(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093359
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】リアルタイムRF組織エネルギー制御を有する電気外科手術用装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-524005(P2014-524005)
(86)(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公表番号】特表2014-528748(P2014-528748A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012048782
(87)【国際公開番号】WO2013019702
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年7月9日
(31)【優先権主張番号】13/195,607
(32)【優先日】2011年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】オルスツラック, ジェイムズ エイチ.
【審査官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−109663(JP,A)
【文献】
特開2008−279254(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0115562(US,A1)
【文献】
特開2009−240780(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0248003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するための高周波(RF)増幅器であって、
高周波(RF)任意源に結合された位相補償器であって、前記位相補償器は、前記高周波(RF)任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成されている、位相補償器と、
前記位相補償器に結合された少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器は、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成されている、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と高電圧直流を供給するように構成された高電圧電源とに結合された少なくとも1つの電力構成要素であって、前記少なくとも1つの電力構成要素は、前記制御信号に応答して動作することにより、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するように構成されている、少なくとも1つの電力構成要素と、
前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された少なくとも1つの電流センサであって、前記少なくとも1つの電流センサは、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形を表す信号を前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器に提供するように構成されている、少なくとも1つの電流センサと
を備える、高周波(RF)増幅器。
【請求項2】
利得制御信号に基づいて、前記制御信号に利得制御調節を提供するように構成された利得選択器をさらに備える、請求項1に記載の高周波(RF)増幅器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と前記利得選択器とに結合された少なくとも1つの利得増幅器をさらに備え、前記少なくとも1つの利得増幅器は、前記利得制御調節に基づいて、前記制御信号を調節するように構成されている、請求項2に記載の高周波(RF)増幅器。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された少なくとも1つの安定化増幅器をさらに備え、前記少なくとも1つの安定化増幅器は、前記少なくとも1つの電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成されている、請求項1に記載の高周波(RF)増幅器。
【請求項5】
任意のRF信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成された高周波(RF)増幅器であって、
高周波(RF)任意源に結合された位相補償器であって、前記位相補償器は、前記高周波(RF)任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成されている、位相補償器と、
前記位相補償器に結合された少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器は、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成されている、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と高電圧直流を供給するように構成された高電圧電源とに結合された少なくとも1つの電力構成要素であって、前記少なくとも1つの電力構成要素は、動作するように構成されている、少なくとも1つの電力構成要素と、
前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された少なくとも1つの電流センサであって、前記少なくとも1つの電流センサは、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形を表す信号を前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器に提供するように構成されている、少なくとも1つの電流センサと
を備える、高周波(RF)増幅器。
【請求項6】
前記少なくとも1つの電流センサに結合された少なくとも1つの周波数補償ネットワークをさらに備える、請求項5に記載の高周波(RF)増幅器。
【請求項7】
電気外科手術用ジェネレータであって、
高電圧直流を供給するように構成された高電圧電源と、
任意のRF信号を生成するように構成された高周波(RF)任意源と、
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成された高周波(RF)増幅器であって、前記高周波(RF)増幅器は、
前記高周波(RF)任意源に結合された位相補償器であって、前記高周波(RF)任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、
前記位相補償器に結合された少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器は、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成されている、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と前記高電圧電源とに結合された少なくとも1つの電力構成要素であって、前記少なくとも1つの電力構成要素は、前記制御信号に応答して動作することにより、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するように構成されている、少なくとも1つの電力構成要素と、
前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された少なくとも1つの電流センサであって、前記少なくとも1つの電流センサは、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形を表す信号を前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器に提供するように構成されている、少なくとも1つの電流センサと
を含む、高周波(RF)増幅器と、
少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、前記任意のRF信号および前記位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成されたコントローラと
を備える、電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項8】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記コントローラによって提供される利得制御信号に基づいて、前記制御信号に利得制御調節を提供するように構成された利得選択器を含む、請求項7に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項9】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と前記利得選択器とに結合された少なくとも1つの利得増幅器を含み、前記少なくとも1つの利得増幅器は、前記利得制御調節に基づいて、前記制御信号を調節するように構成されている、請求項8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項10】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された少なくとも1つの安定化増幅器を含み、前記少なくとも1つの安定化増幅器は、前記少なくとも1つの電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成されている、請求項7に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項11】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記少なくとも1つの電流センサに結合された少なくとも1つの周波数補償ネットワークを含む、請求項7に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項12】
前記高周波(RF)増幅器に結合された患者絶縁変圧器をさらに備え、前記患者絶縁変圧器は、前記少なくとも1つの電力構成要素に結合された一次巻線を含む、請求項7に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項13】
電気外科手術用ジェネレータであって、
高電圧直流を供給するように構成された高電圧電源と、
任意のRF信号を生成するように構成された高周波(RF)任意源と、
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成された少なくとも1つの高周波(RF)増幅器であって、前記少なくとも1つの高周波(RF)増幅器は、
前記高周波(RF)任意源に結合された位相補償器であって、前記位相補償器は、前記高周波(RF)任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成されている、位相補償器と、
第1の制御ループであって、
前記位相補償器に結合された第1のエラー訂正増幅器であって、前記第1のエラー訂正増幅器は、少なくとも、前記基準信号の関数として、第1の制御信号を出力するように構成されている、第1のエラー訂正増幅器と、
前記第1のエラー訂正増幅器と前記高電圧電源とに結合された第1の電力構成要素であって、前記第1の電力構成要素は、前記第1の制御信号に応答して動作することにより、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の第1の成分を生成するように構成されている、第1の電力構成要素と
を含む、第1の制御ループと、
第2の制御ループであって、
前記位相補償器に結合された第2のエラー訂正増幅器であって、前記第2のエラー訂正増幅器は、少なくとも、前記基準信号の関数として、第2の制御信号を出力するように構成されている、第2のエラー訂正増幅器と、
前記第2のエラー訂正増幅器と前記高電圧電源とに結合された第2の電力構成要素であって、前記第2の電力構成要素は、前記第2の制御信号に応答して動作することにより、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の第2の成分を生成するように構成されている、第2の電力構成要素と
を含む、第2の制御ループと、
前記第1の電力構成要素に結合された第1の電流センサであって、前記第1の電流センサは、第1の電気外科手術用波形を表す信号を前記第1のエラー訂正増幅器に提供するように構成されている、第1の電流センサと、
前記第2の電力構成要素に結合された第2の電流センサであって、前記第2の電流センサは、第2の電気外科手術用波形を表す信号を前記第2のエラー訂正増幅器に提供するように構成されている、第2の電流センサと
を含む、少なくとも1つの高周波(RF)増幅器と、
少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、前記任意のRF信号および前記位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成されたコントローラと
を備える、電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項14】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記コントローラによって提供される第1の利得制御信号に基づいて、第1の利得制御調節を前記第1の制御信号に提供するように構成された第1の利得選択器と、
前記コントローラによって提供される第2の利得制御信号に基づいて、第2の利得制御調節を前記第2の制御信号に提供するように構成された第2の利得選択器と
を含む、請求項13に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項15】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記第1の訂正増幅器と前記第1の利得選択器とに結合された第1の利得増幅器であって、前記第1の利得増幅器は、前記第1の利得制御調節に基づいて、前記第1の制御信号を調節するように構成されている、第1の利得増幅器と、
前記第2の訂正増幅器と前記第2の利得選択器とに結合された第2の利得増幅器であって、前記第2の利得増幅器は、前記第2の利得制御調節に基づいて、前記第2の制御信号を調節するように構成されている、第2の利得増幅器と
を含む、請求項14に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項16】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記第1の電力構成要素に結合された第1の安定化増幅器を含み、前記第1の安定化増幅器は、前記第1の電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成されている、請求項13に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項17】
前記高周波(RF)増幅器は、
前記第1の電流センサに結合された第1の周波数補償ネットワークと、
前記第2の電流センサに結合された第2の周波数補償ネットワークと
を含む、請求項13に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【請求項18】
前記高周波(RF)増幅器に結合された患者絶縁変圧器をさらに備え、前記患者絶縁変圧器は、前記第1の電力構成要素と前記第2の電力構成要素とに結合された一次巻線を含む、請求項13に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気外科手術用装置、システム、および方法に関する。より具体的には、本開示は、その出力のリアルタイム調節のために適合される、電気外科手術用ジェネレータを対象とする。
【背景技術】
【0002】
エネルギーベースの組織治療は、当技術分野において公知である。種々のタイプのエネルギー(例えば、電気、超音波、マイクロ波、低温、熱、レーザ等)が、組織に印加され、所望の結果を達成する。電気外科手術は、高周波電流、マイクロ波エネルギー、または抵抗加熱を外科手術部位に印加し、組織を切断、切除、凝固、または封止することを伴う。
【0003】
双極性電気外科手術では、手持式器具の電極の一方が、活性電極として機能し、他方が、戻り電極として機能する。戻り電極は、電気回路が、2つの電極(例えば、電気外科手術用鉗子)間に形成されるように、活性電極に非常に近接して留置される。このように、印加される電流は、電極間に位置付けられた身体組織に限定される。
【0004】
双極性電気外科手術用技法および器具を使用して、血管または組織、例えば、肺、脳、および腸等の軟組織構造を凝固させることができる。外科医は、電極間および組織を通して印加される電気外科手術用エネルギーの強度、周波数、および持続時間を制御することによって、焼灼、凝固/乾燥、および/または単なる出血の低減あるいは緩和のいずれかを行うことができる。外科手術部位において、組織の望ましくない炭化を生じさせることなく、または隣接する組織への付随的損傷、例えば、熱拡散を生じさせることなく、これらの所望の外科手術効果のうちの1つを達成するために、電気外科手術用ジェネレータからの出力、例えば、電力、波形、電圧、電流、パルス繰り返し数等を制御することが必要である。
【0005】
単極性電気外科手術では、活性電極は、典型的には、治療されるべき組織に適用される、外科医によって保持される外科手術器具の一部である。患者戻り電極は、活性電極から遠隔に留置され、ジェネレータに電流を逆流させ、活性電極によって印加される電流を安全に消散させる。戻り電極は、通常、大きな患者接触表面積を有し、その部位における加熱を最小限にする。加熱は、高電流密度によって生じるが、これは、直接、表面積に依存する。表面接触面積が大きいほど、局所加熱強度が低くなる。戻り電極は、典型的には、特定の外科手術手技の間に利用される最大電流およびデューティサイクル(すなわち、ジェネレータがオンである時間の割合)の推定に基づいて、定寸される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電気外科手術用ジェネレータは、所与の活性化周期の間、手技の開始に先立って設定される、ある動作モード(例えば、切断、凝固、噴霧等)で動作する。切断手技の間、血管が切断され、出血し始めるとき等、治療の間、あるモードから別のモードに切り替える必要性が生じる場合、第1のモード(例えば、切断)が、手動で終了され、第2のモード(例えば、凝固)が、オンに切り替えられる。感知された組織および/またはエネルギーフィードバック信号に応答して、複数のモード間を自動的に切り替えることができる、電気外科手術用ジェネレータの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するための高周波(RF)増幅器が、開示される。RF増幅器は、RF任意源に連結される位相補償器であって、RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、そこに高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源とに連結される、少なくとも1つの電力構成要素であって、制御信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するよう動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素とを含む。
【0008】
別の実施形態では、任意のRF信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成される、RF増幅器が、開示される。RF増幅器は、RF任意源に連結される位相補償器であって、RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、少なくとも1つのエラー訂正増幅器に連結される少なくとも1つの電力構成要素であって、制御信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するよう動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素と、少なくとも1つの電気外科手術用波形の電流を測定し、少なくとも1つの電力構成要素と協働し、測定された電流の関数として、電流制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つの電流センサと、RF増幅器に連結される患者絶縁変圧器であって、少なくとも1つの電力構成要素に連結される、一次巻線を含み、患者絶縁部が、少なくとも1つの電気外科手術用波形を患者に送達するための唯一の絶縁連結構成要素であって、RF増幅器の少なくとも1つの電気外科手術用波形と位相相関様式に動作するように構成される、患者絶縁変圧器と、高電圧直流をRF増幅器に供給するように構成される、高電圧電源とを含む。
【0009】
実施形態では、電気外科手術用ジェネレータが、開示される。ジェネレータは、高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源と、任意のRF信号を生成するように構成される、RF任意源と、少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成される、高周波(RF)増幅器とを含む。RF増幅器は、RF任意源に連結される位相補償器であって、RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、高電圧電源とに連結される少なくとも1つの電力構成要素であって、制御信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するよう動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素とを含む。ジェネレータはまた、少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、任意のRF信号および位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、コントローラを含む。
【0010】
本開示の別の実施形態によると、電気外科手術用ジェネレータが、開示される。ジェネレータは、高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源と、任意のRF信号を生成するように構成される、RF任意源と、少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成される、1つ以上の高周波(RF)増幅器とを含む。高周波(RF)増幅器は、RF任意源に連結される位相補償器であって、RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、第1の制御ループおよび第2の制御ループとを含む。第1の制御ループは、位相補償器に連結される第1のエラー訂正増幅器であって、少なくとも、基準信号の関数として、第1の制御信号を出力するように構成される、第1のエラー訂正増幅器と、第1のエラー訂正増幅器と、高電圧電源とに連結される第1の電力構成要素であって、第1の制御信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形の第1の成分を生成するよう動作するように構成される、第1の電力構成要素とを含む。第2の制御ループは、位相補償器に連結される第2のエラー訂正増幅器であって、少なくとも、基準信号の関数として、第2の制御信号を出力するように構成される、第2のエラー訂正増幅器と、第2のエラー訂正増幅器と、高電圧電源とに連結される第2の電力構成要素であって、第2の制御信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形の第2の成分を生成するよう動作するように構成される、第2の電力構成要素とを含む。ジェネレータはまた、少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、任意のRF信号および位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、コントローラを含む。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するための高周波(RF)増幅器であって、
RF任意源に連結される位相補償器であって、前記RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、
前記位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、そこに高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源とに連結される、少なくとも1つの電力構成要素であって、前記制御信号に応答して、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するよう動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素と
を備える、RF増幅器。
(項目2)
利得制御信号に基づいて、前記制御信号に利得制御調節を提供するように構成される、利得選択器をさらに備える、項目1に記載のRF増幅器。
(項目3)
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器および前記利得選択器に連結される少なくとも1つの利得増幅器であって、前記利得制御調節に基づいて、前記制御信号を調節するように構成される、少なくとも1つの利得増幅器をさらに備える、項目2に記載のRF増幅器。
(項目4)
前記少なくとも1つの電力構成要素に連結される少なくとも1つの安定化増幅器であって、前記少なくとも1つの電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成される、少なくとも1つの安定化増幅器をさらに備える、項目1に記載のRF増幅器。
(項目5)
前記少なくとも1つの電力構成要素に連結される少なくとも1つの電流センサであって、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形を表す信号を前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器に提供するように構成される、少なくとも1つの電流センサをさらに備える、項目1に記載のRF増幅器。
(項目6)
任意のRF信号に応答して、少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成されるRF増幅器であって、
RF任意源に連結される位相補償器であって、前記RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、
前記位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、そこに高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源とに連結される、少なくとも1つの電力構成要素であって、前記少なくとも1つの電力構成要素は、動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素と
を備える、RF増幅器。
(項目7)
前記少なくとも1つの電流センサに連結される少なくとも1つの周波数補償ネットワークをさらに備える、項目6に記載のRF増幅器。
(項目8)
電気外科手術用ジェネレータであって、
高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源と、
任意のRF信号を生成するように構成される、高周波(RF)任意源と、
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成される高周波(RF)増幅器であって、
前記RF任意源に連結される位相補償器であって、前記RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、
前記位相補償器に連結される少なくとも1つのエラー訂正増幅器であって、少なくとも、前記基準信号の関数として、制御信号を出力するように構成される、少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器と、前記高電圧電源とに連結される少なくとも1つの電力構成要素であって、前記制御信号に応答して、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の少なくとも1つの成分を生成するよう動作するように構成される、少なくとも1つの電力構成要素と
を含む、RF増幅器と、
少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、前記任意のRF信号および前記位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、コントローラと
を備える、電気外科手術用ジェネレータ。
(項目9)
前記RF増幅器は、
前記コントローラによって提供される利得制御信号に基づいて、前記制御信号に利得制御調節を提供するように構成される、利得選択器を含む、項目8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目10)
前記RF増幅器は、
前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器および前記利得選択器に連結される少なくとも1つの利得増幅器であって、前記利得制御調節に基づいて、前記制御信号を調節するように構成される、少なくとも1つの利得増幅器を含む、項目9に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目11)
前記RF増幅器は、
前記少なくとも1つの電力構成要素に連結される少なくとも1つの安定化増幅器であって、前記少なくとも1つの電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成される、少なくとも1つの安定化増幅器を含む、項目8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目12)
前記RF増幅器は、
前記少なくとも1つの電力構成要素に連結される少なくとも1つの電流センサであって、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形を表す信号を前記少なくとも1つのエラー訂正増幅器に提供するように構成される、少なくとも1つの電流センサを含む、項目8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目13)
前記RF増幅器は、
前記少なくとも1つの電流センサに連結される少なくとも1つの周波数補償ネットワークを含む、項目12に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目14)
前記RF増幅器に連結される患者絶縁変圧器であって、前記少なくとも1つの電力構成要素に連結される、一次巻線を含む、患者絶縁変圧器をさらに備える、項目8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目15)
電気外科手術用ジェネレータであって、
高電圧直流を供給するように構成される、高電圧電源と、
任意のRF信号を生成するように構成される、高周波(RF)任意源と、
少なくとも1つの電気外科手術用波形を出力するように構成される少なくとも1つの高周波(RF)増幅器であって、
前記RF任意源に連結される位相補償器であって、前記RF任意源からの任意のRF信号および位相制御信号の関数として、基準信号を生成するように構成される、位相補償器と、
第1の制御ループであって、
前記位相補償器に連結される第1のエラー訂正増幅器であって、少なくとも、前記基準信号の関数として、第1の制御信号を出力するように構成される、第1のエラー訂正増幅器と、
前記第1のエラー訂正増幅器と、前記高電圧電源とに連結される第1の電力構成要素であって、前記第1の制御信号に応答して、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の第1の成分を生成するよう動作するように構成される、第1の電力構成要素と、
を含む、第1の制御ループと、
第2の制御ループであって、
前記位相補償器に連結される第2のエラー訂正増幅器であって、少なくとも、前記基準信号の関数として、第2の制御信号を出力するように構成される、第2のエラー訂正増幅器と、
前記第2のエラー訂正増幅器と、前記高電圧電源とに連結される第2の電力構成要素であって、前記第2の制御信号に応答して、前記少なくとも1つの電気外科手術用波形の第2の成分を生成するよう動作するように構成される、第2の電力構成要素と、
を含む、第2の制御ループと
を含む、少なくとも1つのRF増幅器と、
少なくとも1つの選択された電気外科手術用動作モードに応答して、前記任意のRF信号および前記位相制御信号のうちの少なくとも1つを調節するように構成される、コントローラと
を備える、電気外科手術用ジェネレータ。
(項目16)
前記RF増幅器は、
前記コントローラによって提供される第1の利得制御信号に基づいて、第1の利得制御調節を前記第1の制御信号に提供するように構成される、第1の利得選択器と、
前記コントローラによって提供される第2の利得制御信号に基づいて、第2の利得制御調節を前記第2の制御信号に提供するように構成される、第2の利得選択器と
を含む、項目15に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目17)
前記RF増幅器は、
前記第1の訂正増幅器と、前記第1の利得選択器とに連結される第1の利得増幅器であって、前記利得制御調節に基づいて、前記第1の制御信号を調節するように構成される、第1の利得増幅器と、
前記第1の訂正増幅器と、前記第1の利得選択器とに連結される第1の利得増幅器であって、前記利得制御調節に基づいて、前記第1の制御信号を調節するように構成される、第1の利得増幅器と
を含む、項目16に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目18)
前記RF増幅器は、
前記第1の電力構成要素に連結される第1の安定化増幅器であって、前記第1の電力構成要素から流動するDCバイアス電流に基づいて、エラー訂正電流を出力するように構成される、第1の安定化増幅器を含む、項目15に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目19)
前記RF増幅器は、
前記第1の電力構成要素に連結される第1の電流センサであって、前記第1の電気外科手術用波形を表す信号を前記第1のエラー訂正増幅器に提供するように構成される、第1の電流センサと、
前記第2の電力構成要素に連結される第2の電流センサであって、前記第2の電気外科手術用波形を表す信号を前記第2のエラー訂正増幅器に提供するように構成される、第2の電流センサと
を含む、項目15に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目20)
前記RF増幅器は、
前記第1の電流センサに連結される第1の周波数補償ネットワークと、
前記第2の電流センサに連結される第2の周波数補償ネットワークと
を含む、項目19に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
(項目21)
前記RF増幅器に連結される患者絶縁変圧器であって、前記第1および第2の電力構成要素に連結される一次巻線を含む、患者絶縁変圧器をさらに備える、項目8に記載の電気外科手術用ジェネレータ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の種々の実施形態は、図面を基準して、本明細書に説明される。
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、電気外科手術用システムの概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態による、電気外科手術用ジェネレータの正面図である。
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、
図2の電気外科手術用ジェネレータの概略ブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示のある実施形態による、
図3の電気外科手術用ジェネレータの高周波増幅器の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の特定の実施形態が、付随の図面を参照して、本明細書に後述される。以下の説明では、周知の機能または構造は、本開示を不必要に詳細に曖昧化することを回避するために、詳細に説明されない。
【0013】
本開示によるジェネレータは、血管封止手技を含む、単極性および/または双極性電気外科手術用手技を行うことができる。ジェネレータは、種々の電気外科手術用器具(例えば、単極性活性電極、戻り電極、双極性電気外科手術用鉗子、フットスイッチ等)とインターフェースをとるための複数の出力を含んでもよい。さらに、ジェネレータは、種々の電気外科手術用モード(例えば、切除、凝固、切断、融合、分割等)および手技(例えば、単極性、双極性、血管封止)に特異的に好適な高周波電力を生成するために構成される、電子回路を含む。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態による、双極性および単極性電気外科手術用システム1の略図である。システム1は、患者の組織を治療するための1つ以上の電極(例えば、電気外科手術用切断プローブ、切除電極等)を有する、1つ以上の単極性電気外科手術用器具2を含む。電気外科手術用エネルギーは、ジェネレータ20によって、ジェネレータ20の活性端子30に接続される、供給線4を介して、器具2に供給され、器具2が、組織を凝固、切除、および/または別様に治療することを可能にする。エネルギーは、ジェネレータ20の戻り端子32における戻り線8を介して、戻り電極6を通して、ジェネレータ20に戻される。システム1は、患者との全体的接触面積を最大限にすることによって、組織損傷の機会を最小限にするように配列される、複数の戻り電極6を含んでもよい。加えて、ジェネレータ20および戻り電極6は、いわゆる「組織/患者間」接触を監視し、十分な接触がその間に存在し、組織損傷の機会をさらに最小限にすることを確実にするために構成されてもよい。
【0015】
システム1はまた、患者の組織を治療するための1つ以上の電極を有する、双極性電気外科手術用鉗子10を含んでもよい。電気外科手術用鉗子10は、その中に配置される1つ以上の活性電極14および戻り電極16を有する、対向する顎部材を含む。活性電極14および戻り電極16は、それぞれ、活性および戻り端子30、32に連結される、供給および戻り線4、8を含む、ケーブル18を通して、ジェネレータ20に接続される。電気外科手術用鉗子10は、ケーブル18の端部に配置されるプラグ(図示せず)を介して、活性および戻り端子30および32(例えば、ピン)への接続を有する、コネクタ60または62(
図2)において、ジェネレータ20に連結され、プラグは、供給および戻り線4、8からのコンタクトを含む。
【0016】
図2を基準すると、ジェネレータ20は、任意の好適なタイプ(例えば、電気外科手術用、マイクロ波等)であってもよく、複数のコネクタ50−62を含み、種々のタイプの電気外科手術用器具(例えば、複数の器具2、電気外科手術用鉗子10等)を収容してもよい。
図2を参照すると、ジェネレータ20の正面40が、示される。ジェネレータ20は、ユーザに、種々の出力情報(例えば、強度設定、治療完了インジケータ等)を提供するための1つ以上のディスプレイ画面42、44、46を含む。画面42、44、46はそれぞれ、対応するコネクタ50−62と関連付けられる。ジェネレータ20は、ジェネレータ20を制御するための好適な入力制御(例えば、ボタン、起動装置、スイッチ、タッチスクリーン等)を含む。ディスプレイ画面42、44、46はまた、電気外科手術用器具(例えば、複数の器具2、電気外科手術用鉗子10等)のための対応するメニューを表示する、タッチスクリーンとして構成される。ユーザは、次いで、単に、対応するメニュー選択肢に触れることによって、入力を行う。
【0017】
ジェネレータ20は、種々のモードで動作するように構成される。一実施形態では、ジェネレータ20は、以下のモード(切除、融合、止血を伴う分割、放電治療、および噴霧)を出力してもよい。モードはそれぞれ、負荷(例えば、組織)の可変インピーダンス範囲において、ジェネレータ20によって出力される電力量を指示する、事前にプログラムされた電力曲線に基づいて動作する。電力曲線はそれぞれ、ユーザによって選択された電力設定および測定された負荷の最小インピーダンスによって定義される、電力、電圧、および電流制御範囲を含む。
【0018】
切断モードでは、ジェネレータ20は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンスに伴って、波高因子約1.5を有する、所定の周波数(例えば、472kHz)において、連続正弦波を供給してもよい。切断モード電力曲線は、3つの領域:低インピーダンス中への一定電流、中間インピーダンス中への一定電力、および高インピーダンス中への一定電圧を含んでもよい。融合モードでは、ジェネレータは、所定の周波数において、正弦波のバーストを供給してもよく、バーストは、第1の所定の率(例えば、約26.21kHz)で再生成する。一実施形態では、バーストのデューティサイクルは、約50%であってもよい。正弦波のある周期の波高因子は、約1.5であってもよい。バーストの波高因子は、約2.7であってもよい。
【0019】
止血を伴う分割モードは、第2の所定の率(例えば、約28.3kHz)で再生成する、所定の周波数(例えば、472kHz)における正弦波のバーストを含んでもよい。バーストのデューティサイクルは、約25%であってもよい。あるバーストの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンスにわたって、約4.3であってもよい。放電治療モードは、第3の所定の率(例えば、約30.66kHz)で再生成する、所定の周波数(例えば、472kHz)における正弦波のバーストを含んでもよい。バーストのデューティサイクルは、約6.5%であってもよく、あるバーストサイクルの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンス範囲にわたって、約5.55であってもよい。噴霧モードは、第4の所定の率(例えば、約21.7kHz)で再生成する、所定の周波数(例えば、472kHz)における正弦波のバーストを含んでもよい。バーストのデューティサイクルは、約4.6%であってもよく、あるバーストサイクルの波高因子は、約100Ω〜約2,000Ωのインピーダンス範囲にわたって、約6.6であってもよい。
【0020】
図2の画面46は、コネクタ60および62に差し込まれ得る、鉗子10によって行われる双極性封止手技を制御する。ジェネレータ20は、コネクタ60および62を通して、鉗子10によって把持される組織を封止するために好適なエネルギーを出力する。画面42および44は、単極性出力と、コネクタ50および56に接続されるデバイスとを制御する。コネクタ50は、器具2に連結するように構成され、コネクタ52は、フットスイッチ(図示せず)に連結するように構成される。フットスイッチは、付加的入力を提供する(例えば、ジェネレータ20および/または器具2の入力を複製する)。画面44は、単極性および双極性出力と、それぞれ、コネクタ56および58に接続されるデバイスとを制御する。コネクタ56は、器具2に連結するように構成され、ジェネレータ20が、複数の器具2に給電することを可能にする。コネクタ58は、双極性器具(図示せず)に連結するように構成される。ジェネレータ20を単極性モード(例えば、器具2を用いて)で使用するとき、戻り電極6は、画面42および44と関連付けられる、コネクタ54に連結される。ジェネレータ20は、コネクタ50、56、58を通して、前述のモードを出力するように構成される。
【0021】
図3は、電気外科手術用エネルギーを出力するように構成される、ジェネレータ20のシステムブロック図を示す。ジェネレータ20(コントローラ24、高電圧DC電力供給源27(「HVPS」)、RF増幅器28aおよびRF増幅器28bを含む、高周波増幅器28)は、高周波(RF)任意源34と、感知プロセッサ36と、一次巻線38aおよび二次巻線38bを含む、患者絶縁変圧器38とを含む。
【0022】
図3のHVPS27は、約15V DC〜約200V DCの高DC電圧を出力するように構成され、AC源(例えば、壁コンセント)に接続され、高電圧DC電力をRF増幅器28に提供し、これは、次いで、高電圧DC電力を高周波エネルギーに変換し、エネルギーを端子30および32に送達し、これは、順に、エネルギーを器具2および戻りパッド6または鉗子10に供給するためのコネクタ50−62に連結される。HVPS27は、RF増幅器28aおよび28bに連結され、RF増幅器28aおよび28bの動作に対して透過的様式において、そこにDCエネルギーを提供する。特に、コントローラ24は、HVPS制御信号を提供し、RF増幅器28aおよび28bの無制約動作を可能にするために十分な電力によって、RF増幅器28aおよび28bのそれぞれに対して、HVPS27の正および負の電位を駆動させる。言い換えると、コントローラ24は、HVPS27を調節せずに、RF任意源34を介して、または直接、RF増幅器28aおよび28bを制御してもよい。
【0023】
RF任意源34は、電圧制御発振器、ダイレクト・デジタル・シンセサイザ、または固定周波数基準クロックから任意の波形を生成するように構成される任意の好適な周波数ジェネレータ等の任意のRF信号ジェネレータであってもよい。本明細書におけるように、用語「任意」とは、あらゆる任意に定義された波形、例えば、任意の周波数、振幅、デューティサイクル等であり得る、RF信号を指す。RF任意源34は、RF信号をRF増幅器28aおよび28bに供給する。実施形態では、RF信号は、双極性二象限正弦波の任意のRF信号であってもよい。RF増幅器28aおよび28bは、RF任意源信号を処理し、差動RF駆動信号を患者絶縁変圧器38に生成する。RF任意源34の動作RF電力、電圧および電流振幅、動作周波数、利得パラメータ、位相補償、時間依存性構成等のRF出力パラメータが、RF増幅器28aおよび28bによって処理され、処方されたRF臨床治療エネルギーを送達し、所望の組織効果を達成する。
【0024】
RF増幅器28aおよびRF増幅器28bは、患者絶縁変圧器38の一次巻線38aに連結される。RF増幅器28aは、位相角度約0°〜約180°を有する正の半サイクルを出力するように構成され、RF増幅器28bは、位相角度約0°〜約−180°を有する負の半サイクルを出力するように構成される。したがって、RF増幅器28aが、ソースRF電流(例えば、正の電流を出力する)を提供している間、RF増幅器28bは、シンク電流(例えば、負の電流を出力する)を提供している。逆に言えば、RF増幅器28bが、ソースRF電流(例えば、正の電流を出力する)を提供している間、RF増幅器28aは、シンク電流(例えば、負の電流を出力する)を提供している。
【0025】
患者絶縁変圧器38は、コモンモード生成スプリアス処理雑音に対する高信号対雑音耐性を用いて、RF増幅器28aおよび28bの差動RF駆動出力を結合し、位相相関RFエネルギー(例えば、波形)を、二次巻線38bを横断して、端子30および32に送達する。言い換えると、差動RF駆動出力は、コモンモード除去を提供し、処方された臨床治療組織効果を改変させないようスプリアス劣化性雑音エネルギーを打ち消す。これは、位相相関RFエネルギーを調節可能にし、所与の印加されるエネルギー活性化周期内で送達されるRF波形の波高因子および他のパラメータをリアルタイムで動的に改変させる新しい制御モードのための電位を提供することを可能にする。
【0026】
感知プロセッサ36は、電圧センサ41および電流センサ43に連結される。電圧センサ41は、端子30および32に送達されるRF電圧のRF電流加重測定を提供する、レジスタ要素45を含む。変流器47は、次いで、RF電圧の加重値を変換し、電圧感知信号を処理のための感知プロセッサ36に提供する。電流センサ43も同様に、電流感知信号を感知プロセッサ36に提供する。
【0027】
感知プロセッサ36は、次いで、電圧および電流感知信号をコントローラ24に伝送し、これは、所与のRF活性化周期内のアルゴリズム制御に応答して、RF出力パラメータをリアルタイムで調節する。特に、コントローラ24は、所与のRF活性化周期の間のRF任意源34の振幅、周波数、波形、および時間依存性構成を調節し、種々のRF治療モードを送達する。治療モードは、デューティサイクル約5%〜約100%を有する波形を含んでもよく、連続波または可変デューティサイクルRFバーストのいずれかであってもよく、あるいはモード間で単一または複数の組み合わせを交互し、特異的RFモードシーケンスを作成してもよい。実施形態では、コントローラ24は、複数の電気外科手術用動作モードから選択され得る、選択された電気外科手術用動作モードに応答して、RF任意源34、RF増幅器28aおよび28b、および/またはHVPS27を制御するように構成される。各電気外科手術用動作モードは、所望の出力電気外科手術用波形に対応する少なくとも1つの高周波入力信号と関連付けられてもよい。
【0028】
コントローラ24は、揮発性タイプメモリ(例えば、RAM)および/または不揮発性タイプメモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体等)であり得る、メモリに動作可能に接続されるマイクロプロセッサを含んでもよい。コントローラ24はまた、HVPS27およびRF増幅器28aおよび28bに動作可能に接続され、コントローラ24が、ジェネレータ20の出力を制御することを可能にする、複数の出力ポートを含んでもよい。より具体的には、コントローラ24は、RF増幅器28aおよび28bの出力を追跡し、HVPS27から十分な電力を提供するように実装される、制御アルゴリズムに応答して、HVPS27ならびにRF増幅器28aおよび28bの動作を調節する。特に、
図4に関連して以下により詳細に論じられるように、コントローラ24は、利得および位相制御信号をRF増幅器28aおよび29bのそれぞれに供給する。実施形態では、制御アルゴリズムはまた、RF増幅器28aおよび28bの出力を抑止または制限し、電力供給源限界内に適合させてもよい。
【0029】
図4は、RF増幅器28aの構成要素を図示する。RF増幅器28bの回路設計は、前述のような位相関係を除き、RF増幅器28aに実質的に類似しており、故に、RF増幅器28aのみ論じられる。RF増幅器28aは、印加されるRF電圧入力に対してRF電流出力を生成するように構成される、非共振多周波数相互コンダクタンス増幅器である。RF電圧入力信号は、前述のように、RF任意源34によって提供されるような任意の波形を有してもよい。
【0030】
RF増幅器28aは、2つのRF制御ループ100aおよび100bと協働し、電気外科手術用波形の成分、例えば、対称または非対称波形および可変タイミングを有する、印加される二象限正弦波または非正弦波の任意のRF信号入力の各半分のそれぞれを制御し、所望の臨床効果を達成するためのユーザ構成可能動作モードに対処するように構成される。RF制御ループ100aおよび100bは、閉ループ制御RFチャネルであって、印加される正弦波入力の各正のまたは負の半分は、独立して、処理される。制御ループ100aは、印加される正弦波入力の負の半サイクルを処理し、電力構成要素102aを駆動させ、患者絶縁変圧器38の一次側38aにおいて、正の半サイクルソース電流を作成する。制御ループ100bは、印加される正弦波入力の正の半サイクルを処理し、電力構成要素102bを駆動させ、患者絶縁変圧器38の一次側38aにおいて、負の半サイクルソース電流を作成する。電力構成要素102aおよび102bは、それぞれ、p−型およびn−型金属酸化物半導体電界効果トランジスタとして示される。実施形態では、電力構成要素102aおよび102bは、任意のp−型またはn−型トランジスタ、MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、(IGBT)、継電器、および同等物であってもよい。患者絶縁変圧器38は、二次巻線38bにおいて、RF増幅器28aおよび28bから発生したRF電流を結合し、組織部位への送達のために端子30および32に供給される、任意の正弦波RF出力を生成させる。
【0031】
制御ループ100bは、文字「b」を有する同一の識別子で標識されている類似構成要素と実質的に同じであるため、制御ループ100aのみ、詳細に論じられる。RF任意源34からの任意のRF信号34は、位相補償器108の入力104に印加される。加えて、コントローラ24からの位相制御信号は、位相補償器108における入力106に印加される。位相補償器108は、コントローラ24からの位相制御信号に応答して、印加される任意のRF信号入力104に対して、所望の位相(例えば、0°)基準に設定され得る、RF増幅器28aの出力位相を確立する。
【0032】
位相補償器108は、正の入力112aにおいて、基準信号をエラー訂正増幅器110a(または、エラー訂正増幅器110b)に提供する。エラー訂正増幅器110aは、正の入力112aにおいて、基準信号を利用し、RF電流センサ116aによって感知され、エラー訂正増幅器110aの負の入力114aに供給される出力電流を制御する、RFエラー訂正増幅器として構成される。エラー訂正増幅器110aは、基準信号および検出された出力電流の関数として、RF制御信号を出力する。RF電流センサ116aは、電流センサ43の構成要素であり得る、変流器であってもよい。RF電流センサ116aは、RF電流を信号電圧に変換することによって、発生したRF出力電流を監視し、これは、次いで、エラー訂正増幅器110aの負の入力114aに戻される。第2の周波数補償ネットワーク126aは、周波数安定性フィードバック補償を発生したRF出力電流に提供する。
【0033】
第1のループ100aはまた、コントローラ24によって供給される利得制御信号に基づいて、利得制御調節を出力電流制御信号に提供する、利得選択器118aを含む。利得選択器118aは、エラー訂正増幅器110aの負の入力114aに接続され、利得修正をRF電流センサ116aに提供する。利得選択器118aは、第1の周波数補償ネットワーク120aに連結され、これは、エラー訂正増幅器110aによって、出力電流を位相補償器108から印加される基準電圧にマップするために使用される。周波数補償ネットワーク120aは、任意のRF信号入力の印加される基本動作周波数に訂正された安定性をRF電流センサ116aによって検出される感知された戻り信号に提供する。
【0034】
エラー訂正増幅器110aのエラー訂正出力信号は、RF利得セルとして構成され、エラー訂正出力信号のための順方向経路利得を提供する、利得増幅器122aに供給される。利得増幅器122aの出力は、次いで、駆動信号が、HVPS27の動作電圧まで上昇されるにつれて、レジスタ要素124aおよびRF連結器構成要素128aを通して、電力構成要素102aのゲートを駆動させる。RF連結器構成要素128aは、キャパシタ、変圧器、光学連結器、それらの組み合わせ、および同等物を含んでもよいが、それらに限定されない。利得増幅器122aはまた、第2の周波数補償ネットワーク126aを駆動させ、発生したRF出力電流のための第2のレベルの周波数補償を提供する。
【0035】
電力構成要素102aは、ゲートコンタクト134a、ソースコンタクト136a、およびドレインコンタクト138aを有する、MOSFETデバイスとして示される。電力構成要素102aは、相互コンダクタンス利得を提示し、利得増幅器122aからの駆動電圧をRF出力電流に変換し、これは、一次巻線38aに印加される。電力構成要素102aは、ゲートコンタクト134aにおけるレジスタ要素130aおよび+VHVPS電源におけるレジスタ要素132aに連結される。レジスタ要素130aは、電力構成要素102aのDCバイアス動作レベルを確立し、レジスタ要素132aは、ソースディジェネレーションを電力構成要素102aの発生した電流に提供する。
【0036】
RF増幅器28aはまた、短絡されたレジスタ要素142中に流動する電力構成要素102aおよび102bの出力DCバイアス電流によって生成される出力DC電圧レベルを監視するためのDC安定化増幅器として構成される、安定化増幅器140を含む。レジスタ要素142を通るDC電圧は、ステアリングエラー訂正電流144aおよび144bを、安定化増幅器140を介して、それぞれ、レジスタ要素130aおよび130bに導入することによって、約0V DCに維持される。
【0037】
安定化増幅器140はまた、患者絶縁変圧器に送達される正および負の出力ピーク電流が、出力電流信号レベルの最小および最大動的範囲にわたって、対称的に平衡化されるように、電力構成要素102a(例えば、p−チャネルMOSFET)と電力構成要素102b(n−チャネルMOSFET)との間の相対的相互コンダクタンス利得一致を確立する、DCバイアス設定点を提供する。
【0038】
従来の電気外科手術用ジェネレータは、組織へのRFエネルギーの送達において、ゆっくりな応答時間を有し、これは、最適未満の組織効果をもたらす。特に、応答は、RFエネルギーが組織部位に送達され得る変化率を制御する、高電圧電力供給源によって遅延される。そのような設計では、コントローラは、最初に、高電圧電源を駆動させ、次いで、RF出力段を駆動させる。
【0039】
さらに、従来のジェネレータは、種々の共振出力トポロジに基づく。共振RFエネルギー源は、一意のスイッチング周波数で動作し、基本RF動作周波数ならびに付加的スイッチング周波数高調波の両方を送達する。高調波周波数成分は、非制御の劣化性レベルのエネルギーを組織に送達し、これは、望ましくない組織効果をもたらし得る。高調波周波数成分はまた、患者に送達されるエネルギー内に存在するRF高周波数漏出を増加させる。
【0040】
共振ベースのRFジェネレータはまた、リアクタンスLC(インダクタ/キャパシタ)構成要素を含み、共振動作を確立する。LC構成要素は、共振スイッチング動作のため、エネルギー貯蔵構成要素として作用し、また、貯蔵されたエネルギーを組織中に放電し、それによって、また、望ましくない組織効果をもたらし得る。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態が、図面に示され、および/または本明細書で論じられたが、本開示は、当技術が可能にする限りの広範囲にあって、明細書も同様に読み取られることが意図されるため、本開示がそれらに限定されることを意図するものではない。したがって、前述の説明は、限定としてではなく、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および精神内において、他の修正を想起するであろう。