(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093372
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを包含する溶媒組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C09D 9/00 20060101AFI20170227BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20170227BHJP
C11D 7/30 20060101ALI20170227BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20170227BHJP
C11D 7/24 20060101ALI20170227BHJP
C11D 17/00 20060101ALI20170227BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20170227BHJP
C23G 5/028 20060101ALI20170227BHJP
C23G 5/032 20060101ALI20170227BHJP
G02C 7/02 20060101ALN20170227BHJP
G02B 1/04 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
C09D9/00
C11D7/50
C11D7/30
C11D7/26
C11D7/24
C11D17/00
C11D17/08
C23G5/028
C23G5/032
!G02C7/02
!G02B1/04
【請求項の数】24
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-548938(P2014-548938)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-508435(P2015-508435A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】US2012071193
(87)【国際公開番号】WO2013096742
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/578,948
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/722,508
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】デケアー,バーバラ・ルース
(72)【発明者】
【氏名】ハルス,ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マーシャー,ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】クック,ケーン・ディー
【審査官】
菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−248443(JP,A)
【文献】
特表2012−506944(JP,A)
【文献】
特表2012−515831(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0102273(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0004435(US,A1)
【文献】
特開2013−108082(JP,A)
【文献】
特開2015−061920(JP,A)
【文献】
特表2015−507039(JP,A)
【文献】
特表2011−520028(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0041529(US,A1)
【文献】
特表2011−510119(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/089511(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0305876(US,A1)
【文献】
特表2013−506731(JP,A)
【文献】
特開2014−145081(JP,A)
【文献】
特開2015−187279(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0309288(US,A1)
【文献】
特表2010−522817(JP,A)
【文献】
特開2008−133438(JP,A)
【文献】
特表2013−518140(JP,A)
【文献】
特表2012−512319(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0015863(US,A1)
【文献】
特表2012−519736(JP,A)
【文献】
特表2013−514444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 9/00
C11D 7/24
C11D 7/26
C11D 7/30
C11D 7/50
C11D 17/00
C11D 17/08
C23G 5/028
C23G 5/032
G02B 1/04
G02C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズまたは光学レンズの表面からインクまたはインクに基づくマーキングを除去するための方法であって、
インクまたはインクに基づくマーキングを表面の少なくとも一部の上に有する光学レンズを提供し;
光学レンズの表面のインクまたはインクに基づくマーキングを有する部分に、有効量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよびC1−C3アルコールを含む溶媒組成物を施用することを含み、
C1−C3アルコールの全量は、該組成物の全重量に基づき0重量%超〜10重量%である、
方法。
【請求項2】
前記溶媒組成物が液体として施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶媒組成物が噴霧可能な組成物として施用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒組成物がファブリックまたはクロスに施用され、その後、該ファブリックまたはクロスが光学レンズの表面に溶媒組成物を施用するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学レンズがポリカーボネート材料またはコーティングを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
C1−C3アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、cis−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;およびそれらの組み合わせ;からなる群より選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、1重量%〜99重量%の量で提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、5重量%〜99重量%の量で提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、5重量%〜95重量%の量で提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、50重量%を超える量で提供される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒組成物が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるC4−C6炭化水素を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
アルコールが0重量%超〜5重量%の量で提供される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
アルコールが0重量%超〜5重量%の量で提供され、炭化水素が0重量%超〜5重量%の量で提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒組成物が、さらに、C1−C3アルコールまたはC4−C6炭化水素以外に、共溶媒、防食剤、界面活性剤、安定剤、燃焼性抑制剤、防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの追加的成分を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
追加的成分が共溶媒を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
追加的成分が安定剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記光学レンズの少なくとも一部は、プラスチック、ポリマーまたはエラストマー材料を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、cis−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒が光学レンズに実質的に有害な影響を及ぼさない、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、前記溶媒組成物の全重量に基づき50重量%を超える量で提供される、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記溶媒組成物が、trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及びメタノールを含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒組成物が、cis−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン及びエタノールを含む、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月22日出願の米国仮特許出願第61/578948号に対する優先権を主張するものである。該仮特許出願の内容を、全体として本明細書中で参考として援用する。
【0002】
本発明は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)を包含する溶媒組成物に関し、特定の観点において、そのような溶媒組成物を、物品または基材の表面からデブリ、特定の観点ではインクまたはインクに基づくマーキングを除去するために使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
多様な材料の製造において、インクまたはインクに基づくマーキングは、製造プロセスの一部としてしばしば用いられる。例えば、そのようなマーキングは、光学レンズ(とりわけ累進レンズ−例えば、境目のない二焦点レンズ、多焦点レンズまたは勾配規定レンズ(gradient prescription lense))の製造に用いることができる。それらはまた、金属機械加工、電気機械部品および電気部品の製造、または航空宇宙産業、船舶産業、自動車産業、光学産業などを含むさまざまな産業にわたる多様な構成部品の製造に用いることができる。
【0004】
特定の観点において、そのようなマーキングは、連結するように設計されている2つの構成部品の表面上に置くことができ、ここでマーキングは、部品を一緒に結びつけるときに部品を適切に位置合わせするためのジグ(fixture)として用いられる。他の観点では、マークを、その部品に関する情報、例えば、該部品またはその特定領域内の品質上の問題点を伝えるために、用いることができる。それはまた、部品の重要な特徴(例えば累進レンズの光心)の位置にマークを付けるのに用いることができ、これは、部品を加工する時に製造者にとって有用であることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの各場合において、インクまたはインクに基づくマーキングは、商品の販売、仕上げ、さもなければ使用前に除去しなければならないことが多い。典型的には、除去は、インクを溶解することができる溶媒を用いて行われる。基材もしくは物品の表面、または基材もしくは物品の表面への機能的もしくは美的付加物に損傷を与えることなくマーキングを除去する溶媒を有することが望ましい。さらに、用いられる溶媒が、環境に優しく、悪臭を放たず、危険でない(例えば、毒性が低い、燃焼性が低いなど)ことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の観点において、本発明は、有効量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(cis異性体、trans異性体および/またはそれらの組み合わせを包含することができる);少なくとも1つのC
1−C
3アルコール;および所望により少なくとも1つのC
4−C
6炭化水素;を包含する溶媒組成物であって、C
1−C
3アルコールおよびC
4−C
6炭化水素の両方の全量が、該組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量%である、前記溶媒組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの有効量は、本明細書中に提供する任意の量であることができる。特定の観点において、それは、基材または物品の表面上でマーキングの減少が観察されるが、基材または物品または別にそれらに施用されているコーティングの調製に用いられている材料の保全性には有害な影響を及ぼさない、任意の量である。有効量は本明細書中に提供する任意の量であることができるが、特定の観点において、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、組成物の約1重量%〜約99重量%で提供される。他の観点において、それは重量に基づき約5%〜約99%であり、さらに他の観点において、それは重量に基づき約5%〜約95%であり、さらに他の観点において、それは、組成物の50重量%を超える量である。
【0008】
特定の態様において、C
1−C
3アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択することができ、C
4−C
6炭化水素は、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。前記のものの特定の観点において、アルコールは、0重量%超〜約10重量パーセントの量で提供され、他の態様では、0重量%超〜約5重量%の量で提供される。さらに他の態様では、アルコールが約0%超〜約5%の量で提供され、炭化水素が約0%超〜約5%の量で提供される。
【0009】
本出願の溶媒組成物は、C
1−C
3アルコールまたはC
4−C
6炭化水素以外に1以上の追加的成分を含むこともできる。そのような成分としては、共溶媒、防錆剤、界面活性剤、安定剤、燃焼性抑制剤、または防止剤の1つまたは組み合わせを挙げることができる。限定されないが、共溶媒としては、線状、分枝状、および環状の炭化水素(C
4−C
6炭化水素を除く)、ハロカーボン(臭素化および/または塩素化ハロカーボンを含む)、C
4−C
5アルコール、ケトン、エステル、エーテル、およびアセタールの1以上を挙げることができる。安定剤としては、同様に、ニトロアルカン、エポキシアルカン、または亜リン酸エステルの1以上を挙げることができる。
【0010】
本発明の組成物を用いて、(a)インクまたはインクに基づくマーキングを表面の少なくとも一部の上に有する物品を提供し;(b)物品の表面のインクまたはインクに基づくマーキングを有する部分に、本発明の溶媒組成物を施用し;そして(c)溶媒およびインクまたはインクに基づくマーキングを物品の表面から除去する;ことにより、物品または物品の表面からインクまたはインクに基づくマーキングを除去することができる。
【0011】
本発明の溶媒組成物は、液体、噴霧可能な組成物、またはファブリックもしくはクロスとして、あるいは、当分野で公知であるか、さもなければ本明細書中で論じる任意の他の方法を用いて、物品の表面に施用することができる。物品または物品の表面は、本明細書で定義するもののいずれかであることができる。特定の観点において、それは、ポリマー、金属または金属に基づく材料、金属合金または金属合金に基づく材料、セルロースまたはセルロースに基づく材料、セルロースに基づく複合体、シリカまたはシリカに基づく材料、およびシリカに基づく複合体からなる群より選択される材料を包含することができる。特定の非限定的観点において、物品は、ポリカーボネート材料またはコーティングを包含していてもよい光学レンズである。
【0012】
他の非限定的態様において、本発明は、インクまたはインクに基づくマーキングを物品または物品の表面から除去するための方法であって、(a)インクまたはインクに基づくマーキングを表面の少なくとも一部の上に有する物品を提供し、これに関し、インクまたはインクに基づくマーキングは、物品または物品の一部の製造中に施用されている;(b)物品の表面のインクまたはインクに基づくマーキングを有する部分に、本発明の溶媒組成物を施用し;そして(c)溶媒組成物およびインクまたはインクに基づくマーキングを物品の表面から除去する;ことを含む方法に関する。
【0013】
追加的な態様および利点は、本明細書中に提供する開示内容に基づき、当業者には容易に明らかになるであろう。
本発明は、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zdまたは1233zd)を包含する溶媒組成物に関する。より具体的には、HCFO−1233zdが、インクまたはインクに基づくマーキングを特定の基材または物品の表面から除去するためのとりわけ有用な溶媒であることを見いだした。本明細書では、コーティングされているまたはコーティングされていない基材または物品に有害な作用をほとんどまたはまったくもたらさずに、そのようなマーキングが除去されることも示された。特定の観点では、24時間液体に暴露した後であっても、基材または物品に対する有害な作用がないことが示された。
【0014】
本発明の組成物はまた、GWPが小さく、不燃性であるか燃焼性が低いほか、非VOCであると予想される。したがって、本発明は、本明細書に定義する物品または物品の表面から、材料またはその上の任意のコーティングに損傷を与えることなく汚れまたはデブリを除去することができる、環境に優しい溶媒を提供する。
【0015】
本明細書で用いる“1233zd”または“HCFO−1233zd”という用語は、一般的に、化合物1−クロロ−3,3,3トリフルオロプロペン(または1,1,1トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン)をさし、cis−HCFO−1233zdまたはtrans−HCFO−1233zdを包含する。したがって、それは、cis−HCFO−1233zdまたはtrans−HCFO−1233zdのいずれかを単独で範囲内に包含するが、任意の割合でのこれらの組み合わせおよび混合物を包含することもできる。後者の状況では、cis−とtrans−HCFO−1233zdの比率は1重量%〜99重量%または99〜1重量%であることができるが、本発明は必ずしもこれに限定されない。
【0016】
便宜を図るために、本明細書では、“物品”という用語を、任意の製品、部品、構成部品、基材などをさすために用い、さらに、それらの任意の表面または部分、とりわけ、インクまたはインクに基づくマーキングが上部に作製されている表面または表面の部分をさすものとする。特定の観点において、そのようなマーキングは、物品の製造中に作製することができ、製品が消費者に提供される前に除去することを意図したマーキングである。別の観点において、そのようなマーキングは最終消費者により意図的または偶発的に作製され、消費者により除去されるものとする。そのような物品、表面などの例としては、限定されるものではないが、光学レンズ、電気機械部品および電気部品、または、航空宇宙産業、船舶産業、自動車産業、光学産業などを含むさまざまな産業にわたる多様な構成部品の製造に用いられる任意のそのような物品もしくは表面が挙げられる。
【0017】
上部にマーキングが作製される表面または物品としては、上記用途または他の用途に関し当分野で公知の任意の表面または物品、例えば、限定されるものではないが、ポリマー(エラストマーおよび/またはプラスチックを含む)、金属または金属に基づく材料、金属合金または金属合金に基づく材料、セルロースまたはセルロースに基づく材料、セルロースに基づく複合体、シリカまたはシリカに基づく材料、シリカに基づく複合体などを包含する物品および/または表面を挙げることができる。特定の観点において、物品または表面は、少なくとも部分的に、金属または金属合金基材から作製され、その例としては、限定されるものではないが、ステンレス鋼、冷間圧延鋼、亜鉛めっき鋼、アルミニウム、アルミニウムモネルまたはインコネル(aluminum monel or inconel)、銅、金属ホイル(例えば、銅またはアルミニウムホイル)マグネシウム/アルミニウム合金、チタン、金属張り積層板(例えば銅張り積層板など)それらの組み合わせなどが挙げられる。他の態様において、物品または表面は、少なくとも部分的に、プラスチック、ポリマーまたはエラストマー材料から作製され、その例としては、限定されるものではないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ナイロン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、フルオロエラストマー(VITON(登録商標)BエラストマーおよびKALREZ(登録商標)6375エラストマーなど)、ポリウレタンおよびポリウレタンエラストマー(TEXIN(登録商標)285エラストマーなど)、ネオプレン、およびそれらの組み合わせが挙げあられる。そのような物品または表面としては、前記のものの1つまたは任意の組み合わせ、例えば、限定されるものではないが、積層板、樹脂含浸ファブリックもしくはクロス、または、フェノール系コットン紙(phenolic cotton paper)、コットン紙およびエポキシ、ガラス織物およびエポキシ、艶消しガラスおよびポリエステル、不織ガラスおよびエポキシ、ガラス織物およびポリエステルなどのようなプレプレグ材料を挙げることができる。前記のものの追加的な表面および態様は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0018】
本明細書で用いる“有害な作用がない”または“有害な影響がない”という用語は、マーキングが物品の表面上に存在していた、または溶媒を用いてマーキングを除去したという可視的な痕跡が実質的にほとんどないか、好ましくはそのような痕跡が実質的にないように、溶媒によりインクまたはインクに基づくマーキングが実質的に除去されることを意味する。
【0019】
溶媒組成物に含有されるHCFO−1233zdの量は、個々の用途に応じて幅広く変動することができる。この目標のために、組成物は、組成物中に微量の1233zdまたは100%に近似する量の1233zdを含有することができる。HCFO−1233zdは、単独で提供することができ、または共沸混合物、共沸混合物様もしくは非共沸性組成物として提供することもできる。特定の態様において、HCFO−1233zdは、溶媒の施用においてその最終使用が促進される有効量で、溶媒組成物に提供される。そのような有効量は、物品の表面上でインクまたはインクに基づくマーキングの減少が観察されるが、物品または物品に別に施用されているコーティング、仕上げ材料などの調製に用いられている材料の保全性には有害な影響を及ぼさない、任意の量であることができる。有効量は、組成物中の材料の全重量に基づき、0重量%超〜約99重量%、約1%〜約99%、約1%〜約95%、または約5%〜約95%であることができる。特定の態様において、該組成物は、少なくとも約50重量%のHCFO−1233zd、100重量%を含むそれ以下のHCFO−1233zdを包含する。本発明の特定の観点において、HCFO−1233zdは、cisHCFO−1233zdを含むか、実質的にcisHCFO−1233zdからなるか、cisHCFO−1233zdからなる。他の態様において、HCFO−1233zdは、transHCFO−1233zdを含むか、実質的にtransHCFO−1233zdからなるか、transHCFO−1233zdからなり、さらに他の態様において、HCFO−1233zdは、cisHCFO−1233zdおよびtransHFO−1233zdを含むか、実質的にcisHCFO−1233zdおよびtransHFO−1233zdからなるか、cisHCFO−1233zdおよびtransHFO−1233zdからなる。
【0020】
本発明の溶媒組成物は、上記目的に用いられる実質的量の追加的成分の存在の有無にかかわらず、1233zdが溶媒である態様を包含すると考えられる。しかしながら、特定の態様において、1以上の追加的化合物または成分を、所望により追加的作用物質または補助剤として提供することもできる。そのような追加的作用物質または補助剤としては、共溶媒、防錆剤、界面活性剤、安定剤、燃焼性抑制剤、防止剤、および組成物の機能性を助けるか向上させる他の補助剤を挙げることができる。共溶媒の非限定的例としては、線状、分枝状および環状炭化水素、塩素化および臭素化化合物を含むハロカーボン(例えばtrans−1,2−ジクロロエチレン)、C
1−C
5アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール)、ケトン、エステル、エーテルおよびアセタールが挙げられる。安定剤の非限定的例としては、ニトロアルカン、エポキシアルカンおよび亜リン酸エステルが挙げられる。多様な性質を示す特定の成分を加えてもよいことも、理解されるであろう。
【0021】
特定の態様において、本発明の組成物は、添加剤または共溶媒として、少なくとも1つのアルコールおよび/または少なくとも1つの炭化水素を包含する。本発明の特定の観点において、アルコール(1以上)は任意の1以上のC
1−C
5アルコールを包含し、特定の非限定的観点において、アルコール(1以上)は少なくとも1つのC
1−C
3アルコールを包含する。好ましくは、限定されないが、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはそれらの組み合わせを包含することができる。
【0022】
炭化水素添加剤は、置換、非置換、飽和または不飽和であることもできる任意の1以上の線状、分枝状または環状の炭化水素(1以上)を包含することができる。特定の非限定的観点において、炭化水素は、少なくとも1つの直鎖または分枝鎖C
1−C
6炭化水素、好ましくはC
3−C
6炭化水素、もっとも好ましくはC
4−C
6炭化水素を包含する。そのような炭化水素の好ましい非限定的な例としては、限定されるものではないが、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサンなどが挙げられる。
【0023】
特定の非限定的観点において、アルコール(1以上)および/または炭化水素(1以上)は、独立して、組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量パーセントの量で提供される。他の観点において、アルコールおよび/または炭化水素の組み合わせは、組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量パーセントである。この目標のために、本発明の特定の観点において、組成物は、アルコール単独を、組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量パーセント、0重量%超〜約5重量%の量で包含する。あるいは、組成物は、少なくとも1つのアルコールおよび少なくとも1つの炭化水素を包含し、これに関し、組成物の全重量に基づき、アルコールは約0%超〜約5%の量で提供され、炭化水素は約0%超〜約5%の量で提供される。そのような有効量は、必ずしも本発明に対し限定するものではなく、本明細書中の目的または他の教示に従って、本発明の望ましい特徴または処理する表面/物品に応じて調整することができる。
【0024】
本発明の溶媒組成物は、当分野で用いられる任意のタイプのインクまたはインクに基づくマーキングを、とりわけ本明細書中で提供する理由の1以上のために製造中に除去するために、提供、または具体的には配合することができる。特定の非限定的観点において、そのようなインクまたはインクに基づくマーキングとしては、一般に知られるレイアウト流体、マーキングインク、またはマーキンググリースが挙げられる。
【0025】
本明細書の組成物は、液体、エアゾールおよび/もしくは噴霧可能な組成物の形での使用、または本明細書中に提供する目的に適した任意の形での使用に、良好に適応する。エアゾールおよび噴霧可能な組成物に関し、本組成物は、この使用のために設計された1以上の特定の添加剤、例えば、限定されるものではないが、噴射剤、噴霧剤などを有することができると考えられる。
【0026】
本発明の溶媒組成物は、物品または基材の表面に、該表面から汚れおよびデブリを除去するための任意の方法を用いて施用することができる。この目標のために、物品または基材の表面を、本発明のHCFO−1233zd化合物またはHCFO−1233zd含有溶媒組成物と接触させる。ここで、それによりインクまたはインクに基づくマーキングが物品または基材の表面から溶解または除去される。その後、溶媒およびインクまたはインクに基づくマーキングを、蒸発および/または拭き取りまたは洗い流しなどにより、物品表面から除去する。追加的な溶媒の除去方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0027】
上記方法は、望ましい用途に具体的に適応させることができる。特定の観点において、上記のように、該方法は、製造プロセス中に用いられるインクを除去するのに特有のものである。この目標のために、本明細書中の組成物を、物品または物品の表面に有害な影響を及ぼすことなくインクを除去するように適応させる。
【0028】
特定の非限定的観点において、マーキングは、接合させることを意図する2つの部品に施用される。非限定的例として、2つのそのような部品は、一緒に固定する前に適切に位置合わせしなければならない航空宇宙船または船舶(例えば、飛行機、ロケット、スペースシャトル、船、ボートなど)の隣接部分であることができる。上記のように、特定の態様において、そのような部品は、1以上のインクマーキングを用いて位置合わせする。その場合、2つのマーキングの位置合わせにより2つの部品の適切な位置合わせが促進されるように、一方の部品の一部分の上にマーキングを作製し、対応する部分を第2の部品の一部分の上に作製する。あるいは、そのようなマーキングは、そのような物品の上の特定点の位置を示すために、または物品に関する他のいくつかの情報を伝えるために、作製することができる。2つの部品を一緒に固定するか物品を他の方法で組み立てた後、本明細書中で論じたように、本発明の溶媒を施用してマーキングを除去する。該溶媒は、物品または物品の表面またはこれらに提供されている任意のコーティングもしくは添加剤に有害な影響を及ぼさない。
【0029】
特定の非限定的観点では、例えば、本発明の溶媒を、レンズブランクの製造または調節中にマーキングが作製または施用されている光学レンズの表面に施用する。施用後、該溶媒は、レンズもしくはレンズの表面(少なくとも部分的にポリカーボネート材料から製造されたレンズを含む)またはそれらに提供されている任意のコーティングもしくは添加剤、例えば、着色可能なコーティング、反射防止コーティング、疎水性コーティング、疎油性コーティングおよび他のコーティングに、有害な影響を及ぼさない。
【0030】
改めて、本溶媒の施用は、航空宇宙、船舶または光学用の用途に必ずしも限定されない。本明細書中で別に示すように、本発明の溶媒の使用方法は、機械産業、電気機械産業または電気産業での施用も包含し、あるいは、除去することが望ましいマーキング、とりわけインクまたはインクに基づくマーキングを含有し、本明細書中で別に定義されている、任意の物品または物品の表面を包含することができる。
【0031】
前記内容の延長として、本発明は、製造後のマーキングの除去に必ずしも限定されない。この目標のために、最終使用者が物品または物品の表面を使用した後に、それを用いて、インクを他のデブリと一緒に除去することができる。したがって、該溶媒組成物は製造状況での使用に適応させることができるが、物品の最終使用者が用いることもできる。
【0032】
後者に関し、該溶媒組成物は、そのような使用にふさわしい任意の方法で施用することができる。一態様では、溶媒をファブリックまたはクロスに施用し、物品の表面上を拭き取るかこすって、物品のインクまたはマーキングを緩化または除去することができる。あるいは、溶媒を、噴霧可能な組成物として提供してもよく、その場合、該溶媒は、インクを除去するために物品の表面上に噴霧される。物品の表面からインクまたはマーキングが浮き上がるか除去されるように、周囲温度または高温で物品を液体溶媒に浸漬することもできる。前記態様のいずれにおいても、残留溶媒およびデブリは、蒸発、物品の機械的拭き取り、および/または水、アルコール、もしくは他の溶媒溶液ですすぐことにより、除去することができる。
【0033】
追加的な適応または態様は、本明細書中に提供する開示内容に基づき、当業者には容易に明らかになるであろう。
【実施例】
【0034】
実施例1:洗浄効果−光学レンズ
Essilorにより製造された累進レンズを試験して、HCFO−1233zdにより黄色のインクマーキングを除去することができるか否かを調べた。インクマーキングは、HCFO−1233zdに浸した綿棒を用いて完全に除去された。レンズ表面は、HCFO−1233zdへの暴露による影響を受けなかった。
実施例2:適合性試験−光学レンズ
さまざまな光学レンズを、24時間にわたり直立位置でHCFO−1233zdに部分的に沈めた。暴露後、表面の変化についてレンズを目視検査した。試験レンズはCR−39およびポリカーボネート基材を包含し、いくつかは耐引掻き性コーティングまたは反射防止コーティングを有していた。試験レンズのいずれにおいても、暴露されたレンズ表面への変化は認められなかった。コーティングも、HFO−1233zdへの暴露による影響を受けなかった。試験レンズを以下に挙げる:
【0035】
【表1】
【0036】
実施例3:洗浄効果−金属表面
金属表面からのDykem Steel Blue Layout Fluid(染料)の除去を、(1)96重量%のtrans−1233zdおよび4重量%のメタノール、および(2)93重量%のtrans−1233zd、2重量%のメタノールおよび5重量%のペンタンを用いて試験した。試験は、アルミニウムクーポンにDykem染料を噴霧し、該クーポンを、指定の試験洗浄溶媒を約20〜25mL有するセプタムスクリュートップバイアルに入れることからなっていた。結果は、trans−1233zd/メタノールおよびtrans−1233zd/メタノール/ペンタン共沸混合物によりDykem染料が除去されることを示した。混合物は両方ともDykem染料を除去することができたが、染料は異なる様式で除去されると思われた。trans−1233zd/メタノールは染料を溶解したが、trans−1233zd/メタノール/ペンタンブレンドは、染料を、完全に溶解することなく表面から浮き上がらせると思われた。混合物は両方とも、染料の除去に有効であることが見いだされた。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 以下を含む、物品からインクまたはインクに基づくマーキングを除去するための溶媒組成物:
有効量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;および
少なくとも1つのC
1−C
3アルコール;および
所望により、少なくとも1つのC
4−C
6炭化水素;
これに関し、C
1−C
3アルコールおよびC
4−C
6炭化水素の両方の全量は、該組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量%である。
[2] 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、cis−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;trans−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;およびそれらの組み合わせ;からなる群より選択される、[1]に記載の溶媒組成物。
[3] 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、約1重量%〜約99重量%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[4] 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、約5重量%〜約99重量%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[5] 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、重量に基づき約5%〜約95%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[6] 1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、50重量%を超える量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[7] C
1−C
3アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[1]に記載の溶媒組成物。
[8] C
4−C
6炭化水素が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[1]に記載の溶媒組成物。
[9] アルコールが0重量%超〜約10重量パーセントの量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[10] アルコールが0重量%超〜約5重量%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[11] アルコールが約0%超〜約5%の量で提供され、炭化水素が約0%超〜約5%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[12] さらに、C
1−C
3アルコールまたはC
4−C
6炭化水素以外に、共溶媒、防錆剤、界面活性剤、安定剤、燃焼性抑制剤、防止剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの追加的成分を含む、[1]に記載の溶媒組成物。
[13] 追加的成分が共溶媒を含む、[12]に記載の溶媒組成物。
[14] 追加的成分が安定剤を含む、[12]に記載の溶媒組成物。
[15] 物品または物品の表面からインクまたはインクに基づくマーキングを除去するための方法であって、
インクまたはインクに基づくマーキングを表面の少なくとも一部の上に有する物品を提供し;
物品の表面のインクまたはインクに基づくマーキングを有する部分に、有効量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む溶媒組成物を施用し;
溶媒組成物およびインクまたはインクに基づくマーキングを物品の表面から除去する;ことを含む方法。
[16] 溶媒組成物を液体として施用する、[15]に記載の方法。
[17] 溶媒組成物を噴霧可能な組成物として施用する、[15]に記載の方法。
[18] 溶媒組成物をファブリックまたはクロスに施用した後、これを用いて溶媒組成物を物品の表面に施用する、[15]に記載の方法。
[19] 物品の表面が、ポリマー、金属または金属に基づく材料、金属合金または金属合金に基づく材料、セルロースまたはセルロースに基づく材料、セルロースに基づく複合体、シリカまたはシリカに基づく材料、およびシリカに基づく複合体からなる群より選択される少なくとも1つの材料で構成される、[15]に記載の方法。
[20] 物品が光学レンズである、[15]に記載の方法。
[21] 光学レンズがポリカーボネート材料またはコーティングを包含する、[20]に記載の方法。
[22] 溶媒組成物がさらに、少なくとも1つのC
1−C
3アルコール;および所望により少なくとも1つのC
4−C
6炭化水素を含む、[15]に記載の方法であって、C
1−C
3アルコールおよびC
4−C
6炭化水素の両方の全量が、該組成物の全重量に基づき0重量%超〜約10重量%である、前記方法。
[23] C
1−C
3アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[15]に記載の方法。
[24] C
4−C
6炭化水素が、n−ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、[15]に記載の方法。
[25] アルコールが0重量%超〜約10重量パーセントの量で提供される、[15]に記載の方法。
[26] アルコールが0重量%超〜約5重量%の量で提供される、[15]に記載の方法。
[27] アルコールが約0%超〜約5%の量で提供され、炭化水素が約0%超〜約5%の量で提供される、[1]に記載の溶媒組成物。
[28] インクまたはインクに基づくマーキングを物品または物品の表面から除去するための方法であって、
インクまたはインクに基づくマーキングを表面の少なくとも一部の上に有する物品を提供し、これに関し、インクまたはインクに基づくマーキングは、物品または物品の一部の製造中に施用されている;
物品の表面のインクまたはインクに基づくマーキングを有する部分に、有効量の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む溶媒組成物を施用し;
溶媒組成物およびインクまたはインクに基づくマーキングを物品の表面から除去する;ことを含む方法。