(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  少なくとも一以上の可動型を有する金型により成形される成形品の表面に設けた表示面に、凹形成又は凸形成により、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含む文字類を表示する成形品の文字類表示方法であって、前記表示面を形成する可動型の型開閉に係わる移動方向が、当該表示面に対して平行な面方向となることを条件に、前記成形品の表面を最上面とし、この最上面から成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面を設定するとともに、前記文字類の全部分又は当該文字類を構成する二以上の部分を表示対象部に設定し、各形成面をそれぞれ各表示対象部となるように凹形成又は凸形成することにより前記文字類を表示することを特徴とする成形品の文字類表示方法。
  成形品の表面に設けた表示面に凹形成又は凸形成により、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含む文字類を表示してなる成形品の文字類表示部であって、前記成形品の表面を最上面とし、この最上面から成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面を設定するとともに、前記文字類の全部分又は当該文字類を構成する二以上の部分を表示対象部に設定し、各形成面をそれぞれ各表示対象部となるように凹形成又は凸形成することにより前記文字類を表示してなることを特徴とする成形品の文字類表示部。
  前記文字類の表面とこの文字類以外の表面は、一方を艶有面に形成し、他方を艶無面に形成することにより、視覚的に差別化することを特徴とする請求項2記載の成形品の文字類表示部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  しかし、上述した従来における成形品の文字類表示方法(文字類表示部)は、次のような問題点があった。
【0006】
  即ち、表示部(表示面)は凹凸形成するため、表示部に対して直角方向に移動する可動型におけるキャビティ面を用いる場合には問題ないものの、同表示面の面方向に沿って移動するキャビティ面を用いる場合には実施が困難になる。したがって、例えば、固定型と可動型の二つの型を用いた金型により直方体状の成形品を成形するような場合、成形品における対向する二面には表示部を設けることができるものの、残りの四面には表示部を設けることができない。
【0007】
  結局、本来の表示したい位置に表示できない場合が生じるなど、表示できる面が制限されることになり、汎用性に欠ける。一方、本来の表示位置に対して、表示できる最も近い位置を選定して表示することも可能となるが、本来の位置ではない故に表示部が見えにくくなったり誤認識を生じる虞れもあり、表示本来の的確性を欠いてしまう。他方、表示を優先させ、それに合わせた金型設計も可能であるが、本来の金型設計を逸脱し、成形品の品質に悪影響を及ぼす虞れがあるなど、必ずしも好ましい対応とはならない。
【0008】
  本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した成形品の文字類表示方法及び文字類表示部の提供を目的とするものである。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  本発明に係る成形品の文字類表示方法は、上述した課題を解決するため、少なくとも一以上の可動型Cp…を有する金型Cにより成形される成形品Mの表面Mfに設けた表示面2…に、凹形成又は凸形成により、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含む文字類Nを表示するに際し、表示面2…を形成する可動型Cp…の型開閉に係わる移動方向Fmp…が、当該表示面2…に対して平行な面方向となることを条件に、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面2a,2b…を設定するとともに、文字類Nの全部分又は当該文字類Nを構成する二以上の部分を表示対象部N0,N1,N2…に設定し、各形成面2a,2b…をそれぞれ各表示対象部N0,N1…となるように凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示するようにしたことを特徴とする。
【0010】
  一方、本発明に係る成形品Mの文字類表示部1は、上述した課題を解決するため、成形品Mの表面Mfに設けた表示面2に凹形成又は凸形成により、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含む文字類Nを表示してなる文字類表示部を構成するに際して、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面2a,2b…を設定するとともに、文字類Nの全部分又は当該文字類Nを構成する二以上の部分を表示対象部N0,N1,N2…に設定し、各形成面2a,2b…をそれぞれ各表示対象部N0,N1…となるように凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示してなることを特徴とする。
【0011】
  また、本発明は、発明の好適な態様により、文字類Nの表面Mfnとこの文字類N以外の表面Mfeは、一方を艶有面Emに形成し、他方を艶無面Exに形成することにより、視覚的に差別化することが望ましい。さらに、成形品Mは、合成樹脂素材Rrによる樹脂成形品Mrが好適である。
 
【発明の効果】
【0012】
  このような本発明に係る成形品の文字類表示方法及び文字類表示部1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0013】
  (1)  本発明に係る文字類表示部1によれば、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面2a,2b…を設定するとともに、文字類Nの全部分又は当該文字類Nを構成する二以上の部分を表示対象部N0,N1,N2…に設定し、各形成面2a,2b…をそれぞれ各表示対象部N0,N1,N2…となるように凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示してなるため、成形品Mの表面Mfにおける全位置を選択して文字類Nの表示が可能になる。この結果、表示できる面が制限される不具合を解消でき、汎用性を高めることができる。しかも、文字類表示部1を見えやすくし、認識性を高めることができるなど、表示の的確性を高めることができる。さらに、金型設計においても表示位置に影響されないため、本来の金型設計が可能になり、成形品Mの品質確保に貢献できる。
【0014】
  (2)  本発明に係る文字類表示方法によれば、表示面2…を形成する可動型Cp…の型開閉に係わる移動方向Fmp…が、当該表示面2…に対して平行な面方向となることを条件に、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから成形時の型開方向に階段的に低くなる少なくとも一つ以上の形成面2a,2b…を設定するとともに、文字類Nの全部分又は当該文字類Nを構成する二以上の部分を表示対象部N0,N1,N2…に設定し、各形成面2a,2b…をそれぞれ各表示対象部N0,N1,N2…となるように凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示するようにしたため、上述した文字類表示部1を容易かつ確実に設けることができる。しかも、可動型Cp…におけるキャビティの面形状の変更により実現できるため、実施の容易化及び低コスト化に寄与できる。
【0015】
  (3)  文字類Nには、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含ませたため、単純な識別情報から各種案内情報等を含む様々な情報表示が可能になるため、文字類表示機能としての多機能性(多様性)、更には発展性を高めることができる。
【0016】
  (4)  好適な態様により、文字類Nの表面Mfnとこの文字類N以外の表面Mfeを形成するに際し、一方を艶有面Emに形成し、他方を艶無面Exに形成することにより、視覚的に差別化するようにすれば、表示される文字類Nを確実に認識できる。特に、段差により生じる非連続性に伴うマイナス要素を補うことができるため、非連続性が生じる文字類Nに対する認識性を高めることに貢献できる。
【0017】
  (5)  好適な態様により、成形品Mとして、合成樹脂素材Rrによる樹脂成形品Mrを適用すれば、広く用いられている合成樹脂素材Rrによる成形品Mに適用できるため、様々な分野において商業的な利用価値を高めることができる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0019】
  次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
 
【0020】
  まず、本実施形態に係る成形品Mの文字類表示部1の構成について、
図1〜
図3(
図6,
図7)を参照して説明する。
 
【0021】
  例示の成形品Mは電磁弁の部品を構成するハウジングMhである。このハウジングMhは、
図1(
図6,
図7)に示すように、底面が開口する内部中空となり、全体を合成樹脂素材Rrにより直方体状に一体成形する。なお、合成樹脂素材Rrの種類は問わず、各種合成樹脂素材Rrを適用できる。このように、成形品Mとして、合成樹脂素材Rrによる樹脂成形品Mrを適用すれば、広く用いられている合成樹脂素材Rrによる成形品Mに適用できるため、様々な分野において商業的な利用価値を高めることができる。
 
【0022】
  一方、ハウジングMhにおける後面Mhrには後方に突出した接続ポートP1を有するとともに、前面Mhfには前方に突出した接続ポートP4を有する。また、ハウジングMhにおける上面Mhuには、上方に突出した二つの接続ポートP2,P3を有する。この場合、各接続ポートP1,P2…は、バーブ継手(タケノコ継手)を構成するため、それぞれ先端部はテーパ部T…により形成する。さらに、成形品Mの表面MfとなるハウジングMhの上面Mhuには、その一部を利用し、各接続ポートP1,P2,P3,P4に対応した四つの表示面2…を確保する。そして、各表示面2…を利用して本実施形態に係る文字類表示部1…をそれぞれ設ける。例示の場合、各文字類表示部1…に表示する文字類Nは数字であり、上面Mhuの後側から前側へ、各接続ポートP1,P2,P3,P4を識別するための「1」,「2」,「3」,「4」の数字を表示する。即ち、例示の場合、数字「1」が接続ポートP1を、数字「2」が接続ポートP2を、数字「3」が接続ポートP3を、数字「4」が接続ポートP4をそれぞれ示し、実施形態は、四つの文字類表示部1…を備えている。
 
【0023】
  一つの文字類表示部1、例えば、接続ポートP3に対応する文字類Nは数字「3」となるが、この場合、
図3に示すように、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから階段的に低くなる少なくとも一つ以上(例示は二つ)の形成面2a,2bを設定するとともに、数字「3」の全部分を表示対象部N0として設定する。即ち、形成面2aは、最上面2uに対して高さLaだけ低く形成し、形成面2bは、形成面2aに対して高さLbだけ低く形成する。なお、高さLaとLbは同一であってもよいし異ならせてもよい。このため、表示面2の厚さは、少なくとも厚さLr(=La+Lb)を超える所定の厚さを確保する。そして、各形成面2a,2bをそれぞれ表示対象部N0により凹形成又は凸形成する。例示の場合、形成面2aには、数字「3」の一部を、最上面2uに対して凹形成するとともに、形成面2bには、数字「3」の一部を、形成面2aにより凸形成している。
 
【0024】
  また、この際、
図2に示すように、文字類N(数字「3」)の表面Mfnと、この文字類N以外の表面Mfeを形成するに際しては、一方を艶有面Emに形成し、他方を艶無面Exに形成することにより、視覚的に差別化する。
図2は、この形成態様をイメージで示している。艶有面Emは、キャビティ面の鏡面(高反射)処理により実施できるとともに、艶無面Exは、キャビティ面のシボ加工(低反射)処理により実施できる。このように形成すれば、文字類Nとこの周辺を視覚的に差別化できるため、表示される文字類Nを確実に認識できる。特に、段差により生じる非連続性に伴うマイナス要素を補うことができるため、非連続性が生じる文字類Nに対する認識性を高めることができる利点がある。
 
【0025】
  以上、文字類Nとして、数字「3」について説明したが、他の表示面2…における数字「1」,「2」及び「4」も、数字「3」の場合と同様に形成できる。この場合、数字「1」,「2」,「4」は、いずれも上述した数字「3」の場合と同様に、二つの形成面2a,2bの設定により実施できる。なお、数字「4」場合は、「4」を構成する内側の三角形部分(窓部分)を省略した場合を一例として示す。この場合であっても、数字「4」として識別可能である。ただし、本発明に係る文字類表示方法によれば、後述する変更実施形態で示すように、形成面2a,2b…の階数を増加させることにより、数字「4」を構成する内側の三角形部分も容易に形成することができる。
 
【0026】
  次に、本実施形態に係る文字類表示部1を有するハウジングMhの成形方法について、
図4〜
図7を参照して説明する。
 
【0027】
  この種のハウジングMhは、バーブ継手による接続ポートP1…を有するため、この接続ポートP1…の先端部にはテーパ部T…を設けている。このテーパ部T…は、接続ポートP1…に接続した配気チューブ等に対するシール機能を有するため、テーパ部T…にはパーティングラインが付かない成形を行う金型構成が必要になる。
図4に金型構成の一例を示す。
 
【0028】
  図4に示す金型Cは、固定型Cb,型開閉に係わる移動方向Fmuが上下方向となる上可動型Cu,型開閉に係わる移動方向Fmfが前後方向となる前可動型(前スライドコア)Cf,型開閉に係わる移動方向Fmrが前後方向となる後可動型(後スライドコア)Cr,型開閉に係わる移動方向Fmpが左右方向となる右可動型(右スライドコア)Cp及び型開閉に係わる移動方向Fmqが左右方向となる左可動型(左スライドコア)Cqを備えている。なお、
図4中、二点鎖線は省略したキャビティ部分を示している。また、成形手段として射出成形機を用いることができる。したがって、金型Cは射出成形機に備える型締装置に取付られている。
 
【0029】
  なお、
図4は、固定型Cb及び各可動型Cu,Cf,Cr,Cp,Cqを分解した状態で示しているが、
図6及び
図7には、型締時における固定型Cb及び各可動型Cu,Cf…の位置関係を示している。即ち、
図6に示すように、固定型Cbの上面には前可動型Cfと後可動型Crを配し、前可動型Cfには接続ポートP4のテーパ部Tを成形する凹部を形成するとともに、後可動型Crには接続ポートP1のテーパ部Tを成形する凹部を形成する。また、前可動型Cfと後可動型Crの上方には上可動型Cuを配し、接続ポートP2,P3のテーパ部T…を成形するための凹部を形成する。さらに、
図7に示すように、固定型Cbの上面には右可動型Cp及び左可動型Cqを配する。
 
【0030】
  このため、数字「1」,「3」を有する文字類表示部1…を成形するための型形状部分は、図に現れない右可動型Cpにおけるキャビティ上面Cpuに形成されているとともに、数字「2」,「4」を有する文字類表示部1…を成形するための型形状部分は、図に現れない左可動型Cqにおけるキャビティ上面Cquに形成されている。
 
【0031】
  以下、金型Cを用いたハウジングMhの成形動作(成形処理手順)について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。
 
【0032】
  今、金型Cはスタンバイ位置、即ち、各可動型Cu,Cf,Cr…が型開位置にあるものとする(ステップS1)。この位置から型締工程が開始する。型締工程では、まず、後可動型Crが型閉方向(移動方向Fmrの前方向)へ移動するとともに、前可動型Cfが型閉方向(移動方向Fmfの後方向)へ移動し、それぞれ型締位置で停止する(ステップS2,S3)。次いで、右可動型Cpが型閉方向(移動方向Fmpの左方向)へ移動するとともに、左可動型Cqが型閉方向(移動方向Fmqの右方向)へ移動し、それぞれ型締位置で停止する(ステップS4,S5)。この後、上可動型Cuが型閉方向(移動方向Fmuの下方向)へ移動し、型締位置で停止する(ステップS6)。以上により、型締工程が終了し、次いで、射出充填工程が行なわれる(ステップS7)。射出充填工程では、図示を省略した射出装置から溶融樹脂(合成樹脂素材Rr)を金型Cのキャビティ内に射出充填する。そして、射出充填工程が終了したなら、続いて冷却工程(保圧工程を含む)を行う(ステップS8)。
 
【0033】
  冷却工程が終了したなら型開工程を行う。型開工程では型締工程に対して逆手順により各可動型の移動を行う。即ち、最初に、上可動型Cuが型開方向(移動方向Fmuの上方向)へ移動し、型開位置(スタンバイ位置)で停止する(ステップS9)。次いで、左可動型Cqが型開方向(移動方向Fmqの左方向)へ移動するとともに、右可動型Cpが型開方向(移動方向Fmpの右方向)へ移動し、それぞれ型開位置で停止する(ステップS10,S11)。この後、前可動型Cfが型開方向(移動方向Fmfの前方向)へ移動するとともに、後可動型Crが型開方向(移動方向Fmrの後方向)へ移動し、それぞれ型開位置で停止する(ステップS12,S13)。
 
【0034】
  次いで、エジェクト工程(突出し工程)を行い、成形されたハウジングMh(成形品M)の取出しを行う(ステップS14)。以降は、生産計画に従って同様の動作を繰り返し、ハウジングMhの成形(生産)を行うことができる(ステップS15,S2…)。一方、生産計画の達成により成形動作は終了する(ステップS15)。
 
【0035】
  よって、このような本実施形態に係る文字類表示方法によれば、型開閉に係わる移動方向Fmp,Fmqが表示面2…の面方向となる可動型Cp,Cqの移動を許容することを条件に、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから階段的に低くなる二つの形成面2a,2bを設定するとともに、文字類Nの全部分を表示対象部N0に設定し、各形成面2a,2bをそれぞれ表示対象部N0により凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示するようにしたため、本発明に係る文字類表示部1を容易かつ確実に設けることができる。しかも、可動型Cp,Cqにおけるキャビティの面形状の変更により実現できるため、実施の容易化及び低コスト化に寄与できる。
 
【0036】
  したがって、本実施形態に係る成形品Mの文字類表示部1は、上記文字類表示方法により設けることができる。即ち、本実施形態に係る文字類表示部1によれば、成形品Mの表面Mfを最上面2uとし、この最上面2uから階段的に低くなる二つの形成面2a,2bを設定するとともに、文字類Nの全部分を表示対象部N0に設定し、各形成面2a,2bをそれぞれ表示対象部N0により凹形成又は凸形成することにより文字類Nを表示してなるため、成形品Mの表面Mfにおける全位置を選択して文字類Nの表示が可能になる。この結果、表示できる面が制限される不具合を解消でき、汎用性を高めることができる。しかも、文字類表示部1を見えやすくし、認識性を高めることができるなど、表示の的確性を高めることができる。さらに、金型設計においても表示位置に影響されないため、本来の金型設計が可能になり、成形品Mの品質確保に貢献できる。
 
【0037】
  次に、本発明の変更実施形態に係る文字類表示部1及び成形品Mについて、
図8〜
図11を参照して説明する。
 
【0038】
  図8及び
図9は、いずれも文字類Nとして、アルファベットを表示する場合を示す。
図8はアルファベット「A」を、前述した左可動部Cqにより成形する場合を示し、(a)は文字類表示部1の平面図、(b)は(a)におけるY−Y線断面図を示す。このため、
図8中、左可動部Cqの移動方向Fmqを矢印で示した。
図8は、四つの形成面2a,2b,2c,2dを設定するとともに、文字類Nを構成する二以上の部分に設定、即ち、アルファベット「A」を二つの表示対象部N1とN2に分けるとともに、表示対象部N1とN2間の窓部分(三角形部分及び台形部分)を表示対象部N3として設定した。そして、形成面2aには、表示対象部N1により、最上面2uに対して凹形成するとともに、形成面2bには、表示対象部N3により、形成面2aに対して凹形成し、さらに、形成面2cには、表示対象部N2により、形成面2bに対して凹形成した。
 
【0039】
  図9はアルファベット「B」を、前述した右可動部Cpにより成形する場合を示し、(a)は文字類表示部1の平面図、(b)は(a)におけるZ−Z線断面図を示す。このため、
図9中、右可動部Cpの移動方向Fmpを矢印で示した。
図9も、
図8と同様、四つの形成面2a,2b,2c,2dを設定するとともに、文字類Nを構成する二以上の部分に設定、即ち、アルファベット「B」を二つの表示対象部N1とN2に分けるとともに、表示対象部N1とN2間の窓部分を表示対象部N3として設定した。そして、形成面2aには、表示対象部N1により、最上面2uに対して凹形成するとともに、形成面2bには、表示対象部N3により、形成面2aに対して凹形成し、さらに、形成面2cには、表示対象部N2により、形成面2bに対して凹形成する。
 
【0040】
  なお、他のアルファベット「C」〜「Z」も同様に実施できるとともに、この際、アルファベットの複雑構成或いは単純構成に応じて、形成部2a…の数量を増減するとともに、表示対象部N1…の数量を増減すればよい。以上の実施形態では、文字類Nとして、数字とアルファベットを例示したが、その他、文字,記号,符号であっても同様に実施できる。この場合、文字には平仮名,片仮名,漢字を含ませることができる。このように、文字類Nに、少なくとも、数字,アルファベット,文字,記号,符号の一又は二以上を含ませれば、単純な識別情報から各種案内情報等を含む様々な情報表示が可能になるため、文字類表示機能としての多機能性(多様性)、更には発展性を高めることができる。
 
【0041】
  図10及び
図11は、成形品Mを異ならせた変更実施形態の一例を示したものであり、
図10は、入力端子21と出力端子22を備える中継器Mmであって、合成樹脂素材により形成したケーシングMmcを示すとともに、文字類表示部1,1に、アルファベット書した「IN」と「OUT」を表示する例を示す。この場合、文字類表示部1,1は、前可動型Cfを用いて形成することができる。このため、前可動型Cfの移動方向Fmfを矢印で示した。
 
【0042】
  図11は、合成樹脂素材により形成した丸棒状の成形品M、例えば、工具のグリップMg等を想定したものである。グリップMg等に図示を省略したアンダーカット形状が存在している場合に有効となる。この場合であっても、同様に、形成面2a,2b,2c,2dを設けることにより、同様の文字類表示部1を設けることができる。この場合、文字類表示部1は、右可動型Cpを用いて形成することができる。このため、右可動型Cpの移動方向Fmpを矢印で示した。
 
【0043】
  以上、変更実施形態を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
 
【0044】
  例えば、五つの可動型Cp…を備える金型Cを例示したが、可動型Cp…の数量及び配置は様々な態様により実施できる。また、文字類Nとして、数字,アルファベット,文字,記号,符号を挙げたが、その他、模様や図形等の各種マーク類も文字類Nに含む概念である。さらに、文字類Nの表面Mfnを艶有面Emに形成し、この文字類N以外の表面Mfeを艶無面Exに形成した場合を示したが、文字類Nの表面Mfnを艶無面Exに形成し、この文字類N以外の表面Mfeを艶有面Emに形成してもよいし、或いは、文字類Nの表面Mfnに多数のスリット模様を形成するなど、周りの部分に対して、文字類Nの表面Mfnを視覚的に差別化できるものであれば、各種態様により実施可能である。一方、成形品Mとしては、合成樹脂素材Rrによる樹脂成形品Mrが好適となるが、金属等の他の素材を用いた成形品Mを排除するものではない。