(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093522
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ウェザストリップ
(51)【国際特許分類】
B60R 13/06 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
B60R13/06
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-175731(P2012-175731)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-34258(P2014-34258A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】升本 敦生
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−015249(JP,U)
【文献】
特開2007−030553(JP,A)
【文献】
特開2011−207267(JP,A)
【文献】
特開昭63−297138(JP,A)
【文献】
特開2004−306833(JP,A)
【文献】
特開2001−334885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車車体のドア開口縁部に取付けられ、ドア閉時にドア6との間をシールするウェザストリップ11であって、前記ドア開口縁部に取付けられ、内装材17の端部が挿入される凹溝14を備えた取付部12と、該取付部12に一体形成され、ドア閉時にドア周縁に弾接するシール部3を有し、前記凹溝14には、該凹溝14を構成する側壁14a、14bを支えて凹溝14の潰れを防止するための蓋状のバリ15が設けられるウェザストリップにおいて、前記バリ15は凹溝14の溝幅方向における一端が凹溝14を構成する側壁14a、14bのうちの一方の側壁14aに一体形成されると共に、他端が溝を構成する側壁14a、14bのうちの他方の側壁14bと内装材端部17aの押込みによって容易に分断される程の強度の小さな連結部16によって連結され、しかも前記バリ15には前記内装材端部17aの押込みによって折り曲げられる箇所において、溝底側と、溝底の反対側のうち、溝底側が抉られて薄肉部15aに形成され、前記取付部12は中空部13を有して、その一部が凹溝14を構成する側壁14a、14bのうちの一方の側壁14aで構成されると共に、前記シール部3は中空状で、その一部が前記凹溝14を構成する側壁14a、14bのうちの他方の側壁14bで構成され、また、前記シール部3及び取付部12は同一材質からなると共に、取付部12には芯材が埋設されていないことを特徴とするウェザストリップ。
【請求項2】
前記取付部12は所要箇所において車体のドア開口縁部にクリップ5によって止着されることを特徴とする請求項1記載のウェザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体のドア開口縁部に取付けられ、ドア閉時にドアとの間をシールするウェザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、
図1に示す自動車のロアボデー部に取付けられるウェザストリップの取付構造である、
図1のA−A線断面を示すもので、ウェザストリップ1は、中空状の取付基部2と、該取付基部2に一体形成される中空状のシール部3よりなり、取付基部2はロアボデーを構成するパネル4にクリップ5によって止着され、シール部3はドア閉時にドア6のロア周縁に弾接してシールされるようになっている。図中、7は内装材(キッキングプレート)である。
【0003】
ウェザストリップの取付構造に関しては、ウェザストリップがバリを設けた凹溝を備える本体部と、該本体部の車外側に突設される中空シール部を有し、本体部の凹溝よりバリを除去したのち、室内トリムの端部を挿入し、該トリム端部で本体部をフランジに押付けてウェザストリップをボデーに固定する構造のものも知られる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−127841号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェザストリップの取付基部をクリップによって止着したものでは、止着箇所間で、ウェザストリップがうねったようになり、外観を損ないがちとなる。うねりを少なくするため、クリップによる止着箇所を多くし、ピッチを小さくすれば、その分重量も増し、コスト増をもたらす。この点、特許文献1に開示されるもののように、室内トリムを利用し、その端部を本体部の凹溝に挿入してウェザストリップを固定するものでは、前記の問題を解消できるが、なお改善する余地がある。
【0006】
本発明は、前記特許文献1に開示されるウェザストリップについて改良を加え、ウエザストリップ取付構造の軽量化とコストダウン及びウェザストリップ取付時の作業性を改善させ、取付状態を安定化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、自動車車体のドア開口縁部に取付けられ、ドア閉時にドアとの間をシールするウェザストリップであって、前記ドア開口縁部に取付けられ、内装材の端部が挿入される凹溝を備えた取付部と、該取付部に一体形成され、ドア閉時にドア周縁に弾接するシール部を有し、前記凹溝には、該凹溝を構成する側壁を支えて凹溝の潰れを防止するための蓋状のバリが設けられるウェザストリップにおいて、前記バリは凹溝の溝幅方向における一端が凹溝を構成する側壁のうちの一方の側壁に一体形成されると共に、他端が溝を構成する側壁のうちの他方の側壁と内装材端部の押込みによって容易に分断される程の強度の小さな連結部によって連結され、しかも前記バリには前記内装材端部の押込みによって折り曲げられる箇所において、溝底側と、溝底の反対側のうち、溝底側が抉られて薄肉部に形成され、
前記取付部は中空部を有して、その一部が凹溝を構成する側壁のうちの一方の側壁で構成されると共に、前記シール部は中空状で、その一部が前記凹溝を構成する側壁のうちの他方の側壁で構成され、また、前記シール部及び取付部は同一材質からなると共に、取付部には芯材が埋設されていないことを特徴とする。
【0008】
請求項
2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記取付部は所要箇所において車体のドア開口縁部にクリップによって止着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明のウェザストリップによると、自動車車体のドア開口縁部に内装材を利用して取付けられるため、ウェザストリップをクリップを用いて取付ける取付構造に比べ、軽量化され、コストダウンを図ることができると共に、うねりを生ずることがなく、見栄えが向上する。またバリで支えることにより凹溝が潰れるのを防止することができ、バリで凹溝の溝巾が確保されることにより、内装材端部を挿入するのが容易に行えるほか、内装材端部を押込む際、バリが折り曲げられて凹溝内に挿入され、
押込まれ易くなって、内装材挿入時の作業性が向上する。しかもバリ
は除去する必要がないため、除去作業を要しない分、作業性が向上すると共に、バリゴミが発生しない。また凹溝内に押込まれたバリは、その復元力で内装材端部に押付けられるようになり、内装材端部への保持性が向上する。
【0011】
請求項
2に係る発明のように、ウェザストリップがクリップでも止着されるようになっていると、ウェザストリプが長尺方向にずれるのが防止され、ドア開口縁部への保持性が向上する。なお、本発明で用いるクリップは、ウェザストリップのずれを防止するだけの必要最小限に抑えられ、クリップを設けたことによる重量の増加やコスト端を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】本発明に係るウェザストリップの概略拡大断面図。
【
図4】
図3に示すウェザストリップの取付構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態のウェザストリップについて図面により説明する。図中、
図2に示す構造と同一構造部分には同一符号を付してある。
【0014】
図3に示すウェザストリップ11は、取付部12と、該取付部12に一体形成される中空状のシール部3からなり、取付部12は中空部13と、凹溝14を有し、凹溝14はバリ15を備えている。
【0015】
バリ15は凹溝14の溝幅方向の一端が凹溝14を構成する側壁14a、14bのうちの一方の側壁14aに一体形成され、溝底側が抉られて薄肉部15aとなっている。バリ15の他端は凹溝14を構成する側壁14a、14bのうちの他方の側壁14bに薄肉の連結部16によって連結され、バリ15を
図3の矢印方向に押込むと、連結部16が容易に分断され、分断後バリ15が凹溝14内に矢印方向に押込められるようになっている。
【0016】
ウェザストリップ11のロアボデー部への取付けは次のようにして行われる。
【0017】
ウェザストリップ11をロアボデー部のパネル4に装着したのち、ロアボデー部の両端と中央部の三か所で取付部12の中空部13に通したクリップ5により取付部12をパネル4に止着する。その後、車室内のフロアに装着される内装材としてのキッキングプレート17の下向きに折曲した端部17aを凹溝14内に押込む。この押込みに伴ない連結部16で破断され、側壁14bより分離したバリ15は薄肉部分で容易に折り曲げられ、凹溝内に押込まれる(
図4)。
【0018】
凹溝内に押込まれたバリ15は復元力によってキッキングプレート端部17aに押付けられ、これによりウェザストリップ11は、クリップ間においてもキッキングプレート端部17aに保持され、うねりを生ずることもなく、見栄えが向上する。またクリップ5による止着はロアボデー部の両端と中央部の三か所で行われるが、クリップ5による止着箇所は少ないため、
図2に示す従来例のようにクリップのみで止着するのと比べ、計量化され、コストダウンを図ることができる。
【0019】
またウェザストリップ11は、前述するようにロアボデー部の三か所でクリップ5によって止着されるが、これによってウェザストリップ11のずれが防止されて保持力が向上し、クリップ5も必要最小限の数であるので、重量やコストの増加も僅かですむ。
【0020】
前記実施形態において、取付部12は中空部13を有し、クリップ5の頭部が中空部間に納まるようにしているが、クリップ
5による止着自体を省くことも可能である。
【0021】
前記実施形態においてはまた、バリ15は一方の側壁14aに一体形成され、他方の側壁14bに連結部16によって連結されているが、他方の側壁14bに一体形成されると共に、一方の側壁14aに連結部16によって連結してもよい。
【0023】
また図示する実施形態においては、バリ15の薄肉部分は側壁14aとの連結部分に形成されているが、側壁14aより離れた箇所であっても、側壁14bよりキッキングプレート端部16aの肉厚部だけ離れた箇所に形成しておけば、キッキングプレート端部17aの挿入が支障なく行える。
【0024】
前記実施形態は、ロアボデー部に取付けられるウェザストリップ11について示したが、本発明が適用されるウェザストリップは前記ウェザストリップ11に限定されるものではなく、ドア開口縁部の他のウェザストリップを前記ウェザストリップ11と同様に構成し、内装トリム等の内装材の端部を凹溝内に挿入することにより同様の効果を挙げることができる。
【符号の説明】
【0025】
3・・中空状のシール部
4・・パネル
5・・クリップ
6・・ドア
11・・ウェザストリップ
12・・取付部
13・・中空部
14・・凹溝
15・・バリ
16・・連結部
17・・キッキングプレート