(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各第1押圧部材は、前記本体部の先端部から前記第2方向に突出し、前記第n行目の光源モジュールの前記非実装部を押圧する第1の爪部と、前記本体部の先端部から前記第2方向に突出し、前記第n+1行目の光源モジュールの前記非実装部を押圧する第2の爪部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
前記本体部の基端部は、ネジ止め用の台座部を有し、前記本体部が前記台座部に挿通されるネジによって前記ヒートシンクに固定されることを特徴とする請求項2に記載の光照射装置。
前記収容部の底部に配置され、前記本体部の基端部を前記第3方向に押し上げるように付勢する圧縮バネを備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光照射装置。
前記基板は、前記非実装部の前記第1方向の少なくとも一方端側に、前記ネジを回転させるための工具が通る切欠部を有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光照射装置。
前記第1行目の光源モジュールの前記一対の電極板と、前記第N行目の光源モジュールの前記一対の電極板を覆うように設けられ、前記第1行目の光源モジュールと前記第N行目の光源モジュールを前記ヒートシンクに対して弾性的に押圧して固定する第2押圧部材を備えることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の光照射装置。
前記ヒートシンクは、前記基板との当接面に、前記基板の外周に沿うように形成された凹溝部を備え、前記凹溝部は、前記光源モジュールが前記ヒートシンクに取り付けられたときに、前記放熱グリスの余剰分を収容することを特徴とする請求項11に記載の光照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光照射モジュールによれば、複数の光照射デバイスが放熱部材上に2次元に配列されることにより、所望する照射エリアに所定の光量の紫外光を照射することができる。しかしながら、特許文献1の構成は、各光照射デバイス間に隙間を設ける構成であるため、各光照射デバイス間において(つまり、各光照射デバイスの継ぎ目部において)、照射強度が低下してしまうといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各光照射デバイス(各光源モジュール)の基板の変形を抑えると共に、略均一な照射強度分布の光を出射可能な光照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の光照射装置は、互いに直交する第1方向と第2方向とによって規定される平面に平行な表面を有する板状のヒートシンクと、第1方向に平行な二辺を有する矩形状の基板と、第1方向及び第2方向と直交する第3方向に光軸の向きを揃えて基板の表面に実装される複数の発光素子と、をそれぞれ有し、ヒートシンクの表面上に第1方向に沿ってM列(Mは、1以上の整数)に並び、第2方向に沿ってN行(Nは、2以上の整数)に並ぶM×N個の光源モジュールと、
第1方向と第3方向とによって規定される平面に平行な薄板状の形状を呈し、各列の第n行目(nは、1以上N−1以下の整数)の光源モジュールと第n+1行目の光源モジュールとの間に
挟まれるように配置され
る本体部を有し、第n行目の光源モジュールと第n+1行目の光源モジュールとをヒートシンクに対して押圧して固定する複数の第1押圧部材と、を備え、
ヒートシンクは、本体部を収容する収容部を有し、第n行目の光源モジュールの基板と第n+1行目の光源モジュールの基板は、互いに対向する二辺に沿って細長く形成された、発光素子が実装されていない非実装部を有し、各第1押圧部材は、第1方向に沿って非実装部を押圧することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、第n行目の光源モジュールと第n+1行目の光源モジュールとが第1押圧部材によって連結して固定されるため、基板サイズを大きくする必要がなく、熱による基板の変形を抑制することができる。また、第1押圧部材が、基板縁部に細長く形成された非実装部を押圧する構成であるため、第n行目の光源モジュールと第n+1行目の光源モジュールとの間の隙間を小さくし、延いては第n行目の光源モジュールの発光素子群と第n+1行目の光源モジュールの発光素子群との隙間を小さくすることができるため、継ぎ目部分における照度の低下が抑制される。
【0010】
また、各第1押圧部材は、本体部の先端部から第2方向に突出し、第n行目の光源モジュールの非実装部を押圧する第1の爪部と、本体部の先端部から第2方向に突出し、第n+1行目の光源モジュールの非実装部を押圧する第2の爪部と、を有する構成とすることができる。
【0011】
また、本体部の基端部は、ネジ止め用の台座部を有し、本体部が台座部に挿通されるネジによってヒートシンクに固定されることが望ましい。また、この場合、本体部の板厚が、ネジの頭部の直径よりも小さいことが望ましい。
【0012】
また、収容部の底部に配置され、本体部の基端部を第3方向に押し上げるように付勢する圧縮バネを備えることが望ましい。このような構成によれば、第1押圧部材が収容部に落下することがないため、光源モジュールの取り付け、取り外し作業が容易になる。
【0013】
また、基板は、非実装部の第1方向の少なくとも一方端側に、ネジを回転させるための工具が通る切欠部を有することが望ましい。このような構成によれば、第n行目の光源モジュールと第n+1行目の光源モジュールとの間の隙間をより小さくすることができる。
【0014】
また、基板は、発光素子のそれぞれに電力を供給する一対の電極板を有し、第1行目の光源モジュールの一対の電極板は、第2行目の光源モジュールが位置する方向とは反対の方向に突出し、第N行目の光源モジュールの一対の電極板は、第N−1行目の光源モジュールが位置する方向とは反対の方向に突出することが望ましい。また、この場合、電極板が、柔軟性を有することが望ましい。
【0015】
また、第1行目の光源モジュールの一対の電極板と、第N行目の光源モジュールの一対の電極板を覆うように設けられ、第1行目の光源モジュールと第N行目の光源モジュールをヒートシンクに対して弾性的に押圧して固定する第2押圧部材を備えることが望ましい。また、この場合、第2押圧部材は、金属製の板バネであることが望ましい。
【0016】
また、光源モジュールとヒートシンクとの間に放熱グリスが塗布されていることが望ましい。
【0017】
また、ヒートシンクは、基板との当接面に、基板の外周に沿うように形成された凹溝部を備え、凹溝部は、光源モジュールがヒートシンクに取り付けられたときに、放熱グリスの余剰分を収容することが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、各光源モジュールの基板の変形が抑えられると共に、略均一な照射強度分布の光を出射可能な光照射装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の平面図である。本実施形態の光照射装置1は、オフセット枚葉印刷用のインキとして用いられる紫外線硬化型インキや、FPD(Flat Panel Display)等でシール剤として用いられる紫外線硬化樹脂を硬化させる光源装置に搭載される装置であり、不図示の照射対象物に対向して配置され、照射対象物の所定のエリアに紫外光を出射する。
【0022】
図1に示すように、光照射装置1は、ヒートシンク10と、端子台20、30と、56個の光源モジュール100と、各光源モジュール100をヒートシンク10に固定する固定部材200等を備えている。各光源モジュール100は、矩形状の紫外光を出射するユニットであり、本実施形態においては、ヒートシンク10上に28列×2行の態様で稠密に並べて配置され、光照射装置1からはライン状の紫外光が出射されるように構成されている。本明細書においては、光照射装置1から出射されるライン状の紫外光の長手(線長)方向をX軸方向、短手(線幅)方向をY軸方向、X軸及びY軸と直交する方向(すなわち、鉛直方向)をZ軸方向と定義して説明する。
【0023】
図2は、本実施形態の光照射装置1を説明する拡大図である。
図2(a)は、
図1のS部(点線部)を拡大した拡大図である。
図2(b)は、
図2(a)のA−A´断面図である。
図2(c)は、
図2(a)のB−B´断面図である。
【0024】
ヒートシンク10は、各光源モジュール100を固定するとともに、各光源モジュール100で発生した熱を放熱するための部材であり、熱伝導率の高い銅等の金属によって形成されている。
図1及び
図2に示すように、ヒートシンク10は、X軸方向に延びる略矩形の板状の部材であり、上面10a(
図2(b))は、光源モジュール100の載置面となっている。また、ヒートシンク10のX軸方向に沿って延びる2つの側面10b、10cには、端子台20及び30が、それぞれ複数の固定ネジ21及び31によって取り付けられている。
【0025】
端子台20は、アノード端子22aとカソード端子22bより成る一対の電極端子22をX軸方向に沿って複数支持する樹脂製の部材である。一対の電極端子22(つまり、アノード端子22aとカソード端子22b)は、各光源モジュール100に電力を供給するための端子であり、本実施形態においては、端子台20側に配置される28個の光源モジュール100に電力を供給できるように、28個のアノード端子22aと28個のカソード端子22bがX軸方向に沿って交互に設けられている。
【0026】
端子台30は、端子台20と同様、アノード端子32aとカソード端子32bより成る一対の電極端子32をX軸方向に沿って複数支持する樹脂製の部材である。一対の電極端子32(つまり、アノード端子32aとカソード端子32b)は、各光源モジュール100に電力を供給するための端子であり、本実施形態においては、端子台30側に配置される28個の光源モジュール100に電力を供給できるように、28個のアノード端子32aと28個のカソード端子32bがX軸方向に沿って交互に設けられている。
【0027】
次に、本実施形態のアノード端子22a、32a、カソード端子22b、32bの構造を説明する。本実施形態のアノード端子22a、32a、カソード端子22b、32b、それぞれ同一の構造を有しているため、以下、代表してアノード端子22aの構造を、
図2(a)及び
図2(b)を参照しながら説明する。
【0028】
アノード端子22aは、円柱状の電極棒22aaと、電極棒22aaの上側(ヒートシンク10の上面10a側)から電極棒22aaに螺入される電極板固定ネジ22abと、電極棒22aaの下側(ヒートシンク10の上面10aと対向する面側)から電極棒22aaに螺入される圧着端子固定ネジ22acと、圧着端子22adとから構成されている。
【0029】
圧着端子22adは、銅板を折り曲げて形成した端子である。圧着端子22adの基端部には圧着端子固定ネジ22acが挿通される貫通孔22ad1が形成され、先端部には不図示のLED駆動回路から引き出されたケーブルが接続される接続部22ad2が形成されている。圧着端子22adは、圧着端子固定ネジ22acが貫通孔22ad1に挿通され電極棒22aaに螺入されることによって電極棒22aaに圧縮狭持される。圧着端子22adの接続部22ad2に、ケーブルを介してLED駆動回路からの駆動電圧が印加されると駆動電流(アノード電流)が供給され、電極棒22aaにアノード電流が流れる。
【0030】
電極板固定ネジ22abは、後述する固定板200と電極板150とを電極棒22aaに共締めするための締結部材である。電極板固定ネジ22abが電極棒22aaに螺入されることによって固定板200と電極板150とが電極棒22aaに圧縮狭持され、電極棒22aaに供給されたアノード電流が電極板150に流れる。
【0031】
上述したように、アノード端子32aは、アノード端子22aと同一の構造を有しており、接続された電極板150にLED駆動回路から供給されるアノード電流を供給する。また、カソード端子22b、32bもアノード端子22aと同一の構造を有しており、接続された電極板150にLED駆動回路から供給されるカソード電流(つまり、アノード電流と極性の異なる電流)を供給する。
【0032】
図3は、本実施形態の光源モジュール100の構成を説明する図であり、
図3(a)は平面図(Z軸方向から見たときの図)であり、
図3(b)は側面図(X軸方向から見たときの図)である。光源モジュール100は、例えば熱伝導率の高い窒化アルミニウムで形成された矩形状のセラミックス基板110と、セラミックス基板110上に正方格子状にダイボンディングされて配置された複数のLED(Light Emitting Diode)ダイ120と、セラミックス基板110上に形成されたアノードパターン130及びカソードパターン140にそれぞれハンダ付け等(例えば、導電性接着剤(銀ペースト)、ロウ材、溶接・溶着、拡散接合等)で電気的に接続された矩形状の一対の電極板150とを備えている。
【0033】
図3に示すように、各光源モジュール100には、X軸方向に10個、Y軸方向に16個のLEDダイ120がセラミックス基板110の表面と直交する方向(つまり、Z軸方向)に光軸の向きを揃えてセラミックス基板110の表面に正方格子状に並べて配置されている。X軸方向に並ぶ各10個のLEDダイ120は、不図示のボンディングワイヤによって直列に接続されており、アノードパターン130より(
図3中、最も左側)に配置された光源モジュール100のアノードがアノードパターン130に電気的に接続され、カソードパターン140より(
図3中、最も右側)に配置された光源モジュール100のカソードがカソードパターン140に電気的に接続されている。つまり、本実施形態においては、X軸方向に並ぶ各10個のLEDダイ120を一組として、Y軸方向に16組のLEDダイ120が並列に接続されている。そして、アノードパターン130に接続された電極板150に駆動電流(つまり、アノード電流)が供給されると、各光源モジュール100に搭載された全てのLEDダイ120に駆動電流が流れ、各LEDダイ120からは駆動電流に応じた光量の紫外光が出射されるようになっている。なお、本実施形態の各LEDダイ120は、略等しい電気的特性を有しており、各LEDダイ120からは、略等しい照射強度分布の紫外光が出射されるように構成されている。各LEDダイ120を流れた駆動電流は、カソードパターン140を通り、カソードパターン140に接続された電極板150からはリターン電流(つまり、カソード電流)がリターンされる。
【0034】
各LEDダイ120が発光すると熱が発生するため、ヒートシンク10に効率よく熱を伝導することが極めて重要となるが、セラミックス基板110のサイズが大きくなると、熱によるセラミックス基板110の変形(例えば、反り)量も大きくなり、セラミックス基板110が熱による変形によってヒートシンク10から浮いてしまうと、放熱効率が著しく低下してしまうといった問題がある。そこで、本実施形態の光源モジュール100においては、セラミックス基板110が熱による変形によってヒートシンク10から浮いてしまうことがないように、セラミックス基板110(つまり、光源モジュール100)のサイズを抑え、複数の光源モジュール100を二次元に並べて配列することで、所定の照射エリアに対応した紫外光を照射している。
【0035】
しかしながら、複数の光源モジュール100を二次元に配列すると、各光源モジュール100間の継ぎ目部分において、LEDダイ120が配置されない部分ができ、この部分の照射強度が低下してしまう(つまり、照射強度分布の均一性が損なわれる)といった問題が発生する。そこで、本実施形態の光源モジュール100においては、少なくとも直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100間において、極力隙間が生じないように両者を基板押え300を用いて固定する構成を採っている(詳細は後述)。このため、
図3に示すように、本実施形態のセラミックス基板110においては、一対の電極板150が設けられている一辺と対向する一辺(つまり、
図3における上側の一辺)に沿って、後述する基板押え300の第1爪部313又は第2爪部314が当接し、押圧する非実装部112が細長に形成されている。
図2に示すように、本実施形態においては、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100の非実装部112が基板押え300を挟んで向き合うように配置され、基板押え300によって両者を連結して固定している。
【0036】
また、セラミックス基板110の非実装部112の左右両側には、基板押え300を固定する固定ネジ330を回転させるための工具(例えば、六角レンチ)を挿通できるように、切欠部113、114が形成されている。このように、本実施形態においては、セラミックス基板110に切欠部113、114を形成することにより、工具の挿通を可能にしつつも、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100間の隙間が最小となるように構成している。つまり、本実施形態においては、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100において、互いに向き合う一方の切欠部113と他方の切欠部114の間隔、および他方の切欠部113と一方の切欠部114の間隔が、固定ネジ330の頭部の直径よりも小さくなるように構成されている。
【0037】
本実施形態の電極板150は、銅、又は黄銅、リン青銅、ベリリウム銅などの銅合金によって形成された、導電率が高く、柔軟性を有する板状の部材である。上述したように、電極板150の先端部は、セラミックス基板110の表面の一辺(
図3における下側の一辺)の端部近傍において、ハンダ付け等によってアノードパターン130又はカソードパターン140に電気的に接続されており、基端部は、セラミックス基板110の外側に突出するように引き出され、アノード端子22a(又は32a)又はカソード端子22b(又は32b)と電気的に接続するための貫通孔150aが形成されている。電極板固定ネジ22abが貫通孔150aに挿通され電極棒22aaに螺入されることによって電極板150がアノード端子22a(又は32a)又はカソード端子22b(又は32b)の電極棒22aaに電気的に接続される(
図2)。
【0038】
このように、本実施形態においては、カソードパターン140とカソード端子22b(又は32b)とを電極板150を介して直接的、かつ強固に接続し、アノードパターン130とアノード端子22a(又は32a)とを電極板150を介して直接的、かつ強固に接続することにより、カソードパターン140とカソード端子22b(又は32b)間の接触抵抗及びアノードパターン130とアノード端子22a(又は32a)間の接触抵抗を低く維持している。従って、160個のLEDダイ120が一斉に点灯し、各光源モジュール100に大電流が流れたとしても、各光源モジュール100に印加される駆動電圧の低下は最小限に抑えられ、全てのLEDダイ120を安定して点灯させることができる(つまり、全てのLEDダイ120に安定した電力を供給することができる)。
【0039】
上述したように、本実施形態の電極板150には、160個のLEDダイ120を駆動するための大電流が流れる。このため、電極板150による電圧降下を抑える観点からは、電極板150の断面積(つまり、厚さ)を極力大きくして、電極板150自体の電気抵抗を下げることが望ましい。しかし、一方で、電極板150を厚くすると、柔軟性が乏しくなり、セラミックス基板110の設置の自由度が制限されたり、セラミックス基板110に応力が加わり、セラミックス基板110が破壊するリスクが高まる。そこで、本実施形態においては、電極板150の厚さを0.05〜0.75mm、より好ましくは0.1〜0.5mmに設定し、所定の柔軟性を維持しながらも電気抵抗が低く抑えられた構成としている。なお、別の実施形態としては、電極板150の表面を、金、ニッケル又は錫の少なくともいずれか1つを含む金属薄膜によって被覆(例えば、メッキ)してもよい。このような構成によれば、電極板150の表面の導電率が高くなる(つまり、電気抵抗が低くなる)と共に、耐腐食性が向上するため、カソードパターン140とカソード端子22b(又は32b)間の接触抵抗及びアノードパターン130とアノード端子22a(又は32a)間の接触抵抗をさらに低くすることができる。
【0040】
また、上述したように、本実施形態の各光源モジュール100には、160個のLEDダイ120が搭載される。このため、各光源モジュール100で発生する熱を無視することはできず、効率よくヒートシンク10に伝導することが極めて重要である。各光源モジュール100の放熱効果を高めるためには、セラミックス基板110とヒートシンク10とを密着させる必要があるところ、セラミックス基板110は非常に脆く、荷重をかけ過ぎると破損してしまうといった問題がある。そこで、本実施形態においては、弾性力を備えた一対の固定板200を、一対の電極板150を覆うように配置し、固定板200によってセラミックス基板110をヒートシンク10に付勢して固定している(
図2)。また、ヒートシンク10上に不図示の放熱グリスを塗布した上でセラミックス基板110をヒートシンク10上に載置することで、セラミックス基板110の裏面とヒートシンク10との間に放熱グリスを挟み込み、セラミックス基板110とヒートシンク10との密着性を高めている。
【0041】
図4は、固定板200の拡大図である。
図4(a)は固定板200の底面図であり、
図4(b)は
図4(a)のC−C´断面図である。
図4に示すように、本実施形態の固定板200は、銅やステンレス鋼によって形成された金属の板状の部材(押圧部材)であり、電極板固定ネジ22abによって電極棒22aaに取り付けられ、セラミックス基板110をヒートシンク10に付勢する部材である。固定板200の一端部(
図4上側)は他端部(
図4下側)に向かって折り曲げられており、セラミックス基板110の表面に当接し押圧する押圧部200aが形成されている。また、固定板200の他端部側には、電極板固定ネジ22abが挿通される貫通孔200bが形成されている。固定板200は、各電極板150を覆うように配置され、電極板固定ネジ22abによって電極板150と共に電極棒22aaに共締めされる。そして、固定板200が電極棒22aaに固定されたとき、押圧部200aがセラミックス基板110の表面に当接し、所定の荷重をセラミックス基板110に付与するように構成されている。なお、所定の荷重とは、セラミックス基板110が移動、脱落せず、また破壊しない程度の荷重をいい、本実施形態においては0.1〜30kg、好ましくは0.2〜20kgの荷重が付与されるように構成されている。
図5は、固定板200と電極板150とが電極板固定ネジ22abによって電極棒22aaに共締めされている状態を示す図である。
【0042】
図1及び
図2に示すように、本実施形態においては、端子台20側に配置される28個の光源モジュール100が、各電極板150の基端部が端子台20側に突出するように並べられている。また、端子台30側に配置される28個の光源モジュール100が、各電極板150の基端部が端子台30側に突出するように並べられている。そして、各固定板200が、各電極板150を覆うように配置され、各電極板固定ネジ22abによって各電極板150と共に各電極棒22aa(つまり、各アノード端子22a、32a及びカソード端子22b、32b)に共締めされる。なお、本実施形態においては、各セラミックス基板110の電極板150が配置されていない側の一辺(つまり、電極板150が配置されている一辺と対向する一辺)は、ヒートシンク10のY軸方向中心を通りX軸方向に延びる直線Oに沿って配置される複数の基板押え300によって固定されている(
図2)。
【0043】
図6は、基板押え300の外形を説明する図であり、
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ平面図(Z軸方向から見たときの図)、正面図(Y軸方向から見たときの図)、側面図(X軸方向から見たときの図)である。基板押え300は、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100(セラミックス基板110)の直線O側の一辺に挟まれるように配置される薄板状の基板押え部310と、基板押え300をヒートシンク10に固定する一対の固定部320とを備えた、金属製(例えば、ステンレス製)の部材である。基板押え300は、直線Oに沿ってヒートシンク10の上面10aに形成された凹溝10d1に収容されて固定されることにより、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100をヒートシンク10に対して押圧して固定する(
図2)。
【0044】
図6に示すように、基板押え部310は、X軸方向とZ軸方向とによって規定される平面に平行な略矩形の薄板状の形状を呈し、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100(セラミックス基板110)の直線O側の一辺に挟まれるように配置される本体部312と、本体部312の先端部(Z軸方向正側)からY軸方向正側に所定量(例えば、1mm)突出し、端子台30側に配置される光源モジュール100の電極板150が配置されていない側の一辺に沿って延びる第1爪部313と、本体部312の先端部(Z軸方向正側)からY軸方向負側に所定量(例えば、1mm)突出し、端子台20側に配置される光源モジュール100の電極板150が配置されていない側の一辺に沿って延びる第2爪部314と、を備えている。基板押え300が、凹溝10d1に収容されて固定されると、第1爪部313が端子台30側に配置される光源モジュール100の非実装部112を押圧し、第2爪部314が端子台20側に配置される光源モジュール100の非実装部112を押圧するため、本体部312を挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100が同時に押圧されて固定される(
図2)。なお、本実施形態においては、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100間の隙間は、本体部312の厚みによって規定されることになるが、この隙間が大きくなると、この部分での照射強度が著しく低下してしまうため、本体部312の厚みは極力薄くすることが好ましい。このため、本実施形態においては、本体部312の板厚を0.5mmに設定し、固定ネジ330の頭部の直径よりも十分に小さくなるように構成している。また、照射強度分布を均一にする観点からは、LEDダイ120が配置されない部分(つまり、非実装部分)を極力薄くすることが好ましいため、第1爪部313及び第2爪部314の突出量は、各光源モジュール100のセラミックス基板110を押圧することができる範囲で最小のものとされている。
【0045】
図6に示すように、一対の固定部320は、本体部312の基端部(Z軸方向負側)からX軸方向に沿って両側に張り出す、ネジ止め用の台座(台座部)であり、各固定部320には固定ネジ330が挿通される貫通孔320aがZ軸方向に沿って形成されている。
図2(c)に示すように、基板押え300は、光源モジュール100をヒートシンク10に載置する前に、固定ネジ330を固定部320に形成された貫通孔320aに挿通し、ヒートシンク10の凹溝10d1の底部に形成されたネジ穴10eにねじ込むことによってヒートシンク10に取り付けられる。また、
図2(c)に示すように、本実施形態の基板押え300は、圧縮バネ350によって、Z軸方向正側に付勢されており、これによって、光源モジュール100の取り付け作業を容易にしている。
【0046】
図7は、圧縮バネ350の作用を説明する図であり、
図7(a)は、固定ネジ330が緩んだ状態を示し、
図7(b)は、固定ネジ330をネジ穴10eにねじ込んだ後の状態を示している。なお、
図7においては、説明の便宜のため、光源モジュール100等を省略して示している。
【0047】
図7(a)に示すように、本実施形態の圧縮バネ350は、ヒートシンク10の凹溝10d1の底部に形成された凹部10fに収容され、基板押え300の本体部312の基端部をZ軸方向正側に付勢している。このため、固定ネジ330が緩んだ状態であっても、基板押え300が凹溝10d1内に落下してしまうことがない。従って、固定ネジ330が緩んだ状態で光源モジュール100を適切な位置に配置し(つまり、本体部312を挟んで2つの光源モジュール100を並べ)、切欠部113、114の隙間から工具を挿入して固定ネジ330をネジ穴10eにねじ込んでいくと、基板押え300の位置(つまり、第1爪部313及び第2爪部314の位置)が徐々に低下し、圧縮バネ350が圧縮された状態で基板押え300がヒートシンク10に固定される(
図7(b))。そして、このとき、第1爪部313が端子台30側に配置される光源モジュール100の非実装部112を押圧し、第2爪部314が端子台20側に配置される光源モジュール100の非実装部112を押圧するため、本体部312を挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100が同時に押圧されて固定される。なお、LEDダイ120の故障等により、光源モジュール100を交換する場合には、切欠部113、114の隙間から工具を挿入して固定ネジ330を緩めることになるが、本実施形態においては、固定ネジ330を十分に緩めたときに、固定ネジ330の頭部の高さが光源モジュール100の装着位置よりも高くなるように構成されているため(
図7(a))、固定ネジ330を緩めていくと、固定ネジ330の頭部によって光源モジュール100が押し上げられる。従って、光源モジュール100を交換する際の光源モジュール100の取り外し作業も容易になる。
【0048】
基板押え300をヒートシンク10に取り付けた後、電極板固定ネジ22abによって電極板150と固定板200とを電極棒22aa(つまり、各アノード端子22a、32a及びカソード端子22b、32b)に共締めすることにより、各光源モジュール100がヒートシンク10上に固定される。
【0049】
上述のように、本実施形態においては、直線Oを挟んでY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100を薄板状の基板押え300によって連結して固定することで、両者間の隙間を極力無くし、継ぎ目部分における照射強度の低下を抑制している。
図8は、本実施形態の光照射装置1の照射強度分布を示すグラフであり、
図8(a)は、ワークディスタンス(つまり、光照射装置1の出射面からの距離)=3mmのときの、X軸方向の照射光度分布を示し、
図8(b)はワークディスタンス=3mmのときの、Y軸方向の照射光度分布を示している。なお、
図8(a)において、縦軸は照射光度(W/cm
2)であり、横軸は光照射装置1のX軸方向の中心を0とする照射位置である。また、
図8(b)において、縦軸は照射光度(W/cm
2)であり、横軸は光照射装置1のY軸方向の中心を0とする照射位置である。
【0050】
図8(a)に示すように、光照射装置1のX軸方向の照射光度分布は、略均一なものとなっている。
【0051】
また、
図8(b)に示すように、光照射装置1のY軸方向の照射光度分布も、略均一なものとなっており、直線Oに沿って配置される基板押え300の影響、つまりY軸方向に並ぶ2つの光源モジュール100の継ぎ目部分における照射強度の低下は認められない。
【0052】
なお、上述のように、本実施形態においては、各光源モジュール100の直線O側の端部(つまり、非実装部112)が基板押え部310によって固定される。このため、各光源モジュール100の電極板150が配置されている一辺を固定板200によって押圧したとしても、直線O側の一辺側が浮き上がることはなく、各光源モジュール100(セラミックス基板110)がヒートシンク10上に安定して固定される。また、各光源モジュール100は固定板200の付勢力によって固定されるため、各光源モジュール100のセラミックス基板110に過大なストレスが加わることもない。また、各固定板200が各電極板150を覆うように配置されるため、セラミックス基板110上に固定板200が当接する(押圧する)部分と電極板150が接続される部分とを別個に設ける必要がなく、セラミックス基板110を小型化できる。このため、セラミックス基板110の反りを抑制することも可能となる。
【0053】
光源モジュール100をヒートシンク10上に固定すると、固定板200の付勢力によって光源モジュール100がヒートシンク10に密着するため、セラミックス基板110の裏面とヒートシンク10との間に挟み込まれた放熱グリスがセラミックス基板110と平行な方向(つまり、X−Y平面上)に拡がり、セラミックス基板110の外周縁部から余剰な放熱グリスが流出する。本実施形態においては、余剰な放熱グリスが、セラミックス基板110の表面に回り込み、放熱グリスによる電気的なショート等を引き起こすことがないように、ヒートシンク10の上面10aのセラミックス基板110の外周縁部が位置する部分に所定の深さの凹溝10d1、10d2、10d3を設け、グリス溜まりを形成している。なお、上述したように、本実施形態の凹溝10d1は、基板押え300を収容する機能を併せ持つものである。
【0054】
図9は、ヒートシンク10の上面10aに形成された凹溝10d1、10d2、10d3を説明する図である。
図9(a)は、平面図(Z軸方向から見たときの図)であり、図面を見やすくするために、端子台20側に配置される光源モジュール100を削除し、端子台30側に配置される光源モジュール100を破線で示し、ヒートシンク10の上面10aに形成された凹溝10d1、10d2、10d3をハッチングして示している。
図9(b)は、
図9(a)のC−C´断面図である。
図9(c)は、
図9(a)のD−D´断面図である。なお、
図9(b)及び
図9(c)においては、光源モジュール100は示されていない。
【0055】
図2及び
図9に示すように、各セラミックス基板110の外周縁部に沿うように、ヒートシンク10の上面10aに格子状に所定の深さの凹溝10d1、10d2、10d3が形成されている。なお、本実施形態の凹溝10d1、10d2、10d3は、余剰な放熱グリスが、セラミックス基板110の表面に回り込むことを確実に防止するため、凹溝10d1、10d2、10d3で囲まれるセラミックス基板110の基板載置エリアEがセラミックス基板110の外径よりも若干小さくなるようにしている。つまり、光源モジュール100がヒートシンク10上の基板載置エリアEに載置されたとき、セラミックス基板110の周縁端部が凹溝10d1、10d2、10d3の方向(つまり、
図9の上下左右方向)に若干突出するように構成されている。なお、凹溝10d1、10d2、10d3が形成されている部分ではヒートシンク10とセラミックス基板110が接触しないため、放熱効果が低下する。このため、セラミックス基板110の凹溝10d1、10d2、10d3にかからない部分(つまり、基板載置エリアEに相当する部分)に収まるようにLEDダイ120を配置することが望ましい。
【0056】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
【0057】
例えば、本実施形態においては、28列×2行の光源モジュール100を正方格子状に配置したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、光源モジュールをM列(Mは、1以上の整数)×N行(Nは、2以上の整数)の態様で配置することも可能である。
図10は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の変形例の構成を説明する拡大図である。本変形例に係る光照射装置1Mは、光源モジュールをM列(Mは、1以上の整数)×N行(Nは、2以上の整数)の態様で配置した構成の代表例として、2列×4行(つまり、M=2、N=4の場合)の光源モジュール100Mを備えている。本変形例においては、基板押え300は、各列の第n行目(nは、1以上N−1以下の整数)の光源モジュール100Mと第n+1行目の光源モジュール100Mとの間に配置されている。また、第1行目及び第N行目(つまり、第4行目)の光源モジュール100Mに対しては、本実施形態と同様、光源モジュール100Mの外側に突出する電極板150によって電力を供給しており、第1行目及び第N行目(つまり、第4行目)以外の光源モジュール100Mに対しては、ヒートシンク10を貫通するように設けられた電極板(
図10において不図示)によって、光源モジュール100Mの裏側から電力を供給する構成としている。
【0058】
また、本実施形態においては、光源モジュール100のセラミックス基板110の一辺(つまり、一対の電極板150が設けられている一辺と対向する一辺)を1個の基板押え300で押える構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、光源モジュール100のセラミックス基板110の一辺を複数個の基板押え300で押える構成としてもよい。なお、この場合、基板押え300を固定する固定ネジ330が増えるため、セラミックス基板110の切欠部113、114も、固定ネジ330の位置に応じて増やせばよい。
【0059】
また、本実施形態においては、160個のLEDダイ120をセラミックス基板110の表面に正方格子状に配置した構成を示したが、このような構成に限定されるものではなく、セラミックス基板110の表面に1つ以上のLEDダイ120が配置されていればよく、また複数のLEDダイ120はセラミックス基板110の表面に六方格子状に配置されてもよい。
【0060】
また、本実施形態の固定板200は、一端部が他端部に向かって折り曲げられたものとして説明したが、このような構成に限定されるものではなく、セラミックス基板110の表面に当接し押圧するものであればよく、例えば、単に一端部を屈曲させて形成した一般的な板バネを適用することもできる。
【0061】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。