特許第6093386号(P6093386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093386
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】配線ダクト用の固定補助具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20170227BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H02G3/04 037
   H02B1/20 P
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-35235(P2015-35235)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-158416(P2016-158416A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2016年10月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312014236
【氏名又は名称】興和化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 範之
(72)【発明者】
【氏名】田中 博子
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭51−009676(JP,Y2)
【文献】 実開昭58−176524(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を収容して案内する配線ダクトに用いられる固定補助具であって、
前記配線ダクトは、ダクト本体と、該ダクト本体の開口部を閉塞するように着脱可能に取り付けられたダクトカバーとを備え、
前記ダクト本体は、底面部と、該底面部の幅方向両端から立設された一対の側面部とを有し、かつ、前記底面部と対向する位置に長手方向に沿って前記開口部が形成され、
前記各側面部には、長手方向に並んで配置された複数の貫通孔が設けられ、
前記各側面部の外面には、前記ダクトカバーを係止する第1被係止部が設けられ、
前記各側面部の内面には、前記固定補助具を係止する第2被係止部が設けられ、
前記第1被係止部及び前記第2被係止部は、前記各側面部における前記貫通孔よりも前記開口部側に配置され、
前記ダクトカバーには、前記ダクト本体の前記各第1被係止部に係止する一対の第1係止部が設けられ、
前記固定補助具は、前記ダクト本体の前記側面部の外側に配置される外側片部と、該外側片部から前記側面部の前記貫通孔を介して前記側面部の内側に配置される内側片部とを備え、
該内側片部には、前記ダクト本体の前記第2被係止部に係止する第2係止部が設けられ、
前記固定補助具の前記内側片部の前記第2係止部を前記ダクト本体の前記第2被係止部に係止することにより、前記固定補助具の前記外側片部と前記内側片部とによって前記ダクトカバーの前記第1係止部と前記ダクト本体の前記第1被係止部との係止部分を挟持することを特徴とする配線ダクト用の固定補助具。
【請求項2】
前記外側片部の幅は、前記ダクト本体の前記側面部の前記貫通孔の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の配線ダクト用の固定補助具。
【請求項3】
前記内側片部の前記第2係止部は、前記ダクト本体の前記第2被係止部に対して前記側面部の内側から外側に向かって係止することを特徴とする請求項1又は2に記載の配線ダクト用の固定補助具。
【請求項4】
前記固定補助具は、前記外側片部と、複数の前記内側片部とを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線ダクト用の固定補助具。
【請求項5】
前記ダクトカバーの前記第1係止部は、前記ダクト本体の前記第1被係止部に対して前記側面部の外側から内側に向かって係止することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線ダクト用の固定補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線ダクト用の固定補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配電盤、分電盤、工作機械等に電線等の配線を敷設する際に用いられる配線ダクトが知られている。配線ダクトは、配線を収容して案内するダクト本体と、ダクト本体に着脱可能に取り付けられたダクトカバーとを有する。
【0003】
配線ダクトでは、設置する向きや外部からの振動等により、ダクト本体からダクトカバーが外れたりするおそれがある。そこで、特許文献1には、ダクト本体にダクトカバーを固定するための金具(蓋止め金具)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−182844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の金具は、ボルト及びナットを用いてダクト本体に取り付けるものである。そのため、ダクト本体や金具にボルト穴を設ける必要があり、構造が複雑となる。また、ボルト及びナットを用いるため、部品点数が多くなり、金具の取り付け作業も煩雑となる。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、配線ダクトへの取り付けが容易であり、かつ、ダクト本体からのダクトカバーの外れを防止できる配線ダクト用の固定補助具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線ダクト用の固定補助具は、配線を収容して案内する配線ダクトに用いられる固定補助具であって、前記配線ダクトは、ダクト本体と、該ダクト本体の開口部を閉塞するように着脱可能に取り付けられたダクトカバーとを備え、前記ダクト本体は、底面部と、該底面部の幅方向両端から立設された一対の側面部とを有し、かつ、前記底面部と対向する位置に長手方向に沿って前記開口部が形成され、前記各側面部には、長手方向に並んで配置された複数の貫通孔が設けられ、前記各側面部の外面には、前記ダクトカバーを係止する第1被係止部が設けられ、前記各側面部の内面には、前記固定補助具を係止する第2被係止部が設けられ、前記第1被係止部及び前記第2被係止部は、前記各側面部における前記貫通孔よりも前記開口部側に配置され、前記ダクトカバーには、前記ダクト本体の前記各第1被係止部に係止する一対の第1係止部が設けられ、前記固定補助具は、前記ダクト本体の前記側面部の外側に配置される外側片部と、該外側片部から前記側面部の前記貫通孔を介して前記側面部の内側に配置される内側片部とを備え、該内側片部には、前記ダクト本体の前記第2被係止部に係止する第2係止部が設けられ、前記固定補助具の前記内側片部の前記第2係止部を前記ダクト本体の前記第2被係止部に係止することにより、前記固定補助具の前記外側片部と前記内側片部とによって前記ダクトカバーの前記第1係止部と前記ダクト本体の前記第1被係止部との係止部分を挟持する。
【0008】
前記配線ダクト用の固定補助具は、前記構成の外側片部及び内側片部を備えている。そのため、外側片部をダクト本体の側面部の外側に配置した状態で、内側片部をダクト本体の側面部の貫通孔から内側に通し、その内側片部の第2係止部をダクト本体の第2被係止部に係止することで、固定補助具を配線ダクトに取り付けることができる。これにより、配線ダクトへの固定補助具の取り付け作業が容易となる。また、固定補助具を配線ダクトに対して十分に固定できる。また、固定補助具自体の構造が簡易であり、さらに固定補助具のみで配線ダクトへの取り付けが可能である。
【0009】
また、固定補助具は、配線ダクトに取り付けた状態で、外側片部と内側片部とによってダクトカバーの第1係止部とダクト本体の第1被係止部との係止部分を挟持する。そのため、固定補助具によって、ダクト本体に対するダクトカバーの固定状態を十分に強化(補助)できる。これにより、配線ダクトの設置向きや外部からの振動等に起因するダクト本体からのダクトカバーの外れを確実に防止できる。
【0010】
このように、本発明によれば、配線ダクトへの取り付けが容易であり、かつ、ダクト本体からのダクトカバーの外れを防止できる配線ダクト用の固定補助具を提供することができる。
【0011】
前記配線ダクト用の固定補助具において、前記外側片部の幅は、前記ダクト本体の前記側面部の前記貫通孔の幅よりも大きくてもよい。この場合には、外側片部をダクト本体の側面部の外側に配置し、内側片部をダクト本体の側面部の貫通孔から内側に通した状態で、外側片部をダクト本体の側面部に沿って移動させることが可能となる。これにより、配線ダクトへの固定補助具の取り付け作業がさらに容易となる。
【0012】
また、前記内側片部の前記第2係止部は、前記ダクト本体の前記第2被係止部に対して前記側面部の内側から外側に向かって係止する構成であってもよい。この場合には、配線ダクトに固定補助具を取り付けた状態で、ダクト本体に対するダクトカバーの着脱が容易となる。これにより、例えば、配線ダクト設置後に、ダクト本体からダクトカバーを取り外し、ダクト本体内に収容した配線の調整等を容易に行うことができる。
【0013】
また、前記固定補助具は、前記外側片部と、複数の前記内側片部とを備えていてもよい。この場合には、固定補助具における複数の内側片部の各第2係止部をダクト本体の第2被係止部に係止することにより、固定補助具を配線ダクトに対して十分かつ確実に固定できる。
【0014】
また、前記ダクトカバーの前記第1係止部は、前記ダクト本体の前記第1被係止部に対して前記側面部の外側から内側に向かって係止する構成であってもよい。この場合には、固定補助具の外側片部と内側片部とによってダクトカバーとダクト本体との係止部分を挟持することにより、ダクト本体に対するダクトカバーの固定状態をより一層強化(補助)できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】固定補助具を取り付けた状態の配線ダクトを示す斜視図である。
図2】固定補助具を取り付けた状態の配線ダクトを示す側面図である。
図3図2のIII-III線矢視断面図である。
図4】(A)は固定補助具を示す正面図であり、(B)は固定補助具を示す背面図であり、(C)は固定補助具を示す側面図である。
図5】(A)及び(B)は配線ダクトに固定補助具を取り付ける工程を示す説明図である。
図6】(A)及び(B)は固定補助具の第2係止部をダクト本体の第2被係止部に係止させる工程を示す説明図である。
図7】(A)及び(B)は配線ダクトに固定補助具を取り付けた状態でダクト本体からダクトカバーを取り外す工程を示す説明図である。
図8】(A)及び(B)はダクト本体に固定補助具が取り付けられた状態でダクト本体にダクトカバーを取り付ける工程を示す説明図である。
図9】(A)は固定補助具を示す正面図であり、(B)は固定補助具を示す背面図であり、(C)は固定補助具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1図4に示すように、本実施形態の配線ダクト用の固定補助具1は、配線を収容して案内する配線ダクト2に用いられる。
【0017】
配線ダクト2は、ダクト本体3と、ダクト本体3の開口部30を閉塞するように着脱可能に取り付けられたダクトカバー4とを備えている。ダクト本体3は、底面部31と、底面部31の幅方向両端から立設された一対の側面部32とを有し、かつ、底面部31と対向する位置に長手方向に沿って開口部30が形成されている。各側面部32には、長手方向に並んで配置された複数の貫通孔323が設けられている。各側面部32の外面321には、ダクトカバー4を係止する第1被係止部324が設けられている。各側面部32の内面322には、固定補助具を係止する第2被係止部325が設けられている。第1被係止部324及び第2被係止部325は、各側面部32における貫通孔323よりも開口部30側に配置されている。ダクトカバー4には、ダクト本体3の各第1被係止部324に係止する一対の第1係止部421が設けられている。
【0018】
固定補助具1は、ダクト本体3の側面部32の外側に配置される外側片部11と、外側片部11から側面部32の貫通孔323を介して側面部32の内側に配置される内側片部12とを備えている。内側片部12には、ダクト本体3の第2被係止部325に係止する第2係止部122が設けられている。固定補助具1の内側片部12の第2係止部122をダクト本体3の第2被係止部325に係止することにより、固定補助具1の外側片部11と内側片部12とによってダクトカバー4の第1係止部421とダクト本体3の第1被係止部324との係止部分51を挟持する。以下、この固定補助具1について詳細に説明する。
【0019】
図1図3に示すように、固定補助具1が用いられる配線ダクト2は、配電盤、分電盤、工作機械等に取り付けられる。配線ダクト2は、ダクト本体3と、ダクトカバー4とを備えている。配線ダクト2は、内部が中空であり、全体として筒状に形成されている。配線ダクト2は、長手方向の両端が開口している。配線ダクト2の内部には、複数の配線が収容される。配線とは、例えば、電線等である。
【0020】
ダクト本体3は、板状の底面部31と、底面部31の幅方向両端から立設された板状の一対の側面部32とを有している。ダクト本体3は、断面がコの字状に形成されている。ダクト本体3を構成する底面部31と一対の側面部32とは、一体的に形成されている。ダクト本体3は、高さ方向の一方側(上方側)を開口した開口部30を有している。開口部30は、ダクト本体3の長手方向に沿って形成されている。開口部30は、後述するダクトカバー4によって閉塞される。
【0021】
各側面部32には、それぞれ複数の貫通孔323が設けられている。複数の貫通孔323は、ダクト本体3の長手方向に沿って一列に並んで配置されている。貫通孔323は、側面部32の内側と外側とを貫通するように形成されている。貫通孔323は、縦長の長方形状に形成されている。貫通孔323は、配線ダクト2(ダクト本体3)に収容した配線を配線ダクト2の外部に案内するためのものである。配線ダクト2の外部に案内された配線は、所定の電気機器等に接続される。
【0022】
各側面部32の上端部の外面321には、後述するダクトカバー4を係止(嵌合)する第1被係止部324が設けられている。第1被係止部324は、側面部32における貫通孔323よりも開口部30側に配置されている。第1被係止部324は、側面部32の外面321を窪ませて凹状に形成されている。第1被係止部324は、ダクト本体3の長手方向に沿って形成されている。
【0023】
各側面部32の上端部の内面322には、後述する固定補助具を係止(嵌合)する第2被係止部325が設けられている。第2被係止部325は、側面部32における貫通孔323及び第1被係止部324よりも開口部30側に配置されている。第2被係止部325は、側面部32の内面322を窪ませて凹状に形成されている。第2被係止部325は、ダクト本体3の長手方向に沿って形成されている。
【0024】
各側面部32の上端部は、貫通孔323の少し上側から内側斜め上方に折れ曲がり、その後外側に折れ曲がり、さらに内側に折れ曲がって形成されている。側面部32の上端部は、断面がS字状に形成されている。側面部32における第2被係止部325が設けられている部分は、側面部32における貫通孔323が設けられている部分よりも内側に引っ込んでいる。
【0025】
ダクトカバー4は、ダクト本体3の開口部30を閉塞する板状の閉塞部41と、閉塞部41の幅方向両端から立設された一対の係合部42とを有している。ダクトカバー4を構成する閉塞部と一対の係合部42とは、一体的に形成されている。係合部42は、ダクトカバー4の長手方向に沿って形成されている。
【0026】
係合部42には、ダクト本体3の凹状の第1被係止部324に係止(嵌合)する第1係止部421が設けられている。第1係止部421は、係合部42の先端から内側に突出して形成されている。第1係止部421は、断面が略三角形状に形成されている。第1係止部421は、ダクト本体3の第1被係止部324に対して側面部32の外側から内側に向かって係止(嵌合)している。なお、ダクトカバー4は、第1係止部421をダクト本体3の第1被係止部324に係止した状態において、ダクト本体3の長手方向にスライドさせることが可能である。
【0027】
配線ダクト2(ダクト本体3、ダクトカバー4)を構成する材料としては、例えば、押出成形や射出成形が可能な熱可塑性樹脂等を用いることができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリエチレン等のエチレン系樹脂)、ポリアミド樹脂、エラストマー等が挙げられる。その他、ポリ塩化ビニル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネートアロイ等を用いることもできる。
【0028】
図4(A)〜(C)に示すように、固定補助具1は、外側片部11と、その外側片部11に連結された2つの内側片部12とを備えている。固定補助具1を構成する外側片部11と2つの内側片部12とは、一体的に形成されている。
【0029】
外側片部11は、略長方形板状に形成されている。内側片部12は、外側片部11の一端(下端)から折り曲げて形成された屈曲部121と、ダクト本体3の凹状の第2被係止部325に係止(嵌合)する第2係止部122とを有する。第2係止部122は、断面が略半円形状に形成されている。第2係止部122の先端は、外側片部11側に向いている。
【0030】
外側片部11の幅(横幅、長手方向の幅)W1(図4(A))は、ダクト本体3の側面部32の貫通孔323の幅(横幅)W3(図2)よりも大きく設定されている。内側片部12の幅(横幅)W2(図4(B))は、ダクト本体3の側面部32の貫通孔323の幅(横幅)W3(図2)よりも小さく設定されている。
【0031】
図1図3に示すように、固定補助具1が配線ダクト2に取り付けられた状態において、外側片部11は、ダクト本体3の側面部32の外側に配置されている。外側片部11は、ダクト本体3の側面部32とダクトカバー4の係合部42とを跨いで覆うように、ダクト本体3の側面部32及びダクトカバー4の係合部42に沿って配置されている。
【0032】
内側片部12は、外側片部11からダクト本体3の側面部32の貫通孔323を介して側面部32の内側に配置されている。内側片部12は、屈曲部121がダクト本体3の側面部32の貫通孔323を貫通するように配置され、それ以外の部分がダクト本体3の側面部32の内面322に沿うように配置されている。内側片部12の第2係止部122は、ダクト本体3の第2被係止部325に対して側面部32の内側から外側に向かって係止(嵌合)している。
【0033】
固定補助具1は、内側片部12の第2係止部122をダクト本体3の側面部32の第2被係止部325に係止することにより、ダクト本体3に対して固定される。固定補助具1は、外側片部11と内側片部12とがダクトカバー4の第1係止部421とダクト本体3の第1被係止部324との係止部分(固定部分)51を挟持している。
【0034】
固定補助具1を構成する材料としては、例えば、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66等)、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)等を用いることができる。
【0035】
本実施形態の配線ダクト2には、一方の側面部32側に2つの固定補助具1が取り付けられ、他方の側面部32側に2つの固定補助具1が取り付けられている。固定補助具1は、側面部32の隣接する2つの貫通孔323にそれぞれ内側片部12(屈曲部121)を貫通させるように配置されている。なお、配線ダクト2に取り付ける固定補助具1の数や固定補助具1同士の間隔等は自由に設定することができる。
【0036】
次に、配線ダクト2に対する固定補助具1の取り付け方法について説明する。
まず、図5(A)、(B)に示すように、固定補助具1の外側片部11をダクト本体3の側面部32の外面321上に配置する。このとき、固定補助具1の2つの内側片部12をダクト本体3の側面部32における隣接する2つの貫通孔323から内側に通す。そして、固定補助具1の外側片部11をダクト本体3の側面部32の外面321に沿ってダクトカバー4側(図中の矢印の方向)に移動させる。
【0037】
図6(A)に示すように、固定補助具1の外側片部11をダクト本体3の側面部32の外面321に沿ってさらに移動させると、固定補助具1の内側片部12がダクト本体3の側面部32の内面322によって外側に開く。その後、図6(B)に示すように、固定補助具1の内側片部12の第2係止部122をダクト本体3の第2被係止部325に対して側面部32の内側から外側に向かって係止(嵌合)する。以上により、配線ダクト2への固定補助具1の取り付けが完了する。
【0038】
次に、配線ダクト2に固定補助具1を取り付けた後のダクト本体3に対するダクトカバー4の着脱について説明する。
図7(A)に示すように、配線ダクト2に固定補助具1を取り付けた状態(図6(B)の状態)からダクトカバー4を取り外す場合、ダクトカバー4を持ち上げて固定補助具1の外側片部11を外側に開きながら、ダクトカバー4の第1係止部421とダクト本体3の第1被係止部324との係止状態を解除する。このとき、固定補助具1の外側片部11が外側に開いても、内側片部12の第2係止部122がダクト本体3の第2被係止部325に係止しているため、固定補助具1がダクト本体3から外れることはない。
【0039】
その後、図7(B)に示すように、ダクトカバー4を完全に取り外した状態においても、固定補助具1の内側片部12の第2係止部122がダクト本体3の第2被係止部325に係止しているため、固定補助具1がダクト本体3から外れることはない。すなわち、ダクト本体3に固定補助具1が取り付けられた状態を維持することができる。このとき、ダクト本体3の側面部32と固定補助具1の外側片部11との間に隙間52が形成される。
【0040】
また、図8(A)に示すように、ダクト本体3に固定補助具1が取り付けられた状態(図7(B)の状態)からダクトカバー4を取り付ける場合、固定補助具1の外側片部11を外側に開きながら、ダクトカバー4の係合部42をダクト本体3の側面部32と固定補助具1の外側片部11との間の隙間52に挿入する。このとき、固定補助具1の外側片部11が外側に開いても、内側片部12の第2係止部122がダクト本体3の第2被係止部325に係止しているため、固定補助具1がダクト本体3から外れることはない。
【0041】
その後、図8(B)に示すように、ダクトカバー4の第1係止部421をダクト本体3の第1被係止部324に係止する。ダクトカバー4の第1係止部421とダクト本体3の第1被係止部324との係止部分(固定部分)51は、固定補助具1の外側片部11と内側片部12とによって挟持された状態となる。
【0042】
次に、本実施形態の配線ダクト用の固定補助具1における作用効果について説明する。
本実施形態の配線ダクト用の固定補助具1は、前記構成の外側片部11及び内側片部12を備えている。そのため、外側片部11をダクト本体3の側面部32の外側に配置した状態で、内側片部12をダクト本体3の側面部32の貫通孔323から内側に通し、その内側片部12の第2係止部122をダクト本体3の第2被係止部325に係止することで、固定補助具1を配線ダクト2に取り付けることができる。これにより、配線ダクト2への固定補助具1の取り付け作業が容易となる。また、固定補助具1を配線ダクト2に対して十分に固定できる。また、固定補助具1自体の構造が簡易であり、さらに固定補助具1のみで配線ダクト2への取り付けが可能である。
【0043】
また、固定補助具1は、配線ダクト2に取り付けた状態で、外側片部11と内側片部12とによってダクトカバー4の第1係止部421とダクト本体3の第1被係止部324との係止部分51を挟持する。そのため、固定補助具1によって、ダクト本体3に対するダクトカバー4の固定状態を十分に強化(補助)できる。これにより、配線ダクト2の設置向きや外部からの振動等に起因するダクト本体3からのダクトカバー4の外れを確実に防止できる。
【0044】
また、固定補助具1において、外側片部11の幅W1は、ダクト本体3の側面部32の貫通孔323の幅W3よりも大きい。そのため、外側片部11をダクト本体3の側面部32の外側に配置し、内側片部12をダクト本体3の側面部32の貫通孔323から内側に通した状態で、外側片部11をダクト本体3の側面部32に沿ってダクト本体3の開口部30側に移動させ、内側片部12の第2係止部122をダクト本体3の第2被係止部325に係止することができる。これにより、配線ダクト2への固定補助具1の取り付け作業がさらに容易となる。
【0045】
また、固定補助具1において、内側片部12の第2係止部122は、ダクト本体3の第2被係止部325に対して側面部32の内側から外側に向かって係止する。そのため、配線ダクト2に固定補助具1を取り付けた状態で、ダクト本体3に対するダクトカバー4の着脱が容易となる。これにより、例えば、配線ダクト2設置後に、ダクト本体3からダクトカバー4を取り外し、ダクト本体3内に収容した配線の調整等を容易に行うことができる。
【0046】
また、固定補助具1は、外側片部11と、複数の内側片部12とを備えている。そのため、固定補助具1における複数の内側片部12の各第2係止部122をダクト本体3の第2被係止部325に係止することにより、固定補助具1を配線ダクト2に対して十分かつ確実に固定できる。
【0047】
また、ダクトカバー4の第1係止部421は、ダクト本体3の第1被係止部324に対して側面部32の外側から内側に向かって係止する。そのため、固定補助具1の外側片部11と内側片部12とによってダクトカバー4とダクト本体3との係止部分51を挟持することにより、ダクト本体3に対するダクトカバー4の固定状態をより一層強化(補助)できる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、配線ダクト2への取り付けが容易であり、かつ、ダクト本体3からのダクトカバー4の外れを防止できる配線ダクト用の固定補助具1を提供することができる。
【0049】
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0050】
(1)前述の実施形態では、固定補助具1は、1つの外側片部11に対して2つの内側片部12を有するが、例えば、1つの外側片部11に対して3つ以上の内側片部12を有する構成としてもよいし、図9(A)〜(C)に示すように、固定補助具1が1つの外側片部11に対して1つの内側片部12を有する構成としてもよい。
【0051】
(2)前述の実施形態では、ダクト本体3に設けた凹状の第1被係止部324にダクトカバー4の第1係止部421を係止する構成としているが、ダクト本体3の第1被係止部324及びダクトカバー4の第1係止部421の形状(形態)はこれに限定されるものではなく、互いに係止することができる構成であれば種々様々な形状を採用することができる。ダクト本体3の第2被係止部325及び固定補助具1の第2係止部122も同様である。
【符号の説明】
【0052】
1…固定補助具
11…外側片部
12…内側片部
122…第2係止部
2…配線ダクト
3…ダクト本体
30…開口部
31…底面部
32…側面部
321…外面
322…内面
323…貫通孔
324…第1被係止部
325…第2被係止部
4…ダクトカバー
421…第1係止部
51…係止部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9