、測定信号の低域通過フィルタリング後、測定信号と低域通過フィルタリングされた測定信号との間の差異信号が形成され、差異信号は、基準信号を表す。
【0010】
基準信号の形成は、測定信号の微分および測定信号の高域通過フィルタリングのうちの1つを含み得る。
【0011】
検出基準は、上方閾値および/または下方閾値を含み得る。
【0012】
検出基準は、上限値および/または下限値を含み得る。好ましくは、上限値は、上方閾値を上回り、下限値は、下方閾値を下回る。
【0013】
基準信号が、下方閾値を下回る場合、第1の検出信号が、生成され得る。
【0014】
基準信号が、上方閾値を上回る場合、第2の検出信号が、生成され得る。
【0015】
基準信号が、下方閾値を下回り、下限値を上回る場合、第1の検出信号が、生成され得る。
【0016】
基準信号が、上方閾値を上回り、上限値を下回る場合、第2の検出信号が、生成され得る。
【0017】
好ましくは、第1の検出信号および第2の検出信号は、デジタル信号であり、検出信号が、少なくとも1つの情報基準を満たす場合、情報信号が生成される。
【0018】
情報基準は、例えば、
−第1の検出信号の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
−第2の検出信号の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
−第1の検出信号のパルスの立ち上がりエッジと第2の検出信号のパルスの立ち上がりエッジとの間の
−時間間隔が、所定の値を上回るか、または下回ること、
−第1の検出信号のパルスまたは第2の検出信号のパルスのパルス持続時間が、所定の値を上回るか、または下回ること、
−所定の時間期間内において、第1の検出信号または第2の検出信号または第1の検出信号および第2の検出信号は、所定の数のパルスを含む、および/または
−第1の検出信号および第2の検出信号のパルスの連続は、あるパターンを有すること
であり得る。
【0019】
結合静電容量は、伝送方式または吸収方式を使用して測定され得る。容量性負荷は、負荷方式を使用して測定され得る。
【0020】
測定信号の信号レベルが所定の基準レベルを下回る場合、測定信号は、所定の第1のサンプリングレートを使用してサンプリングされ得る。測定信号の信号レベルが、所定の基準レベルを上回る場合、測定信号は、所定の第2のサンプリングレートを使用してサンプリングされ得る。
【0021】
好ましくは、第1のサンプリングレートは、第2のサンプリングレートより低い。
【0022】
測定信号の信号レベルが所定の基準レベルを下回る場合、測定信号は、所定の第1の増幅を使用して増幅され得る。測定信号の信号レベルが、所定の基準レベルを上回る場合、測定信号は、所定の第2の増幅を使用して増幅され得、第2の増幅は、測定信号が、常時、容量性接触センサの動作範囲内にあるように選定される。
【0023】
少なくとも1つの第2の測定信号が、受信電極またはセンサ電極においてタップされ得、基準信号の形成に先立って、測定信号および少なくとも1つの第2の測定信号は、互に組み合わされ、基準信号が、組み合わされた測定信号から形成される。
【0024】
測定信号(測定信号および第2の測定信号)は、組み合わせることに先立って、信号事前処理を受け得る。
【0025】
さらに、容量性接触センサのための評価デバイスが提供され、容量性接触センサは、少なくとも1つの伝送電極および少なくとも1つの受信電極、または、容量性接触センサの少なくとも1つのセンサ電極と結合され得、本発明による評価方法を実施するように適合される。
【0026】
加えて、電気携帯用デバイスが提供され、電気携帯用デバイスにおいて、少なくとも1つの伝送電極および少なくとも1つの受信電極または少なくとも1つのセンサ電極が、配列され、評価デバイスと結合され、評価デバイスは、本発明による評価方法を実施するように適合される。
【0027】
電気携帯用デバイスは、モバイル無線ユニット、遠隔制御、ゲーム用コンソールのための入力手段、ポータブルミニコンピュータ、スマートフォン、コンピュータマウス、およびコンピュータのための入力手段のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0028】
電気携帯用デバイスは、変形可能であるように設計され得、携帯用デバイスの変形は、少なくとも1つの伝送電極と少なくとも1つの受信電極との間の結合静電容量の変動を生じさせる。
【0029】
本発明のさらなる詳細および特性は、図面とともに、以下の説明から生じる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
容量性接触センサのための評価方法であって、前記容量性接触センサは、容量性結合状態にされることが可能な少なくとも1つの伝送電極(SE)および少なくとも1つの受信電極(EE)を含み、前記少なくとも1つの受信電極(EE)において、測定信号(S1)がタップされ、前記測定信号(S1)は、前記少なくとも1つの伝送電極(SE)と前記少なくとも1つの受信電極(EE)との間の結合静電容量の時間経過を表し、前記測定信号(S1)から、基準信号(SREF)が形成され、前記基準信号(SREF)が少なくとも1つの検出基準を満たす場合、少なくとも1つの検出信号(S2)が生成される、方法。
(項目2)
容量性接触センサのための評価方法であって、前記容量性接触センサは、少なくとも1つのセンサ電極(SE/EE)を含み、前記少なくとも1つのセンサ電極(SE/EE)において、測定信号(S1)がタップされ、前記測定信号(S1)は、前記センサ電極(SE/EE)と基準接地との間の容量性負荷の時間経過を表し、前記測定信号(S1)から、基準信号(SREF)が形成され、前記基準信号(SREF)が少なくとも1つの検出基準を満たす場合、少なくとも1つの検出信号(S2)が生成される、方法。
(項目3)
前記測定信号(S1)は、低域通過フィルタリングされ、前記測定信号(S1)の低域通過フィルタリング後、前記測定信号(S1)と前記低域通過フィルタリングされた測定信号との間の差異信号が形成され、前記差異信号は、前記基準信号(SREF)を構成する、項目1〜2のいずれかに記載の方法。
(項目4)
前記基準信号(SREF)の生成は、前記測定信号(S1)の微分および前記測定信号(S1)の高域通過フィルタリングのうちの1つを含む、項目1または2のいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記検出基準は、上方閾値(UT)および/または下方閾値(LT)を含む、項目1〜4のいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記検出基準は、上限値(UL)および/または下限値(LL)を含み、前記上限値(UL)は、前記上方閾値(UT)を上回り、前記下限値(LL)は、前記下方閾値(LT)を下回る、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記基準信号(SREF)が前記下方閾値(LT)を下回る場合、第1の検出信号(S2.1)が生成される、項目5から6のいずれかに記載の方法。
(項目8)
前記基準信号(SREF)が前記上方閾値(UT)を上回る場合、第2の検出信号(S2.2)が生成される、項目5から7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記基準信号(SREF)が前記下方閾値(LT)を下回り、かつ、前記下限値(LL)を上回る場合、第1の検出信号(S2.1)が生成される、項目6から8のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記基準信号(SREF)が前記上方閾値(UT)を上回り、かつ、前記上限値(UL)を下回る場合、第2の検出信号(S2.2)が生成される、項目6から9のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)は、デジタル信号であり、前記検出信号(S2.1、S2.2)が少なくとも1つの情報基準を満たす場合、情報信号(S3)が生成される、項目7から10のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記情報基準は、
前記第1の検出信号(S2.1)の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
前記第2の検出信号(S2.2)の2つのパルスの立ち上がりエッジ間、または
前記第1の検出信号(S2.1)のパルスの立ち上がりエッジと前記第2の検出信号(S2.2)のパルスの立ち上がりエッジとの間の
時間間隔が、所定の値を上回るか、または下回ること、
前記第1の検出信号(S2.1)のパルスまたは前記第2の検出信号(S2.2)のパルスのパルス持続時間が、所定の値を上回るか、または下回ること、
所定の時間期間(Δt)内において、前記第1の検出信号(S2.1)、または前記第2の検出信号(S2.2)、または前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)が、所定の数のパルスを含むこと、および、
前記第1の検出信号(S2.1)および前記第2の検出信号(S2.2)のパルスのシーケンスが、ある一定のパターンを含むこと
のうちの少なくとも1つを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
項目1を参照して、結合静電容量が、伝送方式または吸収方式によって測定され、項目2を参照して、容量性負荷が、負荷方式によって測定される、項目1〜12のいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記測定信号(S1)の信号レベルが所定の基準レベルを下回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第1のサンプリングレートを使用してサンプリングされ、前記測定信号(S1)の信号レベルが前記所定の基準レベルを上回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第2のサンプリングレートを使用してサンプリングされる、項目1〜13のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記第1のサンプリングレートは、前記第2のサンプリングレートより低い、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記測定信号(S1)の信号レベルが所定の基準レベルを下回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第1の増幅を使用して増幅され、前記測定信号(S1)の信号レベルが前記所定の基準レベルを上回る場合、前記測定信号(S1)は、所定の第2の増幅を使用して増幅され、前記第2の増幅は、前記測定信号(S1)が、常時、前記容量性接触センサの動作範囲内にあるように選定される、項目1〜15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記受信電極(EE)または前記センサ電極(SE/EE)において、少なくとも1つの第2の測定信号(S1b)が、タップされ、前記基準信号(SREF)の生成に先立って、前記測定信号(S1)および前記少なくとも1つの第2の測定信号(S1b)は、互に組み合わされ、前記基準信号(SREF)は、前記組み合わされた測定信号から生成される、項目1〜16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記測定信号(S1;S1b)は、組み合わせることに先立って、信号事前処理を受ける、項目17に記載の方法。
(項目19)
容量性接触センサのための評価デバイスであって、前記評価デバイスは、少なくとも1つの伝送電極(SE)および少なくとも1つの受信電極(EE)、または、前記容量性接触センサの少なくとも1つのセンサ電極(SE/EE)と結合され、前記評価デバイスは、項目1〜18のいずれかに記載の評価方法を実施するように適合されている、評価デバイス。
(項目20)
電気携帯用デバイスであって、前記電気携帯用デバイスにおいて、少なくとも1つの伝送電極(SE)および少なくとも1つの受信電極(EE)、または、少なくとも1つのセンサ電極(SE/EE)が、配列され、評価デバイスと結合され、前記評価デバイスは、項目1から18のいずれかに記載の評価方法を実施するように適合されている、電気携帯用デバイス。
(項目21)
モバイル無線ユニット、遠隔制御、ゲーム用コンソールのための入力手段、ポータブルミニコンピュータ、スマートフォン、コンピュータマウス、およびコンピュータのための入力手段のうちの少なくとも1つを含む、項目20に記載の電気携帯用デバイス。
(項目22)
前記電気携帯用デバイスは、変形可能様式で設計され、前記携帯用デバイスの変形は、前記少なくとも1つの伝送電極(SE)と前記少なくとも1つの受信電極(EE)との間の結合静電容量の変動を生じさせる、項目20または21に記載の電気携帯用デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、手によって把持される電気携帯用デバイスを示す。
図2a図2aは、伝送方式および/または吸収方式に従って動作される、本発明による容量性センサの動作モードの明確化のための等価回路図を示す。
図2b図2bは、負荷方式に従って動作される、本発明による容量性センサの動作モードの明確化のための等価回路図を示す。
図3図3は、本発明による容量性センサデバイスの受信電極でタップされた測定信号の振幅の時間経過を示し、電気携帯用デバイスを手で圧搾することによって生じる、および/または携帯用デバイスから一時的に指を持ち上げることによって生じる、容量性センサの静電容量変動が見られ得る。
図4図4は、容量性センサの受信電極でタップされた信号を示し、電気携帯用デバイスの圧搾および/または携帯用デバイスからの一時的な指の持ち上げを表す、いくつかのピークが、視認可能である。
図5a図5aは、2つの閾値を含み、容量性センサの受信電極およびセンサ電極でタップされる、測定信号の微分信号(基準信号)、ならびに微分信号から導出される、2つのデジタル信号(検出信号)を示す。
図5b図5bは、2つの閾値を含み、容量性センサの受信電極およびセンサ電極でタップされる、測定信号の高域通過フィルタリングされた信号(基準信号)、ならびに高域通過フィルタリングされた信号から導出される、2つのデジタル信号(検出信号)を示す。
図6a図6aは、容量性センサの受信電極およびセンサ電極でタップされた測定信号の低域通過フィルタリングされた信号を示す。
図6b図6bは、図6aに示される信号の差異から形成される、基準信号を示す。
図7図7は、本発明による評価方法に従って情報信号を生成するための本発明による信号処理の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、手によって把持される、電気携帯用デバイス、例えば、携帯電話Gを示す。携帯電話は、容量性接触センサを含み、それによって、携帯用デバイスGの把持が、検出され得る。容量性接触センサは、少なくとも1つの受信電極EEおよび少なくとも1つの伝送電極SEを含む。図1に示される携帯電話では、伝送電極SEが、左側、すなわち、携帯電話Gの左側壁に配列される。受信電極EEは、右側、すなわち、携帯電話Gの右側壁に配列され、本明細書に示される実施例では、手の指によって覆われる。
【0032】
携帯電話Gが、手によって把持されると、伝送電極SEと受信電極EEとの間の容量性結合が、生じる。また、把持の結果、電極SEとEEとの間の既存の弱容量性結合は、増幅(伝送方式、図2e参照)または弱化(吸収方式、図2a参照)され得る。伝送電極SEは、交番電場が放出され、携帯電話Gを把持している間、手を介して、受信電極EEに結合するように、交番電気信号によって負荷がかけられる。伝送電極SEで放出され、手を介して、受信電極EEに結合される、交番電場の一部は、受信電極EE内の電流の変動を生じさせ、評価デバイスによって検出されることができる。
【0033】
伝送電極SEおよび受信電極EEはまた、手によって把持しなくても、容量性結合状態にされることが可能であるように、電気携帯用デバイスに配列され得る。例えば、携帯用デバイスは、手による携帯用デバイスの強い圧搾が、一時的変形につながるような変形可能様式において、設計され得る。好ましくは、変形可能携帯用デバイスにおいて、伝送電極SEおよび受信電極EEは、一時的変形が、2つの電極SEとEEとの間の距離の変動につながるように、その上に配列される。距離の変動とともに、また、2つの電極SEとEEとの間の容量性結合の変動も伴い、そして、受信電極EE内において電流の変動を生じさせ、それが、評価デバイスによって検出され得る。
【0034】
加えて、電極SEおよびEEは、携帯用デバイスが手によって把持される場合、携帯用デバイスの表面に対する指の移動もまた、2つの電極SEとEEとの間の容量性結合の変動をもたらし、そして、それが、本発明による評価デバイスによって検出され得るように、携帯用デバイスGに配列されるか、または携帯用デバイスGにおいて、互に対して配列される。
【0035】
容量性接触センサはまた、1つのみ、またはいくつかのセンサ電極SE/EE(図1には図示せず)を含み得る。センサ電極SE/EEは、左側、すなわち、携帯電話Gの左側壁、または右側、すなわち、携帯電話Gの右側壁に配列され得る。しかしながら、センサ電極SE/EEはまた、携帯電話Gの正面または背面に配列され得る。
【0036】
センサ電極SE/EEが、手によって覆われるように、携帯電話Gを把持した状態では、少なくとも部分的に、センサ電極SE/EEと基準接地との間の容量性負荷(負荷方式、図2b参照)が、変化する。この変動は、評価デバイスによって検出され得る。
【0037】
1つのみのセンサ電極SE/EEでは、実質的に、携帯用デバイスの表面に対する指の移動が、検出され得る。実質的に、電気携帯用デバイスの2つの反対側壁に配列される、少なくとも2つのセンサ電極SE/EEでは、また、携帯用デバイスの把持も、確実に検出され得る。
【0038】
このように、携帯用デバイスが既に手によって把持されているときも、有利な様式において、容量性ベースで携帯用デバイスの動作を検出することが初めて実行可能となる。本発明による様式では、これは、特に、以下により詳細に説明される、本発明による評価方法によって可能となる。
【0039】
図2aは、手によって把持され、伝送方式および吸収方式に従って動作する、携帯用デバイスにおける、本発明による容量性センサの等価回路図を示す。手による携帯用デバイスGの把持の間、伝送電極SEと受信電極EEとの間の結合静電容量は、変動し、ここでは、伝送電極SEと手との間の結合静電容量C1および手と受信電極EEとの間の結合静電容量C2として与えられる。伝送電極と受信電極EEとの間の結合静電容量C1、C2の変動は、受信電極EE内の電流の変動として、測定および検出され得る。それぞれ、容量性センサの特定の接地条件に応じて、接近および把持は、電極SEとEEとの間の容量性結合の減少(吸収)または増加(伝送)につながる。
【0040】
受信電極EEおよび伝送電極SEは各々、評価デバイスAと結合される。評価デバイスAは、一方では、交番電場が伝送電極SEから放出され、手を経由して受信電極に結合されるように、交番電気信号によって伝送電極SEに負荷をかけるために提供される。他方では、評価デバイスAはまた、受信電極EEでタップされた電気信号(測定信号)を分析するため、すなわち、受信電極EE内の電流の時間変動を検出および評価するために提供される。
【0041】
手によって把持される電気携帯用デバイスが、より強く圧搾されると、結合静電容量C1、C2は、変化し、そして、それは、受信電極EE内の電流のレベルに影響を及ぼす。携帯用デバイスの高速圧搾(わずかのみであっても、携帯用デバイスの幾何学形状が変化するような、および/または電極と手との間の容量性結合が変化するような手による携帯用デバイスの高速圧搾)が、携帯用デバイスを把持する手によって実施されると、これは、受信電極EE内の電流の急上昇をもたらし、本発明による方法を使用して、検出および評価され得る。加えて、また、携帯用デバイスの表面に対する携帯用デバイスGを把持する手の指の移動(好ましくは、携帯用デバイスに向かっての接近および携帯用デバイスからの除去)は、変動、好ましくは、受信電極EE内の電流の急上昇および下降をもたらす。
【0042】
結合静電容量C1、C2の時間変動は、概して、例えば、携帯用デバイスの指の距離の変動によって(また、携帯用デバイスが、手によって把持されるとき)および/または電極と、例えば、ユーザの手との間の有効活性結合表面の変動によって(携帯用デバイスが、通常より強く圧搾されるときもまた、有効結合表面は、増加される)生じ得る。
【0043】
実際、結合静電容量C1、C2の変動は、ほぼ以下の状態間(状態(A)と状態(B)との間)で変動する(これはまた、負荷方式に従う、センサ電極SE/EEにおける容量性負荷の変動にも該当する、図2b参照)。
(A)例えば、デバイスが、テーブル上に位置付けられている。
(B)デバイスが、手によって把持されている。
−>これは、実質的に、手とデバイスとの間の距離の変化に対応し、以下では、「把持」とも表される。
(A)デバイスが、手上に位置付けられている。
(B)デバイスが、手によって把持されている。
−>これは、実質的に、手とデバイスとの間の距離の変化に対応する。
(A)デバイスが、低把持力によって把持されている。
(B)デバイスは、高把持力によって把持されている。
−>これは、実質的に、指および手のひらに触れている表面の表面変化に対応し、以下では、「圧搾」と表される。
(A)デバイスが、手によって把持されており、親指および/または指が、デバイスの表面上に静止している。
(B)デバイスが、手によって把持されており、親指および/または1本または数本の指が、デバイスの表面上に静止していない。すなわち、親指および/または1本または数本の指が、意図的に、デバイスの表面から持ち上げられている(除去されている)、および/または好ましくは、再び、すぐにデバイスの表面上に静止される。
−>これは、実質的に、表面の変化および/または距離の変化に対応し、以下では、「把持上時タップ」とも表される。
【0044】
親指および指の開始位置(静止位置)に関して、以下の間で微分され得る。
−親指/指が、デバイスの表面上に静止している。
−親指/指が、デバイスの表面上に静止していない。
【0045】
携帯用デバイスのユーザは、意図的に、前述の説明される状態間を切り替えてもよく、このように、結合静電容量C1、C2の時間変動を生成し得る。
【0046】
図2bは、手によって把持され、負荷方式に従って動作する、携帯用デバイスにおける、本発明による容量性センサの等価回路図を示す。
【0047】
負荷方式における容量性センサの動作の間、伝送電極ならびに受信電極を表す、1つのみのセンサ電極SE/EEが必要とされる。また、負荷電極とも表される、センサ電極SE/EEでは、交番電場が、そこから放出されるように、交番電気信号が、供給され、センサ電極SE/EEの容量性負荷は、評価デバイスによって、検出および分析される。
【0048】
負荷方式では、実質的に、容量性センサのセンサ電極と基準接地との間の容量性負荷は、接近および把持を検出するために使用される。容量性負荷は、センサ電極SE/EEから基準接地まで有効である電場の強度が、導電性の手の接近によって増加され、したがって、センサ電極SE/EEと基準接地との間の静電容量C1、C3が、増加することを意味する。容量性負荷は、したがって、センサ電極SE/EEから基準接地まで有効な電場の強度に対する評価基準であり、センサ電極SE/EEと基準接地との間の静電容量C1、C3に対する評価基準である。
【0049】
また、いくつかのセンサ電極SE/EEおよび負荷電極が、携帯用デバイスに配列され得、各センサ電極SE/EEに対して、容量性負荷が検出され得る。このように、単純な様式で、また、手による携帯用デバイスの把持も、検出され得る。ある実施形態では、第1のセンサ電極SE/EEは、左側壁に配列され得、第2のセンサ電極SE/EEは、右側壁に配列され得る。
【0050】
受信電極EEおよびセンサ電極SE/EE内の電流の変動の検出および評価は、図2aによるセンサデバイスを用いて、図3から図7を参照して以下により詳細に説明される。それぞれの様式における、評価および評価方法もまた、図2bを参照して示される負荷方式のために使用され得る。
【0051】
図3は、受信電極EEでタップされた測定信号S1の振幅の時間経過を示し、ここでは、デジタル化形式で示される。測定信号S1は、最初に、電気携帯用デバイスが、手によって把持されていることの事実を示す、あるレベルを有する。
【0052】
電気携帯用デバイスが、手によって把持されていないとき、受信電極EEでタップされたアナログ信号は、第1のサンプリングレートを使用してデジタル化され得る。例えば、アナログ信号は、約10Hzの第1のサンプリングレートを使用して、デジタル化およびサンプリングされ得る。多くの場合、携帯用デバイスの把持を確実に検出するために、低サンプリングレートで十分である。低い第1の低サンプリングレートは、アナログ信号が、所定の信号レベルを下回る限り維持され得、所定の信号レベルを下回る状態は、前述のような携帯用デバイスの圧搾によって、または、指の除去および接近によっては、生じない。
【0053】
電気携帯用デバイスが、手によって把持された後、測定信号の信号レベルS1は、時間t=33まで、実質的に、ほぼ一定のままである。
【0054】
約時間t=33と時間t=34との間ならびに時間t=34と時間t=35との間では、各々、デバイスの急圧搾が、電気携帯用デバイスのユーザによって実施されている。各場合の急圧搾は、レベルの急上昇をもたらし、それは、測定信号S1において、顕著に視認可能である。
【0055】
約時間t=36および時間t=37では、携帯用デバイスは、依然として、手によって把持されており、携帯用デバイスの表面上に静止する、指、例えば、親指が、一時的に、携帯用デバイスから除去され、その都度、測定信号S1のレベルの急下降をもたらす。時間t=39と時間t=40との間では、短い時間間隔で、携帯用デバイスの表面上に静止する指が、一時的に、携帯用デバイスから除去され、そして、それは、測定信号S1のレベルの急下降をもたらす。ここに示されるレベルの急下降はまた、数本の指の接近/除去によってももたらされ得る。
【0056】
デバイスの急圧搾および指の急除去/接近の確実な検出を可能にするために、手による携帯用デバイスの把持の検出後、把持を検出するための第1のサンプリングレートより高い、測定信号をサンプリングするための第2のサンプリングレートを使用することが有利である。第2のサンプリングレートは、約20Hz〜50Hzであり得る。特定の要件に応じて、第2のサンプリングレートはまた、50Hzより高くてもよい。
【0057】
携帯用デバイスの解放後、再び、第1のサンプリングレートが、使用され得る。
【0058】
既に、第1のサンプリングレートがまた、指の急圧搾および急除去/接近の検出のために十分である値を有する場合、サンプリングレートの変動は、行なわれなくてもよい。
【0059】
図4は、受信電極EEでタップされた測定信号S1の時間経過を示す。携帯用デバイスの把持後、ユーザは、デバイスGの一時的急圧搾によって、いくつかの入力を実施する。圧搾による急入力は、その都度、測定信号S1のレベルの急上昇をもたらし、ここでは、測定信号S1におけるピークとして見られ得る。また、ここでは、時間t=1におけるレベルの上昇も視認可能であるが、しかしながら、これは、携帯用デバイスGの一時的急圧搾を表すものではなく、より長い時間の間の携帯用デバイスの強い圧搾である。本発明の好ましい実施形態では、しかしながら、図4に示される信号の経過において、11個のユーザ入力のみ検出されるように、携帯用デバイスの急かつ一時的圧搾のみ、入力として検出されるものとする。本発明の別の実施形態では、測定信号S1におけるピークはまた、その都度、指の一時的除去/接近によって生じ得る。
【0060】
受信電極でタップされた測定信号S1が、最初に、デジタル化され、次いで、周波数分析および測定信号事前処理を受けることが有利である。
【0061】
また、評価に先立って、測定信号を増幅させることも有利であり得る。加えて、増幅された測定信号が、常時、評価デバイスの動作範囲内にあり、レベルの急上昇の測定信号が、測定信号のクリッピングをもたらすであろう、限界に到達しないように、把持の検出後、測定信号を増幅させることも有利であり得る。把持の間の増幅もまた、例えば、異なる周囲条件に反応することが可能であるように、時間に伴って、動的に適合され得る。
【0062】
図5aは、本発明による容量性センサの受信電極でタップされた、図3に示される測定信号S1の微分信号(基準信号SREF)を示す。測定信号S1の微分によって、測定信号の変化率が、決定され得る。加えて、受信電極EEでタップされる測定信号S1の微分および導関数によって、例えば、指のゆっくりとした接近/除去によって生じる、レベルのゆっくりとした変化は、ユーザ入力として認識されないことが達成される。また、より長い時間期間の間の電気携帯用デバイスの強い圧搾も、同様に、動作入力として検出されないことが達成される。
【0063】
また、図5a(ならびに以下により詳細に説明される図5bおよび図6b)に示されるのは、上方閾値UTおよび下方閾値LTである。閾値UTおよびLTを、上回ることおよび下回ることは、測定信号S1のレベルが、所定の最小速度で変化していることの指標として理解され得る。
【0064】
加えて、(デジタル、すなわち、バイナリ)検出信号S2.2およびS2.1が、上方閾値UTおよび下方閾値LTに割り当てられる。基準信号SREFが、上方閾値UTを上回るとき、検出信号S2.2のレベルは、論理HIGHに設定される。上方閾値UTが、再び、下回るとき、検出信号S2.2のレベルは、再び、論理LOWに設定される。同様に、また、検出信号S2.1も、生成される。基準信号SREFが、下方閾値LTを下回るとき、検出信号S2.1のレベルは、論理HIGHに設定される。下方閾値LTが、再び、上回ると、検出信号S2.1のレベルは、再び、論理LOWに設定される。当然ながら、状態LOWおよびHIGHTはまた、互に交換され得る。同様に、図5aを参照して説明される検出信号S2.1およびS2.2の生成もまた、図5bおよび図6bを参照して示される検出信号S2.1およびS2.2に適用される。
【0065】
検出信号S2.1およびS2.2は、図6bを参照してより詳細に説明されるように、特定のデバイス機能をアクティブ化するために評価および使用され得る。
【0066】
測定信号S1の微分の代替として、基準信号SREFはまた、測定信号の高域通過フィルタリングによって生成され得る。
【0067】
図5bは、本発明による容量性センサの受信電極でタップされた、図3に示される測定信号S1の高域通過フィルタリングされた信号(基準信号SREF)を示す。好ましくは、一次の高域通過フィルタが、使用される。大部分に対する基準信号SREFは、微分によって生成された基準信号SREFに一致している(図5a参照)。同様に、ここに示されるのは、上方閾値UTおよび下方閾値LTならびに検出信号S2.1およびS2.2である。閾値UTおよびLTならびに検出信号S2.1およびS2.2に関しては、図5aに関する説明が参照される。
【0068】
図6aおよび図6bを参照して示されるのは、図5aおよび図5bに示される測定信号の事前処理の代替であり、第1のステップでは、図3に示される測定信号S1の低域通過フィルタリングが実施され、第2のステップでは、基準信号SREFが、測定信号S1および低域通過フィルタリングされた測定信号から生成される。
【0069】
図6aは、本発明による容量性センサの受信電極EEでタップされた、第1のステップで生成された図3に示される測定信号S1の低域通過フィルタリングされた信号STPを示す。好ましくは、一次低域通過フィルタが使用され、異なる時定数が、測定信号の立ち上がりおよび立ち下がりエッジのために使用され得る。
【0070】
図6bは、測定信号S1および低域通過フィルタリングされた測定信号STPから生成される、基準信号SREFを示す。このため、測定信号S1と低域通過フィルタリングされた測定信号STPとの間の差異が、決定される(すなわち、S1−STP)。測定信号S1と低域通過フィルタリングされた測定信号STPとの間の差異は、この場合、変動量に対する評価基準である。
【0071】
図5aおよび図5bにおけるように、検出基準として、また、ここでは、上方閾値UTおよび下方閾値LTが、定義され、それを上回ることおよび下回ることは、図5aを参照して説明されるように、それぞれの検出信号S2.1およびS2.2のレベルの変動をもたらす。
【0072】
加えて、提供されるのは、上限値ULおよび下限値LLである。例えば、限界値ULおよびLLは、上向きおよび下向き方向における逸脱値を検出し、適用可能である場合、それらをフィルタリング除去し、または少なくとも、それぞれの検出信号S2.1およびS22を生成する間、それらを無視したまま残すために提供され得る。上向きおよび/または下向き方向における逸脱値は、例えば、測定誤差に伴って生じ得る。評価方法のロバスト性は、このように、改善され得る。下限および上限値はまた、図5aおよび図5bを参照して示される方法のために提供され得る。
【0073】
本明細書に示される全方法において、いくつかの上方閾値UT、いくつかの下方閾値LT、いくつかの上限値UL、ならびにいくつかの下限値LLが、提供され得る。そうすることによって、例えば、指のゆっくりとした接近を指の高速接近から区別することが実行可能である。なぜなら、例えば、2つの上方閾値の好適な選択によって、両場合において、より低い閾値は上回られるが、しかしながら、ゆっくりとした接近では、2つの閾値のより高い方は、上回られないからである。
【0074】
加えて、図6bに示されるのは、基準信号SREFに基づいて、かつ、検出信号S2.1および/またはS2.2に基づいて、生成される、情報信号S3のための実施例である。(デジタルおよびバイナリ)情報信号S3は、検出信号S2.1および/またはS2.2が、少なくとも1つの所定の情報基準を満たす場合、作成され、すなわち、論理HIGHに設定され得る。
【0075】
(情報基準のための実施例)
a)
−第1の検出信号S2.1の2つの(連続)パルスの立ち上がりエッジ間の時間間隔、および/または
−第2の検出信号S2.2の2つの(連続)パルスの立ち上がりエッジ間の時間間隔、および/または
−第1の検出信号S2.1のパルスの立ち上がりエッジと第2の検出信号S2.2のパルスの立ち上がりエッジとの間の時間間隔が、
所定の値を上回るか、または下回る。
b)第1の検出信号S2.1のパルスまたは第2の検出信号S2.2のパルスのパルス持続時間が、所定の値を上回るか、または下回る。
c)所定の時間期間Δt内において、第1の検出信号S2.1、または第2の検出信号S2.2、または第1の検出信号S2.1および第2の検出信号S2.2が、所定の数のパルスを含む。
d)第1の検出信号S2.1および第2の検出信号S2.2のパルスのシーケンスが、所定のパターンを含む。
【0076】
情報基準のための前述の説明される実施例は、余す所のないものではなく、組み合わされ得る。
【0077】
図6bに示される実施例では、所定の時間期間Δt内において、2つの立ち上がりエッジが、第1の検出信号S2.1および第2の検出信号S2.2の各々において、検出されると、情報信号S3が、生成される。
【0078】
検出信号S2.1およびS2.2はまた、可能性として考えられる誤差(測定誤差または動作誤差)を検出するために使用され得る。例えば、第1の検出信号S2.1における2つの時間的連続パルスは、第2の検出信号S2.2のパルスが、該2つのパルス間で検出されないとき、測定誤差を指し得る。
【0079】
前述の示される閾値UTおよびLTならびに限界値ULおよびLLは、例えば、周囲条件の変化に応答するために、時間に伴って、動的に適合され得る。閾値UTおよびLTはまた、それぞれ、電気携帯用デバイスGの柔らかいまたは比較的にゆっくりとした圧搾ならびに指の比較的にゆっくりとした接近/除去のみ、動作入力として検出しない目的のために適合され得る。
【0080】
閾値UTおよびLTはまた、閾値が、最終的に、ユーザの個々の要件に適合され得るように、ユーザから要求される「試験動作入力」に基づいて、調節され得る。
【0081】
図7は、本発明による評価方法に従って、情報信号を生成するための本発明による信号処理の実施例を示す。
【0082】
第1のステップでは、電気信号が、電極(受信電極EEまたはセンサ電極SE/EE)でタップされ、さらなる処理のために、デジタル測定信号を提供するアナログ/デジタルコンバータにフィードされる。続いて、デジタル測定信号は、測定信号事前処理にフィードされる。
【0083】
本発明のある実施形態ではまた、異なる電気信号が、電極でタップされ、アナログ/デジタルコンバータにフィードされ得る。
【0084】
例えば、2つの動作モードが、センサデバイスの動作のために提供され得る。第1の動作モード(伝送方式)では、伝送電極SEと受信電極EEとの間の容量性結合(伝送または吸収、図2a参照)が、検出される。容量性結合に割り当てられる測定信号は、伝送信号Sとして表される。第2の動作モード(負荷方式)では、伝送電極SEおよび/または受信電極EEは、負荷電極SE/EEとして使用され得、電極の容量性負荷が、検出される(図2b参照)。容量性負荷に割り当てられる測定信号は、負荷信号Sとして表される。伝送電極SEならびに受信電極EEが各々、負荷電極SE/EEとして動作されると、2つの負荷信号SL1およびSL2が、さらなる処理のために提供される。
【0085】
加えて、例えば、第3の電極(図示せず)が、提供され得、好ましくは、受信電極EEに隣接して配列される。そうすることによって、第1の動作モードでは、伝送電極SEは、交番電気信号によって負荷がかけられ得、伝送電極SEと受信電極EEとの間の容量性結合が、検出され得る。伝送電極SEと受信電極EEとの間の容量性結合に割り当てられる測定信号は、第1の伝送信号ST1として表される。第2の動作モードでは、第3の電極は、交番電気信号によって負荷がかけられ得、第3の電極と受信電極との間の容量性結合が、検出され得る。第3の電極と受信電極EEとの間の容量性結合に割り当てられる測定信号は、第2の伝送信号ST2として表される。代替として、第1の動作モードでは伝送電極のみ、第2の動作モードでは伝送電極および第3の電極が、交流信号によって負荷がかけられるように、伝送電極SEは、第2の動作モードでも交番電気信号によって負荷がかけられ得る。
【0086】
前述の2つの実施例は、包括的ではなく、組み合わされ得る。
【0087】
図7に示されない信号処理ステップにおいて、デジタル測定信号SおよびS(および、SL1、SL2)と、ST1およびST2とから、事前処理にフィードされるべき測定信号S1が生成される。測定信号S1は、デジタル測定信号を組み合わせることによって、生成され得る。2つの前述の実施例の1つ目では、デジタル測定信号Sは、例えば、測定信号の合計を形成することによって、デジタル測定信号Sと組み合わされ得、デジタル測定信号は、重み付けされ得る(例えば、A*S+B*S、A*S+B*SL1+C*SL2)。同様に、また、第2の実施例によるデジタル測定信号ST1およびST2も、互に組み合わされ得る。また、生成されるのは、重み付けされたデジタル測定信号の差異であり得る。デジタル測定信号の組み合わせのさらなる変形も、実行可能である。
【0088】
さらなる実施形態では、デジタル測定信号は、互に組み合わされる前に、事前処理を受け得る。例えば、デジタル測定信号は、組み合わされる前に、低域通過フィルタリングを受け得る。
【0089】
そのように形成された、組み合わされた測定信号S1または初期測定信号S1(測定信号の組み合わせが要求されなかった場合)は、測定信号事前処理にフィードされる。
【0090】
測定信号事前処理は、図5a、図5b、図6a、および図6bを参照して説明されるように実施される。このように、例えば、電極でタップされた信号(すなわち、組み合わされたまたは初期測定信号)の変動量は、図6aおよび図6bを参照して説明されるように、決定され得る。
【0091】
代替として、または加えて、また、電極でタップされた信号の変動率も、図5aおよび図5bを参照して説明されるように、決定され得る。測定信号事前処理の結果は、1つ以上の基準信号である。変動率ならびに変動量が決定されると、2つの基準信号が、生成され得、さらなる評価のために使用され得る。このように、例えば、検出基準が、定義され、検出基準は、変動率ならびに変動量を考慮し得る。
【0092】
測定信号事前処理の結果は、継続的に、監視および評価される。例えば、変動量が、正方向に変化すると、変動が、上方閾値UTを上回るかどうかチェックされ得る。加えて、変動が、上限値ULを上回るかどうか試験され得る。変動が、上方閾値UTと上限値ULとの間の範囲内にあるとき(検出基準1)、検出信号S2.2が、生成される。類似様式において、これはまた、負方向における量の変動ならびに比率の変動(変動率)にも該当する。
【0093】
そのように生成された検出信号S2.1およびS2.2は、続いて、情報信号S3を生成するように適合されている信号評価にフィードされる。情報信号S3の形成の間、図6bを参照して述べられた情報基準が、使用され得る。情報信号S3は、例えば、単一、二重、三重、または複数の入力動作(例えば、指によるダブルクリック)が実施されたかどうかに関する情報を含み得る。
【0094】
最後に、さらなる処理のための情報信号S3は、電気携帯用デバイス、例えば、携帯用デバイスのマイクロコントローラにフィードされ、情報信号に割り当てられるデバイス機能をアクティブ化し得る。
【0095】
本発明による評価方法を実装する評価デバイスAは、少なくとも1つの伝送電極SEおよび少なくとも1つの受信電極EEと一緒に、または少なくとも1つの負荷電極SE/EEと一緒に、手によって把持され得、圧搾、解放、および/または指の接近/除去によるユーザ入力が、考慮されるべき、各電気携帯用デバイス内に提供され得る。
【0096】
例えば、評価方法を実装するそれぞれの評価デバイスは、電極SEおよびEEと一緒に、または少なくとも1つの負荷電極SE/EEと一緒に、モバイル無線ユニット、コンピュータマウス、遠隔制御、またはゲーム用コンソールのための入力デバイス内に提供され得る。
【0097】
例えば、評価方法を実装する評価デバイスAは、ASICとして実装され得る。加えて、評価方法はまた、マイクロコントローラ、例えば、携帯電話のうちの1つ内に実装され得、マイクロコントローラは、最終的に、電極SEおよびEEまたはSE/EEのためのそれぞれの接続を提供し、アナログセンサ信号を信号事前処理し、それらをデジタル化するように設計される必要のみある。マイクロコントローラは、混合信号マイクロコントローラであり得る。伝送電極SEおよび負荷電極SE/EEに供給され得る、それぞれの交番電気信号を提供するために、マイクロコントローラ内で利用可能な信号生成器が、使用され得る。
【0098】
異なるデバイス機能が、検出された入力に割り当てられ得る。例えば、単一入力に割り当てられるのは、確認機能であり得、二重入力に割り当てられるのは、携帯電話の電話帳の読み出しであり得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7