【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明に基づき、請求項1の特徴を有する燃料電池の構成要素の接合のための方法によって、また請求項7の特徴を有する燃料電池の構成要素の接合のための装置によって解決される。
本発明の有利な構成は下位クレームの対象である。
【0007】
燃料電池の構成要素の接合のためのある方法では、光化学的に硬化可能な接着剤が液状の形態で少なくとも部分的に燃料電池の少なくとも1つの構成要素に塗布され、光化学的に半硬化され、少なくとも1つの別の燃料電池の構成要素と接触させられ、そして硬化される。
【0008】
本発明に基づき、接着剤は構成要素の少なくとも2つの構成要素領域において、異なる
程度で光化学的に半硬化される。この半硬化は接着剤の半接合とも称される。
【0009】
このようにして接着剤の流動学的な特徴を効果的に停止させ、これによって様々な構成要素の構成要素領域におけるそれぞれの要件にこれらを適応させることができ、こうして互いに接合する燃料電池の構成要素の最適な接着接合を確実にすることができる。接着剤のより強力な半硬化によって接着剤の粘度が高まり、こうして構成要素上での接着剤の溶解が回避される。弱い半硬化によって接着剤は半硬化の後にこれに応じて低い粘度、即ち高い流動性を備え、これによって接着剤をよりよく配分することができ、例えば粗い及び/又は多孔質の構造内へ、より好適に浸入することができ、これによって例えば粗さが接着剤により均一化され得る。これによって接着剤は例えばシールとして使用されてもよく、この際、最適で均等な配分によって、特に接着剤が半硬化の後に低い粘度しか有さない構成要素領域において、確実な密閉効果が達成される。
【0010】
従来技術より公知の熱硬化性であり平面状に塗布されるフィルム接着剤と比較して、液状で光化学的に硬化可能な接着剤の使用では無駄が発生せず、このため多量の材料の使用が不要となる。さらに硬化時間が光化学的に硬化可能な接着剤により大幅に削減され、光化学的に硬化可能な接着剤はフィルム接着剤と対照的に接触せずに硬化することができる。さらに、光化学的に硬化可能な接着剤によってコスト削減が達成される。
【0011】
有利な実施形態では、光化学的に硬化可能な接着剤は構成要素領域においてのみ少なくとも1つの構成要素に塗布され、そこでその後光化学的に半硬化もされる。即ち、少なくとも1つの構成要素に塗布された光化学的に硬化可能な全ての接着剤が光化学的に半硬化され、この際接着剤は燃料電池の少なくとも1つの構成要素の異なる構成要素領域において、異なる
程度で光化学的に半硬化される。このようにして、燃料電池の少なくとも1つの構成要素上で、半硬化されない、またこれに伴い非常に流動性のある接着剤の制御されない溶解が回避され、即ち、例えば接着剤から離されるべき構成要素の領域の接着剤との接合が回避される。
【0012】
好ましくは、光化学的に硬化可能な接着剤は少なくとも部分的に、膜・電極接合体の第一のフレーム要素として形成された燃料電池の第一の構成要素と、膜・電極接合体の第二のフレーム要素として形成された燃料電池の第三の構成要素に塗布され、この際、光化学的に硬化可能な接着剤の光化学的な半硬化の後、膜・電極接合体の触媒被覆膜として形成された燃料電池の第二の構成要素が、第一の構成要素と第三の構成要素との間で位置決めされ、3つの構成要素が接合され、光化学的に硬化可能な接着剤が硬化される。3つの構成要素の接合の間、接着剤は第二の構成要素とも接触させられ、こうして第一の構成要素も第三の構成要素と接着され、第二の構成要素が両方の他の構成要素と接着される。
【0013】
この際接着剤は3つの構成要素の接合の前に、例えば膜・電極接合体の流入及び/又は流出領域においてより強力に半硬化され、これは、膜・電極接合体の接合連結が独立の構造であることから、ここでは高い形状の正確性が必要であるためである。接着剤のより強力な半硬化によって接着剤は必要とされる硬度を維持し、これによってこの構成要素領域において接着剤の溶解が回避される。
【0014】
例えばそれぞれポリプロピレン等の高分子膜から形成された両方のフレーム要素の間の触媒被覆膜の封入領域では、接着剤は弱い半硬化によって、ここで触媒被覆膜の多孔質の上面の最適な接合を確実にするために、また両方の互いに接着されるフレーム要素との間の内部のシールを形成するために十分な流動性を維持する。触媒被覆膜は例えばプラスチック・フィルムとして形成され、これは例えば炭粉末の形状のカーボンにより被覆される。膜は多孔質であり、広い上面を有する。特にこの多孔性のため比較的流動性のある接着剤が必要とされ、これによって両方のフレーム要素と接合される触媒被覆膜の端部領域における孔を満たし、これによって両方のフレーム要素との最適な接着、及び接着剤の密閉効果を確実にすることができる。
【0015】
光化学的に硬化可能な接着剤が、紫外線放射及び/又は赤外線放射によって光化学的に半硬化されると有利である。このために接着剤が紫外線放射及び/又は赤外線放射により照射される。これは例えば1つ又は好ましくは複数の発光ダイオード、即ち紫外線又は赤外線を放射するダイオードとして形成されるか、又は、管状に形成された照射源により、即ち管状の紫外線放射体又は赤外線放射体によりなされる。管状の紫外線放射体が使用される場合、これらは例えばそれぞれ低圧放射体、中圧放射体又は高圧放射体として形成することができる。複数のこの種の照射源によって、接着剤により被覆された構成要素の広範囲の照射が達成される。紫外線放射及び/又は赤外線放射による硬化によって、特に接着剤の硬化が可視光のみによってなされ、これによって接着剤の制御されない硬化が回避される。このためには当然光化学的に硬化可能な、これに応じて紫外線放射及び/又は赤外線放射によって硬化される接着剤を使用する必要がある。本発明の枠組みにおいては、しかしながら紫外線照射の使用が好ましい。
【0016】
有利な実施形態では光化学的に硬化可能な接着剤が光化学的に硬化され、即ち光化学的に硬化可能な接着剤の硬化が、互いに接合する構成要素が接合されて光化学的に半硬化された接着剤と接触させられた後、同様に光化学的に行われる。このようにして接着剤の半硬化だけではなく、接着剤の完全な硬化も接触せずに行うことができる。即ち、構成要素又は互いに接合される構成要素の発熱体との接触、及びさらなる加熱の必要はない。これによって、強力すぎる熱作用による構成要素の損傷が回避される。この接着剤の硬化もまた、好ましくは紫外線放射及び/又は赤外線放射によりなされる。このために、接着剤の半硬化用と同様の照射設備を使用することができる。
【0017】
しかしながら、代替的に接着剤の硬化を別のやり方で行うことも可能である。この場合、光化学的に硬化可能な接着剤はこれに応じて光化学的に硬化可能であり、他のやり方で硬化可能な接着剤である必要があり、例えば少なくとも1つの加熱装置を用いた加熱により、即ち少なくとも光化学的にも硬化可能な接着剤である。この方法のこの実施形態では、少なくとも光化学的にも硬化可能な接着剤がまず光化学的に半硬化され、そして他のやり方で、例えば加熱によって硬化される。
【0018】
好ましくは、光化学的に硬化可能な接着剤によって被覆された構成要素は光化学的な接着剤の半硬化の前に、接着剤の光化学的な半硬化のために少なくとも2つの構成要素領域が異なる照射強度で照射されるようにマスキングされる。このようにして異なる
程度での接着剤の半硬化が達成される。接着剤がより強力に半硬化されるべき構成要素領域がマスキングされないか、又は、マスキング部材がこの領域でそれぞれ使用される照射、好ましくは紫外線放射及び/又は赤外線放射について、接着剤がより弱く半硬化されるべき領域におけるよりも高い透過性で形成されるかの、いずれかである。マスキング部材はこの際、接着剤の半硬化がなされるべき弱さに応じて強力に照射を吸収及び/又は反射するように形成されてもよい。より多量の照射がマスキング部材によって吸収及び/又は反射されるほど、より少量の照射がマスキング部材を通過し、この照射はマスキング部材によって反射も吸収もされず、このため接着剤に到達してこれを光化学的に半硬化することができる。
【0019】
構成要素が接合された後、光化学的に硬化可能な接着剤の硬化のためにもこの種のマスキング部材を使用してもよく、これによってここでも、異なる構成要素領域において異なる照射と、これにより接着剤の異なる硬化動作が達成される。硬化が半硬化と同様になされる場合は、半硬化に使用されたものと同一のマスキング部材が再び使用されてもよい。
【0020】
有利な実施形態では、光化学的に硬化可能な接着剤はシルクスクリーンによって燃料電池の少なくとも1つの構成要素に塗布される。これによって非常に正確な接着剤の塗布が可能となる。これによって特に接着剤の選択的な塗布が可能となり、即ち接着剤は例えば部分的にのみ、及び全範囲ではなく構成要素に塗布され、また様々な領域において様々な強度でも塗布される。代替的に、接着剤は例えば噴霧もしくは噴射、もしくは塗り広げることもでき、又は他の公知のプレス技術もしくは接着剤の塗布技術により塗布されてもよい。
【0021】
燃料電池の構成要素の接合のための方法を実施することができる本発明に基づく燃料電池の構成要素の接合のための装置は、燃料電池の少なくとも1つの構成要素への光化学的に硬化可能な接着剤の少なくとも部分的な塗布のための塗布ユニットと、光化学的に硬化可能な接着剤の光化学的な半硬化のための照射設備と、光化学的に硬化可能な接着剤の光化学的な半硬化のために少なくとも2つの構成要素領域が異なる照射強度で照射可能であるような、光化学的に硬化可能な接着剤により被覆される燃料電池の構成要素の少なくとも部分的なマスキングのためのマスキング部材を有する。また構成要素の接合の後の、即ち互いに接合される構成要素の接着剤との接触の後の光化学的に硬化可能な接着剤の光化学的な硬化も、この装置によって、特にこの装置の照射設備によって行うことができる。
【0022】
この装置によってここに述べた方法の実施が可能となり、これによってこの方法から導かれる既に述べた有利な点がもたらされる。このようにして接着剤の流動学的な特徴が効果的に止められ、これによって構成要素の異なる構成要素領域におけるそれぞれの必要条件に対して適応され、こうして互いに接合される燃料電池の構成要素の最適な接着接合を確実にすることができる。接着剤のより強力な半硬化によって接着剤の粘度が高められ、これによって構成要素上での接着剤の溶解が回避される。より弱い半硬化によって接着剤は半硬化の後、これに応じて低い粘度、即ち高い流動性を有し、このため接着剤はより好適に分配されることができ、例えば粗い及び/又は多孔質の構造により好適に浸入でき、これによって例えば粗さが接着剤によって均一にされ得る。これによって接着剤は例えばシールとしても使用することができ、この際最適かつ均等な配分によって、特に半硬化の後に接着剤がまだ低い粘度を有している構成要素領域において、確実な密閉効果が達成される。
【0023】
マスキング部材によって、異なる
程度での接着剤の半硬化が達成される。接着剤がより強力に半硬化されるべき構成要素領域はマスキングされないか、又はマスキング部材はこの領域において、接着剤がより弱く半硬化されるべき領域よりも照射についてより透過性が高くなるように形成することができる。マスキング部材はこの際、接着剤の半硬化がなされるべき弱さに応じて強力に照射を吸収及び/又は反射するように形成することができる。
【0024】
好ましくは、照射設備は少なくとも1つの発光ダイオードとして形成された照射源及び/又は少なくとも1つの管状の照射源を有する。有利には、照射設備は複数のこの種の照射源を有する。これらの照射源によって、特に、接着剤によって被覆された構成要素の広範囲の照射が達成される。
【0025】
有利にはこの少なくとも1つの照射源が、紫外線放射を照射する照射源及び/又は赤外線放射を照射する照射源として形成される。これによって、紫外線放射及び/又は赤外線放射による、光化学的に硬化可能な接着剤の光化学的な硬化が可能となる。これによって、特に可視光のみによる接着剤の硬化と、これによる接着剤の制御されない硬化が回避される。
【0026】
好ましくは、塗布ユニットはシルクスクリーンユニットとして形成される。これによって、光化学的に硬化可能な接着剤の非常に正確な塗布が可能となる。特に、これによって接着剤の選択的な塗布が可能となり、即ち、接着剤は例えば部分的にのみ、及び全範囲にではなく、構成要素に塗布されることができ、また様々な領域において異なる
程度で塗布される。
【0027】
本発明の実施例を以下に図面を参照して詳細に説明する。