(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る熱間プレス装置を、好ましい実施例である一対の金型(パンチ1、ダイ41)やその変形例などにより
図1〜
図19を参照して説明する。
以下に説明する熱間プレス成形装置は、被成形品である鋼板を所定形状(この例ではハット形状)に熱間プレス成形して熱間プレス製品Ws(以下、単に製品Wsとも称する)を得るものである。
ここで製品Wsは、熱間プレス成形で得られる成形品を意味し、熱間プレス成形後の別の工程で、更に加工(溶接や穴明け加工等)を施すこともあり得るものである。
一対の金型は、凸型であるパンチ1と凹型であるダイ41との組であり、パンチ1が下型とされている。もちろん、パンチ1を上型とし、ダイ41を下型としてもよい。
【0014】
まず、パンチ1について
図1〜
図5を参照して説明する。以下の説明では、理解容易のため、
図1に示された矢印の方向を上下前後左右の各方向と規定する。
図1は、パンチ1を前方右斜め上から見た斜視図である。
図2は、パンチ1の上面図である。
図3は、パンチ1を右方から見たときの後方上端部の部分側面図である。
図4は,パンチ1の前面図である。
図5は、
図1における範囲A1を切り出して、前方右斜め上から見た斜視的断面図である。
【0015】
パンチ1は、上面1a1及び前後左右の各側面1a2〜1a5を有して直方体状に形成された基部1aと、上面1a1の左右方向の中央部において、前後方向に延在すると共に上方に突出して形成された凸部1bと、を有している。
凸部1bは、上面1b1,左側面1b2,及び右側面1b3と、前側面1b4及び後側面1b5とを有して直方体状に形成されている。
凸部1bにおいて、前側面1b4は基部1aの前側面1a2と同一面であり、後側面1b5は、基部1aの後側面1a3と同一面である。
【0016】
基部1aの上面1a1と、凸部1bの左側面1b2及び右側面1b3と、が連結する部位、すなわち、前後に延びる入隅部位は、それぞれR付けされたフィレット部R1,R2となっている。また、凸部1bの突出先端側の前後に延びる左右一対の出隅部位(稜線部位)も、R付けされたフィレット部R3,R4となっている。このフィレット部R3,R4が形成された部分を、肩部K1とも称する。
【0017】
基部1aの上面1a1における側面1a2〜1a5側の縁部と、凸部1bにおける前側面1b4及び後側面1b5側の縁部と、は、熱間プレス成形において、
被成形材Wが接触しない非形成面1c1となる。この非形成面1c1が表面となる部位を、非形成部1cと称する。
非形成面1c1は、上方から見た場合枠状に視認される(
図2参照)。
【0018】
一方、非形成面1c1に囲まれた範囲が、熱間プレス成形において、所定形状である被成形材Wの最終曲げ形状に対応した形状を有する面となり、以下、形成面1d1と称する。
すなわち、形成面1d1は、基部1aの上面1a1、並びに、凸部1bの上面1b1,左側面1b2,及び右側面1b3に跨り、各面の一部を含む面である。この形成面1d1が表面となる部位を形成部1dと称する。
【0019】
パンチ1は、前側面1b4と後側面1b5とを前後方向に連通するよう形成された複数(この例では八個)の貫通孔1eを有している。
貫通孔1eの具体的な形成位置は、
図4に示されるように、形成面1d1から概ね一定距離離れた位置である。すなわち、パンチ1を右方から見た場合に、外形形状(表面)に沿うように配設されている。
貫通孔1eは、パンチ1自体を冷却するための冷却水管として機能し、熱間プレス成形時に、水などの冷媒が常時循環的に流入される。
【0020】
パンチ1は、貫通孔1eよりも形成面1d1に近い位置に、前側面1b4と後側面1b5とを前後方向に連通するよう貫通形成された複数の冷媒流路1fを有している。
この例では、左方側から順番に、冷媒流路1f1〜1f13の13個が形成されている。
【0021】
すべての冷媒流路1fは、
図4において、形成面1d1の左右方向の範囲内に配設されている。詳しくは、基部1aの上面1a1(凸部1bを挟んで一対)と、凸部1bの左側面1b2,上面1b1,及び右側面1b3と、のそれぞれの面に対応し、各面から概ね同じ距離離れた位置に形成されている。
具体的には、
図4に示されるように、左方側の上面1a1に対応して冷媒流路1f1,1f2が形成され、凸部1bの左側面1b2に対応して冷媒流路1f3〜1f5が形成され、凸部1bの上面1b1に対応して冷媒流路1f6〜1f8が形成され、凸部1bの右側面1b3に対応して冷媒流路1f9〜1f11が形成され、右方側の上面1a1に対応して冷媒流路1f12,1f13が、形成されている。
【0022】
形成部1dの少なくとも一部の領域には、前後方向に延在する溝2(以下、便宜的に縦溝2と称する)と、縦溝2と交わる溝5(以下、便宜的に横溝5と称する)と、が形成されている。
パンチ1においては、形成部1dの概ね全範囲に亘り、縦溝2及び横溝5が格子状に形成されている。
縦溝2は、凸部1bの延在方向(前後方向)に沿って複数本が並設されている。
パンチ1では、左方側から縦溝201〜縦溝213の13本の縦溝2が互いに平行に設けられている。
【0023】
縦溝201〜縦溝213は、それぞれ冷媒流路1f1〜1f13に対応した位置に設けられている。
また、
図4に示されるように、縦溝201〜縦溝213と冷媒流路1f1〜1f13とをそれぞれ連通させる連通路3(連通路301〜313)が設けられている。連通路301〜313は、形成面1d1に対して概ね直交する方向に形成されている。
連通路301〜313は、縦溝201〜213においてそれぞれ開口部3a(301a〜313a)で開口している。
【0024】
連通路3及び開口部3aは、冷媒流路1fの延在方向に複数形成されている。
この形成態様について、例えば最右の冷媒流路1f13を代表として、
図1及び
図3を主に参照し説明する。
すなわち、冷媒流路1f13と縦溝213とを連通する連通路3は、前方側から順に昇順で連通路31301〜31312として形成され、それぞれ開口部3a(開口部313a01〜313a12)にて縦溝213に開口している。
図2では、代表として、開口部313a01,313a07,313a12などの符号を記載してある。
他の冷媒流路1f1〜冷媒流路1f12についても、符号付与の仕方は同様である。
パンチ1では、開口部3aの前後方向の間隔P01(
図2参照)はすべて同じとされている。
【0025】
パンチ1には、各縦溝2の、前方から同番目の連通路3を左右方向に繋ぐ連通溝である横溝5が形成されている。換言するならば、連通路3は、格子状に形成された縦溝2と横溝5との交点に形成されている。すなわち、開口部301a01〜313a12は、12行13列の格子の交点に形成されている。
従って、例えば、左方から6番目(6列目)の縦溝206に形成された前方から7番目(7行目)の連通路3及び開口部3aは、連通路30607及び開口部306a07との符号付けにより特定される(
図2参照)。
このように、実施例のパンチ1では、12行13列で、合計156箇所に連通路30101〜31312が設けられている。
【0026】
横溝5は、上述のように、左右方向に延在して形成されている。また、横溝5は、パンチ1において、すべての縦溝201〜213に交わり、前方側から昇順で横溝501〜512の12本が形成されている。
これら12本の横溝5は、パンチ1において互いに平行に、かつ縦溝2に直交するように形成されている。
【0027】
隣接する横溝5の間(前後方向間)には、中間横溝6が形成されている。パンチ1では、隣接する横溝5の間に3本の中間横溝が形成され、各中間横溝6は、縦溝201〜213すべてに交わる連通溝として形成されている。また、各中間横溝6は、横溝5に平行に形成されている。
各中間横溝6を詳細区別するために付与する符号は、
図2における中間横溝60506の例示や、
図3における中間横溝61112等の例示のようになる。
すなわち、中間横溝6が、前方から5本目の横溝505と6本目の横溝506との間にある場合、符号を60506と付与し、11本目の横溝511と12本目の横溝512との間にある場合、61112と付与する。
また、パンチ1では、横溝501よりも前方側に1本の中間横溝60001が形成され、横溝512よりも後方側に1本の中間横溝61213が形成されている。
【0028】
図5は、縦溝2,横溝5,中間横溝6,開口部3a,連通路3,及び冷媒流路1fの立体的構造を説明するための図である。具体的には、
図1における範囲A1を、ある深さで切り出して前方斜め右上から斜視的に見た図である。
図5には、縦溝207と横溝503との交点部位と、冷媒流路1f7と、を繋ぐ連通路30703,縦溝208と横溝503との交差部位と、冷媒流路1f8と、を繋ぐ連通路30803,及び中間横溝60304などが示されている。
連通路30703及び連通路30803は、それぞれ開口部307a03及び開口部308a03で外部に開口している。開口部3aの内径(又は開口部3aの外接円径)は、例えば4mmで形成される。この内径は、
図5及び
図3などの記載では、縦溝207,208や横溝503の幅よりも大きく設定されているが、限定されるものではなく、相対的に小さく設定されていてもよい。
【0029】
上述した縦溝2,横溝5,及び中間横溝6の形成方法は限定されない。例えば、電解加工、化学的エッチング、カッタによる切削加工、等により形成することができる。
縦溝2,横溝5,及び中間横溝6のいずれかが、複数ある場合は、互いに平行に設けると、冷却ムラをより抑制できるので好ましい。
【0030】
また、縦溝2,横溝5,及び中間横溝6の断面形状は、各図において矩形で記載されているが、矩形に限定されない。半円状、円弧状、三角状、台形状、等任意の断面形状とすることができる。各溝をカッタを用いて形成することは、任意の断面形状がカッタの先端の刃形状に応じて得られる点で好ましい。
各溝の断面形状は、矩形の場合、例えば幅2.0mm、深さ0.5mmとされる。
【0031】
上述の、縦溝2,横溝5,中間横溝6,及び開口部3aと、それらの溝により区切られ溝に対して相対的に凸状となる突出部Ts(
図5参照)と、が形成された範囲を、以下、冷媒流通部Fと称することにする。上述のように、パンチ1では、冷媒流通部Fは、形成面1d1のほぼ全面とされている。
パンチ1において、縦溝2に対して横溝5及び中間横溝6は直交し、かつ各溝の断面形状が矩形とされているので、突出部Tsは扁平の直方体を呈する。具体的な寸法例は、例えば長さ(長手延面距離)25mm、幅2.0mm、高さ0.5mmである。
【0032】
冷媒流通部Fにおける縦溝2,横溝5,及び中間横溝6、並びに、開口部3aの成す配置パターンについて、模式的平面図である
図6を参照して説明する。
図6では、3本の縦溝2とそれぞれに対応する3本の冷媒流路1fとを有する範囲(冷媒流通部F1)について説明する。
図6では、理解容易のために、縦溝2を太実線で、また、中間横溝6を細実線で示している。従って、この太細は、各溝の幅を制限するものではない。
【0033】
上述のように、パンチ1では、内部に複数の冷媒流路1fが並設されており、冷媒流路1fと形成面1d1とを連通する連通路3が、各冷媒流路1f毎にその冷媒流路1fに沿って複数形成されている。
冷媒流通部F1において、一つの冷媒流路1fに連通した複数の連通路3は、形成面1d1に前後方向一列に並んだ複数の開口部3aにて外部空間に連通している。この開口部3aの一列は、形成面1d1に形成された縦溝2の底部を含むように開口している。すなわち、開口部3aの一列を繋ぐように縦溝2が形成されている。
【0034】
また、一つの冷媒流路1fに沿って前後方向一列に並んだ開口部3aを繋ぐ縦溝2において、ある開口部3aとそれに隣接する開口部3aとの間に、隣の縦溝2と繋がっている中間横溝6が少なくとも1本存在している。
例えば、隣の縦溝2が一方側と他方側との二つ存在する場合(
図6の縦溝2Lと縦溝2R)は、中央の縦溝2Cから縦溝2L及び縦溝2Rの内の少なくとも一方に繋がる中間横溝6が存在する。
中間横溝6は、3本以上の縦溝2に繋がっていてもよく、
図6では、3本の縦溝2L,2C,2Rすべてに繋がっている中間横溝6pが例示されている。
【0035】
開口部3aを通る横溝5は、形成されていることが望ましいが、形成されてなくてもよい。形成されている場合、それは中間横溝6とみなさない。
図6は、横溝5が形成されていない場合が示されている。
縦溝2,横溝5,及び中間横溝6に区切られた部分は、突出部Tsであり、
図6で示されたように、突出部Tsの形状は互いに異なっていてもよい。
【0036】
上述の、パンチ1における冷媒流通部F,貫通孔1e,及び冷媒流路1f等と同様の構成を、パンチ1と組を成す金型であるダイ41に設けてもよい。
図7は、冷媒流通部F41,貫通孔41e,及び冷媒流路41fを備えたダイ41を示す斜視図である。冷媒流通部F41は、冷媒流通部Fに相当し、貫通孔41eは貫通孔1eに相当し、冷媒流路41fは冷媒流路1fに相当する。
ダイ41は、ここでは上型として例示されるが、もちろん下型として用いられてもよい。
【0037】
ダイ41における冷媒流通部F41は、13本の冷媒流路41fと、13本の縦溝2と、12本の横溝5と、156箇所に形成された連通路3及び開口部3aと、隣接する2本の横溝5の間に形成された3本の中間横溝6と、を有し、冷媒流通部Fと同様の配置パターンを形成している。
図7では、符号の代表として縦溝201,213と、横溝501,510と、開口部302a03と、を表記してある。
【0038】
次に、パンチ1を用いた熱間プレス成形の際に、パンチ1の冷媒流通部Fに対して冷媒RBの導入回収を行う冷却システムRMについて、
図8を参照して説明する。
この冷却システムRMは、ダイ41の冷媒流通部F41に対して冷媒RBの導入回収を行う場合にも適用される。
【0039】
図8は、パンチ1の冷媒流通部Fと、冷媒循環装置JSと、冷媒流通部Fに冷媒RBを導入するための導入配管7と、導入した冷媒RBを冷媒流通部Fから回収するための回収配管8と、を含む冷却システムRMを模式的に示した図である。
また、冷媒流路1fとして、冷媒流路1f1〜1f4及び冷媒流路1f11〜1f13の7個が代表として記載されている。
冷媒流路1f以外の外部空間に開口する連通路3等は、省略してある。
【0040】
図8に示されるように、導入配管7は、一方側が冷媒循環装置JSに接続され、他方側が途中で分岐して偶数番目の冷媒流路1f(以下、冷媒流路1feと称する)に接続されている。
すなわち、冷媒流路1feは、冷媒流路1f2,1f4,1f6,・・・,1f12である。
一方、回収配管8は、一方側が冷媒循環装置JSに接続され、他方側が途中で分岐して奇数番目の冷媒流路1f(以下、冷媒流路1fueと称する)に接続されている。
すなわち、冷媒流路1fueは、冷媒流路1f1,1f3,1f5,・・・,1f11,1f13である。
冷媒循環装置JSは、冷媒RBを導入配管7へ供給し回収配管8から回収して循環させる。
【0041】
図8に示されるように、冷媒循環装置JSは、パンチ1の貫通孔1eに対しても、導入配管7e及び回収配管8eを介して冷媒(水など)を循環供給する。
【0042】
ダイ41に、冷媒流通部Fに相当する冷媒流通部F41が形成されている場合は、パンチ1と同様に冷媒循環装置JSが接続されている。
また、冷媒循環装置JSは、ダイ41の貫通孔1eに対して、プレス成形実行中、冷媒(水など)を常時循環供給する。
【0043】
冷媒循環装置JSは、冷媒流通部F(F41)に対して、プレス成形工程において、上型が下死点位置に維持された状態での所定時間のみ冷媒RBを循環導入し、貫通孔1eに対しては、プレス成形実行中、常時循環導入させる。
この上型の上下動は駆動装置(図示せず)により実行され、駆動装置及び冷媒循環装置JSの動作は、制御装置(図示せず)により制御される。
【0044】
次に、パンチ1及びダイ41により、被成形材W(例えばアルミめっき鋼板)をハット曲げ加工する際の熱間プレス成形工程について、
図9を参照して説明する。
以下に説明する例は、パンチ1及びダイ41に、それぞれ冷媒流通部F及び冷媒流通部F41を設け、各冷媒流通部F,F41に冷媒循環装置JSを接続して冷媒の導入回収を行う熱間プレス成形装置での例である。
図9では、簡略化してパンチ1,ダイ41,及び被成形材Wのみが示されている。また、工程を
図9(a)〜(d)の四工程に分けこの順で説明する。
【0045】
A1) 被成形材Wの挿入工程<
図9(a)参照>
予めパンチ1及びダイ41を、冷媒循環装置JSにより、冷却水管である貫通孔1e,41eに水を循環流入させて冷却しておく。この冷却により、パンチ1及びダイ41は、成形中、例えば100℃以下に維持される。
冷媒循環装置JSによる冷媒流通部F,F41への冷媒RBの導入は停止しておく。
この金型冷却状態で、予め約900℃に加熱した被成形材Wを、パンチ1とダイ41との間に挿入する。
【0046】
A2) 塑性加工及び焼き入れ工程<
図9(b)参照>
ダイ41を下降させ、被成形材Wを金型の形状に応じた形状に塑性変形させる。ダイ41が下死点に達したら、その位置で所定時間維持させる。
この所定時間内で被成形材Wを急冷し、焼き入れを行う。
すなわち、ダイ41が下死点に達したら、冷媒循環装置JSは冷媒流通部F,F41に対して冷媒RBの循環導入を開始する。
急冷は、被成形材Wと、パンチ1及びダイ41と、の直接接触による抜熱に加え、冷媒流通部F,F41の縦溝2,横溝5,及び中間横溝6に冷媒RBを循環的に導入させることによる冷媒RBと被成形材Wとの直接接触による抜熱でも行う。冷媒流通部Fへの冷媒RBの導入については、詳細を後述する。
被成形材Wと直接接触するパンチ1及びダイ41の部位は、冷媒流通部F,F41における突出部Tsである。
この冷媒RBを併用した抜熱により、被成形材Wの冷却速度は顕著に高速化し、焼き入れは短時間で完了する。例えば、焼き入れが数秒で完了し、上型の下死点保持時間を10秒以下とすることができる。被成形材Wは、塑性変形及び焼き入れにより製品Wsとなる。
冷媒循環装置JSは、冷媒流通部F,F41への冷媒RBの循環導入を所定時間実行後、停止する。
この循環導入を行う所定時間は、冷媒RBの導入開始から被成形材Wの温度が、例えば約200℃以下になるまでの時間であり、本生産前の試打ち段階で最適な冷却プロファイルとなるように、導入する冷媒RBの流量や温度等を含めて設定しておく。
【0047】
A3)離型工程<
図9(c)参照>
冷媒流通部F,F41への冷媒RBの循環導入の所定時間が経過して導入を停止したら、ダイ41を上昇させ、パンチ1側から離隔させる。この工程で製品Wsがパンチ1側に残るように、製品Wsのパンチ1への食いつき具合や、ダイ41の抜け具合等は試打ち段階で予め調整しておく。
【0048】
A4)製品Wsの排出工程<
図9(d)参照>
ダイ41をさらに上昇させて、製品Wsを図示しない排出装置によりパンチ1から取り出して外部へ排出する。
以上の工程で、被成形材Wの熱間プレス成形が実行され製品Wsが得られる。
【0049】
次に、
図10〜
図12を参照し、冷媒流通部Fへの冷媒RBの導入について詳細を説明する。
図10は、
図9(b)における冷媒流路1f,41fに沿ったS1−S1位置での断面図であり、
図11は、
図9(b)の状態において、
図2の横溝5及び中間横溝6の横断面となるS2−S2位置に相当する断面図である。
また、
図12は、冷媒RBの流れを説明するために冷媒流通部Fの一部を模式的に示した平面図である。ここでは、一本の冷媒流路1feに連通する縦溝2(207)と両隣の一対の冷媒流路1fueに連通する縦溝2(206,208)とを含む領域(すなわち、縦溝206〜208と横溝504〜506を含む
図2における領域A2)が示されている。
【0050】
図10には、下型のパンチ1と下死点位置で維持されている上型のダイ41と、パンチ1とダイ41との間に挟まれた被成形材Wとが、示されている。
冷媒流路1f,41fは、偶数番目の冷媒流路1fe,41feであり、冷媒循環装置JSから冷媒RBが供給される。供給された冷媒RBの流れは矢印で示されている。(
図10において、冷媒循環装置JSは、冷媒流路1fe,41feの左方側に連結されているものとする。)
冷媒流路1fe,41feを流れる冷媒RBは、連通路3に流入し開口部3aから縦溝2又は横溝5に進入する。
【0051】
図10において縦溝2は、被成形材Wの直上及び直下において図の左右方向に延在して示されている。
また、縦溝2には、その縦溝2に直交するように(紙面表裏方向)、横溝5及び中間横溝6が連通形成されている。
具体的には、貫通孔3が形成された部位には横溝5が連通し、隣接する二本の横溝5の間には3本の中間横溝6が連通形成されている。
横溝5と中間横溝6との間、及び、中間横溝6同士の間の部分が突出部Tsである。パンチ1及びダイ41は、この突出部Tsにおいて被成形材Wと直接接触している。
図10において、突出部Tsは、簡単のためパンチ1及びダイ41それぞれに一箇所ずつ符号を記載してある。
【0052】
この上型であるダイ41の下死点位置での維持状態において、縦溝2,横溝5,及び中間横溝6は、各溝の開口側が被成形材Wで塞がれているので、被成形材Wと共にそれぞれの溝の延在方向に延びる細長い空間を形成する。この空間内を冷媒RBは流動する。
例えば、冷媒流路1fe,41feから開口部3aを経て縦溝2に流入した冷媒RBは、次いで紙面前後方向に連通した中間横溝6に流入する。
すなわち、開口部3aから噴出した冷媒RBは、縦溝2を経由するしないにかかわらず、すべて横溝5又は中間横溝6へ流入し隣接する縦溝2に向かって流動する。例えば、
図11の切断位置(
図2におけるS2−S2位置)では、紙面裏側から表側に向けて流れる。
【0053】
図12は、縦溝2,横溝5,及び中間横溝6における冷媒RBの流動状態を説明する模式的平面図である。
図12では、単純化のため、溝それぞれを一本の実線で示し、冷媒が噴出する開口部3a(以下、噴出開口部3afと称する)を白丸で示し、冷媒が排出する開口部3a(以下、排出開口部3ahと称する)を黒丸で示し、冷媒RBの流動方向を矢印で示してある。
【0054】
冷媒流通部F,F41において、隣接する2本の縦溝2は、一方の縦溝2には導入配管7に連通する噴出開口部3afのみが開口し、他方の縦溝2には回収配管8に連通する排出開口部3ahのみが開口している。
従って、縦溝2に交わる横溝5には、噴出開口部3afと排出開口部3ahとが交互に開口している。
このように、冷媒RBを噴出する噴出開口部3afの近傍に、冷媒RBを排出する排出開口部3ahが存在するようになっている。
【0055】
そのため、噴出開口部3afから直ちに横溝5に流入した冷媒RBは、極めて短距離で隣接する排出開口部3ahに到達し、排出開口部3ahから回収配管8へと排出される。
また、噴出開口部3afから縦溝2(207)に流入した冷媒RBは、縦溝2(207)における隣の噴出開口部3afよりも近くにその縦溝2(207)に連通する中間横溝6が形成されているので、直ちに中間横溝6に流入して隣接する縦溝2(206又は208)に到達する。
すなわち、中間横溝6が形成されていることで、隣接する2つの噴出開口部3afから縦溝2(207)へそれぞれ他方の噴出開口部3afに向かうように流入した冷媒RBは、2つの噴出開口部3afの中間でぶつかり合って滞留することなく中間横溝6へ流入し、淀むことなく隣接する縦溝2(206又は208)に転入することができる。
【0056】
冷媒RBが縦溝2(207)から転入した縦溝2(206及び208)には、排出開口部3ahのみが形成されている。そのため、転入した冷媒RBは、その流れが乱れたり滞留することなく迅速に排出開口部3ahに到達し、回収配管8へと排出される。
【0057】
このように、冷媒流通部F1,F41は、冷媒RBを噴出する噴出開口部3afのみを有する縦溝と、冷媒RBを排出する排出開口部3ahのみを有する縦溝と、が交互に並設されている。また、一つの縦溝において隣接する二つの開口部3aの間に、必ず隣の縦溝に繋がる中間横溝6が形成されている。
従って、冷媒RBが噴出する噴出開口部3afから排出する排出開口部3ahに至る冷媒流路長が、極めて短くなっている。
【0058】
また、縦溝2及び中間横溝6(横溝5が形成されている場合は横溝5も含む)それぞれを流れる冷媒RBの流動方向が定まるので、流れに淀みが生じることがなくその流れは高速となる。
従って、冷媒RBが噴出開口部3afから噴出して排出開口部3ahから排出されるまでの時間が極めて短くなる。
【0059】
すなわち、噴出開口部3afから噴出した冷媒RBが排出開口部3ahから排出されるまでの、流動長及び冷媒RBと被成形材Wとの接触時間が、極めて短くなっている。また、冷媒RBの流動方向が定まり滞留が生じないので、流動速度が高速化する。
そのため、接触時間内の冷媒RBの温度上昇は良好に抑えられ被成形材Wからの抜熱効率が向上する。
また、高温の被成形材Wに対し、充分に冷たい冷媒RBが常に接触することになり、被成形材Wの冷却速度が高速化する。
従って、製品Wsの熱間プレス成形において高い生産性が得られる。
また、冷媒RBが被成形材Wの表面全体に偏りなく高速で到達するので、被成形品に冷却ムラが生じない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
【0060】
冷媒流通部F1,F41は、熱間プレス成形におけるパンチ1やダイ41の表面の温度分布や冷却速度分布に応じ、必要な範囲に適宜設けることができる。
従って、例えば、冷媒流通部F,F41は、形成面1d1の範囲内において、独立して複数設けてもよい。
【0061】
形成する製品形状によっては、ダイ41の肩の部分(出隅のR部分:以下、肩部K41と称する。
図7参照)に溝があると、成形の際に溝が食い込んでかじりが生じたり、製品Wsに溝の擦れ跡がつく場合がある。
これらの溝に起因する不具合を回避するため、冷媒流通部F41は、形成面1d1における肩部K41には設けなくてもよい。
これが、形成面1d1に冷媒流通部F,F41を独立して複数設ける例の一つとなり、
図13及び
図14を参照して説明する。
【0062】
図13は、肩部K41に冷媒流通部F41を形成していないダイ41Aを示す斜視図である。
図14は、ダイ41Aの前面図である。
ダイ41Aでは、冷媒流通部F41は、肩部K41を挟んで三つの部分、すなわち、冷媒流通部F41a〜F41cとして形成されている。
図14では、冷媒流通部F41a〜F41cが形成されている左右方向の範囲が矢印で示されている。
また、冷媒流路1fは、延面上、左側から順に、冷媒流路1Af1〜1Af11の11本が形成されている。
偶数番目の冷媒流路1feには、導入配管7が接続されて冷媒循環装置JS(
図13には不図示)から冷媒RBが導入され、奇数番目の冷媒流路1fueには、回収配管8が接続されて冷媒循環装置JSへ冷媒RBを排出するようになっている。
【0063】
ダイ41Aでは、肩部K41に対応する位置にある冷媒流路1Af2と冷媒流路1Af10とのそれぞれには、隣接する二つの冷媒流通部に連通する連通路3が形成されている。
具体的には、冷媒流路1Af2には、冷媒流通部F41aの右端部に連通する連通路3Aaと、冷媒流通部F41bの左下端部に連通する連通路3Ab1と、が形成されている。
また、冷媒流路1Af10には、冷媒流通部F41bの右下端部に連通する連通路3Ab2と、冷媒流通部F41cの左端部に連通する連通路3Acと、が
形成されている。
すなわち、隣接する冷媒流路部との間で、冷媒流路を共有するようになっている。
これにより、冷媒流路1Afの本数を少なく(ダイ41Aでは2本削減)することができ、ダイ41Aの製造コストを低減することができる。
【0064】
上述の、隣接する冷媒流通部間において、最も近い一対の縦溝2に対応する冷媒流路を共用する構成は、パンチ1においても同様に適用することができる。
また、隣接する冷媒流通部Fが同一平面内に分離して形成されている場合でも、同様に適用することができる。
【0065】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0066】
冷媒流通部Fは、全体が完全な格子状となるものに限定されない。例えば、冷媒流通部Fの一部に独立した縦溝を有して、他の部分のみが格子状になっているものでもよい。
この例として、熱間プレス製品の形状が、例えば長手方向の中央部位の幅が拡張する略船底形状とされた場合がある。この場合、冷媒流通部Fを、中央部の縦溝を独立して増やしたものとすることが可能である。
【0067】
図15は、中央部が幅広となる形成面1d1に冷媒流通部FVを設けた場合の模式的平面図である。溝及び開口部の記載様式は
図12と同様で、溝それぞれを一本の実線で示し、噴出開口部3afを白丸で示し、排出開口部3ahを黒丸で示してある。冷媒RBの流動については、代表的な流れについて矢印で示してある。この記載様式は、
図16〜
図19についても同様である。
図15に示される冷媒流通部FVは、図の上下両端部側に、4本の縦溝2V1〜2V4を有し、中央の幅広部分には、4本の縦溝に加えてその左右中央部位に独立した縦溝2V5を有している。縦溝2V5に横溝及び中間横溝は接続されていない。
また、縦溝2V5には、複数の開口部3aとして、冷媒RBが噴出する噴出開口部3afと排出する排出開口部3ahとが、延在方向に概ね等間隔で離隔して交互に形成されている。
この冷媒流通部FVは、各縦溝と内部に形成された図示していない冷媒流路1fとの連通形態が複雑になるが、製品形状によっては冷却効率の観点で有効であり、本発明の実施例における変形例として適用してよい。
【0068】
さらに、製品形状によっては、冷媒流通部Fをこの変形例から誘導される冷媒流通部FV2としてもよい。
冷媒流通部FV2は、
図16に示されるように、一つの溝と、その溝に互いに離隔して開口する複数の開口部と、からなる。複数の開口部は、噴出開口部3afと排出開口部3ahとが互いに離隔して交互に形成されている。この場合も、噴出する噴出開口部3afに対し排出する排出開口部3ahが近接し、各開口部間の溝を流れる冷媒の流動方向が定まるので、流れは淀むことなく高速となる。
従って、焼入れにおける被成形材Wの冷却速度が高速化して生産性が向上する。
また、冷媒流通部FV2の全体に高速で偏りなく冷媒RBが流通するので、冷却ムラが生じることがない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
【0069】
実施例の熱間プレス装置であるパンチ1及びダイ41において、冷媒流通部F,F41が並設された複数の溝を有する場合、隣接する溝同士の間隔は一定でなくてよい。また、互いに平行であることに限定されない。
【0070】
横溝5は必ずしも形成されていなくてよい。
図17に、横溝5を有していない冷媒流通部FV3を示す。
冷媒流通部FV3においても、図の中央の縦溝2において、隣接する2つの噴出開口部3afの間に、隣の縦溝2へ接続する中間横溝6が形成されている。
この中間横溝6は、隣の縦溝2において、隣接する2つの排出開口部3ahの間に繋げられている。
【0071】
連通溝である中間横溝6は、冷媒流通部Fのすべての縦溝2を繋ぐものでなくてよい。
図18に、隣接する一対の縦溝2のみを連結する中間横溝6を含む冷媒流通部FV4を示す。
【0072】
噴出開口部3af及び排出開口部3ahは、各縦溝2において任意の数及び任意の間隔で形成されていてよい。この変形例として、冷媒流通部FV5を
図19に示す。
この場合でも、同じ縦溝2において隣接する2つの噴出開口部3afの間に、隣の縦溝2において隣接する2つの排出開口部3ahの間に繋がる中間横溝6が必ず存在するようになっている。
【0073】
冷媒流通部FV3〜FV5は、噴出する噴出開口部3afに対し排出する排出開口部3ahが近接し、各開口部間の溝を流れる冷媒の流動方向が定まるので、流れは淀むことなく高速となる。
従って、焼入れにおける被成形材Wの冷却速度が高速化して生産性が向上する。
また、冷媒流通部FV3〜fV5の全体に高速で偏りなく冷媒RBが流通するので、冷却ムラが生じることがない。
従って、製品Wsに冷却ムラに起因する不具合が生じることはない。
【0074】
上述の実施例及びその変形例において、各溝の深さ,幅,断面形状は限定されず適宜設定することができる。また、各溝は直線状でなくて曲線状であってもよい。
各連通路3の断面形状及び流路面積は限定されず適宜設定することができる。
各開口部3aの開口形状及び開口面積は限定されず適宜設定することができる。
パンチ1及びダイ41の材料は、熱間プレス成形に用いられる一般的な鋼材を用いることができる。
冷媒RBは、上述の水に限定されず、冷媒を冷却に用いる熱間プレス成形で周知の冷媒(例えば、シリコーンオイルなど)を用いることができる。
【0075】
形成面1d1における、被成形材Wに接触する突出部Tsの面積と、冷媒RBが被成形材Wに接触する面積(すなわち、縦溝2,横溝5,及び中間横溝6の溝の開口面積)と、の比率は限定されず、適宜設定してよい。
また、被成形材Wを熱間プレス成形して得られた製品Wsにスポット溶接等の溶接を施す場合、上型が下死点に維持された状態で、被成形材Wの溶接が施される部位には突出部Tsが接触するように突出部Tsの位置を設定しておくことは好ましい。
溶接が施される部位に突出部Tsを接触させることで、その部位にいずれかの溝の縁部が接触して表面に凹凸が形成される虞を排除することができる。被成形材Wの表面に溝に起因する凹凸が形成されないので、製品Wsは溶接性が向上する。
【0076】
パンチ1の冷媒流通部F及びダイ41の冷媒流通部F41は、両方形成されているものに限定されず、一方側に設けられていればよい。
また、設けられている範囲やその形状も、被成形材Wを挟んで対応しているものに限らず、パンチ1側とダイ41側とで自由に設定してよい。
【0077】
実施例のパンチ1(又はダイ41)に設けられた冷媒流通部F1(又はF41)における、冷媒RBを排出する噴出開口部3afのみを有する縦溝2と、冷媒RBを排出する排出開口部3ahのみを有する縦溝2と、が交互に並設され、一つの縦溝における隣接する開口部3aの間に、必ず隣の縦溝に繋がる中間横溝6が形成されている、という構成は、冷媒流通部F1(又はF41)の全領域に亘って完全に適用されていなくてもよく、一部にのみ適用されていてもよい。少なくとも一部に適用されていれば、非適用の構成に対し、冷却速度が高速化して焼入れ時間が短縮し、生産性が向上するという効果が得られる。
【0078】
冷媒流路1fは、パンチ1の一面とその一面と対向する面とを貫通する孔でなく、一方の面のみに開口するいわゆるメクラ穴であってもよい。
【0079】
図8において、導入配管7が偶数番目の冷媒流路1f(以下、冷媒流路1feと称する)に接続され、回収配管8が奇数番目の冷媒流路1f(以下、冷媒流路1fueと称する)に接続されている例を説明したが、これに限定されず、導入配管7が奇数番目の冷媒流路1fueに接続され、回収配管8が偶数番目の冷媒流路1feに接続されていてもよい。
【0080】
実施例及びその変形例によれば、冷媒RBの流れにおいて、噴出開口部3afから噴出して排出開口部3ahから排出されるまでの間の方向転換(別の溝への転入)回数が極めて少ない。
具体的には、横溝5が形成されている場合、0(ゼロ)回(直接横溝5へ導入)又は2回(縦溝2−中間横溝6−隣接縦溝2)のいずれかで済む。
横溝5が形成されていない場合も、必ず2回(縦溝2−中間横溝6−隣接縦溝2)で済む。
従って、冷媒RBの流れが妨げられ難く、冷媒RBは淀みなく高速で流れる。
これは、複数本の縦溝2を設けた場合に、噴出開口部3afと排出開口部3ahとを異なる縦溝2に、交互に配設したことによる。
【0081】
冷媒RBの流れの高速化をより効果的に発揮させるために、各溝を曲線状とする場合、曲率が小さいなだらかな線状に形成することは好ましい。また、冷媒RBの流れの方向転換を鋭角とするのは、円滑な流れの妨げとなるので、方向転換が直角方向となるよう各溝の配設パターンを格子状にすることは、金型の形成工数削減のみならず、この冷媒RBの流れの高速化の観点からも好ましい。
【0082】
実施例及びその変形例によれば、冷媒RBの流れが高速化することから、縦溝2の並設間隔を必要以上に密にすることはない。すなわち、縦溝2の並設間隔を小さくするよりは、縦溝2の並設間隔を長くし、替わりに中間横溝6の本数を増やして中間横溝6の流路長さを長くする方が、冷媒RBの流れがスムースとなり、より高速化されるので好ましい。また、冷媒流路1fの数も減少方向なので、加工コスト低減の観点でも好ましい。
従って、突出部Tsの形状は、細長、すなわち、幅Dに対する長さ(延面距離)Lの比が大きい方が好ましい(L及びDは
図5参照)。例えば、10≦L/D であるとより好ましい。
【0083】
上述した実施例及びその変形例は、製品Wsの形状が略ハット状や略船底状以外の場合でも、同様に適用することができる。