特許第6093767号(P6093767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093767
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】電動歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/22 20060101AFI20170227BHJP
   A61C 17/34 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A61C17/22 C
   A61C17/34 L
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-530215(P2014-530215)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-526326(P2014-526326A)
(43)【公表日】2014年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2012067940
(87)【国際公開番号】WO2013041438
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年7月28日
(31)【優先権主張番号】P-396377
(32)【優先日】2011年9月19日
(33)【優先権主張国】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】514066505
【氏名又は名称】キルック,セバスチャン
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】キルック,セバスチャン
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−510364(JP,A)
【文献】 米国特許第03829922(US,A)
【文献】 国際公開第2010/122335(WO,A1)
【文献】 特開平07−116023(JP,A)
【文献】 特開2009−240759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22、17/26、17/34
A46B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、ハンドルに対し可動で、少なくとも一つのブラシを有する回転作動部材を備えるヘッドとからなる電動歯ブラシであって、該回転作動部材はハンドルの幾何学的軸から外れて位置し、さらに該電動歯ブラシは電動モータを備え、上記作動部材を時計回り又に反時計回りに回転させ、回転方向スイッチを備え、機能的にヘッドハンドルとを結合させる電動歯ブラシであって、その特徴とするところはヘッド(2)、(15)はハンドル(1)と回転結合手段によって連結され、上記作動部材(3)、(16)はヘッド(2)、(15)に装着され、ハンドル(1)に対してヘッド(2)、(15)の回転軸から外れて位置し、
そこではヘッド(2)、(15)及びハンドル(1)は弾性手段()、(19)によって連結され、該弾性手段は、ヘッド(2)、(15)にトルクを与えると、ハンドル(1)に対しヘッド(2)、(15)を左右に回転させ、その位置でモータ回転方向スイッチはモータ(5)、(25)を時計方向又は反時計方向に回転させる一方、トルクを解放すると、上記弾性手段()、(19)はハンドル(1)に対してヘッド(2)、(15)を待機位置に保持させ、その位置でヘッド(2)、(15)及びハンドル(1)と結合したモーター回転方向スイッチは、モーター(5)、(25)を停止するようになっていることを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】
上記ヘッド(2)がベース(4)を介してハンドル(1)に旋回可能に装着され、該ベースはハンドル(1)の弾性リブ()に結合されていることを特徴とする請求項1記載の電動歯ブラシ。
【請求項3】
上記ヘッド(2)において円筒ブラシ(3)はハンドル(1)に対するヘッド(2)のベース(4)の回転軸に対し同一軸から外れた回転軸に装着されていることを特徴とする請求項1記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】
上記ヘッド(2)のベース(4)はリブ()のベースの両側から距離を置いて位置する端部に長手軸方向に延びるスリットを有し、該リブ()はハンドル(1)内で半径方向に位置し、ヘッド(2)のベース(4)にその端部で結合する形状をなしていることを特徴とする請求項2記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】
上記リブ()はモーター(5)の回転方向スイッチの第1の電気的接点(12)を備え、上記スリット(8)の端部はモーター(5)の回転方向スイッチの第2及び第3接点(13)、(14)を備え、各々は第1接点(12)の両側に距離をおいて位置していることを特徴とする請求項4記載の電動歯ブラシ。
【請求項6】
上記ヘッド(15)はベース(18)を介してハンドル(1)に旋回可能に装着され、該ベースはハンドル(1)の内側リブ(21)と結合する第1の弾性突出部(19)を備えることを特徴とする請求項1記載の電動歯ブラシ。
【請求項7】
一対の円筒ブラシ(16)はヘッド(15)に嵌め込まれ、該ブラシはハンドル(1)に対してヘッド(15)のベース(18)の回転軸に対し同一軸から外れた固定部(30)を有していることを特徴とする請求項1記載の電動歯ブラシ。
【請求項8】
上記一対の円筒ブラシ(16)の固定部(30)はそれらの回転軸がハンドル(1)の外形の外側で交差するような角度で互いに隣接して位置していることを特徴とする請求項7記載の電動歯ブラシ。
【請求項9】
上記ヘッド(15)のベース(18)は、第2の突出部(20)を有し、第1の弾性突出部(19)と対向するように配置され、上記第1の弾性突出部(19)はハンドル(1)の一対のリブ(21)の間に固定されていることを特徴とする請求項6記載の電動歯ブラシ。
【請求項10】
上記ヘッド(15)のベース(18)の第2突出部(20)はモーター(25)の回転方向スイッチの接点(24)を備え、モーター(25)の回転方向スイッチの二つの接点(22)および(23)がハンドル(21)に固定され、上記接点(22)および(23)は第1接点(24)の両側に一定の距離をおいて配置されている請求項9記載の電動歯ブラシ。
【請求項11】
上記ヘッド(15)のベース(18)の第二突出部はモーター(25)の回転方向スイッチの一対の接点(24)および(24a)を備え、モーター(25)の回転方向スイッチの接点(22)、(23)および(22a)、(23a)の二対は、ハンドル(1)に固定され、第1接点(24)および(24a)の両側に距離をおいて位
置していることを特徴とする請求項9記載の電動歯ブラシ。
【請求項12】
上記回転ブラシの対(16)の固定部(30)はそれらの回転軸がハンドル(1)の外形の外側で交差しない角度又はそれらの回転軸が互いに平行となる角度で互いに隣接していることを特徴とする請求項7記載の電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は回転作動部材を有するヘッド部分を備え、上記作動部材を駆動する手段及び回転方向を切り替える手段を有する電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシは単一の円筒ブラシの形態を成す回転作動部材又は一対のブラシの形態を成す作動部材が一般的で、歯の付着物を有効に除去するようになっている。
【0003】
歯間を含め、有効な歯の清掃のためには、歯ブラシの動きは歯茎から歯の噛み合わせにむけて、刷毛が回転方式で移動するような方向に歯ブラシのヘッドを移動させることが必要である。
【0004】
上顎及び下顎の歯の前後の表面を清掃する間はブラシの回転移動は逆転させなければならない。このように公知の歯ブラシは回転方向を変換させる手段を備えている。
【0005】
このような公知の歯ブラシは上方に伸びるヘッドを有するハンドル部を含むのが典型的で、上記ヘッドはその端部に回転円筒ブラシ又は対向方向に回転する一対のブラシを備えている。
【0006】
公知の歯ブラシは駆動モーターと、電源と、電気装置をハンドルの内部に備え、これらの装置は少なくともモーターをオンオフさせる。上記歯ブラシのネック部分には回転ブラシヘッドとモーターとを連結する部材を含む。
【0007】
多くのこのような電動歯ブラシは特許公報に掲載されている。
【0008】
米国公報2008052845号では電動歯ブラシは平行な回転軸を有する二つのブラシを備え、歯茎から歯のクラウン部に向けて歯の両側を同時にブラシングさせるようになっている。内方のチーク部を傷つけるのを減少させるために上記ブラシは部分的にケースで覆われている。さらにこの歯ブラシはブラシの回転方向を変換する手動スイッチを備えている。
【0009】
米国特許4163300号では一端に共同軸的に円筒ブラシを装着させた長細い本体部材を備え、そのブラシはハンドルに配置された可逆モーターによって回転するようになっており、位置に応じて自動的に逆転させる重量駆動スイッチを有しており、そこではハンドルはブラシの回転が歯茎ラインから歯のクラウン方向に刷毛が移動するようになっている。
【0010】
米国特許4709438号ではブラシの回転方向の重力駆動スイッチを有する歯ブラシが記載されており,円筒ブラシを備えるヘッド部とハンドル部を備える。この円筒ブラシはハンドルに対して共同軸的に配置される。重力スイッチによってブラシの回転方向はハンドルの動きに従って逆転され、自動的にブラシの回転方向が歯茎から歯のクラウン部に向かって保持される。歯ブラシの正しい位置を得る為に、ブラシは作動部分を形成させる開口を残して保護キャップを備える。この重力スイッチはブラシの作動域の面に対して平行に配置されている。
【0011】
独国実用新案DE20321083Uでは、電動ブラシがハンドルと二つの対向する方向に回転する円筒ブラシを備えるヘッド部分を有している。ブラシの回転方向は手動スイッチによって変換することができる。回転ブラシには電動モーターとシャフト及びギア又はベルト伝達によって結合されている。ヘッド部分はハンドルの長手方向軸に対して偏芯して取り付けられており、ヘッドに取り付けられた覆いはブラシの周りの半分以上を取り囲む。その結果、使用時にはブラシはその動きの方向が歯の方向及び歯間のギャップの方向に位置するように水平に配置されている。
【0012】
欧州特許出願第EP02404695では自動歯ブラシが自動制御ユニットによって選択され
る反対の方向に回転することができる円筒のペイントブラシのようなロータを有している。このブラシは、ハンドルの長手方向軸に位置して配置されている。このブラシの回転方向の変更はシェルの長手方向両端に置かれ、モップ状のロータを一部覆っており、ハンドルに回転可能に装着されている。このシェルの一端が歯茎または歯に接触すると圧力を受けるシェルがハンドルに対して回転し、回転方向スイッチの接点を移動させるようになっている。
【0013】
米国特許5794296号ではハンドルの長手方向軸に一致して配置された回転ブラシを有する電動ブラシが開示されている。そのブラシの回転方向は歯の上部または底部がブラシされているか否かによって自動的に制御され、歯茎から離れる方向に歯及び歯茎に残存する食物くずを除去するようになっている。この発明によれば、歯ブラシは歯の上部及び底部間の口の内部に位置する方向制御器を利用する。この方向制御器はブラシの回転方向を切り替え、ブラシ操作の間、歯に対し歯ブラシを安定させるように機能する。この方向制御器のハンドルに対する回転によって逆転スイッチを作動させ、ブラシの回転方向を変更し、歯茎から歯の方向にブラシングさせ、口から歯ブラシを外す必要がない。この方向制御器は、円筒ブラシの一般的なラインに沿った狭いフレーム状のエレメントであって、ブラシに対し回転可能に取り付けられている。
【0014】
米国特許3829922号では電動ブラシは回転ブラシが共軸配置されるハンドルを備え、該ブラシはハンドル内に配置された可逆モーターによって駆動される。電動モーターは可逆スイッチによってその方向が制御される。このため、歯ブラシは長手方向に伸びるシールドを備え、スイッチの制御レバーの端部に配置されている。この反対端の近くに、レバーはハンドル内に支持され、第一の作動位置(シールドの端部がブラシの一端に位置し、そのブラシが第一方向に回転する時)から、中立位置(駆動がスイッチオフされる)を通して、第二作動位置(シールドの端部がブラシの他の側に位置し、ブラシが反対方向に回転する)までハンドルに対してレバーの振り子動がブラシの回転軸に実質的に平行な面において可能となっている。このシールドの動きが正常な位置から離れ、上記作動位置の一方又は他方においてブラシの回転軸に垂直をなすと、可逆スイッチの方向にレバーの結合端を移動させてモーターの回転方向を変え、回転ブラシの回転を変える。中立位置(モーターをスイッチオフさせるところ)に、レバーをシールドと共に戻す動きは、ハンドル内部に取り付けられ、レバーに結合させたスプリングによって付勢される。
【0015】
フランス特許FR2891452では電動ブラシはハンドルの長手方向軸に対して斜めに方向づけた歯に対する圧力によって回転方向を変更する円筒ヘッド部分を有している。この歯ブラシでは、歯茎から歯に向かって回転するように設計された円筒ブラシを備えている。このブラシはハンドルから取り外し可能で、ケースの内部でシャフトと噛み合わせるように接続されており、その接続は歯ブラシのネック部分を形成している。歯に対しヘッド部分の圧力がかかると、ある位置から他の位置に渡るケースフリップは、その一端をハンドル内に突出させ、電動モーターの回転方向を制御する接点を切り替える。このケースは中央のピボットによってハンドルに支持されており、その面内の動きは、ハンドルの長手方向軸に実質的に平行となるようになっており、米国特許3829922号に記載のヘッド部分のガードレバーと同様になっている。
【0016】
上記回転円筒ブラシはハンドルの長手方向軸に対して傾斜したケースの端部に配置されており、ブラシング中ユーザーの適切な位置を矯正するようになっている。特にブラシの回転方向は歯並び及び歯間と一致しており、歯に対するヘッド部分の圧力によってハンドルに対してケースを傾斜させ、ハンドル内部に位置するケースの端部がモーターの回転方向を制御する接点を切り替え、ブラシが歯茎から歯のクラウン部に向かって回転するようにするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/052845号明細書
【特許文献2】米国特許第4163300号明細書
【特許文献3】米国特許第4709438号明細書
【特許文献4】独国実用新案第DE20321083U号明細書
【特許文献5】欧州特許出願第EP02404695号明細書
【特許文献6】米国特許第5794296号明細書
【特許文献7】米国特許第3829922号明細書
【特許文献8】仏国特許第FR2891452号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の解決すべき課題は、作動部材の回転方向を自動的に変え、その変化が歯に対する作動部材の押圧力の方向又は位置の変化によって行われ、歯のブラシング中、作動部材は歯茎から歯の噛み合わせ端への方向に回転させるようにする歯ブラシを得ることにある。
【0019】
本発明の技術的課題は、ハンドルの歯ブラシのヘッドの回転構成によって解決される。該歯ブラシのヘッドは回転作動部材を備え、ベースに対するヘッドの回転軸に対しヘッドの回転作動部材を偏心して、即ち同一軸から外れて取り付け、他方、作動部材を駆動するモータの回転方向スイッチの接点を、ヘッド及びハンドルと結合させ、ヘッドとハンドルとの相対的回転によってスイッチを作動させることによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、電動ブラシはハンドルと、ハンドルに対し可動で、少なくとも一つのブラシを有する回転作動部材を備えるヘッドとを備え、該回転作動部材はハンドルの幾何学的軸から外れて位置する。さらに該電動歯ブラシは作動部材を時計回りに及び反時計回りに回転させる電動モータと回転方向スイッチを備え、機能的にヘッド及びハンドルと結合させる。
【0021】
そして、本発明の電動ブラシの特徴とするところは、ヘッドはハンドルと回転結合手段によって連結され、上記作動部材はヘッドに装着され、ハンドルに対してヘッド回転軸から外れて位置させる。そこではヘッド及びハンドルは弾性手段によって連結され、ヘッドにトルクを与えると、ハンドルに対しヘッドを左右に回転させ、その位置でモータ回転方向スイッチはモータを時計方向又は反時計方向に回転させる。他方、トルクを解放すると、上記弾性手段はハンドルに対してヘッドを待機位置に保持させ、その位置でヘッドおよびハンドルと連結するモーター回転方向スイッチは、モーターを停止する。
【0022】
特に、歯ブラシのヘッドがヘッドのベースを介してハンドルに旋回可能に装着されているとき、また、該ベースがハンドルの弾性部材、特に半径方向に位置するリブによって、結合されているとき、又はヘッドのベースが上記部材と結合する弾性突出部、特にハンドルに対し突出部を位置づける一対の内方リブによって結合させるのが好ましい。
【0023】
また、本発明によれば、歯ブラシのヘッドに装着される作動部材は円筒形を成し、ハンドルに対してヘッドのベースの回転軸に対し軸偏芯させた、即ち同一軸から外れた回転軸を有するのが好ましい。また代わりに、ハンドルに対するヘッドのベースの回転軸に対し、偏芯させた、即ち同一軸から外れた固定部内に一対の円筒形ブラシを歯ブラシのヘッドに装着させてもよい。好ましい実施例では上記ブラシ対は互いに回転軸がハンドルの外径の外側で交差するような角度で配置される。他の好ましい実施例では上記ブラシ対はそれらの回転軸が鈍角を成して交差し、ハンドルの外径の外側でなく交差するように配置させる。好ましくは回転軸が全く交差しないように平行を成す角度で配置される。
【0024】
本発明の好ましい実施例によれば、ヘッドのベース部はハンドルの弾性部分、例えば半径方向に位置づけたリブのようなものと結合する時、ベースは長手方向軸のスリットを有し、その端部はリブのベースの両側から距離をおいて位置するのが好ましい。該リブはハンドル内に位置し、ヘッドのベース部内に適合する形状を成している。その時モーター回転方向の切り替えを行うために、モーターの回転方向の制御のためのスイッチの第一接点を上記リブに設けるのが最善であり、また、上記スリットの両端に第一接点の両側とは距離をおいて位置する他の二つの接点を設けるのがよい。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、ヘッドのベース部がハンドルに対して突出する部材、特に一対のリブのようなものを結合した弾性突出部を備える時、ヘッドのベース部は第二の硬い突出部を、好ましくは第一の弾性突出部に対向する位置に備えるのが好ましい。その時、モーターの回転方向のスイッチを構成するために、ヘッドのベース部上にある第二の突出部に接点を設けるのが好ましく、モーターの回転方向を切り替えるためのスイッチの二つの接点をそれぞれ第一の接点の両側とは距離をおいてハンドル上に位置させるのがよい。また代わりに、モーターの回転方向のスイッチを構成するために、ヘッドのベース部の第二の突出部がモーターの回転方向を切り替えるためのスイッチの一対の第一の接点を備えることも可能であり、そして二対の第二の接点はハンドルに取り付け、その第二接点の対は接点の第一接点の対の両側に距離を置いて位置させるようにしてもよい。
【0026】
本発明によれば、十分に技術的課題を解決する。歯ブラシの構成によって使用者は歯ブラシをブラッシング中はヘッドの回転作動部材を歯茎方向に向け、ヘッドが歯の噛み合い端と本質的に一致するように位置させる。本発明によれば、歯茎間のスペース又は歯と頬間のスペースによって、ヘッドブラシは歯に対するブラシ圧はハンドルに対してヘッドの回転がブラシに付与されるようにトルクを与えるだけである。それはハンドル内のヘッドの回転軸に対し作動部材が偏心位置にあるためである。
【0027】
モーターを始動させ、回転モーターの回転方向を切り替えるには、使用者はブラシの作動部材を歯に対して位置させ、歯に対して作動部材を強く押圧させる必要がある。あるいは、使用者は作動部材を歯に対して位置させ、ハンドルを歯茎から歯の噛み合い端に至る方向に回転させる必要がある。しかしながら歯に対する作動部材の圧力を解放又は上記方向とは反対にハンドルを回転させると、ブラシの駆動モーターを停止させる。何故ならヘッドとハンドルはそれらを結合させる弾性手段の効果によって待機位置まで移動するからである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下に本発明の好ましい具体例を添付図面に示し、
図1】第一の具体例に基づく歯ブラシの長手方向断面図である。
図2】第二の具体例に基づく歯ブラシの長手方向断面図である。
図3図2の歯ブラシのヘッドの前方から見た図面である。
図4図1のA-A線断面図で、歯ブラシの配線例を伴う。
図5図2のB-B線断面図とC-C線断面図で、歯ブラシの配線例を伴う。
図6】本発明に係る歯ブラシの使用例を示す。
図7】本発明に係る他のもう一つの歯ブラシの使用例を示す。
図8】本発明の第三の具体例の歯ブラシの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の具体例において歯ブラシはハンドル1を有し、円筒形プラスチック本体を成す。他の具体例ではハンドルは円筒形以外の形状を成すことができる。
【0030】
図1及び図4の第一の具体例では、歯ブラシはヘッド部分2を有し、該ヘッド部分は内部空洞であって歯ブラシの作動部分を構成する単一の円筒ブラシ3を有している。このブラシ3は二つの方向、すなわち右方向(時計方向)又は左方向(反時計方向)に回転することができる。
【0031】
第一の具体例においてはヘッド2はハンドル1の次に位置しており、円筒形ベース部4によってハンドルに旋回可能に装着されており、ベース部は基本的にハンドル1全体に沿って内部を延びる。
【0032】
ブラシ3はヘッド2の内部に設けられブラシ3と結合する伝達部6を備え、電動モーター5で駆動される。モーター5の電源7は電池又は蓄電器の形態を成し、ヘッド2の円筒ベース部4内に配置されている。
【0033】
ヘッド2のベース部4は軸方向に位置する長手方向のスリット8を有する一方、ハンドル1のベースはリブ9の形態を成す弾性ジョイントを有し、該リブはヘッド部4に近いハンドルの端部に位置している。リブ9は半径方向に位置しており、その端部はヘッドのベース部4のケースと共動する形状をなしている。このため、ヘッド2のベース部4は小さい鋭角で双方向に、すなわち待機位置から右及び左方向にハンドル1に対して回転することができ、その位置ではハンドル1の弾性リブ9によって保持される。そのため、上記動きを可能にするためにヘッド2のベース部内ではスリット8の幅をリブ9の幅よりも大きくするべきことは明らかである。
【0034】
ハンドル1の反対の端部では、歯ブラシのヘッドには凹部を有し、そこではブラシ3はベアリングを介して回転可能に装着され、ブラシ3の回転軸はハンドル1に対してヘッド2のベース部の回転軸とは偏芯して、即ち同一軸から外れて配置されている。この部材の偏芯配置のために、使用者が歯ブラシの刷毛を歯10に対して押し付けるとブラシ3の歯に対する押圧力によってヘッド2をハンドル1に対して待機位置から右又は左に回転させる。これは上記ブラシ3の歯10に対する押圧力の位置及び方向に依存するものである。
【0035】
ヘッド2及びハンドル1の相対的回転移動を利用してモーター5を開始及び停止させ、モーター5の回転方向を右又は左に切り替えてブラシ3を常に歯茎11から歯9の噛み合わせ端方向に回転させるようにするために、弾性リブ9が第一接点12をそのベース部に備え、ハンドル1に対して固定され(すなわち一定位置に保持し)、リブ9に隣接するヘッド2のベース部の円筒ケース内の長手方向スリット8の端部に第二及び第三接点13、14を備え、該接点(第二及び第三接点13、14)はヘッド2を待機位置から右又は左に倒すと第一接点12に接触させることができ、それによって全ての接点が制御回路の回線と接続し、モーター5を開始させ、右又は左方向に回転させる。ヘッド2は待機位置に位置する時(弾性リブ9によって保持されている時)、上記接点12,13,14は互いに離間しており、モーターは停止していることは理解できる。同様に当業者にとっては上記接点12、13、14はモーター5および電源8に図4の回路の配線によって接続されるべきであることは理解できる。
【0036】
また、このように図面のよき理解のために、歯ブラシの配線は図1から省略されるが、当業者にとっては本発明を実施するために、図4は入力オン、入力オフ及びモーター5の回転方向の切り替え、該モーター5がリレーP1、P2を有することを示す機械―電気システムの配線図を示す。
【0037】
図2、3、及び5に示す第二の具体例では、歯ブラシのヘッドは内部空洞15であって、一対の円筒形ブラシ16を備え、これらブラシは歯ブラシの作動部材を構成している。ブラシ16は両方向、右左に回転可能でそれらは互いに反対方向に回転するようになっている。たとえば歯ブラシのヘッド15は細長いネック部17を有し、該ヘッドはハンドル1から離れている。
【0038】
ヘッド15は円筒形ベース部18を介してハンドル内に回転可能に装着され、そのベース部は、端部で一般に閉じられるハンドル内部を延びる。
【0039】
ヘッド15のベース部18はふたつの突出部を有し、該突出部は軸方向に互いに対向して配置され、第一の突出部19は弾性を成し、第二の突出部20は硬いものとなっている。ハンドル部1の本体はふたつの短いリブ21を有し、ヘッド15のネック部17側のハンドル端近くで内側に設けられ、ヘッド15のベース部18の第一突出部19の両側に隣接している。さらに、ハンドル部1の本体は二対の接点22,23及び22a、23aを有し、リブ21に対向しており、ハンドル1に対して固定されている。その接点対22,23及び22a、23aはヘッド15のベース部の第二の突出部の両側とは距離を置いて位置している。この第二の突出部20は第三の接点対24及び24aを備え、この接点はハンドル1に対して移動可能である。
【0040】
結果として、ヘッド15のベース部18はハンドルに対して小さな鋭角で双方向に、すなわち、待機位置から右又は左に回転させると、その位置で弾性突出部19によって保持される。この突出部はハンドル1のリブ21間に装着される。当業者にとっては、上記動きは第一突出部19の弾性限界内で可能であることは容易に理解され、このような動きはハンドル1の接点22,23及び22a、23a間の距離によって制限され、ヘッド15のベース部18の第二の突出部20に位置する第三の接点24及び24a間によって制限
される。
【0041】
ブラシ16は電動モーター25によって駆動され、該モーターは電池又は蓄電器の形態の電源26と共に歯ブラシの円筒ハンドル位置内に装着される。
【0042】
モーター25の駆動軸の端部は伝達シャフト28に結合される形27を成し、該伝達シャフトはヘッド15のネック部内部にハンドル1に対してヘッド15のベース部の回転軸と共軸を成している。
【0043】
ヘッド15の空洞のソケット内には、上記伝達シャフト28がふたつの回転ブラシ16の固定部30とふたつの角度ギア29によって結合されている。双方の結合部30はそれらの回転軸が互いにハンドル1の外形を越えて交差する角度をもって隣接しており、固定部30は歯ブラシのハンドル部に対しヘッド15のベース部の回転軸と偏芯して、即ち同一軸から外れて配置されている。
【0044】
上記部材が偏芯して、即ち同一軸から外れて配置(eccentirc placement)されている結果、使用中ユーザーは歯9に対しブラシ16の刷毛を押圧すると,ブラシ16の歯に対する押圧力がハンドル1に対しヘッド15のベース部の回転を待機位置から回転させ、その位置に弾性突出部19によって保持される。上記右又は左への動きはブラシ16の歯10の押圧力の位置及び方向に依存する。
【0045】
第一の具体例で示したと同様に,ヘッド15のハンドル1に対する回転移動はモーター25の開始及び停止に使用されると共にモーター25の回転方向を右又は左に切り替えることに使用される。その結果,ブラシ16は回転移動を"常に歯茎から歯の噛み合わせ端への方向に向ける清掃動"とする。このようにこの目的のために二対の固定接点22、23及び22a、23aと、ヘッド15のベース部18の第二突出部20に位置する、可動接点24、24aとは回路の配線に接続され、モーター25及び電源26を制御することができる。
【0046】
第一の具体例と同様に、図2では歯ブラシの電気配線は省略されているが、図5に示す具体例が示される。
【0047】
本発明の第三の具体例においては、図8に示すように歯ブラシのヘッド部15は内部空洞で一対の円筒ブラシ16を備える。該ブラシは歯ブラシの作動部材を構成する。ヘッド15の空洞ソケット内では角度ギア29によって二つの回転ブラシ16の固定部に伝達軸28が結合している。上記第二の実施例と同様である。この実施例においては双方の固定部30はお互いに隣接して配置され、それらの回転軸は平行に配置され、また鈍角を成して交差している。このような場合、回転軸はハンドル1の外径を越えて交差することなく固定部30は歯ブラシのハンドルに対しヘッド15のベース部の回転軸と偏芯して配置されている。
【0048】
上記部材の平行又は鈍角配置によってヘッド15の外径を越えてくっつき、ブラシ16の刷毛部分はブラシ16のより良い作動角度を口内で、特に内側の歯をブラッシングする時のより良い歯ブラシの範囲を形成する。平行配置はこの具体例ではより好ましい。図8は上方を向く双方の作動部材16を示しており、すなわちハンドル1から離れる方向を示しており、作動部材16は下方を向く方向、すなわちハンドル方向を向くようにしてもよい。
【0049】
図6及び図7では歯ブラシの作動中の回転方向の制御の原理を示しており、第一、第二及び第三具体例においても同様である。
【0050】
歯ブラシでのターニングは、次のように行われるのが最も好ましい。ブラシ3、16を歯10に対し押圧し、歯茎11から歯10の噛み合わせ端の方向への清掃動によってハンドル1を回転させる。そしてハンドル1とヘッド2、15のベース部4、18とを結合する弾性部材による弾性力に抗して、ハンドル部1およびベース部4,18を待機位置に保持する。その位置では歯ブラシを停止させる。歯ブラシによる歯10に対する押圧力を解放すると、ハンドル1を待機位置に回転させ、そこで歯ブラシのモーターを停止させる。
【0051】
本発明における歯ブラシのターニングの動きは、手動で歯をブラッシングする時に行われる典型的な清掃動と同じである。なぜならば、ハンドル1に対するベース4の回転軸、及びブラシ3,16の回転軸は瞬時に方向づけが行われるからである。これによって伝統的な歯ブラシを使うことによって得られるブラッシング技術を維持しながら本発明装置を使用することが容易となる。
【0052】
ハンドル1、ヘッド部2、15及びブラシ3,16の相対位置及び形状は、ブラシ3,16が口内に位置するとき、ハンドル1及びヘッド2,15を歯茎11の方向に向け、ブラシ3,16を歯の方向に向けるように装置を使用することを実質的に不可能にする。結果として、ブラシ3,16の刷毛の回転動を歯9から歯茎9の方向に向けるようにすることはできない。なぜならば、歯の代わりに、内部の頬又はリップあるいは舌に対してブラシ3,16を押し付けることが必要となるからである。
【0053】
歯ブラシにおけるターニングは、ハンドル1によって、歯茎11から歯10方向に清掃の回転動を行わせると同時に、ハンドル1とベース部4,18を結合させる、弾性部材からの弾性力を克服するために、歯ブラシ3,16をブラシされる表面に対して位置させ、その動きによって弾性部材を変形させることによって達成される。結果として作動させる歯ブラシのブラシ3,16は刷毛が歯茎から歯9の噛み合わせ方向に動く方向に回転する。
【0054】
本発明による歯ブラシの構成では、装置を駆動させるために、ヘッド2,15のベース部4,18をハンドル1に対して回転させることが必要で、口の中に装置を位置させ、これを不正な位置で回転させるのを不可能とする。なぜならば、歯茎と内部の頬と舌との間には十分なスペースがないからである(そこではブラシ2,15の一部分を位置させることが必要となる)。さらに、ブラシ3,16に与えられる歯9に対する押圧力不足となるためである(上記押圧力はハンドル1を回転させ、ブラシ3,16を駆動するモーターを作動させる必要がある)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8