(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093586
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】樹脂組成物、成形体、積層構造体、反射板、および、照明装置
(51)【国際特許分類】
C08L 23/10 20060101AFI20170227BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20170227BHJP
C08K 5/3417 20060101ALI20170227BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20170227BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20170227BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20170227BHJP
F21V 7/22 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
C08L23/10
C08K3/22
C08K5/3417
C08L23/04
B32B27/18 B
B32B27/32 Z
F21V7/22 100
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-24694(P2013-24694)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-152293(P2014-152293A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104364
【氏名又は名称】出光ライオンコンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲真▼島 一道
(72)【発明者】
【氏名】山本 寿樹
【審査官】
岸 智之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−292864(JP,A)
【文献】
特開2012−041511(JP,A)
【文献】
特表2011−515533(JP,A)
【文献】
特開2010−254914(JP,A)
【文献】
特開2001−220470(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/111808(WO,A1)
【文献】
特開平10−053661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリプロピレン樹脂組成物50質量%以上と、
(B)二酸化チタンを5質量%以上20質量%以下と、
(C)エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上の臭素系難燃剤を1質量%以上30質量%以下と、
さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下とを含有し、
前記ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有するポリプロピレン系樹脂と、少なくともエチレンを含む重合体を含有するポリエチレン系樹脂とを含有し、前記ポリプロピレン系樹脂が当該ポリプロピレン樹脂組成物中に55質量%以上含有され、かつ当該ポリプロピレン樹脂組成物が樹脂組成物全体に対して50質量%以上含有してなる
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
(A)ポリプロピレン樹脂組成物50質量%以上と、
(B)二酸化チタンを5質量%以上20質量%以下と、
(C)エチレンビステトラブロモフタルイミドを1質量%以上30質量%以下と、
さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下とを含有し、
前記ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有するポリプロピレン系樹脂と、少なくともエチレンを含む重合体を含有するポリエチレン系樹脂とを含有し、前記ポリプロピレン系樹脂が当該ポリプロピレン樹脂組成物中に55質量%以上含有され、かつ当該ポリプロピレン樹脂組成物が樹脂組成物全体に対して50質量%以上含有してなる
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の樹脂組成物において、
前記難燃助剤は、三酸化アンチモンと、ホウ酸亜鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、金属酸化物と、二酸化珪素との群から選ばれる少なくとも一種以上である
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
前記二酸化チタンは、二酸化珪素および酸化アルミニウムの群から選ばれる少なくとも一種以上で表面処理されている
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
前記少なくともプロピレンを含む重合体を含有するポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、および、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上である
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
紫外線吸収剤と光安定剤との群から選ばれる少なくとも一種以上を、外配合で0.01質量%以上5質量%以下混合してなる
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
前記少なくともエチレンを含む重合体を含有するポリエチレン系樹脂は、密度0.910g/cm3以上0.965g/cm3以下、190℃でのメルトマスフローレート0.01g/10分以上50g/10分以下であるエチレン単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上である
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の樹脂組成物において、
前記二酸化チタンは、無機化合物および有機化合物の群から選ばれる少なくとも一種以上で表面処理され、平均粒径が0.4μm以下である
ことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる
ことを特徴とする成形体。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層以上有している
ことを特徴とする積層構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の積層構造体において、
前記樹脂組成物からなる層は、表面層である
ことを特徴とする積層構造体。
【請求項12】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる
ことを特徴とする反射板。
【請求項13】
請求項12に記載の反射板を備えた
ことを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタンを含有する難燃性の樹脂組成物、成形体、積層構造体、反射板、および、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオードなどを光源とする電飾看板、照明器具、ディスプレイなどの反射板などに、二酸化チタンを含有する樹脂組成物が用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1に記載の樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂に対して、二酸化チタンおよび無機充填剤の合計で45質量%、二酸化チタンとして5〜42質量%、無機充填剤として3〜18質量%を含有する。そして、この樹脂組成物は、反射率を損なわない範囲で、塩素や臭素などのハロゲン系、リン系、金属酸化物系、金属水酸化物系などの難燃剤を添加可能としている。
特許文献2に記載の樹脂組成物は、エチレンプロピレンブロック共重合体と高密度ポリエチレンとに対し、酸化チタンを5〜10質量%含有する。そして、この樹脂組成物は、必要に応じて難燃剤を配合可能としている。
特許文献3に記載の樹脂組成物は、ポリプロピレンの重合体マトリックス31〜70重量%に、難燃性物質12〜24重量%および反射性充填材(ルチル形チタニア)の粒子15〜30重量%の割合で分散された光反射性物質の構成が採られている。
特許文献4に記載の樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂に、デカブロモジフェニルオキシドのような臭素化芳香族化合物や臭素化イミドなどの難燃剤を1〜50wt%添加された反射性物質の構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−292864号公報
【特許文献2】特開2011−26422号公報
【特許文献3】特表2002−535731号公報
【特許文献4】特表2004−523792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載のような二酸化チタンを含有して反射率を高めた樹脂組成物では、難燃性を付与するために難燃剤を添加すると、反射率および成形性が低下してしまうおそれがある。また、特許文献3,4に記載の難燃剤を添加して難燃性を付与したものでも、十分な反射率および成形性が得られない。
【0005】
本発明は、成形性および反射率の低下を抑制しつつ難燃性が得られる樹脂組成物、成形体、積層構造体、反射板、および、照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の樹脂組成物は、(A
)ポリプロピレン樹脂組成物50質量%以上と、(B)二酸化チタンを5質量%以上20質量%以下と、(C)エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上の臭素系難燃剤を1質量%以上30質量%以下と、
さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下とを含有し
、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有するポリプロピレン系樹脂と、少なくともエチレンを含む重合体を含有するポリエチレン系樹脂とを含有し、前記ポリプロピレン系樹脂が当該ポリプロピレン樹脂組成物中に55質量%以上含有され、かつ当該ポリプロピレン樹脂組成物が樹脂組成物全体に対して50質量%以上含有してなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の樹脂組成物は、(A
)ポリプロピレン樹脂組成物50質量%以上と、(B)二酸化チタンを5質量%以上20質量%以下と、(C)エチレンビステトラブロモフタルイミドを1質量%以上30質量%以下と、
さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下とを含有し
、前記ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有するポリプロピレン系樹脂と、少なくともエチレンを含む重合体を含有するポリエチレン系樹脂とを含有し、前記ポリプロピレン系樹脂が当該ポリプロピレン樹脂組成物中に55質量%以上含有され、かつ当該ポリプロピレン樹脂組成物が樹脂組成物全体に対して50質量%以上含有してなることを特徴とする。
【0008】
そして、本発明では、さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下混合してなる構成とす
る。
また、本発明では、前記難燃助剤は、三酸化アンチモンと、ホウ酸亜鉛と、ポリテトラフルオロエチレンと、金属酸化物と、二酸化珪素との群から選ばれる少なくとも一種以上である構成とすることが好ましい。
さらに、本発明では、前記二酸化チタンは、二酸化珪素および酸化アルミニウムの群から選ばれる少なくとも一種以上で表面処理されている構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記少なくともプロピレンを含む重合体を含有する
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、および、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上である構成とすることが好ましい。
そして、本発明では、紫外線吸収剤と光安定剤との群から選ばれる少なくとも一種以上を、外配合で0.01質量%以上5質量%以下混合してなる構成とすることが好まし
い。
さらに、本発明では、前記少なくともエチレンを含む重合体を含有する
ポリエチレン系樹脂は、密度0.910g/cm
3以上0.965g/cm
3以下、190℃でのメルトマスフローレート0.01g/10分以上50g/10分以下であるエチレン単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上である構成とすることが好ましい。
また、本発明では、前記二酸化チタンは、無機化合物および有機化合物の群から選ばれる少なくとも一種以上で表面処理され、平均粒径が0.4μm以下である構成とすることが好ましい。
【0009】
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明の積層構造体は、本発明の樹脂組成物からなる層を少なくとも1層以上有していることを特徴とする。
そして、本発明の積層構造体では、前記樹脂組成物からなる層は、表面層である構成とすることが好ましい。
本発明の反射板は、本発明の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明の照明装置は、本発明の反射板を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二酸化チタンを含有する樹脂組成物に、エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上の臭素系難燃剤、もしくはエチレンビステトラブロモフタルイミドを所定量混合してなるので、反射率および成形性を維持しつつ難燃性を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の樹脂組成物の実施形態について説明する。
なお、本発明の樹脂組成物は、例えば発光ダイオードや有機EL(ElectroLuminescence)を光源とした電飾看板または照明装置、あるいはディスプレイの反射板などの成形体や積層構造体に好適に用いられるが、この限りではない。
[原料]
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂を55質量%以上含有するポリプロピレン系樹脂組成物50質量%以上と、(B)二酸化チタンを5質量%以上20質量%以下と、(C)エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上の臭素系難燃剤を1質量%以上30質量%以下と、が含有された難燃性の樹脂組成物である。
【0012】
((A)ポリプロピレン樹脂組成物)
(A)ポリプロピレン樹脂組成物は、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂を55質量%以上含有する組成物である。
少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、および、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのブロック共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上が、好適に用いられる。
そして、少なくともプロピレンを含む重合体を含有する樹脂の含有量が55質量%より少なくなると、成形体の表面平滑性が損なわれることによる反射率の低下、および耐熱性の低下が生じるため、ポリプロピレン樹脂組成物中に55質量%以上含有させることが必要である。
また、ポリプロピレン樹脂組成物としては、例えばポリエチレン系樹脂、すなわち少なくともエチレンを含む重合体を含有する樹脂を含有することが好ましい。このポリエチレン系樹脂を含有することで、難燃性樹脂組成物の溶融張力をさらに向上できる。このことにより、溶融張力を向上させることで押出成形体(シート)の成形または二次加工における賦形性(真空成形時のドローダウン)を向上できる。
ここで、ポリエチレン系樹脂としては、密度0.910g/cm
3以上0.965g/cm
3以下、190℃でのメルトマスフローレート0.01g/10分以上50g/10分以下であるエチレン単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体の群から選ばれる少なくとも一種以上を用いることができる。ポリエチレン系樹脂の密度が上記範囲外となると、成形性や成形体の機械的物性の低下が生じるおそれがあるためである。また、190℃でのメルトマスフローレートが上記範囲外となると、難燃樹脂組成物の流動性の点で成形性や表面外観の不具合による反射率の低下が生じるおそれがあるためである。
そして、ポリプロピレン樹脂組成物は、難燃性の樹脂組成物全体に対して50質量%以上含有する。50質量%より少なくなると、ペレット造粒時、押出成形体の成形または二次加工における賦形性(真空成形時のドローダウン・加工設備への負荷等)に問題が生じるためである。
【0013】
((B)二酸化チタン)
(B)二酸化チタンは、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型のいずれのものが利用でき、特に最も安定な構造であるルチル型が好ましい。
二酸化チタンとしては、無機化合物および有機化合物の群から選ばれる少なくとも一種以上で表面処理された粉粒体が好ましい。
無機化合物としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アンチモン、スズまたはセリウムなどの金属の含水酸化物、酸化物、水酸化物およびシロキサンなどが挙げられる。有機化合物としては、ポリオール、シランカップリング剤などが挙げられる。
特に、二酸化珪素や酸化アルミニウムで表面処理された酸化チタンは、屋外や光源近傍で長時間経過後に難燃樹脂組成物の劣化を防止する点で好ましく、ポリオールで表面処理された酸化チタンは、難燃樹脂組成物への分散性が優れる点で好ましい。
また、二酸化チタンは、平均粒径が0.4μm以下のものが好ましい。平均粒径が0.4μmより大きいと成形体中での分散性に劣り、反射率の低下が生じるおそれがあるためである。
そして、二酸化チタンは、難燃性樹脂組成物全体に対して5質量%以上20質量%で含有される。二酸化チタンの含有量が5質量%より少なくなると、成形体において十分な反射率が得られず、反射体としての機能が得られなくなる。一方、二酸化チタンの含有量が20質量%より多くなると、成形性が損なわれるなどの不都合を生じるおそれがあるためである。
【0014】
((C)臭素系難燃剤)
(C)臭素系難燃剤として、エチレンビステトラブロモフタルイミド単独、もしくは、エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上の臭素系難燃剤が用いられる。ここで、これら誘導体は、化合物の一部の分子が置換されたもので、臭素系難燃剤としての機能が損なわれないいずれの誘導体を対象とすることができる。
ここで、エチレンビステトラブロモフタルイミドの誘導体としては、例えば、テトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルなどを挙げることができる。
臭素系難燃剤は、リン系難燃剤や金属水酸化物に代表される非臭素難燃剤と比較して、長期耐熱性に優れるため、臭素系難燃剤を含有した難燃性樹脂組成物は、長期間にわたり熱源(LEDなどの照明器具)の周辺において劣化せずに安定して使用することができる。特に、リン系難燃剤は、成形体表面にブリードアウトしやすく、長期経過後に成形体の反射率が低下するおそれがある。さらに、金属水酸化物は、臭素系難燃剤と比較して耐酸性に劣るため、屋外で長期間にわたり、酸性度の高い雨にさらされた場合、急速に劣化が進むおそれがある。
臭素系難燃剤として、エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体の群から選ばれる少なくとも一種以上は、耐熱性に優れ、成形時の熱分解が少なく、耐候剤との拮抗作用が小さいため成形体の耐候性に優れる点で好ましい。
そして、臭素系難燃剤は、難燃性樹脂組成物全体に対して1質量%以上30質量%以下で含有される。臭素系難燃剤の含有量が1質量%より少なくなると、難燃性が劣り、照明部材などに用いた場合、耐トラッキング性に劣り発火が生じるおそれがあり、臭素系難燃剤の含有量が30質量%より多くなると、成形性や成形体の機械的物性の低下が生じるためである。
【0015】
(添加剤)
本発明の難燃性の樹脂組成物は、さらに難燃助剤を内配合で1質量%以上30質量%以下配合可能である。
難燃助剤としては、特に限定されないが、例えば、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ポリテトラフルオロエチレン、金属酸化物、二酸化珪素、ハイドロタルサイト、重炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデンおよびその表面処理品、メラミン、メラミンシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、モノペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができる。特に、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ポリテトラフルオロエチレン、金属酸化物、二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種以上が、エチレンビステトラブロモフタルイミドまたはその誘導体との相乗効果を発現し、樹脂組成物の難燃性を向上する点で好適に用いられる。
難燃助剤の含有量が、難燃性樹脂組成物全体に対して1質量%より少なくなると難燃性が劣り、照明部材などに用いた場合、耐トラッキング性に劣り発火が生じるおそれがあり、30質量%より多くなると成形性や成形体の機械的物性の低下が生じるおそれがあるためである。
【0016】
また、本発明の難燃性の樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤と光安定剤との群から選ばれる少なくとも一種以上を、外配合0.01質量%以上5質量%以下で混合可能である。
紫外線吸収剤としては、樹脂成分の劣化を促進する紫外線を吸収する成分で、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン化合物、トリアゾール化合物、ベンゾエート化合物を用いることができる。
具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾール)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどの2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジンなどのトリアリールトリアジン類などが挙げられる。これらは、2種以上混合して使用してもよい。
【0017】
光安定剤としては、樹脂成分の劣化を促進するラジカルを取り込む成分で、特に限定されないが、例えば、N−H型ヒンダートアミン化合物、N−メチル型ヒンダートアミン化合物、N−O−R型ヒンダートアミン化合物を用いることができる。
具体的には、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカンなどのヒンダードアミン化合物などが挙げられる。これらは、2種以上混合して使用してもよい。
【0018】
なお、紫外線吸収剤および光安定剤とは、特に混合して用いることにより、樹脂成分の劣化をより防止できるが、それぞれ単独で使用してもよい。
そして、紫外線吸収剤および光安定剤との群から選ばれる少なくとも一種以上の配合量が、外配合0.01質量%(0.01質量部)より少なくなると、屋外や光源近傍で、成形体が使用された場合、長期経過後に成形体表面が、光による劣化が生じ、変色および反射率の低下が生じるおそれがあり、外配合5質量%(5質量部)より多くなると成形体表面へ耐候剤がブリードすることにより、表面外観および反射率の低下が生じるおそれがあるため、上記範囲で配合される。
【0019】
本発明の難燃性の樹脂組成物には、さらに、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤あるいはチオ系酸化防止剤などの酸化防止剤、滑剤、軟化剤、結晶核剤、帯電防止剤、充填剤などの添加剤を含有させてもよい。
そして、樹脂組成物は、例えば、各原料を溶融混練し、ペレタイザーにてペレットとして調製される。ペレットとされた樹脂組成物を、所定の形状に成形したり、シート状に成形し、あらかじめ成形された基体の表面に積層させたり、樹脂組成物を他の樹脂と共押出して樹脂組成物の層を少なくとも1層以上有した積層構造体を形成し、この積層構造体を成形したりして、反射体が形成される。
【実施例】
【0020】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されるものではない。
【0021】
[原料]
以下の実施例および比較例で用いる原料は、以下の通り。
・ポリプロピレン系樹脂(以下PP);E−185G(商品名、株式会社プライムポリマー製 密度=0.910g/cm
3 230℃でのメルトフローレート=0.3g/10分)
・ポリエチレン系樹脂(以下PE);5305E(商品名、株式会社プライムポリマー製 密度=0.951g/cm
3 190℃でのメルトフローレート=0.8g/10分)
・難燃剤−A;サイテックスBT−93(商品名、アルベマール日本株式会社製)(エチレンビステトラブロモフタルイミド)
・難燃剤−B;アデカスタブFP2100J(商品名、株式会社ADEKA製)(リン酸塩化合物)
・難燃剤−C;キスマ5A(商品名、協和化学工業株式会社製)(水酸化マグネシウム)
・難燃剤−D;XZ−6800(商品名、寿光市海洋化工有限公司製)(2,2’−ビス[4−(2,3−(ジブロモプロピルオキシ))−3,5−ジブロモフェニル]プロパン])
・難燃剤−E;フレームカット120G(商品名、東ソー株式会社製)(テトラブロモビスフェノール−A)
・難燃剤−F;ファイヤーガード3600(商品名、帝人化成株式会社製)(テトラブロモビスフェノール−Aジグリシジルエーテル)
・難燃助剤;三酸化アンチモンFCP−AT3(商品名、株式会社鈴裕化学製)
・二酸化チタン;PF−690(商品名、石原産業株式会社製)
・紫外線吸収剤;ケミソーブ114(商品名、ケミプロ化成株式会社製
・光安定剤;チヌビンXT850(商品名、BASFジャパン製)
【0022】
(造粒工程)
上記原料を以下の表1に示す割合で配合し、シリンダー温度を260℃に設定したスクリュー口径30mmの二軸押出機を用い溶融混練し、ダイスから吐出されたストランドを冷却バスにより冷却し、ペレタイザーにて切断して、ペレット化した樹脂組成物を調製した。
【0023】
[試験片の作製]
表1に示す配合で調製されたペレットを用い、射出成形機にて、シリンダー温度210℃、金型温度50℃の成形条件において、平板(80×80mm、厚み;3.2mm)と、燃焼試験片(127mm×12.7mm、厚み;3.2mm)とを作製した。
また、表1に示す配合で調製されたペレットを用い、スクリュー口径65mmシート押出機にて、シリンダー温度230℃、賦形ロール温度60℃の成形条件においてシート(厚み1.0mm)を作製した。
【0024】
[評価]
各配合における試験片を、難燃性、反射率、耐候性、賦形性で評価した。
(難燃性)
難燃性は、JIS K6911 A法に準拠する方法で評価した。
具体的には、上述の方法で作製した燃焼試験片を試料とし、炎の高さを25mmに設定し、炎を30°傾けた状態で試験片に30秒接炎後、180秒以上燃焼した場合は可燃性。180秒以内に消火し、かつ燃焼距離が25mmを超え100mm以下の場合は自消性。180秒以内に消火し、かつ燃焼距離が25mm以下の場合は不燃性と判定した。
その結果を、表1に示す。
【0025】
(反射率)
上述の方法で作製した平板を反射率測定用試料とし、反射率は、分光光度計(GRETAGMACBETH社製、商品名COLOR−Eye7000A)を用い、D65光源で10度視野の条件で測定した。
その結果を表1に示す。
【0026】
(耐候性)
上述の方法で作製した平板を耐候性測定用試料とし、JIS B7753に準拠した耐候試験機を用いて、バックパネル温度63℃、降雨12分/60分条件にて2000時間耐候促進劣化処理を行い、この耐候促進劣化処理後の平板について、上記分光光度計を用いて反射率を測定した。
さらに、耐候促進劣化処理後の平板と、耐候促進劣化処理を実施していない未処理の平板とについて、色差△(デルタ)E
*を測定(スガ試験機株式会社製 商品名SMカラーコンピューターSM45、条件;光源2度視野)した。
結果を、以下の表1に示す。
【0027】
(賦形性)
上述の方法で作製したシートおよびペレットを用いて、ドローダウン性、溶融張力を測定することで、シートを二次加工する際に、指標となる真空成形等熱成形時の賦形性を評価した。
ドローダウン性は、上記方法で得られたシートを、330mm×330mmに加工し、450℃で30秒間間接加熱した際の垂下量を測定し、ドローダウン性の評価とした。上記方法で得られた垂下量を元に、ドローダウン性を以下の基準で判定した。
○:垂下量が20mm以下の場合
×:垂下量が20mmを超える場合
また溶融張力(単位;mN)は、キャピラリーレオメータ((株)東洋精機製作所製)を用いて、230℃に加熱し溶融した試料を、直径1mmのノズルから23℃の大気中に30mm/minの速度となるように押出し、得られたストランドを6m/minの速度で引き取る際の張力を測定した。
上記評法で得られた溶融張力を、以下の基準で判定した。
○:30mN以上の場合
×:30mN未満の場合
結果を、以下の表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
[評価結果]
上記表1に示す結果から、本発明の実施例は比較例に比べ、燃焼性を抑制した不燃性または自消性を有しながら反射率に優れ、さらに耐候促進処理でも明らかに長期経過後の反射率および色相の低下を抑制し、シートの二次加工性である熱成形性にも優れていることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、発光ダイオードや有機EL(ElectroLuminescence)を光源とした電飾看板または照明装置、あるいはディスプレイの反射板などの成形体や積層構造体、これらの難燃性の樹脂組成物に好適に用いられる。