特許第6093648号(P6093648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093648
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】水加熱容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   A47J27/21 101M
   A47J27/21 101D
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-105328(P2013-105328)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-226146(P2014-226146A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2015年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雅一
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−159459(JP,U)
【文献】 特表2007−532276(JP,A)
【文献】 実開昭55−055130(JP,U)
【文献】 特開2006−075290(JP,A)
【文献】 特開2000−184969(JP,A)
【文献】 特開昭60−068811(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0052516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00 − 36/42
A47J 41/00 − 41/02
G01F 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する樹脂材料からなる内容器と、当該内容器内の水を加熱する加熱機構と、前記内容器の外方を所定の間隔を隔てて覆う樹脂材料からなる外胴ケースと、当該外胴ケースの外方側部から前記内容器内の湯水の容量を目視可能な容量表示機構とを備えた水加熱容器であって、
前記容量表示機構が、前記内容器の側壁の少なくとも一部を構成する透過性材料からなる透視部と、当該透視部に対応する状態で前記外胴ケースに形成された透視用開口部と、前記内容器の湯水の容量を表示する容量目盛とを備え、当該容量目盛が、前記透視部を構成する透過性材料に設けられ
前記内容器と前記外胴ケースとの間隔を保持するリブが、前記内容器から前記外胴ケースに向けて一体的に突出形成されるとともに、前記外胴ケースの透視用開口部の縁部に、前記外胴ケースから前記内容器に向けて一体的に突出形成されている水加熱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を貯留する樹脂材料からなる内容器と、当該内容器内の水を加熱する加熱機構と、内容器の外方を所定の間隔を隔てて覆う樹脂材料からなる外胴ケースと、当該外胴ケースの外方側部から内容器内の湯水の容量を目視可能な容量表示機構とを備えた水加熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水を貯留する樹脂材料からなる内容器と、当該内容器内の水を加熱する加熱機構とを備えた水加熱容器としては、例えば、電気ケトルがあり、従来、外胴ケースを備えていない電気ケトル、つまり、水を貯留する内容器が外郭を構成する電気ケトルは公知である(例えば、特許文献1参照)。
しかし、このような構成の電気ケトルでは、加熱機構により内容器内の水を加熱した際、外郭を構成する内容器の温度が高くなるという課題が存在する。
かかる課題を解消するものとして、従来、内容器の外方を所定の間隔を隔てて樹脂材料からなる外胴ケースにより覆って二重構造とし、内容器と外胴ケースとの間に断熱用の間隔を設けた構成の電気ケトルも知られている(例えば、特許文献2参照)。
更に、内容器及び外胴ケースを備えた電気ケトルにおいて、外胴ケースの外方側部から内容器内の湯水の容量を目視可能な容量表示機構を備えたものも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−285170号公報
【特許文献2】特開2010−82383号公報
【特許文献3】特開2012−152603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に記載の電気ケトルでは、容量表示機構が、樹脂製の内カバーと透明な樹脂製の外カバーとを高周波溶着で一体化した容量表示用の特別な容器を備え、当該容器の上部及び下部を内容器に連通させた構成であるため、構造が複雑となってコストの面でも不利となる問題があった。
また、容量表示用の容器内には、内容器内の高温の湯水が入り込むことになるが、当該容量表示用の容器が外胴ケースに形成した開口部に嵌入して、当該容器の外面が外胴ケースの外面と面一に構成されているので、使用者が高温の容量表示用の容器に触れるおそれもあり、この点にも問題があった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂材料からなる内容器及び外胴ケースを備えた水加熱容器において、外胴ケースの高温化を抑制できる構成であることに加えて、容量表示機構を簡単な構造で廉価に作製することができ、しかも、内容器内の湯水の容量を外胴ケースの外方側部から正確に読み取ることができる水加熱容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明による水加熱容器は、水を貯留する樹脂材料からなる内容器と、当該内容器内の水を加熱する加熱機構と、前記内容器の外方を所定の間隔を隔てて覆う樹脂材料からなる外胴ケースと、当該外胴ケースの外方側部から前記内容器内の湯水の容量を目視可能な容量表示機構とを備えた水加熱容器であって、その特徴構成は、
前記容量表示機構が、前記内容器の側壁の少なくとも一部を構成する透過性材料からなる透視部と、当該透視部に対応する状態で前記外胴ケースに形成された透視用開口部と、前記内容器の湯水の容量を表示する容量目盛とを備え、当該容量目盛が、前記透視部を構成する透過性材料に設けられている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、樹脂材料からなる内容器及び外胴ケースを備え、外胴ケースの高温化を抑制することができるのに加えて、容量表示機構が、内容器の側壁の少なくとも一部を構成する透過性材料からなる透視部と、当該透視部に対応する状態で外胴ケースに形成された透視用開口部と、内容器の湯水の容量を表示する容量目盛とを備え、当該容量目盛が、透視部を構成する透過性材料に設けられているので、上記特許文献3に記載の容量表示機構のような特別な容器などを必要とせず、簡単な構造で廉価に作製することができ、しかも、内容器内の湯水の容量を正確に読み取ることができる。
【0008】
すなわち、図7を参照して、透過性材料11aからなる透視部11と、外胴ケース7に形成された透視用開口部27と、容量目盛12とから容量表示機構Yを構成する場合、図7(b)に示す参考例のように、透視用開口部27に透過性覆い部材27aを設け、当該透過性覆い部材27aに容量目盛12を設けることが考えられる。
しかしながら、かかる構成では、容量目盛12を読み取る際、その目線Aが内容器6内の湯水の液面Bと一致せず、例えば、図7(b)に示すように、湯水の液面Bより上方から斜め下方に向いていると、内容器6と外胴ケース7との間に断熱用の間隔が存在するため、読み取った目盛と実際の湯水の容量との間に誤差Cが生じることになる。つまり、目線Aが湯水の液面Bより上方から斜め下方に向いていると、実際の容量より誤差Cだけ多く読み取り、逆に、下方から斜め上方に向いていると、誤差Cだけ少なく読み取ることになり、湯水の容量を正確に読み取ることができなくなるおそれがある。
それに対して、上記特徴構成によれば、図7(a)に示すように、容量目盛12が透視部11を構成する透過性材料11aに設けられているので、たとえ目線Aが湯水の液面Bと一致しなくても、誤差が生じることは殆どなく、湯水の容量を正確に読み取ることができる。
【0009】
よって、上記特徴構成によれば、樹脂材料からなる内容器及び外胴ケースを備えた水加熱容器において、外胴ケースの高温化を抑制することができるのに加えて、容量表示機構を簡単な構造で廉価に作製することができ、しかも、内容器内の湯水の容量を外胴ケースの外方側部から正確に読み取ることができる。
【0010】
本発明による水加熱容器の更なる特徴構成は、前記外胴ケースの透視用開口部が、透過性覆い部材により封鎖されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、外胴ケースの透視用開口部を透過性覆い部材により封鎖するので、外観上好ましいばかりか、細かい塵埃が透視用開口部を介して内容器と外胴ケースとの間に侵入することを防止することができるとともに、使用者が透視用開口部を介して高温になった透視部の透過性材料に直接触れることが防止される。
【0012】
本発明による水加熱容器の更なる特徴構成は、前記透視部を構成する透過性材料が、前記内容器を形成する樹脂材料に対してインサート成形により形成されている点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、インサート成形によって、内容器を成形する際に、透視部への透過性材料の取り付けも一挙に行うことができるとともに、透過性材料を内容器に対して強固に取り付けることができる。
【0014】
本発明による水加熱容器の更なる特徴構成は、前記内容器と前記透過性材料とが、その外面において略面一に形成されている点ある。
【0015】
上記特徴構成によれば、内容器と透過性材料との外面が略面一となっているため、透過性材料の外面と外胴ケースとの間に所定の間隔が保持されることで、外胴ケースの透視用開口部近傍の高温化も防止することができる。
【0016】
本発明による水加熱容器の更なる特徴構成は、前記内容器と前記外胴ケースとの間隔を保持するリブが、前記内容器から前記外胴ケースに向けて一体的に突出形成されるとともに、前記外胴ケースの透視用開口部の縁部から前記内容器に向けて一体的に突出形成されている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、内容器及び外胴ケースから突出するリブによって、内容器と外胴ケースとの間に所定の間隔が確実に保持され、内容器と外胴ケースとの間の断熱効果を所望どおりに維持することができる。
特に、外胴ケースに関しては、透視用開口部を設けることにより、当該透視用開口部の近傍が強度的に弱くなるおそれがあるが、透視用開口部の縁部に一体的に突出形成されたリブが、透視用開口部近傍の補強にも寄与することになる。
【0018】
本発明による水加熱容器の更なる特徴構成は、前記内容器が、その上下方向間に位置する首部で絞られて当該首部より上方の内容器上部と当該首部より下方の内容器下部とを有し、当該内容器下部に前記透視部が設けられ、前記外胴ケースが、少なくとも当該内容器下部の外方を覆っている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、容量表示機構を構成する透視部が、内容器下部に設けられているので、内容器内の湯水の容量が比較的少なくなっても、その容量を外胴ケースの外方から目視することができる。また、外胴ケースが、少なくとも内容器下部の外方を覆っているので、加熱機構により内容器内の水を加熱した際、湯水の容量の多少にかかわらず、常に高温になる可能性のある内容器部分を覆うことができるとともに、外胴ケースにより内容器の必要部分を効率よく覆ってコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電気ケトルの外観を示す斜視図
図2】電気ケトルの使用状態を示す斜視図
図3】ケトル本体の縦断面図
図4】ケトル本体の組み付け状態を示す分解斜視図
図5】ケトル本体の組み付け状態を示す分解斜視図
図6】ケトル本体の組み付け状態を示す分解斜視図
図7】(a)本発明に係る容量表示機構の縦断面図、(b)参考例を示す容量表示機構の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
本願に係る電気ケトル(水加熱容器の一例)1は、図1図3に示すように、電源プレート2とケトル本体3から構成されている。電源プレート2は、図2に示すように、外形円形のプレートとして構成されており、その上面の中心部に給電機構4を備え、電源ケーブル(図示せず)をコンセント(図示せず)に接続することで、給電機構4を介して、ケトル本体3に給電可能に構成されている。
給電機構4は、電源プレート2の中心位置に、その上面より突出して形成されており、電源プレート2上にケトル本体3が載置された給電状態においては、給電機構4がケトル本体3内に嵌り込み、ケトル本体3の受電機構5を介してケトル本体3への給電が可能に構成されている。
【0022】
ケトル本体3は、図3に示すように、水を貯留して加熱する有底の樹脂製の内容器6と、内容器6の外方を所定の間隔を隔てて覆う樹脂製の外胴ケース7と、外胴ケース7と一体的に形成された樹脂製のハンドル8と、注ぎ口9を備えて内容器6の上方開口を開閉自在に覆う蓋体10とを主な部材として構成されている。
内容器6は、図3図5に示すように、その上下方向間に位置する首部6bで絞られて当該首部6bより上方の内容器上部6aと当該首部6bより下方の内容器下部6cとを有している。つまり、内容器6は、首部6bが最も小径で、首部6bより下方に行くに従って徐々に大径になって内容器下部6cの下端部が最大径となり、内容器上部6aが首部6bより若干大径となる形状に構成されている。
【0023】
内容器6における内容器下部6cの側部には、図4及び図5に示すように、外胴ケース7の外方から内容器6内の湯水の容量を目視する容量表示機構Yの構成の一部が設けられている。すなわち、当該容量表示機構Yは、内容器6の側壁の一部を構成する透過性材料11aからなる透視部11と、内容器6内の湯水の容量を表示する容量目盛12と、後述する外胴ケース7に形成された透視用開口部27とを備え、容量目盛12が、透視部11を構成する透過性材料11aに設けられている。
透過性材料11aは、内容器6を形成する樹脂材料に対してインサート成形により形成され、図7(a)に示すように、内容器6と透過性材料11aとが、概ね同じような厚さで、その外面において略面一に形成されている。
内容器下部6cの透視部11の上方には、外胴ケース7を取り付けるためのネジ孔13a付きのボス部13が連設され、内容器下部6cの側部上方側には、内容器6の中心線Lを挟んで相対向する側、具体的には、注ぎ口9側(前方側)とハンドル8側(後方側)とに外胴ケース7を取り付けるための一対の取り付け部材14が連設され、各取り付け部材14には、内容器6の接線方向に平行な貫通孔14aが設けられている。
内容器下部6cの外周部には、内容器6と外胴ケース7との間に所定の間隔を保持するための複数の部分円環状のリブ15が、透視部11とハンドル8の取り付け部位を避けた位置において径方向外方側に突出する状態で連設されている。
【0024】
内容器6の下方には、図3に示すように、内容器6内の水を加熱する概略円形状の電熱ヒータ(加熱機構の一例)16と、電熱ヒータ16への通電を断続するスイッチ機構17と、バイメタル18とが設けられている。スイッチ機構17は、バイメタル18が電熱ヒータ16による加熱によって内容器6内に生じた蒸気を検知するのに伴って、より具体的には、バイメタル18が蒸気の接触により設定温度(100℃近傍)にまで加熱されることによる変形に伴って、電熱ヒータ16への通電を停止する。
そのため、内容器6のハンドル8側には、横断面形状がコの字状の検知用蒸気流路形成体19が上下方向に沿って取り付けられ、検知用蒸気流路形成体19と内容器6の外周部との間に、内容器6内の蒸気をバイメタル18にまで導く検知用蒸気流路20が内容器6の外方でハンドル8側に形成配置されている。
【0025】
検知用蒸気流路形成体19の上方には、電熱ヒータ16への通電を開始する通電スイッチ21を備えた揺動レバー22が配設され、揺動レバー22とスイッチ機構17とを連動連結するリンク機構23が検知用蒸気流路形成体19の外側に沿って配設されている。
そして、通電スイッチ21を下方へ押圧すると、リンク機構23及びスイッチ機構17を介して電熱ヒータ16に通電されて内容器6内の水が加熱され、バイメタル18が蒸気を検知すると、スイッチ機構17が電熱ヒータ16への通電を停止するとともに、スイッチ機構17及びリンク機構23を介して通電スイッチ21を押し上げて元の位置に戻すように構成されている。
【0026】
内容器6の外方を覆う外胴ケース7は、図4及び図5に示すように、上下方向に延出するハンドル8の延出方向に沿って当該ハンドル8を略均等な一対のハンドル部材8a、8bに二分してその中心を通る状態で2つの外胴ケース部材7a、7bに分割されている。つまり、一方のハンドル部材8aを有する一方の外胴ケース部材7aと他方のハンドル部材8bを有する他方の外胴ケース部材7bとに略均等に二分割され、両外胴ケース部材7a、7bが、内容器6の横側方から内容器6の外方に組み付け可能に構成されている。
一方の外胴ケース部材7aには、その前方側の端部の内側にネジ孔24a付きの比較的短いボス部24が連設され、後方側の端部の内側にネジ孔25a付きの比較的長いボス部25が連設され、その前方側及び後方側の端部の内側には、他方の外胴ケース部材7bを係止するための複数の係止部材26aがそれぞれ設けられている。
【0027】
他方の外胴ケース部材7bには、透視用開口部27が、内容器6の透視部11に対応する状態で設けられ、上述したように、内容器6の側壁の一部を構成する透過性材料11aからなる透視部11と、当該透視用開口部27と、内容器6内の湯水の容量を表示する容量目盛12とにより容量表示機構Yが構成され、図7(a)に示すように、容量目盛12が、透視部11を構成する透過性材料11aの外面に設けられるとともに、透視用開口部27が透過性覆い部材27aにより封鎖されている。
透視用開口部27の上方には、内容器6側のボス部13に対応する状態で貫通孔28a付きのボス部28が内容器6側に向けて突設され、当該ボス部28及び内容器6側のボス部13は、内容器6と外胴ケース7との間に所定の間隔を保持するためにも寄与し、更に、他方の外胴ケース部材7bにおける透視用開口部27の縁部には、内容器6と外胴ケース7との間に所定の間隔を保持するための上方解放のコの字状のリブ29が、内側に位置する内容器6側に向けて突出するように一体形成されている。
そして、当該他方の外胴ケース部材7bの前方側及び後方側の端部には、一方の外胴ケース部材7aの端部に設けられた複数の係止部材26aに係合する複数の被係止部材26bがそれぞれ設けられている。
【0028】
一方の外胴ケース部材7aは、図4及び図5に示すように、内容器6の外方を覆う状態で、ネジ24bを前方側の取り付け部材14の貫通孔14aを通して短い方のボス部24のネジ孔24aに螺合し、ネジ25bを後方側の取り付け部材14の貫通孔14aを通して長い方のボス部25のネジ孔25aに螺合することにより、一対の取り付け部材14を介して横側方から内容器6に組み付け可能に構成されている。
他方の外胴ケース部材7bは、当該一方の外胴ケース部材7aに対して、被係止部材26bを一方の外胴ケース部材7aの係止部材26aに係合するとともに、ネジ13bをボス部28の貫通孔28aを通して一方の外胴ケース部材7a側のボス部13のネジ孔13aに螺合することにより、横側方から内容器6に組み付け可能に構成されている。
【0029】
2つの外胴ケース部材7a、7bを内容器6の外方に取り付けた状態では、他方の外胴ケース部材7bが、内容器6側に連設される一対の取り付け部材14及びネジ24b、ネジ25bを覆い隠すとともに、図1及び図6に示すように、両外胴ケース部材7a、7bに連設される一対のハンドル部材8a、8bが、検知用蒸気流路形成体19の上方の通電スイッチ21を挟み込むようにして検知用蒸気流路形成体19とリンク機構23とを覆って、両ハンドル部材8a、8bにより構成されるハンドル8の基部内、より具体的には、両外胴ケース部材7a、7bと両ハンドル部材8a、8bとの接続部の内側に検知用蒸気流路20が配置されることになる。
そして、内容器6側のリブ15が、両外胴ケース部材7a、7bの内面に、他方の外胴ケース部材7b側のリブ29が、内容器6の外面に当接するとともに、内容器6側のボス部13と他方の外胴ケース部材7b側のボス部28も互いに当接して、内容器6と外胴ケース7との間に所定の間隔が保持される。
【0030】
このようにして、内容器6の外方に両外胴ケース部材7a、7bを取り付けた状態では、両外胴ケース部材7a、7bからなる外胴ケース7が、内容器6における内容器上部6aの下方の一部、首部6b、及び、内容器下部6cの外方のみを覆って、内容器上部6aの上方の一部が露出され、容量表示機構Yを通して内容器6内の湯水の容量を目視できるように構成されている。
内容器6の下方中心位置には、電源プレート2の給電機構4から受電する受電機構5が設けられ、両外胴ケース部材7a、7bの底部には、図6に示すように、樹脂製の底ケース部材30が取り付けられて、図3に示すように、底ケース部材30が、内容器6の下方に位置する受電機構5以外の部分を覆い隠すように構成されている。
底ケース部材30は、その中心位置に給電機構4挿入用の円形開口部30aを備え、両外胴ケース部材7a、7bの下方端部に外嵌する状態で、ネジにより内容器6側に連結固定される。
【0031】
内容器6の上方を覆う蓋体10は、その前方に注ぎ口9を備え、内容器6の上方開口に装着自在な蓋本体31と、蓋本体31に上方から被さる蓋カバー32と、蓋カバー32に揺動自在に取り付けられた前後方向に延出する注ぎ口開閉部材33とを主な部材として構成されている。
蓋本体31には、図3に示すように、弁体34a、弁座34b、及び、弁体34aを弁座34bに弾性的に当接させるスプリング34cからなる弁機構34が内装され、注ぎ口開閉部材33の後方側に設けられた操作部33aを下方へ押し下げることにより、弁体34aがスプリング34cの弾性力に抗して弁座34bから離間して弁機構34が開弁し、内容器6内の湯水が注出路35を通って注ぎ口9から流出可能に構成されている。
蓋本体31には、電気ケトル1の転倒時に湯水の流出を防止するためのボール36を収納するボール収納室37が設けられ、通常の姿勢においては、図3において破線で示すように、内容器6からの蒸気が、ボール収納室37を通って検知用蒸気流路20に導かれると同時に、注ぎ口9に導かれて外部に放出されるように構成されている。
【0032】
ケトル本体3の組み付け方法について説明する。
まず、図4に示すように、内容器6の側部におけるハンドル8の取り付け部位に検知用蒸気流路形成体19を取り付け、その上方に通電スイッチ21を有する揺動レバー22を配置するとともに、その外方にリンク機構23を配置する。
その後、一方の外胴ケース部材7aを内容器6の横側方から内容器6の外方に組み付け、ネジ24b、25bを取り付け部材14の貫通孔14aを通して一方の外胴ケース部材7aのボス部24、25のネジ孔24a、25aに螺合して、一方の外胴ケース部材7aを内容器6に取り付ける。
次に、図5に示すように、他方の外胴ケース部材7bを内容器6の横側方から内容器6の外方に組み付け、その前方側及び後方側の端部に設けられた被係止部材26bを一方の外胴ケース部材7aの前方側及び後方側の端部に設けられた係止部材26aに係止するとともに、そのボス部28の貫通孔28aにネジ13bを通して内容器下部6cのボス部13のネジ孔13aに螺合して、他方の外胴ケース部材7bを内容器6及び一方の外胴ケース部材7aに取り付ける。
【0033】
その後、図6に示すように、両外胴ケース部材7a、7bにより形成された外胴ケース7の底部に底ケース部材30を組み付けてネジにより内容器6に取り付ける。
そして、最後に、蓋体10を内容器6に組み付け、透過性覆い部材27aを透視用開口部27に取り付ける。
ただし、蓋体10の組み付けは、必ずしも最後に行う必要はなく、例えば、一方の外胴ケース部材7aを内容器6に取り付ける前、あるいは、取り付けた後に組み付けることもできる。
透過性覆い部材27aの取り付けも同様であるが、透過性覆い部材27aは、内容器6の透視部11に対応する部分のみが透過性を備え、その他の周囲部分は不透明に構成されてネジ13bを覆い隠すように設定されているので、ネジ13bを内容器6のボス部13のネジ孔13aに螺合して、他方の外胴ケース部材7bを内容器6側に取り付けた後、透過性覆い部材27aを取り付けることになる。
【0034】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態では、水加熱容器の一例として電気ケトル1を示したが、電気ケトル1以外にも、例えば、電気ポット、卓上ポット、加湿器などの各種の水加熱容器に適用可能である。
また、内容器6の一部に透過性材料11aからなる透視部11を設けた例を示したが、例えば、内容器6全体を透過性の樹脂材料から形成し、その一部に容量目盛12を設けて透視部11を構成することもできる。
更に、外胴ケース7の透視用開口部27を透過性覆い部材27aにより封鎖した例を示したが、例えば、上記実施形態に記載したように、透視用開口部27の縁部から内容器6に当接するリブ29を突設することで、細かい塵埃が内容器6と外胴ケース7との間に侵入することを防止することができるので、必ずしも透視用開口部27を透過性覆い部材27aにより封鎖する必要はない。
また、透視用開口部27を透過性覆い部材27aにより封鎖する場合、当該透過性覆い部材27aを外胴ケース7を形成する樹脂材料に対してインサート成形により形成して、透視用開口部27を封鎖するように構成することもできる。
【0035】
(B)上記実施形態では、透視部11を構成する透過性材料11aを内容器6を形成する樹脂材料に対してインサート成形により形成した例を示したが、例えば、内容器6に透視部11用の開口部を設け、その開口部に対して透過性材料11aを嵌め込んで接着することも可能である。更に、内容器6と透過性材料11aとを概ね同じような厚さにして、その外面において略面一に形成した例を示したが、内容器6と透過性材料11aとの厚さに関しては、必ずしも、概ね同じような厚さにする必要はなく、また、内容器6と透過性材料11aとの外面に関しても、必ずしも略面一にする必要はない。
また、透過性材料11aの外面に容量目盛12を設けた例を示したが、透過性材料11aの内面に容量目盛12を設けることも、透過性材料11aの厚み内に容量目盛12を埋め込むこともでき、容量目盛12を設ける位置及びその具体的な表示形態については適宜変更することができる。
更に、外胴ケース7が、内容器6における内容器上部6aの一部、首部6b、内容器下部6cの外方のみを覆うように構成した例を示したが、例えば、内容器6全体を完全に覆うように構成することも、また、内容器6の首部6bから下のみを覆うように構成することもでき、この点については適宜変更することができ、同様に、内容器6と外胴ケース7との間隔を保持するリブ15、29についても、その位置及び個数は適宜変更することができる。
【0036】
なお、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、樹脂材料からなる内容器及び外胴ケースを備えた水加熱容器において、容量表示機構を簡単な構造で廉価に作製することができ、しかも、内容器内の湯水の容量を外胴ケースの外方側部から正確に読み取ることができる水加熱器を得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 電気ケトル(水加熱容器)
6 内容器
6a 内容器上部(内容器)
6b 首部(内容器)
6c 内容器下部(内容器)
7 外胴ケース
11 透視部(容量表示機構)
11a 透過性材料(容量表示機構)
12 容量目盛(容量表示機構)
15、29 リブ
27 透視用開口部(容量表示機構)
27a 透過性覆い部材
Y 容量表示機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7