(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093969
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】CVDによりダイヤモンド層を作製する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/27 20060101AFI20170306BHJP
C23C 16/511 20060101ALI20170306BHJP
C01B 32/26 20170101ALI20170306BHJP
C30B 29/04 20060101ALI20170306BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20170306BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20170306BHJP
H04R 7/12 20060101ALI20170306BHJP
H04R 7/02 20060101ALN20170306BHJP
【FI】
C23C16/27
C23C16/511
C01B31/06 A
C30B29/04 E
B23B27/14 A
B23B27/20
H04R7/12 A
!H04R7/02 F
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-546949(P2015-546949)
(86)(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公表番号】特表2016-506450(P2016-506450A)
(43)【公表日】2016年3月3日
(86)【国際出願番号】EP2013075576
(87)【国際公開番号】WO2014090664
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】1222395.4
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/736,423
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514233369
【氏名又は名称】エレメント シックス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ピクルス チャールズ サイモン ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ウォート クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】パーキンズ ニール
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−244298(JP,A)
【文献】
特開平04−211598(JP,A)
【文献】
特開2006−327862(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0266279(US,A1)
【文献】
特開平06−033243(JP,A)
【文献】
国際公開第92/000800(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 − 16/56
C01B 32/00 − 32/991
B23B 27/14
B23B 27/20
C30B 29/04
H04R 7/12
H04R 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波プラズマ化学気相蒸着(CVD)合成技法を用い、合成ダイヤモンド材料により、複数の非平面基板をコートする方法であって、
上側表面を備える支持基板;
支持基板の上側表面に配置され且つ支持基板の上側表面の上方に高さhgまで延びる、複数の導電性耐火性防護体;及び
支持基板の上側表面に配置され、且つ支持基板の上側表面の上方に高さhsまで延び、高さhsが高さhgより小さく、高さの差hg−hsが0.2mm〜10mmの範囲にある、複数の非平面基板
を備える複合基板アセンブリを形成すること;
複合基板アセンブリをマイクロ波プラズマCVD反応器のプラズマチャンバ内に設置すること;
プラズマチャンバ内に、炭素含有ガス及び水素含有ガスを含むプロセスガスを供給すること;
プラズマチャンバにマイクロ波を供給して、複合基板アセンブリの上方の位置にマイクロ波プラズマを生成すること;並びに
合成ダイヤモンド材料を、前記複数の非平面基板に成長させること
を含む、方法。
【請求項2】
高さの差hg−hsが、7mm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高さの差hg−hsが、0.3mmを超える、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
高さの差hg−hsが、0.3mm〜10mmの範囲にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複数の導電性耐火性防護体が、連続又は不連続リングの形である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
複数の導電性耐火性防護体が、タンタル、モリブデン、タングステン、又はグラファイトから形作られる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の導電性耐火性防護体が、回転対称であり、プラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成される、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
複合基板アセンブリが、回転対称であり、プラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
複合基板が、同心であるように配置構成され且つそれらの間に環状領域を定める2つの導電性耐火性防護体を含み、複数の非平面基板が、2つの導電性耐火性防護体の間の環状領域に置かれる、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
複合基板が、同心であるように配置構成され、それらの間に内側及び外側環状領域を定める3つの導電性耐火性防護体を含み、複数の非平面基板が、3つの導電性耐火性防護体の間の内側及び外側環状領域に置かれる、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数の非平面基板が、非金属材料から形作られる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数の非平面基板が、成長の後の合成ダイヤモンド材料から取り外されて、複数の自立性非平面多結晶CVD合成ダイヤモンド部材を生じる、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数の非平面基板が、金属材料から形作られ、合成ダイヤモンド材料が、金属材料に付着したコーティングを形成し、多結晶CVD合成ダイヤモンド材料によりコートされた金属ベース材料を備える複合非平面部材を生じる、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の実施形態は、マイクロ波プラズマ化学気相蒸着(CVD)合成技法を用い、合成ダイヤモンド材料により、非平面及び/又は非耐火性基板を形状に沿ってコートする方法に関する。本発明の特定のさらなる実施形態は、高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料により形状に沿ってコートされた非平面及び/又は非耐火性部材を含めた、非平面及び/又は非耐火性多結晶CVD合成ダイヤモンド部材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成CVDダイヤモンド皮膜は、熱フィラメント、マイクロ波プラズマ、及びDCアークジェット反応器を含めた、様々な方法を用い、成長させることができる。これらの方法のそれぞれは、その長所を有する。DCアークジェット蒸着システムは、大きな局所成長速度を有する傾向があるが、電極/ノズルの腐食、大きなガスの消費量、及び比較的小さい適用面範囲を欠点として有する。熱フィラメント反応器は、大面積及び3次元形状をコートできるが、皮膜厚さが限られ、またダイヤモンド材料の品質が比較的劣る。対照的に、マイクロ波CVD合成ダイヤモンドは、自立性の平面多結晶ウェハの形の高品質バルクダイヤモンド材料を生産するための主要な方法として確立されている。残念ながら、マイクロ波プラズマ法は、マイクロ波の電場とコートされている非平面基板又はワークピースとの間の不都合な相互作用のために、非平面基板をコートについては限られた能力しか有さない。工具インサート又はスピーカードームマンドレルのような実に単純な3次元形状のコーティングは、出隅での電場濃度、又は逆に入隅での電場の弱さの影響によって、難しくされる。電場のこの変化は、ダイヤモンド皮膜の品質と厚さの両方の一様性に悪影響を及ぼす。例えば、今日まで、マイクロ波プラズマCVD反応器は、切削工具インサートを形状に沿ってコートするために、成功裏には用いられていない。このような切削工具インサートのコーナーで、大きな電場は、決定的に重要な切削エッジを太くすること及び丸くすることにつながり、こうして、それらを、意図されたそれらの目的に不適切にする。
融点又は熱ショックの点で熱に影響を受け易い、シリコンのような非耐火性材料もまた、マイクロ波プラズマが非耐火性基板材料を損傷させる傾向があるため、マイクロ波プラズマ反応器において一様にコートしようとすると厄介である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に鑑み、求められているのは、非耐火性基板及び/又は3次元(すなわち、非平面)形状、例えば、切削工具インサート及びスピーカードームマンドレルを、基板材料の表面に一様にコートされた高品質多結晶CVDダイヤモンド材料を生じ得るマイクロ波プラズマCVDダイヤモンド合成技法を用い、エッジ及びコーナーで不適切に丸くなること及び太くなることなく並びに/又は基板材料を不適切に損傷させることなく、形状に沿ってコートするための方法である。
前記の課題を解決することが、本発明の特定の実施形態の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、マイクロ波プラズマ化学気相蒸着(CVD)合成技法を用い、合成ダイヤモンド材料により、非耐火性及び/又は非平面基板をコートする方法が提供され、この方法は、
上側表面を備える支持基板;
支持基板の上側表面に配置され且つ支持基板の上側表面の上方に高さh
gまで延びる、1つ又は複数の導電性耐火性防護体;及び
支持基板の上側表面に配置され、且つ支持基板の上側表面の上方に高さh
sまで延び、高さh
sが高さh
gより小さく、高さの差h
g−h
sが0.2mm〜10mmの範囲にある、1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板
を備える複合基板アセンブリを形成すること;
複合基板アセンブリをマイクロ波プラズマCD反応器のプラズマチャンバ内に設置すること;
プラズマチャンバ内に、炭素含有ガス及び水素含有ガスを含むプロセスガスを供給すること;
プラズマチャンバにマイクロ波を供給して、複合基板アセンブリの上方の位置にマイクロ波プラズマを生成すること;並びに
合成ダイヤモンド材料を、1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板に成長させること
を含む。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、
非平面ベース;
及び、非平面ベースの表面の多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティング
を備え、
非平面ベースが、平面に投影された時、5mm以上の最長直線寸法を有し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、5〜100μmの範囲の厚さを有し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さが、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの平均厚さの75%以下で変化し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、マイクロ波プラズマCVD合成技法を示す、ミクロンスケールの連晶ダイヤモンドグレイン及び低sp2炭素含有量を備え、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、長さ2mmを超えて延びるクラックを有さない、
複合部材が提供される。
【0006】
本発明のよりよい理解のために、また本発明が如何に実施され得るかを示すために、これから、添付図を参照して単に例としてのみ、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明において用いられる複合基板アセンブリの横断面図を示す図である。
【
図2】
図1に示される複合基板アセンブリの上面図を示す図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による複合基板アセンブリの横断面図を示す図である。
【
図4】
図3に示される複合基板アセンブリの上面図を示す図である。
【
図5】
図3及び4に示される複合基板アセンブリを備えるマイクロ波プラズマCVD反応器を示す図である。
【
図6】形状に沿ってコートされた高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料の一様な層を備えるドームを示す図である。
【
図7】その切削エッジの回りに形状に沿ってコートされた品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料の一様な層を備える切削工具インサートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、3次元/非平面基板及び/又はシリコンのような非耐火性基板をコートするために、本明細書において「間接的プラズマ成長」として説明されるCVD合成ダイヤモンド合成法を用いる。この方法は、マイクロ波プラズマとダイヤモンド材料によりコートされる基板との間の領域に延びる導電性耐火性防護体を用いる。導電性耐火性防護体は、適切な強度のプラズマが、1つ又は複数の基板が配置され得る領域の上方で安定的に持続され得るように、マイクロ波電場に一定の焦点を提供する。基板は、基板の表面の電場が、例えば尖った出隅で、局所的な破壊を引き起こすのに必要とされる電場より小さいように、導電性耐火性防護体の表面より、極僅かだけ下方に位置する。こうして、基板は、直接曝されているというよりむしろマイクロ波プラズマから遮蔽されていると考えることができ、用語「間接的プラズマ成長」はこのためである。しかし、基板は、その上へのダイヤモンドの成長を達成するために、マイクロ波キャビティに依然として物理的に曝されていることが特筆され得る。遮蔽は、電気的な性質のものであり、コートされる1つ又は複数の基板の周辺の回りに置かれるように配置構成され得る導電性耐火性防護体によって行われる。例えば、導電性耐火性防護体は、リング、又はプラズマチャンバの中央回転軸に中心がある一連の同心リングの形であってよい。代わりに、導電性耐火性防護体は、コートされる基板の周辺領域の回りで、支持基板から上向きに延び、且つコートされる基板の上側表面より高く延びる、複数の柱又は突起の形であってもよい。
【0009】
本発明の実施形態の間接的プラズマ成長法は、複合基板アセンブリの形成を含み、その例が、
図1及び2に例示され、
図1は横断面図を示し、
図2は、上面図を示す。複合基板アセンブリ1は、上側表面4を備える支持基板2;支持基板2の上側表面4に配置され、且つ支持基板2の上側表面4の上方に高さh
gまで延びる、複数の導電性耐火性防護体リング6;及び、支持基板2の上側表面4に配置され、且つ支持基板2の上側表面4の上方に高さh
sまで延びる、複数の非平面基板8;を備え、ここで、高さh
sは高さh
gより小さい。例示された実施形態は、同心であるように配列され且つ支持基板2の中央回転軸に中心がある、3つの導電性耐火性防護体リング6を備える。非平面基板は、導電性耐火性防護体リング6によって画定される環状領域に配置された、複数の金属切削インサート8を含む。
【0010】
図3及び4は、曲面ダイヤモンドダイヤフラム又はドームの製造に適する複合基板アセンブリの別の実施形態の横断面図及び上面図を例示する。このようなドームは、静的又は動的圧力差を伴う用途を含めて、様々な用途に使用され得る。例えば、ほぼ静的な圧力差が必要とされるが、材料が電磁放射に透明である必要がある場合、曲面ダイヤモンドダイヤフラムは、曲がった状態が薄い層に付加的な剛性をもたらすため、適切であり得る。動的用途、例えば音響ピックアップ又は音響ドライバの場合には、曲がった状態は、剛性のあるドームを提供し、これはまた、非常に軽量であり、構造体の共鳴モードによる干渉なしに、高振動数に応答できる。先に論じられた配列と同様に、複合基板アセンブリ10は、上側表面4を有する支持基板2を備える。シリコンのドームマンドレルの形の複数の非平面基板14は、支持基板2の上側表面4に配置される。例示された配列において、ドームマンドレル14は、支持基板2に嵌め込まれた台座12に支えられている。例示された実施形態は、支持柱16に支えられ、且つ同心であるように配列され、支持基板2の中央回転軸に中心がある、2つの導電性耐火性防護体リング6を備える。ドームマンドレルは、導電性耐火性防護体リング6によって画定される環状領域に配置される。
【0011】
導電性耐火性防護体の上端表面と非平面基板の上端表面との間の高さの差h
g−h
sは、0.2〜10mmの範囲にあり、任意選択で、7mm、5mm、4mm、又は3mmより小さく、任意選択で、0.3mm、0.5mm、1mm、1.5mm、又は2mmより大きい。例えば、高さの差h
g−h
sは、0.3mm〜10mm、0.5mm〜7mm、1mm〜5mm、1mm〜4mm、又は2mm〜3mmの範囲にあり得る。導電性耐火性防護体は、用いられている複合基板アセンブリの上を覆って位置するプラズマから非平面基板を保護するために非平面基板より十分に高いが、非平面基板から余りに遠ざけられたプラズマにより非平面基板でのダイヤモンド材料の蒸着が悪影響を受ける程は高すぎないように、位置するべきである。原則として、高さの差h
g−h
sは、非平面基板をプラズマの近くに保つことによって、非平面基板での成長速度を増大させるが同時に非平面基板をプラズマから保護するのに効果的であるように小さく保たれ得る。
1つ又は複数の導電性耐火性防護体は、連続又は不連続リングの形であってよいが、最も好ましくは連続リングの形であり得る。先に論じられた実施形態において示されたように、複合基板アセンブリは、少なくとも2つの導電性耐火性防護体を備え得るが、これらは、例えばリングにおける短い不連続部を無視して、回転対称又は実質的に回転対称であり且つプラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成され得る。複合基板アセンブリの全体は、回転対称であり且つプラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成され得る。このような配列は、プラズマチャンバの対称性を保ち、一様なプラズマを生成する助けとなる。特に、基板の構造は、基板の上方の電場プロフィールに影響を及ぼすので、対称な基板構造が、対称電場プロフィールを保持し、非平面基板に一様なダイヤモンド蒸着を達成するために望ましいことが特筆され得る。
【0012】
代わりに、リング構造を用いるのではなく、導電性耐火性防護体は、基板でのダイヤモンドの成長の間にプラズマから非平面基板を保護するように、支持基板から上向きに延び且つ非平面基板の回りに分布する、複数の柱又は突起を備えていてもよい。柱は、上記の理由で、回転対称状に分布し得る。このような耐火性防護体構造は、基板の上方の電場プロフィールと不都合には相互作用しないと考えられる。
1つ又は複数の導電性耐火性防護体は、マイクロ波プラズマの下での過酷な熱的及び化学的環境に耐えることができる如何なる導電性金属材料から形作られてもよい。例には、タンタル、モリブデン、タングステン、又はグラファイトが含まれる。
【0013】
1つ又は複数の非平面基板は、例えばドームマンドレルのために、シリコン又は炭化ケイ素のような非金属材料から形作られ得る。この場合、1つ又は複数の非平面基板は、成長の後、1つ又は複数の自立性非平面多結晶CVD合成ダイヤモンド部材を得るために、合成ダイヤモンド材料から取り外されてもよい。
代わりに、1つ又は複数の非平面基板は、金属材料、又はWCのような金属炭化物から形作られていてもよく、この場合、合成ダイヤモンド材料は、金属又は炭化物材料に付着した永続的コーティング(例えば、多金属CVD合成ダイヤモンド材料によりコートされた金属又は炭化物工具又は磨耗部品)を形成する。
【0014】
図5は、
図3及び4に例示された複合基板アセンブリを備える、マイクロ波プラズマCVD反応器を例示する。マイクロ波プラズマ反応器は、次の基本的構成要素を備える:プラズマチャンバ50;先に論じられた複合基板アセンブリを支えるために(例示されている例では、これは、スペーサワイヤ53を介して行われる)プラズマチャンバに配置された基板ホルダ52;プラズマチャンバ50内にプラズマ56を生成するためのマイクロ波発生器54;誘電体ウインドー60を通してマイクロ波発生器54からプラズマチャンバ50にマイクロ波を供給するためのマイクロ波カップリング配置構成58;ガス供給源65からプラズマチャンバ50にプロセスガスを供給し、それらをプラズマチャンバから除去するための、1つ又は複数のガス入口62及び1つ又は複数のガス出口64を備えるガスフローシステム;並びに、基板冷却装置66。
図5に例示されている複合基板アセンブリは、
図3及び4に例示されているものと同じであり、同じ参照番号が用いられている。
【0015】
プラズマチャンバは、用いられる定在マイクロ波を支える共鳴キャビティを形作るように設計される。1つの配置構成によれば、プラズマチャンバは、用いられるTM
01n定在マイクロ波(例えば、TM
011モード)を支えるように設計される。動作周波数は、400〜500MHz、800〜1000MHz、又は2300から2600MHzの範囲にあり得る。炭素供給源及び分子状水素を含む原料ガスは、プラズマ反応器の容器に供給され、定在マイクロ波によって活性化されて、高電場領域においてプラズマを生成できる。適切な基板が、プラズマのごく近傍に存在すると、ラジカルを含む反応性炭素が、プラズマから基板に拡散し、その上に蒸着され得る。原子状水素もまた、プラズマから基板に拡散できて、ダイヤモンドの成長が起こり得るように、基板から非ダイヤモンド炭素を選択的にエッチング除去できる。
使用に際して、複合基板アセンブリは、例示されているように、プラズマチャンバ内に置かれ、炭素含有ガス及び水素含有ガスを含むプロセスガスがプラズマチャンバに供給され、マイクロ波がプラズマチャンバに供給されて、複合基板アセンブリの上を覆う位置にマイクロ波プラズマを生成する;合成ダイヤモンド材料は、非平面基板14上に成長させられる。先に論じられたように、導電性耐火性防護体リング6は、適切な強度のプラズマが、1つ又は複数の非平面基板が置かれる領域の上方で安定的に持続され得るように、マイクロ波電場に一定の焦点を提供する。非平面基板は、ワークピースの表面での電場が、局所的な破壊を引き起こすのに必要とされる電場より小さいように、耐火性金属導体の表面より、極僅かに下方に位置する。
【0016】
上記に加えて、ダイヤモンドの成長の間の導電性耐火性防護体の稼働中温度が、プラズマの収束化に影響を及ぼすこともまた特筆され得る。防護体の高い温度は、プラズマを防護体構造に連結させ、防護体構造の温度が1500Kを超えて上昇すると、放射損失が温度を一層一様にする助けとなり、それが、ひいては、プラズマが、複合基板アセンブリの上を覆って、一層一様に分布する助けとなる。このため、好ましくは、ダイヤモンドの成長の間、複合基板アセンブリは、プラズマチャンバ内に配置構成され、成長条件(例えば、マイクロ波パワー、ガス圧力、及び/又は基板温度)は、防護体構造の温度が、1500K、1700K、1900K、又は2000Kを超えるように制御される。
【0017】
上で概略が示された手順を用いると、
非平面ベース;
及び、非平面ベースの表面の多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティング
を備え、
非平面ベースは、平面に投影された時、5mm以上の最長直線寸法を有し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、5〜100μmの範囲の厚さを有し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さは、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの平均厚さの75%以下で変化し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの大部分の面積に渡って、マイクロ波プラズマCVD合成技法を示す、ミクロンスケールの連晶ダイヤモンドグレイン及び低sp2炭素含有量を備え、前記大部分の面積は、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの全面積の少なくとも70%、80%、90%、95%、98%であり、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、長さ2mmを超えて延びるクラックを有さない、複合部材を製造することが可能である。
【0018】
sp2炭素含有量は、適切に較正されたラマン分光法を用い、測定できる。多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、マイクロ波プラズマCVD合成技法を示す、ミクロンスケールの連晶ダイヤモンドグレイン、及び0.1%、0.01%、又は0.001%以下のsp2炭素含有量を備える。すなわち、マイクロ波プラズマCVD合成技法は、熱フィラメントのような他のダイヤモンド合成技法と比べた場合、高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料を生じる。
【0019】
sp2炭素は、工具用途での耐摩耗性及び音響用途での剛性のような機械的特性に悪影響を及ぼすので、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの成長の間、sp2炭素の生成を最低限にすることが重要であることが見出された。sp2炭素含有量を測定するために、ラマン分光法が特に有用な技法であることが見出された。非ダイヤモンド炭素のピークは、1580cm
-1−グラファイト;1350〜1580cm
-1−ナノクリスタリットグラファイト;及び1550〜1500cm
-1−アモルファスカーボン及びグラファイト相;を含む。sp2炭素が、合成ダイヤモンド材料のラマンスペクトルにおいて、かなりの程度、明白である場合、その材料は、劣った機械的特性を有すると推定されることが見出された。このため、好ましくは、sp2炭素含有量は、材料のラマンスペクトルにおいて、如何なる顕著な非ダイヤモンド炭素ピークも示さないほどに、十分に小さい。sp3ダイヤモンドラマンピークは、約1332cm
-1にある。特定の実施形態によれば、ラマン励起源としてヘリウム−ネオンレーザー(633nm)を用いると、バックグラウンドを差し引いた後、約1332cm
-1にあるsp3ダイヤモンドラマンピークの高さの20%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、又は0.001%以下である、約1550cm
-1のsp2炭素のピークを有するダイヤモンドラマンスペクトルが得られる。代わりに、sp2炭素の量は、約1332cm
-1にあるsp3ダイヤモンドラマンピークの高さを、そのピークの局所バックグラウンド(sp2炭素のような不純物に起因する)の高さに対して、求めることによって評価されてもよい。特定の実施形態によれば、785nmのラマン励起源を用いると、ラマンスペクトルにおける局所バックグラウンド強度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、又は70%以上である、約1332cm
-1のsp3炭素ピークを有するダイヤモンドラマンスペクトルが得られる。
【0020】
非平面ベースは、凸型ドームを備え、外縁スカートが凸型ドームのエッジから延びていてもよく、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、凸型ドームの表面全体を覆って配置され、且つ外縁スカートの少なくとも一部まで下って延びる。例えば、
図6は、形状に沿ってコートされた高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料72の一様な層を備えるシリコンドームマンドレル70を例示する。好ましくは、シリコンドームマンドレルは、凸型ドームを備え、実質的に円柱状のスカート領域が凸型ドームのエッジから下向きに延びている。本明細書に記載されている間接的プラズマ成長技法は、高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料の一様な層が、凸型ドームと、下は実質的に円柱状のスカート領域の少なくとも一部との両方の上を覆ってコートされることを可能にし、ダイヤモンドのテーパー状エッジは、実質的に円柱状のスカート領域に限定され、好ましくは、実質的に円柱状のスカート領域の長さの50%、40%、30%、20%、10%以下に限定される。凸型ドームは、5mm〜80mm、5mm〜50mm、10mm〜40mm、15mm〜35mm、又は20mm〜30mmの範囲の直径を有し得る。さらに、凸型ドームは、10mm〜120mm、10mm〜80mm、20mm〜70mm、30mm〜60mm、40mm〜55mm、又は45mm〜55mmの範囲の曲率半径を有する。
【0021】
代わりに、非平面ベースは、少なくとも2つの表面と、この2つの表面の間に配置されたエッジ又はコーナーを備える工具又は磨耗部品であってもよく、この場合、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、2つの表面の少なくとも一部の上を覆って配置され、前記エッジ又はコーナーを形状に沿ってコートする。エッジ又はコーナーは、5mm、3mm、1mm、0.5mm、又は0.1mm以下の曲率半径を有し得る。例えば、
図7は、その切削エッジの回りに形状に沿ってコートされた高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料82の一様な層を備える切削工具インサート80を例示する。やはり、本明細書に記載されている間接的プラズマ成長技法は、高品質多結晶CVD合成ダイヤモンド材料の一様な層が、切削工具インサートの上端表面と、下は切削工具インサートの側面の少なくとも一部との両方の上を覆ってコートされることを可能にし、切削エッジの回りの形状に沿ったコーティングが、上端表面と側面の間に配置される。
【0022】
上記ドーム及び工具の例において、多結晶CVDダイヤモンドコーティングは、完璧で丈夫なコーティングを提供するために十分に厚いと同時に、厚すぎて機能特性又は製造コストが犠牲にされるべきでない。多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さは、7μm、10μm、20μm、30μm、50μm、又は70μm以上であり得る。特定の好ましい実施形態によれば、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さは、10〜70μm、20〜60μm、又は30〜50μmの範囲にある。さらに、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さは、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの平均厚さの60%、50%、40%、又は30%以下で変化し得る。
【実施例】
【0023】
(例1)
切削工具インサートのコーティング
高さ7mm、幅1mmで、それぞれ直径130mm、70mm及び20mmの3つのタンタルリングを、140mm×12mmのタングステン基板キャリア(これ自体は、マイクロ波プラズマCVD反応器内の支持表面のワイヤスペーサ上に置かれた)上に置いた。複数の炭化タングステン/6%Co切削工具インサートを、切削工具インサートの最も高い点がタンタルリングの最も高い表面より低く位置するように、タンタルリングの間のタングステン基板キャリア表面に置いた。インサートを、CH
4/H
2プラズマ中、180torrのプロセス圧力で2時間、コートした。得られた多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングは、一様で、高品質で、切削インサートのエッジの回りで形状に沿っていた。
【0024】
(例2)
自立性ダイヤモンド曲面ダイヤフラム及びドームの製造
26.3mmの直径、20mmの曲率半径、及びスカート領域を含めて8mmの高さを有する6つのシリコンマンドレルを、キャリア基板上に嵌め込まれた同じ直径の高さ6mmの台座に、円形状に配置構成して等しい間隔で置いた。こうして、6つのシリコンマンドレルは、キャリア基板の上方14mmの高さまで延びていた。高さ7mm、幅1mm、及びそれぞれ10mm及び128mmの外径の2つのタンタルリングが、マンドレルの円形状の配置構成の両側に置かれた。タンタルリングは、高さ9.6mmの支持柱上に置かれ、その結果、リングは、キャリア基板の上方16.6mmの高さまで延びていた。こうして、タンタルリングは、シリコンマンドレルより上方に2.6mm延びていた。
【0025】
構造体を、公称TM
011モードで動作する896MHzマイクロ波プラズマ反応器のベースの中央に置いた。プラズマが、180torrの圧力で、構造体上に確立された。35μmの厚さの多結晶CVDダイヤモンド皮膜が、各シリコンマンドレルの球状表面と、下はシリコンマンドレルの外側円柱状部分の約1mmの範囲まで確立された。ダイヤモンドコーティングのスカート領域のレーザースコアリングの後、シリコンマンドレルを、HF/HNO
3の溶液で分解して、ダイヤフラム又はドームとして用いられるのに適する特性を有する自立性CVDダイヤモンドシェル構造体を独立させた。
1つのドームを、エポキシによって、円筒状のスカート領域を用い、金属円筒へ装着し、これを低圧に排気して、静的な圧力ウインドーとしてのドームの有用性が例示された。
別のドームが、ボイスコイルに装着され、剛性のある高品質ダイヤモンド構造体であることを示す、70kHzを超える音響破壊周波数を有することが実証された。
【0026】
好ましい実施形態を参照しながら、本発明を詳細に示し説明してきたが、形態及び詳細における様々な変更が、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく成され得ることが、当業者には理解される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕マイクロ波プラズマ化学気相蒸着(CVD)合成技法を用い、合成ダイヤモンド材料により、非耐火性及び/又は非平面基板をコートする方法であって、
上側表面を備える支持基板;
支持基板の上側表面に配置され且つ支持基板の上側表面の上方に高さhgまで延びる、1つ又は複数の導電性耐火性防護体;及び
支持基板の上側表面に配置され、且つ支持基板の上側表面の上方に高さhsまで延び、高さhsが高さhgより小さく、高さの差hg−hsが0.2mm〜10mmの範囲にある、1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板
を備える複合基板アセンブリを形成すること;
複合基板アセンブリをマイクロ波プラズマCVD反応器のプラズマチャンバ内に設置すること;
プラズマチャンバ内に、炭素含有ガス及び水素含有ガスを含むプロセスガスを供給すること;
プラズマチャンバにマイクロ波を供給して、複合基板アセンブリの上方の位置にマイクロ波プラズマを生成すること;並びに
合成ダイヤモンド材料を、1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板に成長させること
を含む、方法。
〔2〕高さの差hg−hsが、7mm、5mm、4mm、又は3mm未満である、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕高さの差hg−hsが、0.3mm、0.5mm、1mm、1.5mm、又は2mmを超える、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕高さの差hg−hsが、0.3mm〜10mm、0.5mm〜7mm、1mm〜5mm、1mm〜4mm、又は2mm〜3mmの範囲にある、前記〔1〕から〔3〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔5〕1つ又は複数の導電性耐火性防護体が、連続又は不連続リングの形である、前記〔1〕から〔4〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔6〕複合基板アセンブリが、少なくとも2つの導電性耐火性防護体を備える、前記〔1〕から〔5〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔7〕1つ又は複数の導電性耐火性防護体が、タンタル、モリブデン、タングステン、又はグラファイトから形作られる、前記〔1〕から〔6〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔8〕1つ又は複数の導電性耐火性防護体が、回転対称であり、プラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成される、前記〔1〕から〔7〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔9〕複合基板アセンブリが、回転対称であり、プラズマチャンバの中央回転軸に中心があるように配置構成される、前記〔1〕から〔8〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔10〕複合基板アセンブリが、複数の非耐火性及び/又は非平面基板を備える、前記〔1〕から〔9〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔11〕複合基板が、同心であるように配置構成され且つそれらの間に環状領域を定める2つの導電性耐火性防護体を含み、複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、2つの導電性耐火性防護体の間の環状領域に置かれる、前記〔1〕から〔10〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔12〕複合基板が、同心であるように配置構成され、それらの間に内側及び外側環状領域を定める3つの導電性耐火性防護体を含み、複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、3つの導電性耐火性防護体の間の内側及び外側環状領域に置かれる、前記〔1〕から〔11〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔13〕1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、非金属材料から形作られる、前記〔1〕から〔12〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔14〕1つ又は複数の非平面基板が、シリコン、炭化ケイ素、又は炭化タングステンから形作られる、前記〔1〕から〔13〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔15〕1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、シリコンから形作られる、前記〔1〕から〔13〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔16〕1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、成長の後の合成ダイヤモンド材料から取り外されて、1つ又は複数の自立性非平面多結晶CVD合成ダイヤモンド部材を生じる、前記〔1〕から〔15〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔17〕1つ又は複数の非耐火性及び/又は非平面基板が、金属材料から形作られ、合成ダイヤモンド材料が、金属材料に付着したコーティングを形成し、多結晶CVD合成ダイヤモンド材料によりコートされた金属ベース材料を備える複合非平面部材を生じる、前記〔1〕から〔12〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔18〕非平面ベース;
及び、非平面ベースの表面の多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティング
を備え、
非平面ベースが、平面に投影された時、5mm以上の最長直線寸法を有し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、5〜100μmの範囲の厚さを有し、 多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さが、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの平均厚さの75%以下で変化し、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの大部分の面積に渡って、マイクロ波プラズマCVD合成技法を示す、ミクロンスケールの連晶ダイヤモンドグレイン及び低sp2炭素含有量を備え、前記大部分の面積が、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの全面積の少なくとも70%であり、
多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、長さ2mmを超えて延びるクラックを有さない、
複合部材。
〔19〕前記大部分の面積が、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの全面積の少なくとも80%、90%、95%、又は98%である、前記〔18〕に記載の複合部材。
〔20〕非平面ベースが、凸型ドームを備え、外縁スカートが凸型ドームのエッジから延びており、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、凸型ドームの表面全体を覆って配置され且つ外縁スカートの少なくとも一部まで下って延びる、前記〔18〕又は〔19〕に記載の複合部材。
〔21〕外縁スカートが、テーパー状エッジを備え、テーパー状エッジが、外縁スカートの長さの50%、40%、30%、20%、又は10%以下をなす、前記〔20〕に記載の複合部材。
〔22〕凸型ドームが、5mm〜80mm、5mm〜50mm、10mm〜40mm、15mm〜35mm、又は20mm〜30mmの範囲の直径を有する、前記〔20〕又は〔21〕に記載の複合部材。
〔23〕凸型ドームが、10mm〜120mm、10mm〜80mm、20mm〜70mm、30mm〜60mm、40mm〜55mm、又は45mm〜55mmの範囲の曲率半径を有する、前記〔20〕から〔22〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔24〕非平面ベースが、少なくとも2つの表面と、前記2つの表面の間に配置されたエッジ又はコーナーを備える工具又は磨耗部品であり、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングが、2つの表面の少なくとも一部の上を覆って配置され、前記エッジ又はコーナーを形状に沿ってコートする、前記〔18〕に記載の複合部材。
〔25〕エッジ又はコーナーが、5mm、3mm、1mm、0.5mm、又は0.1mm以下の曲率半径を有する、前記〔24〕に記載の複合部材。
〔26〕多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの厚さが、7μm、10μm、20μm、30μm、50μm、又は70μm以上である、前記〔18〕から〔25〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔27〕多結晶CVDダイヤモンドコーティングの厚さが、10〜70μm、20〜60μm、又は30〜50μmの範囲にある、前記〔18〕から〔26〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔28〕多結晶CVDダイヤモンドコーティングの厚さが、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの外縁エッジでのあらゆるテーパリングを除いて、多結晶CVD合成ダイヤモンドコーティングの平均厚さの60%、50%、40%、又は30%以下で変化する、前記〔18〕から〔27〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔29〕非平面ベースが、金属、シリコン、炭化ケイ素、又は炭化タングステンから形作られる、前記〔18〕から〔28〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔30〕非平面ベースがシリコンから形作られる、前記〔18〕から〔29〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔31〕sp2炭素含有量が、0.1%、0.01%又は0.001%以下である、前記〔18〕から〔30〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔32〕sp2炭素含有量は、ラマン励起源としてヘリウム−ネオンレーザー(633nm)を用いた場合、バックグラウンドを差し引いた後、約1332cm-1にあるsp3ダイヤモンドラマンピークの高さの20%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、又は0.001%以下である、約1550cm-1のsp2炭素のピークを有するラマンスペクトルを、多結晶CVD合成ダイヤモンドが有する量である、前記〔18〕から〔31〕までのいずれか1項に記載の複合部材。
〔33〕sp2炭素含有量が、785nmのラマン励起源を用いた場合、ラマンスペクトルにおける局所バックグラウンド強度の10%、20%、30%、40%、50%、60%、又は70%以上である、約1332cm-1のsp3炭素ピークを有するラマンスペクトルを、多結晶CVD合成ダイヤモンドが有する量である、前記〔18〕から〔32〕までのいずれか1項に記載の複合部材。