【実施例1】
【0056】
[Gα遺伝子のmRNA発現解析]
HEK293細胞(293A Cell、Life Technologies社製)を1×10
6細胞回収し、Mammalian Total RNA Miniprep Kit(Sigma-Aldrich社製)を用いてRNAを抽出した。抽出したRNAからHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNA合成を行った。三量体(αβγ)Gタンパク質を構成するαサブユニットをコードするGα遺伝子は、4種類のファミリー(Gs、Gi、Gq、及びG12)遺伝子から構成されており、このうち、Gsファミリー遺伝子は、2種の遺伝子(GNAS及びGNAL遺伝子)で構成されており、また、Giファミリー遺伝子は、8種の遺伝子(GNAI1、GNAI2、GNAI3、GNAO1、GNAZ、GNAT1、GNAT2、及びGNAT3遺伝子)で構成されており、また、Gqファミリー遺伝子は、4種類の遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA14、及びGNA15遺伝子)で構成されており、また、G12ファミリー遺伝子は、2種の遺伝子(GNA12及びGNA13遺伝子)で構成されている(
図3)。この中から、6種類のGα遺伝子(Gqファミリー遺伝子4種[GNAQ、GNA11、GNA14、及びGNA15遺伝子]及びG12ファミリー遺伝子2種[GNA12及びGNA13遺伝子])のmRNA発現量の他、内部コントロール用のACTB遺伝子のmRNA発現量を定量するために、得られたcDNAを鋳型として、プライマーセット(Fasmac社で受託合成)とSYBR Premix Ex Taq Kit(タカラバイオ社製)を用いて、7300リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems社製)でPCRを行い、上記6種類のGα遺伝子及びACTB遺伝子のcDNA断片の増幅と定量を行った。なお、定量は、上記6種類のGα遺伝子及びACTB遺伝子が組み込まれた濃度既知のプラスミドベクターDNAを用いて作成した検量線を基に定量した。PCR反応条件は、初期変性95℃(30秒間)の後、95℃(5秒)と60℃(31秒間)からなるサイクルを40回繰り返し、解離ステージ(Dissociation Stage)で反応産物の融解曲線を解析した。なお、融解曲線の解析により、HEK293細胞由来の上記6種類のGα遺伝子及びACTB遺伝子のcDNA増幅産物の融解曲線のピーク温度と、プラスミドDNA由来の上記6種類のGα遺伝子及びACTB遺伝子のDNA増幅産物の融解曲線のピーク温度とが一致することが確認された。
【0057】
上記6種類のGα遺伝子及びACTB遺伝子のcDNA断片を増幅するためのプライマーセットを、以下の表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
[Gα遺伝子をノックアウトするためのプラスミドコンストラクトの作製]
ゲノム中に存在するGα遺伝子をノックアウトするために、Cas9ヌクレアーゼとシングルガイドRNA(sgRNA)の両方を発現させるpX330ベクターを用い、文献(Wang, H. et al. One-step generation of mice carrying mutations in multiple genes by CRISPR/Cas-mediated genome engineering. Cell 153, 910-918 (2013).)に記載の方法に従ってプラスミドコンストラクトを作製した。すなわち、ゲノム中に存在するGα遺伝子(標的遺伝子)の20塩基長の相補配列(sgRNA結合配列)を有するsgRNAと、Cas9ヌクレアーゼとを培養細胞中で発現させ、sgRNAとCas9ヌクレアーゼの複合体が標的遺伝子中に存在するsgRNA結合配列に結合し、かかる部位で標的遺伝子の二本鎖切断が生じ、二本鎖切断末端同士が結合する過程で塩基の欠失や挿入が起こり、標的遺伝子機能の欠損を誘導するシステムを利用した。米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)に登録されているヒト遺伝子の塩基配列データベースから、4種類のGα遺伝子(Gqファミリー遺伝子2種[GNAQ〔Accession No. NM_002072〕及びGNA11〔Accession No. NM_002067〕遺伝子]、G12ファミリー遺伝子2種[GNA12〔Accession No. NM_007353〕及びGNA13〔Accession No. NM_006572〕]遺伝子)を標的とするsgRNAの結合配列として、それぞれ配列番号15〜18で示される塩基配列からなるDNAを選択した。1本鎖オリゴヌクレオチドのセット4種類(配列番号19及び20で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドセット、配列番号21及び22で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、配列番号23及び24で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、並びに配列番号25及び26で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)(Fasmac社で受託合成)をそれぞれ混合し、95℃(5分間)/95℃から30℃への勾配(15分間)/25℃(1分間)/20℃(1分間)/15℃(1分間)/10℃(1分間)の条件でアニールすることにより、上記4種類のGα遺伝子を標的とするsgRNAの結合配列を含むDNA断片を得た。かかるDNA断片10pmolと、制限酵素BbsIで消化したpX330ベクター20ngとを混合し、Mighty Mix(タカラバイオ社製)を用いてリガーゼ処理を行い、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社製)に導入し形質転換させた。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択し、選択された大腸菌コロニーを単離し、100μg/mLアンピシリン含有LB培養液で増殖させた後、大腸菌に含まれるベクターDNAをPureYield Plasmid Miniprep System(Promega社製)を用いて単離・精製した。精製したベクターDNA中に、上記4種類のGα遺伝子を標的とするsgRNAをコードするDNAが含まれることは、シーケンス用プライマー(配列番号27で示される塩基配列からなるプライマー)を用いたダイターミネーター法により確認した(Fasmac社に委託)。なお、Cas9ヌクレアーゼと上記4種類のGα遺伝子を標的とするsgRNAの両方が発現するpX330ベクターを、以下「Cas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクター」という。
【0060】
[Gα遺伝子のノックアウト細胞株の作製]
HEK293細胞(293A Cell、Life Technologies社製)を2×10
5細胞/mLとなるように10%ウシ胎仔血清(FCS、GIBCO社製)含有のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Nissui社製)(以下、「本件培養液」という)で懸濁し、細胞培養用12ウェルプレート(Grenier Bio-One社製)の各ウェルに1mLずつ播種した。5%CO
2存在下で24時間細胞培養した後、各ウェルに、上記[Gα遺伝子をノックアウトするためのプラスミドコンストラクトの作製]の項目に記載の方法に従って作製したCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクター500ngと、pGreenLantern-1(GIBCO BRL社製)100ngとを、LipofectAMINE 2000(Life Technologies社製)1.25μLを用いて、HEK293細胞へトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後の細胞を、0.05%(v/v)トリプシン/0.53mMEDTA含有リン酸緩衝液(PBS)を用いて細胞を剥がし、セルソーターSH800Z(Sony社製)を用いてGFP陽性細胞を分取することによりCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターが導入された細胞を選択した。かかる細胞を、20細胞/mL又は80細胞/mLとなるように培養液中に再懸濁し、細胞培養用96ウェルプレート(Grenier Bio-One社製)の各ウェルに100μLずつ播種した。5%CO
2存在下で約2週間培養後、細胞コロニーが出現したウェルの細胞をトリプシン/EDTAを用いて剥がし、半量の細胞を細胞培養用6ウェルプレート(Grenier Bio-One社製)に播種し、残り半量の細胞を遺伝型解析に用いた。以下の[Gα遺伝子の遺伝型解析]の項目に記載の方法に従って遺伝子型解析を行い、ゲノム中に存在する4種類のGα遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA12及びGNA13遺伝子)に変異が導入されたことを確認した後、細胞クローンを6ウェルプレートのセミコンフルエントに達するまで培養し、トリプシン/EDTAを用いて培養容器から剥がし、半量を細胞培養用100mmディッシュ(Grenier Bio-One社製)に播種した。残り半量を12ウェルプレートに播種し、TGFα切断アッセイにより、変異導入された上記4種類のGα遺伝子がコードするタンパク質(Gαq[GNAQ遺伝子がコードするタンパク質]、Gα11[GNA11遺伝子がコードするタンパク質]、Gα12[GNA12遺伝子がコードするタンパク質]、及びGα13[GNA13遺伝子がコードするタンパク質])の機能評価を行い、かかるGαタンパク質の機能欠損(Gα遺伝子ノックアウト)を確認した後、細胞クローンを100mmディッシュのセミコンフルエントに達するまで培養し、トリプシン/EDTAを用いて培養容器から剥がし、CELLBANKER 1 plus(日本全薬工業社製)中に凍結保存した。また、GNAQ遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターと、GNA11遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターとを混合し、親細胞(HEK293細胞)へトランスフェクションすることにより、GαqとGα11の2重欠損(ΔGNAQ/11)細胞株を単離した。同様に、GNA12遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターと、GNA13遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターとを混合し、親細胞へトランスフェクションすることにより、α12とGα13の2重欠損(ΔGNA12/13)細胞株を単離した。さらに、GNA12遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターと、GNA13遺伝子を標的とするsgRNAが発現するCas9ヌクレアーゼ/sgRNA発現ベクターとを混合し、ΔGNAQ/11株へトランスフェクションすることにより、GαqとGα11とGα12とGα13の4重欠損(ΔGNAQ/11/12/13)細胞株を単離した。
【0061】
[Gα遺伝子の遺伝型解析]
Gαタンパク質欠損細胞株を50mM水酸化ナトリウム水溶液で30分処理し、Tris−HCl(pH7.4)を加え中和した。ExTaq(タカラバイオ社製)とプライマーセット(Fasmac社で受託合成)を用いてPCRを行い、変異導入された4種類のGα遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA12及びGNA13遺伝子)のDNA断片を増幅した。得られたPCR反応産物を、制限酵素XbaI(GNAQ遺伝子)、TaqI(GNA11及びGNA13遺伝子)、HindIII(GNA12遺伝子)(制限酵素はタカラバイオ社から購入)で消化した後、3%アガロールゲル(ニッポンジーン社製)で分離し、上記制限酵素の認識部位が上記4種類のGα遺伝子中に存在することを確認した。
【0062】
上記4種類のGα遺伝子のDNA断片を増幅するためのプライマーセットを、以下の表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
PCRにより増幅した上記4種類のGα遺伝子のDNA断片を、TAクローニング法によりT-Vector pMD20ベクター(タカラバイオ社製)に組み込み、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社製)へ導入し形質転換させた。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択を行い、選択された大腸菌コロニーを鋳型として、T-Vector pMD20ベクターに挿入された上記4種類のGα遺伝子のDNA断片を増幅するためのプライマーセット(配列番号36及び37で示される塩基配列からなるプライマーセット)を用いたPCRを行った。PCR産物が得られたことはアガロールゲル電気泳動で確認し、PCR産物を鋳型として、シーケンス用プライマー(配列番号36で示される塩基配列からなるプライマー)を用いたダイターミネーター法により(Fasmac社に委託)、上記4種類のGα遺伝子の遺伝子型(塩基配列)を決定した。
【0065】
[Gαタンパク質発現ベクターの作製1]
6種類のGα遺伝子(Gqファミリー遺伝子4種[GNAQ、GNA11、GNA14、及びGNA15遺伝子]、及びG12ファミリー遺伝子2種[GNA12及びGNA13遺伝子])をクローニングするために、FirstChoice Human Total RNA Survey Panel(Applied Biosystems社製)を鋳型として、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を用いてcDNA合成を行い、合成されたcDNAを鋳型として、プライマーセット(Fasmac社で受託合成)とポリメラーゼPrimeSTAR HS(タカラバイオ社製)を用いてPCRを行った。
【0066】
上記6種類のGα遺伝子のcDNAを増幅するためのプライマーセットを、以下の表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
PCRにより得られた上記6種類のGα遺伝子のcDNA増幅産物を、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製し、制限酵素KpnI及びXhoI処理(GNAQ、GNA11、GNA14、GNA15、及びGNA12遺伝子)又は制限酵素KpnI及びEcoRV(GNA13)処理(制限酵素はタカラバイオ社から購入)した。哺乳類細胞発現用pCAGGS−MCSベクター(文献「Sakagami, H. et al. Biochemical and molecular characterization of a novel choline-specific glycerophosphodiester phosphodiesterase belonging to the nucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase family. J Biol Chem 280, 23084-23093 (2005).」参照)を、制限酵素KpnI及びXhoI処理又は制限酵素KpnI及びEcoRV処理し、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて制限酵素処理したpCAGGS−MCSを精製した。制限酵素処理したpCAGGS−MCS50ngと、制限酵素処理した上記6種類のGα遺伝子のcDNA増幅産物100ngとを混合し、Mighty Mix(タカラバイオ社製)を用いてリガーゼ処理を行い、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社)へ導入し形質転換させた。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択し、選択された大腸菌コロニーを単離し、100μg/mLアンピシリン含有LB培養液で増殖させた後、ベクターDNAをNucleoBond Xtra Midi Plus Kit(Macherey-Nagle社製)を用いて精製した。精製したベクターDNA中に、上記6種類のGα遺伝子のcDNAの全長が含まれることは、ダイターミネーター法により確認した(Fasmac社に委託)。なお、上記6種類のGα遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA14、及びGNA15、並びにGNA12及びGNA13遺伝子)のcDNAは、それぞれ配列番号50〜53、並びに54及び55で示される塩基配列からなるDNAである。
【0069】
[Gαタンパク質発現ベクターの作製2]
Gαキメラタンパク質を発現するベクターの作製は、以下の手順に従って行った。
まず、pCAGGS−MCSベクターを、制限酵素EcoRI及びXhoI(タカラバイオ社製)で処理し、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製した。11種類のGα遺伝子(Gsファミリー遺伝子2種[GNAS及びGNAL遺伝子]、Giファミリー遺伝子4種[GNAI1、GNAI3、GNAO1、及びGNAZ遺伝子]、Gqファミリー遺伝子3種[GNAQ、GNA14、及びGNA15遺伝子]、並びにG12ファミリー遺伝子2種[GNA12及びGNA13遺伝子])がコードするタンパク質(それぞれGαs及びGαolf、Gαi1、Gαi3、Gαo、及びGαz、Gαq、Gα14、及びGα16、並びにGα12及びGα13)の、カルボキシル(C)末端から7〜1アミノ酸残基からなるペプチド断片(以下、「11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片」という)をコードするDNAを含むDNA断片を調製し、かかるDNA断片10pmolと、上記制限酵素処理したpCAGGS−MCSベクター20ngとを混合し、Mighty Mix(タカラバイオ社製)を用いてリガーゼ処理を行い、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社製)に導入し形質転換させた。
なお、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA含むDNA断片は、配列番号56〜77で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをFasmac社で受託合成し、2種類ずつ(GNAS遺伝子の場合、配列番号56及び57で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAL遺伝子の場合、配列番号58及び59で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAI1遺伝子の場合、配列番号60及び61で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAI3遺伝子の場合、配列番号62及び63で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAO1遺伝子の場合、配列番号64及び65で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAZ遺伝子の場合、配列番号66及び67で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAQ遺伝子の場合、配列番号68及び69で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNA14遺伝子の場合、配列番号70及び71で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNA15遺伝子の場合、配列番号72及び73で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNA12遺伝子の場合、配列番号74及び75で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド;GNAI3遺伝子の場合、配列番号76及び77で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド)を混合し、95℃(5分間)/95℃から30℃への勾配(15分間)/25℃(1分間)/20℃(1分間)/15℃(1分間)/10℃(1分間)の条件でアニールすることにより調製した。
形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択し、選択された大腸菌コロニーを単離し、100μg/mLアンピシリン含有LB培養液で増殖させた後、大腸菌に含まれるベクターDNAをGenElute Plasmid Miniprep Kit(Sigma-Aldrich社製)を用いて単離・精製した。精製したベクターDNA中に、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA断片が含まれることは、ダイターミネーター法により確認した(Fasmac社に委託)。すなわち、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA含むDNA断片は、制限酵素PvuII認識配列と、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA(終止コドンを含む)とを含むDNAであり、また、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNAは、それぞれ配列番号78〜88で示される塩基配列からなるDNAであることが確認された。
【0070】
次に、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA断片を含むpCAGGS−MCSベクターを、制限酵素KpnI及びPvuII(タカラバイオ社製)で処理し、1%アガロールゲルで泳動後、制限酵素で切断された断片をWizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製した。また、上記[Gαタンパク質発現ベクターの作製1]の項目に記載の方法によって作製した6種類のGα遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA14、及びGNA15、並びにGNA12及びGNA13)のcDNAを含むpCAGGS−MCSを鋳型として、かかる6種類のGα遺伝子がコードするタンパク質のC末端ペプチド断片が欠損したペプチド断片(以下、「6種類のGαタンパク質のN末端ペプチド断片」という)をコードするDNAを増幅するためのプライマーセットとポリメラーゼPrimeSTAR HS(タカラバイオ社製)を用いてPCRを行った。
【0071】
上記6種類のGαタンパク質のN末端ペプチド断片をコードするDNAを増幅するためのプライマーセットを、以下の表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
PCRにより得られた上記6種類のGαタンパク質のN末端ペプチド断片をコードするDNA増幅産物を、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製し、制限酵素KpnI(タカラバイオ社製)処理した。かかる制限酵素処理したDNA増幅産物100ngと、上記制限酵素処理した11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片をコードするDNA断片を含むpCAGGS−MCSベクター50ngとを混合し、Mighty Mix(タカラバイオ社製)を用いてリガーゼ処理を行い、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社製)に導入し形質転換させた。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択し、選択された大腸菌コロニーを単離し、100μg/mLアンピシリン含有LB培養液で増殖させた後、ベクターDNAをNucleoBond Xtra Midi Plus Kit(Macherey-Nagle社製)を用いて精製した。精製したベクターDNA中に、上記6種類のGαタンパク質のN末端ペプチド断片と、上記11種類のGαタンパク質のC末端ペプチド断片とのキメラタンパク質(Gαキメラタンパク質)をコードするDNAが含まれることは、ダイターミネーター法により確認した(Fasmac社に委託)。
【0074】
なお、上記Gαキメラタンパク質は、具体的には、GαqのN末端ペプチド断片と、GαsのC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/s)、GαqのN末端ペプチド断片と、GαolfのC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/olf)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/i1)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gαi3のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/i3)、GαqのN末端ペプチド断片と、GαoのC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/o)、GαqのN末端ペプチド断片と、GαzのC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/z)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gα14のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/14)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gα16のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/16)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gα12のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/12)、GαqのN末端ペプチド断片と、Gα13のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gαq/13)、Gα11のN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gα11/i1)、Gα14のN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gα14/i1)、Gα16のN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gα16/i1)、Gα12のN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gα12/i1)、及びGα13のN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片との融合タンパク質(Gα13/i1)の計15種類であり、これら15種類のキメラGαタンパク質(Gαq/s、Gαolf、Gαq/i1、Gαq/i3、Gαq/o、Gαq/z、Gαq/14、Gαq/15、Gαq/12、Gαq/13、Gα11/i1、Gα14/i1、Gα16/i1、Gα12/i1、及びGα13/i1)は、それぞれ配列番号95〜109で示される塩基配列からなるDNAによってコードされる。
【0075】
[Gαタンパク質発現ベクターの作製3]
野生型GNAQ遺伝子のmRNAを標的としたsiRNAに対して、耐性のサイレント変異を導入したGαq(siRNA耐性Gαq)発現用ベクターと、siRNA耐性GαqをベースとしたGαキメラタンパク質発現用ベクターの作製は、以下の手順に従って行った。
まず、上記[Gαタンパク質発現ベクターの作製1]の項目に記載の方法によって作製したGNAQのcDNAを含むpCAGGS−MCSを鋳型として、2種類のプライマーセット(配列番号38及び111で示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号39及び110で示される塩基配列からなるプライマーセット)とポリメラーゼPrimeSTAR HS(タカラバイオ社製)を用いてPCRを行った。2種類のプライマーセットを用いて得られた2種類のPCR産物を、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製し、混合した後、かかる2種類のPCR産物を鋳型として、プライマーセット(配列番号38及び39で示される塩基配列からなるプライマーセット)を用いてPCRを行い、PCR産物を、1%アガロールゲルで泳動後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(Promega社製)を用いて精製し、制限酵素KpnI及びXhoI(タカラバイオ社製)で処理した。かかる制限酵素処理したPCR産物100ngと、制限酵素KpnI及びXhoI(タカラバイオ社製)で処理したpCAGGS−MCS50ngとを混合し、Mighty Mix(タカラバイオ社製)を用いてリガーゼ処理を行い、コンピテント大腸菌SCSI(Agilent Technologies社)へ導入し形質転換させた。形質転換後の大腸菌を、100μg/mLアンピシリン含有LB培地プレートで薬剤選択し、選択された大腸菌コロニーを単離し、100μg/mLアンピシリン含有LB培養液で増殖させた後、ベクターDNAをNucleoBond Xtra Midi Plus Kit(Macherey-Nagle社製)を用いて精製した。精製したベクターDNA中に、siRNA耐性GαqをコードするDNAが含まれることは、ダイターミネーター法により確認した(Fasmac社に委託)。siRNA耐性GαqをコードするDNAは、具体的には、配列番号112で示される塩基配列からなるDNAである。
【0076】
[TGFα切断アッセイ]
アルカリホスファターゼ(AP)融合TGFα(AP−TGFα)及び10種類のGタンパク質共役受容体(GPCR)(3種類のプロスタグランジンE受容体[EP1、EP2、及びEP3]、ヒスタミンH3受容体[H3R]、アドレナリンα1A受容体[α1A]、トロンボキサン受容体[TP]、A型エンドセリン受容体[ETA]、I型アンジオテンシンII受容体[AT1]、プロスタグランジンF受容体[FP]、及びカンナビノイド受容体1[CB1])発現細胞を作製するために、文献(Inoue, A. et al. Nature Methods, 9, 1021-1029 (2012))に記載の方法に従ってAP−TGFα発現ベクターと10種類のGPCR発現ベクターを入手又は作製した。細胞を2×10
5細胞/mLとなるように本件培養液で懸濁し、細胞培養用12ウェルプレート(Greiner Bio-One社製)の各ウェルに1mLずつ播種し、5%CO
2存在下で24時間培養後、各ウェルに、AP−TGFα発現ベクター250ngと、上記10種類のGPCR発現ベクター100ngとを、又はAP−TGFα発現ベクター250ngと、上記10種類のGPCR発現ベクター100ngと、Gαタンパク質発現ベクター50ngとを、LipofectAMINE 2000(Life Technologies社製)1.25μLを用いて細胞へトランスフェクションした。なお、AP−TGFαは、膜結合型pro-TGFα(TGFA遺伝子がコードするタンパク質)のN末端側に胎盤AP(ALPP遺伝子がコードするタンパク質)が融合したタンパク質である。
トランスフェクション24時間後の細胞を、0.05%(v/v)トリプシン/0.53mMEDTA含有リン酸緩衝液(PBS)を用いて細胞を剥がし、本件培養液でトリプシン反応を停止し、遠心処理した。上清を除去後、細胞沈殿物(ペレット)をPBSで懸濁し、室温で10分間静置した。遠心処理後、上清を除去し、Ca
2+、Mg
2+含有ハンクス平衡塩溶液(HBSS、5mMHEPES[pH7.4]含有)3.5mLに懸濁した。かかる細胞懸濁液を、細胞培養用96ウェルプレート(Greiner Bio-One社製)の各ウェルに90μLずつ播種し、5%CO
2インキュベーターで30分間静置した。各濃度の被検化合物(プロスタグランジンE2[Prostaglandin E2]、ヒスタミン、ノルアドレナリン[Noradrenaline]、U−46619、エンドセリン−1(Endothelin-1)、CP−55940、アンジオテンシンII(Angiotensin II)、又はアンジオテンシンIIのアナログ[Sar(1)-Ile(4)-Ile(8)AngII;SII])を10μLずつ添加し、5%CO
2存在下でさらに1時間静置した。96ウェルプレートを遠心処理(190×g、2分、室温)し、12連マルチチャネル電動ピペッターeLine(Sartorius社製)を用いて培養上清100μLのうち80μLを別の96ウェルプレートに移し(培養上清プレート)、細胞が付着した96ウェルプレート(細胞プレート)と分けた。培養上清プレートと細胞プレートのそれぞれに、APの基質であるp?ニトロフェニルリン酸(P−NPP)10mM含有反応液(40mMTris−HCl[pH9.5]、40mMNaCl、10mMMgCl
2)80μLを添加し、37℃で5分間インキュベーションした後、波長405nmの吸光度(OD
405)をマイクロプレートリーダーVersaMax(Molecular Devices社製)を用いて測定し(反応前のOD
405[バックグラウンド])、さらに37℃インキュベーター(CO
2添加なし)で1時間インキュベーションした後、OD
405を再度測定した(反応後のOD
405)。細胞プレートにおける反応後のOD
405を、細胞プレートにおける反応前のOD
405(バックグラウンド)で減して「細胞のOD
405」を算出し、また、培養上清プレートにおける反応後のOD
405を、培養上清プレートにおける反応前のOD
405(バックグラウンド)で減して「上清のOD
405」を算出し、かかる「細胞のOD
405」と「上清のOD
405」の値を、以下の式に入力することによりAP活性(%)を算出した。このとき得られた値を「刺激AP活性値」とする。なお、コントロールとして、被検化合物を添加しない場合の実験も同様に行ない、AP活性(%)を算出した。このとき得られた値を「無刺激AP活性値」とする。被検化合物(リガンド)の各濃度において、刺激AP活性値を無刺激AP活性値で減した値を算出し、容量反応曲線を作成し、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を、文献「Ehlert, F.J. On the analysis of ligand-directed signaling at G protein-coupled receptors. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 377, 549-577 (2008).」に記載の方法に従って算出した。
【0077】
【数1】
【0078】
[siRNAによるGαタンパク質の発現抑制]
HEK293細胞を1×10
5細胞/mLとなるように本件培養液で懸濁し、12ウェルプレートの各ウェルに1mLずつ播種した。5%CO
2存在下で24時間培養後、各ウェルに、4種類のGα遺伝子(GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13)を標的とするsiRNA(Stealth siRNA[Life Technologies社製])12pmol(終濃度10nM)を、LipofectAMINER RNAiMAX(Life Technologies社製)1μLを用いて細胞へトランスフェクションした。なお、コントロールのsiRNAとして、Stealth RNA siRNA Negative Control Med GC Duplex #3 (Life Technologies社製)を用いた。また、上記4種類のGα遺伝子(GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13)を標的とするsiRNAが標的とするDNAは、それぞれ配列番号113及び114、並びに115及び116で示される塩基配列からなるDNAである。
5%CO
2存在下で24時間培養後、培養液を除去し、新しい本件培養液を各ウェルに1mLずつ添加した。
【0079】
[結果1:HEK293細胞におけるGq及びG12ファミリー遺伝子のmRNAの発現]
本発明者らの以前の報告(Inoue et al (2012) Nature Meth 9, 1021-1029)では、Gqファミリーのシグナル伝達経路と、G12ファミリーのシグナル伝達経路とがTGFαの切断に関与することを示している。Gqファミリー遺伝子として、4種類の遺伝子(GNAQ、GNA11、GNA14及びGNA15遺伝子)が知られており、また、G12ファミリー遺伝子として、2種類の遺伝子(GNA12及びGNA13遺伝子)が知られている。そこで、TGFαの切断に関与する遺伝子を詳細に解析するために、HEK293細胞におけるGqファミリー遺伝子とG12ファミリー遺伝子のmRNAの発現レベルを、上記[Gα遺伝子のmRNA発現解析]の項目に記載の方法に従って解析した。その結果を
図4に示す。
【0080】
Gqファミリー遺伝子4種(GNAQ、GNA11、GNA14及びGNA15遺伝子)のうち、主にGNAQ及びGNA11遺伝子が発現していることが示された(
図4)。また、G12ファミリー遺伝子2種(GNA12及びGNA13遺伝子)のmRNAの発現レベルを解析したところ、両者の発現レベルはほぼ同じであることが示された(
図4)。この結果は、HEK293細胞中でTGFα切断応答を担う主要なGαタンパク質は、Gαq、Gα11、Gα12、及びGα13の計4種類であることが示された。
【0081】
[結果2:Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株を用いたTGFα切断アッセイ]
HEK293野生株(Parent)中で行うTGFα切断アッセイが、Gqファミリーのシグナル伝達経路と、G12ファミリーのシグナル伝達経路の両方を特異的に検出できるアッセイ系であることを確認するために、6種類の外因性GPCR(EP2、EP3、α1A、EP3、TP、及びETA)が発現するHEK293野生株(Parent)と、5種類の被検化合物(プロスタグランジンE2、ヒスタミン、ノルアドレナリン、U−46619、及びエンドセリン−1)のリガンドとを用いて、上記[TGFα切断アッセイ]の項目に記載の方法に従ってTGFα切断アッセイを行った。その結果を
図5に示す。
【0082】
EP2(Gs共役型)受容体発現HEK293細胞を、EP2受容体のリガンドであるプロスタグランジンE2で刺激した場合、APの活性化は検出されなかった(
図5Aの「○ Parent」)。他方、EP3(G12共役型)受容体発現HEK293細胞を、EP3受容体のリガンドでもあるプロスタグランジンE2で刺激した場合、APの活性化が検出された(
図5Dの「○ Parent」)これらの結果は、HEK293野生株中でTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、G12ファミリーのシグナル伝達活性化を検出でき、Gsファミリーのシグナル伝達活性化は検出できないことを示している。
【0083】
また、H3R(Gi共役型)受容体発現HEK293細胞を、H3R受容体のリガンドであるヒスタミンで刺激した場合、APの活性化は検出されなかったのに対して(
図5Bの「○ Parent」)、α1A(Gq共役型)受容体発現HEK293細胞を、α1A受容体のリガンドであるノルアドレナリンで刺激した場合、APの活性化が検出された(
図5Cの「○ Parent」)。これらの結果は、HEK293野生株中でTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、Gqファミリーのシグナル伝達活性化を検出でき、Giファミリーのシグナル伝達経路の活性化は検出できないことを示している。
【0084】
以上の結果をまとめると、HEK293野生株中でTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、Gqファミリーのシグナル伝達活性化と、G12ファミリーのシグナル伝達活性化の両方を特異的に検出できることが確認された。この点は、GqファミリーとG12ファミリーの両方の共役型受容体であるTPやETA受容体を発現させたHEK293細胞を、それら受容体のリガンド(U−46619及びエンドセリン−1)で刺激した場合にも、同様にAPの活性化が検出されたことにより確かめられた(
図5E及びFの「○ Parent」)。
【0085】
次に、GqやG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞(ΔGNAQ/11、ΔGNA12/13、及びΔGNAQ/11/12/13)株を用いて、上記[TGFα切断アッセイ]の項目に記載の方法に従ってTGFα切断アッセイを行った場合に、Gqファミリーのシグナル伝達活性化と、G12ファミリーのシグナル伝達活性化とを区別して検出できるかどうかを検討した。その結果を
図5に示す。
【0086】
α1A(Gq共役型)受容体発現G12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞(ΔGNA12/13)株をノルアドレナリン(α1A受容体のリガンド)で刺激した場合(
図5Cの「◇ ΔGNA12/13」)、HEK293野生株を用いた場合と同様にAPの活性化が検出されたのに対して、α1A受容体発現Gqファミリー遺伝子のノックアウト細胞(ΔGNAQ/11)株をノルアドレナリンで刺激した場合(
図5Cの「● ΔGNAQ/11」)、APの活性化は検出されなかった。この結果は、G12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株中でTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、内在性Gqファミリーのシグナル伝達活性化を特異的に検出できることを示している。
【0087】
また、EP3(G12共役型)受容体発現ΔGNAQ/11株をプロスタグランジンE2(EP3受容体のリガンド)で刺激した場合(
図5Dの「● ΔGNAQ/11」)、HEK293野生株を用いた場合と同様にAPの活性化が検出されたのに対して、EP3受容体発現ΔGNA12/13株をプロスタグランジンE2で刺激した場合(
図5Dの「◇ ΔGNA12/13」)、APの活性化は検出されなかった。この結果は、Gqファミリー遺伝子のノックアウト細胞株中でTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、内在性G12ファミリーのシグナル伝達活性化を特異的に検出できることを示している。
【0088】
さらに、TP及びETA(GqとG12の両方の共役型)受容体発現ΔGNAQ/11株を、それぞれU−46619及びエンドセリン−1(それぞれTP及びETA受容体のリガンド)で刺激した場合(
図5E及びFの「● ΔGNAQ/11」)や、TP及びETA受容体発現ΔGNA12/13株を、それぞれU−46619及びエンドセリン−1で刺激した場合(
図5E及びFの「◇ ΔGNA12/13」)、HEK293野生株を用いた場合と同様にAPの活性化が検出されたのに対して、TP及びETA受容体発現Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞(ΔGNAQ/11/12/13)株を、それぞれU−46619及びエンドセリン−1で刺激した場合(
図5E及びFの「◆ ΔGNAQ/11/12/13」)、APの活性化レベルは検出されなかった。この結果は、上記
図5C及びDにおける結果を支持するとともに、Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株中にGqやG12ファミリータンパク質を発現させてTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により誘導される、外因性GqやG12ファミリータンパク質依存的なシグナル伝達活性化を特異的に検出できることを示唆している。
【0089】
[結果3:Gq及びG12ファミリータンパク質を骨格としたGαキメラタンパク質を発現させた野生株を用いたTGFα切断アッセイ]
本発明者らの以前の報告(Inoue et al (2012) Nature Meth 9, 1021-1029)では、外因性アセチルコリンM2(Gi共役型)受容体発現HEK293細胞に、GαqのN末端ペプチド断片と、Gαi1のC末端ペプチド断片とが融合したGαキメラタンパク質(Gαq/i1)をさらに発現させ、アセチルコリンで刺激してTGFα切断アッセイを行うと、APを活性化できることを示している。この結果は、GqやG12ファミリータンパク質を骨格とし、Gs又はGiが融合したGαキメラタンパク質を用いてTGFα切断アッセイを行うと、GsやGiファミリータンパク質のシグナル伝達活性化も検出できることを示唆している。この点をさらに詳細に検証するために、Gqファミリータンパク質4種(Gαq、Gα11、Gα14、及びGα16)のN末端ペプチド断片と、Gsファミリータンパク質1種(Gαs)のC末端ペプチド断片とがそれぞれ融合したGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gα11/s、Gα14/s、及びGα16/s)や、G12ファミリータンパク質2種(Gα12及びGα13)のN末端ペプチド断片と、GαsのC末端ペプチド断片とがそれぞれ融合したGαキメラタンパク質(Gα12/s及びGα13/s)を発現させたHEK293細胞を用いて、上記[TGFα切断アッセイ]の項目に記載の方法に従ってTGFα切断アッセイを行った。その結果を
図6に示す。
【0090】
コントロールとして、EP2(Gs共役型)受容体発現HEK293細胞に、6種類のGαタンパク質(Gαq、Gα11、Gα14、及びGα16、並びにGα12及びGα13)をさらに発現させ、プロスタグランジンE2(EP2受容体のリガンド)で刺激した場合(
図6の下段の「● EP2」)、APの活性化は検出されない、又は感度以下であったのに対して、EP2受容体発現HEK293細胞に、6種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gα11/s、Gα14/s、及びGα16/s、並びにGα12/s及びGα13/s)をさらに発現させ、プロスタグランジンE2で刺激した場合(
図6の中段の「● EP2」)、いずれの場合においてもAPの活性化が検出されたが、特にGαq/sを用いた場合、もっとも検出レベルが高かった。なお、EP2受容体を発現させなかった場合(
図6の「○ Mock」)や、Gαキメラタンパク質やGαタンパク質を発現させなかった場合(
図6の上段)には、APの活性化は検出されなかったことを確認した。これらの結果は、Gαqを骨格とし、Gs又はGiが融合したGαキメラタンパク質を用いてTGFα切断アッセイを行うと、Gαq以外の他のGqファミリータンパク質(Gα11、Gα14、及びGα16)や、G12ファミリータンパク質(Gα12及びGα13)を骨格とし、Gs又はGiが融合したGαキメラタンパク質を用いてTGFα切断アッセイを行った場合と比べ、GsやGiのシグナル伝達経路の活性化を感度よく検出できることを示している。
【0091】
[結果4:Gq及びG12ファミリータンパク質を骨格としたGαキメラタンパク質を発現させたGq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株を用いたTGFα切断アッセイ]
図5の結果から、Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞(ΔGNAQ/11/12/13)株中にGq及びG12ファミリータンパク質を発現させてTGFα切断アッセイを行うと、Gq及びG12ファミリータンパク質の発現に依存したシグナル伝達経路の活性化を特異的に検出できることが示唆された。そこで、Gqファミリータンパク質を骨格とし、Gs、Gi、又はG12ファミリータンパク質が融合したGαキメラタンパク質を発現させたΔGNAQ/11/12/13株を用いて、上記[TGFα切断アッセイ]の項目に記載の方法に従ってTGFα切断アッセイを行った場合に、対象となるリガンドが、4種類のGαファミリータンパク質(Gs、Gi、Gq、及びG12)のいずれを活性化できるものであるかを明らかにしたり、対象となるリガンドによる上記4種類のGαタンパク質の活性化レベルを、相対的に評価できるかどうか検討した。なお、Gαキメラタンパク質の骨格に用いるGqタンパク質として、
図6の結果で最も感度よく検出できるGαqを用いた。その結果を
図7に示す。
【0092】
TP(GqとG12の両方の共役型)受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、U−46619(TP受容体のリガンド)で刺激した場合(
図7Aの「○ No Gα」)、APの活性化は検出されなかったのに対して、TP受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、Gαqをさらに発現させ、U−46619で刺激した場合(
図7Aの「Gαq」)、APの活性化が検出された。また、TP受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、3種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、及びGαq/12)をさらに発現させ、U−46619で刺激した場合(
図7Aの「Gαq/s」、「Gαq/i」、及び「Gαq/12」)、APの活性化が検出された。検出されたAPの活性化レベルを、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を用いて定量すると、最も低いU−46619濃度でリガンド刺激(AP活性化)を誘導することができたのは、Gαqを発現させた場合であり、以下、Gαq/i1、Gαq/12、Gαq/sの順でリガンド刺激を誘導できるU−46619濃度は低かった。この結果は、U−46619がTP受容体に結合すると、Gαqのシグナル伝達が最も高いレベルで活性化され、以下Gαi1、Gα12、Gαsの順で高いことが示された。
【0093】
また、CB1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、CP−55940(CB1受容体のリガンド)で刺激した場合(
図7Bの「○ No Gα」)、APの活性化は検出感度以下であったのに対して、CB1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、Gαqや3種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、及びGαq/12)をさらに発現させ、CP−55940で刺激した場合(
図7Bの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、及び「Gαq/12」)、APの活性化が検出された。検出されたAPの活性化レベルを、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を用いて定量すると、最も低いCP−55940濃度でリガンド刺激(AP活性化)を誘導することができたのは、Gαq/i1を発現させた場合であり、以下、Gαq/12、Gαq/s、Gαqの順でリガンド刺激を誘導できるCP−55940濃度が低かった。この結果は、CP−55940がCB1受容体に結合すると、Gαi1のシグナル伝達が最も高いレベルで活性化され、以下Gα12、Gαs、Gαqの順で高いことが示された。
【0094】
また、FP受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、プロスタグランジンF2α(FP受容体のリガンド)で刺激した場合(
図7Cの「○ No Gα」)、APの活性化は検出されなかったのに対して、FP受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、Gαqや4種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、Gαq/12、及びGαq/13)をさらに発現させ、プロスタグランジンF2αで刺激した場合(
図7Cの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、「Gαq/12」、及び「Gαq/13」)、APの活性化が検出された。検出されたAPの活性化レベルを、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を用いて定量すると、最も低いプロスタグランジンF2α濃度でリガンド刺激(AP活性化)を誘導することができたのは、Gαq/sを発現させた場合であり、以下、Gαq、Gαq/13、Gαq/12、Gαq/i1の順でリガンド刺激を誘導できるプロスタグランジンFα濃度が低かった。この結果は、プロスタグランジンF2αがFP受容体に結合すると、Gαsのシグナル伝達が最も高いレベルで活性化され、以下Gαq、Gα13、Gα12、Gαi1の順で高いことが示された。
【0095】
また、AT1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、アンジオテンシンII(AT1受容体のリガンド)で刺激した場合(
図7Dの「○ No Gα」)、APの活性化は検出されなかったのに対して、AT1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、Gαqや4種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、Gαq/12、及びGαq/13)をさらに発現させ、アンジオテンシンIIで刺激した場合(
図7Dの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、「Gαq/12」、及び「Gαq/13」)、APの活性化が検出された。検出されたAPの活性化レベルを、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を用いて定量すると、最も低いアンジオテンシンII濃度でリガンド刺激(AP活性化)を誘導することができたのは、Gαqを発現させた場合であり、以下、Gαq/i1、Gαq/12、Gαq/s、Gαq/13の順でリガンド刺激を誘導できるアンジオテンシンII濃度が低かった。この結果は、アンジオテンシンIIがAT1受容体に結合すると、Gαqのシグナル伝達が最も高いレベルで活性化され、以下Gαi1、Gα12、Gαs、Gα13の順で高いことが示された(
図7F)。
【0096】
また、AT1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、アンジオテンシンIIのアナログ(SII)で刺激した場合(
図7Eの「○ No Gα」)、APの活性化は検出感度以下であったのに対して、AT1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株に、Gαqや4種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、Gαq/12、及びGαq/13)をさらに発現させ、SIIで刺激した場合(
図7Eの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、「Gαq/12」、及び「Gαq/13」)、APの活性化が検出された。検出されたAPの活性化レベルを、容量反応曲線から得られるEmax/EC50値を用いて定量すると、最も低いSII濃度でリガンド刺激(AP活性化)を誘導することができたのは、Gαq/12を発現させた場合であり、以下、Gαq/i1、Gαq、Gαq/12、Gαq/sの順でリガンド刺激を誘導できるSII濃度が低かった。この結果は、SIIがAT1受容体に結合すると、Gα12のシグナル伝達が最も高いレベルで活性化され、以下Gαi1、Gαq、Gα12、Gαsの順で高いことが示された(
図7F)。なお、文献「Sauliere, A. et al. Deciphering biased-agonism complexity reveals a new active AT1 receptor entity. Nat Chem Biol 8, 622-630 (2012).」には、SIIがアンジオテンシンIIと比べ、GαqよりもGαqを活性化することが報告されており、この報告の内容は、本発明のTGFα切断アッセイで得られた結果を支持するものである。
【0097】
以上の結果から、Gqファミリータンパク質やG12ファミリータンパク質を骨格とし、Gs、Gi、又はG12タンパク質が融合したGαキメラタンパク質を発現させたGq及びG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株を用いてTGFα切断アッセイを行うと、リガンドとその受容体との結合により活性化される4種類のGαファミリー(Gs、Gi、Gq、及びG12)タンパク質のシグナル伝達のうち、最も高いレベルで活性化されるものを明らかにすることや、上記4種類のGαファミリータンパク質間でシグナル伝達の活性化レベルを、相対的に評価できることが示された。
【0098】
[比較例]
[結果5:Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックダウン細胞株を用いたTGFα切断アッセイ]
Gq及びG12ファミリー遺伝子をノックダウンした細胞株を用いてTGFα切断アッセイを行った場合にも同様に、リガンドとその受容体との結合により誘導されるGαのシグナル伝達の活性化を検出できるかどうかを検討した。
【0099】
上記[siRNAによるGαタンパク質の発現抑制]の項目に記載の方法に従って、HEK293細胞を、GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13遺伝子のmRNAを標的とするsiRNAで処理した場合(
図8の「GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13」の「■ siRNA」)、コントロールのsiRNAで処理した場合(
図8の「GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13」の「□ Control」)と比べ、GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13遺伝子のmRNAの発現レベルは、すべて1/6以下まで低下しており、GNAQ及びGNA11、並びにGNA12及びGNA13遺伝子のmRNAを標的とするsiRNAが、HEK293細胞中に存在する標的遺伝子(Gqファミリー遺伝子やG12ファミリー遺伝子)をノックダウンできるものであることが確認された。
【0100】
次に、上記[siRNAによるGαタンパク質の発現抑制]の項目に記載の方法に従って、
Gqファミリー遺伝子をノックダウンした細胞(GNAQ/11 siRNA)株や、G12ファミリー遺伝子をノックダウンした細胞(GNA12/13 siRNA)株や、Gq及びG12ファミリー遺伝子をノックダウンした細胞(GNAQ/11/12/13 siRNA)株を作製し、これら細胞株を用い、上記[TGFα切断アッセイ]の項目に記載の方法に従ってTGFα切断アッセイ行った。その結果を
図9に示す。
【0101】
TP(GqとG12の両方の共役型受容体)受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、U−46619(TP受容体のリガンド)で刺激した場合、APの活性化レベルは検出されなかった(
図9B[
図5Eの結果と同一])のに対して、TP受容体発現Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックダウン細胞(GNAQ/11/12/13 siRNA)株を、U−46619で刺激した場合(
図9Aの「◆ GNAQ/11/12/13 siRNA」)、APの活性化レベルは、TP受容体発現Gqファミリー遺伝子のノックダウン細胞(GNAQ/11 siRNA)株(
図9Aの「● GNAQ/11 siRNA」)や、TP受容体発現G12ファミリー遺伝子のノックダウン細胞(GNA12/13 siRNA)株(
図9Aの「◇ GNA12/13 siRNA」)を用いた場合と比べ、減少するものの、検出されていた。
【0102】
また、EP1(GqとG12の両方の共役型受容体)受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を、プロスタグランジンE2(EP1受容体のリガンド)で刺激した場合、APの活性化は検出されなかった(
図9D)のに対して、EP1受容体発現GNAQ/11/12/13 siRNA株を、プロスタグランジンE2で刺激した場合(
図9Cの「◆ GNAQ/11/12/13 siRNA」)、APの活性化は、EP1受容体発現GNA12/13 siRNA株(
図9Cの「◇ GNA12/13 siRNA」)を用いた場合と比べそのレベルは減少するものの、検出された上に、EP1受容体発現GNAQ/11 siRNA株(
図9Cの「● GNAQ/11 siRNA」)を用いた場合と差が検出できなかった。
【0103】
また、TP受容体発現GNAQ/11/12/13 siRNA株に、Gαqや3種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、及びGαq/12)をさらに発現させ、U−46619で刺激した場合(
図10Aの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、及び「Gαq/12」)、APの活性化レベルが増加したものの、コントロール(
図10Aの「○ No Gα」)との差は、EP1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株を用いた場合と比べ小さかった(
図10C[
図7Aの結果と同一])。
【0104】
また、FP受容体発現GNAQ/11/12/13 siRNA株に、Gαqや4種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、Gαq/i1、Gαq/12、及びGαq/13)をさらに発現させ、プロスタグランジンF2α(FP受容体のリガンド)で刺激した場合(
図10Bの「Gαq」や、「Gαq/s」、「Gαq/i」、「Gαq/12」、及び「Gαq/13」)、Gαqや2種類のGαキメラタンパク質(Gαq/s、及びGαq/13)をさらに発現させたときは、APの活性化レベルが増加したものの、コントロール(
図10Bの「○ No Gα」)との差は、EP1受容体発現ΔGNAQ/11/12/13株(
図10D[
図7Cの結果と同一])を用いた場合と比べ、小さかった上に、2種類のGαキメラタンパク質(αq/i1、及びGαq/12)をさらに発現させたときは、コントロールとの差を十分に検出することができなかった。
【0105】
以上の結果は、Gq及びG12ファミリー遺伝子のノックダウン細胞株を用いたTGFα切断アッセイは、リガンドとその受容体との結合により誘導されるGαのシグナル伝達の活性化を感度よく検出できるものではないことを示すとともに、GqやG12ファミリー遺伝子のノックアウト細胞株を用いた本発明のTGFα切断アッセイは、感度及び特異性に優れた方法であることを示している。