(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液体分析部材用粘着シート(以下、単に粘着シートともいう)は、少なくとも粘着剤層を備えている。粘着剤層のみから構成させた粘着シートは、キャスト粘着シートと呼ばれている。
前記粘着剤層は、非水重合樹脂と、界面活性剤とを含む。また前記粘着剤層は、親水性が高いことが特徴であり、具体的には、前記粘着剤層は、水との接触角が15〜70°である。前記粘着剤層の親水性が高いことで、バイオチップのような液体分析部材に当該液体分析部材用粘着シートを使用すると、液体試料の導入が容易になり効率的な液体分析が可能になる。なお本発明で粘着シートは、粘着フィルムまたは粘着テープともいう。
【0011】
また、液体分析部材用粘着シートは、芯材を有する両面粘着シートであることも好ましい。また本発明の液体分析部材用粘着シートの別の態様として、基材と、粘着剤層で構成した粘着テープであっての良い。
【0012】
前記粘着剤層は、粘着剤を基材や剥離性シートとして使用できるプラスチックフィルムに塗工し形成することが好ましい。
前記非水重合樹脂とは、溶液重合、塊状重合等で合成した樹脂であり、乳化重合や懸濁重合など水性媒体中で合成した樹脂を含まないことを意味する。乳化重合や懸濁重合で得られた樹脂は、合成に親水性成分を含むため前記樹脂が分析用液体と接触すると当該親水性成分が分析用液体に溶出し、分析結果に悪影響を与える恐れがある。
【0013】
前記非水重合樹脂は、具体的には、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系エラストマー等が好ましい。これらの中でも粘着物性の調整しやすさからアクリル系樹脂がより好ましい。
【0014】
前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、反応性官能基含有モノマーおよびその他ビニルモノマーからモノマーを適宜選択して共重合することで得ることができる。
前記アクリル系樹脂の重合平均分子量は、5万〜100万が好ましく、30万〜100万がより好ましい。なお重合平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンに換算した重量平均分子量である。
【0015】
また前記アクリル系樹脂のガラス転移温度(以下、Tgという)は、0℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましい。なおTgは、合成に使用するモノマーのホモポリマーTgをFOXの式に代入して求めた理論値である。
なおFOXの式とは、下記数式(1)である。
数式(1) 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
(ただし、W1からWnは、使用している各単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、各単量体から得られるそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。)
【0016】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、粘着性を得るためのTgを実現するために使用する。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、アルキル鎖の長さがC1〜C14のモノマーが好ましい。具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル、及び対応するメタクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中でもアルキル基の炭素数が4〜12個の使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。この(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、または複数組み合わせて用いることができる。
【0017】
前記反応性官能基含有モノマーは、粘着力や凝集力を得るため、または硬化剤を使用する場合の架橋点として使用する。反応性官能基は、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基などアクリル系樹脂で使用されている反応性官能基を使用できる。
前記カルボキシル基含有モノマーとは、例えば(メタ)アクリル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
前記アミド基含有モノマーとは、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記アミノ基含有モノマーとは、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ含有モノマーとは、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記その他のビニル系モノマーとは、例えばスチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等のビニル系モノマー、ジビニルベンゼン等のジビニル系モノマー、1、4−ブチルジアクリレートや1、6−ヘキシルジアクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェイト等のリン酸基含有モノマー等が挙げられる。これらのモノマーは1種もしくは2種以上用いても良い。
【0018】
前記界面活性剤は、粘着剤層に親水性を付与し、分析用液体を迅速に流す目的で使用する。そのため粘着剤は界面活性剤を含むことで所望の親水性を実現し易くなる。前記界面活性剤は、アニオン性、非イオン性およびカチオン性の界面活性剤が使用できる。
【0019】
前記アニオン性界面活性剤としては、例えばステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル類、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0020】
前記非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0021】
前記カチオン性界面活性剤としては、ステアリルアミンアセテート、ステアリルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる
【0022】
前記界面活性剤は、非水重合樹脂100重量部に対して、1重量部〜30重量部を配合することが好ましく、2重量部〜15重量部がより好ましい。前記界面活性剤を1重量部以上配合することで、親水性が得られる。一方、30重量部以下配合することで、より高い粘着力が得られる。なお、現在の技術水準では、所望の親水性を得るためには界面活性剤を含むことが必要であるが、本発明の要旨は、所望の親水性を得ることが目的であるため、将来、界面活性剤以外の原料を使用して親水性を得ることを妨げるものではない。
【0023】
本発明で粘着剤層は、任意成分として硬化剤を含むことができる。硬化剤は、非水重合樹脂と硬化反応をすることで、粘着剤に凝集力が得られる。一方、凝集力が高いスチレン系エラストマーを非水重合樹脂に使用する場合は、硬化剤は配合しない場合が多い。
硬化剤は、前記反応性官能基との組合せにより適宜選択できる。具体的には、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレート、カルボジイミド等の公知の化合物を使用できる。
【0024】
本発明では、任意成分として着色剤を含むことができる。着色剤は、従来公知の顔料および染料を使用できる。
顔料は、例えばキナクリドン、アンスラキノン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、縮合アゾ、ベンズイミダゾロン、モノアゾ、不溶性アゾ、ナフトール、フラバンスロン、アンスラピリミジン、キノフタロン、ピランスロン、ピラゾロン、チオインジゴ、アンスアンスロン、ジオキサジン、フタロシアニン、インダンスロン系等の有機顔料や、ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの金属塩、カーボンブラック、雲母などの無機顔料、アルミニウムなどの金属粉やマイカ粉等が挙げられる。
【0025】
染料は、例えばアゾ、キノリン、スチルベン、チアゾール、インジゴイド、アントラキノン、オキサジン等の染料が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または2種類以上併用できる。
【0026】
着色剤は、粉体をそのまま用いても構わないし、あらかじめ樹脂溶液中に分散させて用いても構わないが、粘着剤との混合を容易にするため、あらかじめ樹脂溶液中に分散させたものを使用することが好ましい。
【0027】
本発明において粘着剤には、他の任意成分として粘着付与樹脂、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、補強剤、耐候剤、可塑剤、香料、発泡剤、難燃剤、表面調整剤、シランカップリング剤等の添加物を配合することができる。
【0028】
本発明の体分析部材用粘着シートは、前記粘着剤を、基材または剥離性シートに塗工することで粘着剤層を形成できる。なお、前記体分析部材用粘着シートが、両面粘着シートである場合は、基材が芯材であっても良い。
【0029】
前記基材は、プラスチックフィルムを使用することが好ましい。プラスチックフィルムを使用することで、体分析部材用粘着シートを所定の大きさに打ち抜いて加工するときに、良好な寸法安定性が得やすい。
【0030】
前記プラスチックフィルムに使用できる樹脂は、以下に例示できる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル;
ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン;
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;
あるいは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、フッ素樹脂などの各種樹脂が挙げられる。
上記樹脂は、2種類以上混合して使用することもできる。また、前記基材は、単層構成、または2層以上の積層構成であってもよい。
【0031】
前記プラスチックフィルムは、粘着剤層と接する面に、表面処理を施すことが好ましい。例えば、コロナ処理放電、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理などの乾式処理、または公知のアンカーコート剤を塗工した湿式の易接着処理ができる。
【0032】
前記プラスチックフィルムの厚みは、0.5μm〜300μmの範囲が好ましい.厚みが前記範囲内になることで打ち抜き加工性と、シートの取り扱い性を両立しやすくなる。
【0033】
前記芯材は、前記プラスチックフィルムを使用できる。また、前記剥離性シートは、前記プラスチックフィルムに公知の剥離処理を施したフィルムを使用できる。
【0034】
前記粘着剤層の形成は、剥離性シート、基材、または芯材に塗工することで形成できる。前記塗工は、従来公知の塗工方法が利用できる。例えば、キスコート方式、ダイコート方式、リップコート方式、コンマコート方式、ブレードコート方式、バーコート方式等が好ましい。
【0035】
本発明の液体分析部材用粘着シートの粘着剤層は、親水性を有することが好ましい。具体的には、粘着剤層は、水との接触角が15〜70°であることが好ましい。接触角が15°以上になることで、親水性が過剰になり難い。また、接触角が70°以下になることで適切な親水性が得られる。なお接触角の測定方法は、実施例に示す。
【0036】
本発明の液体分析部材は、前記液体分析部材用粘着シートを使用した分析部材で、バイオチップ、バイオセンサ、環境物質測定用、食品分析用等として使用できる。前記液体分析部材の形状は限定されず、粘着剤層を使用して形成した液体流路または、プラスチック材料に設けられた流路を粘着剤層でカバーするなどの方法が挙げられる。
本発明の液体分析部材について
図1および
図2を使用してその1例を説明する。
図1は、液体流路3を形成するように液体分析部材用粘着シート1aおよび1bを配置し、プラスチックフィルム2aおよび2bで前記液体分析部材用粘着シート1aおよび1bの上面および底面を挟み、直線状の液体流路3を形成した液体分析部材である。
図2は、液体流路3を形成したプラスチックフィルム2bに液体分析部材用粘着シート1およびプラスチックフィルム2aを配置した液体分析部材である。
本発明の液体分析部材において液体流路3を形成する液体分析部材用粘着シート1以外の部材は、部材の表面に親水性処理を施すことが好ましい。前記親水性処理は、例えば、ビニロン層を形成することで得られる。
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」をそれぞれ示すものとする。
【0038】
<実施例1>
非水重合樹脂としてアクリル系樹脂BPS4849−40(不揮発分40% トーヨーケム社製)100部に、硬化剤としてイソシアネート系化合物BHS8515(不揮発分35% 芳香族系多官能イソシアネート、トーヨーケム社製)3部と、非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル)2部を配合し攪拌することで粘着剤を得た。
得られた粘着剤を厚さ100μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート 以下PETという)上に乾燥厚さが25μmになるように塗工し、芯材として厚さ12μmのPETフィルムと粘着剤面を貼り合わせシート1を得た。
別途、厚さ100μmの剥離性シート(PET)上に、乾燥厚さが25μmになるように上記粘着剤を塗工し乾燥することでシート2を得た。
次にシート1の芯材とシート2の粘着剤層を貼り合わせることで、厚さ62μmの両面粘着シートを得た。
【0039】
<実施例2>
非水重合樹脂をウレタン系樹脂SP−210(不揮発分60% トーヨーケム社製)100部に対して硬化剤を脂肪族系多官能イソシアネートT−501B(不揮発分75% トーヨーケム社製)3部に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0040】
<実施例3>
非水重合樹脂をポリエステル系樹脂ニチゴーポリエスターXI−1002(不揮発分55% 日本合成化学工業社製)に変更した以外は、実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0041】
<実施例4>
界面活性剤をアニオン系面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム)に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0042】
<実施例5>
界面活性剤をカチオン性界面活性剤(ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド)に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0043】
<実施例6>
界面活性剤を非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコール)に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0044】
<実施例7>
界面活性剤を非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル)の配合量を非水重合樹脂100部に対して2部に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
<実施例8>
界面活性剤を非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル)の配合量を非水重合樹脂100部に対して25部に変更した以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0045】
<比較例1>
非イオン性界面活性剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様に行うことで両面粘着シートを得た。
【0046】
<比較例2>
非イオン性界面活性剤を非水重合樹脂100部に対して50部配合したこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着シートを得た。
【0047】
得られた両面粘着シートを下記項目について評価した。結果は表1に記載した。
【0048】
「粘着力」
得られた両面粘着シートを幅25mm、長さ100mmの大きさに準備し、24℃65%RH雰囲気でステンレス板を被着体として、JIS Z0237に準拠して剥離角180°、剥離速度300mm/minの条件で、貼付20分後の粘着力を測定した。なお粘着力測定は、引張試験機(テスター産業製)を使用した。
【0049】
「接触角」
得られた両面粘着シートの粘着剤層に、イオン交換水を滴下し、粘着剤層に着滴してから5秒後の接触角を1/2θ法により測定した。なお測定は、接触角計(機器名:DM−501 協和表面科学社製)を使用した。
【0050】
「親水性評価」
図3(3−A)の測定試料を作製した。まず、厚さ100μmのPETフィルムの表面に乾燥厚さが0.5μmになるようにポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル層を形成して親水性を付与したフィルム4と、ポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル層を形成しないフィルム5を準備した。
次にフィルム4およびフィルム5をそれぞれ幅20mm・縦50mmの大きさに準備した。次にフィルム5の縦前端部から40mmの位置に直径5mmの貫通穴6を形成した。
さらに、得られた両面粘着シートから剥離性シートを剥離してを幅9mm・縦50mmの大きさに用意したシート7aおよび7bをフィルム4のポリエチレングリコールモノイソオクチルフェニルエーテル層に幅2mmの液体流路8を形成するように設置した。さらにシート7aおよび7b、ならびに液体流路8の上面にフィルム5を設置することで試験試料(3−A)を得た。
図(3−B)は、前記試験試料の平面図であり、試験試料内の液体流路を点線で示している。
評価方法は、まず、液体流路8の端部9に100mg/dlのグルコース濃度に調製した全血10をチップの端部に接触させ、前記全血が貫通穴8に到達するまでに達するまでの時間を測定することにより親水性を評価した。評価は下記の基準により判定した。
○・・・全血が貫通穴に到達するまで5秒未満
△・・・全血が貫通穴に到達するまで5秒以上10秒未満
×・・・全血が貫通穴に到達するまで10秒以上