特許第6093558号(P6093558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093558
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】部分開口用蓋
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/30 20060101AFI20170227BHJP
   B65D 53/04 20060101ALI20170227BHJP
   B65D 53/00 20060101ALI20170227BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20170227BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20170227BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20170227BHJP
   B65D 17/50 20060101ALI20170227BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B65D77/30 A
   B65D53/04
   B65D53/00
   B32B3/10
   B32B27/32 E
   B65D85/72 F
   B65D17/50
   B65D77/20 L
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-256496(P2012-256496)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-104977(P2014-104977A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】古谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】竹内 雅規
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−213406(JP,A)
【文献】 特開平10−236494(JP,A)
【文献】 特開2012−076766(JP,A)
【文献】 特開2006−069601(JP,A)
【文献】 特開2008−230684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/30
B32B 3/10
B32B 27/32
B65D 17/50
B65D 53/00
B65D 53/04
B65D 77/20
B65D 85/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外蓋と内蓋とが積層されてなり、内蓋が下面に熱封緘性樹脂層を有する無延伸ポリプロピレンフィルム層から形成され、かつこの内蓋に2〜個の切れ目線で囲まれた部分開口予定部が設けられ、隣り合う切れ目線間の非切れ目部の距離が0.3mm〜0.6mmとなされ、外蓋下面に内蓋の無延伸ポリプロピレンフィルムと界面剥離可能なポリエチレン系フィルム層が設けられ、内蓋の非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置しないようになされており、外蓋に外蓋引剥がし用摘みが一体に設けられている部分開口用蓋。
【請求項2】
外蓋のポリエチレン系フィルム層と内蓋のポリプロピレン系フィルム層とのラミネート強度が0.05〜3.00N/15mm幅である請求項1記載の部分開口用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器の蓋に使用される部分開口用蓋、とくにホットコーヒ等のホット飲料容器の蓋として使用されるのに適した部分開口用蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料容器としては、下層に熱封緘材層を有する蓋を容器の口縁フランジに熱封緘して密封されたものが知られている。そして、開封したさい、蓋の下層が容器側に残り、これにストローを差込むための小さな口があいているものがある。ところが、コーヒー等のホット飲料は、通常、常温で容器に充填して蓋で密封し、販売前にこれをウォーマーに入れて加熱するので、ストローで飲むと火傷の危険性がある。そこで、ストローを用いずに飲むことのできる比較的大きな口が容器の口縁フランジに熱封緘された蓋に存在するものが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に示されているものは、容器の口縁フランジに揺動自在な開封部材を有するキャップの横断面逆L状下端が嵌止められたものであって、キャップに設けられた開封部材を指で押下げて熱封緘材製蓋に大きな口をあけるものである。しかしながら、このような構造のキャップを容器に取付けることはコスト高になるばかりか、開封部材を押下げたさい、容器の内容物に指が触れるおそれがあるし、内容物が飲料の場合、飲んでいる途中に容器とキャップの間から、飲料が洩れる可能性もある。
【0004】
本発明の目的は、上記のような問題もなく蓋に比較的大きな口を簡単にあけることができる飲料容器用部分開口用蓋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による部分開口用蓋は、外蓋と内蓋とが積層されてなり、内蓋が下面に熱封緘性樹脂層を有する無延伸ポリプロピレンフィルム層から形成され、かつこの内蓋に2〜個の切れ目線で囲まれた部分開口予定部が設けられ、隣り合う切れ目線間の非切れ目部の距離が0.3mm〜0.6mmとなされ、外蓋下面に内蓋の無延伸ポリプロピレンフィルムと界面剥離可能なポリエチレン系フィルム層が設けられ、内蓋の非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置しないようになされており、外蓋に外蓋引剥がし用摘みが一体に設けられているものである。
【0006】
上記において、外蓋としては、アルミニウム箔層とその下面に形成せられたポリエチレン系フィルム層とよりなるものが好ましい。
【0007】
上記において、内蓋の切れ目線が1個では、部分開口予定部が得られず、切れ目線が6個を超えると、隣り合う切れ目線間の非切れ目部に伸びが発生し易くなる。
【0008】
上記において、隣り合う切れ目線間の非切れ目部の距離が0.3mm未満では、部分開口予定部の加工が困難であり、非切れ目部の距離が0.6mmを超えると、外蓋を容器の口縁フランジに熱封緘されている内蓋から剥取るさい、非切れ目部が切れにくく、所望の部分開口が得られない。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の部分開口用蓋において、外蓋のポリエチレン系フィルム層と内蓋のポリプロピレン系フィルム層とのラミネート強度が0.05〜3.00N/15mm幅であるものである。
【0010】
上記において、ラミネート強度が0.05N/15mm幅未満であると、ラミネート強度が弱すぎて外蓋が内蓋より自然に離れてしまい、3.00N/15mm幅を超えると、ラミネート強度が強すぎて外蓋を内蓋より剥がしにくくなり、部分開口が得られない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明による部分開口用蓋は、外蓋と内蓋とが積層されてなり、内蓋が下面に熱封緘性樹脂層を有する無延伸ポリプロピレンフィルム層から形成され、かつこの内蓋に2〜4個の切れ目線で囲まれた部分開口予定部が設けられ、隣り合う切れ目線間の非切れ目部の距離が0.3mm〜0.6mmとなされ、外蓋下面に内蓋の無延伸ポリプロピレンフィルムと界面剥離可能なポリエチレン系フィルム層が設けられているから、この蓋は、容器の口縁フランジに熱封緘することかができ、容器内の飲料を飲むときは、外蓋を容器に直接熱封緘せられている内蓋から簡単に引剥がすことができる。そして、外蓋の引剥がしにともなって、部分開口予定部を囲んでいる隣り合う切れ目線間の非切れ目部が切れて切れ目線とつながり、その内側部分が外蓋と一体となって内蓋から取去られ、部分開口部が得られる。このさい隣り合う切れ目線間の非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置しないようになされており、外蓋に外蓋引剥がし用摘みが一体に設けられているから、切れ目線で囲まれた部分が内蓋から確実かつ簡単に切取ることができる。隣り合う切れ目線間の非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置していると、非切れ目部が外蓋の引剥がしにともなって開口方向にひげ状に伸びてから切れるため、綺麗な部分開口部が得られないおそれがあるが、このような心配もない。そして、部分開口予定部の面積を必要とする飲み口の大きさに合わせて選ぶことができるので、比較的大きな飲み口を得ることも可能である。しかも、外蓋を容器に直接熱封緘せられている内蓋から引剥がすだけで内蓋に部分開口部すなわち飲み口が得られるから、容器内の飲料が手に触れることはないし、部分開口用蓋自体が安価に得られる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による蓋を容器に施した状態における一部の拡大垂直断面図である。
図2】本発明による蓋を容器に施した後、外蓋を除いて内蓋を現した平面図である。
図3】容器に施された蓋のうち外蓋を一部上方に剥し、内蓋に飲み口が現れた状態を示す容器の一部斜視図である。
図4図3のIV−IV線にそう拡大断面図である。
図5】隣り合う切れ目線間の非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置している場合の内蓋を示す図2に対応する平面図である。
図6】容器に施された蓋のうち外蓋を剥取った後、内蓋に現れた飲み口の開口端に非切れ目部がひげ状となって残った状態を示す内蓋付き容器の一部拡大垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし図4は、本発明による部分開口用蓋(1)を施した上縁にフランジ(2)を有するコップ状容器(3)を示す。部分開口用蓋(1)は、外蓋(4)と内蓋(5)とが積層されてなるものである。内蓋(5)は、下面に熱封緘性樹脂層(図示略)を有する無延伸ポリプロピレンフィルム層よりなり、これには図2に示すように、4個の切れ目線(6)で囲まれた飲み口用部分開口予定部(7)が設けられており、かつ隣り合う切れ目線(6)間の非切れ目部(8)が部分開口予定部(7)の開口開始端に位置しないようになされている。外蓋(4)は、厚さ15mμのアルミニウム箔(9)の下面に厚さ12mμのポリエチレンテレフタレートフイルム(10)がポウレタン系ドライラミネート接着剤により貼合わせたものである。さらにその下面に溶解したポリエチレンを押出し、その粘着性を利用して内蓋(5)を接合することにより、内蓋(5)の無延伸ポリプロピレンフィルムと界面剥離可能な溶融押出しによるポリエチレン系フィルム層(11)が設けられている。蓋(1)には、部分開口予定部(7)の反対外側にコップ状容器(3)のフランジ(2)を越える大きさの外蓋引剥がし用摘み(12)が一体に設けられており、その下面にフランジ(2)の外縁に沿う切込み(13)がいれられている。
【0014】
コップ状容器(3)内の飲料を飲むさい、コップ状容器(3)に熱封緘されている部分開口用蓋(1)の引剥がし用摘み(12)を手で掴んで外蓋(4)を斜め上方に引っ張ると、図3および図4に示されているように、外蓋(4) は内蓋(5)から引剥がされるが、このさい内蓋(5)にある切れ目線(6)どうしの間の非切れ目部(8)が内蓋(5)から引千切られて部分開口予定部相当部分(14)が外蓋(4)と一体になって斜め上方に引上げられる。その結果、内蓋(5)に部分開口部である比較的大きな飲み口(15)が得られる。
【0015】
ところで、いま図5に示すように、4個の切れ目線(6)で囲まれた飲み口用部分開口予定部(7)において、隣り合う切れ目線(6)間の非切れ目部(8)が部分開口予定部(7)の開口開始端に位置しているとすると、引剥がし用摘み(12)を手で掴んで外蓋(4)を斜め上方に引っ張ったさい、非切れ目部(8)が外蓋(4)の内蓋(3)からの引剥がしにともなって開口方向にひげ状に伸びてから切れるので、飲み口(15)の美観を損ねるばかりではなく、飲料を飲むさいにこのひげ(16)が舌や口に触り不快感を与える。
【0016】
本発明による上記構成の部分開口用蓋の内蓋に、非切れ目部が2個、4個および6個あり、さらにこれらそれぞれに非切れ目部の距離が0.3mm、0.6mm、1mm、3mmであるものを合計12個用意し、各蓋をポリプロピレン製コップ状容器の開口部に被せ、190゜C、90Kgf/1個の条件で1秒間加熱加圧して熱封緘した。そして、これらの各外蓋を各内蓋から引剥がし、部分開口すなわち飲み口の発現状態を目視で確認し、下記の基準で評価したところ、その結果は、表1のとおりであった。
【0017】
○: 飲み口が完全に発現する。
△: 飲み口が一部発現しない。
×: 飲み口が全く発現しない。
【0018】
【表1】
A: 非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置している場合
B: 非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に存在しない場合
【0019】
表1から、非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に位置していると、切れ目線の数や距離に関係なく、飲み口が完全な状態に発現しないが、非切れ目部が部分開口予定部の開口開始端に存在しない場合は、非切れ目部の数が少なくかつ非切れ目部の距離が短い程飲み口が完全に発現することが分かる。
【符号の説明】
【0020】
(1) 部分開口用蓋
(4) 外蓋
(5) 内蓋
(6) 切れ目線
(7) 部分開口予定部
(8) 非切れ目部
(12) 外蓋引剥がし用摘み
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−341919号公報
【特許文献2】特開2008−44657号公報
【特許文献3】特開201−143583号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6