(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術では、吸引装置(真空発生装置)によってタンク内の空気を吸引して内圧を低下させることで、移送対象のスラリーを吸引している。そのため、タンクからスラリーを排出する際は、タンク内が大気圧に戻って密閉状態ではなくなり、吸引装置を作動させてもスラリーを吸引できない。タンクが一杯になった後のスラリー排出期間中にスラリーを吸引できず、スラリー移送作業の効率が低下する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スラリー移送作業の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、本発明は、スラリーを移送するスラリー移送システムであって、移送対象のスラリーを流入させるための第1流入管が接続され、該第1流入管から流入したスラリーを排出する第1排出機構が設けられた第1タンクと、移送対象のスラリーを流入させるための第2流入管が接続され、該第2流入管から流入したスラリーを排出する第2排出機構が設けられた第2タンクと、第1タンク及び第2タンクから空気を吸引するための吸引装置と、吸引装置から延びて、第1タンクに接続する第1分岐管と、第2タンクに接続する第2分岐管とに分岐する空気用配管と、第1分岐管及び第2分岐管の各々を開閉する開閉機構と、開閉機構を制御して、第1分岐管を開状態に第2分岐管を閉状態に設定して吸引装置によって減圧される第1タンクにスラリーを吸引させる第1状態と、第1分岐管を閉状態に第2分岐管を開状態に設定して吸引装置によって減圧される第2タンクにスラリーを吸引させる第2状態とを交互に切り替える切替制御部と、第2状態の期間に第1排出機構を制御して第1タンクからスラリーを排出させ、第1状態の期間に第2排出機構を制御して第2タンクからスラリーを排出させる排出制御部とを備えているスラリー移送システムである。
【0008】
本発明は、第1タンクと第2タンクとを備え、第1タンクと第2タンクとに交互にスラリーを吸引する。また、第1タンク内のスラリーは、第2タンクにスラリーを吸引する第2状態の期間に排出され、第2タンク内のスラリーは、第1タンクにスラリーを吸引する第1状態の期間に排出される。つまり、一方のタンクが密閉状態ではなくなるスラリーの排出期間に、他方のタンクにスラリーを吸引している。そのため、移送対象のスラリーを吸引できない期間が発生しない。
【0009】
また、本発明においては、第1流入管と第2流入管は、移送対象のスラリーが流入する上流側の管路が分岐して形成され、切替制御部は、第1状態と第2状態とを切り替える途中に、第1分岐管及び第2分岐管の両方を一時的に開状態に設定してもよい。
【0010】
この場合、第1タンクにスラリーを吸引する際も、第2タンクにスラリーを吸引する際も、上流側の管路にスラリーが流れ、上流側の管路で、スラリーの流れが止まることない。そのため、上流側の管路にスラリーが詰まることを抑制できる。
【0011】
また、本発明は、切替制御部が、タイマによる計測時間に基づいて第1状態と第2状態との切り替えタイミングを決定してもよい。
【0012】
ここで、従来技術では、タンクが1つしかないため、スラリー移送作業の効率をなるべく向上させるために、タンク内がほぼ満量になった後にスラリーを排出するようにしている。タンク内が満量になった否かを検出するためには、例えば液面センサ(レベルセンサ)が用いられる。それに対し、本発明でタイマによる計測時間に基づいて第1状態と第2状態との切り替えタイミングを決定する場合、液面センサを用いなくてもよい。そのため、スラリー移送システムの構成を簡素化できる。また、従来技術では液面センサが故障した場合に、スラリー移送システムの部品(例えば、吸引装置)の故障を引き起こす虞があるが、このような問題も回避できる。
【0013】
また、本発明は、スラリーを移送する際に使用されるタンクユニットであって、移送対象のスラリーを流入させるための第1流入管が接続され、該第1流入管から流入したスラリーを排出する第1排出機構が設けられた第1タンクと、移送対象のスラリーを流入させるための第2流入管が接続され、該第2流入管から流入したスラリーを排出する第2排出機構が設けられた第2タンクと、第1タンク及び第2タンクから空気を吸引するための吸引装置が接続される接続口から延びて、第1タンクに接続する第1分岐管と、第2タンクに接続する第2分岐管とに分岐する空気用配管と、第1分岐管及び第2分岐管の各々を開閉する開閉機構と、第1分岐管を開状態に第2分岐管を閉状態に設定して吸引装置によって空気が吸引される第1タンクにスラリーを流入させる第1状態と、第1分岐管を閉状態に第2分岐管を開状態に設定して吸引装置によって空気が吸引される第2タンクにスラリーを流入させる第2状態とが交互に切り替わるように開閉機構を制御する切替制御部と、第2状態の期間に第1排出機構を制御して第1タンクからスラリーを排出させ、第1状態の期間に第2排出機構を制御して第2タンクからスラリーを排出させる排出制御部とを備えているタンクユニットであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上述したように、一方のタンクが密閉状態ではなくなるスラリー排出期間に、他方のタンクにスラリーを吸引するため、移送対象のスラリーを連続的に吸引することができる。従って、スラリー移送作業の効率を向上させることができる。
【0015】
また、1つのタンクを用いる従来技術では、スラリー移送作業の効率をなるべく向上させるために、スラリーの吸引期間と排出期間が繰り返される中で吸引期間の割合を大きくする必要がある。この場合、タンクの容量が大きくなる。それに対し、本発明では、2つのタンクを交互に利用してスラリーを連続的に吸引できるため、各タンクの容量を小さくすることができ、タンクユニットをコンパクト化できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1−
図6を参照しながら、本発明の一例である実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
[1.スラリー移送システムの構成について]
スラリー移送システム10は、地盤改良又はシールド掘進等の土木工事に伴い発生するスラリーを発生場所から外部へ移送するシステムである。
図1及び
図2に示すように、スラリー移送システム10は、タンクユニット20と、吸引装置30とを備えている。吸引装置30には、例えば真空ポンプが用いられる。
【0019】
タンクユニット20は、第1タンク21と、第2タンク22と、空気用配管23と、スラリー用配管24と、圧縮機25と、制御部26とを備えている。第1タンク21と第2タンク22とは、同じ構成のタンクであり、
図1に示すタンクユニット20の正面視において左右対称に構成されている。圧縮機25は、一対のタンク21,22の前面側(スラリーが流入する側)に取り付けられている。タンクユニット20では、圧縮機25(エアーコンプレッサー)からの圧縮空気によって、後述するハッチシリンダー21c,22c、及び、後述する複数のバルブ(空気圧駆動弁)が駆動される。また、制御部26は、一対のタンク21,22の背面側に取り付けられた電気制御盤に設けられている。なお、各バルブに電磁弁を用いてもよいし、各ハッチシリンダー21c,22cは油圧式又は電動式であってもよい。
図1では、バルブの記載は省略している。
【0020】
各タンク21,22は、
図3に示すように、下方が解放されたタンク本体21a,22aと、タンク本体21a,22aの下端開口を開閉する排出ハッチ21b,22bと、排出ハッチ21b,22bを駆動するハッチシリンダー21c,22cとを備えている。排出ハッチ21b,22bは、タンク本体21a,22aの下端開口を閉じた閉状態でタンク21,22の底面を構成する。排出ハッチ21b,22bが閉状態の各タンク21,22は、密閉タンク(真空タンク)となる。各タンク21,22では、ハッチシリンダー21c,22cのピストンロッドの進退に応じて、排出ハッチ21b,22bが回転軸を支点にして開閉される。第1タンク21の排出ハッチ21b及びハッチシリンダー21cは、ハッチシリンダー21cを駆動する圧縮機25と共に第1排出機構28を構成する。第2タンク22の排出ハッチ22b及びハッチシリンダー22cは、ハッチシリンダー22cを駆動する圧縮機25と共に第2排出機構29を構成する。なお、
図3は、第1タンク21の側面図であるが、第1タンク21の符号の下に括弧書きで、第2タンク22の符号を記載している。
【0021】
タンク本体21a,22aの天板には、点検口として利用される筒体21d,22dが挿入されている。筒体21d,22dの上端開口は、点検用蓋体により塞がれている。筒体21d,22dのうち、天板から上方に突出する部分の上部には、後述する第1又は第2分岐管31,32が接続されている。また、筒体21d,22dのうち、天板から下方に突出する部分には、フロート21e,22eが収容されている。フロート21e,22eは、フロート受け部材によって筒体21d,22dから下方に落下しないように保持されている。筒体21d,22dの内面には、水位上昇に伴って上昇したフロート21e,22eが密着するフロートパッキンが設けられている。フロート21e,22e及びフロートパッキンは、後述する第1又は第2分岐管31,32にスラリーが流入することを防止する流入防止弁として機能する。
【0022】
また、第1タンク21のタンク本体21aの天板には、第1大気開放バルブ53が設けられた第1外部連通管35が接続されている。第2タンク22のタンク本体22aの天板には、第2大気開放バルブ54が設けられた第2外部連通管36が接続されている。また、第1タンク21のタンク本体21aの側面の上部には、第1流入制御バルブ37が設けられた第1流入管41が接続されている。第2タンク22のタンク本体22aの側面の上部には、第2流入制御バルブ38が設けられた第2流入管42が接続されている。
【0023】
空気用配管23は、吸引装置30を利用して密閉状態のタンク21,22から空気を排出するための配管である。空気用配管23は、
図2及び
図3に示すように、一端に接続口33aが設けられた接続管33と、接続管33の他端で二手に分岐した第1分岐管31及び第2分岐管32とを備えている。接続管33の接続口33aには、吸引装置30から延びる連結ホース44が接続される。第1分岐管31は、分岐箇所の逆端が第1タンク21の筒体21dの上部に接続されている。第2分岐管32は、分岐箇所の逆端が第2タンク22の筒体22dの上部に接続されている。
【0024】
第1分岐管31には、
図2に示すように、第1切替用バルブ51が設けられている。第2分岐管32には、第2切替用バルブ52が設けられている。本実施の形態では、各切替用バルブ51,52に空気圧駆動バタフライ弁を用いているが、他のタイプの弁を用いてもよい。第1切替用バルブ51及び第2切替用バルブ52は、第1分岐管31及び第2分岐管32の各々を開閉する開閉機構50を構成する。
【0025】
スラリー用配管24は、移送対象のスラリーをタンク21,22に流入させるための配管である。スラリー用配管24は、一端に接続口43aが設けられた接続管43と、接続管43の他端で二手に分岐した第1流入管41及び第2流入管42とを備えている。接続管43の接続口43aには、移送対象のスラリーの発生箇所に一端が配置される吸引ホース45の他端が接続される。また、第1流入管41は、分岐箇所の逆端が第1タンク21の側面上部に接続されている。第1流入管41には、第1流入制御バルブ37が設けられている。一方、第2流入管42は、分岐箇所の逆端が第2タンク22の側面上部に接続されている。第2流入管42には、第2流入制御バルブ38が設けられている。
【0026】
制御部26は、
図4に示すように、切替制御部61と排出制御部62と切替用タイマ63と排出用タイマ64と有する制御回路基板により構成されている。切替制御部61は、圧縮機25の制御を介して、第1切替用バルブ51及び第2切替用バルブ52と、第1流入制御バルブ37及び第2流入制御バルブ38とを制御する。排出制御部62は、圧縮機25の制御を介して、各タンク21,22のハッチシリンダー21c,22cと、第1大気開放バルブ53及び第2大気開放バルブ54とを制御する。なお、
図4では、便宜的に、各タンク21,22の各種バルブ及びハッチシリンダーを1つにまとめて記載している。
【0027】
切替制御部61は、第1切替用バルブ51及び第2切替用バルブ52(開閉機構50)を制御して、第1切替用バルブ51(第1分岐管31)を開状態に第2切替用バルブ52(第2分岐管32)を閉状態に設定して吸引装置30によって減圧される第1タンク21にスラリーを吸引する第1状態と、第1切替用バルブ51(第1分岐管31)を閉状態に第2切替用バルブ52(第2分岐管32)を開状態に設定して吸引装置30によって減圧される第2タンク22にスラリーを吸引する第2状態とを交互に切り替える切替制御を行う。切替制御部61は、切替用タイマ63による計測時間に基づいて第1状態と第2状態との切り替えタイミングを決定する。第1状態と第2状態との切り替えは、切替用タイマ63がタイムアップしたタイミングで行われる。切替用タイマ63は、設定時間が経過してタイムアップすると、直ちにリセットされてカウントダウンを開始する。
【0028】
排出制御部62は、第2状態の期間にハッチシリンダー21c(第1排出機構28)を制御して第1タンク21からスラリーを排出させ、第1状態の期間にハッチシリンダー22c(第2排出機構29)を制御して第2タンク22からスラリーを排出させる排出制御を行う。第1タンク21からスラリーを排出する排出制御では、排出制御部62が、第1大気開放バルブ53を閉状態から開状態へ切り替えた直後に、ハッチシリンダー21cを制御して排出ハッチ21bを開く。そして、同時に排出用タイマ64のカウントダウンを開始させる。排出制御部62は、排出用タイマ64の設定時間が経過してタイムアップした時点で、ハッチシリンダー21cを制御して排出ハッチ21bを閉じて、第1大気開放バルブ53を閉状態に戻す。つまり、排出ハッチ21bは、排出用タイマの設定時間だけ開放される。
【0029】
第1タンク21からスラリーを排出する前に、密閉状態になっていた第1タンク21を外部と連通させるため、スラリーが大きく飛散することなく、第1タンク21からスラリーがスムーズに排出される。なお、第2タンク22からスラリーを排出する排出制御は、排出制御部62の制御対象が第2大気開放バルブ54及びハッチシリンダー22cという点が異なるが、処理の順番は同じである。そのため、詳細な説明は省略する。
【0030】
また、電気制御盤には、図示は省略するが、第1タンク21のスイッチ、第2タンク22のスイッチ、圧縮機25のスイッチ、自動運転スイッチ、切替用タイマ63の設定時間を入力するための第1タイマ設定部、及び、排出用タイマ64の設定時間を入力するための第2タイマ設定部が設けられている。なお、制御部26が行う切替制御及び排出制御は、プロセッサがメモリに記憶したプログラムを読み出して実行することにより行われる。この他に、専用LSIなどによるハードウェア動作によっても、これらの制御を実現することが可能である。
【0031】
[2.スラリー移送システムの動作について]
まず工事現場におけるスラリー移送システム10の設置状況について説明する。
【0032】
図1に示すように、タンクユニット20は、各タンク21,22が排泥槽40の底面の上方に位置するように、支持フレーム(図示省略)によって支持されている。排泥槽40は、上方が開放された水槽であり、各タンク21,22よりも多くのスラリーを貯留できる。排泥槽40には、スラリーポンプ46が設けられる。スラリーポンプ46から延びるホース47の出口は、スラリーを積み込むトラック48に設置される。また、吸引装置30の吸引口から延びる連結ホース44が、空気用配管23の接続口33aに接続される。スラリー発生箇所から延びる吸引ホース45が、スラリー用配管24の接続口43aに接続される。また、電気制御盤に、発電機から延びる電源供給ケーブルが接続される(図示省略)。
【0033】
続いて、通常運転について説明する前に、切替用タイマ63の設定時間を調整するための準備運転について説明する。準備運転は、切替用タイマ63のカウントダウン開始からタイムアップまでのスラリーの吸引量をユーザが目視確認できるように、第1タンク21にスラリーを吸引する作業を1回だけ行う運転である。準備運転前に、ユーザは、第1タイマ設定部から、切替用タイマ63の設定時間を設定可能な範囲の最小値(例えば20秒)に設定する。そして、圧縮機25のスイッチ、及び、第1タンク21のスイッチをONに設定する。また、同時に吸引装置30のスイッチもONに設定する。
【0034】
この状態で、自動運転スイッチをONに設定することで、準備運転が開始され、切替用タイマ63のカウントダウンが開始される。準備運転中は、
図5(c)に示す状態に各種バルブが設定される。第1タンク21内の空気が吸引装置30に吸引され、第1タンク21内が略真空状態になり、第1流入管41を介してスラリーが第1タンク21に流入する。そして、切替用タイマ63がタイムアップすると、第1流入制御バルブ37が閉状態に設定される。ユーザは、第1タンク21におけるスラリーの吸引量を目視確認し、吸引量が少ないと判断した場合は、切替用タイマ63の設定時間を長くして、スラリーの吸引量が適切な量(例えば、第1タンク21の容量の半分程度)となるまで、繰り返し準備運転を行うことができる。
【0035】
続いて、
図5及び
図6を参照して通常運転について説明する。なお、排出用タイマ64の設定時間は、切替用タイマ63よりも短い時間(例えば5秒)に設定される。
【0036】
図5(a)に示すように、各切替用バルブ51,52、各流入制御バルブ37,38、及び、各大気開放バルブ53,54は、初期状態として、何れも開状態に設定されている。この状態で、ユーザは、圧縮機25のスイッチ、各タンク21,22のスイッチ、及び、自動運転スイッチをONに設定する。また、同時に吸引装置30のスイッチもONに設定する。自動運転スイッチをONに設定すると同時に、スラリー移送システム10の動作が開始され、切替用タイマ63のカウントダウンが開始される。なお、
図5及び
図6では、状態が切り替わった部品の符号を四角で囲んでいる。
【0037】
まず、
図5(b)に示すように、制御部26は、初期状態から、第2切替用バルブ52、第2流入制御バルブ38、及び、第2大気開放バルブ54の各々を閉状態に切り替える。この状態では、第1タンク21の空気が第1分岐管31を介して吸引装置30に吸引されるが、第1大気開放バルブ53が開状態であるため、第1タンク21の内圧はほとんど変化しない。そして、
図5(b)の状態への切り替え直後に、制御部26は、
図5(c)に示すように、第1大気開放バルブ53を閉状態に切り替える。これにより、第1タンク21内の空気が減少し、第1タンク21内が略真空状態になる。第1タンク21には、第1流入管41を介してスラリーが流入する。つまり、吸引装置30によって減圧される第1タンク21にスラリーを吸引させる第1状態となる。
【0038】
続いて、切替制御部61は、切替用タイマ63がタイムアップしたことを検出すると、
図5(d)に示すように、第2切替用バルブ52を開状態に切り替える。第1切替用バルブ51及び第2切替用バルブ52の両方が開状態に設定されることで、第1分岐管31及び第2分岐管32を介して第1タンク21と第2タンク22とが連通し、第1タンク21の内圧と第2タンク22の内圧とが略等しくなる。
【0039】
続いて、切替制御部61は、
図5(e)に示すように、第2流入制御バルブ38を開状態に切り替える。第1タンク21及び第2タンク22の両方に、スラリー用配管24を介してスラリーが吸引される状態となる。切替制御部61は、第1状態と第2状態との切り替え途中に、第1分岐管31及び第2分岐管32の両方を一時的に開状態に設定する。
【0040】
続いて、切替制御部61は、
図5(f)に示すように、第1切替用バルブ51及び第1流入制御バルブ37を閉状態に切り替える。これにより、第1タンク21にスラリーが吸引されなくなり、吸引装置30によって減圧される第2タンク22だけにスラリーが吸引される第2状態となる。
【0041】
続いて、排出制御部62は、
図6(a)に示すように、第1大気開放バルブ53を開状態に切り替え、その直後に第1タンク21のハッチシリンダー21cを駆動し(ピストンロッドの突出長を短縮し)、排出ハッチ21bを開放する。同時に、排出用タイマ64のカウントダウンを開始させる。これにより。第1タンク21に溜まったスラリーが排泥槽40に流入する。排泥槽40に溜まったスラリーは、スラリーポンプ46によってトラック48に積み込まれる。なお、第1大気開放バルブ53を開状態に切り替えるタイミングは、例えば、
図4に図示しないタイマの計測時間によって決定することができる。
【0042】
続いて、排出制御部62は、排出用タイマ64がタイムアップしたことを検出すると、
図6(b)に示すように、第1大気開放バルブ53を閉状態に切り替え、第1タンク21のハッチシリンダー21cを駆動し(ピストンロッドの突出長を長くして)、排出ハッチ21bを閉鎖する。
【0043】
続いて、切替制御部61は、切替用タイマ63がタイムアップしたことを検出すると、第1切替用バルブ51を開状態に切り替える。そして、切替制御部61は、
図6(c)に示すように、第1流入制御バルブ37を開状態に切り替える。第1タンク21及び第2タンク22の両方に、スラリー用配管24を介してスラリーが吸引される状態となる。
【0044】
続いて、切替制御部61は、
図6(d)に示すように、第2切替用バルブ52及び第2流入制御バルブ38を閉状態に切り替える。これにより、第1タンク21だけにスラリーが吸引される第1状態となる。続いて、排出制御部62は、第2大気開放バルブ54を開状態に切り替える。その直後に、
図6(e)に示すように、第2タンク22のハッチシリンダー22cを駆動して排出ハッチ22bを開放する。同時に、排出用タイマ64のカウントダウンを開始させる。これにより、第2タンク22に溜まったスラリーが排泥槽40に流入する。続いて、排出制御部62は、排出用タイマ64がタイムアップしたことを検出すると、
図6(f)に示すように、第2大気開放バルブ54を閉状態に切り替え、第1タンク21のハッチシリンダー21cを駆動して排出ハッチ21bを閉鎖する。さらに、切替制御部61は、第2切替用バルブ52を開状態に切り替える。
【0045】
図6(f)の状態は、
図5(d)の状態と同じである。
図6(f)の状態後は、
図5(e)、の状態、
図5(f)の状態、
図6(a)〜(f)の状態に順番に切替えられる。スラリー移送システム10は、自動運転スイッチがOFFに切替えられるまで動作を継続する。
【0046】
[3.実施の形態の効果等]
本実施の形態では、タンクユニット20が第1タンク21と第2タンク22とを備え、第1タンク21と第2タンク22とに交互にスラリーを吸引する。また、第1タンク21内のスラリーは、第2タンク22にスラリーを吸引する第2状態の期間に排出され、第2タンク22内のスラリーは、第1タンク21にスラリーを吸引する第1状態の期間に排出される。つまり、一方のタンク21,22が密閉状態ではなくなるスラリー排出期間に、他方のタンク21,22にスラリーを吸引している。そのため、移送対象のスラリーを吸引できない期間が発生することなく、スラリーを連続的に吸引することができる。従って、スラリー移送作業の効率を向上させることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、2つのタンク21,22を交互に利用してスラリーを連続的に吸引するため、従来のようにタンクの容量を大きくする必要がない。各タンク21,22の容量を小さくすることができ、タンクユニット20をコンパクト化できる。
【0048】
また、従来技術では、タンクにスラリーが徐々に溜まっていくと、タンク内の負圧が低下し、移送対象のスラリーを吸引する力が低下する。この低下に伴って、スラリー移送作業の効率が低下する。それに対し、本実施の形態では、各タンク21,22の容量に対し余裕を持たせて第1状態と第2状態との切り替えが行われるように切替用タイマ63の設定時間を決めることで、移送対象のスラリーを吸引する力が低下することを抑止できる。従って、この点においても従来技術に比べて、スラリー移送作業の効率を向上させることができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、第1流入管41と第2流入管42が、移送対象のスラリーが流入する上流側の管路43が分岐して形成されている。また、第1状態と第2状態とを切り替える途中に、第1分岐管31及び第2分岐管32の両方を一時的に開状態に設定する。そして、第1状態と第2状態とを切り替える際にも吸引装置30の運転を継続させる。そのため、移送対象のスラリーが存在する箇所から延びる管路43,45で、スラリーの流れが止まることない。そのため、この管路43,45にスラリーが詰まることを抑制できる。
【0050】
また、本実施の形態では、切替用タイマ63による計測時間に基づいて第1状態と第2状態との切り替えタイミングを決定するため、液面センサは必須ではない。そのため、スラリー移送システム10の構成を簡素化できる。また、従来技術では液面センサが故障した場合に、スラリー移送システムの部品(例えば、吸引装置)の故障を引き起こす虞があるが、このような問題も回避することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、第1タンク21の容量と第2タンク22の容量とが等しい。そのため、個別に切替用タイマを設ける必要がなく、2つのタンク21,22に対して1つの切替用タイマ63を兼用できる。なお、第1タンク21の容量と第2タンク22の容量は互いに異なっていてもよい。
【0052】
[4.変形例について]
上述の実施の形態では、第1状態と第2状態との切り替え途中に第1分岐管31及び第2分岐管の両方を開状態に設定する期間を設けたが、この期間を設けることなく、第1状態と第2状態との切り替えを行うようにしてもよい。その場合、切り替え中に吸引装置30を一瞬だけ停止させたとしても、従来技術に比べてスラリー移送作業の効率を向上させることができる。
【0053】
上述の実施の形態では、切替用タイマ63による計測時間に基づいて第1状態と記第2状態との切り替えタイミングを決定したが、切替用タイマ63は必須ではない。代わりに、各タンク21に設けた液面センサを利用して、上述の切り替えタイミングを決定してもよい。
【0054】
上述の実施の形態では、空気用配管23で第1分岐管31と第2分岐管32とが分岐しているが、二手に分岐した連結ホース44を用いて、各タンク21,22から延びる配管に、分岐した連結ホース44を接続してもよい。
【0055】
上述の実施の形態では、2つのタンク21,22が別体で形成されているが、1つの密閉容器内を2つに区画することで、2つのタンク21,22を形成してもよい。
【解決手段】スラリー移送システム10は、第1タンク21と、第2タンク22と、吸引装置30から延びて第1タンク21に接続する第1分岐管31と、第2タンク22に接続する第2分岐管32とに分岐する空気用配管23と、第1分岐管31及び第2分岐管32の各々を開閉する開閉機構50と、第1分岐管31を開状態に第2分岐管32を閉状態に設定して第1タンク21にスラリーを吸引させる第1状態と、第1分岐管31を閉状態に第2分岐管32を開状態に設定して第2タンク22にスラリーを吸引させる第2状態とを交互に切り替える切替制御部61と、第2状態の期間に第1排出機構28を制御して第1タンク21からスラリーを排出させ、第1状態の期間に第2排出機構29を制御して第2タンク22からスラリーを排出させる排出制御部62とを備えている。