特許第6094166号(P6094166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094166
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】蓄電パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/12 20060101AFI20170306BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01M2/12 101
   H01M2/10 A
   H01M2/10 S
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-253185(P2012-253185)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-102934(P2014-102934A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】城殿 征志
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/068882(WO,A1)
【文献】 特開2008−226518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/12
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに収容された電極組立体、及び電解液と、
前記ケースに設けられ、前記ケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記ケースの内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁と、を有する蓄電装置を、密閉したパックケース内に複数個収容した蓄電パックにおいて、
前記パックケースには、被搭載物に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面に、前記パックケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記パックケースの内外を連通させることで前記蓄電装置用圧力開放弁の開放に伴って排出された排出物を外部に排出する蓄電パック用圧力開放弁を有し、
前記蓄電パック用圧力開放弁は、重力方向の下向きのみに圧力開放方向が設定されており、
前記蓄電装置は、前記蓄電装置用圧力開放弁の圧力開放方向が前記蓄電パック用圧力開放弁の圧力開放方向と異なる方向となるように前記パックケースに搭載されていることを特徴とする蓄電パック。
【請求項2】
前記ケースは、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙が、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられていない面と前記パックケースの内面との間隙よりも大きくなるように前記パックケースに搭載されている請求項1に記載の蓄電パック。
【請求項3】
ケースと、
前記ケースに収容された電極組立体、及び電解液と、
前記ケースに設けられ、前記ケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記ケースの内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁と、を有する蓄電装置を、密閉したパックケース内に複数個収容した蓄電パックにおいて、
前記パックケースには、被搭載物に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面に、前記パックケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記パックケースの内外を連通させることで前記蓄電装置用圧力開放弁の開放に伴って排出された排出物を外部に排出する蓄電パック用圧力開放弁を有し、
前記蓄電パック用圧力開放弁は、重力方向の下向きのみに圧力開放方向が設定されており、
前記ケースは、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙が、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられていない面と前記パックケースの内面との間隙よりも大きくなるように前記パックケースに搭載されていることを特徴とする蓄電パック。
【請求項4】
前記蓄電装置用圧力開放弁は、圧力開放方向が重力方向の上向きとなる位置に設けられている請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電パック。
【請求項5】
前記パックケースには、前記蓄電装置の出力を制御する制御装置が収容されており、
前記制御装置は、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙に設けられている請求項4に記載の蓄電パック。
【請求項6】
前記蓄電パック用圧力開放弁の開裂部は、前記パックケース内の空間に面している請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の蓄電パック。
【請求項7】
前記被搭載物は、産業用車両である請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の蓄電パック。
【請求項8】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載の蓄電パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の蓄電装置をケース内に収容した蓄電パックに関する。
【背景技術】
【0002】
走行駆動力を走行用モータで付与する車両には、その走行用モータの電源としてリチウムイオン電池などの二次電池を複数個収容した蓄電パック(電池パック)が搭載されている。そして、二次電池及び蓄電パックでは、それぞれのケースにケース内圧が開放圧を越えた場合に開放する圧力開放弁が設けられている(例えば、特許文献1参照)。圧力開放弁を設けた場合には、ケース内圧の上昇に伴うケースの破断などを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−15121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池や蓄電パックの圧力開放弁が開放された場合には、その開放に伴って二次電池の内容物なども排出物となってケース外に排出される。この排出物は、例えばリチウムイオン電池であれば、主に電解液の溶媒やリチウム塩が分解あるいは気化したガスであるから、このようなガスが所構わず排出されることは好ましいと言えない。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、圧力開放弁の開裂に伴う排出物を好適に排出することができる蓄電パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する蓄電パックは、ケースと、前記ケースに収容された電極組立体、及び電解液と、前記ケースに設けられ、前記ケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記ケースの内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁と、を有する蓄電装置を、密閉したパックケース内に複数個収容した蓄電パックにおいて、前記パックケースには、被搭載物に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面に、前記パックケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記パックケースの内外を連通させることで前記蓄電装置用圧力開放弁の開放に伴って排出された排出物を外部に排出する蓄電パック用圧力開放弁を有し、前記蓄電パック用圧力開放弁は、重力方向の下向きのみに圧力開放方向が設定されており、前記蓄電装置は、前記蓄電装置用圧力開放弁の圧力開放方向が前記蓄電パック用圧力開放弁の圧力開放方向と異なる方向となるように前記パックケースに搭載されている
【0007】
この構成によれば、蓄電パック用圧力開放弁の圧力開放方向が重力方向の下向きのみとなる。このため、蓄電パックを、例えば車両などに搭載した場合に蓄電パック用圧力開放弁が開裂したときであっても、パックケースからの排出物が路面側に排出されるようになる。したがって、排出物を好適に排出することができる
上記蓄電パックにおいて、前記ケースは、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙が、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられていない面と前記パックケースの内面との間隙よりも大きくなるように前記パックケースに搭載されている。
上記課題を解決する蓄電パックは、ケースと、前記ケースに収容された電極組立体、及び電解液と、前記ケースに設けられ、前記ケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記ケースの内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁と、を有する蓄電装置を、密閉したパックケース内に複数個収容した蓄電パックにおいて、前記パックケースには、被搭載物に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面に、前記パックケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記パックケースの内外を連通させることで前記蓄電装置用圧力開放弁の開放に伴って排出された排出物を外部に排出する蓄電パック用圧力開放弁を有し、前記蓄電パック用圧力開放弁は、重力方向の下向きのみに圧力開放方向が設定されており、前記ケースは、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙が、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられていない面と前記パックケースの内面との間隙よりも大きくなるように前記パックケースに搭載されている。
この構成によれば、蓄電パック用圧力開放弁の圧力開放方向が重力方向の下向きのみとなる。このため、蓄電パックを、例えば車両などに搭載した場合に蓄電パック用圧力開放弁が開裂したときであっても、パックケースからの排出物が路面側に排出されるようになる。したがって、排出物を好適に排出することができる。
【0008】
上記蓄電パックにおいて、前記蓄電装置用圧力開放弁は、圧力開放方向が重力方向の上向きとなる位置に設けられている。この構成によれば、蓄電装置用圧力開放弁を確実に開裂させることができる。
上記蓄電パックにおいて、前記パックケースには、前記蓄電装置の出力を制御する制御装置が収容されており、前記制御装置は、前記蓄電装置用圧力開放弁が設けられた面と前記パックケースの内面との間隙に設けられている。
【0009】
上記蓄電パックにおいて、前記蓄電パック用圧力開放弁の開裂部は、前記パックケース内の空間に面している。この構成によれば、蓄電パック用圧力開放弁の開裂部にケースの内圧を確実に受圧させることができ、ケースの内圧に応じて適切なタイミングで開裂させることができる。
【0010】
上記蓄電パックにおいて、前記被搭載物の好適な例としては、産業用車両を挙げることができる。この構成によれば、自動車などの車両に比べて運転席などの気密性が低い産業用車両において、排出物を好適に排出することができる。
【0011】
上記蓄電パックにおいて、前記蓄電装置の好適な例としては、二次電池を挙げることができる
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧力開放弁の開裂に伴う排出物を好適に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】蓄電パックを搭載した車両の側面図。
図2】二次電池の外観を示す斜視図。
図3】蓄電パックを示す図4の2−2線断面図。
図4】蓄電パックを示す図3の1−1線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、蓄電パックの実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、走行駆動力を走行用モータM1で付与する産業用車両としてのフォークリフト10には、走行用モータM1の電源として複数個の二次電池を収容した蓄電パックPが搭載されている。フォークリフト10の車体フレーム11の上方には、運転席12を有する収容室としての運転室13が設けられている。そして、この実施形態において蓄電パックPは、運転室13の下方に位置するように車体フレーム11に搭載されている。これにより、蓄電パックPは、路面Rに近い位置に配置されることになる。
【0015】
なお、蓄電パックPは、フォークリフト10に装備される荷役装置14の駆動力を付与する荷役用モータM2の電源としても用いられる。この実施形態においてフォークリフト10は、蓄電パックPを搭載する被搭載物となる。
【0016】
図2に示すように、蓄電パックPに収容される蓄電装置としての二次電池15は、ケース16に電極組立体17が収容されている。また、ケース16には、電極組立体17とともに電解液も収容されている。ケース16は、有底筒状のケース本体18と、当該ケース本体18に電極組立体17を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体19とからなる。ケース本体18と蓋体19は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池15は、リチウムイオン電池である。
【0017】
電極組立体17は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極を絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を塗布して構成される。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を塗布して構成される。そして、電極組立体17は、複数の正極電極と複数の負極電極を交互に積層するとともに、両電極の間にセパレータを介在した積層構造とされている。また、電極組立体17には、正極端子20と負極端子21が電気的に接続されている。これらの正極端子20と負極端子21の各一部分は、蓋体19からケース16外に突出している。
【0018】
二次電池15のケース16は、ケース16の内圧が上昇し過ぎないように、ケース16の内圧が所定の圧力である開放圧を超えた場合に開裂することにより、ケース16の内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁としての二次電池用圧力開放弁22を有する。この実施形態において二次電池用圧力開放弁22は、ケース16の蓋体19に位置している。二次電池用圧力開放弁22の開放圧は、ケース16自体やケース本体18と蓋体19の接合部に亀裂や、破断などが生じ得る前に開裂部23が開裂し得る圧力に設定されている。
【0019】
図3及び図4に示すように、蓄電パックPはパックケース25を備え、そのパックケース25には複数個の二次電池15が収容されている。パックケース25は、図4に示すように、ケース本体25aとそのケース本体25aの開口部を閉塞する蓋体25bとからなり、ケース本体25aと蓋体25bは、例えば溶接などによって接合されている。これにより、パックケース25は、密閉型ケースとなっている。
【0020】
また、パックケース25は、ケース内圧が上昇し過ぎないように、パックケース25の内圧が所定の圧力である開放圧を超えた場合に開裂することにより、パックケース25の内外を連通させる蓄電パック用圧力開放弁としてのパック用圧力開放弁26を有する。この実施形態においてパック用圧力開放弁26は、パックケース25のケース本体25aであって、ケース本体25aの底壁25cに位置している。パック用圧力開放弁26の開放圧は、パックケース25自体や、ケース本体25aと蓋体25bの接合部に亀裂や破断などが生じ得る前に開裂部27が開裂し得る圧力に設定されている。
【0021】
蓄電パックP内において各二次電池15は、パックケース25のパック用圧力開放弁26が設けられた底壁25cとは反対側に二次電池用圧力開放弁22が位置するように配置されている。これにより、各二次電池15は、図4に示すように、二次電池用圧力開放弁22が開裂した時の圧力開放方向Xが、パック用圧力開放弁26が開裂した時の圧力開放方向Yとは逆方向となる。圧力開放方向X,Yは、排出物の排出方向でもある。
【0022】
また、各二次電池15は、図3に示すように、パック用圧力開放弁26の開裂部27から距離をおくように配置されている。これにより、パック用圧力開放弁26の開裂部27は、二次電池15を収容した状態におけるパックケース25内の空間Sに面することになる。つまり、各二次電池15は、パックケース25内において、パック用圧力開放弁26の開裂部27にパックケース25の内圧が掛かるように配置されている。なお、パックケース25内には、各二次電池15の出力などを制御する制御装置28も収容されている。
【0023】
図4に示すように、蓄電パックPは、パック用圧力開放弁26の圧力開放方向Yが、車体下方側、つまり路面R側を向くように搭載される。このように搭載した場合、パックケース25は、パック用圧力開放弁26の圧力開放方向Yが重力方向の下向きとなる。また、この実施形態においてパック用圧力開放弁26を有するパックケース25の底壁25cは、蓄電パックPが被搭載物である車両(フォークリフト10)に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面となる。一方、パックケース25に収容されている各二次電池15の二次電池用圧力開放弁22は、圧力開放方向Xが重力方向の上向きとなる。つまり、この実施形態において二次電池用圧力開放弁22は、圧力開放方向Xが重力方向の上向きとなる位置に設けられている。
【0024】
次に、本実施形態の作用を説明する。
蓄電パックPの各二次電池15の二次電池用圧力開放弁22は、ケース16の内圧を受圧している。そして、パックケース25内に収容された二次電池15のうち、ケース16の内圧が二次電池用圧力開放弁22の開放圧を越えた二次電池15は、開裂部23が開裂し、ケース16の内圧をケース16外に開放する。つまり、パックケース25を密閉型とした場合、二次電池15からの圧力はパックケース25内に開放される。また、二次電池用圧力開放弁22が開裂した二次電池15からは、主に電解液やリチウム塩が分解あるいは気化したガスなどが排出物として排出される。
【0025】
一方、パックケース25の内圧は、二次電池15の圧力開放によって高まる。また、パックケース25内には、二次電池15からの排出物が滞留する。そして、パックケース25の内圧がパック用圧力開放弁26の開放圧を越えると、開裂部27が開裂し、パックケース25の内圧をパックケース25外に開放する。この実施形態においてパック用圧力開放弁26は、図4に示すように路面R側を圧力開放方向Yとしている。このため、パックケース25内に滞留されていた排出物は、路面R側に排出される。つまり、排出物は、運転室13とは反対側に排出される。
【0026】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)蓄電パックP内の排出物が路面R側に排出されるようにパック用圧力開放弁26をパックケース25の底壁25cに設けている。このため、排出物は、運転室13とは反対向きに排出されるようになる。したがって、排出物を好適に排出することができる。
【0027】
(2)また、パック用圧力開放弁26の開裂部27は、パックケース25の空間Sに面するように設けている。このため、開裂部27は、パックケース25の内圧を確実に受圧することができる。したがって、パック用圧力開放弁26を、内圧に応じて適切なタイミングで開裂させることができる。
【0028】
(3)また、二次電池用圧力開放弁22は、その圧力開放方向Xが重力方向上向きとなるように、正極端子20及び負極端子21が突出する蓋体19に設けている。このため、二次電池15をパックケース25に収容した場合であっても、二次電池用圧力開放弁22の開裂部23が塞がれることなく、確実に開裂させることができる。
【0029】
(4)蓄電パックPをフォークリフト10に搭載している。フォークリフト10などの産業用車両は、自動車などに比べて運転席などの気密性が低い。このため、パック用圧力開放弁26の圧力開放方向Yを重力方向下向きとすることで、排出物が運転室13側へ排出されることなく、好適に排出することができる。
【0030】
(5)また、蓄電パックPは、密閉型のパックケース25に二次電池15を収容して構成している。この場合の蓄電パックPは、外部からの異物(埃など)の侵入を抑制することができる。このため、密閉型のパックケース25による蓄電パックPは、自動車などに比べて気密性の低い産業用車両(フォークリフト10など)の電源として好適に用いることができる。
【0031】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 蓄電パックPを構成する二次電池15の個数は任意に変更しても良い。また、二次電池15は、パック用圧力開放弁26の開裂部27を覆わなければ、その配置や配列を任意に変更しても良い。
【0032】
○ パックケース25の構成は任意に変更しても良い。例えば、パックケース25の底壁25cと間隔を隔てて二次電池15の載置棚を設けるとともに、二次電池15の収容空間と、底壁25c及び載置棚の間の空間とを連通させ、パック用圧力開放弁26にパックケース25の内圧を受圧させるようにしても良い。
【0033】
○ パック用圧力開放弁26の配置は任意に変更しても良い。例えば、図3の場合、パック用圧力開放弁26を底壁25cの隅部のデッドスペースに配置しても良い。つまり、パック用圧力開放弁26の配置は、開裂部27でパックケース25の内圧を受圧することができれば、どのように位置であっても良い。
【0034】
○ パック用圧力開放弁26の数は任意に変更しても良い。例えば、パックケース25に2つ以上のパック用圧力開放弁26を設けても良い。
○ 二次電池用圧力開放弁22やパック用圧力開放弁26が開放するのは、開放圧を越えた場合に開裂するときに限らず、開放圧以上のときであっても良い。あるいは、設計上の開放圧以下の場合に開きうるものであるからといって、本件の二次電池用圧力開放弁22やパック用圧力開放弁26とは異なることにはならない。
【0035】
○ 二次電池用圧力開放弁22はケース16に設けられていれば良く、その位置は蓋体19に限らず、ケース本体18でも良い。また、二次電池15をパックケース25に収容する場合、二次電池用圧力開放弁22の圧力開放方向Xが横向きであっても良い。
【0036】
○ 蓄電パックPを構成する二次電池15の電極組立体17は、積層構造に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回構造の二次電池でも良い。
○ 実施形態の蓄電パックPは、車両電源装置として自動車に搭載しても良い。また、フォークリフトにおいてカウンタウエイト型のフォークリフトに限らず、運転室が立席タイプとなるリーチ型のフォークリフトに搭載しても良い。蓄電パックPは、車両に限らず、定置用に適用しても良い。
【0037】
○ また、自動車やフォークリフトなどの車両に蓄電パックPを搭載する場合、その蓄電パックPの配置は任意に変更しても良い。本実施形態の蓄電パックPの場合、その配置としては、運転席などの座席の下部に限らず、例えば自動車であれば走行用モータなどを収容する収容室の下部や、荷物などを収容する収容室の下部などが考えられる。つまり、パック用圧力開放弁26の圧力開放方向が、上記した収容室とは反対向きとなるように蓄電パックPを配置することが好ましい。
【0038】
○ 蓄電パックPに収容する蓄電装置としては、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置でも良い。
○ 二次電池15は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。
【0039】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)ケースと、前記ケースに収容された電極組立体、及び電解液と、前記ケースに設けられ、前記ケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記ケースの内外を連通させる蓄電装置用圧力開放弁と、を有する蓄電装置を、密閉したパックケース内に複数個収容した蓄電パックにおいて、前記パックケースには、収容室を有する被搭載物に搭載された状態において重力方向下方に位置する下面に、前記パックケースの内圧が開放圧を越えた場合に開放して前記パックケースの内外を連通させるとともに圧力開放方向が重力方向の下向きで、かつ前記収容室とは反対向きとなる蓄電パック用圧力開放弁を有することを特徴とする蓄電パック。
【符号の説明】
【0040】
10…フォークリフト、15…二次電池、16…ケース、17…電極組立体、18…ケース本体、19…蓋体、22…二次電池用圧力開放弁、25…パックケース、26…パック用圧力開放弁、27…開裂部、P…蓄電パック、S…空間、X,Y…圧力開放方向。
図1
図2
図3
図4