(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る運動器具の各実施の形態について詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る運動器具は、外部から加えられた力を電気に変換する発電モジュールを備える運動器具である。
【0020】
各実施の形態に係る運動器具の特徴の一つは、発電素子を用いた発電モジュールを支持する支持手段と、当該運動器具の外部から加えられた力を受ける受圧手段とを備えた点と、この発電モジュールを、支持手段と受圧手段との相互間に配置し、又は、受圧手段の近傍位置に配置した点にある。この運動器具によれば、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、商用電源からの電力供給を必要しないので、当該運動器具と商用電源とを接続する電線が不要となり、運動器具の可搬性を向上させることができる。また、運動器具の使用時において、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、使用場所等の使用条件に左右されずに発電することができ、運動器具の汎用性を向上させることができる。さらに、発電素子を用いた発電モジュールであることから、太陽電池を用いる場合に比べて、運動器具の製造コストを低減することができる。
【0021】
この運動器具の具体的な利用形態は任意であり、外部から加えられた力を利用して発電を行う任意の運動道具に用いることができる。例えば、この運動器具は、使用者の身体を鍛錬するための鍛練器具、野球やテニス等の球技に用いられる道具、及び使用者の遊びに用いられる遊具等に用いることができる。以下では、握力強化器具に用いることで、使用者が当該握力強化器具を使用しているときの握力を利用して発電を行う形態、ランニングマシンに用いることで、使用者の体重を利用して発電を行う形態、テニスラケットに用いることで、使用者がテニスラケットでボールを打つときの衝撃力を利用して発電を行う形態、及び縄跳びに用いることで、使用者が縄跳びのロープを回すときの回転力を利用して発電を行う形態について説明する。
【0022】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
次に、運動器具の各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この形態は、運動器具を握力強化器具として構成した形態である。
【0024】
(全体構成)
図1は実施の形態1に係る握力強化器具の概略の全体斜視図、
図2は
図1における領域Aの拡大縦断面図、
図3は発電モジュールの縦断面図、
図4は
図3の変形状態における発電モジュールの縦断面図である。
図1に示すように、握力強化器具1は、バネ11と、一対の把持体12と、発電モジュール13と、ランプ14とを備えている。
【0025】
(全体構成−バネ)
バネ11は、弾力性を利用してエネルギーを吸収するためのものである。このバネ11の中央部は螺旋状に形成されており、当該バネ11の両端部は直線状に形成されている。このバネ11に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、鋼などの金属材料が用いられる。
【0026】
(全体構成−把持体)
一対の把持体12は、使用者が握力強化器具1を把持するための把持手段である。この一対の把持体12は、棒状の中空体又は中実体にて形成されたものであり、それぞれが離間された状態で、バネ11の直線状の端部に固定されている。この一対の把持体12に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、鋼、アルミニウム等の金属材料やプラスチック材等の樹脂材料等が用いられる。
【0027】
図2に示すように、この把持体12の外側には凹部が形成されており、この凹部に受圧部12a及び支持部12bが設けられている。支持部12bは、発電モジュール13を支持する支持手段であり、把持体12の凹部に嵌合や接着等により固定されている。この支持部12bは、凹部120bを備えている。受圧部12aは、使用者が一対の把持体12を握ることによって、当該一対の把持体12に加えられた力を受ける受圧手段であり、支持部12bと対向する位置に配置されており、支持部12bに対して任意の方法により接続されている。この受圧部12aは、支持部12bに向かって突出するものであって、凹部120bにスライド可能に挿入される凸部120aを備えている。
【0028】
これら凸部120aと凹部120bとの相互間には、発電モジュール13が配置されている。また、支持部12bと受圧部12aとの相互間には、発電モジュール13を配置する厚みに加えて、所定のクリアランスが設けられている。この所定のクリアランスの設定は任意であるが、例えば、使用者が一対の把持体12を握ることによって、受圧部12aが当該バネ11の強度に相当する力を受けた場合に、当該所定のクリアランスがなくなり、凸部120aが発電モジュール13を押圧するように設定する。なお、支持部12bと受圧部12aとの接続方法は任意であるが、例えば、支持部12bと受圧部12aとの相互間に、伸長方向に付勢力を有するバネ等の弾性部材(図示せず)を介在させ、この弾性部材の両端部を支持部12bと受圧部12aにそれぞれ固定することで、支持部12bから受圧部12aが脱落しないようにすると共に、受圧部12aが外部から押圧されていない状態においては、支持部12bに対して受圧部12aを前記クリアランスを維持した状態に保持するようにしてもよい。
【0029】
(全体構成−発電モジュール)
図2〜
図4に示すように、発電モジュール13は、圧電素子13a、周辺スペーサ13b、及び中央スペーサ13cを備えて構成されている。
【0030】
圧電素子13aは、圧力により変形することで電気を生じる素子であり、例えば、チタン酸バリウム、ジルコニア等の圧電セラミックス、リチウムタンタレート(LiTaO3)等の圧電単結晶からなる。この圧電素子13aは、薄板状に形成されており、凸部120aが凹部120bに向かって突出する方向に当該圧電素子13aが湾曲させるように、当該圧電素子13aの一方の側面と凹部120bとの側面、及び当該圧電素子13aの他方の側面と凸部120aとの側面とが互いに向き合う位置に配置されている。なお、図示は省略するが、圧電素子13aは、当該圧電素子13aの一方の面にプラス端子、当該圧電素子13aの他方の面にマイナス端子を有し、プラス端子と結線されたプラスリード線と、マイナス端子と結線されたマイナスリード線が引き出され、これらが図示しない制御回路を介してランプ14に接続されることで、当該ランプ14に対して電力が供給される。ただし、圧電素子13aとランプ14との相互間に公知のブリッジ回路等の各種電気素子を配置してもよい。あるいは、圧電素子13aとして、若しくは圧電素子13aに代えて、外力(歪み、屈曲、若しくは圧縮を生じさせる力を含む)により発電が可能な任意の素材を用いることができ、例えば、イオン導電性高分子の膜(ゲル)の両面に金属(金等)をメッキしたイオン高分子金属複合材料(IPMC:Ionic Polymer−Metal Composite)や、イオン導電性高分子ゲル膜(ICPF:Ionic Conducting Polymergel Film)、あるいは、これらIPMCやICPFを用いた人工筋肉を使用することができる。この点は、後述する他の実施の形態でも同じである。なお、これら圧電素子13aや発電が可能な任意の素材を、必要に応じて「発電素子」と総称する。
【0031】
周辺スペーサ13b及び中央スペーサ13cは、凸部120a及び凹部120bと圧電素子13aとの相互間に、圧電素子13aを容易に変形させるためのスペースを形成するものである。中央スペーサ13cは、圧電素子13aと凸部120aの相互間であって、圧電素子13aの側面の中央近傍に配置された柱状体である。一方、中央スペーサ13cは、圧電素子13aと凹部120bの相互間であって、圧電素子13aの側面の周縁近傍に配置された複数の柱状体又は一つの円環状体である。このように柱状体とする場合には、構造的安定性を得るため、周辺スペーサ13bを、圧電素子13aの平面中心位置を図心とする正三角形の各頂点に対応する3箇所に配置することが好ましく、あるいは3箇所以上に配置してもよい。これら中央スペーサ13cや周辺スペーサ13bは、例えば、圧電素子13aに対して接着剤等にて固定されている。これら中央スペーサ13cや周辺スペーサ13bに用いられる具体的な材質は任意であるが、圧電素子13aよりも高強度のものが好ましく、例えば、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属材料が用いられる。
【0032】
このように周辺スペーサ13b及び中央スペーサ13cを配置した場合、受圧部12aが外部から押圧されると、中央スペーサ13cを介して圧電素子13aの側面中央が押され、
図4のように、圧電素子13aが変形する。
【0033】
(全体構成−ランプ)
図1において、ランプ14は、圧電素子13aの変形によって発生した電流を用いて発光する発光手段である。このランプ14は、把持体12の下面に埋設されており、当該把持体12に対して嵌合構造等により固定されている。また、このランプ14は、図示しない制御回路を介して発電モジュール13と電気的に接続されている。これにより、使用者が一対の把持体12を所定の力で握ることで、受圧部12aが力を受けると、発電モジュール13の圧電素子13aが変形して電流が発生し、発生した電流を用いてランプ14が点灯又は点滅する。このランプ14の点灯又は点滅方法は任意であり、例えば、ランプ14は、圧電素子13aの変形が所定値以上であった場合には点灯又は点滅し、圧電素子13aの変形が所定値よりも小さい場合には点灯又は点滅しないという方法がある。これにより、握力強化器具1は、当該握力強化器具1が適切に使用されているか否かを、使用者に提示することができる。なお、このランプ14に用いられる具体的な種類は任意であるが、例えば、小型ランプ、蛍光ランプ、LEDランプ等が該当する。
【0034】
この他にも、握力強化器具1における発電モジュール13の固定構造としては、任意の構造をとり得る。
図5の(a)〜(d)は、変形例に係る
図2の領域Aを簡略化して示す図である。
図5の(a)〜(d)に示すように、この変形例では、把持体12は、支持部12b及び受圧部12aを複数備えている。また、把持体12は、支持部12bと受圧部12aの相互間において複数の発電モジュール13を備えている。この構造によれば、支持部12bと受圧部12aとの相互間の横ずれを防止することができるので、受圧部12aが発電モジュール13の圧電素子13aを確実に押圧することができ、発電モジュール13の発電量を向上させることができる。
【0035】
また、
図6は変形例に係る運動器具の一例を示す図であり、
図6(a)は、杖101に用いられた図であり、
図6(b)は、野球用バット102に用いられた図であり、
図6(c)は、剣道用防具胴103に用いられた図である。
【0036】
図6(a)に示すように、杖101は、杖本体111と、把持体112と、発電モジュール113と、ランプ114とを備えている。杖本体111は、使用者の体重を地面に伝達するものである。把持体112は、使用者が杖101を把持する把持手段であり、当該把持体112の上面において、支持部12b及び受圧部12aを備えて構成されている。発電モジュール113は、支持部12bと受圧部12aとの相互間に配置されている。ランプ114は、杖本体111の側面に埋設されている。この構造によれば、使用者が杖101に体重をかけることで受圧部12aがこの体重を受けると、発電モジュール113の圧電素子13aが変形して電流が発生する。これにより、ランプ114が点灯又は点滅するので、例えば夜間の歩行時に周囲への注意喚起を行うことができる。
【0037】
また、
図6(b)に示すように、野球用バット102は、グリップ121と、バット本体122と、発電モジュール123と、ランプ124とを備えている。グリップ121は、野球用バット102を把持するためのものである。バット本体122は、ボールと当接する当接手段であり、当該バット本体の側面において、支持部12b及び受圧部12aを備えて構成されている。発電モジュール123は、支持部12bと受圧部12aとの相互間に配置されている。ランプ114は、バット本体122の上面に埋設されている。この構造によれば、使用者がバット本体122の所定の箇所にボールを当てることで受圧部12aがボールの衝撃力を受けると、発電モジュール123の圧電素子13aが変形して電流が発生する。これにより、ランプ123が点灯又は点滅するので、ボールを所定の箇所で打つことができたか否かを、ランプ123の点灯又は点滅を見ることが判断できる。例えば、複数の発電モジュール123と、色が異なる複数のランプ123を、バット本体122の複数の異なる箇所にそれぞれ埋設し、異なる発電モジュール123が押された場合には色が異なるランプ123が点灯又は点滅するようにすれば、ボールを打つことができた箇所を一層正確に判断できる。
【0038】
また、
図6(c)に示すように、剣道用防具胴103は、胴本体131と、発電モジュール132と、ランプ133とを備えている。胴本体131は、竹刀と当接する当接手段であり、当該胴本体131の外側側面において、支持部12b及び受圧部12aを複数備えて構成されている。発電モジュール132は、支持部12bと受圧部12aとの相互間に配置されている。ランプ133は、胴本体131の外側側面に複数埋設されている。この構造によれば、使用者が胴本体131の所定の箇所に竹刀を当てることによって、受圧部12aが竹刀の衝撃力を受けると、発電モジュール132の圧電素子13aが変形して電流が発生する。これにより、ランプ133が点灯又は点滅するので、相手の竹刀が胴本体131の所定の箇所に当たったか否かを、ランプ123の点灯又は点滅を見ることが判断できる。例えば、複数の発電モジュール132と、色が異なる複数のランプ133を、胴本体131の複数の異なる箇所にそれぞれ埋設し、異なる発電モジュール胴本体131が押された場合には色が異なるランプ133が点灯又は点滅するようにすれば、相手の竹刀が当たった箇所を一層正確に判断できる。
【0039】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、受圧部12aにて発電モジュール13の圧電素子13aを押圧することで電流が発生することから、商用電源からの電力供給を必要しないので、握力強化器具1と商用電源とを接続する電線が不要となる。従って、握力強化器具1に電力を供給する場合であっても、握力強化器具1の可搬性を向上させることができる。また、握力強化器具1の使用時において、受圧部12aにて発電モジュール13の圧電素子13aを押圧することで電流が発生することから、使用場所等の使用条件に左右されずに発電することができ、握力強化器具1の汎用性を高めることができる。また、発電モジュール13を、支持部12bと受圧部12aとの相互間に配置し、又は、受圧部12aの近傍位置に配置できるので様々な運動器具に適用でき、高い汎用性を有する。さらに、圧電素子13aを用いた発電モジュール13であることから、材料費が安価であり、製造コストを低減することができる。
【0040】
また、受圧部12aを把持体12の一部としたことで、使用者の体重や握力等を用いて圧電素子13aを自然に押圧することができるので、使用者に発電について意識させることなく、使用者の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。
【0041】
また、受圧部12aを、例えば、野球用バット102のバット本体等の外部の物体と当接するものの一部としたことで、外部の物体の力によって圧電素子13aを押圧することができるので、外部の物体の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。
【0042】
また、発電モジュール13を、凸部120aと凹部120bの相互間に配置したことで、圧電素子13aを効果的に押圧することができると共に、支持部12bと受圧部12aとの相互間の横ずれを防止することができ、発電効率を高めることができる。
【0043】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2について説明する。この形態は、運動器具をランニングマシンとして構成した形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0044】
(全体構成)
図7は実施の形態2に係るランニングマシンの全体斜視図、
図8は
図7におけるベルトコンベアの拡大斜視図であり、一部を破断して示す図である。
図7に示すように、ランニングマシン2は、ランニングマシン本体21と、手すり22と、ディスプレイ23と、ベルトコンベア24とを備えている。
【0045】
(全体構成−ランニングマシン本体)
ランニングマシン本体21は、手すり22、ディスプレイ23、及びベルトコンベア24を支持するものである。ランニングマシン本体21は、凹状の中空体で形成されており、図示しないモータを備えている。この図示しないモータは、ベルトコンベア24を駆動するためのものであり、ランニングマシン本体21の内部に設けられている。
【0046】
(全体構成−手すり)
手すり22は、使用者がランニングマシン2を使用する際に、当該使用者が転倒等しないように使用者を支えるものである。この手すり22は、長尺の中空管で形成されており、ランニングマシン本体21の上面であって、当該ランニングマシン本体21の凹状の閉塞部に配置されている。また、この手すり22の両端部が、ランニングマシン本体21の閉鎖部に対して溶接等により接続されている。
【0047】
(全体構成−ディスプレイ)
ディスプレイ23は、各種データを表示する表示手段である。例えば、このディスプレイ23は、図示しないセンサによって走行距離を測定し、この測定結果を表示することが該当する。このディスプレイ23の種類は任意であり、例えば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等が該当する。
【0048】
(全体構成−ベルトコンベア)
図7及び
図8に示すように、ベルトコンベア24は、使用者を連続的に搬送するためのものである。このベルトコンベア24は、ランニングマシン本体21の凹状の開口部に配置されている。また、このベルトコンベア24は、無端ベルト241及び一対のロール242を備えて構成されている。
【0049】
無端ベルト241は、使用者を支持するものである。この無端ベルト241は、環状の面材で形成されており、当該無端ベルト241の長手方向がランニングマシン本体21の長手方向に沿うように配置されている。無端ベルト241の種類は任意であるが、無端ベルト241が使用者の体重を受けた場合に当該無端ベルト241が伸縮可能なものが好ましく、例えば、ゴム、ポリウレタン等の弾性材料が該当する。
【0050】
無端ベルト241の内部には、発電モジュール241aが配置されている。この発電モジュール241aの配置方法は任意であるが、例えば、無端ベルト241において、所定の間隔ごとに複数配置したり、或いは、無端ベルト241のうち使用者が足踏みする箇所(例えば幅方向における中央付近)において、複数配置したりしてもよい。また、無端ベルト241には、支持部12b及び受圧部12aが配置されている。すなわち、この実施の形態では、無端ベルト241の中で、発電モジュール241aより外部に位置する部分が受圧部12aとして機能し、発電モジュール241aより内部に位置する部分が支持部12bとして機能する。これにより、使用者が無端ベルト241上で足踏みすることで受圧部12aが体重を受けると、発電モジュール241aの圧電素子13aが変形して電流が発生する。
【0051】
ここで、無端ベルト241には、当該無端ベルト241の内周面において当該無端ベルト241に沿って配置されたものであって、発電モジュール241aで発生した電流を出力するための一対の第1電極241bが設けられている。この一対の第1電極241bは、線状に形成されたものであり、この一対の第1電極241bの一方がプラス極として、一対の第1電極241bの他方がマイナス極として構成されている。
【0052】
一対のロール242は、無端ベルト241を回転させるため円柱体で、無端ベルト241の内部に設けられている。このロール242には、当該ロール242の外周面において当該ロール242に沿って配置されたものであって、一対の第1電極241bに接触することによって、当該一対の第1電極241bに流れる電流を受け取るための一対の第2電極242aが設けられている。この一対の第2電極242aは、線状に形成されたものであり、この一対の第2電極242aの一方がプラス極として、一対の第2電極242aの他方がマイナス極として構成されている。また、第2電極242aのプラス極は第1電極241bのプラス極と対応する位置に配置され、第2電極242aのマイナス極は第1のマイナス極とする位置に配置されている。これにより、一対の第2電極242aは、無端ベルト241が回転しながらでも、一対の第1電極241bから電流を受け取ることができる。この一対の第2電極242aの具体的構成は任意であるが、例えば、一対の第2電極242aは、一対のロール242の長手方向の端部から当該ロール242の外部に引き出され、図示しない制御回路を介して図示しないモータ又はディスプレイ23と電気的に接続してもよい。これにより、一対の第2電極242aによって一対の第1電極241bから受け取られた電流を、図示しないモータやディスプレイ23等に利用することができる。
【0053】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、無端ベルト241を、発電モジュール241aを支持する支持部12bとすると共に、ランニングマシン2の外部から当該無端ベルト241に加えられた力を受ける受圧部12aとして構成したことで、例えば、使用者の体重を用いて圧電素子13aを押圧することができるので、使用者の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。また、一対の第1電極241bを無端ベルト241の内周面において当該無端ベルト241に沿って配置し、一対の第2電極242aを一対のロール242の少なくとも一方に、当該ロール242の外周面において当該ロール242に沿って配置することで、無端ベルト241が駆動している場合であっても、一対の第1電極241b及び一対の第2電極242aに、圧電素子13aによって発生した電流を流すことができるので、ランニングマシン2から電流を容易に取り出すことができる。
【0054】
〔実施の形態3〕
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3は、運動器具をテニスラケットとして構成した形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0055】
(全体構成)
図9は実施の形態3に係るテニスラケットの概略の全体斜視図、
図10は
図9における領域Bの拡大斜視図、
図11は
図10の変形状態における領域Bの拡大斜視図である。
図9に示すように、テニスラケット3は、フレーム31と、ガット32と、発電モジュール33と、グリップ34と、ランプ35とを備えている。
【0056】
(全体構成−フレーム)
フレーム31は、ガット32を支持する支持手段である。フレーム31は、楕円状の中空体又は中実体で形成されており、ガット32を固定する固定体として構成する。このフレーム31の内周面には、ガット32を貫通させるための図示しない貫通穴が複数設けられている。このガット32に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、繊維強化樹脂、金属、木材、複合材料等が用いられる。
【0057】
(全体構成−ガット)
ガット32は、ボールの衝撃力を受ける受圧手段である。ガット32は、縦断面が略円形の中実体で形成されており、線状又は棒状に形成された可動体として構成されている。このガット32は、フレーム31の内周面において、図示しない貫通穴を介して、フレーム31の長手方向、及びフレーム31の短手方向に沿って網目状に配置されている。また、このガット32は、当該ガット32に所定のテンションが加えられた状態で玉結び等によりフレーム31に固定されている。このガット32に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、ナイロンやポリエステル等の樹脂材料が用いられる。
【0058】
(全体構成−発電モジュール)
図9〜
図11に示すように、発電モジュール33は、ガット32とフレーム31との接続部の近傍位置に複数配置されており、一対の圧電素子33aを備えている。一対の圧電素子33aは、薄板状に形成されており、当該一対の圧電素子33aの面がガット32面に対向する方向からガット32を狭持し、フレーム31の内周面に対して接着剤等により接続されている。この一対の圧電素子33aの配置方法は任意であるが、例えば、一対の圧電素子33aは、ガット32がボールに接触して変形した際に、当該ガット32と接触する位置に配置することが好ましい。このように、一対の圧電素子33aがガット32を狭持するように配置することで、ガット32の振動によって発電モジュール33の圧電素子33aを押圧可能となる。
【0059】
(全体構成−グリップ)
グリップ34は、使用者がテニスラケット3を把持するためのものである。グリップ34は、Y字状の中空体又は中実体で形成されており、フレーム31の長手方向の一方の端部に配置されている。
【0060】
(全体構成−ランプ)
ランプ35は、グリップ34の上方の側面に埋設されており、グリップ34に対して嵌合構造等により固定されている。このランプ35は、図示しない制御回路を介して発電モジュール33と電気的に接続されている。これにより、使用者がガット32にボールを当てることでガット32がボールの衝撃力を受けると、発電モジュール33の圧電素子33aが変形して電流が発生し、発生した電流を用いてランプ35が点灯又は点滅する。このランプ35の点灯又は点滅方法は任意であり、例えば、発電モジュール33ごとに発光色が異なるものを配置し、所定の発電モジュール33の圧電素子33aが変形を受けた場合に、ランプ35がその発電モジュール33の発光色を点灯又は点滅をさせる方法がある。これにより、ランプ35は、ガット32に当たったボールの位置を、使用者に提示することができる。また、色の異なる複数のランプ35を設け、各ランプ35に異なる発電モジュール33を接続することで、ガット32に当たったボールの位置を一層正確に使用者に提示することができる。あるいは、ガット32面の中でボールを打つための最適位置(いわゆるスイートスポット)を使用者に提示するために、この最適位置にボールが当たった際にのみ変形するガット32の近傍のみに発電モジュール33を配置してもよい。
【0061】
(実施の形態3の効果)
このように実施の形態3によれば、発電モジュール33を、ガット32とフレーム31との接続部の近傍位置に配置することで、テニスボールの衝撃力による振動を用いて圧電素子33aを押圧することができるので、振動エネルギーを利用した発電が可能となる。
【0062】
また、一対の圧電素子33aによりガット32を狭持したことで、ガット32の所定の方向の繰り返し変形を利用して、当該ガット32の変形方向から圧電素子33aを押圧することができるので、発電量をさらに高めることができる。
【0063】
〔実施の形態4〕
次に、本発明の実施の形態4について説明する。この形態は、運動器具を縄跳びとして構成した形態である。なお、実施の形態1と略同様の構成要素については、必要に応じて、実施の形態1で用いたのと同一の符号又は名称を付してその説明を省略する。
【0064】
(全体構成)
図12は実施の形態4に係る縄跳びの概略の全体斜視図、
図13は
図12における領域Cの拡大斜視図、
図14は
図13の変形状態における拡大斜視図である。
図12〜14に示すように、縄跳び4は、ロープ41と、一対のグリップ42と、発電モジュール43と、ランプ44とを備えている。
【0065】
(全体構成−ロープ)
ロープ41は、使用者が当該ロープ41を回すことによって、回転力を受ける受圧手段である。ロープ41は、縦断面が略円形の中実体又は中空体で形成されており、線状又は棒状に形成された可動体として構成されている。このロープ41の具体的構成は任意であるが、例えば、中空体から形成されたロープ41の内部に図示しないゴム芯を挿入したものが該当する。また、このロープ41に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、ナイロン、シリコンゴム、綿等が用いられる。
【0066】
(全体構成−グリップ)
一対のグリップ42は、使用者が縄跳び4を把持するためのものである。この一対のグリップ42は、棒状にて形成されたものであり、ロープ41の端部近傍に配置されている。このグリップ42は、中実体に形成されたグリップ本体42a、及びグリップ本体42aの上面を覆うためのものであって、中空体に形成されたグリップ蓋42bを備えて構成されている。グリップ本体42aとグリップ蓋42bを接続する方法は任意であるが、例えば、グリップ本体42aとグリップ蓋42bとをネジ構造により接続してもよい。また、このグリップ蓋42bの上面には、ロープ41を貫通させるための貫通穴420bが設けられている。なお、この一対のグリップ42に用いられる具体的な材質は任意であるが、例えば、アルミニウム、プラスチック材等の樹脂材料、又は木材等が用いられる。
【0067】
図13及び
図14に示すように、グリップ蓋42bは中空状とされており、このスペースに発電モジュール43が設けられている。この発電モジュール43は、グリップ本体42aとロープ41との相互間に配置されており、圧電素子43a及び振動板43bを備えて構成されている。
【0068】
振動板43bは、ロープ41の振動を増幅した上で圧電素子43aに伝達するものであると共に、圧電素子43aの割れ強度を補強する補強材を兼ねるものであり、可撓性と耐久性を有する金属板より形成される。この振動板43bは、L字状の薄板で形成されており、ロープ41とグリップ42との相互間に配置されている。振動板43bとロープ41との固定方法は任意であるが、例えば、振動板43bのL字状の縦片に、ロープ41を貫通させるための貫通穴430bを設け、ロープ41を貫通穴430bに通し、振動板43bの縦片に対して玉結び等によって固定する。なお、振動板43bに用いる具体的な材料は任意であるが、例えば、ステンレスの薄板を用いることができる。
【0069】
圧電素子43aは、振動板43bのL字状の横片よりも一周り小さい形状の薄板状に形成されており、当該圧電素子43aの側面がグリップ本体42aの上面に対して直交する方向に配置され、グリップ本体42aと接着剤等により接続されている。この圧電素子43aの一方の側面は、振動板43bのL字状の横片に対して接着剤等にて固定されている。この振動板43bに対する圧電素子43aの配置位置は任意であるが、例えば、圧電素子43aの一方の側面全域が振動板43bのL字状の横片の側面と当接するように配置されることが好ましい。このように、ロープ41とグリップ本体42aとの相互間に振動板43b及び圧電素子43aを配置することで、ロープ41にて発電モジュール43の圧電素子43aを押圧可能となる。また、振動板43bとの固着面の全面において圧電素子43aを湾曲させることで、圧電素子43aの全体に力を加えることができる。
【0070】
(全体構成−ランプ)
ランプ44は、グリップ蓋42bの側面に埋設されており、当該把持体12に対して嵌合構造等により固定されている。また、このランプ44は、図示しない制御回路を介して発電モジュール43と電気的に接続されている。これにより、使用者がロープ41を回すことでロープ41が回転力を受けると、振動板43bを介して圧電素子43aが変形して電流が発生し、発生した電流を用いてランプ44が点灯又は点滅する。
【0071】
この他にも、縄跳び4は、できる限りにおいて、任意の構造にて構成可能である。
図15は、変形例に係る
図13の領域Cの拡大斜視図である。
図15に示すように、この変形例では、縄跳び4は、ロープ41と、一対のグリップ42と、発電モジュール43と、ランプ44とを備えている。グリップ42は、グリップ本体42a及びグリップ蓋42bを備えて構成されている。グリップ蓋42bには貫通穴420aが設けられている。発電モジュール43は、一対の圧電素子43aを二組備えている。この圧電素子43aは、当該圧電素子43aの側面がグリップ本体42aの上面に対して直交する方向に配置され、グリップ本体42aと接着剤等により接続されている。また、二組の一対の圧電素子43aの一方の組は、ロープ41を狭持し、二組の一対の圧電素子43aの他方の組は、ロープ41を、二組の一対の圧電素子43aの一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持している。この二組の一対の圧電素子43aの配置位置は任意であるが、例えば、二組の一対の圧電素子43aは、各々接触しない位置に配置されており、ロープ41を中心とした当該二組の一対の圧電素子43aの中心間の距離が等しい位置に配置されている。この構造によれば、使用者がロープ41を回すことでロープ41が回転力を受けると、発電モジュール43の二組の一対の圧電素子43aが変形することで電流が発生する。これにより、発生した電流を用いてランプ44を点灯又は点滅させることができる。特に、色の異なる複数のランプ44を設け、二組の一対の圧電素子43aの一方の組と、二組の一対の圧電素子43aの他方の組を、それぞれ異なるランプ44に接続することで、ロープ41の回す方向によって異なる色のランプ44を点灯又は点滅させることもできる。
【0072】
(実施の形態4の効果)
このように実施の形態4によれば、発電モジュール43を、ロープ41とグリップ42との接続部の近傍位置に配置することで、ロープ41の回転力を用いて圧電素子43aを押圧することができるので、回転エネルギーを利用した発電が可能となる。
【0073】
また、振動板43bの側面に圧電素子43aを固定し、ロープ41を振動板43bに固定したことで、圧電素子43aからより大きな起電力を得ることができ、発電効率を一層高めることができる。
【0074】
また、二組の一対の圧電素子43aの一方の組により、ロープ41を狭持し、二組の一対の圧電素子43aの他方の組により、ロープ41を、二組の一対の圧電素子43aの一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持することで、ロープ41の上下左右の繰り返し変形を利用して、当該ロープ41の上下左右の方向から圧電素子43aを押圧することができるので、発電量を一層高めることができる。
【0075】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0076】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
また、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0077】
(発生した電流の利用について)
各実施の形態1〜4では、発生した電流をランプ等に利用することについて説明したが、これらの電流をバッテリに蓄えてもよい。例えば、実施の形態2では、バッテリをランニングマシン本体21の内部に配置してもよい。この場合、バッテリは、一対の第2電極242aから電流を受け取るための一対の電極を備える必要がある。
【0078】
(付記A1)
付記A1の運動器具は、外部から加えられた力を発電素子を用いて電気に変換する発電モジュールを備える運動器具であって、前記発電モジュールを支持する支持手段と、当該運動器具の外部から加えられた力を受ける受圧手段とを備え、前記発電モジュールを、前記支持手段と前記受圧手段との相互間に配置することにより、又は、前記受圧手段の近傍位置に配置することにより、前記受圧手段にて前記発電モジュールの前記発電素子を押圧可能としたことを特徴とする。
(付記A2)
また、付記A2の運動器具は、付記A1に記載の運動器具において、当該運動器具の使用者が当該運動器具を把持するための把持手段を備え、前記受圧手段を、前記把持手段の一部としたことを特徴とする。
(付記A3)
また、付記A3の運動器具は、付記A1又はA2に記載の運動器具において、当該運動器具が当該運動器具の外部の物体と当接する当接手段を備え、前記受圧手段を、前記当接手段の一部としたことを特徴とする。
(付記A4)
また、付記A4の記載の運動器具は、付記A1からA3のいずれか一項に記載の運動器具において、前記支持手段又は前記受圧手段の一方は、当該支持手段又は当該受圧手段の他方に向かって突出する凸部を備え、前記支持手段又は前記受圧手段の他方は、前記凸部を嵌合可能な凹部を備え、前記発電モジュールを、前記凸部と前記凹部の相互間に配置したことを特徴とする。
(付記A5)
また、付記A5の記載の運動器具は、付記A1に記載の運動器具において、無端ベルトと、前記無端ベルトを回転させるために当該無端ベルトの内部に配置された一対のロールとを備え、前記無端ベルトの内部に前記発電モジュールを配置し、当該無端ベルトを、前記発電モジュールを支持する支持手段とすると共に、当該運動器具の外部から当該無端ベルトに加えられた力を受ける受圧手段として構成し、前記無端ベルトには、当該無端ベルトの内周面において当該無端ベルトに沿って配置されたものであって、前記発電モジュールで発生した電流を出力するための一対の第1電極を設け、前記一対のロールの少なくとも一方には、当該ロールの外周面において当該ロールに沿って配置されたものであって、前記一対の第1電極に接触することによって、当該一対の第1電極に流れる電流を受け取るための一対の第2電極を設けたことを特徴とする。
(付記A6)
また、付記A6の運動器具は、付記A1に記載の運動器具において、前記受圧手段を、線状又は棒状に形成された可動体として構成し、前記支持手段を、前記可動体を固定する固定体として構成し、前記発電モジュールを、前記可動体と前記固定体との接続部の近傍位置に配置することにより、当該可動体の振動によって前記発電素子を押圧可能としたことを特徴とする。
(付記A7)
また、付記A7の運動器具は、付記A6に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記発電素子を一対備え、前記一対の発電素子により、前記可動体を狭持したことを特徴とする。
(付記A8)
また、付記A8の記載の運動器具は、付記A6又はA7に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記一対の前記発電素子を二組備え、前記二組の一対の発電素子の一方の組により、前記可動体を狭持し、前記二組の一対の発電素子の他方の組により、前記可動体を、前記二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持したことを特徴とする。
(付記A9)
また、付記A9の記載の運動器具は、付記A6に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、可撓性を有する振動板を有し、前記振動板の側面に前記発電素子を固定し、前記可動体を前記振動板に固定したことを特徴とする。
(付記A1の効果)
付記A1に記載の運動器具によれば、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、商用電源からの電力供給を必要しないので、当該運動器具と商用電源とを接続する電線が不要となり、運動器具の可搬性を向上させることができる。また、当該運動器具の使用時において、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、暗所においても長時間発電を行うことが可能となり、使用場所等の使用条件に左右されずに発電できるので、運動器具の汎用性を向上させることができる。さらに、発電素子は太陽電池に比べて単位電力当たりの製造コストが安価であることから、運動器具の製造コストを低減することができる。
(付記A2の効果)
また、付記A2に記載の運動器具によれば、受圧手段を把持手段の一部としたことで、運動器具を使用することに伴い、使用者の体重や握力等を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、使用者の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。
(付記A3の効果)
また、付記A3に記載の運動器具によれば、受圧手段を、当接手段の一部としたことで、外部の物体の力によって発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、外部の物体の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。
(付記A4の効果)
また、付記A4に記載の運動器具によれば、発電モジュールを、凸部と凹部の相互間に配置したことで、発電素子を効果的に押圧することができると共に、支持手段と受圧手段との相互間の横ずれを防止することができるので、発電効率を一層向上させることができる。
(付記A5の効果)
また、付記A5に記載の運動器具によれば、無端ベルトを、発電モジュールを支持する支持手段とすると共に、当該運動器具の外部から当該無端ベルトに加えられた力を受ける受圧手段として構成したことで、例えば、使用者の体重を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、使用者の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。特に、一対の第1電極から一対の第2電極を介して電流を流すことができるので、無端ベルトやローラのような回転体を用いた運動器具においても、当該運動器具から電流を容易に外部に取り出すことができる。
(付記A6の効果)
また、付記A6に記載の運動器具によれば、発電モジュールを、可動体と固定体との接続部の近傍位置に配置することで、使用者や外部の物体等の振動や回転力を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、振動エネルギーや回転エネルギーを利用した発電が可能となる。
(付記A7の効果)
また、付記A7に記載の運動器具によれば、一対の発電素子により可動体を狭持したことで、可動体の繰り返し変形を利用して一対の発電素子を押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。
(付記A8の効果)
また、付記A8に記載の運動器具によれば、二組の一対の発電素子の一方の組により、可動体を狭持し、二組の一対の発電素子の他方の組により、可動体を、二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持することで、可動体の上下左右の繰り返し変形を利用して、二組の一対の発電素子を効果的に押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。また、一対の発電素子の並設方向への押圧と、この並設方向に略直交する方向への押圧を容易に区別できるので、押圧方向に応じて異なる電気出力を行うことで、運動器具の状態を使用者等に容易に伝達できる。
(付記A9の効果)
また、付記A9に記載の運動器具によれば、振動板の側面に発電素子を固定し、可動体を振動板に固定したことで、発電素子からより大きな起電力を得ることができ、発電効率を一層向上させることができる。
(付記B1)
付記B1の運動器具は、外部から加えられた力を発電素子を用いて電気に変換する発電モジュールを備える運動器具であって、前記発電モジュールを支持する支持手段と、当該運動器具の外部から加えられた力を受ける受圧手段とを備え、前記受圧手段を、当該運動器具の使用者が当該運動器具を使用した際に伸縮する伸縮体又は可動する可動体として構成し、前記発電モジュールを、前記支持手段と前記受圧手段との相互間に配置することにより、又は、前記受圧手段の近傍位置に配置することにより、前記受圧手段にて前記発電モジュールの前記発電素子を押圧可能としたことを特徴とする。
(付記B2)
付記B2の運動器具は、付記B1に記載の運動器具において、前記受圧手段を、線状又は棒状に形成された可動体として構成し、前記支持手段を、前記可動体を固定する固定体として構成し、前記発電モジュールを、前記可動体と前記固定体との接続部の近傍位置に配置することにより、当該可動体の振動によって前記発電素子を押圧可能としたことを特徴とする。
(付記B3)
付記B3の運動器具は、付記B2に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記発電素子を一対備え、前記一対の発電素子により、前記可動体を狭持したことを特徴とする。
(付記B4)
付記B4の運動器具は、付記B2又はB3に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記一対の前記発電素子を二組備え、前記二組の一対の発電素子の一方の組により、前記可動体を狭持し、前記二組の一対の発電素子の他方の組により、前記可動体を、前記二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持したことを特徴とする。
(付記B5)
付記B5の運動器具は、付記B2に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、可撓性を有する振動板を有し、前記振動板の側面に前記発電素子を固定し、前記可動体を前記振動板に固定したことを特徴とする。
(付記B6)
付記B6の運動器具は、付記B1に記載の運動器具において、無端ベルトと、前記無端ベルトを回転させるために当該無端ベルトの内部に配置された一対のロールとを備え、前記無端ベルトの内部に前記発電モジュールを配置し、当該無端ベルトを、前記発電モジュールを支持する支持手段とすると共に、当該運動器具の外部から当該無端ベルトに加えられた力を受ける受圧手段として構成し、前記無端ベルトには、当該無端ベルトの内周面において当該無端ベルトに沿って配置されたものであって、前記発電モジュールで発生した電流を出力するための一対の第1電極を設け、前記一対のロールの少なくとも一方には、当該ロールの外周面において当該ロールに沿って配置されたものであって、前記一対の第1電極に接触することによって、当該一対の第1電極に流れる電流を受け取るための一対の第2電極を設けたことを特徴とする。
(付記B1の効果)
付記B1に記載の運動器具によれば、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、商用電源からの電力供給を必要しないので、当該運動器具と商用電源とを接続する電線が不要となり、運動器具の可搬性を向上させることができる。また、当該運動器具の使用時において、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、暗所においても長時間発電を行うことが可能となり、使用場所等の使用条件に左右されずに発電できるので、運動器具の汎用性を向上させることができる。さらに、発電素子は太陽電池に比べて単位電力当たりの製造コストが安価であることから、運動器具の製造コストを低減することができる。
(付記B2の効果)
付記B2に記載の運動器具によれば、発電モジュールを、可動体と固定体との接続部の近傍位置に配置することで、使用者や外部の物体等の振動や回転力を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、振動エネルギーや回転エネルギーを利用した発電が可能となる。
(付記B3の効果)
付記B3に記載の運動器具によれば、一対の発電素子により可動体を狭持したことで、可動体の繰り返し変形を利用して一対の発電素子を押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。
(付記B4の効果)
付記B4に記載の運動器具によれば、二組の一対の発電素子の一方の組により、可動体を狭持し、二組の一対の発電素子の他方の組により、可動体を、二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持することで、可動体の上下左右の繰り返し変形を利用して、二組の一対の発電素子を効果的に押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。また、一対の発電素子の並設方向への押圧と、この並設方向に略直交する方向への押圧を容易に区別できるので、押圧方向に応じて異なる電気出力を行うことで、運動器具の状態を使用者等に容易に伝達できる。
(付記B5の効果)
付記B5に記載の運動器具によれば、振動板の側面に発電素子を固定し、可動体を振動板に固定したことで、発電素子からより大きな起電力を得ることができ、発電効率を一層向上させることができる。
(付記B6の効果)
付記B6に記載の運動器具によれば、無端ベルトを、発電モジュールを支持する支持手段とすると共に、当該運動器具の外部から当該無端ベルトに加えられた力を受ける受圧手段として構成したことで、例えば、使用者の体重を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、使用者の運動エネルギーを利用した発電が可能となる。特に、一対の第1電極から一対の第2電極を介して電流を流すことができるので、無端ベルトやローラのような回転体を用いた運動器具においても、当該運動器具から電流を容易に外部に取り出すことができる。
(付記C1)
付記C1の運動器具は、外部から加えられた力を発電素子を用いて電気に変換する発電モジュールを備える運動器具であって、前記発電モジュールを支持する支持手段と、当該運動器具の外部から加えられた力を受けることにより、張力が付与される受圧手段とを備え、前記受圧手段を、線状又は棒状に形成された可動体であって、当該運動器具の使用者が当該運動器具を使用した際に可動する可動体として構成し、前記発電モジュールを、前記可動体の近傍位置に配置することにより、当該可動体にて前記発電モジュールの前記発電素子を押圧可能とし、前記支持手段を、前記可動体を固定する固定体として構成し、前記発電モジュールを、前記可動体と前記固定体との接続部の近傍位置に配置することにより、当該可動体の振動によって前記発電素子を押圧可能とし、前記可動体を、前記固定体に対して前記発電素子を介することなく直接的に、又は、前記固定体に対して前記発電素子を介することなく可撓性を有する振動板を介して間接的に接続し、前記発電素子を、前記可動体に対して直接的に固定することなく、当該可動体又は前記振動板と接触可能に配置し、前記発電素子を、前記可動体における前記固定体側の部分のみに配置し、又は、前記振動板における前記固定体側の部分のみに配置し、前記発電素子を、前記固定体に対して直接的に接続したこと、を特徴とする。
(付記C2)
また、付記C2の運動器具は、付記C1に記載の運動器具において、当該運動器具は、ラケットであって、前記可動体を、ガットとして構成し、前記固定体を、環状に形成されたフレームであって、前記ガットを当該フレームの内周面において固定するためのフレームとして構成し、前記発電素子を、前記ガットにおける前記フレーム側の部分のみに配置し、前記ガットが、前記フレームにおける特定の第1方向の端部の一方から端部の他方に至る部分と、前記フレームにおける前記第1方向に直交する第2方向の端部の一方から他方の端部に至る部分とをそれぞれ複数有するように、当該ガットを網目状に配置することにより、前記複数のフレームにおける前記第1方向又は前記第2方向のいずれか一方の端部の一方から端部の他方に至る部分のうち、少なくとも前記発電素子の近傍に位置する部分と交差する部分であって、前記フレームにおける前記第1方向又は前記第2方向のいずれか他方の端部の一方から端部の他方に至る部分が振動することに伴って、当該発電素子の近傍に位置する部分が振動することで当該発電素子を押圧可能としたこと、を特徴とする。
(付記C3)
また、付記C3の運動器具は、付記C1に記載の運動器具において、当該運動器具は、縄跳びであって、前記可動体を、ロープとして構成し、一対の前記固定体を、棒状にて形成された一対のグリップであって、前記ロープの長手方向の端部を前記振動板を介して接続するための一対のグリップとして構成し、前記発電素子を、前記振動板における前記グリップ側の部分のみに配置し、前記振動板が、前記グリップに接続される第1片と、当該第1片に略直交する第2片であって前記ロープの長手方向の端部に接続される第2片とを有するように、当該振動板をL字状に形成することにより、前記ロープが振動することに伴って、当該振動板が振動することで前記発電素子を押圧可能としたこと、を特徴とする。
(付記C4)
また、付記C4の運動器具は、付記C1からC3のいずれか一項に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記発電素子を一対備え、前記一対の発電素子により、前記可動体を狭持したこと、を特徴とする。
(付記C5)
また、付記C5の運動器具は、付記C1からC4のいずれか一項に記載の運動器具において、前記発電モジュールは、前記一対の前記発電素子を二組備え、前記二組の一対の発電素子の一方の組により、前記可動体を狭持し、前記二組の一対の発電素子の他方の組により、前記可動体を、前記二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持したこと、を特徴とする。
(付記C1の効果)
付記C1に記載の運動器具によれば、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、商用電源からの電力供給を必要しないので、当該運動器具と商用電源とを接続する電線が不要となり、運動器具の可搬性を向上させることができる。また、当該運動器具の使用時において、受圧手段にて発電モジュールの発電素子を押圧することで電流が発生することから、暗所においても長時間発電を行うことが可能となり、使用場所等の使用条件に左右されずに発電できるので、運動器具の汎用性を向上させることができる。さらに、発電素子は太陽電池に比べて単位電力当たりの製造コストが安価であることから、運動器具の製造コストを低減することができる。
また、発電モジュールを、可動体と固定体との接続部の近傍位置に配置することで、使用者や外部の物体等の振動や回転力を用いて発電素子を自然に押圧することができるので、発電を使用者に意識させることなく、振動エネルギーや回転エネルギーを利用した発電が可能となる。
また、振動板の側面に発電素子を固定し、可動体を振動板に固定したことで、発電素子からより大きな起電力を得ることができ、発電効率を一層向上させることができる。
(付記C4の効果)
また、付記C4に記載の運動器具によれば、一対の発電素子により可動体を狭持したことで、可動体の繰り返し変形を利用して一対の発電素子を押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。
(付記C5の効果)
また、付記C5に記載の運動器具によれば、二組の一対の発電素子の一方の組により、可動体を狭持し、二組の一対の発電素子の他方の組により、可動体を、二組の一対の発電素子の一方の組の並設方向と略直交する方向から狭持することで、可動体の上下左右の繰り返し変形を利用して、二組の一対の発電素子を効果的に押圧することができるので、発電効率を一層向上させることができる。また、一対の発電素子の並設方向への押圧と、この並設方向に略直交する方向への押圧を容易に区別できるので、押圧方向に応じて異なる電気出力を行うことで、運動器具の状態を使用者等に容易に伝達できる。