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特許6094021顧客分析サーバ、顧客分析方法、および顧客分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6094021
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】顧客分析サーバ、顧客分析方法、および顧客分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170306BHJP
【FI】
   G06Q30/02 312
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-166310(P2016-166310)
(22)【出願日】2016年8月26日
【審査請求日】2016年9月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513204850
【氏名又は名称】株式会社 E−Grant
(74)【代理人】
【識別番号】100131853
【弁理士】
【氏名又は名称】澤邉 由美子
(72)【発明者】
【氏名】向 徹
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−143237(JP,A)
【文献】 特開2003−223544(JP,A)
【文献】 特開2002−049738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を一意に識別する顧客識別情報と、前記顧客が商品またはサービスを購入した購入日と、前記顧客の通算購入回数である購入回数と、を対応付けた顧客購入情報を記憶する顧客購入情報記憶手段と、
顧客分析する基準日である分析基準日の入力を受付ける基準日受付手段と、
前記顧客購入情報記憶手段に記憶する顧客購入情報および前記分析基準日を用い、顧客状況を判定する顧客状況判定手段と、
前記顧客状況判定手段によって判定した前記顧客状況を加えた前記顧客購入情報を生成する顧客購入情報生成手段と、
前記顧客購入情報生成手段によって生成した前記顧客購入情報から前記顧客状況それぞれの顧客数を算出する顧客数算出手段と、
前記顧客数算出手段によって算出した前記顧客状況それぞれの顧客数を前記購入回数ごとに表示する表示手段とを備え
前記顧客状況は、商品またはサービスを購入した後にさらに商品またはサービスを購入した顧客である旨を示す継続、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間が経過せず、かつ、商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す滞在、商品またはサービスを購入した後に前記離脱判断期間内に商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す離脱のいずれかであることを特徴とする顧客分析サーバ。
【請求項2】
前記顧客購入情報記憶手段は、さらに商品またはサービスを購入する方法を示す購入種別を前記顧客識別情報に対応付けて記憶し、前記購入回数を前記購入種別ごとの回数とし、
前記顧客数算出手段は、前記購入種別ごとの前記顧客数を算出すること、を特徴とする請求項1に記載の顧客分析サーバ。
【請求項3】
前記顧客数算出手段は、前記購入日が所定期間内である前記顧客購入情報から前記顧客数を算出すること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の顧客分析サーバ。
【請求項4】
前記顧客数算出手段は、所定期間内に初回購入した顧客の前記顧客購入情報から前記顧客数を算出すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の顧客分析サーバ。
【請求項5】
ECサーバで生成する購入履歴情報に含まれる顧客を特定できる情報の組合せから前記顧客識別情報を生成する顧客識別情報生成手段、をさらに備え、
前記顧客購入情報生成手段は、前記顧客識別情報生成手段によって生成した前記顧客識別情報を加えた前記顧客購入情報を生成すること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の顧客分析サーバ。
【請求項6】
前記顧客数算出手段は、前記顧客数と、前記顧客数にカウントされた前記顧客購入情報とを対応付けて記憶部に記憶し、
前記表示手段は、前記顧客数の指示を受付けた場合、前記記憶部に記憶する前記顧客数に対応付けられた前記顧客購入情報を表示すること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の顧客分析サーバ。
【請求項7】
前記表示手段は、顧客推移を表示する旨の指示を受付けた場合に、前記顧客購入情報記憶手段に記憶する前記顧客購入情報から前記顧客状況ごとの顧客数および顧客割合の推移を時系列に表示すること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の顧客分析サーバ。
【請求項8】
顧客を一意に識別する顧客識別情報と、前記顧客が商品またはサービスを購入した購入日と、前記顧客の通算購入回数である購入回数と、を対応付けた顧客購入情報を記憶する顧客購入情報記憶手段を備える顧客分析サーバで実行される顧客分析方法であって、
顧客分析する基準日である分析基準日の入力を受付ける基準日受付ステップと、
前記顧客購入情報記憶手段に記憶する顧客購入情報および前記分析基準日を用い、顧客状況を判定する顧客状況判定ステップと、
前記顧客状況判定ステップによって判定した前記顧客状況を加えた前記顧客購入情報を生成する顧客購入情報生成ステップと、
前記顧客購入情報生成ステップによって生成した前記顧客購入情報から前記顧客状況それぞれの顧客数を算出する顧客数算出ステップと、
前記顧客数算出ステップによって算出した前記顧客状況それぞれの顧客数を前記購入回数ごとに表示する表示ステップとを含み、
前記顧客状況は、商品またはサービスを購入した後にさらに商品またはサービスを購入した顧客である旨を示す継続、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間が経過せず、かつ、商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す滞在、商品またはサービスを購入した後に前記離脱判断期間内に商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す離脱のいずれかであることを特徴とする顧客分析方法。
【請求項9】
顧客を一意に識別する顧客識別情報と、前記顧客が商品またはサービスを購入した購入日と、前記顧客の通算購入回数である購入回数と、を対応付けた顧客購入情報を記憶する顧客購入情報記憶手段を備える顧客分析サーバに、
顧客分析する基準日である分析基準日の入力を受付ける基準日受付ステップと、
前記顧客購入情報記憶手段に記憶する顧客購入情報および前記分析基準日を用い、顧客状況を判定する顧客状況判定ステップと、
前記顧客状況判定ステップによって判定した前記顧客状況を加えた前記顧客購入情報を生成する顧客購入情報生成ステップと、
前記顧客購入情報生成ステップによって生成した前記顧客購入情報から前記顧客状況それぞれの顧客数を算出する顧客数算出ステップと、
前記顧客数算出ステップによって算出した前記顧客状況それぞれの顧客数を前記購入回数ごとに表示する表示ステップとを実行させ
前記顧客状況は、商品またはサービスを購入した後にさらに商品またはサービスを購入した顧客である旨を示す継続、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間が経過せず、かつ、商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す滞在、商品またはサービスを購入した後に前記離脱判断期間内に商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す離脱のいずれかであることを特徴とする顧客分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客分析サーバ、顧客分析方法、および顧客分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品やサービスを提供する企業において顧客の購入履歴を分析し顧客の購入頻度や購入金額を最大化するための営業戦略を検討することは多く行なわれている。その一例として、EC(electronic commerce)サイトでの既存顧客の購入履歴から優良顧客のセグメントを見いだす顧客分析、例えばRFM分析等が実施されている。また、顧客分析結果に応じた営業戦略の結果を予め予測する技術も開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-243090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の顧客分析技術や特許文献1に記載した将来の営業戦略結果の予測技術は、顧客がその時々で商品やサービスを購入した結果に基づく顧客分析手法であり、顧客が購入を複数回繰り返すような顧客の購入行動を分析することができず、効果的な営業戦略を検討し採用することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、商品やサービスを複数回購入する顧客の購入行動に応じた顧客分析を実施することができる顧客分析サーバ、顧客分析方法、および顧客分析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明では、顧客分析する基準日である分析基準日の入力を受付け、顧客購入情報記憶手段に記憶する顧客購入情報および分析基準日を用い、顧客状況を判定し、判定した顧客状況を加えた顧客購入情報を生成し、生成した顧客購入情報から顧客状況それぞれの顧客数を算出し、算出した顧客状況それぞれの顧客数を購入回数ごとに表示し、顧客状況は、商品またはサービスを購入した後にさらに商品またはサービスを購入した顧客である旨を示す継続、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間が経過せず、かつ、商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す滞在、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間内に商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す離脱のいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上述したように構成した本発明によれば、商品やサービスを複数回購入する顧客の購入行動に応じた顧客分析を実施することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例にかかる顧客分析システム10の構成を示すブロック図である。
図2】購入履歴情報記憶部110のデータ構成の一例を示す説明図である。
図3】顧客購入情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。
図4】定期購入の顧客分析結果の一例を示す説明図である。
図5】すべての購入種別の顧客分析結果の一例を示す説明図である。
図6】顧客分析サーバ100が実行する顧客分析処理手順を示すフローチャートである。
図7】顧客分析サーバ100が実行する顧客状況判定処理手順を示すフローチャートである。
図8】顧客購入情報一覧を示す説明図である。
図9】顧客状況ごとの顧客数および顧客割合を時系列に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照し本発明の実施例を説明する。なお、以下の説明は、実施の形態の一例であり、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施例にかかる顧客分析システム10の構成を示すブロック図である。顧客分析システム10は、顧客分析サーバ100と、ECサーバ200と、情報端末装置300とを備え、顧客分析サーバ100、ECサーバ200、情報端末装置300は、図1に示すように、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続する。ネットワークNは、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、移動体通信網等の通信ネットワークである。
【0011】
顧客分析サーバ100は、ECサーバ200において顧客が商品やサービスを購入し決済するごとに生成する購入履歴情報に基づき顧客分析を実行するサーバである。顧客分析サーバ100は、購入履歴情報記憶部110と、顧客購入情報記憶部120と、送受信部101と、顧客識別情報生成部102と、顧客購入情報生成部103と、顧客状況判定部104と、顧客数算出部105と、入出力部106とを備える。
【0012】
図2は、購入履歴情報記憶部110のデータ構成の一例を示す説明図である。購入履歴情報記憶部110は、ECサーバ200での電子商取引の際に生成した購入履歴情報をECサーバ200から取得し記憶する。購入履歴情報は、ECサーバ200からネットワークNを介し受信するか記憶媒体を介し受け取る。購入履歴情報記憶部110は、購入者識別情報と、購入日と、購入種別と、購入者名と、電話番号と、その他の情報とを対応付けて記憶する。その他の情報として、購入商品名、購入金額、流入経路等を対応付けて記憶してもよい。
【0013】
ここでいう、購入者識別情報とは、ECサーバ200上のECサイトで購入者を識別する情報であり、例えば購入時に購入者によって入力されたユーザID等である。購入日は、商品やサービスを購入した日付であり、日付に時刻を加えてもよい。購入種別とは、顧客が商品やサービスを購入する方法であり、購入日や購入間隔を定めて繰り返し購入する“定期購入”、その都度購入する“通常購入”、試供品を配送する“サンプル”がある。さらに、購入者によって入力された購入者名、電話番号等を記憶する。
【0014】
図3は、顧客購入情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。顧客購入情報記憶部120は、購入履歴情報記憶部110に記憶する購入履歴情報から生成した、顧客分析サーバ100の顧客分析で用いる顧客の購入に関する情報を記憶する。顧客購入情報記憶部120は、購入者識別情報と、購入日と、購入種別と、購入者名と、電話番号と、顧客識別情報と、購入回数と、その他の情報とを対応付けて記憶する。その他の情報として、購入履歴情報記憶部110と同様に、購入商品名、購入金額、流入経路等を対応付けて記憶してもよい。
【0015】
ここで、顧客識別情報とは、顧客分析サーバ100で実行する顧客分析処理において顧客を一意に識別する情報である。顧客識別情報は、購入者識別情報によって顧客を一意に識別することができる場合は購入者識別情報と同一でもよく、購入履歴情報の顧客を特定できるいくつかの情報を用いて顧客を一意に識別する顧客識別情報を生成(すなわち名寄せ)してもよい。購入回数とは、顧客が商品またはサービスを購入した通算回数であり、例えば顧客識別情報“UID0011”の顧客の購入種別ごとの顧客識別情報をカウントし通算購入回数を算出する。
【0016】
なお、購入種別は、購入履歴情報に含む場合、購入履歴情報の購入種別をそのまま用いる。しかし、購入履歴情報に購入種別の項目がなく、購入履歴情報に含まれる定期番号の有無で“定期購入”と“通常購入”の別を判断する場合は、後述する顧客購入情報生成部103において、購入履歴情報に含まれる定期番号の有無で“定期購入”と“通常購入”の別を判断する。また、購入種別“サンプル”を購入履歴情報に含まれる商品区分で判断する場合は、後述する顧客購入情報生成部103において商品区分で判断する。
【0017】
送受信部101は、ECサーバ200との間でデータを送受信する。送受信部101は、ECサーバ200で顧客が商品やサービスを購入し決済するごとに生成する購入履歴情報を、購入履歴情報を生成するごとまたは一定の期間ごとに受信し、購入履歴情報記憶部110に格納する。
【0018】
顧客識別情報生成部102は、購入履歴情報記憶部110に記憶する購入履歴情報に含まれる顧客を特定する情報の組合せから顧客を一意に識別する顧客識別情報を生成する。例えば、顧客名と電話番号から顧客識別情報を生成する。
【0019】
顧客購入情報生成部103は、購入履歴情報記憶部110に記憶する購入履歴情報および顧客識別情報生成部102によって生成した顧客識別情報を用い顧客購入情報を生成する。より具体的には、顧客購入情報生成部103は、顧客ごとに購入種別ごとの購入回数をカウントし、カウントした購入回数および顧客識別情報を加えた顧客購入情報を生成し顧客購入情報記憶部120に格納する。
【0020】
顧客状況判定部104は、顧客購入情報記憶部120に記憶する顧客識別情報ごとに顧客状況を判定する。顧客状況とは、顧客の購入に関する状態を示す情報であり、より具体的には、顧客状況判定部104は、顧客の最終購入日が分析基準日から所定期間を超えているか否かで顧客状況を判定する。最終購入日が分析基準日から一定の期間(以下離脱判断期間という)を超えていない場合、顧客状況は、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間が経過せず、かつ、商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す“滞在”と判定する。最終購入日が分析基準日から離脱判断期間を超えている場合、顧客状況は、商品またはサービスを購入した後に離脱判断期間内に商品またはサービスを購入していない顧客である旨を示す“離脱”と判定する。また、購入回数が最終購入回数でない場合、顧客状況は、商品またはサービスを購入した後にさらに商品またはサービスを購入した顧客である旨を示す“継続”と判定する。詳細は後述する。
【0021】
顧客数算出部105は、購入種別ごと購入回数ごとの顧客状況が“滞在”、“離脱”、“継続”それぞれである顧客購入情報をカウントし購入種別ごと購入回数ごとの顧客数および顧客割合を算出する。
【0022】
入出力部106は、入力部と出力部を備え、入力部はキーボード、マウス等の入力装置および入力制御部、出力部はディスプレイ等の出力装置および出力制御部であり、または入出力を合わせた装置および制御部、例えばタッチパネル等である。出力部は、顧客数算出部105での算出結果を表示画面に表示する。入力部は、分析基準日等の分析に関する情報の入力を受付ける。なお、入力部は、ECサーバ200で生成する購入履歴情報を記憶媒体を介し取得してもよい。
【0023】
図4は、定期購入の顧客分析結果の一例を示す説明図であり、購入種別“定期購入”の分析結果を示す。表示画面例41の顧客数42は、購入回数“1回(初回)”の購入を行なった顧客数および顧客割合を示し、本例では7604(100%)である。顧客数43は、顧客状況“滞在”の顧客数、すなわち分析基準日が離脱判断期間内であり、かつ、2回目の定期購入をしなかった顧客数を示す。顧客数44は、顧客状況“継続”の顧客数、すなわち2回目の定期購入をした顧客数を示す。顧客数45は、顧客状況“離脱” の顧客数、すなわち離脱判断期間内に2回目の定期購入をしなかった顧客数を示す。なお、顧客状況“離脱” の顧客数は、上述した“離脱”の顧客数に代えて定期購入を解約した顧客のみをカウントしてもよい。
【0024】
図5は、すべての購入種別の顧客分析結果の一例を示す説明図であり、購入種別“定期購入”、“通常購入”、“サンプル”それぞれの算出結果を示す。表示画面例51の顧客数52は、購入期間の初回が購入種別“定期購入”である顧客数 “7412(72.4%)”を示す。顧客数53は、購入期間の初回の購入種別が“通常購入”である顧客数を示す。顧客数54は、購入期間の初回の購入種別が“サンプル”である顧客数を示す。
【0025】
また顧客数55は、顧客状況“滞在”の顧客数、すなわち離脱判断期間内に2回目の定期購入、通常購入、離脱をしなかった顧客数を示す。顧客数56は、1回目の通常購入した後に“定期購入”した顧客数を示す。顧客数57は、1回目の通常購入した後に“通常購入”した顧客数を示す。顧客数58は、1回目の通常購入した後に“離脱”した顧客数を示す。なお、図4および図5の表示画面は、1画面として表示してもよい。
【0026】
ECサーバ200は、顧客が使用するスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末装置300との間で電子商取引を行なうウェブサーバであり、商品またはサービスを購入し決済するごとに購入履歴情報を生成し購入履歴情報記憶部210に格納する。ECサーバ200は、一例として通信販売サイトやオンラインショッピングモール等のウェブサーバである。送受信部201は、顧客分析サーバ100、情報端末装置300との間でデータを送受信する。送受信部201は、顧客分析サーバ100で分析対象とする購入履歴情報を購入履歴情報記憶部210から取得しネットワークNを介し顧客分析サーバ100に送信する。また、ECサーバ200は、購入履歴情報記憶部210に記憶する購入履歴情報を記憶媒体に書込み記憶媒体を介し顧客分析サーバ100に受け渡してもよい。
【0027】
上述のように構成された顧客分析サーバ100で実行する顧客分析処理について説明する。図6は、顧客分析サーバ100が実行する顧客分析処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
入出力部106は、分析条件の入力を受付ける(ステップS601)。分析条件として、分析基準日や離脱基準日数、購入期間、対象範囲、対象商品、対象カテゴリー、対象外商品、流入媒体等を設定する。
【0029】
ここで、分析基準日は、顧客が商品またはサービスを購入しない日数である不買日数を算出する際に基準とする日付である。不買日数は、最終購入日から分析基準日までの期間の日数である。なお、分析基準日は、購入期間外、購入期間内のいずれにも設定することができる。
【0030】
離脱基準日数は、顧客状況が“離脱”であるか否かを判定するための基準とする日数である。購入期間は、顧客分析の対象とする顧客購入情報を定めるための条件であり、購入日が購入期間に含まれている顧客購入情報を分析対象とする。対象範囲は、購入期間の顧客購入情報のうち、さらに分析対象を絞り込む条件である。具体的には、購入期間に初回購入した顧客のみを対象にする“初回”と、購入期間に初回購入した顧客以外の顧客も対象にする“すべて”のいずれかを選択する。
【0031】
対象商品は、顧客が購入した商品およびサービスのうち対象とする商品、サービスを指定する。対象カテゴリーは、顧客が購入した商品およびサービスのうち対象とする商品のカテゴリー(商品群)やサービスのカテゴリー(サービス群)を指定する。対象外商品は、顧客が購入した商品およびサービスのうち対象としない商品、サービスを指定する。このように分析対象である商品、サービス、商品のカテゴリー、サービスのカテゴリーを指定または除外することによって、より細かな分析が可能となる。なお、分析対象の指定は、購入種別ごと購入回数ごとに行なってもよい。
【0032】
流入媒体は、顧客がECサーバ200のECサイトに流入した経路であり、例えば、ウェブ広告A、ウェブ広告B、広告メール等の媒体を設定する。これにより、媒体ごとの広告効果を分析することができる。
【0033】
顧客識別情報生成部102は、購入履歴情報を購入履歴情報記憶部110から取得する(ステップS602)。顧客識別情報生成部102は、購入履歴情報から顧客識別情報を生成する(ステップS603)。例えば、購入履歴情報に含まれる購入者名と電話番号(または住所)が一致する顧客は、同一顧客とみなしシステム内で一意となる顧客識別情報を付与する。顧客購入情報生成部103は、購入履歴情報それぞれについて購入種別ごとの購入回数をカウントする(ステップS604)。なお、購入回数は、顧客購入情報生成部103でカウントするほか、ECサーバ200で生成する購入履歴情報に記憶されていれば、その値を利用してもよい。顧客購入情報生成部103は、購入履歴情報に顧客識別情報と購入種別ごとの購入回数を追加した顧客購入情報を生成し顧客購入情報記憶部120に格納する(ステップS605)。
【0034】
顧客状況判定部104は、顧客状況判定処理を実行する(ステップS606)。詳細は後述する。顧客数算出部105は、購入種別ごと購入回数ごとに顧客状況それぞれの顧客数および顧客割合を算出する(ステップS607)。入出力部106は、算出結果を表示画面に表示する(ステップS608)。一例として、図4図5のような表示画面を表示する。
【0035】
次に、ステップS606の顧客状況判定処理について説明する。図7は、顧客分析サーバ100が実行する顧客状況判定処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
顧客状況判定部104は、顧客購入情報記憶部120から顧客購入情報を取得する(ステップS701)。顧客状況判定部104は、顧客購入情報が最終購入であるか否かを判断する(ステップS702)。具体的には、対象である顧客購入情報の購入日以降の購入日に顧客購入情報が記憶されているか否かで判断する。顧客購入情報が最終購入でないと判断した場合(ステップS702:No)、顧客状況は“継続”と判定する(ステップS703)。
【0037】
顧客購入情報が最終購入であると判断した場合(ステップS702:Yes)、分析基準日から最終購入日までの日数、すなわち不買日数を算出する(ステップS704)。例えば、分析基準日が“2016年7月15日”で最終購入日が“2016年5月20日”の場合は、不買日数は“56日”と算出する。顧客状況判定部104は、不買日数が離脱基準日数以上であるか否かを判断する(ステップS705)。不買日数が離脱基準日数以上であると判断した場合(ステップS705:Yes)、顧客状況は“離脱”と判定する(ステップS706)。例えば、不買日数が“93日”で離脱基準日数が“90日”の場合“離脱”と判定する。不買日数が離脱基準日数以上でないと判断した場合(ステップS705:No)、顧客状況は“滞在”と判定する(ステップS707)。例えば、不買日数が“56日”で離脱基準日数が“90日”の場合“滞在”と判定する。
【0038】
顧客状況判定部104は、判定結果である顧客状況を顧客購入情報記憶部120に格納する(ステップS708)。例えば、図3の顧客購入情報31の顧客状況には“継続”を格納する。顧客状況判定部104は、顧客購入情報記憶部120に記憶するすべての顧客購入情報を取得したか否かを判断する(ステップS709)。すべての顧客購入情報を取得していないと判断した場合(ステップS709:No)、ステップS701に進む。すべての顧客購入情報を取得したと判断した場合(ステップS709:Yes)、処理を終了する。
【0039】
このように、例えば“定期購入”という購入種別において、購入回数ごとに顧客状況を“継続”、“離脱”、“滞在”のいずれかと判定することによって、ECサイトでどの購入回数で顧客の離脱が発生しているかを容易に把握することができ、顧客に対し適切なタイミングで施策を講じることができる。
【0040】
また、購入種別ごと購入回数ごとの顧客状況それぞれの顧客数および顧客割合を把握することができるため、購入種別を変更するための施策、例えば“通常購入”から“定期購入”に変更するための施策をどのタイミングで実施すべきなのかを判断することができる。
【0041】
他の実施例として、図4図5の顧客数および顧客割合を構成する顧客購入情報を顧客数および顧客割合の数値に対応付けて記憶部に記憶することによって、表示画面から数値の指示を受付けた場合に、数値に対応付けられた顧客購入情報を表示する。図8は、顧客購入情報一覧を示す説明図である。このように、顧客数を構成する顧客購入情報を表示することによって、購入種別ごと購入回数ごとの顧客それぞれの実像を確認することができる。例えば、顧客購入情報として、購入金額、購入商品、最終購入経過日数、累計購入回数、累計購入金額、メールシステムから取得したメール配信履歴等を記憶しておくことにより、より具体的な顧客に関する情報を確認することができる。
【0042】
また、他の実施例として、顧客推移を表示する旨の指示を受付けた場合に、顧客購入情報記憶部120に記憶する顧客購入情報から顧客状況ごとの顧客数および顧客割合の推移を時系列に表示する。具体的には、顧客購入情報記憶部120に記憶する顧客購入情報から購入種別ごと購入回数ごとに所定期間ごと(例えば1ヶ月ごと)の“継続”の顧客数と“離脱”の顧客数をカウントし一覧表を作成する。図9は、顧客状況ごとの顧客数および顧客割合を時系列に示す説明図である。このように、時系列の顧客数および顧客割合を表示することによって、所定期間ごとに顧客が定期購入に定着したか否か、また期間を限定し実施したキャンペーンの効果や定着率を確認することができる。
【0043】
上述したとおり、ECサーバ200は、一例として通信販売サイトやオンラインショッピングモール等のウェブサーバであるが、顧客分析サーバ100と他のシステムとの連携例として、実店舗での商品・サービスの販売情報を管理するPOSシステム(Point Of Sales system)と連携しPOSシステムで生成する購入履歴情報を顧客分析サーバ100に送信し顧客分析処理を実行してもよい。
【0044】
また、通信販売サイトやオンラインショッピングモールのような電子商取引に加え、電話注文、ファクシミリ注文、実店舗での販売等の複数の販路がある場合には、各販路のデータを1つのシステム(例えば、受注管理システムや基幹システム等)に集約し集約した購入履歴情報を顧客分析サーバ100に送信し顧客分析処理を実行してもよい。
【0045】
さらに、購入履歴情報を倉庫からの出荷データの置換えることによって、倉庫での入荷・出荷・在庫を管理する倉庫システムと連携し、倉庫システムで生成した出荷履歴情報を顧客分析サーバ100に送信し顧客分析処理を実行してもよい。
【0046】
その他にも、財務会計処理を実行する会計ソフトウェアや、月ごとのの商品購入契約が想定される新聞購読契約を管理するシステム、複数回のサービス購入が想定される歯医者の予約システム等と連携し、各システムで生成した購入履歴情報を顧客分析サーバ100に送信し顧客分析処理を実行してもよい。
【0047】
上述した実施例にかかる顧客分析サーバ100のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置、通信制御装置等を備えた通常のコンピュータであり、ROMやRAM、HDD等に記憶されたプログラムをCPUが読み出し動作させることによって、上述した構成や機能を実現する。
【0048】
顧客分析サーバ100で動作するプログラムは、インターネット等のネットワークNに接続されたコンピュータ上に格納しておき、ネットワークN経由でダウンロードさせることにより提供したり、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録し提供してもよい。また、上述した機能や処理を実現するプログラムは、API(Application Programming Interface)やSaaS(Software as a Service)、またはクラウドコンピューティングでのASP(Application Service Provider)サービスの1機能という形態で提供してもよい。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、必ずしも物理的に図示のように構成されている必要はない。また、本発明は、実施例で説明した構成要素の全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じ、任意の単位で機能的または物理的に分割、統合、入替、変形または削除して構成することができる。
【符号の説明】
【0050】
N…ネットワーク、10…顧客分析システム、100…顧客分析サーバ、101…送受信部、102…顧客識別情報生成部、103…顧客購入情報生成部、104…顧客状況判定部、105…顧客数算出部、106…入出力部、110…購入履歴情報記憶部、120…顧客購入情報記憶部、200…ECサーバ、201…送受信部、210…購入履歴情報記憶部、300…情報端末装置
【要約】
【課題】商品やサービスを購入した後の購入状況に応じた顧客分析を実施することができる顧客分析サーバ、顧客分析方法、および顧客分析プログラムを提供する。
【解決手段】入出力部106は、顧客分析する基準日である分析基準日の入力を受付け、顧客状況判定部104は、顧客を一意に識別する顧客識別情報と、前記顧客が商品またはサービスを購入した購入日と、前記顧客の通算購入回数である購入回数と、を対応付けた顧客購入情報を記憶する顧客購入情報記憶部120に記憶する顧客購入情報および分析基準日を用い、顧客状況を判定し、顧客購入情報生成部103は、判定した顧客状況を加えた顧客購入情報を生成し、顧客数算出部105は、生成した顧客購入情報から顧客状況それぞれの顧客数を算出し、入出力部106は、算出した顧客状況それぞれの顧客数を購入回数ごとに表示する。
【選択図】図1
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