(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093706
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】垂直方向摺動支持を有する風防ガラスワイパブレード用の液圧コネクタ
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20170227BHJP
B60S 1/46 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
B60S1/40 B
B60S1/46 D
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-541354(P2013-541354)
(86)(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公表番号】特表2013-544213(P2013-544213A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2011071528
(87)【国際公開番号】WO2012072748
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】10306340.0
(32)【優先日】2010年12月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513140053
【氏名又は名称】バレオ システムズ デシュヤージ
(73)【特許権者】
【識別番号】502192971
【氏名又は名称】ダイムラー アー ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100158148
【弁理士】
【氏名又は名称】荒木 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンセン イザベル
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ ブセ
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼップ グラッソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ソーヴァン
(72)【発明者】
【氏名】フロレン デルフォス
(72)【発明者】
【氏名】ジェラール カイロ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー フィッテレル
(72)【発明者】
【氏名】ウベ レンツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ジンガ
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】リカルド デュステルヘフト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ポメレニング
【審査官】
神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/034445(WO,A1)
【文献】
特表2012−503566(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007062304(DE,A1)
【文献】
国際公開第2010/006775(WO,A1)
【文献】
特表2011−527963(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/006776(WO,A1)
【文献】
特表2011−527964(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/065669(WO,A1)
【文献】
特表2013−542880(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0059647(US,A1)
【文献】
特表2006−525903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパアーム(1)の先端に固定されている末端部品(2)と、前記末端部品(2)の内側にスライド自在に装着されるアダプタ(20)と、前記ワイパアーム(1)の長手方向に直交する回転軸を中心として回転自在となるように前記アダプタ(20)に取り付けられるとともにワイパブレード(3)に固定されている機械コネクタ(10)と、前記機械コネクタ(10)に装着されると前記機械コネクタ(10)を介して前記ワイパブレード(3)のスプレー管(6)に連通する液圧コネクタ(30)と、を備えた、アセンブリであって、
前記末端部品(2)には、前記液圧コネクタ(30)を支持する支持手段(8)が取り付けられ、
前記支持手段(8)には、前記末端部品(2)及び前記アダプタ(20)に対して前記機械コネクタ(10)が揺動したときに、前記液圧コネクタ(30)から前記回転軸の方向に突出するトラニオン(33)、リッジ(133、134)又は突出部(233)を案内する溝形スロット(9)が形成されており、
前記トラニオン(33)、リッジ(133、134)又は突出部(233)が前記溝形スロット(9)の一方の端部にあるときには、前記液圧コネクタ(30)が前記末端部品(2)の内側の最も奥に収納されており、
前記トラニオン(33)、リッジ(133、134)又は突出部(233)が前記溝形スロット(9)の他方の端部にあるときには、前記液圧コネクタ(30)が前記末端部品(2)から最も離間していて前記機械コネクタ(10)からの前記液圧コネクタ(30)の引き抜き方向と前記アダプタ(20)の前記末端部品(2)からの引き抜き方向とが一致する
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリであって、前記末端部材(2)に対する前記液圧コネクタ(30)の揺動は、前記長手方向を通り且つワイパー時に前記ワイパアームによって一掃される平面に対して垂直な平面で行われるアセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアセンブリであって、前記溝形スロット(9)は、前記長手方向を通り且つワイパー時に前記ワイパアームによって一掃される平面に対して垂直な平面に延びて、前記液圧コネクタ(30)が前記末端部品(2)に対してより接近又は離間する運動で前記突出部(33、133、233)を案内可能な溝の形状を有するアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のアセンブリであって、前記液圧コネクタ(30)は、回転固定ロック(133、234)を備え、前記支持手段(8)は、前記液圧コネクタ(30)が前記ワイパアーム(1)から最大距離の位置にある場合に前記回転固定ロックとの相互作用によって前記液圧コネクタの回転を固定するデバイス(135、235)を備えるアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のアセンブリであって、前記デバイス(135、235)は、回転固定位置内外への前記回転固定ロック(133、234)の移動のための硬点を形成するアセンブリ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のアセンブリであって、前記回転固定ロックは、長手方向に延びるリッジ(133)であり、前記デバイスは、前記溝形スロット(9)の長手方向狭窄部(139)であるアセンブリ。
【請求項7】
請求項4又は5に記載のアセンブリであって、前記回転固定ロックは、長手方向に延びるリッジ(234)であり、前記デバイスは、前記液圧コネクタ(30)の運動平面に対して垂直な方向に屈曲できるタブ(235)の歯であるアセンブリ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のアセンブリであって、前記機械コネクタ(10)は、前記液圧コネクタ(30)を前記機械コネクタ(10)に係止する少なくとも1つの係止手段(14)を備えるアセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載のアセンブリであって、前記係止手段は、前記機械コネクタ(10)を基点に、前記液圧コネクタ(30)から横方向に延びるロック(38)と相互作用可能であるアーム(14)であるアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載のアセンブリであって、前記係止手段は、係止位置内外への前記ロックの移動のための硬点を形成するアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のアセンブリであって、前記ロックはトラニオン(38)であり、前記アーム(14)には、2つの平行な枝部(14a、14b)を形成するために長手方向にスロットが付いており、当該枝部は、その相互間に、前記トラニオン(38)を受けるよう形成された円形切欠を有するアセンブリ。
【請求項12】
ワイパブレード(3)と、請求項1〜11のいずれか1項に記載のアセンブリと、を備えたことを特徴とするワイパーシステム接続デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の装置、より詳細には、自動車の窓拭き用の装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には通常、風防ガラスを洗浄するとともに運転者の視界が妨げられるのを防止するために、風防ガラスワイパシステムが設けられている。これらの風防ガラスワイパは、従来、往復角運動を行うワイパアームによって駆動され、細長いワイパブレードを備える。ワイパブレード自体は、弾性材料からなるスクレーパブレードを支持する。これらのブレードは、風防ガラスを擦って水を除去し、運転者の視野に入らないようにする。ワイパブレードは、スクレーパブレードを複数の別個の位置で保持する関節アームの従来型の形態として、又は、「フラットブレード」と称してスクレーパブレードの全長を保持する半剛体アセンブリの最新型の形態として製造されている。いずれの解決手段も、ワイパブレードは、機械コネクタ及びアダプタからなるアセンブリによって風防ガラスワイパの回転ワイパアームに取り付けられている。機械コネクタは、関節アームに圧着されるか又はフラットブレードに直接圧着される部品である一方、前記アダプタは、前記コネクタを風防ガラスワイパのワイパアームに固定させる中間部品である。これら2つの部品は、横方向スピンドルを介して互いに接続され、ワイパアームを通る風防ガラスに対して垂直な平面でのこれらの相対回転を可能にする。
【0003】
風防ガラスワイパにはまた、風防ガラス洗浄液を搬送するデバイスが設けられている。風防ガラス洗浄液は、車両に配置されるタンクから取り出され、ノズルによって風防ガラスに向けて噴霧される。ノズルは、風防ガラスの周りに配置され、又は、液体の分配をよくするために風防ガラスワイパ自体に配置される。ワイパブレードに配置したノズルの場合、風防ガラス洗浄液は、それらの間で分配される前に、配管要素によって運ばれる。配管要素は、風防ガラスワイパのワイパアームに固定されると共に液圧コネクタと称する剛体部品によって機械コネクタにあるワイパブレードの分配システムに接続されている。これらの配管要素は、ワイパブレードの往路方向及び復路方向の両方での洗浄を確保するために、通常は可撓性を有する総計2つのものであり、適当な継手によって機械コネクタに固定されて必要なシールを確保する液圧コネクタに通じる。したがって、機械コネクタは、シール接続によって、液圧コネクタの上記継手に適応可能なオリフィスを備える。
【0004】
最高級車両用のモデルには、極寒の場合にワイパブレードを除霜するために、また、霜の影響下でワイパブレードが風防ガラスに張り付くのを防止するために、風防ガラスワイパを加熱するデバイスもある。これらのデバイスは通常、より詳細にはフラットブレードに適合させたものであるが、スクレーパブレードを支持すると共に電気抵抗体を配置したアセンブリに組み込んだ加熱デバイスを備える。これらはまた、車両からの電流を加熱デバイスに流すために、機械コネクタと相互に作用させることができる電気接続デバイスを必要とする。電気コネクタは通常、液圧コネクタと同時に機械コネクタに取り付けられるように、液圧コネクタを機械コネクタに装着する前に液圧コネクタに取り付けられる。このとき、クイックコネクションデバイスは、電気コネクタのピンと機械コネクタのピンとの間の接続を確保し、最終的に、スクレーパブレードを支持するアセンブリの加熱抵抗体との接続を確保する。
【0005】
特許文献1は、風防ガラス洗浄液が通る液圧コネクタを収容する機械コネクタの実施形態を示す。また特許文献1は、機械コネクタに電気を供給する電気コネクタも示す。
【0006】
液体配管要素及び液圧コネクタは通常、風防ガラスワイパのワイパアームに接続されるが、機械コネクタは、ワイパブレードに接続され、ワイパブレードの交換時に、機械コネクタへの液圧コネクタの接続、また必要であれば電気コネクタの接続を行う必要がある。この作業は通常、整備位置と称する位置で実行される。整備位置では、機械コネクタをアダプタに接続する横方向スピンドルを中心とした回転によって、ワイパブレードがワイパアームに対して角度を形成するように位置決めされる。
【0007】
機械コネクタに装着するとき、液圧コネクタ及び電気コネクタの正確な位置合わせを確実なものにする必要がある。さもなければ、誤った組み付けから、2つのコネクタの接合部での風防ガラス洗浄液の漏れの危険、及び/又は、電気的な接触不良が生じてしまう。この作業は、見通しの悪い状態で行われ、液圧コネクタがワイパアームの上部の下側に位置決めされることで、組み立て部品に対する良好な視界を妨げる。特許文献1は、液圧コネクタがワイパブレードに対して平衡に取り付けられていることから、機械コネクタに対する液圧コネクタの位置合わせができず、したがって、互いの相対運動は一切阻止される。
【0008】
さらに、ワイパブレードをワイパアームから離して又は除去する際に、液圧コネクタが、また必要に応じて、それに電気コネクタが取り付けられている場合は電気コネクタが、ワイパアームに取り付けられたままであることが重要である。これにより、液圧コネクタを風防ガラスワイパのワイパアームから分離する際に、液圧コネクタが機械コネクタによって引っ張られることを防止する。さらに、ワイパブレードを取り外す際に液圧コネクタを風防ガラスワイパアームの末端部品の下に垂下させたままにすることはできない。
【0009】
最後に、再装着を行う際、オペレータに一方の手で液圧コネクタを所定位置に保持することを求めると同時に、他方の手でワイパブレードをアームに再装着することを求めることはあり得ない。こうした状況は、ワイパブレードの装着を特に困難にさせ、また、あまりユーザフレンドリーとはいえない。なぜなら、単にワイパブレードをアームに装着するために両手を使用することはすでに必要なことであり、一方の手がワイパブレード専用で他方の手が風防ガラスワイパアーム専用になるからである。
【0010】
したがって、たとえオペレータが経験不足だとしても、機械コネクタに対する液圧コネクタの挿入及び取り外しをより容易にすることと、接続及び切断が正確に実行されたことが分かることが重要である。同様のことは、電気コネクタのピンと機械コネクタのピンとの間に設けられる電気的導通にも当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2010/034445号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、これらの欠点を、機械コネクタに液圧コネクタを挿入する際に当該液圧コネクタを案内するとともにアームを取り外す際に液圧コネクタをアームの所定位置に保持することを可能にするデバイスを提案することによって、改善することである。この案内機能はまた、電気コネクタを液圧コネクタに最初に取り付ける際に、電気コネクタの案内機能を発揮させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の主題は、ワイパブレードを動かすワイパアームの末端部品と、ワイパブレードへ液体を搬送する少なくとも1つの配管要素を備えた液圧コネクタとを備え、上記末端部品は、長手方向に延び、且つ、液圧コネクタを長手方向に確実に保持するために当該液圧コネクタを支持する少なくとも1つの手段を備えた、ワイパーシステム製造用のアセンブリであって、上記支持手段は、長手方向
を横切る方向への上記液圧コネクタの運動を可能にすることを特徴とするアセンブリである。
【0014】
液圧コネクタの運動の自由度は、液圧コネクタとワイパブレードに連結した機械コネクタとの自動位置合わせ、したがってこれら2つの部品の接続部で風防ガラス洗浄液が漏れる危険を伴わず特に容易な適用に従ったこれらの固定を可能にする。
【0015】
本発明の第1特徴によれば、前記運動は、液圧コネクタが末端部品に対して、より接近する動き、又は、より離間する動きである。
【0016】
本発明の第2特徴によれば、前記支持手段は、液圧コネクタを末端部品に対して回転させる。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、前記運動及び前記回転は、上記長手方向を通り且つワイパー時にワイパアームによって一掃される平面に対して垂直な平面で行われる。
【0018】
前記支持手段は、末端部品に固着したインサートであることが有利である。この構成には、末端部品に液圧コネクタを組み込み易いという利点がある。
【0019】
好ましくは、液圧コネクタは、少なくとも1つの横方向突出部を有し、前記支持手段は、上記突出部を収納する少なくとも1つのスロットを有する。
【0020】
第1実施形態では、上記スロットは、上記平面に延びて、前記液圧コネクタが前記末端部品に対してより接近又は離間する運動で上記突出部を案内可能な溝の形状を有する。
【0021】
代替的な実施形態では、上記液圧コネクタは、回転固定ロックを備え、上記支持手段は、液圧コネクタがワイパアームから最大距離の位置にある場合に上記ロックとの相互作用によって上記液圧コネクタの回転を固定するデバイスを備える。
【0022】
上記回転固定デバイスは、回転固定位置内外への上記ロックの移動のための硬点を形成することが有利である。
【0023】
第2実施形態では、固定ロックは、長手方向に延びるリッジであり、固定デバイスは、スロットの長手方向狭窄部である。
【0024】
第3実施形態では、固定ロックは、長手方向に延びるリッジであり、固定デバイスは、液圧コネクタの運動平面に対して垂直な方向に屈曲できるタブの歯である。
【0025】
本発明は、ワイパー対象表面全体にわたってワイパブレードを動かすワイパアームの末端部品と、ワイパブレードと、アダプタを用いて上記ワイパブレードをワイパアームに取り付けるために上記ワイパブレードに固定した機械コネクタと、ワイパブレードへ液体を搬送する少なくとも1つの配管要素を備えた液圧コネクタとを備え、機械コネクタをワイパアームに対して使用位置と整備位置との間で回転させるために、上記アダプタをワイパアームと機械コネクタとの間に挿入したワイパーシステム接続デバイスであって、上述の末端部品及び液圧コネクタから形成したアセンブリを備えたことを特徴とするワイパーシステム接続デバイスにも関する。
【0026】
機械コネクタは、上記液圧コネクタを機械コネクタに係止する少なくとも1つの係止手段を備えることが有利である。これにより、2つのコネクタが適切に固着されること及びそれらの接合部に風防ガラス洗浄液の漏れがないことが確実となる。
【0027】
特定の実施形態では、係止手段は、機械コネクタに対して長手方向に延びて、突出部を形成し液圧コネクタから横方向に延びるロックと相互作用可能であるアームである。
【0028】
好適な実施形態によれば、上記係止手段は、係止位置内外への上記ロックの移動のための硬点を形成する。この硬点は、接続が効果的に行われたことをオペレータに知らせる。
【0029】
好ましくは、上記ロックはトラニオンであり、アームには、2つの平行な枝部を形成するために長手方向にスロットが付いており、当該枝部は、その相互間に、前記トラニオンを受けるよう形成された円形切欠を有する。
【0030】
液圧コネクタは、機械コネクタが整備位置にある場合に支持手段により支持されることが有利である。
【0031】
好ましくは、液圧コネクタは、その配管要素が機械コネクタの対応のオリフィスと一致するように、整備位置において、支持手段によって所定位置に保持されて回転が防止され、回転は整備位置で解除される。
【0032】
好適な実施形態では、液圧コネクタは、使用位置において、上記長手方向を通り且つワイパー時にワイパアームによって一掃される平面に対して垂直な平面で並進移動自在である。
【0033】
添付の概略図面を参照して、単なる例示であり限定ではない例として挙げる本発明のいくつかの実施形態に従った詳細な説明の記載中で、本発明がよりよく理解され、本発明の他の目的、詳細、特徴、及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】自動車の窓用のワイパーシステムの全体斜視図である。
【
図2】ワイパアームと風防ガラスワイパブレードとの間の接続を示す、
図1の詳細図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるワイパアーム及び液圧コネクタを備えた風防ガラスワイパの分解図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるワイパアーム上の
図3の液圧コネクタ及びその支持手段の斜視図である。
【
図5】第1実施形態による
図3のワイパアーム及びその支持手段の下からの斜視図である。
【
図6】第1実施形態による機械コネクタに装着した
図3の液圧コネクタの斜視図である。
【
図7】風防ガラスワイパアームに取り付けた
図6の機械コネクタの下からの斜視図である。
【
図8】使用位置での本発明の第2実施形態によるワイパーデバイスの部分断面正面図である。
【
図9】整備位置での
図8のワイパーデバイスの部分断面正面図である。
【
図10】液圧コネクタを機械コネクタに対して中間位置にした、
図8のワイパーデバイスの部分断面正面図である。
【
図11】第3実施形態によるワイパーデバイスを構成する要素の分解図である。
【
図12】使用位置で組み立てた
図11のワイパーデバイスの部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図は本発明を詳細に示すものであり、当然ながら必要であれば本発明をより明確化するのに用いることができることに留意されたい。
【0036】
説明の他の部分において、「長手方向」又は「横方向」という用語は、風防ガラスワイパブレードを取り付けるワイパアームの向きを指す。長手方向は、ワイパアームが延びるその主軸に対応し、横方向の向きは、収束直線、すなわち長手方向を横切る、特にワイパアームの回転面におけるその長手方向軸に対して垂直な線に対応する。長手方向に関して、「外側」又は「内側」という用語は、ワイパアームへのワイパブレードの取り付ける点に対するものと理解され、「内側」という用語は、ワイパアーム及びハーフワイパブレードが延びる部分に対応する。最後に、上側又は下側として参照される方向は、ワイパアームの回転面に対して垂直な向きに対応し、「下側」という用語は、風防ガラスの平面を含む。
【0037】
図1及び
図2は、外端に末端部品2が延びるワイパアーム(アーム)1からなる風防ガラスワイパを示し、末端部品2は内側でワイパアーム1に圧着により固定される。末端部品2は、アダプタ20を覆い、アダプタ20は、その機械コネクタ10によってワイパブレード3を担持する。アダプタ20の目的は、末端部品2に設けた相互作用形状に当接して位置決めされる使用位置にするために、長手方向軸に沿った並進運動によって末端部品2内に挿入させることである。アダプタ20はそのとき、この目的のため、末端部品の上側部分に作った凹部と相互作用する格納式係止ボタン4によって、そこに可逆的に固定される。
【0038】
次に
図3を参照すると、ワイパブレード3をワイパアーム1に取り付ける要素の細部を見ることができる。
【0039】
末端部品2は逆「U」字形を有し、この「U」字形の開口が風防ガラスに面する。この末端部品2は、上側部分にある基部2cと、窓の方向に延びる2つの側枝部2a及び2bとを備える。基部2cには、アダプタ20の格納式係止ボタン4を収納するオリフィス7が設けられている。各側枝部の下端面は、基部及び側枝部によって画定される内部容積の方向に90°折れ曲がった縁を備え、当該縁は、一方では、アダプタ20の挿入を長手方向に案内する機能を有し、他方では、アダプタ20に配置した対応の当接部に対する並進当接部として働く機能を有する。末端部品の各側枝部には、支持手段8が取り付けられ、この支持手段8の機能は、液圧コネクタを支持することと、ワイパブレード3を取り外す際に他の運動を可能にしながら液圧コネクタを並進保持することであり、これは本発明の目的の1つであり、詳細に後述する。
【0040】
アダプタ20は、末端部品2を収納するために末端部品2の内部容積に一致するヨークの形状を有する。2つの側壁20a及び20bがブリッジ21によって接合され、側壁20a及び20bのそれぞれが、それらの自由端にアダプタの外側に向かって折り曲げられたリム22を備える。これらのリム22は、末端部品2の側枝部の折れ曲がった縁に対して載せ置かれることで並進当接部を形成する。このアダプタ20は、その側壁20a及び20bに形成した2つの孔も備え、当該孔は、液圧コネクタを組み込んだワイパーシステムを組み立てる際にワイパブレード3とワイパアーム1との間の回転軸として働くよう設計した一致軸を有する。具体的には、ワイパブレードは、ワイパブレード3がワイパー対象窓の曲率に追従できるように、ワイパアーム1に対して、より詳細には末端部品2に対して、少なくとも1つの回転自由度を有さなければならない。
【0041】
機械コネクタ10は、ワイパパアーム1からの機械力をワイパブレード3に伝達するために、ワイパブレード3に取り外し不可能に固着される。これは、ワイパブレードの軸上に延びる実質的に平行六面体の形状を有し、2つのトラニオン17が横方向に延びる2つの側面を備え、トラニオン17は、一方では機械コネクタをアダプタ20に固着する機能を有し、他方では、アダプタの側壁20a、20bに形成した孔との相互作用によって、ワイパアーム1に対するワイパブレード3の回転用の軸として働く機能を有する。
【0042】
機械コネクタ10は、外側にキャップと称する壁11を有し、これは、第1に、末端部品2の前方部分を閉じてこの末端部品2内に収容したコンポーネントを保護するスクリーンとして働き、第2に、精巧な外装を提供する。内面と称するキャップ11の反対側の面は、液圧コネクタ30及び電気コネクタ40の対応の要素との液圧接続及び電気接続用のオリフィス(不可視)を備える。
【0043】
機械コネクタ10のこの内面は、風防ガラス洗浄液の分配用の内側チャネルが延びる2つの液圧入口オリフィスを備え、これらは、液体を供給する液圧コネクタ30の配管要素31及び32と相互作用するよう設計される。これらの分配チャネル(図示せず)は、機械コネクタ10内に延び、ワイパブレードによる液体の噴霧用のスプレー管6の供給導管12と同じ高さで現れる。上述のように、これらの管は、ワイパブレードが往復運動する際に風防ガラス洗浄液を噴霧するために、ワイパブレード3の2つの縁に沿って延びる。機械コネクタの内面は、電気コネクタ40が支持する雄ピン42及び43を収容可能である雌コネクタを形成するオリフィスも備え、雄ピン42及び43は、ワイパブレードに組み込んだ発熱体の動作に必要な電力を供給する。
【0044】
液圧コネクタ30は、長手方向に並列に位置決めされるとともに、固着又は接続ブリッジ35によって互いに機械的に接続された2つの配管要素31及び32の形態をとる。一例として、配管要素31又は32が円筒断面を有する管を形成する場合、配管要素の延在方向は、円筒断面の中心線によって形成される。
【0045】
これらの配管要素31及び32はそれぞれ、互いに角度をなす向きの方向に延びる2つのセクタを備え、これらセクタ間の接合部がエルボを形成する。かかる構造は、配管要素31及び32の形状を、それらの上に配置する末端部品2の形状に適合させることを可能にする。内側では、これらの配管要素はそれぞれ、液体タンクからワイパアーム1に沿って延びる、可撓性を有する風防ガラス洗浄液供給管が嵌合する段付き又は肩付き継手を備える。外側では、配管要素31及び32のそれぞれが、機械コネクタ10の内側分配チャネルの一方のオリフィスに挿入可能な円筒形状を有する。配管要素31及び32とそれらが入る分配チャネルのオリフィスとの間でのシール性を確保するために、この外側端の近くにOリングを配置する。
【0046】
液圧コネクタ30は、その下側部分に、電気コネクタに設けた対応の支持手段と相互作用するように設計された結合手段37を備え、これは、電気コネクタが液圧コネクタによって支持固定された後、このアセンブリが機械コネクタ10に結合される構成である。
図3に示すように、結合手段37は、液圧コネクタ30の下面を塞ぐクレードル又はU字形要素からなり、これに電気コネクタ40の本体が挿入される。液圧コネクタ30に対する電気コネクタの長手方向移動を固定する手段も、電気コネクタを所定の位置に置いた後に電気コネクタが外れるのを防止するために用いることができる。電気コネクタ40を液圧コネクタ30に結合する任意の他の手段、又は、機械コネクタに直接行うことでの継手の省略が、本発明の状況から逸脱せずに想定され得ることは、極めて明白である。
【0047】
横方向では、液圧コネクタ30は、配管要素と平行に垂直面に延びるディスクの形態の2つの突出部34を備え、これらのそれぞれが外面でトラニオン33を支持する。円筒断面を有するこれらのトラニオンは、スピンドルを形成するように横方向に展開又は延在し、その長さは、末端部品2の幅に近いとはいえ、液圧コネクタ30を末端部品2の内側部分で動かすことができるように、末端部品2の幅よりも短い。最後に、液圧コネクタ30は、第1実施形態では、内側で三角形断面を有する円筒形の押しボタン5又は握りボタンを支持し、その面の1つは、このボタン5を長手方向に押すことによって配管要素31及び32を機械コネクタの分配チャネルに挿入できるよう配管要素31及び32の延在方向に対して垂直に延びる。
【0048】
図示のように、電気コネクタ40は、結合手段37に挿入される本体を備える。電気コネクタはまた、本体に被せるシーリングデバイス41を受ける。このシーリングデバイス41は、電気コネクタと機械コネクタとの間の電気接続をシールする。本体40には、2つの中空管が長手方向に貫通し、これらに金属コネクタを入れて、アーム1を介して乗員室から通じる電源線(図示せず)と、雄ピン42及び43との間に電気接続を提供し、雄ピン42及び43は、機械コネクタ10を通りスクレーパブレードの加熱抵抗体に達する機械コネクタ10内の電気回路との電気接続を提供する。
【0049】
次に
図4を参照すると、本発明の第1実施形態による液圧コネクタ30が詳細に示されている。2つの配管要素31及び32は、平行であり、一体部品を形成してその内側端が押しボタン5で終わるよう2つの固着ブリッジ35によって互いに接続されている。配管要素31及び32を機械コネクタ10の対応する内側分配チャネルでシールするために、配管要素31及び32のそれぞれの外側端に近い溝36にOリングが配置される。2つのディスク形の突出部34又は平坦な角度セクタを有する突出部が、配管要素31及び32のそれぞれの片側に垂直に延び、これらの配管要素と共に成形される。突出部34のそれぞれが、2つのディスクに対して垂直に横方向に延びて支持手段8に形成した溝形スロット9に係合するトラニオン33を支持する。これら2つのトラニオン33は、末端部品2に対する回転自由度を液圧コネクタに与える回転スピンドルを形成する。
【0050】
液圧コネクタ30はまた、一方の配管素子31から横方向に、この配管要素31によって支持されるトラニオン33に関連して配管要素31の外側から延び、その延びがトラニオン33の延びに実質的に対応する、ロック又は長手方向係止トラニオン38を備える。したがって、ロック38の延び方向とトラニオン33の延び方向とは平行であることが理解される。
【0051】
この係止トラニオン38の目的は、液圧コネクタ30を機械コネクタ10に挿入する際に液圧コネクタ30の長手方向移動を防止する手段として働くことである。この係止トラニオン38はまた、この同じ液圧コネクタを機械コネクタから取り外す際に硬点を発生させる。
【0052】
使用時に末端部品2に固定される支持手段8は、末端部品2の内面に嵌合すると同時に末端部品2に永久的に固定されるヨークの形状を有する。この支持手段8は、末端部品2の側面2a及び2bに形成した特別なスロットに係合して末端部品2に対する長手方向位置決めを確保するために、その端部のそれぞれに、外側に対して90°折れ曲がった2つの縁を備える。支持手段8は、その側面のそれぞれにスロット9を備え、スロット9は、貫通しているものか又は溝を形成する行き止まりの未貫通のものであり、「バナナ」型の円弧の形状を有する。これら2つのスロット9は、トラニオン33を動かすことができ、液圧コネクタ30が使用時に固定される機械コネクタに追従することを可能にするとともに、ワイパブレード3が窓上を動く際にワイパアーム1とワイパブレード3の機械コネクタ20との間に存在する角度差を吸収することを可能にすることによって、長手方向とは違った当該長手方向
を横切る方向に、付加的な自由度を液圧コネクタ30に与える。この
横切る方向は、例えば垂直方向である。スロット9は、ワイパブレード3をワイパアーム1から取り外す際に液圧コネクタを末端部品2に固着するために、トラニオン33を捕捉することによって、液圧コネクタの長手方向係止の機能も果たす。
【0053】
図5は、支持手段8の外方に折れ曲がった縁が側面2a及び2bに形成したスロット内の所定位置にある状態で、ワイパアーム1の末端部品2の内面に支持手段8を結合して装着した様子を示す。
【0054】
図6は、2つの要素が分離される前の使用位置又は整備位置としての、機械コネクタ10に取り付けた液圧コネクタ30を示す。配管要素31及び32は、内側風防ガラス洗浄液分配チャネルの末端オリフィスに挿入される。図示の接続位置では、液圧コネクタ30が機械コネクタ10に押し込まれ、これらの内部チャネル内に位置するので見えないOリングによってシールが提供される。機械コネクタ10は、その2つの側面10aの一方に、機械コネクタ10の側面に成形した長手方向延在部の形態をとる係止手段を備える。この係止手段は、アーム14の形状を有し、このアーム14は、液圧コネクタの一方の配管要素31が支持する係止トラニオン38と相互作用する機能を有する。このため、アーム14の長手方向端には、2つの平行分枝14a及び14bを形作るために、長手方向にスロットが形成され、平行分枝14a及び14bは、その相互間に、係止トラニオン38を受け入れるように形成された円形切欠を有する。これらの平行分枝は、液圧コネクタ30を挿入する際にトラニオンを通過させ、続いてトラニオンを初期位置に戻すことを許容するため、互いに分離可能であって、これらの弾性によって、係止トラニオン38を捕捉し、液圧コネクタが最終位置にあるとき、すなわち機械コネクタに挿入したときに、係止トラニオン38が円形切欠から再び出るのを防止する。この切欠があることで、液圧コネクタを機械コネクタから取り外すのに十分な引張力を液圧コネクタに加えることが必要となり、この力は、意図せぬ分離がないように、使用時に加わる力よりもより大きな力として規定される。これはまた、ワイパブレード3を装着する際に液圧コネクタ30が機械コネクタ10に正確に挿入されたことをオペレータが確認できるようにする硬点を発生させる。
【0055】
一方、
図7は、機械コネクタ10を支持する末端部品2を示し、液圧コネクタ30は、そのトラニオンを支持手段8のスロット9に挿入して機械コネクタ10に結合されている。
【0056】
次に、
図8〜
図10を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
【0057】
図8では、ワイパブレード3が、末端部品2を機械コネクタ10に折り重ねた使用位置にあり、一方で機械コネクタ10は、アダプタ20の格納式係止ボタン4と末端部品のオリフィス7との相互作用によって取り付けられている。末端部品2は、前述のように、その内側部分に組み込まれて強固に固定されたヨークの形態の支持手段8を支持する。したがって、支持手段8は、末端部品の内壁の形状に一致するインサートを形成する。
【0058】
支持手段8の例示的な実施形態は、第1実施形態のように、その側面のそれぞれにスロット9又は溝を有し、これは、円弧の形態で貫通しているもの又は行き止まりの未貫通のものであり、液圧コネクタ30に対する横方向突起を形成する対応の係止リッジ133を収容するよう設計されている。このスロット9は、垂直に延びる略矩形であり、その長辺が湾曲している。その幅は、長辺の大部分にわたって一定であるが、短い下辺の近くに狭窄部139があった後にこの短い下辺で初期の幅に戻ることで、液圧コネクタの底部リッジ133用の回転固定手段を形成する下側部分135を画定する。この狭窄部139はまた、下側部分135にて底部係止リッジ133の出入口用の硬点を形成する。
【0059】
液圧コネクタ30は、横方向突出部が、2つの係止リッジと、機械コネクタが整備位置になるとスロット9の矩形の短い下辺に突き当たる底部リッジ133と、機械コネクタが使用位置になるとスロット9の矩形の短い上辺に突き当たる上部リッジ134とからなることを除いて、第1実施形態について説明したものと同様である。
【0060】
後者の位置では、底部リッジ133は狭窄部139による硬点を通り、2つのリッジは、一方では上部リッジ134が短い上辺に突き当たる動きと、他方では底部リッジ133が矩形の幅の狭窄部139と接触する動きとの間で、ある程度の運動自由度を与える。この自由度は、ワイパアーム1の行程中に窓の形状に追従させるため、機械コネクタ10及びワイパブレード3をワイパアーム1に対して、角度的に運動させる必要性に対応する。
【0061】
整備位置から使用位置への移行、又はその逆への移行には、底部リッジ133がスロット9の矩形の狭窄部139を通過する形態が採られ、これには、底部リッジを下側部分135に嵌め込むために、オペレータの機敏な行動が必要であり、この嵌め込みが硬点を通った感覚を生じさせ、オペレータにその行動が適切に行われたことを知らせる。
【0062】
図8は、底部リッジ133がある範囲の角自由度を有する、使用位置のワイパブレードを示すが、
図9は、整備位置のワイパブレードを示す。底部リッジ133は、スロット9の矩形の下側部分135に嵌め込まれ、これが液圧コネクタ30を支持手段8に固着し、結果的に、末端部品2及びワイパアーム1に固着する。
【0063】
図10は、液圧コネクタ30の機械コネクタ10からの取り外しを示す。ワイパブレードが既に整備位置に配置されていることから、ここで図示しない底部リッジ133は、同じく図示しないスロット9の矩形の下側部分135に挿入されている。この位置から、オペレータが引張力を長手方向に加えたことで、液圧コネクタ30が機械コネクタ10から分離され、これらが使用位置にある場合にこれらの間にある固着手段が露出する。
【0064】
第1実施形態のように、機械コネクタ10の側面の一方は、アーム14の形態をした長手方向延在部を備え、この長手方向延在部は、液圧コネクタ30の一方の配管要素31に支持されてリッジ133及び134に関連して外側に位置決めされた係止トラニオン38と相互作用する機能を有する。アーム14の長手方向端は、この場合も、2つの平行分枝14a及び14bを形成するために長手方向にスロットが付いており、平行分枝14a及び14bは、その相互間に、係止トラニオン38を受けるよう形成された円形切欠を有し、液圧コネクタ30の機械コネクタ10内への挿入終了時に硬点を形成する。このとき、この固着は、ワイパアームが通常使用時に回転するときに、2つの要素間にシール性を与える。
【0065】
次に、
図11及び
図12を参照して、第3実施形態を説明する。
【0066】
図11は、第3実施形態によるワイパーシステム用の接続デバイスを形成する全要素を示す。先の2つの実施形態と同一の要素は、同一の参照符号で示し、その説明を省略する。
【0067】
この場合、支持手段8は、貫通又は未貫通のスロット9を有し、このスロット9は実質的に、三角突起形に下方に延びる矩形形状を有する。支持手段8と相互作用する液圧コネクタの支持要素は、この場合、液圧コネクタから横方向に延びる三角形状を有し、スロット9の下三角部分の中空形状を同様に再現した突出部233である。動作原理は第2実施形態と同様であり、すなわち、ワイパブレードを整備位置に動かすと突出部233がスロット9の底部に嵌まり込む。この突出部233は、下方に、すなわち、使用位置でこのスロットの上側部分においてワイパアームの長手方向
を横切る方向に動くことができる。したがって、液圧コネクタ30は、窓上でのワイパブレード3の往復運動中の末端部品2とワイパブレード3との関係、又は、ワイパブレードの動きとワイパアームの動きとの相対関係によって、係止されることなく、ワイパブレード3の運動に追従することができる。
【0068】
この実施形態では、コネクタ30は、各配管要素に位置決めされた2つの横方向平坦部34を備え、当該横方向平坦部34からまず、機械コネクタ10のアーム14への挿入を意図した係止トラニオン38が延び、2つの当該係止トラニオン38上にそれぞれ突出部233が延びている。これらの平坦部34はまた、長手方向後方に、すなわち風防ガラスワイパの内側に延びる2つのリッジ234を支持する。これら平坦部34の目的は、ワイパブレード3が整備位置にあるときに液圧コネクタ30を支持手段8上で固定するための要素として働くことである。これらリッジ234の目的は、使用位置又は整備位置の一方から他方への移行のとき、スロット9の後方で支持手段8に位置決めした可撓性タブ235を通過させることである。可撓性タブ235の終端には、リッジが通過する歯があり、当該歯は硬点を生じさせ、一方では整備位置で液圧コネクタ30を支持手段8に固着し、他方ではオペレータに整備位置の係合が実際に行われたことを知らせる。この機能は、第2実施形態のスロット9の矩形の底部における底部リッジ133の係合の機能と同様である。
【0069】
図示のように、電気コネクタ40は、液圧コネクタからの結合手段に挿入される本体を備える。電気コネクタはまた、電気コネクタの本体に被せられるシーリングデバイス242の受け手となる。このシーリングデバイス242は、電気コネクタと機械コネクタとの間の電気接続をシールする。Oリング236は、各配管要素31又は32と機械コネクタに設けられた当該配管要素の端部を受け入れる導管又はチャネルとの間の液圧シールを提供する。4つの管状要素で形成された保持部品241は、液圧コネクタ30の配管要素と電気コネクタ40のインターロック部分とに被せられる。この保持部品は、Oリング36とシーリングデバイス242とを止める。換言すれば、保持部品241は、Oリング及びシーリングデバイスに対する当接部を形成し、それらの配置、したがって、それらの機能を確保する。
【0070】
最後に、
図12は、使用位置で機械コネクタ10に挿入された液圧コネクタ30を示す。突出部233は、スロット9の上部にあり、すなわち長手方向
を横切る方向に、例えば垂直に、移動のための完全な許容範囲を有する。したがって、液圧コネクタは、ワイパブレード3が窓上を動くとき機械コネクタに追従し、液圧コネクタ30は機械コネクタと位置合わせされる。同様に、リッジ234は、硬点を形成するタブ235の歯の上にあり、歯を超えて動くことも許容される。
【0071】
係止トラニオン38は、機械コネクタ10のアーム14の円形切欠に挿入されることで、液圧コネクタ30を機械コネクタ10に固着してそれらの接続をOリング236(
図11で見える)によってシールする。
【0072】
次に、本発明の第1実施形態による液圧コネクタを備えた風防ガラスワイパアームのワイパブレードの交換を、摩耗したワイパブレードの取り外し及び新たなワイパブレードとの交換を含め説明する。第2実施形態及び第3実施形態によるワイパブレードの交換は、同様に実行される。
【0073】
オペレータは、まずワイパブレード3を整備位置にし、ワイパアーム1及び末端部品2の長手方向から角度を付けて離す。液圧コネクタ30は、末端部品の2つの側面2a及び2bの支持手段8の空洞9に保たれたそのトラニオン33によって長手方向に保持されるが、そのトラニオンを支持するスピンドルを中心に回転するための運動の自由度を保持する。したがって、この運動の間は、前記空洞に沿って動くことができる。第2実施形態及び第3実施形態では、この運動は、底部リッジ133又はリッジ234を支持手段8で固着することと、その際、この固着をオペレータに知らせる硬点を通ることとのそれぞれを伴う。この場合、それは使用位置から整備位置への移行に関係する。
【0074】
整備位置へのこの運動は、ワイパブレード3をアダプタ20に対して回動させるが、アダプタ20は、それを取り付けた末端部品2に位置合わせされたままである。格納式ボタン4をオリフィス7から取り出すためにこれを押すことによってアダプタ20を末端部品2から分離した後、オペレータは、アダプタ20又は機械コネクタ10を引っ張ることによって、末端部品の側面2a及び2bの折れ曲がった縁によって形成されたスライダにアダプタを滑り込ませることができる。アダプタを引っ張ることによって、オペレータは、係止トラニオン38を解放してこれを機械コネクタ10のアーム14の円形切欠から抜き出し、これにより、ワイパブレード3がワイパアーム1から完全に分離されるまで末端部品2に対するアダプタ、機械コネクタ10、及びワイパブレード3の相対運動を可能にする。
【0075】
新たなワイパブレードの装着は、逆順に実行され、液圧コネクタ30は、支持手段8に収容され、特に、第2実施形態及び第3実施形態では、最初にスロット9の底部に係合させる。これら2つの実施形態では、末端部品2に対する液圧コネクタ30の配管要素31及び32の向きは、このとき、取り付け時の機械コネクタ10の内側液体分配チャネルのオリフィスと自然に位置合わせされる。アダプタ20は最初、機械コネクタ10に対して所定の角度に配置するために開かれており、それから、末端部品2に位置合わせされた後に、末端部品の内部容積に挿入されて、アダプタ20の縁22が末端部品の側面2a及び2bの対応当接部に突き当たるまで押される。
【0076】
この動作中、機械コネクタ10は、液圧コネクタ30に徐々に接近していき、第1実施形態では、オペレータは、液圧コネクタ30を配管要素31及び32が機械コネクタの内側チャネルと同一線上になる角度位置にもっていくために、押しボタン5を操作することによって液圧コネクタ30をトラニオン33周りに回動させる。
【0077】
他の2つの実施形態では、この動作はオペレータの介入なしで実行され、位置合わせは、回転固定ロックと支持手段との間の相互作用によって上述のように予め規定される。具体的には、この相互作用によって与えられる角度は、液圧コネクタをワイパブレードの末端部品に対して、整備位置での末端部品への機械コネクタの挿入角度と同一又は同様の角度に配置する。このとき、押しボタン5は、もはや必要でなくなる。機械コネクタ10及びアダプタ20を末端部品2に対して押し付け操作を続けることによって、配管要素31及び32は、機械コネクタの内側チャネルに挿入され、風防ガラス洗浄液がスプレー管6に供給されることを保証する。
【0078】
続いて、オペレータは、ワイパブレード3をワイパアーム1に対して再度閉じ、すなわち整備位置から使用位置へ動かす。トラニオン38は、機械コネクタのアーム14に固定されたままであり、これが、これら2つの部品を互いにつなぎ止めて使用時にこの液圧コネクタが分離する虞を回避する。ワイパブレード3をワイパアーム1上で閉じて、アダプタ20を機械コネクタ10に対して下ろすことにより、第2実施形態及び第3実施形態ではそれぞれ、底部135の底部リッジ133が空洞9から出るか、又はリッジ234が可撓性タブ235の末端歯を通過する。液圧コネクタは、このときもはや末端部品2に固着されなくなり、窓をワイパーする時にワイパアームに対する機械コネクタの相対運動に追従することができる。