(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093784
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】吸入口流動面積を変更することによりNVHを改善するための空調機用圧縮機の可変吸入機構
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20170227BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20170227BHJP
B60H 1/32 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
F04B39/10 E
F25B1/00 304W
!B60H1/32 613G
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-3952(P2015-3952)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2015-132264(P2015-132264A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2015年1月13日
(31)【優先権主張番号】14/154,568
(32)【優先日】2014年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513214000
【氏名又は名称】ハノン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ケルム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ガンスター
(72)【発明者】
【氏名】マイケル セオドア
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー キャラハン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミッケルセン
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−115762(JP,A)
【文献】
実開昭59−030577(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 25/00−41/06
F25B 1/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入チャンバおよびクランクケースチャンバが内部に形成された圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機用吸入スロットルバルブであって、
内部に空間部および吸入口が形成されるハウジングと、
前記ハウジングから横方向に延び、前記吸入口によって前記ハウジングの空間部と流体が流れるように連通する吸入ポートと、
前記空間部内で往復可能に配置され、前記ハウジングの空間部内で往復しながら、前記吸入口が可変的に遮断されるように構成される第1ピストンと、
前記空間部を第1チャンバと第2チャンバに分割し、前記吸入口を第1吸入口と第2吸入口に分割する隔壁とを含み、
前記吸入ポートを通して流動する第1流体は、前記ハウジングの空間部内で前記第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に流動することを特徴とする、吸入スロットルバルブ。
【請求項2】
前記第1ピストンは、ハウジングに形成され、吸入チャンバとハウジングの空間部との間を流体が流れるように連通させる流出口が可変的に遮断されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項3】
前記第1ピストンは、前記空間部の第1チャンバ内に配置され、前記第1吸入口が可変的に遮断されるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項4】
前記第1ピストンは、ハウジングに形成され、吸入チャンバと空間部の第1チャンバとの間を流体が流れるように連通させる流出口を可変的に遮断されるようにすることを特徴とする、請求項3に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項5】
前記隔壁は、内部に形成され、第1チャンバと第2チャンバとの間を流体が流れるように連通させる穴を含むことを特徴とする、請求項1に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項6】
前記第1ピストンの第1端部は、ハウジングに形成される圧力入口を通して圧縮された流体の供給源と流体が流れるように連通し、前記第1ピストンの第2端部は、吸入ポートを通して流動する第1流体と連通することを特徴とする、請求項1に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項7】
前記圧縮された流体の供給源は、クランクケースチャンバであることを特徴とする、請求項6に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項8】
前記ハウジングの空間部内に配置される第1ばねは、ハウジングに形成される吸入口から遠くなる方向に第1ピストンに力を加えることを特徴とする、請求項1に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項9】
前記第1ばねは、第1ピストンの第1端部に加えられる第2流体の圧力によって前記第1ピストンの第1端部に印加される力が、第1流体の圧力および第1ばねによって第1ピストンの第2端部に印加される力より優位の時、圧縮されることを特徴とする、請求項8に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項10】
吸入チャンバおよびクランクケースチャンバが内部に形成された圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機用吸入スロットルバルブであって、
内部に空間部および吸入口が形成されるハウジングと、
前記ハウジングから横方向に延び、前記吸入口によって前記ハウジングの空間部と流体が流れるように連通する吸入ポートと、
前記空間部内で往復可能に配置され、前記ハウジングの空間部内で往復しながら、前記吸入口が可変的に遮断されるように構成される第1ピストンと、
前記ハウジングの空間部内に往復可能に配置され、前記ハウジングに形成される流出口を可変的に遮断させるように構成される第2ピストンとを含み、
前記吸入ポートを通して流動する第1流体は、前記ハウジングの空間部内で前記第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に流動することを特徴とする、吸入スロットルバルブ。
【請求項11】
前記第2ピストンは、第1流体の流動によって前記第2ピストンの第1端部に印加される力が、ハウジングの空間部内に配置される第2ばねによって第2ピストンの第2端部に印加される力より優位の時、ハウジングに形成された流出口を遮断することを特徴とする、請求項10に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項12】
内部に吸入チャンバおよびクランクケースチャンバが形成される圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブであって、
内部に空間部および吸入口を含むハウジングと、
前記ハウジングから横方向に延びる吸入ポートであって、ハウジングに形成される吸入口がハウジング内に形成された空間部と吸入ポートとの間を流体が流れるように連通させる吸入ポートと、
前記ハウジングの側壁から横方向に延びる隔壁であって、前記空間部を第1チャンバと第2チャンバに分割し、前記吸入口を第1吸入口と第2吸入口に分割する隔壁と、
前記空間部の第1チャンバ内で往復可能に配置され、前記空間部の第1チャンバ内で往復する時、前記第1吸入口を可変的に遮断するように構成される第1ピストンとを含み、 前記吸入ポートを通して流動する第1流体は、空間部の第1チャンバ内で第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に流動することを特徴とする、吸入スロットルバルブ。
【請求項13】
前記ハウジングは、内部に形成される第1流出口および第2流出口をさらに含み、前記第1流出口は、吸入チャンバと空間部の第1チャンバとの間を流体が流れるように連通させ、前記第2流出口は、吸入チャンバと空間部の第2チャンバとの間を流体が流れるように連通させることを特徴とする、請求項12に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項14】
前記第1ピストンは、前記空間部の第1チャンバ内で往復する時、第1流出口を可変的に遮断するように構成されることを特徴とする、請求項13に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項15】
前記ハウジングは、内部に形成され、圧縮された流体の供給源と前記第1ピストンの第1端部との間を流体が流れるように連通させる圧力入口をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項16】
前記圧縮された流体の供給源は、クランクケースチャンバであることを特徴とする、請求項15に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項17】
第1ばねが、前記第1ピストンに隔壁から遠くなる方向に力を加えることを特徴とする、請求項12に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項18】
前記吸入スロットルバルブは、前記空間部の第2チャンバ内で往復可能に配置される第2ピストンをさらに含み、前記第2ピストンは、ハウジングに形成され、吸入チャンバと空間部の第2チャンバとの間を流体が流れるように連通させる流出口を可変的に遮断するように構成されることを特徴とする、請求項12に記載の吸入スロットルバルブ。
【請求項19】
内部に吸入チャンバおよびクランクケースチャンバが形成された圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブであって、
内部に空間部および吸入口が形成されるハウジングと、
前記ハウジングから横方向に延び、前記吸入口によって前記空間部と流体が流れるように連通する吸入ポートと、
前記空間部内で往復可能に配置され、第1端部および第2端部を備え、前記第1端部はクランクケースチャンバと流体が流れるように連通し、前記第2端部は吸入ポートと流体が流れるように連通する第1ピストンと、
前記ハウジングに形成される吸入口から遠くなる方向に第1ピストンに力を加える第1ばねと、
前記空間部を第1チャンバと第2チャンバに分割し、前記吸入口を第1吸入口と第2吸入口に分割する隔壁とを含み、
前記第1ピストンは、吸入口に向かって移動して、クランクケースチャンバから流入した第1流体の圧力によって第1ピストンの第1端部に印加される力が、第1ばねおよび吸入ポートを通して流動する第2流体の圧力によって第1ピストンの第2端部に印加される力を超える時、前記吸入口を可変的に遮断し、前記吸入ポートは、前記空間部内で第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に配置されることを特徴とする、吸入スロットルバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車における空気調和システムのための可変容量型圧縮機に関するものであって、より具体的には、可変容量型圧縮機によって誘発される脈動による振動および騒音の発生を緩和させる可変面積バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の空気調和システムで使用するための可変容量型圧縮機は、当分野にいおいて公知である。可変容量型圧縮機は、一般的に、最小角度と最大角度との間で変更される斜板(swash plate)と、シリンダ内に配置される少なくとも1つのピストンとを含む。それぞれのピストンは、斜板と結合して、斜板が少なくとも1つのピストンに対して回転する時、斜板の角度によってピストンがシリンダ内で往復するようにする。それぞれのシリンダは、シリンダ内でピストンによって圧縮される冷媒ガスを収容する。斜板の角度が変更されるに伴い、それぞれのシリンダ内でそれぞれのピストンの変位も同様に変更されるため、圧縮機を通して流動する冷媒の流量も変更される。流量は、斜板が最大角度に位置する時の最大流量と、斜板が最小角度に位置する時の最小流量との間で変化する。
【0003】
冷媒の流量が小さい時、前述の可変容量型圧縮機は、可変容量型圧縮機内に含まれるリード(reed)の開放および閉鎖によって、吸入により誘発される脈動を発生させることがある。吸入圧力脈動は、空気調和システム全体にわたって伝播されることがある。このような圧力脈動が、空気調和システムの特定の構成要素、例えば、蒸発器に到達すると、圧力脈動は車両の客室で聞こえる程度の騒音を引き起こすことがある。
【0004】
吸入脈動により誘発される騒音発生の問題は、通常、空気調和システム内に収容される配管の一部にマフラまたは消音器を追加することにより解決されてきた。しかし、このようなマフラまたは消音器は、通常、空気調和システムの製造に追加的な費用をもたらす一方で、追加的な空間的制約を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、冷媒が圧縮機の吸入ポートに流入する時、冷媒の流量を可変的に制限して、空気調和システムにおける騒音の発生を最小化する吸入スロットルバルブを製造することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態において、内部に形成された吸入チャンバおよびクランクケースチャンバを含む圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブが開示される。前記吸入スロットルバルブは、内部に空間部および吸入口が形成されるハウジングを含む。前記吸入スロットルバルブは、前記ハウジングから横方向に延びる吸入ポートを追加的に含み、ハウジングに形成される前記吸入口は、ハウジング内に形成された前記空間部と吸入ポートとの間を流体が流れることができるように連通させる。前記吸入スロットルバルブは、前記空間部内で往復可能に配置される第1ピストンをさらに含み、前記第1ピストンは、ハウジングの前記空間部内にスライドする時、吸入口の可変的な制限を誘発するように構成される。吸入ポートを通して流動する第1流体は、ハウジングの空間部内で第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に流動する。
【0007】
本発明の他の実施形態において、内部に形成された吸入チャンバおよびクランクケースチャンバを含む圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブが開示される。前記吸入スロットルバルブは、内部に空間部および吸入口が形成されるハウジングを含む。前記吸入スロットルバルブは、前記ハウジングから横方向に延びる吸入ポートを含み、前記ハウジングに形成される吸入口は、ハウジングに形成された空間部と吸入ポートとの間を流体が流れることができるように連通させる。隔壁が前記ハウジングの側壁から横方向に延び、前記空間部を第1チャンバと第2チャンバに分割する一方、前記吸入口を第1吸入口と第2吸入口に分割する。第1ピストンが前記空間部の第1チャンバ内で往復可能に配置されるが、前記第1ピストンは、空間部の第1チャンバ内でスライディングする時、第1吸入口の可変的な制限を誘発するように構成される。吸入ポートを通して流動する第1流体は、空間部の第1チャンバ内で第1ピストンが往復する方向に対して平行でない方向に流動する。
【0008】
本発明のさらに他の実施形態において、内部に形成された吸入チャンバおよびクランクケースチャンバを含む圧縮機ハウジングを備える可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブが開示される。前記吸入スロットルバルブは、内部に空間部および吸入口が形成されたハウジングを含む。前記吸入スロットルバルブは、前記ハウジングから横方向に延びる吸入ポートを含み、前記吸入口は、前記空間部と吸入ポートとの間を流体が流れることができるように連通させる。第1ピストンが前記空間部内で往復可能に配置されるが、第1ピストンは、第1端部および第2端部を有し、前記第1端部はクランクケースチャンバと流体が流れるように連通し、前記第2端部は吸入ポートと流体が流れるように連通する。第1ばねが、ハウジングに形成される吸入口から遠くなる方向に第1ピストンに力を加える。前記クランクケースチャンバから流入する第1流体の圧力によって第1ピストンの第1端部に印加される力が、第1ばねの押す力および吸入ポートを通して流動する第2流体の圧力によって第1ピストンの第2端部に印加される力を超える場合、前記第1ピストンは、吸入口に向かって移動して吸入口の可変的な制限を誘発する。前記吸入ポートは、前記空間部内で第1ピストンが往復する方向に対して平行に配置されない。
【発明の効果】
【0009】
本発明を適用することにより、可変容量型圧縮機で使用するための吸入スロットルバルブは、圧縮機の内部への冷媒の流動を可変的に抑制されるようにして騒音の発生を大きく最小化することができる。
【0010】
本発明の以上の目的および利点のみならず、他の目的および利点は、添付図面に照らして、本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明をみると、当業者が容易かつ明確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブが完全に開放された位置にある状態を示す側断面図である。
【
図2】
図1の吸入スロットルバルブがそれを通過する流動を遮断する位置にある状態を示す側断面図である。
【
図3】本発明の他の実施形態にかかる可変容量型圧縮機のための吸入スロットルバルブが完全に開放された位置にある状態を示す側断面図である。
【
図4】
図3の吸入スロットルバルブが遮断位置にある状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明および添付図面は、本発明の多様な実施形態を説明および図示する。前記説明および図面は、当業者が本発明を実施および利用可能にする役割を果たし、いかなる方式でも本発明の範囲を限定しようとする意図ではない。開示された方法に関連し、提示される段階は本来例示的なものであり、これによって、これら段階の順序は必須または重要なものではない。
【0013】
図1は、吸入スロットルバルブ10の一実施形態を示すものである。前記吸入スロットルバルブ10は、自動車の空気調和システムで使用するための冷却サイクルの構成要素をなす可変容量型圧縮機で使用される。吸入スロットルバルブ10は、通常、可変容量型圧縮機の入口に位置するが、ハウジング内に形成される吸入チャンバに近づいて配置される。前記可変容量型圧縮機はさらに、圧縮機のハウジング内に形成されるクランクケースチャンバを含むことができる。前記可変容量型圧縮機は、Pitlaらによって開示されたような可変容量型圧縮機(米国特許第7,014,428号参照)であってよいし、前記米国特許は引用することによりその全体内容が本明細書に組み込まれる。
【0014】
前記吸入スロットルバルブ10は、ハウジング12を含む。前記ハウジング12は、第1端部壁30と、第2端部壁32と、少なくとも1つの側壁16とを備える中空構造である。側壁16は、第1端部壁30と第2端部壁32との間に介在する。これら壁16、30、32の内面が共にハウジング12内の空間部50を形成する。図示のように、前記空間部50は、その形状の面で実質的に円筒状であるが、空間部50は、本発明の範囲を逸脱しない範囲で任意の幾何学的形状を有することができることを理解するであろう。前記空間部50が円筒の場合、前記側壁16は、ハウジング12の内周の周囲に延びる1つの実質的に連続した表面を含む。他の幾何学的形状が使用されると、側壁16は、第1端部壁30と第2端部壁32とを連結する複数の側壁からなってよい。吸入スロットルバルブ10の縦方向軸線は、第1端部壁30からハウジング12の第2端部壁32までつながる方向に延びる。
【0015】
吸入ポート40は、ハウジング12から側方向に延びるが、この側方向は、吸入スロットルバルブ10の縦方向軸線と同軸でなく、平行でない。前記吸入ポート40は、吸入スロットルバルブ10の縦方向軸線に対して実質的に垂直に配置されるものと
図1に示されているが、同軸または平行に配置された吸入ポート40および吸入スロットルバルブ10を含まない任意の配置が使用可能である。前記吸入ポート40は、通常、冷却サイクルを通して流動する冷媒のための可変容量型圧縮機内への流入口としての役割を果たす。前記吸入ポート40は、中空状であり、内部に冷媒を収容するための流動チャネル44を形成する内側面42を含む。前記吸入ポート40の流動チャネル44は吸入口26につながる。前記吸入口26は、ハウジング12の側壁16に形成される穴である。前記吸入口26は、吸入スロットルバルブ10のハウジング12内に形成される空間部50と、吸入ポート40内に形成される流動チャネル44との間を流体が流れるように連通させる。図示の吸入ポート40は、その形状の面で実質的に円筒状であるが、本発明の範囲を逸脱しない範囲で任意の幾何学的形状が使用可能である。
【0016】
隔壁80は、側壁16から外側に向かって横方向に延び、前記空間部50を第1チャンバ51と第2チャンバ52に分割する。
図1に示されるように、前記隔壁80は、実質的に空間部50にまたがっていながら、前記吸入スロットルバルブ10の縦方向軸線に対して実質的に垂直に配置される。前記隔壁80は、ハウジング12の第1端部壁30に対向する関係にある第1表面81と、ハウジング12の第2端部壁32に対向する関係にある第2表面82とを含む。前記ハウジング12内において、隔壁80の位置は、吸入口26を効果的に第1吸入口27と第2吸入口28に分割する。第1吸入口27は、吸入ポート40の流動チャネル44と空間部50の第1チャンバ51との間を流体が流れるように連通させる。第2吸入口28は、吸入口ポート40の流動チャネル44と空間部50の第2チャンバ52との間を流体が流れるように連通させる。前記隔壁80は、第1吸入口27および第2吸入口28の断面流動面積の変更によって、吸入ポート40の流動チャネル44から第1チャンバ51および第2チャンバ52に流入する冷媒の分布に影響を与えることを理解するであろう。
【0017】
前記隔壁80は、ハウジング12の側壁16から内側に向かって延びる肩部(shoulder)上に配置されるか、または前記肩部に結合されてよい。前記空間部50が実質的に円筒状の時、前記肩部は、ハウジングの側壁に形成された吸入口26を除いた、ハウジング12の側壁16の周りの少なくとも一部の周囲に延びることができる。代案として、ハウジング12の側壁16および隔壁80は、一体に形成されるか、または溶接のような任意の公知の方法により互いに結合されてよい。
【0018】
前記隔壁80は、隔壁を貫通して形成される少なくとも1つの穴55をさらに含み、空間部50の第1チャンバ51と空間部の第2チャンバ52との間を流体が流れるように連通させる。前記穴55は、隔壁80の中央領域に形成されるか、または隔壁の周りのエッジに近づいて形成されてよい。
【0019】
第1ピストン90は、空間部50の第1チャンバ51内で往復可能に配置される。第1ピストン90は、空間部50の断面にまたがっていて、第1ピストン90の外周面91に沿って前記ハウジング12の側壁16の少なくとも一部と接触する。図示のような第1ピストン90は、閉鎖された第1端部92および開放された第2端部93を備える中空構造であって、第1ピストン90がキャップ(cap)に似た形状を有するようにする。第1ピストン90の開放された第2端部93は、隔壁80の第1表面81に対向する載置面94を含む。前記空間部50が実質的に円筒状の時、第1ピストン90は、実質的に円筒状であり、ピストンの載置面94は、環状リングである。
【0020】
前記第1ピストン90の第1端部92は、その表面から突出する突出部95を含むことができる。第1ピストン90の前記突出部95が、
図1に示されるように、第1端部壁30に接する時、前記突出部95は、ピストン90の第1端部92の残りが第1端部壁30から離隔するようにし、これによって、第1ピストン90の第1端部92とハウジング12の第1端部壁30との間で、突出部95の周囲に形成される開放された空間96を生成する。圧力入口72は、第1端部壁30に近いハウジング12の側壁16に形成される。圧力入口72はさらに、必要に応じて、ハウジングの第1端部壁30に形成されてよい。
【0021】
圧力入口72は、吸入スロットルバルブ10に対して外側に位置する圧縮冷媒の供給源(図示せず)と開放空間96との間を流体が流れるように連通させる。前記圧縮冷媒の供給源は、可変容量型圧縮機のハウジング内に形成されるクランクケースチャンバ(図示せず)を含むことができる。前記クランクケースチャンバは、クランクケース圧力(Pc)を有する冷媒を供給する。
【0022】
第1ばね85は、隔壁80と第1ピストン90との間に配置される。第1ばね85の第1端部86は、ピストンの第1端部92近傍で第1ピストン90の内側面と接触し、第1ばね85の第2端部87は、隔壁80の第1表面81上に載置する。第1ばね85は、ハウジング12の第1端部壁30に向かう方向に、そしてハウジング12内に形成される吸入口26から遠くなる方向に第1ピストン90に力を加えるように構成される。
【0023】
前記空間部50の第1チャンバ51は、ハウジング12の側壁16に形成される少なくとも1つの第1流出口37を含む。空間部50の第2チャンバ52は、側壁16に形成される少なくとも1つの第2流出口38を含む。前記少なくとも1つの第1流出口37は、吸入スロットルバルブ10に対して外側に可変容量型圧縮機のハウジング内に形成される吸入チャンバと空間部50の第1チャンバ51との間を流体が流れるように連通させる。前記少なくとも1つの第2流出口38は、吸入チャンバと空間部50の第2チャンバ52との間を流体が流れるように連通させる。前記少なくとも1つの第1流出口37のそれぞれは、ハウジング12の側壁16に形成され、第1ピストン90が隔壁80の第1表面81上に載置される時、第1ピストン90の外周面91が前記少なくとも1つの第1流出口37のそれぞれを遮断するようにする。これによって、前記少なくとも1つの第1流出口37のそれぞれは、ハウジング12の側壁16に沿って軸方向に互いに整列できる。
【0024】
吸入スロットルバルブ10および可変容量型圧縮機の作動は、吸入チャンバで確認される内部吸入圧力(Pins)と、クランクケースチャンバで確認されるクランクケース圧力(Pc)との間の圧力差に左右される。停止されていた可変容量型圧縮機が作動を始めた初期には、圧縮機の多様な構成要素の間に非常に小さい圧力差が存在して、PinsおよびPcは実質的に等しい値を有する。圧縮機を通した冷媒の最大流量または最大流量に近接する流量を誘発するように、圧縮機が最大容量または最大容量に近接する容量で作動する時、PinsおよびPcはさらに近似的に等しい。圧縮機が持続的に最大容量または最大容量に近接する容量で作動する時、第1ピストン90は、第1端部壁30に向かう方向に維持される。
【0025】
作動過程において、冷媒は、外部吸入圧力(Pexs)を有し、前記吸入ポート40内に流動する。吸入ポート40に流入する冷媒は、空気調和システムの一部として、可変容量型圧縮機の上流に配置される蒸発器(図示せず)に由来し、これは、Pexsが蒸発器を抜け出る冷媒の圧力と実質的に等しいことを意味する。前記冷媒は、前記空間部50の第1チャンバ51内で、第1ピストン90が往復する方向に対して平行でない方向に、吸入ポート40に形成された流動チャネル44を通して流動する。冷媒は、吸入口26を通して吸入スロットルバルブ10に流入して、空間部50の第1チャンバ51および第2チャンバ52内の圧力がさらにPexsと実質的に等しくなるようにする。冷媒は、吸入スロットルバルブ10を抜け出て、第1流出口37および第2流出口38を通して吸入チャンバに流入する。冷媒は、吸入スロットルバルブ10を通過した後に、若干の圧力降下があり得るので、吸入チャンバ内における冷媒のPinsは、Pexsよりやや小さくなってよい。PinsとPexsとの間の圧力差は、通常2psi未満であるので、可変容量型圧縮機の最大容量作動中に、吸入スロットルバルブ10の作動に関連し、PinsとPexsとの間の差は実質的に無視してよい。
【0026】
前記空間部50の第1チャンバ51内の冷媒は、Pexsで、第1端部壁30に向かう方向に、そして隔壁80から遠くなる方向に第1ピストン90に力を印加する。上述のように、前記第1ピストン90が第1端部壁30に接する間にも、第1ばね85は、第1端部壁30に向かう方向に第1ピストン90に力を加える。これによって、第1ピストン90は、第1ばね85およびPexsでの冷媒の組み合わされた力によって、第1端部壁30に向かう方向に、そして隔壁80から遠くなる方向に力を受けるようになる。開放された空間96内に位置する冷媒の圧力は、第1ピストン90の第1端部92に力を加え、これによって、ハウジング12の第1端部壁30から遠くなる方向に、そして隔壁80に向かう方向に第1ピストン90に力を加える。前記第1ピストン90の第1端部92に印加される力が、第1ピストン90の第2端部93に印加される第1ばね85およびPexsの圧力を有する冷媒の合力を超える時、前記第1ピストン90は、隔壁80に向かう方向に移動する。これによって、第1ピストン90は、Pcの値がPexsの値を超える時まで、第1端部壁30と接触した状態で常に維持されることとなる。
【0027】
これによって、第1ピストン90は、第1ピストン90がPexsとPcと間の圧力差によって、ハウジング12の空間部50内でスライディングする時、吸入口26の可変的な制限を誘発するように構成される。より具体的には、第1ピストン90は、第1吸入口27の可変的な制限を誘発して、吸入スロットルバルブ10を通して流動する冷媒が、空間部50の第1チャンバ51および第2チャンバ52に同一でないように分配されるようにする。なお、第1ピストン90はさらに、ハウジング12の側壁16に形成される第1流出口37のうちの少なくとも1つの可変的な制限を誘発するように構成される。
【0028】
図1は、完全開放位置における吸入スロットルバルブ10を示すものであり、この時、吸入スロットルバルブは、最大容量の冷媒が可変容量型圧縮機の作動中に吸入スロットルバルブ10に流入し、吸入スロットルバルブから流出するように許容する。完全開放位置における吸入スロットルバルブ10の作動は、Pcによって誘発されて第1ピストン90の第1端部92に作用する力が、第1ピストン90に作用する第1ばね85およびPexsの合力を超えないことを示す。
【0029】
完全開放位置にある時、第1ピストン90上に形成された突出部95は、ハウジング12の第1端部壁30と接する。第1ばね85は、第1端部壁30に向かう方向に第1ピストン90に持続的に力を加えて、吸入スロットルバルブ10が開放された状態を維持するようにする。前記吸入口26は、完全に開放され、第1ピストン90によって遮断されないが、これは、第1吸入口27および第2吸入口28の両方を通した流動を許容する。前記少なくとも1つの第1流出口37のそれぞれはさらに完全に開放され、第1ピストン90によって制限されないが、これは、前記少なくとも1つの第1流出口37のそれぞれを通して最大体積の流体が流動することを可能にする。前記少なくとも1つの第2流出口38のそれぞれはさらに持続的に開放されるが、これは、ハウジング12の側壁16に形成される第1流出口37および第2流出口38のすべてを通して流体が流動できるように許容されることを意味する。
【0030】
図2は、完全遮断位置にある時の吸入スロットルバルブ10を示すものであり、この時、吸入スロットルバルブは、最小体積の冷媒が可変容量型圧縮機の作動中に吸入スロットルバルブ10に流入し、吸入スロットルバルブから流出するように許容する。完全遮断位置における吸入スロットルバルブ10の作動は、Pcによって誘発されて第1ピストン90の第1端部92に作用する力が、第1ピストン90に作用する第1ばね85およびPexsの合力を超えることを示す。
【0031】
前記完全遮断位置において、前記隔壁80の第1表面81は、前記第1ピストン90の載置面94と接して、第1ピストン90が前記隔壁80上に載置される。第1ピストン90は、吸入スロットルバルブ10が完全遮断位置にある時、少なくとも1つの第1流出口37に向かう流路を遮断する。なお、第1ピストン90はさらに、第1吸入口27を通した第1チャンバ51への流路を遮断する。これによって、冷媒は、単に第2吸入口28を通してのみ空間部50に流入して、冷媒が吸入ポート40を抜け出て吸入スロットルバルブ10に流入する過程で通過する断面積を制限する。冷媒が空間部50を抜けられる時に通過する断面積はさらに、ハウジング12の側壁16に形成される少なくとも1つの第2流出口38すべての総組合断面積で制限される。
【0032】
第1ピストン90はさらに、完全開放位置と完全遮断位置との間の位置に配置されてよい。第1ばね85のばね定数は、第1ピストン90が空間部50の第1チャンバ51内で隔壁80とハウジング12の第1端部壁30との間を移動するとき、第1ばね85が第1ピストン90に可変的な力を伝達するようにすることを理解するであろう。これによって、第1ピストン90の各面に印加される力が実質的に等しい時、前記第1ピストン90は、第1端部壁30と隔壁80との間の中間位置に配置できる。第1ピストン90は、中間位置にあるとき、少なくとも1つの第1流出口37および第1吸入口27の少なくとも一部を塞ぐことができて、第1チャンバ51内における第1ピストン90の位置に応じて、少なくとも1つの第1流出口37および第1吸入口27それぞれの断面積が変化するようにする。しかし、可変容量型圧縮機の作動中に、第1ピストン90は、圧縮機の関連する構成要素内で急激に変化する圧力によって、完全開放位置と完全遮断位置との間で急激に交互する傾向を示すことが観察された。
【0033】
図3および
図4は、本発明にかかる吸入スロットルバルブ100の変形例を示すものである。前記吸入スロットルバルブ100は、空間部50の第2チャンバ52に形成される第2流出口38の形態が異なり、第2ピストン190が追加された点を除けば、
図1の吸入スロットルバルブ10と同一である。
図1および
図2に示された構造と類似の構造は同一の図面符号で表し、区分のためにプライム(’)記号を含む。第2ピストン190は、空間部50’の第2チャンバ52’内で往復可能に配置される。第2ピストン190は、第2チャンバ52’内の空間部50’の断面にまたがっていて、第2ピストン190の外周面191の周囲にハウジング12’の側壁16’の少なくとも一部と接触する。第2ピストン190は、閉鎖された第1端部192および開放された第2端部193を備える中空構造である。第2ピストン190の開放された第2端部193は、第2端部壁32’に対向する載置面194を含む。空間部50’が実質的に円筒状の時、第2ピストン190は、円筒状であり、環状の載置面194を含む。
【0034】
前記第2ばね185は、ハウジング12’の第2端部壁32’と第2ピストン190との間に配置される。第2ばね185の第2端部187がハウジング12’の第2端部壁32’に載置される時、前記第2ばね185の第1端部186は、第2ピストン190と接触する。第2ばね185は、隔壁80’に向かう方向に、そして第2端部壁32’から遠くなる方向に第2ピストン190に力を加えるように構成される。
【0035】
吸入スロットルバルブ100は、空間部50’の第2チャンバ52’内でハウジング12’の側壁16’に形成される少なくとも1つの第2流出口138をさらに含む。前記少なくとも1つの第2流出口138は、吸入チャンバと空間部50’の第2チャンバ52’との間を流体が流れるように連通させる。第2流出口138は、
図1および
図2に示された吸入スロットルバルブ10の第2流出口38より大きい断面流動面積を有することができる。第2流出口138は、ハウジング12’の第2端部壁32’と側壁16’との間の境界に延びる長孔またはスロットとして
図3に示されている。
【0036】
吸入スロットルバルブ100は、吸入スロットルバルブ10と類似の方式で作動する。ハウジング12’の第1端部壁30’と第1ピストン90’との間に形成される開放された空間96’は、圧力がPcの冷媒を有するクランクケースチャンバと流体が流れるように連通する。第1ピストン90’の第1端部92’に印加される力が、第1ピストン90’に印加される外部吸入圧力(Pexs)およびばね85’の合力を超えない時、吸入スロットルバルブ100は、完全開放位置にある。第1ピストン90’の第1端部92’に印加される力が、第1ピストン90’に印加される外部吸入圧力(Pexs)およびばね85’の合力を超える時、第1ピストン90’は、隔壁80’に向かう方向に移動する。
【0037】
図3は、完全開放位置にある時の吸入スロットルバルブ100を示すものである。第1ピストン90’の突出部95’は、ハウジング12’の第1端部壁30’に接する。前記ピストン90’は、ハウジング12’の側壁16’に形成された少なくとも1つの第1流出口37’を遮断せず、少なくとも1つの第1流出口37’を通して吸入スロットルバルブ100から最大冷媒流動が出られるようにする。また、吸入口26’も遮断されない状態であるので、第1吸入口27’および第2吸入口28’の両方ともを通した最大流動を許容する。
【0038】
冷媒が吸入口26’を通して流動する時、冷媒の少なくとも一部は、少なくとも1つの第2流出口138を通して吸入スロットルバルブ100を抜け出るために、空間部50’の第2チャンバ52’を通して流動することとなる。第2チャンバ52’を通して流動する冷媒の少なくとも一部は、第2ピストン190の第1端部192に力を印加して、ハウジング12’の第2端部壁32’に向かう方向に第2ピストン190に力を加える。第2ばね185は、隔壁80’に向かう方向に第2ピストン190に力を加えるように構成され、第2ピストン190が少なくとも1つの第2流出口138を可変的に遮断するようにする。これによって、第2ばね185は、第2ピストン190の第1端部192に対する冷媒流動の力が、第2ばね185によって第2ピストン190に印加される力を克服するようにするばね定数を有するように選択できるので、予め決定された流量の冷媒が空間部50’の第2チャンバ52’を通して流動して第2ピストン190の第1端部192に提供される時、第2ピストン190が第2端部壁32’上に載置されるようにする。
【0039】
図3は、前記第2ピストン190が、前記空間部50’の第2チャンバ52’内で少なくとも1つの第2流出口138が最小限に遮断されるようにする位置に配置された状態を示すものである。第2ピストン190の載置面194は、ハウジング12’の第2端部壁32’に接する。少なくとも1つの第2流出口138の一部が第2ピストン190によって覆われているのに対し、少なくとも1つの第2流出口138の他の部分は第2ピストン190によって遮断されず、少なくとも1つの第2流出口138のうちの、第2ピストン190によって遮断されない部分を通して冷媒が流動するように許容する。少なくとも1つの第2流出口138は、少なくとも1つの第2流出口138の単に一部だけが遮断されなかったにもかかわらず、第2ピストン190が第2端部壁32’上に載置される時、冷媒が少なくとも1つの第2流出口を通して流動することを許容するために露出する最大断面積を有する。
【0040】
図4は、最大遮断位置における吸入スロットルバルブ100を示すものであり、これは、開放された空間96’で現れる圧力が、第1ばね85’および外部吸入圧力(Pexs)の合力を超える力が第1ピストン90’に加えられることを示す。完全遮断位置において、前記第1ピストン90’は、隔壁80’の第1表面81’上に載置される。第1ピストン90’の外周面91’は、少なくとも1つの第1流出口37’への通路を遮断する。なお、第1ピストン90’はさらに、第1吸入口27’への通路を遮断する。これによって、冷媒は、第2吸入口28’を通して空間部50’に流入し、少なくとも1つの第2流出口138を通して空間部50’を抜け出る。
【0041】
完全遮断位置で作動する吸入スロットルバルブ100は、通常、完全開放位置で作動する吸入スロットルバルブ100においてより小さい体積流量で冷媒が流動するようにする。かかるより小さい体積流量の冷媒は、冷媒が第2ピストン190の第1端部192により小さい力を印加するようにすることができ、これによって、第2ピストン190が第2端部壁32’に載置される位置に第2ピストン190が移動しないようにする。これによって、第2ピストン190の位置は、第2端部壁32’に載置される第2ピストンの位置と、第2ばね185が実質的に圧縮されないように第2チャンバ52’内で第2ピストンが配置される位置との間で変化することができる。第2ピストン190の位置は、これによって吸入スロットルバルブ100を通過する冷媒の瞬間的な体積流量に左右される。
図4は、実質的に圧縮されない第2ばね185を示すものであり、これは、第2ピストン190がハウジング12’の第2端部壁32’に向かうように強制することができない比較的小さい体積流量の冷媒が、吸入スロットルバルブ100を通して流動することを意味する。第2ばねが圧縮されない状態で、第2ピストン190は、空間部50’の第2チャンバ52’内に形成される少なくとも1つの第2流出口138の最大部分を遮断して、ハウジング12’内に形成される少なくとも1つの第2流出口138すべての合算された断面積を大きく低減する。
【0042】
図4に示されるように、第2ピストン190が第2端部壁32’に載置されない時、少なくとも1つの第2流出口138それぞれの一部はさらに、第2ピストン190の載置面194越しに露出して、内部吸入圧力(Pins)を有する吸入チャンバと第2ピストン190の第2端部193とが流体が流れるように連通する。これによって、第2ピストン190の第1端部192はPexsの圧力を受け、第2ピストン190の第2端部193はPinsの圧力を受ける。しかし、先に説明したように、PexsとPinsとの間の圧力差は、通常2psi未満である。これによって、PexsとPinsとの間の圧力差の効果は、冷媒の流動が第2ピストン190の第1端部192に加える力と比較すれば無視するに値する。
【0043】
第2ばね185はさらに、第2ばね185が実質的に圧縮されない時、第2ピストン190の第1端部192がハウジング12’の側壁16’に形成される少なくとも1つの第2流出口138の端部越しに配置されるように選択されてよい。この場合において、吸入スロットルバルブ100を通したPexsでの冷媒の流動は、第2ピストン190がハウジング12’の第2端部壁32’に向かう方向に移動するようにして、少なくとも1つの第2流出口138が第2流出口を通した冷媒の流動を許容しないものと、第2流出口を通した最大量の冷媒の流動を許容するものの間で変化できるように許容する。
【0044】
図3において、前記吸入スロットルバルブ100は、ハウジング12’に形成される一対の少なくとも1つの第1流出口37’を備えると示されている。しかし、吸入スロットルバルブ100は、少なくとも1つの第1流出口37’なく作動することができ、代わりに冷媒が単に少なくとも1つの第2流出口138を通して吸入スロットルバルブ100から抜け出るようにする。この場合において、偏向されていない時、第2ピストン190の第1端部192の位置は、少なくとも1つの第2流出口138のより大きい部分が露出することを許容するように選択されてよい。追加的に、第2ばね185に対するばね定数は、冷媒の体積流動が小さい区間の間、第2ピストン190がハウジング12’の第2端部壁32’に向かってより容易に移動することを許容するように選択されてよい。なお、少なくとも1つの第2流出口138それぞれの大きさは、少なくとも1つの第1流出口37’を排除することにより、損失する断面流動面積を補償するために増加できる。
【0045】
前記吸入スロットルバルブ10および吸入スロットルバルブ100それぞれは、可変容量型圧縮機の容量の程度に応じて、吸入スロットルバルブを通して流動する冷媒を可変的に遮断する。圧縮機の容量の程度およびこれによる冷媒の体積流量は、PinsとPcの圧力差に大きく左右される。PinsとPcとの間の圧力差が小さく、冷媒の流量が結果的に比較的大きい傾向を示す時、それぞれの吸入スロットルバルブ10、100が完全開放位置で作動することが有利である。PinsとPcとの間の圧力差が大きく、冷媒の流量が結果的に比較的小さい傾向を示す時、それぞれの吸入スロットルバルブ10、100が遮断位置で作動して、可変容量型圧縮機の吸入リードバルブ(suction reed valve)での騒音の発生を防止することが有利である。PinsとPcとの間のかかる関係は、圧力入口72、72’がPcの圧力を有するクランクケースチャンバと流体連通する時、吸入スロットルバルブ10、100それぞれがPinsとPcとの間の圧力差に効果的に、そして迅速に応答することを可能にする。吸入スロットルバルブを通過する冷媒の流動を抑制するそれぞれの吸入スロットルバルブ10、100の能力は、可変容量型圧縮機を備える空気調和システムを通して伝播され得る圧力脈動を低減するのに役立つ。
【0046】
以上の説明から、当業者は本発明の核心的な特徴を容易に確認することができ、本発明の思想および範囲を逸脱しない範囲で本発明が多様な用例および条件に適合するように本発明に多様な変化および変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
10 吸入スロットルバルブ
12 ハウジング
26 吸入口
27 第1吸入口
28 第2吸入口
37 第1流出口
38 第2流出口
40 吸入ポート
44 流動チャネル
50 空間部
51 第1チャンバ
52 第2チャンバ
55 穴
72 圧力入口
80 隔壁
85 第1ばね
90 第1ピストン