(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093374
(24)【登録日】2017年2月17日
    
      
        (45)【発行日】2017年3月8日
      
    (54)【発明の名称】垂直型半連続鋳造用鋳型のための二重噴流式冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B22D  11/049       20060101AFI20170227BHJP        
   B22D  11/04        20060101ALI20170227BHJP        
   B22D  11/041       20060101ALI20170227BHJP        
   B22D  11/055       20060101ALI20170227BHJP        
   B22D  11/059       20060101ALI20170227BHJP        
   B22D  11/08        20060101ALI20170227BHJP        
   B22D  11/00        20060101ALN20170227BHJP        
   B21B   1/46        20060101ALN20170227BHJP        
【FI】
   B22D11/049
   B22D11/04 311F
   B22D11/041 Z
   B22D11/055 A
   B22D11/059 110F
   B22D11/08 Z
   !B22D11/00 E
   !B21B1/46 B
【請求項の数】12
【全頁数】13
      (21)【出願番号】特願2014-551662(P2014-551662)
(86)(22)【出願日】2013年1月8日
    
      (65)【公表番号】特表2015-503452(P2015-503452A)
(43)【公表日】2015年2月2日
    
      (86)【国際出願番号】FR2013000008
    
      (87)【国際公開番号】WO2013104846
(87)【国際公開日】20130718
    【審査請求日】2015年11月5日
      (31)【優先権主張番号】1200072
(32)【優先日】2012年1月10日
(33)【優先権主張国】FR
    
      
        
          (73)【特許権者】
【識別番号】500092697
【氏名又は名称】コンステリウム  イソワール
【氏名又は名称原語表記】Constellium  Issoire
          (74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田  恵一
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】ジャリ,フィリップ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】リボー,オリヴィエ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ムネ,ピエール−イヴ
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ジュエ  パストル,ロラン
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】ワズ,エマニュエル
              
            
        
        (72)【発明者】
          【氏名】マリオ,オレール
              
            
        
      
    
      【審査官】
        伊藤  寿美
      
    (56)【参考文献】
      
        【文献】
          特表2001−520122(JP,A)      
        
        【文献】
          特表平10−500629(JP,A)      
        
        【文献】
          特開2003−211255(JP,A)      
        
        【文献】
          特開昭54−122633(JP,A)      
        
        【文献】
          米国特許出願公開第2002/0174971(US,A1)    
        
      
    (58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D    11/00−11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造用鋳型の冷却装置において、そのスラブまたはビレット出口の下部部分内で鋳型キャビティの内周全体に配置された二列の穴で構成されている装置であって、各列の穴が前記鋳型の垂直軸に平行する面であって、垂直軸に直交する平面の近くに設けられており;
a)二列の穴が、前記鋳型の本体内に設けられた単一の同じ冷却液チャンバ(2)に連結されていること、
b)前記穴の第一の列、すなわち垂直な鋳型内で高い位置にある列が、鋳型の垂直軸との関係において32±5度の入射角で前記スラブまたはビレット(3)上への前記冷却液の射出(4)を可能にするチャネルを用いて前記チャンバ(2)に連結されていること、
c)前記穴の第二の列、すなわち垂直鋳型内で低い位置にある列が、鋳型の垂直軸との関係において22±5度の入射角で前記スラブまたはビレット(3)上への前記冷却液の射出(5)を可能にするチャネルを用いて前記チャンバ(2)に連結されていること、
d)低い位置にある第二の列の穴が、鋳型の垂直軸との関係において、第一の列つまり高い位置にある列の二つの穴の間の間隔のほぼ垂直二等分線上に配置されていること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
  穴の直径が、始動段階中でも鋳造の定常状態中でも、二列の穴上にほぼ等しい流量および速度で前記液体を同時に分配できるように、同一の列上、および二本の列上でほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
  二列の穴が、噴流(4および5)を生成するような形で、互いとの関係において配置されており、これらの噴流は、まっすぐな場合に、始動中であれ定常状態中であれ鋳造のあらゆる時点で、衝撃を、鋳型の作用面を含むほぼ垂直な表面上に形成し、前記衝撃が垂直方向に沿って10〜40mmの距離だけ互いに離隔されていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却装置。
                                                                              
【請求項4】
  各列の前記穴各々の直径が3±1mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項5】
  同一列上の隣接する二つの穴の離隔距離が10〜30mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項6】
  圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造のための請求項1〜5のいずれか一つに記載の前記冷却装置の使用方法において、二列の穴全体についての冷却水総流量、つまり冷却液チャンバ(2)を出る流量が、鋳造の過渡的始動段階、すなわち冷却液の流量および鋳造速度がその定常状態値に達していない段階の初めに鋳型周囲線形1cmあたり0.3〜0.8l/minであり、その後鋳造定常状態にとって所望の流量に至ることを特徴とする方法。
【請求項7】
  鋳造の過渡的始動段階の初めにおける前記水流量が0.4〜0.6l/cm/minであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
  冷却液が、鋳造の始動段階中に二列の穴全体に同時に導かれることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
  ほぼ水平な一平面内に含まれる縁を有する平坦なボトムブロックを備えた鋳造用鋳型を使用することを特徴とする、圧延スラブ(3)の垂直型半連続鋳造用の、請求項6〜8のいずれか一つに記載の前記冷却装置の使用方法。
【請求項10】
  面中央から最も離れた圧延面の領域が鋳型からまだ出ないうちに、製品の面の中央が鋳造始動段階中に冷却液による直接的冷却に付されるような形で、中膨れのボトムブロックを備えた鋳造用鋳型を使用することを特徴とする、圧延スラブ(3)の垂直型半連続鋳造のための、請求項6〜8のいずれか一つに記載の前記冷却装置の使用方法。
【請求項11】
  面中央から最も離れた圧延面の領域が鋳型からまだ出ないうちに、製品の面の中央が鋳造始動段階中に冷却液による直接的冷却に付されるような形で、湾曲した縁を伴う平坦なボトムブロックを備えた鋳造用鋳型を使用することを特徴とする、圧延スラブ(3)の垂直型半連続鋳造のための、請求項6〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
  グラファイト製インサート(1)をその作用面上に備えた鋳造用鋳型を使用することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一つに記載の圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造のための前記冷却装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、垂直型半連続鋳造によるアルミニウム合金製の圧延スラブおよび押出しビレットなどの半製品の製造の分野に関する。
【0002】
  より厳密には、本発明は、凝固中、特に鋳造の始動段階中に、バットカールの現象を制御し最小限に抑えるような形で漸進的かつ連続的な製品焼入れを行い、鋳物下部の予備切断なく、しかも引裂きや割れ目なく後続の熱間圧延または押出し加工を可能にする、二重噴流列を伴う直接冷却装置および方法に関する。
【0003】
  鋳塊鋳型はその作用表面上に、定常状態における表面状態を改善するためにグラファイト製インサートを有していてもいなくてもよい。
【0004】
  製品は、押出し加工により得られる薄板、帯状物、形材または鍛造部品の形でのあらゆる利用分野の製造向けのものであり得る。
 
【背景技術】
【0005】
  圧延スラブおよび押出しビレットは典型的に、鋳込みピットの上方の鋳造台上に位置づけされた垂直の鋳型または鋳塊鋳型の中で、鋳造によって製造される。
【0006】
  鋳型は、開放端部において、スラブの場合には矩形断面を有し、またはビレットの場合においては円形断面を有するが、ただし下端部はスラブまたはビレットの鋳造中に降下用リフトによって下降しながら移動するボトムブロックによって鋳造当初は閉鎖されており、上端部は金属の供給用である。
【0007】
  鋳型およびボトムブロックは、金属が内部で鋳造されるキャビティを画定している。
【0008】
  鋳造プロセスの始動時に、ボトムブロックは、鋳型内でその最も高い位置にある。金属が注ぎ込まれ、典型的には水を用いて冷却されると直ちに、ボトムブロックは既定の速度で下降させられる。凝固した金属は、このとき、鋳型の下部部分から取り出され、こうしてスラブまたはビレットが形成される。
【0009】
  鋳型から取り出される金属が冷却液の衝撃によって直接冷却されるこのタイプの成形は、典型的には垂直型である直接冷却式の半連続鋳造の名で公知である。
【0010】
  半連続鋳造における問題点は、製品の形成当初のゼロ速度から定常状態速度への移行をいかに首尾よく行えるかにある。この移行は、当業者にとってはバットカールという名称で公知であるスラブの下部の変形という形で現れる。下部が激しく冷却され過ぎた場合に発生するようにバットカールが過度に顕著である場合、このバットカールは当業者が「湯漏れ」と呼ぶものを発生させる可能性があり、これは時には「ハングアップ」、すなわち鋳型内でのスラブの詰まりへと形を変える可能性がある。不適合な冷却状態に付随するバットカールは、さほど無残な形ではないものの、下部の破損または下部内の割れに至る可能性がある。これらの破損または割れは、定常状態において伝播し製品をスクラップに導く可能性があり、そうではないとしても少なくとも製品の無欠性を回復させるための下部切断をせずにスラブを熱間圧延するのを妨げることから、極めて有害である。最後に、いかなる鋳造スクラップも発生させない場合でも、バットカールは、下部の切断無く製品を圧延することを妨げる可能性のある製品の断面の変動という形で現われる。
【0011】
  バットカールを制限するために、当業者であれば、鋳造の始動段階中、定常状態の場合に比べて製品の熱の抽出を少なくすべきであることを知っている。そのため、さまざまな技術が開発されてきた(パルス送り、始動水中へのCO
2の注入、V字形鋳塊鋳型および中膨れのあるボトムブロックの使用)。最も性能の良い技術は、核沸騰状態またはストリーミング状態よりもはるかに少ない熱を抽出する安定した膜沸騰状態を得るために、始動時の冷却流量を充分な形で低減させることからなる。その上、バットカール速度は始動速度の増加関数であることが公知であり、こうして定常状態の鋳造速度よりも概して低い速度で鋳造が始動させられることになる。したがって、当業者にとっては、最も重要なパラメータが、充填速度と鋳造温度、品質に対して適合された熱効率を有しかつ充分に少ない量の水を用いた始動段階の初めでのわずかな熱抽出、初期水流量を考慮した上での始動速度の適切な選択、そして最後に、下部の健全性およびそのバットカールの最小化を保証しながら鋳造の定常状態に適合された速度および冷却パラメータを達成することができるようにする鋳造速度の上昇および冷却水流量の増加の勾配の、始動段階最後における選択にあるということは公知である。
【0012】
  これは、「Waterhole」(穴付き鋳型)という呼称で公知である、鋳塊鋳型を用いて得ることができ、この鋳塊鋳型の内部構造および穴の直径は、鋳型に沿った流量の極めて優れた均一性を保証する一方で非常に少ない流量を達成できるようにする。
【0013】
  これらの鋳型は、穴の水平列かまたは重ね合わされた二つの列を有している。
【0014】
  「Wagstaff  Inc.」の国際公開第2005/092540号および、米国特許第7007739号明細書、米国特許出願公開第5518063号明細書、米国特許出願公開第5582230号明細書、そして米国特許出願公開第5685359号明細書は、まず最初に、始動時に膜沸騰状態を得ることができるようにする入射角22°の穴の第一の列を伴い、次にこれに対して、膜沸騰を終了させ定常状態で充分な冷却を行う45°の穴に由来する第二の噴流列を重ね合わせることによる、逐次的散水システムを開示している。入射角が小さい一本の噴流列での状態と入射角が大きいもの一本を含む二本の噴流による散水状態との間の大きな差異が、「Wagstaff  Inc.」により明示的に請求されている。
【0015】
  これら二つのシステム(上述の通りの一列式または二列式)の各々には、以下のような欠点がある:
−  一列の穴の「Waterhole」タイプの鋳型によると、実際、低い単位長さあたり流量で膜沸騰状態を得ることができるが、これらの鋳型は、水の品質に極めて敏感である。実際、一方では、単一の列の穴で入手可能な最小の単位長さあたり流量は、「Epsilon
TM」または「LHC
TM」(後者は作用面上にグラファイト製インサート付き)の名称で市販されている「Wagstaff  Inc.」の鋳型の場合のように穴の半数のみが製品に散水を行う場合ほどには少なくない。したがって、一列の穴を有するこれらの鋳型の動作点は、構造上、核沸騰への遷移つまり当業者にとって公知のヌキヤマ曲線上のライデンフロスト点と呼ばれる点により近いものである。すなわち、鋳型に沿った流量、水温または水質のわずかな変動でも、膜沸騰の動作点を核沸騰へと容易に大きく変化させる可能性がある。このような理由から、これらの鋳型は、水が過度に冷たい場合、または水が季節的品質変動を受けやすい場合には、正しく使用できない。
−  逐次冷却式鋳型(「Wagstaff  Inc.」の「Epsilon
TM」および「LHC
TM」)はというと、これらは、穴の半数のみが製品に散水を行いしかも入射角が小さい場合には始動流量が極めて少ないために、その動作点がライデンフロスト点からさらに遠くにあることから、水質に対する感応性がはるかに低い。しかしながら、この技術には複数の欠点がある。すなわち、
−  第一および第二の散水状態の間の差異を明示的に請求しているこの技術の第一の欠点は、二重反り現象である。実際、第一の反りは、入射角22°での第一列の噴流を用いた始動の際に発生する。しかし、第二の反りは、45°の噴流を起動させる際に発生する。反りという機械的現象は突然停止せず、鋳造中の遅い時点、つまり長さ1m以上の鋳造の時点までその作用を及ぼし続けるものであることを知っておかなければならない。この逐次的散水システムは、この反りという過渡的な機械的状態を著しく延長させることに寄与する。後にスラブを熱間圧延する際に、これは、第一および第二の反りの間の亀裂発生の危険性、およびその結果としての圧延スクラップという形で現われる。したがって、先行技術の鋳型は、こうして形成されるスラブの下部の圧延における挙動に基づいてではなく、鋳造時のリカバリーという単一の基準に基づいて最適化されている。
−  第二の欠点は、第一の鋳造始動段階中の散水流量が非常に少ないことによって延長された下部の膨らみに関するものである。
−  第三の欠点は、いわゆる硬質の合金の鋳造とこの技術が相容れないものであるという点にある。実際、これらの合金は多くの場合、一方では熱間割れに対する感応性の高さ、および冷却に際してそこに急速に非常に高い応力が出現するということによって特徴づけられる。局所的に非常に高い内部応力という形で現われ得る局所的温度勾配をことごとく限定することが、必要とされる。ところが、一方では非常に低い流量での散水段階は熱間割れを促すものであり、これには次の二つの理由がある。すなわち、22°での非常に低位に位置する噴流の衝撃の前に、表面金属にとって危険である凝固画分ゾーン内で過度に長時間が経過すること(脆化を起こす残留液体画分の存在)、および割れの開始を促す局所的熱勾配を作り出す22°の噴流の間の離隔距離が過度に大きいこと、である。他方では、入射角が小さい状態の後に入射角が大きい第二の散水を突然適用することによって、まさに、非常に高い局所的熱勾配およびそれに随伴する応力の出現条件が作り出されることになる。
 
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
  本発明は、既存の解決法について、なかでも特に硬質合金について、指摘した欠点の無い、二重反りおよびスラブの下部の品質の問題に対する解決法をもたらすことを目的としている。
【0017】
  本発明は、鋳造の始動の際のリカバリー基準のみならず、後続する熱間圧延加工に対する適性基準にも基づいて鋳造の始動を最適化することを目的としている。
【0018】
  同様に、本発明は、あらゆるタイプのアルミニウム合金に対する適用可能性領域を拡大することも目的とする。
【0019】
  このような理由から、以下で問題となっているアルミニウム合金は全て、別段の記載のないかぎり、「Aluminum  Association」が定期的に刊行する「Registration  Record  Series」中で定義されている名称で呼称されるという点に留意されたい。
 
【課題を解決するための手段】
【0020】
  本発明の目的は、圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造用鋳型の冷却装置において、そのスラブまたはビレット(3)出口の下部部分内で、鋳型キャビティの内周全体に配置された二列の穴で構成されている装置であって、各列の穴が前記鋳型の垂直軸に直交する平面の近くに位置づけされており;
a)二列の穴が、前記鋳型の本体内に設けられた単一の同じ冷却液チャンバ(2)に連結されていること、
b)前記穴の第一の列、すなわち垂直な鋳型内で最も高い位置にある列あるいは液体の分配に関して最も上流側にある列が、鋳型の垂直軸との関係におい
て32±5度の入射角で前記スラブまたはビレット(3)上への前記冷却液の射出(4)を可能にするチャネルを用いて前記チャンバ(2)に連結されていること、
c)前記穴の第二の列、すなわち垂直鋳型内で最も低い位置にある列あるいは液体の分配に関して最も下流側にある列が、鋳型の垂直軸との関係において22±5度の入射角で前記スラブまたはビレット(3)上への前記冷却液の射出(5)を可能にするチャネルを用いて前記チャンバ(2)に連結されていること、
d)最も低い位置かあるいは液体の分配に関して最も下流側にある第二の列の穴が、鋳型の垂直軸との関係において、第一の列つまり最も高い位置かまたは最も上流側にある列の二つの穴の間の間隔のほぼ垂直二等分線上に配置されていること、
を特徴とする装置にある。
【0021】
  好ましい一実施形態によると、二列の穴および前記チャネルは、冷却液チャンバ(2)との関係において、始動段階中でも鋳造の定常状態中でも、二列の穴上にほぼ等しい流量および速度で前記液体を同時に分配できるように組織されて
おり、とりわけ穴の直径は同一の列上、および二本の列上でほぼ等しい。これは、同一の列上、および二本の列上でほぼ同じ直径の穴を使用することによって得られる。
                                                                              
【0022】
  好ましくは、前記冷却装置の二列の穴が噴流(4および5)を生成するような形で互いとの関係において配置されており、これらの噴流は、まっすぐな場合に、始動中であれ定常状態中であれ鋳造のあらゆる時点で、垂直方向に沿って10〜40mmの距離だけ互いに離隔された衝撃を、鋳型の作用面を含むほぼ垂直な表面上に形成する。
【0023】
  さらに好ましくは、各列の前記穴各々の直径は3±1mmである。
【0024】
  有利には、同一列上の隣接する二つの穴の離隔距離は10〜30mmである。
【0025】
  本発明の目的は、同様に、圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造のための前述の通りの前記冷却装置の実施方法において、二列の穴全体についての冷却水総流量、つまり冷却液チャンバ(2)を出る流量が、鋳造の過渡的始動段階、すなわち冷却液の流量および鋳造速度が「背景技術」の段落で説明されているその定常状態値に達していない段階の初めに、鋳型周囲線形1cmあたり0.3〜0.8l/minであり、その後典型的には1l/cm/min以上である鋳造の定常状態にとって所望の流量に至る実施方法にもある。
【0026】
  より好ましくは、鋳造の過渡的始動段階の初めにおける前記水流量は0.4〜0.6l/cm/minである。
【0027】
  有利には、冷却液は、鋳造の始動段階中に二列の穴全体上に同時に導かれ、そのため、バットカール現象は漸進的で分布した連続的な形で発生すると共に、前記液体流量に起因して最小限に抑えられる。
【0028】
  特定の一実施形態によると、圧延スラブ(3)の垂直型半連続鋳造用の前記冷却装置の実施方法は、ほぼ水平な一平面内に含まれる縁を有する平坦なボトムブロックを備えた鋳造用鋳型を使用する。
【0029】
  さらに一層有利な一実施形態によると、該実施方法は、中膨れのボトムブロックを備えた鋳造用鋳型、さらには湾曲した縁を伴う平坦なボトムブロックを備えた鋳造用鋳型を使用し、こうして両方の場合において、面中央から最も離れた圧延面の領域が鋳型からまだ出ないうちに、製品の面の中央が鋳造始動段階中に冷却液による直接的冷却に付されるようになっている。
【0030】
  最後に、圧延スラブまたは押出しビレット(3)の直接冷却式垂直型半連続鋳造のための前記冷却装置の前記実施方法は、グラファイト製インサート(1)をその作用面上に備えた鋳造用鋳型を使用し得る。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】2600×350mmの同じサイズの以下の三つのタイプの鋳型について、鋳型の周囲1cmあたりの毎分のl単位で表わした鋳造の始動時の初期の単位長さ当たり流量に応じた、実施例1の場合に得られたmm単位の膜沸騰長を表わす:−  噴流入射角30°の単一の列の穴を伴う鋳型(番号30、記号は正方形)、−  同時に起動されるそれぞれ入射角が45°および22°の二列の穴を伴う鋳型(番号45/22、記号は丸印)、−  本発明に係る、それぞれ入射角が32°および22°の二列の穴を伴う鋳型(番号32/22、星印)。
 
【
図2】前述のものと同じ要領で番号の付された同じ鋳型についての、同じ流量に応じた、鋳型出口のほぼ半幅地点で測定された℃単位の実施例1のスラブの表面温度の変動を表わす。  ここでは、膜沸騰無しのゾーンI、安定した膜沸騰を伴い鋳物下部が健全であるゾーンII、膜沸騰を伴うが、鋳物下部に熱間割れがあるゾーンIIIという三つのゾーンが見られる。
 
【
図3】先行図と同一で同じ要領で番号の付された三つのタイプの鋳型についての、鋳型周囲線形1cmあたりの毎分のl単位で表わした鋳造の始動時の初期の単位長さ当たり流量に応じた、実施例1の場合に得られたmm単位のバットカールの推移を表わす。
 
【
図4】実施例2のスラブ上で定常状態で得られたmm単位の鋳皮における距離に応じた、μm単位の凝固セルサイズを表わす。星印記号は、本発明に係るグラファイト製インサートを伴い入射角が32°および22°の穴の二本の列を有する鋳型に関するものであり、丸印記号は、入射角が45°と22°の穴の二本の列を伴う「Wagstaff」のLHC
TM鋳型に関するものである。
 
【
図5】スラブ下部の熱間圧延により得られた典型的な帯状物の形状(半幅のみが描かれている)を表わしており、左側は本発明に係る鋳型を用いて鋳造されたスラブに由来し、右側は、下部形成始動段階中の逐次的冷却を伴う「Wagstaff」のLHC
TM鋳型45/22を用いたものに由来する。
 
【
図6】作用面上のグラファイト製インサート1、2という番号の付されたその単一のウォーターチャンバを備えた本発明に係る鋳型の断面図を表わしており、鋳造されたスラブ3は断面の左下端部で均一の灰色の色合いで表され、32°および22°で入射する冷却液の二つの流束はそれぞれ4および5で表わされている。  この実施形態において、チャンバは、送出された液体の流量を調節するような形で少なくとも1つのオリフィス7を備えた隔壁またはダイヤフラム6を有する。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0032】
  まず第一に製品に対して非常に僅かな流量の散水が行われるように、二本の噴流列のシステムが使用される。
 
【0033】
  しかし、出願人は、所望の膜沸騰効果を得るためには、同時に起動された二本の噴流列間で流量を分割するだけで充分であることを確認した。二本の噴流列(4および5)を逐次的に起動させる必要は全く無い。したがって、これらの列は、逐次的散水について指摘された欠点、すなわちダブルバットカールという過度に顕著な現象および延長された下部の膨らみを発生させる、過渡的な機械的始動状態の過度の延長という欠点を回避するために、同時に起動される。
 
【0034】
  噴流の入射角は、本発明の不可欠なパラメータである。
 
【0035】
  製品に散水を行う第一の噴流列の入射は最も直接的である。ところが、出願人は、この入射が直接的であればあるほど、膜沸騰が安定している流量領域の拡がりは小さくなることを確認した。したがって、製品に散水する第一の噴流列(4)は、膜沸騰安定状態を確立できるようにするためにおよそ32°  +13/−5、好ましくは32±5°の入射角を有していなければならない。したがって、第二の噴流列(5)は、さらに一層小さい入射角、そして膜沸騰状態確立のための時間を得るのに充分な衝撃距離が二本の噴流列間に存在することになるような入射角を有していなければならない。過度に近接した二本の噴流列は、事実上、単一の噴流列と同等である。典型的には、第二の噴流列(5)は、およそ22±5°の入射角を有し、こうして、二本の列の各々に由来する噴流の衝撃の間の垂直方向距離が10〜40mmとなるようになっている。
 
【0036】
  こうして、まずは第一の列により、そして次にそれより約20mm低いところにある第二の噴流列により得られる適度の冷却を用いて、空間的に漸進的な焼入れ効果が得られる。焼入れの空間的漸進性は、中膨れのある、または湾曲した縁を有するボトムブロックを使用することによって、側方方向において改善可能である。
 
【0037】
  ただし、本発明は同様に、逐次的噴流技術に固有の二重反りという特に顕著な現象を回避できるようにする、二本の噴流列上の水の流量の漸進的かつ同時の増大によって、時間的に漸進的な焼入れの効果を得ることからなる。
 
【0038】
  こうして同様に、離隔距離によって、第一の列の噴流間に位置する熱間割れに対する脆弱箇所を回復させることも可能になる。これらの高温点は、第一の列の噴流間の間隔のほぼ垂直二等分線上に配置された小さい入射角の第二の一連の噴流により急速に冷却され、こうして、金属の表面の漸進的焼入れが可能になる。
 
【0039】
  出願人は、入射角32°および22°の噴流列を使用することにより、既存の技術の場合に比べ著しく高い(0.6l/cm/minまで)単位長さ当たり流量について、かつ冷水(10℃まで)について安定した膜沸騰状態を得ることが可能であることを確認した。したがって、得られる始動状態は極めて確固としたものであり、鋳造に100%に近いリカバリー率を保証する。その上、切断されていないスラブの熱間圧延の際に、二重反りの過度の現象に関係する断面のトラブルの不在、およびベースプレートの無欠性により、端部および周辺部においても割れ目が全く存在しないことも示された。
 
【0040】
  出願人はさらに、硬質合金の鋳造の際に、単一噴流列を伴う鋳型の場合に見られる定常状態での表面の割れが、32°および22°の入射角の二本の噴流列を伴う鋳型の場合においてはなくなることも確認した。
 
【0041】
  本発明は、その詳細において、以下の実施例を用いてより良く理解されるが、これらの実施例は限定的意味を有するものではない。
 
【実施例】
【0042】
  実施例1
  AA7449タイプの合金製の2600mm×350mmのサイズの圧延スラブを、以下のような異なるタイプの水冷用穴を伴う鋳型(「Waterhole」)を用いて鋳造した。
【0043】
  垂直軸に対して30°の、鋳型の出口におけるスラブ上の冷却水噴流入射角を有する、互いの離隔距離が6mmで直径が3.2mmの穴の、単一の水平方向列を有する鋳型。鋳型周囲線形1cmあたり毎分0.45〜0.51lという鋳造の始動時における冷却水の単位長さ当たり流量を試験した。その後流量を増大させて、定常状態で1l/cm/minに達した。
【0044】
  同時に起動される重ね合わされた二列の水平面の穴を伴う鋳型。なお、全ての穴は3.2mmの直径を有し、各列上で互いの離隔距離は12mmであり、これら二本の列に由来する噴流の衝撃は、垂直軸に沿って互いに18mm離隔されるようになっており、下位列の各々の穴は、上位列の二つの穴間の間隔のほぼ垂直二等分線上に配置されている。
【0045】
  ここでは同時に行われる鋳型の出口におけるスラブ上の冷却水噴流の入射角は、垂直軸との関係において45°および22°であった。
【0046】
  鋳型周囲線形1cmあたり毎分0.55〜0.60lという鋳造の始動時における冷却水の単位長さ当たり合計流量(つまり二列の穴全体についてのもの)を試験した。その後流量を増大させて、定常状態で1l/cm/minに達した。
【0047】
  重ね合わされた二列の水平面の穴を伴う本発明に係る鋳型。なお、全ての穴は3.2mmの直径を有し、各列上で互いの離隔距離は12mmであり、下位列の各々の穴は、上位列の二つの穴間の間隔のほぼ垂直二等分線上に配置されている。
【0048】
  鋳型の出口におけるスラブ上の同時に起動された冷却水噴流の入射角は、垂直軸との関係において32°および22°で、垂直方向に18mmの距離だけ分離された衝撃を作り出した。
【0049】
  鋳型周囲線形1cmあたり0.45〜0.60l/minという鋳造の始動時における冷却水の単位長さ当たり合計流量(つまり二列の穴全体についてのもの)を試験した。その後流量を増大させて、定常状態で1l/cm/minに達した。
【0050】
  冷却水の温度は、三つの場合において15±2℃であった。
【0051】
  全ての場合において、「ISTM」(「Ingot  Surface  Temperature  Measurement」)の名で公知の方法により、鋳型の出口における膜沸騰長を測定した。この方法は、下位冷却噴流の衝撃下で前記表面上に接触型熱電対を突き刺すことによりスラブの表面温度を測定すること、スラブの5mm降下中の温度を記録すること、その後鋳造の過渡的始動段階全体にわたって作業を繰り返すことからなる。
【0052】
  鋳造されたスラブの長さに応じた温度の曲線は、原点からの水平域を示しており、その比較的突然の終りは、単位長さ当たりの始動流量に応じて
図1の縦座標に報告されている「膜沸騰長」に対応する長さの膜沸騰の終りに対応している。
【0053】
  入射角30°の単一の噴流列を伴う鋳型(番号30)については、0.45l/cm/min以下の単位長さ当たり始動流量の場合にしか膜沸騰が得られないことが指摘される。二重噴流列を伴う鋳型(番号45/22および本発明に係る番号32/22のもの)の場合、膜沸騰は、0.6l/cm/minまでの単位長さ当たり始動流量について得ることができる。
【0054】
  したがって、所与の水温について、(同時に起動される)二重噴流列を伴う鋳型は、単一噴流列を伴う鋳型に比べて高い始動流量について安定した膜沸騰を得ることを可能にする。始動時に膜沸騰を受けた鋳造長に対する入射角の有意な影響は無い。
【0055】
  同様に、すでに言及した「ISTM」の名で公知の方法により、鋳型の出口のほぼ半幅のところで、スラブの表面温度を測定した。
【0056】
  その値は、つねに単位長さ当たり始動流量に応じて、かつ上述のものと同じ鋳型について、
図2で縦座標に報告されており、この図では、膜沸騰無しのゾーンI、安定した膜沸騰を伴い鋳物下部が健全であるゾーンII、膜沸騰を伴うが、鋳物下部に熱間割れがあるゾーンIIIという三つのゾーンが識別される。
【0057】
  この温度は、少ない流量(0.55l/cm/min)で下部の熱間割れを起こして、作動範囲を非常に制限された領域に削減する、同時に起動される入射角が45°と22°の二重噴流列を伴う鋳型の場合(番号45/22)、およびこの水温で0.45l/cm/minを厳密に上回る水流量について安定した膜沸騰を得ることを可能にしない30°の単一の噴流列を伴う鋳型の場合に比べて、本発明に係る同時に起動される入射角が32°と22°の二重噴流列を伴う鋳型の場合、水流量に応じてはるかに安定していることが指摘される。
【0058】
  出願人は、製品の表面温度の単位長さ当たり始動流量に対するこの強い感応性の原因が、45°の噴流による膜沸騰フィルムの不安定化、および30°の単一の噴流列を伴う鋳型の場合の冷却の漸進性欠如にそれぞれあることを見出した。
【0059】
  したがって、入射角45°および22°の二重噴流列を伴う先行技術の鋳型構成(番号45/22)は、噴流のシーケンス化が無い場合でも、硬質合金の鋳造には不向きである。
【0060】
  これに比べて、本発明に係る鋳型(番号32/22)は、0.4〜0.6l/cm/minの単位長さ当たり流量について使用可能であり、このことは、この広い流量範囲が特に偶発的な水温変動の補償を可能にすることから、極めて有利である。
【0061】
  要約すると、本発明に係る鋳型は、先行技術の他のタイプの鋳型では不可能である最適な製品表面温度の領域内で、かつ広い始動流量間隔内で、安定した膜沸騰を得ることを可能にする。
【0062】
  最後に、スラブ上に得られるバットカールを「ビデオカメラ」を用いて測定し記録した。その値、すなわちスラブの縁部が上昇する長さは、
図3において、つねに単位長さ当たり始動流量に応じて、上述のものと同じ鋳型について縦座標に報告されている。
【0063】
  そこで、本発明に係る鋳型(番号32/22)で得られるバットカールが、0.6l/cm/minの未満の始動流量について他の鋳型で得られたバットカールよりも有意に小さいことが読取られ、これにより、最適化した入射角を有する二本の同時噴流でのこの散水技術を用いて得られる漸進的焼入れの利点が示される。
【0064】
  実施例2
  AA3104タイプの合金製の1810mm×510mmサイズの圧延スラブを、次の二つのタイプの鋳型を用いて、55mm/minの速度で鋳造した:
【0065】
  同時に起動される重ね合わされた二列の水平面の穴を伴う本発明に係る鋳型(角32および22°)。なお、全ての穴は3.2mmの直径を有し、各列上で互いの離隔距離は12mmであり、垂直方向に約18mm離隔された衝撃を製品上で発生させ、下位列の各々の穴は、上位列の二つの穴間の間隔の垂直二等分線上に配置されている。
【0066】
  鋳型には、その作用面全体にわたりグラファイト製インサートが備わっていた。
【0067】
  噴流の衝撃が同様に垂直方向に18mm離隔されていた、「Wagstaff」のLHC
TM鋳型。
【0068】
  冷却水の温度は15±2℃であった。
【0069】
  鋳造の定常状態に対応するスラブの部分内において、鋳皮から異なる距離のところで、画像解析アルゴリズムp
*を用いて凝固セルのサイズを測定した。
【0070】
  このアルゴリズムp
*は、Ph.Jarry、M.BoehmおよびS.Antoine著、「Quantification  of  spatial  distribution  of  as−cast  microstructural  features.」、Light  Metals  2001、New  Orleans、TMS.議事録編集:J.L.Anjier、ならびにPh.JarryおよびA.Johansen著、「Characterisation  by  the  p*  method  of  eutectic  aggregates  spatial  distribution  in  5xxx  and  3xxx  aluminium  alloys  cast  in  wedge  moulds  and  comparison  with  sdas  measurements.」、Solidification  of  Aluminum  Alloys  Symposium、Light  Metals  2004、Charlotte、TMS.議事録編集:Men  G.Chu、Douglas  A.GrangerおよびQingyou  Hanといった刊行物中で完璧に説明されている。
【0071】
  結果は、mm単位で表わした鋳皮までの距離に応じてμm単位の凝固セルのサイズを示す
図4で報告されており、ここで星印の記号は本発明に係る鋳型に関し、丸印の記号は「Wagstaff」タイプのLHC鋳型に関するものである。
【0072】
  ここでは、本発明に係る鋳型が、LHC
TM鋳型で得られるセルサイズに匹敵するセルサイズ(±2μmの誤差)と10mm未満の類似の皮質ゾーン厚みとを呈するスラブ周辺の鋳造構造を得ることを可能にすることが確認できる。したがって得られた冶金学的応答は、LHC
TM鋳型が可能にするものとほぼ同一である。
【0073】
  実施例3
  AA5182タイプの合金製の1670mm×610mmおよび1810mm×510mmのサイズの圧延スラブを、実施例2の場合と同じ鋳型構成を用いて鋳造した。
【0074】
  その後、鋳物下部の切断無く、スラブを熱間圧延した。
【0075】
  得られる帯状物の典型的な形状は、
図5に半分の幅で表わされており、左は、本発明に係る鋳型を用いて鋳造されたスラブの場合(32°/22°の最適化された入射角の二つの同時噴流での散水による冷却および全ての作用面上のグラファイト製インサート)であり、右は、まずは22°、次に45°での逐次的冷却を伴って始動時に使用される「Wagstaff  Inc.」のLHC
TM鋳型の場合である。
【0076】
  ここでは、後者の場合において、第一のバットカールについては22°の入射角での第一の散水シーケンスによって生成され、第二のバットカールについては45°の入射角での第二のシーケンスの重ね合わせによって生成された、二つのバットカールに関係する製品の断面の変動を理由として周辺部の割れ目が発生したことがわかる。本発明に係る鋳型によって生産されたスラブが示すバットカールは、単純でかつ分布しているために熱間圧延の際に割れ目を全く発生させない。