特許第6093373号(P6093373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093373
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】デジタルスピーカーシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-550091(P2014-550091)
(86)(22)【出願日】2013年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2013078909
(87)【国際公開番号】WO2014083981
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-259494(P2012-259494)
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 正吉
【審査官】 武田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/074341(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/135928(WO,A1)
【文献】 特開2010−028785(JP,A)
【文献】 特開2012−227589(JP,A)
【文献】 特開2011−223289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカーを備えるデジタルスピーカーシステムにおいて、
複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路を備え、
複数の前記スピーカーのうち、少なくとも1つの前記スピーカー、前記信号処理回路により出力される右音声用デジタル信号が入力される1又は複数の任意の右音声用ボイスコイル、及び、左音声用デジタル信号が入力される、前記右音声用ボイスコイルの数に対応する数の任意の左音声用ボイスコイルが設けられて前記右音声用デジタル信号と前記左音声用デジタル信号を合成してモノラル音声を出力する1つのボビンを備えたモノラル音声用スピーカーとして機能させることを特徴とするデジタルスピーカーシステム。
【請求項2】
前記モノラル音声用スピーカーに入力されていない1又は複数の右音声用デジタル信号が入力されて右音声を出力する右音声用スピーカーと、
前記モノラル音声用スピーカーに入力されていない1又は複数の左音声用デジタル信号が入力されて左音声を出力する左音声用スピーカーと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタルスピーカーシステム。
【請求項3】
前記スピーカーのそれぞれに入力されるデジタル信号の数が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタルスピーカーシステム。
【請求項4】
複数の前記スピーカーは、同数のボイスコイルを備えることを特徴とする請求項3に記載のデジタルスピーカーシステム。
【請求項5】
複数の前記スピーカーを同一種類のものによって構成したことを特徴とする請求項3又は4に記載のデジタルスピーカーシステム。
【請求項6】
モノラル音声を出力する前記スピーカー以外の前記スピーカーのボイスコイルに、1又は複数の右音声用デジタル信号を入力して、右音声を出力させ、
モノラル音声を出力する前記スピーカー以外、且つ、右音声を出力する前記スピーカー以外の前記スピーカーのボイスコイルに、1又は複数の左音声用デジタル信号を入力して、左音声を出力させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のデジタルスピーカーシステム。
【請求項7】
複数のスピーカーを備えるデジタルスピーカーシステムにおいて、
複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路を備え、
複数の前記スピーカーのうち、少なくとも1つの前記スピーカーを、前記信号処理回路により出力される1又は複数の任意の右音声用デジタル信号、及び、当該信号の数に対応する数の任意の左音声用デジタル信号が入力されてモノラル音声を出力するモノラル音声用スピーカーとして機能させ、
前記スピーカーのそれぞれに入力されるデジタル信号の数が同一となる構成とした上で、前記スピーカーのそれぞれを同一種類のものによって構成したことを特徴とするデジタルスピーカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル信号が入力されるデジタルスピーカーを含んで構成されるデジタルスピーカーシステム、及び、当該デジタルスピーカーシステムの結線方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号処理回路(駆動回路)から入力されたデジタル信号に基づいて駆動するデジタルスピーカーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−28785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したデジタルスピーカーに使用される信号処理回路には、オーディオ装置等の音源から入力されたデジタル音声信号に所定のデジタル処理を施すことによって、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号について、それぞれ多チャンネル(例えば、3チャンネルずつ)の信号を生成し、出力可能であるという特徴がある。そして、信号処理回路のこのような特徴を効果的に利用してデジタルスピーカーシステムを構築したいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、信号処理回路の特徴を効果的に利用したデジタルスピーカーシステムを構築し、また、デジタルスピーカーシステムの結線方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のスピーカーを備えるデジタルスピーカーシステムにおいて、複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路を備え、複数の前記スピーカーのうち、少なくとも1つの前記スピーカー、前記信号処理回路により出力される右音声用デジタル信号が入力される1又は複数の任意の右音声用ボイスコイル、及び、左音声用デジタル信号が入力される、前記右音声用ボイスコイルの数に対応する数の任意の左音声用ボイスコイルが設けられて前記右音声用デジタル信号と前記左音声用デジタル信号を合成してモノラル音声を出力する1つのボビンを備えたモノラル音声用スピーカーとして機能させることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記モノラル音声用スピーカーに入力されていない1又は複数の右音声用デジタル信号が入力されて右音声を出力する右音声用スピーカーと、前記モノラル音声用スピーカーに入力されていない1又は複数の左音声用デジタル信号が入力されて左音声を出力する左音声用スピーカーと、をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記スピーカーのそれぞれに入力されるデジタル信号の数が同一であることを特徴とする。
また、本発明は、複数の前記スピーカーは、同数のボイスコイルを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、複数の前記スピーカーを同一種類のものによって構成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、モノラル音声を出力する前記スピーカー以外の前記スピーカーのボイスコイルに、1又は複数の右音声用デジタル信号を入力して、右音声を出力させ、モノラル音声を出力する前記スピーカー以外、且つ、右音声を出力する前記スピーカー以外の前記スピーカーのボイスコイルに、1又は複数の左音声用デジタル信号を入力して、左音声を出力させることを特徴とする。
また、本発明は、複数のスピーカーを備えるデジタルスピーカーシステムにおいて、複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路を備え、複数の前記スピーカーのうち、少なくとも1つの前記スピーカーを、前記信号処理回路により出力される1又は複数の任意の右音声用デジタル信号、及び、当該信号の数に対応する数の任意の左音声用デジタル信号が入力されてモノラル音声を出力するモノラル音声用スピーカーとして機能させ、前記スピーカーのそれぞれに入力されるデジタル信号の数が同一となる構成とした上で、前記スピーカーのそれぞれを同一種類のものによって構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、信号処理回路の特徴を効果的に利用してデジタルスピーカーシステムを構築でき、また、デジタルスピーカーシステムの結線方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るデジタルスピーカー11の構成を示す図である。
図2】従来のアナログスピーカーシステムの説明に利用する図である。
図3】デジタルスピーカーシステム1の構成を示す図である。
図4】(A)は例1に係るデジタルスピーカーシステムを示し、(B)は例2に係るデジタルスピーカーシステムを示す図である。
図5】(A)は例3に係るデジタルスピーカーシステムを示し、(B)は例4に係るデジタルスピーカーシステムを示す図である。
図6】(A)は例5に係るデジタルスピーカーシステムを示し、(B)は例6に係るデジタルスピーカーシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る信号処理回路10の機能を説明するために、デジタルスピーカー11の構成を説明に適した態様で模式的に示す図である。
デジタルスピーカー11は、据置型、携帯型、又は、車載型の音楽プレーヤー、携帯電話、タブレット端末、その他の音源に、有線又は無線で接続されて、当該音源から入力されたデジタル音声信号に基づいて音声を出力するスピーカーである。
図1に示すように、デジタルスピーカー11は、信号処理回路10と、スピーカー本体12と、を備えている。
信号処理回路10には、図示せぬコネクターが設けられており、このコネクターには、音源からデジタル音声信号を入力するためのケーブルが接続される。
信号処理回路10は、入力されたデジタル音声信号に対して所定の信号処理を施して、3チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、3チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。
詳述すると、信号処理回路10にはΔΣ変調回路、所定のフィルター回路等のデジタル回路が実装されており、信号処理回路10は、これら回路の機能によって、入力されたデジタル音声信号に対して所定の標本化処理や、フィルタリング処理等の信号処理を施して、左右6チャンネル分のデジタル信号を生成する。そして、信号処理回路10は、生成した左右6チャンネル分のデジタル信号を、チャンネルごとに設けられた6つのデジタルアンプ(不図示)によってそれぞれ増幅し、チャンネルごとに設けられた6つの信号ライン15を介して出力する。なお、信号ライン15のそれぞれは、物理的には、プラス、マイナスに対応する2本の信号伝送線(例えば、錦糸線)を有するが、説明の便宜を考慮して、図1における図示を省略すると共に、以下の説明においても詳細な説明は省略する。
【0013】
スピーカー本体12は、ボビン20と、このボビン20に支持された振動板21とを備え、ボビン20には、図示は省略するが、6層のボイスコイルが設けられており、各層のボイスコイルには、各チャンネルの信号ライン15のそれぞれが電気的に接続されている。ボイスコイルは、例えば、ボビン20の周方向に多層となるように重ねて設けられ、また例えば、ボビン20の軸方向に層ごとに間隔を開けて設けられている。
デジタルスピーカー11によって音声を出力する場合、音源からデジタル音声信号が信号処理回路10に入力され、さらに、信号処理回路10から各チャンネルの信号ライン15を介してデジタル音声信号に基づく左右6チャンネル分のデジタル信号のそれぞれが駆動信号として各層のボイスコイルに入力される。そして、駆動信号としてのデジタル信号の入力に伴って、磁気ギャップに位置するボイスコイルが駆動し、このボイスコイルの駆動に伴って振動板21が振動し、この振動に応じて音声が出力される。
【0014】
このように、本実施形態に係る信号処理回路10は、音源から入力されたデジタル音声信号に所定のデジタル処理を施すことによって、3チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、3チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力可能であるという特徴がある。そして、後述するように、本実施形態では、この特徴を活用して、モノラル音声を出力するモノラル音声用スピーカー2、ステレオにおける右音声を出力する右音声用スピーカー3、及び、左音声を出力する左音声用スピーカー4(いずれも後述)を含んで構成されるデジタルスピーカーシステム1を適切に構築する。
以下、まず、従来のアナログスピーカーシステムを説明し、その課題を明らかにした上で、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1を説明する。
【0015】
図2は、従来のアナログスピーカーシステムの説明に利用する図であり、(A)は、右チャンネル用の右スピーカーQ3、及び、左チャンネル用の左スピーカーQ4を備える一般的なステレオ再生用のアナログスピーカーシステムである第1アナログスピーカーシステムQ1を示し、(B)は、図2(A)が示す第1アナログスピーカーシステムQ1にセンタースピーカーQ5を追加することによって構築した第2アナログスピーカーシステムQ2を示している。
図2(A)に示すように、第1アナログスピーカーシステムQ1は、アナログアンプQ6を備えており、右チャンネルのアナログ音声信号が当該アンプによって増幅され右スピーカーQ3に出力されて当該スピーカーから右用の音声が出力され、同様に、左チャンネルのアナログ音声信号が当該アンプによって増幅され左スピーカーQ4に出力されて当該スピーカーから左用の音声が出力されることにより、ステレオ再生が実現される。
【0016】
このような第1アナログスピーカーシステムQ1に、図2(B)に示すように、センタースピーカーQ5を追加して、センター、及び、左右のスピーカーを備えるスピーカーシステムを構築する場合を考える。
この場合、図2(B)に示すように、アナログアンプQ6と右スピーカーQ3とを結ぶ信号ラインを分岐してセンタースピーカーQ5の1の端子に接続すると共に、アナログアンプQ6と左スピーカーQ4とを結ぶ信号ラインを分岐してセンタースピーカーQ5の他の端子に接続することが考えられる。このようにして、センター、及び、左右のスピーカーを備えるスピーカーシステムを構築可能であるものの、このような場合、以下のような課題がある。
すなわち、上記構成の場合、センタースピーカーQ5において、右チャンネルのアナログ音声信号と、左チャンネルのアナログ音声信号とがダイレクトに合成されるため、信号の歪みが増幅されてしまう可能性がある。
また、センタースピーカーQ5の専用のアンプがないため、センタースピーカーQ5の音圧を独自にレベル調整することが不可能である。この課題を解決するために、センタースピーカーQ5専用のアンプを設けた場合、プリアンプでセンターチャンネルのアナログ音声信号を生成した上で、当該専用のアンプを介してセンターチャンネルのアナログ音声信号をセンタースピーカーQ5に出力する必要が生じ、回路規模が大きくなってしまう。
【0017】
本実施形態では、信号処理回路10の特徴を効果的に利用して、以上説明したような従来の課題を解決した上で、センター、及び、左右のスピーカーを備えるスピーカーシステムを構築し、定位改善、及び、音声の解像度の改善を図っている。
【0018】
図3は、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1の構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、デジタルスピーカーシステム1は、センター、及び、左右のスピーカーを備えるスピーカーシステムであり、モノラル音声用スピーカー2(センタースピーカーQ5に対応するスピーカー)、右音声用スピーカー3(右スピーカーQ3に対応するスピーカー)、及び、左音声用スピーカー4(左スピーカーQ4に対応するスピーカー)を含んで構成されている。
図3に示すように、モノラル音声用スピーカー2は、3チャンネル分の右音声用デジタル信号のうち任意の1つの右音声用デジタル信号が入力されると共に、3チャンネル分の左音声用デジタル信号のうち任意の1つの左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。
このように、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1では、信号処理回路10が多チャンネル(複数)の右音声用デジタル信号、及び、多チャンネル(複数)の左音声用デジタル信号を生成し、出力することに着目して、1又は複数(本例では、1つ)の任意の右音声用デジタル信号、及び、当該信号の数に対応する数(本例では、1つ)の任意の左音声用デジタル信号をモノラル音声用スピーカー2に入力し、これにより、モノラル音声用スピーカー2によるモノラル音声の出力を実現している。
このような構成とすることにより、以下の効果を奏することができる。
すなわち、モノラル音声用スピーカー2に入力される左右のデジタル音声信号のそれぞれは、図1を用いて説明したとおり、ボビン20に設けられた多層のボイスコイルのいずれかにそれぞれ入力されて合成されることを想定して生成されたデジタル音声信号である。このため、左右のデジタル音声信号のそれぞれについて、特性ばらつきが少なく、各信号を合成したときの歪みが少ない。特に、右チャンネルのアナログ音声信号と、左チャンネルアナログ音声信号とを合成した場合と比較して、歪みの少なさは顕著である。
さらに、上述したとおり、信号処理回路10には、チャンネルごとに(=出力されるデジタル音声信号ごとに)デジタルアンプが設けられている。このため、デジタルスピーカーシステム1では、従来の第2アナログスピーカーシステムQ2のように専用のプリアンプ、及び、アンプを設けることなく、モノラル音声用スピーカー2の音圧を独自にレベル調整することができる。すなわち、デジタルスピーカーシステム1では、信号処理回路10に既設されたデジタルアンプを活用して、回路規模を大きくすることなく、モノラル音声用スピーカー2の音圧調整が可能である。
【0019】
また、図3に示すように、右音声用スピーカー3には、モノラル音声用スピーカー2に入力されていない2つの右音声用デジタル信号が入力される構成となっている。このような構成の下、右音声用スピーカー3には、右音声用デジタル信号のみが入力されて、適切に右用の音声が出力される。すなわち、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1では、信号処理回路10が多チャンネル(複数)の右音声用デジタル信号、及び、多チャンネル(複数)の左音声用デジタル信号を生成し、出力することに着目して、モノラル音声用スピーカー2に入力しない右音声用デジタル信号を右音声用スピーカー3に入力させることにより、右音声用スピーカー3による右用の音声の出力を実現している。
同様に、左音声用スピーカー4には、モノラル音声用スピーカー2に入力されていない2つの左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。当該構成に基づく効果は、右音声用スピーカー3における効果と同様である。
【0020】
また、図3に示すように、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1では、当該システムを構成する3つのスピーカー(モノラル音声用スピーカー2、右音声用スピーカー3、及び、左音声用スピーカー4)のそれぞれについて、2チャンネル分のデジタル音声信号が入力される構成となっている。当該構成により、以下の効果を奏する。
すなわち、デジタルスピーカーシステム1を構成するスピーカーのそれぞれについて、入力されるデジタル音声信号のチャンネルの数を同一とすることにより、スピーカーのそれぞれについて入力端子の数を同一とすることができ、スピーカーのそれぞれを同一種類のものとすることができる。このため、デジタルスピーカーシステム1の構築にあたり、別種類のスピーカーであって適切なものを個数分準備することなく、同一種類のスピーカーを必要な個数分準備すれば足り、構築容易性の向上、部品種類の低減、及び、製造コストの削減を実現できる。
特に、本実施形態では、デジタルスピーカーシステム1を構成する3つのスピーカーのそれぞれは、2チャンネル分のデジタル音声信号が入力される構成となっている。このため、デジタルスピーカーシステム1を構成する3つのスピーカーとして、一般に普及している2つの入力端子を有するアナログスピーカーを適用することができ、より一層の構築容易性の向上、部品種類の低減、及び、製造コストの削減を実現できる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、デジタルスピーカーシステム1は、複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路10と、信号処理回路10により出力される1又は複数の任意の右音声用デジタル信号、及び、当該信号の数に対応する数の任意の左音声用デジタル信号が入力されてモノラル音声を出力するモノラル音声用スピーカー2と、を備えている。
すなわち、このような構成となるよう、信号処理回路10と、モノラル音声用スピーカー2、右音声用スピーカー3、及び、左音声用スピーカー4とが、適切な方法にて結線されている。
この構成によれば、音源から入力されたデジタル音声信号に所定のデジタル処理を施すことによって、3チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、3チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力可能であるという信号処理回路10の特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能なモノラル音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0022】
また、本実施形態に係るデジタルスピーカーシステム1は、モノラル音声用スピーカー2に入力されていない1又は複数の右音声用デジタル信号が入力されて右音声を出力する右音声用スピーカー3と、モノラル音声用スピーカーに入力されていない1又は複数の左音声用デジタル信号が入力されて左音声を出力する左音声用スピーカー4と、をさらに備えている。
この構成によれば、信号処理回路10の特徴を利用して、モノラル音声用スピーカー2のほか、右用の音声を適切に出力する右用のスピーカー、及び、左用の音声を適切に出力する左用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0023】
また、本実施形態では、デジタルスピーカーシステム1を構成するスピーカーのそれぞれに入力されるデジタル音声信号の数が同一となる構成とした上で、スピーカーのそれぞれを同一種類のものによって構成している。
この構成によれば、デジタルスピーカーシステム1の構築にあたり、別種類のスピーカーであって適切なものを個数分準備することなく、同一種類のスピーカーを必要な個数分準備すれば足り、構築容易性の向上、部品種類の低減、及び、製造コストの削減を実現できる。
【0024】
<他の例>
本願発明を応用することにより、定位改善、及び、解像度の改善が図られたスピーカーシステムを多種多様に構築可能である。以下、具体例を挙げて本願発明が適用されたスピーカーシステムについて説明する。
【0025】
<例1>
図4(A)は、例1のデジタルスピーカーシステム1aの構成を示す図である。
この例1に係る信号処理回路10aは、上述した実施形態と同様、3チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、3チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。そして、デジタルスピーカーシステム1aは、3つのモノラル音声用スピーカー21a〜23aを備えており、3つのスピーカーのそれぞれに、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1aを構成する3つのスピーカーのそれぞれは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能する。
この例1のデジタルスピーカーシステム1aの構成によれば、3チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、3チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力可能であるという信号処理回路10aの特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能な3つのモノラル音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0026】
<例2>
図4(B)は、例2のデジタルスピーカーシステム1bの構成を示す図である。
この例2に係る信号処理回路10bは、上述した実施形態と異なり、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。そして、デジタルスピーカーシステム1bは、4つのモノラル音声用スピーカー21b〜24bを備えており、4つのスピーカーのそれぞれに、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1bを構成する4つのスピーカーのそれぞれは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能する。
この例2のデジタルスピーカーシステム1bの構成によれば、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力可能であるという信号処理回路10bの特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能な4つのモノラル音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0027】
<例3>
図5(A)は、例3のデジタルスピーカーシステム1cの構成を示す図である。
この例3に係る信号処理回路10cは、上述した実施形態と異なり、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。そして、デジタルスピーカーシステム1cは、モノラル音声用スピーカー2c、右音声用スピーカー3c、及び、左音声用スピーカー4cを備えている。モノラル音声用スピーカー2cには、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力され、右音声用スピーカー3cには、3チャンネル分の右音声用デジタル信号が入力され、左音声用スピーカー4cには、3チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1cを構成するモノラル音声用スピーカー2cは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能し、右音声用スピーカー3cは、右音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する右音声用のスピーカーとして機能し、左音声用スピーカー4cは、左音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する左音声用のスピーカーとして機能する。
この例3のデジタルスピーカーシステム1cの構成によれば、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力可能であるという信号処理回路10cの特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能なモノラル音声用のスピーカー、右音声用のスピーカー、及び、左音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0028】
<例4>
図5(B)は、例4のデジタルスピーカーシステム1dの構成を示す図である。
この例4に係る信号処理回路10dは、上述した実施形態と異なり、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。そして、デジタルスピーカーシステム1dは、2つのモノラル音声用スピーカー21d、22d、右音声用スピーカー3d、及び、左音声用スピーカー4dを備えている。2つのモノラル音声用スピーカー21d、22dのそれぞれには、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力され、右音声用スピーカー3dには、2チャンネル分の右音声用デジタル信号が入力され、左音声用スピーカー4dには、2チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力される構成となっている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1dを構成する2つのモノラル音声用スピーカー21d、22dのそれぞれは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能し、右音声用スピーカー3dは、右音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する右音声用のスピーカーとして機能し、左音声用スピーカー4dは、左音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する左音声用のスピーカーとして機能する。
この例4のデジタルスピーカーシステム1dの構成によれば、4チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、4チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力可能であるという信号処理回路10dの特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能な2つのモノラル音声用のスピーカー、右音声用のスピーカー、及び、左音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0029】
<例5>
図6(A)は、例5のデジタルスピーカーシステム1eの構成を示す図である。
この例5に係るデジタルスピーカーシステム1eは、2つの信号処理回路10er、elを備えており、これら2つの信号処理回路10er、elが協働して、「複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路」として機能している。
信号処理回路10erは、8チャンネル分の右音声用デジタル信号を生成し、出力し、一方、信号処理回路10elは、8チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。
そして、デジタルスピーカーシステム1eは、4つのモノラル音声用スピーカー21e〜24e、2つの右音声用スピーカー31e、32e、及び、2つの左音声用スピーカー41e、42eを備えている。
4つのモノラル音声用スピーカー21e〜24eのそれぞれには、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力されている。すなわち、4つのモノラル音声用スピーカー21e〜24eのそれぞれには、信号処理回路10erの任意の1つの右音声用デジタル信号がそれぞれ入力されると共に、信号処理回路10elの任意の1つの左音声用デジタル信号がそれぞれ入力される構成となっている。
2つの右音声用スピーカー31e、32eのそれぞれには、信号処理回路10erから出力される任意の2チャンネル分の右音声用デジタル信号がそれぞれ入力されている。また、2つの左音声用スピーカー41e、42eのそれぞれには、信号処理回路10elから出力される任意の2チャンネル分の左音声用デジタル信号がそれぞれ入力されている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1eを構成する4つのモノラル音声用スピーカー21e〜24eのそれぞれは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能し、2つの右音声用スピーカー31e、32eのそれぞれは、右音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する右音声用のスピーカーとして機能し、2つの左音声用スピーカー41e、42eのそれぞれは、左音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する左音声用のスピーカーとして機能する。
この例5のデジタルスピーカーシステム1eの構成によれば、8チャンネル分の右音声用デジタル信号を出力する信号処理回路10er、及び、8チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路10elを備えるという特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能な4つのモノラル音声用のスピーカー、2つの右音声用のスピーカー、及び、2つの左音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0030】
<例6>
図6(B)は、例6のデジタルスピーカーシステム1fの構成を示す図である。
この例6に係るデジタルスピーカーシステム1fは、2つの信号処理回路10fr、10flを備えており、これら2つの信号処理回路10fr、10flが協働して、「複数の右音声用デジタル信号、及び、複数の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路」として機能している。
信号処理回路10frは、6チャンネル分の右音声用デジタル信号を生成し、出力し、一方、信号処理回路10flは、6チャンネル分の左音声用デジタル信号を生成し、出力する。
そして、デジタルスピーカーシステム1fは、2つのモノラル音声用スピーカー21f、22f、2つの右音声用スピーカー31f、32f、及び、2つの左音声用スピーカー41f、42fを備えている。
2つのモノラル音声用スピーカー21f、22fのそれぞれには、1チャンネル分の右音声用デジタル信号、及び、1チャンネル分の左音声用デジタル信号が入力されている。すなわち、2つのモノラル音声用スピーカー21f、22fのそれぞれには、信号処理回路10frの任意の1つの右音声用デジタル信号がそれぞれ入力されると共に、信号処理回路10flの任意の1つの左音声用デジタル信号がそれぞれ入力される構成となっている。
2つの右音声用スピーカー31f、32fのそれぞれには、信号処理回路10frから出力される任意の2チャンネル分の右音声用デジタル信号がそれぞれ入力されている。また、2つの左音声用スピーカー41f、42fのそれぞれには、信号処理回路10flから出力される任意の2チャンネル分の左音声用デジタル信号がそれぞれ入力されている。
このような構成の下、デジタルスピーカーシステム1fを構成する2つのモノラル音声用スピーカー21f、22fのそれぞれは、右音声用デジタル信号、及び、左音声用デジタル信号に基づいて駆動するモノラル音声用のスピーカーとして機能し、2つの右音声用スピーカー31f、32fのそれぞれは、右音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する右音声用のスピーカーとして機能し、2つの左音声用スピーカー41f、42fのそれぞれは、左音声用デジタル信号のみに基づいて駆動する左音声用のスピーカーとして機能する。
この例6のデジタルスピーカーシステム1fの構成によれば、6チャンネル分の右音声用デジタル信号を出力する信号処理回路10fr、及び、6チャンネル分の左音声用デジタル信号を出力する信号処理回路10flを備えるという特徴を活用して、回路基板を大きくすることなく、独自に音圧のレベル調整が可能な2つのモノラル音声用のスピーカー、2つの右音声用のスピーカー、及び、2つの左音声用のスピーカーを有するスピーカーシステムの構築を実現することが可能である。
【0031】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記では、スピーカーシステムの構成について、複数の例を挙げて具体的に説明したが、本願発明が適用されるスピーカーシステムの構成は、例を挙げて説明したものに限られないことは言うまでもない。すなわち、本願発明は、信号処理回路10と同様の機能を有する回路を備えるスピーカーシステムについて、広く適用可能である。
また、上述した実施形態では、信号処理回路10は、6チャンネルと8チャンネルの物を使用したが、本発明の範囲内であれば、信号処理回路10のチャンネル数はいくつであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f デジタルスピーカーシステム
2、21a〜23a、21b〜24b、2c、21d、22d、21e〜24e、21f、22f モノラル音声用スピーカー
3、3c、3d、31e、32e、31f、32f 右音声用スピーカー
4、4c、4d、41e、42e、41f、42f 左音声用スピーカー
10、10a、10b、10c、10d、10er、10el、10fr、10fl 信号処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6