【実施例】
【0065】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
(実施例1)
まず、基板、絶縁膜、及びシリコン膜からなるSOI基板を準備した。基板にはシリコン基板、絶縁膜には200nmの酸化珪素層を用い、シリコン膜は100nmであった。シリコン膜に導電性を付与するリンイオンの打ち込みを行った。その後、900℃のアニールにより不純物を拡散させて、シリコン膜の電子濃度の調整を行った。この際、シリコン膜全体の平均電子濃度が5.0×10
19cm
−3となるようにした。
【0067】
次いで、RCA洗浄を用いて、SOI基板の表面の付着物、有機物、及び自然酸化膜を除去した。その後、HF洗浄液を用いてSOI基板の表面を水素で終端させた。続いて、SOI基板を分子線エピタキシー(MBE)装置に搬入した。ベース真空度(積層処理を実際に施す前の装置内の真空度)を2.0×10
−9Torr以下とした。SOI基板の加熱によるフラッシング処理を行った。これにより、シリコン膜表面の水素を離脱させ、清浄表面を形成した。
【0068】
次に、MBE法を用いて、シリコン膜上に第一トンネル層を形成した。まず、酸化アルミニウムを結晶化させて第一トンネル層下部領域を形成し、酸化アルミニウムと同時にマグネシウムを成膜し、マグネシウムとアルミニウムと酸素を含む第一トンネル層上部領域を形成した。これらを形成する過程において欠損する酸素は原子層を数枚形成したら、成膜を一度止め、酸素イオンを膜の表面に照射して補った。以上を繰り返して、第一トンネル層を形成した。その後、強磁性層として鉄膜、及び保護膜としてチタン膜をこの順に成膜し、積層体を得た。成膜時における真空度は5×10
−8Torr以下であった。チタン膜は、鉄膜の酸化による特性劣化を抑制するためのキャップ層である。
【0069】
なお、本実施例において、第一部分と第二部分において、トンネル層のスピネル層、強磁性層の鉄膜、及び保護膜のチタン膜は同じ工程で作成しているため、第一部分と第二部分の積層構造は同じである。
【0070】
続いて、第一トンネル層の結晶化を安定化させるため、500℃のフラッシュアニール後に、200度で3時間のアニールを行った。
【0071】
次に、積層体の表面の洗浄を行った後、フォトリソグラフィ法およびリフトオフにより、Taのアライメントマークを基板に形成した。続いて、マスクを用いて、シリコン膜を異方性ウェットエッチングによりパターニングした。これにより、側面に傾斜部を有するシリコンチャンネル層12を得た。この際、シリコンチャンネル層12のサイズは、23μm×300μmとなった。また、得られたシリコンチャンネル層12の側面を酸化させて、酸化珪素膜(酸化膜7a)を形成した。
【0072】
次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、チタン膜、鉄膜、シリコンチャンネル層をパターニングすることにより、
図3のように第一強磁性層14Aおよび第二強磁性層14Bを形成した。シリコンチャンネル層12と、第一強磁性層14Aおよび第二強磁性層14Bとの間以外に位置する酸化膜とマグネシウム膜を除去した。これにより、第一トンネル層13Aおよび第二トンネル層13Bを得た。露出したシリコンチャンネル層12の一端側と他端側に、Al膜を形成し、第一参照電極15Aおよび第二参照電極15Bをそれぞれ得た。
【0073】
次に、イオンミリングおよびエッチングを用いて、シリコンチャンネル層12の表面のうち、第一強磁性層14A、第二強磁性層14B、第一参照電極15Aおよび第二参照電極15Bの形成されていない部分において、シリコンチャンネル層12の表面から20nmの深さまでシリコンチャンネル層12を掘り込んだ。これにより、シリコンチャンネル層12は、第一凸部12A、第二凸部12B、第三凸部12C、第四凸部12D、および主部12Eを含む構造となった。第一凸部12A、第二凸部12B、第三凸部12C、および第四凸部12Dは、この順にX軸方向に所定の間隔を置いて配列され、主部12Eから突出するように延在する部分である。第一凸部12A、第二凸部12B、第三凸部12C、および第四凸部12Dの膜厚H1は、10nmであった。このような構造により、シリコンチャンネル層12となるシリコン膜に、導電性を付与するイオンの打ち込みの際に形成された表面ダメージが除去された。
【0074】
さらに、酸化膜7a、第一トンネル層13A、第二トンネル層13B、第一強磁性層14A、第二強磁性層14B、第一参照電極15Aおよび第二参照電極15Bの側面上と、シリコンチャンネル層12の上面のうち、第一強磁性層14A、第二強磁性層14B、第一参照電極15Aおよび第二参照電極15Bの形成されていない主部12E上とに、酸化珪素膜(酸化膜7b)を形成した。
【0075】
次に、第一強磁性層14A、第二強磁性層14B、第一参照電極15Aおよび第二参照電極15B上に配線18A〜18Dをそれぞれ形成した。配線18A〜18Dとして、Ta(厚さ10nm)、Cu(厚さ50nm)、及びTa(厚さ10nm)の積層構造を用いた。さらに、各配線18A〜18Dの端部にそれぞれ電極パッドE1〜E4を形成した。電極パッドE1〜E4として、Cr(厚さ50nm)とAu(厚さ150nm)の積層構造を用いた。こうして、
図1〜4に示すスピン伝導素子1と同様の構成を有する実施例1のスピン伝導素子を作成した。
【0076】
(NL測定の結果)
NL測定法では、実施例1で作製したスピン伝導素子において、第一強磁性層14Aの磁化方向G1および第二強磁性層14Bの磁化方向G2を外部磁場B1の磁化方向と同一方向(
図3に示すY軸方向)に固定した。このスピン伝導素子に対して、第一強磁性層14Aおよび第二強磁性層14Bの磁化方向と平行な方向(Y軸方向)から外部磁場B1を印加した。交流電流源70からの検出用電流を第一強磁性層14Aへ流すことにより、第一強磁性層14Aからシリコンチャンネル層12へスピンを注入した。そして、外部磁場B1による磁化変化に基づく出力を出力測定器80により測定した。この際、測定はいずれも室温にて行った。
【0077】
図5は、NL測定法における印加磁場と電圧出力の関係を示すグラフである。
図5のF1は、外部磁場B1をマイナス側からプラス側に変化させた場合を示し、
図5のF2は、外部磁場B1をプラス側からマイナス側に変化させた場合を示す。
図5のF1及びF2に示されるように、スピン伝導素子では、約26.8μVの電圧出力であった。
【0078】
(NL−Hanle測定の結果)
NL−Hanle測定法では、実施例1で作製したスピン伝導素子において、印加する外部磁場B2の方向(
図3に示すZ軸方向)を第一強磁性層14Aの磁化方向(
図3に示すY軸方向)G1および第二強磁性層14Bの磁化方向(
図3に示すY軸方向)G2と垂直方向とした。
図6は、NL−Hanle測定法における印加磁場と電圧出力の関係を示すグラフである。
図6は、第一強磁性層14Aの磁化方向を第二強磁性層14Bの磁化方向と平行に固定した場合の測定結果である。
【0079】
図6の測定結果からわかるように、外部磁場B2の印加によって、シリコンチャンネル層を伝導しているスピンが回転・減衰を起こしていることがわかる。したがって、
図6の測定結果はスピン伝導によって生じた信号であることが証明できる。
【0080】
(膜の解析)
トンネル層の評価は断面TEM及びEDXにて実施した。断面TEMの結果からトンネル層の厚さは2.1nmであった。断面TEMの写真からトンネル層部分を切り出して、フリーエ解析を行って、ブラッグ点を解析することで格子定数を見積もった。切り出した部分は、シリコンチャンネル層に接する部分、強磁性層に接する部分、シリコンチャンネル層に接する部分と強磁性層に接する部分の中間である。また、トンネル層のシリコンに接する部分の格子定数が7.8Åであった。この格子定数はスピネル構造のγ型アルミニウム酸化物であることを示している。トンネル層の強磁性層に接する部分の格子定数が8.1Åであった。この格子定数はスピネル構造のマグネシウムとアルミニウムの酸化物であることを示している。
【0081】
さらに、EDXにてマグネシウム、アルミニウム、酸素、鉄、及び、シリコンの分析を行った。
図7に示したように、深さ方向のプロファイルからトンネル層のシリコンチャンネル層側がマグネシウムの含有量の少ないマグネシウムの一部、あるいは、全部が欠損したスピネル層であり、トンネル層の強磁性層側がマグネシウムを多く含んだマグネシウムの欠損が少ないスピネル層であることが解る。また、
図8にトンネル層のシリコンチャンネル層との境界を基準とした厚さ方向に対する格子定数の結果を示す。厚さ方向に対して系統的な変化が観測された。
【0082】
(実施例2)
実施例1と同様に素子作成を行った。但し、第一トンネル層の第一トンネル層上部領域形成時にマグネシウムの代わりに亜鉛を用いた。スピン伝導素子の作成法は実施例1と同様に行った。
【0083】
トンネル層の評価は、実施例1と同様に行い、トンネル層の厚さは、2.2nmであった。また、トンネル層のシリコンチャンネル層に接する部分の格子定数は7.85Åであり、スピネル構造のγ型アルミニウム酸化物であることを示している。また、トンネル層の強磁性層に接する部分の格子定数は8.03Åであり、スピネル構造の亜鉛とアルミニウムの酸化物であった。
【0084】
(実施例3)
実施例1と同様に素子作成を行った。但し、強磁性層としてホイスラー合金膜を用いた。このホイスラー合金は、Co
2FeAl
0.5Si
0.5の組成式で表される。また、ホイスラー合金膜は基板を300℃で成膜した。スピン伝導素子の作成法は実施例1と同様に行った。
【0085】
トンネル層の評価は、実施例1と同様に行い、トンネル層の厚さは、2.2nmであった。また、トンネル層のシリコンチャンネル層に接する部分の格子定数は7.8Åであり、スピネル構造のγ型アルミニウム酸化物であることを示している。また、トンネル層の強磁性層に接する部分の格子定数は8.08Åであり、スピネル構造のマグネシウムとアルミニウムの酸化物であった。また、ホイスラー合金の構成元素が、シリコンチャンネル層まで拡散していないことを確認した。
【0086】
(比較例1)
次に、第1トンネル層として、スピネル構造のγ型酸化アルミニウムを用い、第一トンネル層下部領域と第2トンネル層領域は、同一組成となるようにし、フラッシュアニールは実施せず、230℃で3時間のアニールを実施した。なお、スピン伝導素子は、実施例1と同様に作成した。
【0087】
このようにして得られたスピン伝導素子について、NL−Hanle測定法でスピン出力を測定した結果を、表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1、実施例2、及び実施例3は室温にてほぼ同様の結果が得られた。実施例3は、強磁性層として鉄よりもスピン分極率が高いホイスラー合金を使っているため、やや高い出力が得られた。
【0090】
(実施例4)
実施例1と同様にスピン伝導素子の作成を行った。但し、半導体チャンネル層としてゲルマニウムを用いた。
【0091】
まず、基板、絶縁膜、及びゲルマニウム膜からなるGOI基板を準備した。基板にはゲルマニウム基板、絶縁膜には200nmの酸化珪素層を用い、ゲルマニウム膜は100nmであった。ゲルマニウム膜に導電性を付与する不純物の打ち込みを行った。その後、900℃のアニールにより不純物を拡散させて電子濃度の調整を行った。この際、ゲルマニウム膜全体の平均電子濃度が2.0×10
19cm
−3となるようにした。
【0092】
次いで、RCA洗浄を用いて、GOI基板の表面の付着物、有機物、及び自然酸化膜を除去した。その後、HF洗浄液を用いてGOI基板の表面を水素で終端させた。続いて、GOI基板を分子線エピタキシー(MBE)装置に搬入した。ベース真空度(積層処理を実際に施す前の装置内の真空度)を2.0×10
−9Torr以下とした。GOI基板の加熱によるフラッシング処理を行った。これにより、ゲルマニウム膜表面の水素を離脱させ、清浄表面を形成した。
【0093】
次に、MBE法を用いて、ゲルマニウム膜上に第一トンネル層を形成した。まず、酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの比が2対0.7になるように形成した。この時、チャンバー内の酸素分圧を調整して結晶化させて第一トンネル層下部領域を形成した。成膜が進む毎にマグネシムの比率が高くなるように調整し、強磁性層形成前にはアルミニウムとマグネシウムの比が2対1となるように調整した。このようにしてマグネシウムとアルミニウムを含むスピネル構造のトンネル層を形成した。これらを形成する過程において欠損する酸素は、原子層を数層形成したのち、成膜を一度止め、酸素イオンを膜の表面に照射して補った。この工程を繰り返して、第一トンネル層を形成した。その後、第一強磁性層として鉄膜、及び保護膜としてチタン膜をこの順に成膜し、積層体を得た。成膜時における真空度は5×10
−8Torr以下であった。チタン膜は、鉄膜の酸化による特性劣化を抑制するためのキャップ層である。
【0094】
続いて、第一トンネル層の結晶化を安定化させるため、500℃のフラッシュアニール後に、200度で3時間のアニールを行った。
【0095】
トンネル層の評価は、実施例1と同様に行い、トンネル層の厚さは、2.0nmであった。また、トンネル層のゲルマニウムチャンネル層に接する部分の格子定数は7.8Åであり、スピネル構造のγ型アルミニウム酸化物であることを示している。また、トンネル層の強磁性層に接する部分の格子定数は8.09Åであり、スピネル構造のマグネシウムとアルミニウムの酸化物であった。さらに、EDXにてマグネシウム、アルミニウム、酸素、鉄、及び、ゲルマニウムの分析を行った。深さ方向のプロファイルからトンネル層のゲルマニウムチャンネル層側がマグネシウムの含有量の少ないスピネル層であり、トンネル層の強磁性層側がマグネシウムを多く含むスピネル層であった。
【0096】
出力の評価は実施例1と同様に非局所測定にて実施した。
【0097】
(実施例5)
実施例4と同様に素子作成を行った。トンネル領域形成時にマグネシウムの代わりに亜鉛を用いた。素子の作成法及び評価は実施例4と同様である。
【0098】
(実施例6)
実施例4と同様に素子作成を行った。但し、強磁性層として、ホイスラー合金膜を形成した。このホイスラー合金はCo
2FeAl
0.5Si
0.5の組成式で表される。また、ホイスラー合金を成膜時には基板を300℃で形成を行った。スピン伝導素子の作成法は実施例1と同様である。
【0099】
(比較例2)
実施例4と同様に素子作成を行った。但し、第一トンネル層の第一トンネル領域と第二トンネル領域は同じ組成になるようにし、第一トンネル層は酸化マグネシウムを用いた。また、実施例4と異なり、フラッシュアニールは実施せず、250℃で3時間のアニールを実施した。
【0100】
表2に測定結果を示す。実施例4、実施例5、及び実施例6で室温にてほぼ同様の結果が得られた。実施例6は、強磁性層として鉄よりもスピン分極率が高いホイスラー合金を使っているため、やや高い出力が得られた。
【0101】
【表2】
【0102】
(実施例7)
次に、半導体チェンネル層として、ガリウム砒素を用い、実施例1と同様にスピン伝導素子の作成を行った。成膜方法は以下の通りである。
【0103】
まず、基板、絶縁膜、及びガリウム砒素膜から成る基板を準備した。基板にはガリウム砒素、絶縁膜には200nmの酸化シリコン層を用い、ガリウム砒素膜は100nmであった。ガリウム砒素膜に導電性を付与するシリコンを不純物として打ち込みを行った。その後、900℃のアニールにより不純物を拡散させて、ガリウム砒素膜の電子濃度の調整を行った。この際、ガリウム砒素膜全体の平均電子濃度が5.0×10
19cm
−3となるようにした。
【0104】
次いで、RCA洗浄を用いて、ガリウム砒素基板の表面の付着物、有機物、及び自然酸化膜を除去した。その後、HF洗浄液を用いてガリウム砒素基板の表面を水素で終端させた。続いて、基板を分子線エピタキシー(MBE)装置に搬入した。ベース真空度(積層処理を実際に施す前の装置内の真空度)を2.0×10
−9Torr以下とした。ガリウム砒素基板の加熱によるフラッシング処理を行った。
【0105】
次に、MBE法を用いて、ガリウム砒素基板上に第一トンネル層を形成した。まず、酸化アルミニウムを結晶化させて第一トンネル層下部領域を形成し、酸化アルミニウムと同時にマグネシウムを成膜し、マグネシウムとアルミニウムと酸素を含む第一トンネル層上部領域を形成した。これらを形成する過程において欠損する酸素は原子層を数枚形成したら、成膜を一度止め、酸素イオンを膜の表面に照射して補った。以上を繰り返して、第一トンネル層を形成した。その後、強磁性層として鉄膜、及び保護膜としてチタン膜をこの順に成膜し、積層体を得た。成膜時における真空度は5×10
−8Torr以下であった。チタン膜は、鉄膜の酸化による特性劣化を抑制するためのキャップ層である。
【0106】
続いて、第一トンネル層の結晶化を安定化させるため、500℃のフラッシュアニール後に、200度で3時間のアニールを行った。
【0107】
トンネル層の評価は、実施例1と同様に行い、トンネル層の厚さは、2.2nmであった。また、トンネル層のガリウム砒素チャンネル層に接する部分の格子定数は7.9Åであり、スピネル構造のγ型アルミニウム酸化物であることを示している。また、トンネル層の強磁性層に接する部分の格子定数は8.06Åであり、スピネル構造のマグネシウムとアルミニウムの酸化物であった。さらに、EDXにてマグネシウム、アルミニウム、酸素、鉄、及び、ガリウム砒素の分析を行った。深さ方向のプロファイルからトンネル層のガリウム砒素チャンネル層側がマグネシウムの含有量の少ないスピネル層であり、トンネル層の強磁性層側がマグネシウムを多く含むスピネル層であった。
【0108】
出力の評価は実施例1と同様に非局所測定にて実施した。
【0109】
(実施例8)
実施例7と同様に素子作成を行った。トンネル領域形成時にマグネシウムの代わりに亜鉛を用いた。素子の作成法及び評価は実施例7と同様である。
【0110】
(実施例9)
実施例7と同様に素子作成を行った。但し、強磁性層としてホイスラー合金膜を形成した。このホイスラー合金はCo
2FeAl
0.5Si
0.5の組成式で表される。また、ホイスラー合金を成膜時には基板を300℃で形成を行った。素子の作成法は実施例と同様である。
【0111】
(比較例3)
実施例7と同様に素子作成を行った。但し、第一トンネル層の第一トンネル領域と第二トンネル領域は同じ組成になるようにし、第一トンネル層は酸化マグネシウムを用いた。また、実施例7と異なり、フラッシュアニールは実施せず、250℃で3時間のアニールを実施した。
【0112】
表3に測定結果を示す。実施例7、実施例8、及び実施例9は室温にてほぼ同様の結果が得られた。実施例9は、強磁性層として鉄よりもスピン分極率が高いホイスラー合金を使っているため、やや高い出力が得られた。
【0113】
【表3】