【実施例1】
【0072】
間葉幹細胞は、18〜45歳の健常者(Cambrex, East Rutherford, New Jersey)の骨盤骨の後腸骨稜から抽出したヒト骨髄から採取した。フローサイトメトリー分析の結果では、間葉幹細胞はCD90、CD133、CD105、CD166、CD29及びCD44を発現し、CD14、CD34及びCD45は発現しなかった。
【0073】
ヒト骨髄由来間葉幹細胞を、血小板溶解物またはTGFβ−1(2.5ng/mL)、BMP4(5ng/mL)、FGF−2(5ng/mL)、IGF−1(50ng/mL)、アクチビン−A(10ng/mL)、カルジオトロフィン(1ng/mL)、α−トロンビン(1U/mL)及びカルジオゲノールC(100nM)が補充された血清中で培養した。細胞密度1000〜2000個/cm
2の血小板溶解物含有培養では、4〜10日後に、未処置間葉幹細胞に比較して、MEF2cmRNA、MESP−1mRNA、Tbx−5mRNA、GATA6mRNA及びFlk−1またはFOG1mRNAの発現が2〜5倍以上であることが認められた。
【0074】
細胞密度1000〜2000個/cm
2の血清含有培養では、5〜15日後に、未処置間葉幹細胞に比較して、MEF2cmRNA、MESP−1mRNA、Tbx−5mRNA、GATA4mRNA、GATA6mRNA及びFlk−1またはFOG1mRNAの発現が5〜10倍以上であることが認められた。
【0075】
RT−PCR分析に使用されたプライマー対としては、アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)から購入した標準プライマーを使用した。
【0076】
分化型心臓前駆細胞が機能的心筋細胞として心臓組織に組み込まれる能力を有することを示す結果は、鼓動する心臓での生体内及び続いての剖検による生体外の両方において観察された。生体内では、イソフルラン麻酔下に、二次元Mモード探索短軸及び長軸心エコー法、ドップラーパルス波形分析及び12誘導心電図検査によりモニターされたように、疾患心臓の心筋に直接心臓前駆細胞を投与することにより心臓性能が改善された。
【0077】
摘出した心臓組織を3%パラホルムアルデヒド内に固定し、薄片にし、ヒト細胞追跡の免疫探索を行った。機能改善及び瘢痕消散した、新たなヒト由来心筋細胞と脈管は、放出基準(例えば、MEF2cmRNA、MESP−1mRNA、Tbx−5mRNA、GATA4mRNA、GATA6mRNA及びFlk−1またはFOG1mRNA値の上昇)を満たす心臓前駆細胞で処置されたマウスの分析により立証された。これは、放出基準を満たさなかった細胞における効果の欠如と対照的である。
【0078】
患者への自己移植注入用の心臓形成細胞の作製規模を拡大するために、時間のかかる、定性的かつオペレーター依存の可能性のある免疫蛍光法の代替方法を検討した。選択肢の1つは、リアルタイム定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(real−time quantitative reverse transcription polymerase chain reaction:RT−qPCR)である。この方法では、オペレーター非依存的であり、参照標準に関して定量的な結果をより早く(1日以内)得ることができる。また、免疫染色サンプルは一つ一つ蛍光顕微鏡評価する必要があるが、異なるサンプル(または条件)を48まで96穴プレートを使ってRT−qPCRにより二重に試験することができる。
【0079】
RT−qPCRの好適なマーカーを同定するために、心臓病患者(n=7)から得られた骨髄サンプル由来の心臓形成細胞を使用した。細胞は、MEF2C及びNkx2.5に対する免疫蛍光染色により評価した。RNAはこれらの細胞から抽出し、Nkx2.5及びMEF2Cの発現はリアルタイム定量PCRにより測定した。
【0080】
参照標準は、心原性カクテルの非存在下に培養した同一バッチからの細胞で構成した。
【0081】
結果は、処置細胞から得られたデータを非処置細胞のそれに標準化する二重デルタCt法を使用して計算した。
【0082】
MEF2Cが、未感作細胞に比較した場合、qPCR及び免疫蛍光(核移行)の両者で心臓形成細胞の好適なマーカーとして同定された。一方、免疫蛍光(核移行)によるNkx2.5のタンパク質値としての量的変化は、未処置細胞に比べてRNA値での量的変化に当初は置き換えられなかった。Nkx2.5の発現誘導は、Nkx2.5の核移行に依存するので、Nkx2.5の下流の遺伝子を調査した。これにより、qPCRの追加の好適な遺伝子として、MESP−1、Flk−1及びTbx5が同定された。
【0083】
ヒト骨髄吸引物(15〜20mL)は胸骨切開に続く冠動脈バイパス手術において取得した。骨髄は、DMSO系無血清溶液中に冷凍保存した。間葉幹細胞は、原料の骨髄をプラスチック皿上に置き、12時間洗浄、D34
−/CD45
−/CD133
+マーカーパネルを使用して蛍光活性化細胞分類(fluorescence−activated cell sorting:FACS)分析により確認された、同一性を有する接着細胞を選択したものを採用した。細胞は、5%ヒト血小板溶解物(Mayo Clinic Blood Bank, Rochester, MN)を補充したDMEM中、37℃で培養した。
【0084】
免疫不全ヌードマウス(Harlan, Indianapolis, IN)に心筋梗塞を誘発した。盲検の前に、梗塞の1ヶ月後に、左心室の前壁の5つの心外膜部位に全部で600,000個の未感作または心臓発生誘導hMSCを12.5μLの増殖培地に懸濁し、検鏡下に注入した。Shamに対しては、細胞の注入をせずに同一の外科的処置を行った。この慢性梗塞モデルへの骨髄hMSCの心筋注入は、心エコー法で駆出率の改良が認められた11の被検体において、2被検体のみで細胞の移植による成果が得られ、その成果の多様性を示した。
【0085】
患者3及び9は、心臓生成可能性が高い個体であることが確認された。
図1から、患者3及び9それぞれから取得したhMSCで処置したマウス(n=3)における駆出率の変化は、有意に陽性であることが観察されたが、他の患者の変化は陽性ではなかった。
【0086】
心臓転写因子のタンパク質発現は、
図2に示されるように、共焦点顕微鏡法によりhMSCに観察された。図中の線の長さは、全てのパネルにおいて20μmに対応する。
【0087】
免疫染色は、MEF2C(1:400、Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)、Nkx2.5(1:150、Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA)、GATA4(Santa Cruz Biotechnology Inc.)、リン酸化AKT
Ser473(1:100、Cell Signaling Technologies)、Tbx5(1:5000、Abcam, Cambridge, MA)、Mesp−1(1:250、Novus Bio, Littleton, CO)、Fog−2(1:100、Santa Cruz Biotechnology)、サルコメアタンパク質α−アクチニン(1:500、Sigma−Aldrich)及びヒト特異的トロポニン−I(1:100、Abcam)に特異的な抗体、並びにmlC2v(1:500、Synaptic Systems, Gottigen, Germany)、Sca−1(1:100、R&D Systems, Minneapolis, MN)、CD−31/PECAM−1(1:500、Beckman Coulter, Fullerton, CA)、α−平滑筋アクチン(Abcam)、ヒト特異的トロポニン−I(1:100、Abcam)、ヒトラミンA/C(1:50、Novacastra, New Castle, UK)及びKi67(1:500、Abcam)を使用して行い、3%パラホルムアルデヒド中に固定、1%トライトンX−100で透過処置し、核をDAPI染色して可視化し、LSM510共焦点走査型顕微鏡(Carl Zeiss Inc., Jena, Germany)を使用して共焦点顕微鏡法を行った。
【0088】
早期心臓転写因子であるNkx2.5、Tbx−5及びMESP1並びに後期心臓転写因子であるMEF2CがDAPI染色により観察された。患者2の結果を左に、患者9の結果を右に示す。得られた画像によれば、心臓転写因子の発現は、患者2のhMSCで弱く、患者9のhMSCで高かった。これは、患者9からのhMSCは効率的な治療的効果を与えるが、治療患者2からのhMSCではそのような効果は得られない、という事実を実証している。DAPIによる着色は青である。
【0089】
図2では、Nkx2.5の最初の一連の画像は、患者2(左)のhMSCにおいて細胞核のみがDAPI(左)で青く着色されたことを示す。細胞質内のNkx2.5の存在に対応して薄い緑色も現れている。患者9の対応する画像(右)は、細胞質及び細胞核にもNkx2.5(緑)の強い発現が見られる。
【0090】
第2の一連の画像は、患者2の心臓転写因子であるTbx−5(緑)及びMESP−1(赤)を示す。細胞株がDAPIにより青く染色され、緑及び赤は観察されないので、TbX−5及びMESP−1の発現がないことを示す。患者9では、細胞の細胞質が赤く、核が緑に着色され、これは両心臓転写因子が強く発現され、細胞核へのTbx−5の転位が起こっていることを示す。
【0091】
第3の一連の画像は、MEF2Cの結果を示し、その結果はNkx2.5に類似している。
【0092】
図3は、研究対象11人の患者のhMSCにおける心臓転写因子発現(MEF2C及びTbx−5)を示す、qPCRにより検討されたmRNA発現を示す。
【0093】
定量ポリメラーゼ連鎖反応(quantitative polymerase chain reaction:qPCR)は、AppliedBiosystems7,900HT配列検出システムを有するTaqManPCRキット(Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて行った。TaqMan遺伝子発現反応は、96穴プレート内で培養して行い、三重で行った。閾値サイクル(C
T)は、蛍光が通過する固定閾値での分画サイクル数として定義される。TaqManC
T値は、
−△△CT法を使用して決定された相対倍率変化に転換し、GAPDH(P/N435,2662−0506003)発現に標準化した。
【0094】
その心筋転写活性を評価した遺伝子を表1に記載した。
【0095】
細胞は、ヒト組換えTGFβ−1(2.5ng/mL)、BMP4(5ng/mL)、カルジオトロフィン(1ng/mL)、α−トロンビン(1U/mL)及びカルジオゲノールC(100
nM)を含有する心原性カクテルでの刺激前及び刺激の5日後に、mRNAとタンパク質値により評価した。患者2及び9のhMSCにおいて、MEF2cmRNA及びTbx−5mRNA双方の発現(任意単位:A.U.)が、他の患者に比較して非常に高い。
【0096】
【表1】
【0097】
左心室機能及び構造を、連続的に経胸腔的心エコー法により追跡した(Sequoia 512; Siemens, Malvern, PA and VisualSonics Inc, Toronto, Canada)。駆出率(%)は、[(LVVd−LVVs)/LVVd]×100として算出した。LVVdは左心室拡張末期容積(μL)であり、LVVsは左心室収縮末期容積(μL)である。
【0098】
図4は、未処置の未感作hMSC(左)及び心原性カクテルで処置したCP−hMSC(右)における心臓転写因子、Nkx2.5mRNA、GATA−6mRNA及びFog−1mRNA、の任意単位(A.U.)でのmRNA発現を示す。各因子において、心原性カクテルで処置した細胞を使用することにより結果がはるかに良好であることが明らかである。
【0099】
図5は、心原性カクテルで処置した未感作CP−hMSCにおけるNkx2.5、MEF2C、GATA4及びFOG−2ポリペプチドの核移行を示す、共焦点顕微鏡法により得られた画像を示す。Nkx2.5、MEF2C、GATA4及びFOG−2は緑に、DAPIは青く見える。未感作hMSCの画像では、転写因子は現れない。ポリペプチドは、濃い緑色で示されるように、CP−hMSC(右)の核に移行される。
【0100】
図6は、未感作hMSCから「カクテル誘導」CP−hMSC及び最終的に心筋細胞CMへの進行性変換(D0、D5、D15及びD20日)を示す。第0日(D0)で、核はDAPIにより青に着色されている。第5日(D5)で、MEF2Cポリペプチドが核に移行(緑)される。第15日(D15)で、サルコメアα−アクチニンが存在(赤)し、筋節が存在し、細胞が心筋細胞への分化に確実に関与しており、もはや心臓形成ではないことを示している。大量のトロポニン−1が、第20日(D20:最終分化)に心筋細胞に存在している。
【0101】
図7は、未感作hMSC(左)及びカクテル誘導心筋細胞(右)の遷移電子顕微鏡超微細構造を示す。このために、細胞を1%血小板溶解物中で15日間培養した。心筋細胞にはミトコンドリア成熟、サルコメア形成及び筋管の形成が見られる。
【0102】
図8は、光学顕微鏡法によるカクテル誘導心筋細胞を示す。興奮収縮システムの成熟はカルシウム濃度変化の誘導により評価した。このために、細胞を15日間培養した後、カクテル刺激を5日間行い、5μMのカルシウム選択プローブであるフルオ−4−アセトキシメチルエステル(Molecular Probes, Carlsbad, CA)で37℃で30分間負荷し、温度調節ZeissLSM510顕微鏡(Zeiss)及び1Hzの刺激の間に得られた線走査画像を使用して生のイメージを得た。
【0103】
図9は、処置及び未処置hMSCにおけるTbx−5、MEF2C及びMESP−1がそれぞれ3、8及び8倍の増加を示す。
【0104】
図10に示されるように、CARPI基準に適合するCP−hMSCを梗塞に続く1ヶ月間生体に投与し、未感作患者適合hMSCに対して有意に駆出率を改善した。
【0105】
図11は、心臓形成細胞で未処置(左)及び処置(右)の梗塞のある心臓の心エコー検査結果であり、CP−hMSCでの処置により前壁の蘇生がはるかに良くなっていることが分る。心電図は、軽麻酔(1.5%イソフルラン)下に四肢誘導心電図検査(MP150:Biopac, Goleta, CA)により測定した。
【0106】
心エコー法では、収縮性は、未感作hMSC(n=17)またはSham(n=10:
図9)において未変化であったのに対して、CP−hMSC(n=14)処置後の1及び2ヶ月でそれぞれ15%及び20%改善された。上段:冠動脈結紮の4週間後の細胞移植の前日(4wks post MI − no Tx)における梗塞のある心臓の心エコーが、Mモードで両調査対象群において前壁の無動を示した。中段:細胞移植の4週間後(4wks post Cell Tx)の未感作hMSCで処置した心臓は、CP−hMSC処置群では蘇生が見られたのに対して、前壁は無動のままであった。下段:細胞移植の8週間後(8wks post Cell Tx)に、未感作hMSCで処置された心臓は、CP−hMSC処置された梗塞のある心臓における健全な収縮活性に対して、限られた心筋の修復を示した。左側のパネルは胸骨傍(PS)長軸図であり、破線は2−D、Mモードの捕獲レベルを示す。右側のパネルの矢印は、前壁の蘇生を示す。
【0107】
図12は、平均して、誘導心臓形成hMSCの梗塞心臓への注入後、1及び2ヶ月後に著しい改良を達成したことを示す。対照的に、未感作hMSCまたはShamコントロールでは駆出率に対する効果が限定されていた。星印及び二重星印は、2時点での未感作hMSCに対してp<0.01であることを示す。
【0108】
hMSC由来の心臓形成細胞で処置した心臓では、機能の改善が3ヶ月及び18ヶ月で心筋再生の病理組織学的評価に相関していた。未感作hMSCで処置した心臓に修復されずに残っていた動脈瘤及び瘢痕は、再筋形成を誘導した心臓形成hMSC処置により解消された(
図13)。
【0109】
肉眼的病理評価では、処置開始6ヶ月で、未感作(左)hMSC処置梗塞心臓とは対照的に、断面において、健全な再筋形成及び心臓形成の再構築の低下(CP、右)を伴う、左前下行(LAD)枝結紮(心臓の黄丸)の下流の瘢痕の解消が認められた。これらの結果は、特に優れたものである。
【0110】
ヒトALUプローブ(Biogenex, San Ramon, CA)を使用して、85℃で5〜10分間ハイブリダイズさせ、37℃で一晩培養し、抗蛍光GFP標識第2抗体による検出により、ALU−DNAの探索を行った。
【0111】
CP−hMSC処置マウス心筋では、ヒト特異的ラミン免疫染色によりヒトに特異的なALUDNA配列が陽性染色された、梗塞コントロールでは全く存在しなかったヒト由来細胞が広範囲に存在することが、共焦点解析により明らかになった(
図14)。
【0112】
Sham(左)とは対照的に、心臓形成hMSC処置心臓の共焦点顕微鏡法による評価では、マウス梗塞心臓内に埋め込んだヒトh−ALUDNAプローブ(中央)により染色されて、ヒト核の著しい存在が明らかになり、さらにヒト特異的ラミン抗体染色により確認された(右、
図14に示される写真)。凍結心筋切片は、PBS潅流中超酸素処置3%パラホルムアルデヒド固定した心から作製した。図中の線の長さは、50μmを示す。
【0113】
図15は、ヒト特異的トロポニン−I抗体により心臓形成hMSC処置心臓(中央及び右パネル)の前壁が有意に染色されたのに対し、未感作(左)では全く染色されなかったことを示す。
【0114】
さらに、
図16に示されるように、mlC2vで対比染色した、未感作(上段)及び心臓形成(下段)hMSC処置心臓のヒトトロポニン−I染色は、移植されたヒト細胞からの心室心筋の発生を証明した。図中の線の長さは、20μm(上段)及び50μm(下段)を示す。
【0115】
図17に示されるように、hMSC処置心臓由来の心臓形成に残る瘢痕内で、心筋由来ヒト幹細胞は、mlC2vでのヒトトロポニン共局在化により本来のマウス心筋から区別することができた。図中の線の長さは、50μmを示す。
【0116】
図18では、表面顕微鏡検査により、右冠動脈(RCA:左下)及び回旋枝(右下)から生じたCP−hMSC処置心臓において、結紮LAD(黒丸)の末梢側に血管新生を検出した。
【0117】
図19は、ヒト特異的CD−31(PECAM−1)染色による、心臓形成hMSC処置心臓からの側副血管の共焦点評価を示す。図中の線の長さは、20μmを示す。
【0118】
図20は、未感作及びカクテル誘導(CP)hMSCでの処置による12ヶ月間での駆出率の変化の進展をShamに対する比(%)として示す。Shamに比較して、未感作hMSCでの処置は、6ヶ月及び12ヶ月でそれぞれ5%、2.5%の駆出率の増加効果を示した。
【0119】
対照的に、CP−hMSC処置梗塞マウスは、Shamに比較して、6ヶ月及び12ヶ月で25%の駆出率の著しい改善が見られた(
図20)。さらに、梗塞集団を、効果を評価するために、治療時での明白な心臓疾患(駆出率<45%)の記録によりサブグループに分類した。処置前において駆出率が35%で同等であったが、心臓形成hMSC処置集団のみにおいて6及び12ヶ月で10%の絶対的な駆出率の改良が見られ、未感作hMSC処置集団では逆に駆出率は5%低下した(
図21)。
図22に示したように、カプランマイヤー(Kaplan−Meier)法による審査により、未感作処置集団及びShamとは対照的に、心臓形成hMSC処置群では、優れた生存率が得られた。
【0120】
心臓形成(CP)hMSCの効果を、心エコー法による1年のフォローアップにより示した(
図23参照)。未感作幹細胞処置心臓の長軸画像は、心尖部Mモード評価で最も明確に認められる線維性及び運動不全前壁を明らかにした(患者11、左パネル)。対照的に、CP−hMSC処置心臓は、誘導幹細胞治療により得られる持続効果を反映する前壁を通して、健全な収縮性プロファイルを示した(患者11、右パネル)。