特許第6093598号(P6093598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社正興電機製作所の特許一覧

特許6093598給電システム、給電プログラムおよび給電方法
<>
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000002
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000003
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000004
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000005
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000006
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000007
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000008
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000009
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000010
  • 特許6093598-給電システム、給電プログラムおよび給電方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093598
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】給電システム、給電プログラムおよび給電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/08 20060101AFI20170227BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20170227BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170227BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20170227BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20170227BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H02J9/08
   H02J9/06 120
   H02J7/00 303E
   H02J7/34 G
   H02J3/38 170
   H02J3/32
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-43345(P2013-43345)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-171376(P2014-171376A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591212718
【氏名又は名称】株式会社正興電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】伴野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】伊東 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴光
(72)【発明者】
【氏名】前山 晃範
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 浩二
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−022650(JP,A)
【文献】 特開2011−188607(JP,A)
【文献】 特開2009−153295(JP,A)
【文献】 特開2013−027136(JP,A)
【文献】 特開2013−115871(JP,A)
【文献】 特開2004−129337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00−11/00
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H02J 3/00− 5/00
H01M 8/04− 8/06
H01M 10/42−10/48
H02J 1/00− 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源の停電時、発電する発電手段と、
前記発電手段に電力を供給する蓄電手段と、
前記系統電源の停電時、前記発電手段の発電出力により前記蓄電手段に充電を行わせ、前記蓄電手段に供給する充電量を、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより制御する充電手段と、
を備えることを特徴とする給電システム
【請求項2】
前記充電手段は、断続して前記発電手段の発電出力を判定し、前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止することを特徴とする請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
発電手段と蓄電手段と充電手段とを備える給電システムに搭載されたコンピュータに実行させる給電プログラムであって、
系統電源の停電時、前記発電手段に発電させ、
前記系統電源の停電時、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力で前記蓄電手段に充電を行わせ、
前記充電手段が、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより前記蓄電手段に供給する充電量を制御する、
処理を前記コンピュータに実行させるための給電プログラム
【請求項4】
断続して前記発電手段の発電出力を判定し、
前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、
前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止する
処理を前記コンピュータに実行させる請求項に記載の給電プログラム。
【請求項5】
発電手段と蓄電手段と充電手段とを備える給電システムに用いられる給電方法であって、
系統電源の停電時、前記発電手段に発電させるステップと、
前記系統電源の停電時、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力で前記蓄電手段に充電を行わせるステップと、
前記充電手段が、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより前記蓄電手段に供給する充電量を制御するステップと、
を含むことを特徴とする給電方法。
【請求項6】
断続して前記発電手段の発電出力を判定するステップと、
前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止するステップと、
を含むことを特徴とする請求項に記載の給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池コジェネレーションシステム(以下、単に「FCシステム」と称する。)などの発電ユニットや蓄電ユニットを含む給電システム、給電プログラムおよび給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FCシステムでは、家庭などの需要先の電力負荷量に応じて発電を行い、その発電出力が電力負荷に給電される。電力負荷量は、需要先に設置された電流センサで計測される。このFCシステムは系統電源を利用し発電電力を電力負荷へ供給する方式が主流となっている。系統電源は、電力会社から供給される商用電力である。
【0003】
系統電源を利用する理由は第1に、逆潮防止にある。FCシステムでは、電力負荷より数十W程度低い電力で発電を行い、常時、数十W程度の電力が系統電力で賄われる。このように数十W程度低い電力をFCシステムで発電すれば、電力負荷が増減しても、FCシステムの発電電力を系統に逆潮することを防止することがその理由である。
【0004】
第2に、FCシステムでの電圧源の確保にある。FCシステムは電流型インバータを備えている。この電流型インバータは、発電電流量の制御に有効であるが、電圧源を失うと発電できない。電流型インバータを用いたFCシステムには、電圧源は不可欠である。
【0005】
このようなFCシステムに関し、発電装置を組み込み、停電時など系統電源がFCシステムから解列した場合にも、FCシステムから負荷への電力供給を可能にすることが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−044733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、系統電源が解列すると、FCシステムから電圧源が消失し、FCシステムが発電を停止する。そこで、このFCシステムの一次側に蓄電池を設置すれば、この蓄電池を電圧源に利用でき、系統電源が解列した場合にも、FCシステムは発電を継続することができる。これにより、系統電源の停電時、電力負荷へFCシステムの発電電力を供給することが可能である。
【0008】
そして、停電時、FCシステムの発電出力で蓄電池を充電すれば、停電時の蓄電量の減少を抑制できるものの、FCシステムから提供される充電量によっては、電力損失してしまうという課題がある。
【0009】
FCシステムから蓄電池の充電を行っても、電力損失が増大すれば、蓄電池の蓄電量が減少し、停電時の給電時間が短くなる。つまり、蓄電池の充電量がFCシステムの発電電力以上であれば、蓄電池からの放電量が増大する。その結果、これらの充放電過程での電力が増大し、電力損失が増大することとなる。最終的には停電時、給電時間が短くなるという課題がある。
【0010】
これに対し、充電量がFCシステムの発電電力未満であれば、電力損失を増大させることなく充電が可能である。しかしFCシステム発電電力より充電量がかなり小さいと、FCシステム発電電力近傍で充電したときよりも蓄電量は少なく、停電時の給電時間が短くなるという課題がある。
【0011】
また、蓄電池の充電動作後に、FCシステムが停止した場合にも、充電動作を継続すると、却って電力損失を増大させ、蓄電量の減少を来たし、停電時の給電時間が短くなるという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、第1の目的は停電時、発電の継続性を高めることにある。
【0013】
また、第2の目的は、蓄電池を電圧源に用いるFCシステムを発電手段に含む場合にも停電時、発電の継続性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の給電システムは、系統電源の停電時、発電する発電手段と、前記発電手段に電力を供給する蓄電手段と、前記系統電源の停電時、前記発電手段の発電出力により前記蓄電手段に充電を行わせ、前記蓄電手段に供給する充電量を、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより制御する充電手段と備える。
【0016】
上記給電システムにおいて、好ましくは、前記充電手段は、断続して前記発電手段の発電出力を判定し、前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止してもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の給電プログラムは、発電手段と蓄電手段と充電手段とを備える給電システムに搭載されたコンピュータに実行させる給電プログラムであって、系統電源の停電時、前記発電手段に発電させ、前記系統電源の停電時、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力で前記蓄電手段に充電を行わせ、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより前記蓄電手段に供給する充電量を制御する処理を前記コンピュータに実行させる。
【0018】
上記給電プログラムにおいて、好ましくは断続して前記発電手段の発電出力を判定し、前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止する処理を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の給電方法は、発電手段と蓄電手段と充電手段とを備える給電システムに用いられる給電方法であって、系統電源の停電時、前記発電手段に発電させるステップと、前記系統電源の停電時、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力で前記蓄電手段に充電を行わせるステップと、前記充電手段が、前記発電手段の発電出力および前記蓄電手段の蓄電出力を判定条件により判定して動作モードを選択し、前記動作モードにより前記蓄電手段に供給する充電量を制御するステップとを含んでいる。

【0020】
上記給電方法において、断続して前記発電手段の発電出力を判定するステップと、前記発電手段が発電していれば前記蓄電手段に対する充電を継続し、前記発電手段が発電を停止していれば前記蓄電手段に対する充電を停止するステップとを含んでもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0022】
(1) 停電時に蓄電手段から発電手段に電力を供給でき、発電手段による発電を発電手段の定格出力ないしその近傍に制御でき、発電の継続性とともに効率の良い給電を得ることができる。
【0023】
(2) 発電手段に既述のFCシステム、蓄電手段に蓄電池システムを利用することができ、このようなシステムを利用しても、FCシステムの構成を変更することなく、停電時に発電を維持するに必要な蓄電量を蓄電手段に維持することができる。
【0024】
(3) 蓄電手段に発電を維持するに必要な蓄電量を補填でき、負荷に対する電力供給を長時間に亘って継続的に行うことができる。
【0025】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1の実施の形態に係る給電システムおよびその停電時の動作を示す図である。
図2】停電時の処理手順を示すフローチャートである。
図3】停電時の処理手順を示すフローチャートである。
図4】発電出力の判定情報テーブルを示す図である。
図5】停電時の発電出力切替えの処理手順を示すフローチャートである。
図6】充電制御の一例を示す図である。
図7】他の充電制御を示す図である。
図8】第2の実施の形態に係る給電システムを示す図である。
図9】制御部の構成例を示す図である。
図10】他の実施の形態に係る給電システムの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1の実施の形態〕
【0028】
<システム構成>
【0029】
図1のAは、第1の実施の形態に係る給電システムを示している。図1のAに示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
【0030】
この給電システム2にはFCシステム(燃料電池コジェネレーションシステム)4、蓄電システム6および連系充電回路8が含まれる。
【0031】
FCシステム4は定置用発電機器であり、発電手段の一例である。このFCシステム4は太陽光発電システムなどでもよい。このFCシステム4は、系統電源10の停電時、発電出力が配電系統12により電力負荷14に供給されるとともに、連系充電回路8により蓄電システム6に供給される。蓄電システム6は蓄電手段の一例である。連系充電回路8は充電手段の一例である。
【0032】
配電系統12には系統電源10が接続されている。この系統電源10の給電時には、系統電源10から系統電力が電力負荷14に供給される。このとき、蓄電システム6は系統電源10からの受電電力により充電される。この蓄電システム6には電圧センサ15が含まれる。この電圧センサ15は系統電源10の状態を監視する手段であり、系統電源10の停電を検出する停電検知手段の一例である。この電圧センサ15は、配電系統12の入力端に接続されており、配電系統12から系統電源10からの入力電圧を検出する。この電圧センサ15の電圧検出により、系統電源10が停電しているか否かを知ることができる。
【0033】
配電系統12には電流センサ16−1が接続されている。この電流センサ16−1はたとえば、カレントトランスである。この電流センサ16−1はFCシステム4の発電制御に必要な制御情報を得るための検知手段の一例である。この電流センサ16−1のセンサ出力である電流出力がFCシステム4の発電制御に用いられる。
【0034】
このFCシステム4を配電系統12に接続する連系回路18には電流センサ16−2が設置されている。この電流センサ16−2はFCシステム4の発電出力測定手段の一例である。この電流センサ16−2のセンサ出力により、FCシステム4の発電の有無を知ることもできる。この電流センサ16−2はたとえば、カレントトランスである。つまり、系統電源10の停電時、電流センサ16−2はFCシステム4の出力電流を測定する。つまり、出力電圧が一定であれば、この測定電流から送出電力が容易に求められる。この電流センサ16−2に測定された送出電力は蓄電システム6に加えられ、蓄電システム6の動作制御に用いられている。
【0035】
この蓄電システム6には、電流センサ16−3、蓄電池20およびインバータ(以下、「INV」と称する)22が含まれる。電流センサ16−3は系統電源10の停電時、蓄電システム6から配電系統12に出力される電流を測定する。既述したように、出力電圧が一定であれば、この測定電流値から送出電力PAが求められる。この送出電力PAは蓄電システム6の蓄電出力の一例である蓄電池20の直流出力はINV22で交流出力に変換される。この蓄電システム6の送出電力PAは配電系統12に出力され、電力負荷14およびFCシステム4に加えられる。
【0036】
系統電源10の停電時、蓄電システム6から電力が供給されてFCシステム4は発電する。FCシステム4の送出電力PBは連系回路18を介して電力負荷14および連系充電回路8に加えられる。このFCシステム4では燃料電池により直流発電を行い、この直流出力を交流出力に変換している。この送出電力PBが連系充電回路8に加えられ、この連系充電回路8により送出電力が充電量PCとして蓄電池20に導かれる。
【0037】
この連系充電回路8には、電流センサ16−4およびAC−DCコンバータ(以下、「A/D」と称する)24が含まれている。電流センサ16−4は、連系充電回路8から蓄電池20に導かれる送出電力における電流を測定する。電圧が一定であれば、その電流測定値から送出電力が容易に求められることは既述の通りである。A/D24はFCシステム4の交流出力を直流に変換する。これにより、系統電源10の停電時、FCシステム4の発電出力が蓄電池20に供給される。これにより、連系充電回路8が、FCシステム4から蓄電システム6に供給される発電電力を所定出力範囲に収めるよう充電量PCを制御している。
【0038】
<停電時の動作>
【0039】
図1のBは、系統電源10の停電時の給電システム2の動作を示している。
【0040】
蓄電システム6は、系統電源10の停電時、電圧センサ15で停電を検知すると系列運転から自立運転に移行する。この自立運転は系統電源10の解列時、系統電源10からFCシステム4および蓄電システム6を独立させた運転状態である。系統電源10の停電時、自立運転に移行すると、蓄電池20の出力がINV22により交流に変換される。この交流出力が配電系統12に出力され、その電力によりFCシステム4が発電を行う。このFCシステム4の発電出力が電力負荷14に供給されるとともに、連系充電回路8に供給される。このFCシステム4の発電出力が電流センサ16−2に検出され、これを契機に蓄電池20の充電動作が開始される。
【0041】
系統電源10の停電時、FCシステム4の発電出力は連系充電回路8に供給され、A/D24の交直変換により得られた直流出力が蓄電システム6の蓄電池20に供給される。これにより、蓄電システム6の蓄電池20はFCシステム4の発電出力により継続的に充電される。つまり、系統電源10の停電時、FCシステム4に使用される蓄電システム6の蓄電量がFCシステム4の発電出力により補填される。これにより、FCシステム4は継続的に発電を行うことが可能となる。
【0042】
<給電システム2の処理手順>
【0043】
図2は、停電時の時系列動作の処理手順を示している。この処理手順は本発明の給電プログラムまたは給電方法の一例である。
【0044】
この処理手順では、系統電源10の状態を監視する。系統電源10に停電が発生し(S11)、この停電を電圧センサ15で検知する(S12)。この停電検知を契機に蓄電システム6から蓄電池20の電力を電力負荷14およびFCシステム4に供給する(S13)。
【0045】
FCシステム4は、蓄電池20の電力を用いて発電する(S14)。この場合、蓄電システム6が停止していれば、蓄電システム6の起動後に発電を開始する。
【0046】
FCシステム4が発電した電力が連系充電回路8を通じて蓄電システム6の蓄電池20を充電する(S15)。
【0047】
図3は、停電時の処理手順(メインルーチン)を示している。この処理手順は、本発明の給電方法または給電プログラムの一例である。この給電プログラムは、給電システム2のコンピュータに実行されせるためのプログラムである。
【0048】
この処理手順では、処理開始により停電検知を行う(S21)。この停電検知は、既述の通り配電系統12にある電圧センサ15の検出出力によって行う。この停電時、FCシステム4が発電する。
【0049】
そこで、FCシステム4が発電しているか否かを判断する(S22)。この発電の有無は、電流センサ16−2の検出出力によって判断する。
【0050】
FCシステム4が発電していない場合には(S22のNO)、蓄電システム6の蓄電池20の充電を停止する(S23)。これにより、蓄電池20の蓄電量の目減りが防止される。
【0051】
FCシステム4が発電している場合には(S22のYES)、蓄電システム6の蓄電池20を充電する(S24)。この充電は、既述のとおり、FCシステム4の発電出力を連系充電回路8のA/D24で直流出力に変換し、この直流出力で蓄電池20を充電する。この充電は、FCシステム4が発電を継続している限り、継続的に行う。
【0052】
そして、復電検知を行う(S25)。復電した場合には(S26のYES)、蓄電システム6の蓄電池20の充電を停止する(S23)。停電が継続している場合には(S26のNO)、ステップ(S22)に戻り、ステップ22〜25の処理を継続して行う。
【0053】
図4は、判定情報テーブル25を示している。この判定情報テーブル25は、既述の送出電力PA、PBの組み合わせによる動作モードI、II、III の判定条件(つまり、モード選択条件)を示している。蓄電池20の蓄電量PCは既述の通り連系充電回路8の送出電力により与えられる。
【0054】
この判定情報テーブル25では、送出電力PAについて、出力判定閾値Pnの一例として100〔W〕、送出電力PBについて、出力判定閾値Pmの一例として700〔W〕が用いられている。送出電力PAについて、判定条件としてPA<Pn(=100〔W〕)、PA≧Pnが設定されている。また、送出電力PBについて、判定条件としてPB<Pm(=700〔W〕)、PB≧Pmが設定されている。
【0055】
そこで、この判定情報テーブル25を用いれば、次のようにモード選択が行われる。
【0056】
(1) PA<PnかつPB<Pmであれば、動作モードIが選択される。FCシステム4の発電出力を増大するため、この動作モードIでは、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCを増加させる。
【0057】
(2) PA≧PnかつPB≧Pmであれば、動作モードIIが選択される。FCシステム4の発電出力が十分であり、かつ蓄電システム6のINV22の出力が過剰であるため、この動作モードIIでは、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCを減少させる。
【0058】
(3) PA≧PnかつPB<Pmであれば、動作モードIIIbが選択される。FCシステム4の発電出力の増加を待つため、この動作モードIIIbでは、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCを維持して待機する。
【0059】
(4) PA<PnかつPB≧Pmであれば、動作モードIIIaが選択される。FCシステム4の発電出力が十分であり、かつINV22の出力が適正であるので、この動作モードIIIaでは、連系充電回路8の送出電力により、蓄電池20の充電量PCを維持して待機する。つまり、(3) の動作モードIIIbと実質的に同一である。
【0060】
図5は、送出電力PA、PBを用いた動作モード切替えの処理手順を示している。
【0061】
この処理手順は、本発明の給電方法または給電プログラムの一例である。この処理手順は、給電システム2に搭載されるコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0062】
この処理手順では、系統電源10の停電時、蓄電システム6が充電に移行する(S31)。この充電の移行を契機に、動作モードI、II、III (IIIaまたはIIIb)の選択を行う(S32)。このモード選択には、送出電力PA、PBの判定を行う(S33)。この判定には、既述の判定情報テーブル25(図4)が用いられる。
【0063】
この判定には、電流センサ16−3で測定された送出電力PA、電流センサ16−2で測定された送出電力PBが参照される。既述したように、PA<PnかつPB<Pmであれば、動作モードIが選択され、PA≧PnかつPB<Pmであれば、動作モードIIIbが選択され、PA<PnかつPB≧Pmであれば、動作モードIIIa が選択され、また、PA≧PnかつPB≧Pmであれば、動作モードIIが選択される。
【0064】
動作モードIが選択された場合には(S34)、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCを一定の電力ΔPを加えた充電量PCに増強される。この場合、電力ΔPはたとえば、ΔP=50〔W〕に設定すればよい。この値はFCシステム4の定格出力より僅かな増加量である。
【0065】
動作モードIIIが選択された場合には(S35)、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCがそのままの値に維持される。
【0066】
また、動作モードII が選択された場合には(S36)、連系充電回路8による蓄電池20の充電量PCから一定の電力ΔPを減じた充電量PCに減少する。
【0067】
このような動作モードのいずれかに設定の後、一定の待機時間だけ待機する(S37)。この待機時間はたとえば、10〔秒〕である。
【0068】
この待機時間の後、送出電力PA、PBを判定する(S38)。この送出電力の判定は、PA>Pnであるとともに、PB<Psであるか否かを判定する。この場合、Pnは既述のとおり、たとえば、100〔W〕であり、PsはPs=50〔W〕である。
【0069】
PA>PnおよびPB<Psを充足していれば(S39のYES)、充電を停止する(S40)。この場合、FCシステム4は動作を停止していると判定し、連系充電回路8による充電動作を停止させる。
【0070】
これに対し、PA>PnおよびPB<Psを充足していなければ(S39のNO)、S32に戻り、S32ないしS39の処理を継続的に行う。つまり、断続的にFCシステム4の発電を判定し、発電していれば充電を継続し、発電していなければ充電を停止することができる。
【0071】
図6は、蓄電システム6の蓄電池20の充電制御を示している。この充電制御は既述の動作モードを用いて蓄電池20の充電量調整を行う。この充電制御では断続した電力判定によるインターバル判定を採用している。つまり、既述の処理手順に沿った電力推移が得られている。
【0072】
図6では、横軸に時間tを表し、縦軸に電力(電流)を表し、送出出力PA、PB、充電量PC、送出電力PBの出力判定閾値Pm、送出電力PAの判定閾値Pn、電力負荷14の電力PLおよびFCシステム4の定格出力Poを示している。
【0073】
時点t1で系統電源10に停電が発生している。この時点t1が蓄電池20に対するFCシステム4の送出電力PBによる充電開始である。そして、時点t2が復電時点であり、この時点で充電停止に至る。時点t1から時点t2に至る時間において、既述の処理手順による出力判定(一定の時間間隔で行われる判定)により動作モードI、II、III が断続的に選択されている。
【0074】
この場合、原則的な動作として、停電発生の時点t1に送出電力PBがあることを判定し、送出電力PBが存在すれば、連系充電回路8による蓄電池20の充電を開始する。
【0075】
一定の時間間隔(インターバル)毎に送出電力PA、PBの値(電力または電流)を判定し、連系充電回路8から蓄電池20に送出される充電電力の増減制御が行われる。図6において、PA1、PA2・・・PA16は、送出電力PAの出力判定時点の電力を示している。また、PB1、PB2・・・PB15は、送出電力PBの出力判定時点の電力を示している。また、CPのエリアは蓄電池20の蓄電量の増加分を示している。
【0076】
この場合、蓄電池20に対する充電電力の関係式は、
PA+PB=PL+PC ・・・(1)
である。式(1) において、PAは蓄電システム6の送出電力、PBはFCシステム4の送出電力である。PCは連系充電回路8の送出電力によって与えられる充電量である。また、PLは電力負荷14に送出される電力であり、消費電力である。
【0077】
式(1) から明らかなように、蓄電システム6の送出電力PAとFCシステム4の送出電力PBの総和は、電力負荷14に対する送出電力PLと連系充電回路8の送出電力による充電量PCの総和に等しい。
【0078】
そこで、電力負荷14が急増した場合には、その増加分を追従性の高い蓄電システム6からの送出電力PAで補う。そして、蓄電システム6に対し、追従性で劣るFCシステム4からの送出電力PBを徐々に増加させる。これにより、電力負荷14の増加は蓄電システム6の出力とFCシステム4の出力とで補完される。
【0079】
また、電力負荷14が急減した場合には、その急減量を追従性の早い蓄電システム6の電力減量で対応する。この場合、FCシステム4の追従性が蓄電システム6と同様に高い場合には、蓄電システム6の電力減量を先行させ、蓄電システム6で対応しきれない電力分をFCシステム4の電力減量で対応すればよい。これにより、電力追従の速度および減量の即応性を高めることができる。
【0080】
この実施の形態において、図7は、他の充電制御を示している。図6では、既述の通り、所定の時間間隔で充電量調整が行われているのに対し、図7では、常時追従方式による電力推移を示している。
【0081】
この追従方式においても、原則的な動作はインターバル判定方式の動作と同じであるが、連続的な電力推移を呈するとともに判定の閾値が異なっている。具体的には、インターバル時間が極めて短く、充電量PCの増減幅が小さく、送出電力PAの出力判定値PnがFCシステム4が必要とする系統電源10の最小電力Psに近づき、また、送出電力PBの出力判定値PmがFCシステム4の定格出力Poに近づく傾向となる。
【0082】
<第1の実施の形態の特徴および効果>
【0083】
(1) 蓄電システム6の送出電力PA(電流)を計測する電流センサ16−3、FCシステム4の送出電力PBを測定できる電流センサ16−2、連系充電回路8の送出電力(つまり、充電電力:電流)を測定できる電流センサ16−4を備え、送出電力PA、PBの組み合わせにより動作モードを決定することができる。送出電力により、蓄電池20の充電量PCを監視できる。
【0084】
(2) 送出電力PA、PBによる動作モード条件で、蓄電池20の充電量PCを調節することができる。
【0085】
(3) これにより、FCシステム4を定格電力ないしその近傍値で発電させることができ、効率良く、停電時の給電時間をより延長させることができる。
【0086】
(4) 断続的にFCシステム4の発電の有無を判定することにより、FCシステム4が停止していれば、蓄電池20に対する連系充電回路8からの充電を停止し、FCシステム4が発電していれば、蓄電池20に対する連系充電回路8からの充電を継続している。これにより、効率的な充電が可能となる。ひいては、FCシステム4の停止時、充電停止により停電時の給電時間をより長く維持することができる。
【0087】
(5) 以上により、FCシステム4による蓄電池20の充電を効率的に行わせ、かつ、充電量PCの最大化を図ることができ、結果的に蓄電池20には停電時の蓄電量PCを維持できる。これにより、電力負荷14に対する電力供給の長時間化を図ることができる。
【0088】
(6) 斯かる構成によれば、FCシステム4に変更を加えることなく、既存のシステムを利用し、動作の高機能化を実現できる。
【0089】
〔第2の実施の形態〕
【0090】
<システム構成>
【0091】
図8は、第2の実施の形態に係る給電システムを示している。図8において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0092】
この実施の形態のFCシステム4では発電部26および制御部28が含まれる。発電部26は、燃料電池、太陽光パネルなど、いずれの発電手段であってもよい。このFCシステム4の発電出力が配電系統12から電力負荷14に給電される。制御部28はコンピュータで構成され、発電部26の発電時などの発電動作を制御する。
【0093】
この制御部28には配電系統12にある電流センサ16−1の検出出力が制御入力として加えられている。したがって、制御部28は電流センサ16−1の出力を受け、発電部26の発電量を制御する。
【0094】
蓄電システム6には、電流センサ16−3、蓄電池20、INV22および制御部30が含まれる。蓄電池20は充放電が可能な二次電池の一例である。INV22は蓄電池20の出力を交流出力に変換し、配電系統12に出力する。制御部30はコンピュータで構成され、連系回路18にある電流センサ16−2の出力が制御入力として加えられる。系統電源10の停電時、電流センサ16−2の電流値でFCシステム4が発電状態であるか否かを検出する。FCシステム4の発電時、蓄電システム6は蓄電池20の充電を開始する。
【0095】
この蓄電池20の充電には、連系充電回路8が用いられる。この連系充電回路8には電流センサ16−2、A/D24、充電経路32、充電切替部34および制御部36が含まれる。充電経路32はFCシステム4の発電出力をA/D24に供給し、A/D24の変換出力を蓄電システム6の蓄電池20に供給する。
【0096】
充電切替部34は制御部36の出力により、既述の動作モードI、IIまたはIII に制御される。
【0097】
制御部36は電流センサ16−2、16−3、16−4の測定出力を受け、第1の実施の形態で示した動作モード選択出力を発生する。これにより、充電切替部34が制御される。この制御により、蓄電池20の充電制御により、充電量PCが調整される。
【0098】
斯かる構成によれば、第1の実施の形態で述べた蓄電池20の充電制御を実現することができる。
【0099】
図9は、制御部36のハードウェアの一例を示している。既述のように、制御部36はマイクロコンピュータにより構成されている。この制御部36にはプロセッサ38、メモリ40、RAM(Random-Access Memory)42および入出力部44が含まれ、これらはバス46で連系されている。
【0100】
プロセッサ38はメモリ40に格納されているOS(Operating System)などの各種のプログラムを実行する。このプロセッサ38では入出力部44に電流センサ16−2、16−3、16−4の検出出力により、充電切替部34をFCシステム4の発電時に動作モードI、IIまたはIII(IIIaまたはIIIb)に制御し、FCシステム4の動作停止時に充電を停止する制御出力を発生する。
【0101】
メモリ40には既述のOSなどのプログラムが格納されている。RAM42は情報処理のワークエリアを構成する。入出力部44は電流センサ16−2、16−3、16−4の検出出力の入力や、制御出力の取出しに用いられる。このメモリ40には既述の判定情報テーブル25(図4)が格納される。
【0102】
<第2の実施の形態の効果>
【0103】
(1) この実施の形態によれば、送電電力PA、PBを用いた既述の条件により、蓄電池20の充電量を調整できる。また、FCシステム4の発電またはその送出電力PBの有無を断続的に判定し、この判定に基づき、FCシステム4が発電していれば、蓄電池20の充電を継続し、FCシステム4が発電を停止していれば、蓄電池20の充電を停止するので、蓄電池20の充電を効率的に行うことができるなど、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。つまり、蓄電池20の電力損失の増加や、蓄電池20の蓄電量の減少などの不都合を回避でき、停電時、給電の継続性および長時間化を図ることができる。
【0104】
(2) FCシステム4の発電電力以上に充電量が多い場合、蓄電システム6の蓄電池20の放電量の増大や、蓄電システム6の放電電力に対する充電量の増大に伴う充電過程での電力損失が増大するといった不都合を回避できる。蓄電池20に対する効率的な充電制御が得られる。
【0105】
(3) 蓄電池20の充電量が少なく、その充電量がFCシステム4の定格電力未満の場合にはより多くの充電が可能であり、蓄電量の確保ができるのに充電量が不十分となる不都合を回避できる。つまり、蓄電池20に対する適正な充電を行うことができる。
【0106】
(4) 連系充電回路8の送出電力による蓄電池20の充電開始後、FCシステム4が停止した場合には、連系充電回路8による充電を即座に停止できる。これにより、電力損失の増加を抑制でき、充電を継続することが原因で蓄電池20の蓄電量を減少させてしまうといった不都合を回避できる。これにより、蓄電池20に対する充電の信頼性を高めることができる。
【0107】
(5) 以上により、電力負荷14に対し、電力を供給しながら、蓄電池20の充電を適正に行い、FCシステム4の発電を継続させ、給電時間を延長させることができる。
【0108】
〔他の実施の形態〕
【0109】
図10に示すように、表示部48を備えてもよい。この表示部48には制御部36から表示出力を付与することにより、停電状態か給電状態か、FCシステム4の動作状況、動作モードの切替えやその推移、蓄電池20の蓄電量およびその推移を表示してもよい。
【0110】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明では、既存のFCシステムなどの発電ユニットや、蓄電システムなどの蓄電ユニットを利用し、蓄電ユニットにある蓄電池を発電ユニットの発電出力で充電する。この充電には、蓄電ユニットの送出電力、発電ユニットの送出電力を参照することにより、効率的な充電を実現しており、停電時、長時間の給電が可能である。
【符号の説明】
【0112】
2 給電システム
4 FCシステム
6 蓄電システム
8 連系充電回路
10 系統電源
12 配電系統
14 電力負荷
15 電圧センサ
16−1、16−2、16−3、16−4 電流センサ
18 連系回路
20 蓄電池
22 インバータ
24 AC−DCコンバータ
26 発電部
28 制御部
30 制御部
32 充電経路
34 充電切替部
36 制御部
38 プロセッサ
40 メモリ
42 RAM
44 入出力部
46 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10