(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記所定の条件には、所定のイベントが前記外部機器で発生して、当該発生を示す情報が前記外部機器から受信されることが含まれることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯型電子装置。
前記報知動作設定手段は、前記外部機器の運動状態と自機の運動状態とが異なる場合に、前記報知手段による報知動作を許可することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
前記報知動作設定手段は、自機の運動状態が変化した場合に、前記外部機器に最新の運動状態に係る情報の送信を要求し、取得された当該最新の運動状態と自機の運動状態とに基づいて報知動作に係る設定を更新することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
外部機器との間で近距離無線通信によりデータの送受信を行う無線通信手段と、自機の所定の運動状態を判定するための物理量を計測する計測手段と、所定の報知動作を実行する報知手段と、を備える携帯型電子装置における報知動作制御方法であって、
前記計測手段による計測に基づく自機の運動状態、及び、前記無線通信手段により取得された前記外部機器の運動状態に基づいて、前記報知動作の実行可否及び/又は動作モードを設定する報知動作設定ステップ、
前記報知動作設定ステップにおける設定に基づいて、前記報知手段に前記報知動作を行わせる報知動作制御ステップ、
前記外部機器の運動状態と自機の運動状態とが何れも静止状態である場合には、前記外部機器との前記無線通信手段による通信を切断する通信切断ステップ、
通信が切断された状態で自機が静止状態を脱した場合には、前記通信を再接続する通信再開ステップ、
前記報知動作を実行するための所定の条件が満たされているか否かを判別する動作条件判別ステップ、
前記通信再開ステップで前記外部機器との通信を再接続する際に、通信が切断されていた期間内に当該外部機器で生じた前記報知動作に係る所定のイベントの発生履歴の送信を要求して取得する履歴取得ステップ
を含み、
前記報知動作制御ステップは、前記報知動作設定ステップにより前記報知動作の実行が許可され、且つ、前記動作条件判別ステップにより前記所定の条件が満たされていると判別された場合又は取得された前記発生履歴に前記所定のイベントの発生が含まれている場合の何れかの場合に、前記報知動作を行わせることを特徴とする報知動作制御方法。
外部機器との間で近距離無線通信によりデータの送受信を行う無線通信手段と、自機の所定の運動状態を判定するための物理量を計測する計測手段と、所定の報知動作を実行する報知手段と、を備える携帯型電子装置に用いられるコンピュータを、
前記計測手段による計測に基づく自機の運動状態、及び、前記無線通信手段により取得された前記外部機器の運動状態に基づいて、前記報知動作の実行可否及び/又は動作モードを設定する報知動作設定手段、
前記報知動作設定手段の設定に基づいて、前記報知手段に前記報知動作を行わせる報知動作制御手段、
前記外部機器の運動状態と自機の運動状態とが何れも静止状態である場合には、前記外部機器との前記無線通信手段による通信を切断する通信切断手段、
通信が切断された状態で自機が静止状態を脱した場合には、前記通信を再接続する通信再開手段、
前記報知動作を実行するための所定の条件が満たされているか否かを判別する動作条件判別手段、
前記通信再開手段が前記外部機器との通信を再接続する際に、通信が切断されていた期間内に当該外部機器で生じた前記報知動作に係る所定のイベントの発生履歴の送信を要求して取得する履歴取得手段
として機能させ、
前記報知動作制御手段は、前記報知動作設定手段により前記報知動作の実行が許可され、且つ、前記動作条件判別手段により前記所定の条件が満たされていると判別された場合又は取得された前記発生履歴に前記所定のイベントの発生が含まれている場合の何れかの場合に、前記報知動作を行わせるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態の通信システム1の全体を示す図である。
通信システム1は、外部機器としてのスマートフォン10と、携帯型電子装置としての電子時計40とにより構成される。この電子時計40は、時計本体400と、バンド401(装着手段)とを備え、ユーザの腕に装着が可能な腕時計型のものである。スマートフォン10は、電子時計40を装着したユーザにより手で保持されたり、鞄やポケットなどに納められたりして携帯される。これらの電子時計40とスマートフォン10との間では、近距離無線通信機能としてBluetoothによる相互通信が可能となっている。
【0014】
図2は、電子時計40の内部構成を示すブロック図である。また、
図3は、スマートフォン10の内部構成を示すブロック図である。
【0015】
電子時計40は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)41(報知動作設定手段、報知動作制御手段、動作条件判別手段、通信切断手段、通信再開手段、履歴取得手段)と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、操作部44と、計時回路45と、表示部51(表示手段)及び表示部51を駆動制御する表示ドライバ52と、アンテナAN4と、無線通信手段としてのBluetoothモジュール53及びUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)54と、計測手段としての加速度センサ55と、振動モータ56及びそのドライバ57と、ピエゾ素子58及びそのドライバ59と、LED(発光ダイオード)60及びそのドライバ61と、CPU41と各部との間で信号のやり取りをするバス62などを備えている。
【0016】
CPU41は、電子時計40の全体動作の統轄制御及び各種演算処理を行う。CPU41は、計時回路45の計数する現在時刻に基づいて表示部51に時刻表示を行わせる。また、CPU41は、加速度センサ55から取得された加速度データに基づき電子時計40の運動状態を判別すると共に、当該判別された運動状態と、Bluetoothモジュール53を介してスマートフォン10から取得されたスマートフォン10の運動状態とに基づき、スマートフォン10から取得された所定の情報に応じた表示を表示部51に行わせたり、振動モータ56、ピエゾ素子58、LED60の各部を動作させて報知を行わせたりすることが可能となっている。また、更に、CPU41は、アラーム時刻との一致などの自機におけるイベントの発生や、スマートフォン10における後述する所定のイベントの発生に係る情報の受信といった所定の条件で、表示部51への表示や振動モータ56、ピエゾ素子58、LED60の各部の動作を行わせる。
【0017】
ROM42は、CPU41が実行する種々の制御プログラムや初期設定データを記憶する。この制御プログラムの中には、スマートフォン10などのBluetooth通信により通信接続可能な通信端末との間での報知動作に係る報知設定プログラム421(プログラム)が含まれている。
【0018】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供する。またRAM43には、運動状態フラグ記憶部431が設けられ、電子時計40の運動状態及びスマートフォン10からBluetooth通信により取得されたスマートフォン10の運動状態を記憶する。この運動状態は、報知動作の設定時に参照される。
【0019】
操作部44は、一又は複数のボタンスイッチを備え、ユーザが当該スイッチに対して行った操作に基づいて電気信号に変換して入力信号としてCPU11に出力する。或いは、この操作部44は、タッチパネルであり、デジタル表示を行う表示部51と共用されても良い。
【0020】
計時回路45は、現在時刻を計数して保持するカウンタである。電子時計40では、この現在時刻が読み出されて表示部51に表示されたり、当該現在時刻データと各種機能に係る設定時刻データとが比較されて種々の動作が行われたりする。
【0021】
表示部51は、例えば、ドットマトリックス表示方式の液晶ディスプレイ(LCD)を備える。CPU41から送られた制御信号により表示ドライバ52(液晶ドライバ)が動作し、LCDを駆動して現在時刻、設定状態、或いは、各種機能のメニューなどの指定された内容に関する表示を行わせる。この表示部51は、或いは、他の表示手段、例えば、有機ELD(Electro-Luminescent Display)を備えても良く、表示ドライバ52は、表示手段の種類によって適宜選択されて設けられる。
【0022】
Bluetoothモジュール53は、アンテナAN4を介して外部機器との間でBluetooth通信を行うための制御モジュールである。このBluetoothモジュール53としては、低消費電力規格(Bluetooth Low Energy)を用いることも可能である。CPU41から送られた送信データは、UART54でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、Bluetoothモジュール53から外部機器に送信される。また、外部機器からBluetoothモジュール53を用いて受信された受信データは、UART54でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、CPU41へ出力される。
【0023】
加速度センサ55は、直交する三軸方向の加速度を計測可能なセンサである。この加速度センサ55は、重力方向への重力加速度を検出し、その方向を特定することが可能なものである。加速度センサ55には、小型軽量のものが好ましく用いられ、例えば、ピエゾ抵抗素子を用いたものが用いられる。
【0024】
振動モータ56、ピエゾ素子58、及び、LED(発光ダイオード)60は、それぞれ、振動、ブザー音、光を発することでユーザに報知動作を行うためのものであり、表示部51と共に報知手段を構成する。CPU41からドライバ57、59、61にそれぞれ制御信号が送られると、ドライバ57、59、61は、それぞれ、振動モータ56、ピエゾ素子58、LED60を動作させるのに必要な電圧信号に変換して出力する。本実施形態の電子時計40のドライバ57、59、61は、CPU41からの制御信号に基づいて振動モータ56の振動強度、ピエゾ素子58の音量、及び、LED60の発光強度といった出力レベルをそれぞれ変化させて出力させることが可能な構成となっている。
上記構成のうち、CPU41、ROM42、RAM43、操作部44、表示部51、及び、表示ドライバ52によりコンピュータが構成される。
【0025】
スマートフォン10は、
図3に示すように、CPU11(着信情報送信判別手段、着信情報送信設定手段)と、ROM12と、RAM13と、記憶部14と、操作部15と、内蔵時計16と、表示操作部17及びそのドライバ18と、スピーカ19と、マイク20と、コーデック21と、外部通信手段としてのRF送受信回路22と、RF送受信用のアンテナAN11と、通信回路23と、Bluetoothモジュール24と、UART25と、Bluetooth通信送受信用のアンテナAN12と、加速度センサ26と、振動モータ27及びそのドライバ28と、CPU11と各部とを接続するバス29などを備えている。
【0026】
CPU11は、スマートフォン10の全体動作の統轄制御及び各種演算処理を行う。また、CPU11は、加速度センサ26の計測値に基づいて自機の運動状態の判定を行う。そして、運動状態が変更されたときや電子時計40から請求された場合には、Bluetoothモジュール24に制御信号を送り、電子時計40に対して当該運動状態に係る設定を送信させる。
【0027】
ROM12は、CPU11が実行する種々のプログラムや初期設定データを格納する。また、RAM13は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、作業用の一時データを記憶する。RAM13には、運動状態フラグ記憶部131が設けられ、スマートフォン10の運動状態と、Bluetooth通信で受信された電子時計40の運動状態とが記憶される。
【0028】
記憶部14は、不揮発性の読み書き可能なメモリであり、例えば、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。この記憶部14には、例えば、スマートフォン10で実行する種々のアプリケーションプログラムや、各種機能に係る保存データや設定データが記憶される。このアプリケーションプログラムには、Bluetooth通信を用いて電子時計40との間での報知動作の設定を行う報知設定プログラム141が含まれる。また、この記憶部14には、スマートフォン10が受信した音声電話や電子メールのデータ及び着信履歴を記憶する着信履歴データ記憶部142が設けられている。
【0029】
操作部15は、一又は複数の操作キーを備え、ユーザが当該キーに対して行った操作に基づいて電気信号に変換した入力信号をCPU11に出力する。
【0030】
内蔵時計16は、現在時刻を計数して保持するカウンタである。CPU11がこの現在時刻を読み出して表示操作部17に表示させる。また、当該現在時刻データと各種機能に係る設定時刻データとが比較されて種々の動作が行われる。この内蔵時計16の現在時刻データは、RF送受信回路22による携帯基地局との通信時に随時修正される。
【0031】
表示操作部17は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を備える。CPU11から送られた制御信号によりドライバ18(液晶ドライバ)が動作し、LCDを駆動してスマートフォン10の各種機能に係る表示を行わせる。この表示操作部17は、他の方式によるもの、例えば、有機ELD(Electro-Luminescent Display)を備えても良く、ドライバ18は、表示方式により適宜選択される。また、この表示操作部17は、CPU11の制御によりタッチパネルとしてユーザに入力操作を行わせるためのメニュー表示を行い、タッチ入力操作を検出して電気信号に変換し、入力信号としてCPU11に出力する。
【0032】
スピーカ19は、コーデック21からの信号に基づいて電気信号を音声信号に変換して音声を出力する。また、マイク20は、音波を検知して電気信号に変換し、コーデック21に出力する。コーデック21は、符号化圧縮されたデジタル音声信号をデコードしてアナログ信号としてスピーカ19へ送るとともに、マイク20から取得された音声信号をエンコードしてCPU11や通信回路23へ出力する。
なお、通話用のスピーカと音声を外部に出力するためのスピーカとを別個に備えることとしても良い。また、イヤホンへの音声出力が可能な構成であっても良い。
また、本実施形態のスマートフォン10のスピーカ19は、ユーザへの報知動作に係るアラーム音やお知らせメロディなどを出力可能となっている。なお、アラーム音は、スピーカ19とは別個にピエゾ素子などが設けられてビープ音が出力される構成であっても良い。
【0033】
RF送受信回路22は、RF送受信用のアンテナAN11を用いて携帯基地局との間で行われる電話通信や電子メールなどのパケット通信の送受信処理を行う。また、通信回路23は、RF送受信回路22により送受信される送受信データの各種処理を行い、CPU11やコーデック21との間でデータの受け渡しを行う。
【0034】
Bluetoothモジュール24は、アンテナAN12を介して電子時計40などの
携帯型電子装置とBluetooth通信を行うための制御モジュールである。CPU11から送られた送信データは、UART25でシリアル/パラレル変換などの処理が行われて、Bluetoothモジュール24から
携帯型電子装置に送信される。また、
携帯型電子装置からBluetoothモジュール24を用いて受信された受信データは、UART25でパラレル/シリアル変換などの処理が行われて、CPU11へ出力される。
【0035】
加速度センサ26は、直交する三軸方向の加速度を計測可能なセンサである。この加速度センサ26は、重力方向への重力加速度を検出し、その方向を特定することが可能なものである。加速度センサ26には、小型軽量のものが好ましく用いられ、例えば、ピエゾ抵抗素子を用いたものが用いられる。
【0036】
振動モータ27は、振動を発することでユーザに報知を行うためのものである。CPU11からドライバ28に制御信号が送られると、ドライバ28は、振動モータ27を動作させるのに必要な電圧信号に変換して出力する。
【0037】
次に、本実施形態の通信システム1による報知設定動作について説明する。
本実施形態の通信システム1を構成するスマートフォン10及び電子時計40では、加速度センサ55、26から継続的に加速度計測データが取得されて各々の運動状態の判定が行われている。この運動状態は、加速度の変化パターンに基づいて分類されるスマートフォン10若しくは電子時計40を保持するユーザの運動パターン、又は、静止状態であり、本実施形態のスマートフォン10及び電子時計40では、歩行状態、保持状態、及び静止状態の三種類の区分が設定され、分別判定される。保持状態には、例えば、移動していない、又は、車や列車などの交通手段で移動中のユーザが、手で保持し、腕に装着し、又は、ポケット、手に保持した鞄や背負っているリュックなどに仕舞っている状態が含まれる。静止状態には、例えば、机上や充電器上に載置され、又は、静止した鞄の中に放置されている状態が含まれる。
【0038】
歩行状態の判定は、計測された三軸方向の加速度を重力方向(鉛直方向)と水平面内における移動方向とに基づいて座標変換された各方向の加速度変化パターンを、人の歩行に特徴的な加速度変化パターンとして従来知られているもの、即ち、鉛直方向への周期変化、及び、これに連動して生じる進行方向及び進行方向と鉛直方向とに垂直な方向への周期変化のパターンと比較することでなされる。
なお、腕振りの影響が現れる腕装着型の電子時計40と、ポケットや鞄に保持された状態などでのスマートフォン10とでは、若干加速度変化のパターンが異なるので、両方のパターンと比較可能としたり、製品に対応して設定を変更することを可能にしたりすることが出来る。
【0039】
静止状態の判定は、重力加速度以外の加速度が継続的に計測されない状態の場合になされる。また、保持状態の判定は、歩行状態又は静止状態の何れかではない他の加速度パターンが計測された場合になされる。
なお、歩行状態ではなくても、例えば、走行時や自転車移動時などで大きな加速度変化が継続的に観測される場合には、歩行状態に準ずるものとして歩行状態の分類に含める設定とすることも出来る。
【0040】
これら判定された運動状態は、歩行状態フラグ及び保持状態フラグによって設定される。即ち、これらのフラグの何れかがセットされることで、歩行状態、又は、保持状態であることが示され、何れもがリセットされた状態で静止状態であることが示される。
【0041】
電子時計40(又はスマートフォン10)の運動状態が変化した場合には、Bluetooth通信により
スマートフォン10(又は電子時計40)に変化した運動状態が通知される。また、必要に応じて
スマートフォン10(又は電子時計40)に最新の運動状態に係る情報の送信を要求する。
【0042】
電子時計40において受信されたスマートフォン10の運動状態は、運動状態フラグ記憶部431に記憶され、スマートフォン10において受信された電子時計40の運動状態は、運動状態フラグ記憶部131に記憶される。本実施形態の電子時計40及びスマートフォン10では、運動状態に係る情報が必要に応じてそれぞれ運動状態フラグ記憶部431、131から読み出されて、これら両者の運動状態に基づいて報知動作の設定及びその更新に用いられる。
【0043】
以下、報知動作の可否や動作モードの設定に係る具体例を説明する。なお、以下の具体例は、各々独立なものとして説明するが、並列して実行可能なものについては並列処理が可能である。また、各具体例の一部を変形して並列処理を可能とすることが出来るものについては、適宜変更を行うことが出来る。
【0044】
図4は、スマートフォン10への電話や電子メールの着信を電子時計40で報知する際の報知動作モードの設定を変更する報知動作モード設定処理に係るフローチャートの例である。
【0045】
図4(a)に示す報知動作モード設定処理は、電子時計40において、スマートフォン10から運動状態の変更に係る情報を受信した場合に起動される。報知動作モード設定処理が開始されると、CPU41は、先ず、受信した外部機器、即ち、スマートフォン10の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS401)。
【0046】
外部機器の運動状態が歩行状態ではない(具体的には、運動状態フラグ記憶部431において外部機器の歩行状態フラグがリセット状態である)と判別された場合には(ステップS401で“NO”)、CPU41は、振動モータ56の振動強度を「通常」に設定する(ステップS404)。そして、CPU41は、報知動作モード設定処理を終了する。
【0047】
一方、外部機器の運動状態として歩行状態フラグが設定されていると判別された場合には(ステップS401で“YES”)、更に、CPU41は、自機、即ち、電子時計40の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS402)。歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS402で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS404に移行する。歩行状態であると判別された場合には(ステップS402で“YES”)、CPU41は、振動モータ56の振動強度を「強」に設定する(ステップS403)。そして、CPU41は、報知動作モード設定処理を終了する。
なお、この報知動作モード設定処理は、電子時計40で運動状態の変化が検出された場合にも起動させることが出来る。この場合、ステップS401の判別処理において、CPU41は、スマートフォン10の運動状態を必ずしもスマートフォン10から改めて取得する必要はなく、運動状態フラグ記憶部431に記憶された運動状態に基づいて判別をすれば良い。
【0048】
図4(b)は、スマートフォン10における運動状態の変更時の処理を示す運動状態送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0049】
スマートフォン10において、運動状態が変化したか否かについては、運動状態フラグ記憶部131に記憶された運動状態フラグと、加速度センサ26の計測値に基づいて判定された最新の運動状態との異同により判断される。スマートフォン10の運動状態が変化したことが検出されると、この運動状態送信処理が起動されて、CPU11は、運動状態が歩行状態に変更されたのか否かを判別する(ステップS101)。歩行状態に変更されたと判別された場合には(ステップS101で“YES”)、CPU11は、歩行状態フラグをセットする信号をBluetooth通信により電子時計40に送信する(ステップS102)。そして、CPU11は、運動状態フラグ記憶部131の運動状態設定を書き換えた後、運動状態送信処理を終了する。
【0050】
歩行状態に変更されたのではないと判別された場合には(ステップS101で“NO”)、CPU11は、歩行状態フラグをリセットする信号をBluetooth通信により電子時計40に送信する(ステップS103)。そして、CPU11は、運動状態フラグ記憶部131の運動状態設定を書き換えた後、運動状態送信処理を終了する。
なお、ステップS101の判別処理では、保持状態と静止状態との間で変化した場合にも“NO”に分岐するが、もともと歩行状態フラグがセットされていないので、歩行状態フラグは、リセット状態が維持される。或いは、CPU41は、この場合に更に判別を行ってBluetooth通信による電子時計40への情報の送信を行わないこととしても良い。
【0051】
図5は、電子時計40におけるスマートフォン10への電話及び/又は電子メールの着信報知に係る設定の手順を示す報知設定処理のフローチャートの例である。
【0052】
図5(a)には、電子時計40のCPU41が実行する報知設定処理のフローチャートを示す。
この報知設定処理は、電子時計40において運動状態の変化が検出された場合に開始される。電子時計40において報知設定処理が開始されると、CPU41は、先ず、電子時計40が歩行状態又は保持状態に変更されたか否かを判別する(ステップS411)。具体的には、CPU41は、歩行状態フラグ又は保持状態フラグの何れかがセットされたか否かにより判別処理を行う。何れかの状態に変更されたと判別された場合には(ステップS411で“YES”)、CPU41は、スマートフォン10への着信に係る報知機能をオンに設定する(ステップS412)。それから、CPU41の処理は、ステップS414に移行する。
【0053】
歩行状態又は保持状態への変更ではないと判別された場合(即ち、静止状態への変更である場合)には(ステップS411で“NO”)、CPU41は、スマートフォン10への着信に係る報知機能をオフに設定する(ステップS413)。それから、CPU41の処理は、ステップS414に移行する。
【0054】
ステップS414の処理に移行すると、CPU41は、変化した運動状態をスマートフォン10に送信する。そして、CPU41は、報知設定処理を終了する。
【0055】
図5(b)は、スマートフォン10のCPU11が実行する報知設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
この報知設定処理は、スマートフォン10で加速度センサ26の計測データに基づき運動状態の変化が検出された場合、又は、電子時計40から運動状態の変化に係る情報が受信された場合に起動される。報知設定処理が開始されると、CPU11は、先ず、スマートフォン10の運動状態が歩行状態又は保持状態の何れでもない(即ち、静止状態である)か否かを判別する(ステップS111)。歩行状態又は保持状態の何れかであると判別された場合には(ステップS111で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS118に移行する。
【0056】
一方、歩行状態又は保持状態の何れでもないと判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU11は、運動状態フラグ記憶部131を参照して電子時計40の運動状態を取得する(ステップS112)。CPU11は、電子時計40の運動状態が歩行状態又は保持状態の何れかであるか否かを判別する(ステップS113)。何れでもないと判別された場合には(ステップS113で“NO”)、CPU11は、電子時計40への着信情報の送信設定をオフとし(ステップS116)、それから、処理をステップS118に移行させる。
【0057】
ステップS118の処理に移行すると、CPU11は、スマートフォン10自身の着信報知機能をオンに設定する。そして、CPU11は、報知設定処理を終了する。
【0058】
ステップS113の判別処理で、電子時計40の運動状態が歩行状態又は保持状態の何れかであると判別された場合には(ステップS113で“YES”)、CPU11は、電子時計40への着信情報の送信設定をオンとし(ステップS114)、また、スマートフォン10自身の着信報知機能をオフに設定する(ステップS115)。そして、CPU11は、報知設定処理を終了する。
【0059】
以上のように、本実施形態の報知設定処理では、電子時計40とスマートフォン10について、静止状態にある装置ではスマートフォン10への電話又は電子メールの着信に係る報知動作を行わせない設定を行う。但し、スマートフォン10及び電子時計40の何れもが静止状態にある場合には、着信のあったスマートフォン10自身に報知動作を行わせる設定とする。
【0060】
図6には、スマートフォン10のCPU11が実行する報知設定処理の制御手順を示すフローチャートの変形例を示す。
【0061】
この変形例のフローチャートでは、ステップS116の処理とステップS118の処理との間にステップS117の処理が挿入された点を除いて同一であり、同一の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
この変形例の報知設定処理では、ステップS116の処理でスマートフォン10への着信に係る情報の送信をオフする設定処理が行われた後、CPU11は、スマートフォン10と電子時計40との間でのBluetooth通信の通信接続をオフする処理を行う(ステップS117)。即ち、スマートフォン10が静止状態であり、且つ、電子時計40も静止状態であると判別された場合には、両者が不使用状態であると判断して、CPU11は、Bluetooth通信を中止する。具体的には、CPU11は、Bluetoothモジュール24に制御信号を送って、通信を切断する動作を行わせる。
なお、通信の切断の際には、CPU11は、切断時刻等の通信履歴を記憶部14に記憶させる。
【0063】
図7には、上述の変形例に係る報知設定処理でBluetooth通信が中止された後、このBluetooth通信を再開する場合に実行される各処理のフローチャートを示す。
【0064】
図7(a)には、電子時計40がBluetooth通信を再開させる処理を行う場合にCPU41が実行する通信再開処理の制御手順を示す。この通信再開処理は、加速度センサ55の計測データに基づき電子時計40の運動状態が静止状態から他の状態に変化した場合に起動される。
通信再開処理が開始されると、CPU41は、先ず、通信が切断されているか否かを判別する(ステップS421)。通信が切断されていないと判別された場合には(ステップS421で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS424に移行する。
【0065】
通信が切断されていると判別された場合には(ステップS421で“YES”)、CPU41は、Bluetoothモジュール24に制御信号を送り、Bluetooth通信の接続を確立する処理を実行する(ステップS422)。電子時計40とスマートフォン10との間でBluetooth通信の接続が確立されると、CPU41は、スマートフォン10に対し、通信が切断されていた期間にスマートフォン10にあった着信について着信履歴を送信するよう要求する(ステップS423)。それから、CPU41の処理は、ステップS424に移行する。
【0066】
ステップS421又はステップS423の処理からステップS424の処理に移行すると、CPU41は、スマートフォン10への着信に係る報知機能をオンする設定を行う(ステップS424)。そして、CPU41は、現在の電子時計40の運動状態をスマートフォン10に送信する(ステップS425)。
このとき、CPU41は、受信された着信履歴が空では無い場合、即ち、通信が切断されていた間に着信が有った場合には、通常の着信時と同様に着信に係る報知動作を行わせる。また、この着信報知動作と同時に、CPU41は、表示ドライバ52に制御信号を出力し、当該着信履歴に係る所定の情報として表示部51に表示可能な範囲で着信履歴をリスト表示させたり、着信件数を表示させたりすることが出来る。
その後、CPU41は、通信再開処理を終了する。
【0067】
図7(b)は、上述の電子時計40における通信再開処理のステップS423でスマートフォン10に送信された着信履歴の送信要求に対し、スマートフォン10のCPU11が実行する通信履歴送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0068】
通信履歴送信処理が開始されると、CPU11は、着信履歴データ記憶部142を参照して、Bluetooth通信による通信接続が切断されていた期間の着信履歴を電子時計40に送信する(ステップS121)。次いで、CPU11は、スマートフォン10への電話又は電子メールの着信情報を電子時計40に送信する設定をオンする(ステップS122)。そして、CPU11は、通信履歴送信処理を終了する。
【0069】
図7(c)は、スマートフォン10がBluetooth通信を再開させる場合にCPU11が実行する通信再開処理の制御手順を示すフローチャートである。この通信再開処理は、スマートフォン10において加速度センサ26による計測データに基づき、スマートフォン10の運動状態が静止状態から他の運動状態に変化した場合に起動される。
【0070】
通信再開処理が開始されると、CPU11は、先ず、Bluetooth通信による電子時計40との通信が切断されている状態であるか否かを判別する(ステップS126)。通信が切断されている状態ではないと判別された場合には(ステップS126で“NO”)、CPU11は、そのまま通信再開処理を終了する。通信が切断されている状態であると判別された場合には(ステップS126で“YES”)、CPU11は、Bluetoothモジュール24に制御信号を送り、電子時計40との通信接続を確立する処理を実行する(ステップS127)。そして、CPU11は、通信再開処理を終了する。
【0071】
図8及び
図9は、スマートフォン10又は電子時計40の何れかの置き忘れを判別して報知する警告処理の制御手順の例を示すフローチャートである。
【0072】
図8(a)は、電子時計40における警告処理の制御手順を示すフローチャートである。
この警告処理は、電子時計40で歩行状態への変化が検出された場合に起動される。警告処理が起動されると、CPU41は、先ず、外部機器(スマートフォン10)に最新の運動状態を送信する要求を送信し、スマートフォン10から運動状態を受信、取得する(ステップS431)。
【0073】
次いで、CPU41は、この取得されたスマートフォン10の現在の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS432)。スマートフォン10の運動状態が歩行状態であると判別された場合には(ステップS432で“YES”)、CPU41は、そのまま警告処理を終了する。歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS432で“NO”)、CPU41は、ドライバ57、59、61の
うち一部、又は全てに制御信号を送信し、振動モータ56、ピエゾ素子58、LED60の
うち一部、又は、全てを動作させることで、ユーザにスマートフォン10の置き忘れ報知動作を行う(ステップS433)。この置き忘れ報知動作は、所定時間で解除しても良いし、ユーザにより手動で停止操作が入力されるまで継続させても良い。置き忘れ報知動作が終了すると、CPU41は、警告処理を終了する。
【0074】
ここで、ユーザが身に付けている電子時計40が歩行状態へ変化するタイミングと、鞄の中にあるスマートフォン10が歩行状態へ変化するタイミングとの間などでは、多少のタイムラグが生じる場合があるので、電子時計40の運動状態が歩行状態に変化してからこの警告処理が起動されるまでの間に所定の遅延時間を設けることとしても良い。
【0075】
図8(b)には、スマートフォン10において実行される運動状態送信処理のフローチャートを示す。
スマートフォン10において、電子時計40から運動状態の送信要求が受信されると、CPU11は、運動状態送信処理を起動し、加速度センサ26の計測データに基づいて最新の運動状態の判定を行い、この運動状態を電子時計40に送信する(ステップS131)。そして、CPU11は、運動状態送信処理を終了する。
なお、このとき、電子時計40からスマートフォン10に運動状態の送信要求を送信する際に、置き忘れ状態の確認のためのものであることを表す信号を含ませることで、スマートフォン10から電子時計40に送信する運動状態が歩行状態では無い場合、置き忘れた側のスマートフォン10の側でも報知動作が行われるようにCPU11を動作させても良い。
【0076】
図9(a)は、スマートフォン10における警告処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0077】
図8(a)における電子時計40の警告処理と同様に、この警告処理は、スマートフォン10において運動状態が歩行状態に変化した場合に起動される。警告処理が開始されると、CPU11は、先ず、電子時計40に最新の運動状態を送信する要求を送信し、電子時計40から運動状態を受信、取得する(ステップS141)。
【0078】
次いで、CPU11は、取得された電子時計40の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS142)。歩行状態であると判別された場合には(ステップS142で“YES”)、CPU11は、そのまま警告処理を終了する。歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS142で“NO”)、CPU11は、ドライバ18、28、コーデック21の
うち一部、又は全てに制御信号を送信し、表示操作部17、スピーカ19、振動モータ27の
うち一部、又は、全てに所定の動作を行わせることで、ユーザに電子時計40の置き忘れ報知動作を行う(ステップS143)。置き忘れ報知動作が終了すると、CPU11は、警告処理を終了する。
【0079】
図9(b)には、電子時計40における運動状態送信処理を示す。
電子時計40において、スマートフォン10から運動状態の送信要求が受信されると、CPU41は、運動状態送信処理を起動し、加速度センサ55の計測データに基づいて最新の運動状態の判定を行い、この運動状態をスマートフォン10に送信する(ステップS441)。そして、CPU41は、運動状態送信処理を終了する。このとき、CPU41は、判定された運動状態が歩行状態では無い場合には、表示ドライバ52、ドライバ57、59、61の
うち一部、又は、全てに制御信号を出力し、所定の報知動作を行わせることとしても良い。
【0080】
図10及び
図11は、スマートフォン10又は電子時計40の何れかが盗難された虞がある場合を判別して報知する盗難警告についての処理の制御手順の例をそれぞれ示すフローチャートである。
【0081】
図10(a)は、電子時計40のCPU41が実行する運動状態送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
この運動状態送信処理は、電子時計40において加速度センサ55の計測データに基づいて判定される運動状態が変化した場合に起動される。
【0082】
運動状態送信処理が開始されると、CPU41は、保持状態又は歩行状態の何れかに変更されたか否かを判別する(ステップS451)。保持状態又は歩行状態の何れでもない(静止状態である)と判別された場合には(ステップS451で“NO”)、CPU41は、そのまま運動状態送信処理を終了する。
【0083】
何れかの運動状態に変更されたと判別された場合には(ステップS451で“YES”)、CPU41は、変化後の運動状態をスマートフォン10に送信する(ステップS452)。そして、CPU41は、運動状態送信処理を終了する。
【0084】
図10(b)は、スマートフォン10においてCPU11が実行する盗難警告処理の制御手順を示すフローチャートである。
この盗難警告処理は、電子時計から運動状態送信処理のステップS452において送信された運動状態がスマートフォン10で受信された場合に起動される。
【0085】
盗難警告処理が開始されると、CPU11は、スマートフォン10の運動状態が保持状態であるか否かを判別する(ステップS151)。保持状態であると判別された場合には(ステップS151で“YES”)、CPU41は、電子時計40から取得された運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS152)。
【0086】
歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS152で“NO”)、CPU11は、そのまま盗難警告処理を終了する。歩行状態であると判別された場合には(ステップS152で“YES”)、CPU11は、ドライバ18、28、コーデック21の
うち一部、又は、全てに制御信号を出力し、表示操作部17、振動モータ27、スピーカ19の
うち一部、又は、全てに警告動作を行わせる(ステップS155)。また、CPU11は、電子時計40に警告信号を送信する(ステップS156)。そして、CPU11は、盗難警告処理を終了する。
【0087】
一方、ステップS151の判別処理で、スマートフォン10の運動状態が保持状態ではないと判別された場合には(ステップS151で“NO”)、CPU41は、スマートフォン10の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS153)。歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS153で“NO”)、CPU41は、そのまま盗難警告処理を終了する。
【0088】
歩行状態であると判別された場合には(ステップS153で“YES”)、CPU41は、電子時計40から取得された運動状態が保持状態であるか否かを判別する(ステップS154)。保持状態ではないと判別された場合には(ステップS154で“NO”)、CPU41は、そのまま盗難警告処理を終了する。
【0089】
保持状態であると判別された場合には(ステップS154で“YES”)、CPU11の処理は、ステップS155に移行し、CPU11は、警告動作を行うと共に、警告情報を電子時計40に送信する(ステップS156)。
【0090】
図11(a)は、
図10(a)と反対に、スマートフォン10で運動状態が変化した場合にCPU11により実行される運動状態送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11(b)は、この運動状態送信処理に基づいて電子時計40のCPU41が実行する盗難警告処理の制御手順を示すフローチャートである。
【0091】
図11(a)に示すように、スマートフォン10において運動状態送信処理が開始されると、CPU11は、保持状態又は歩行状態の何れかに変更されたか否かを判別する(ステップS161)。何れの運動状態でもない、即ち、静止状態に変更されたと判別された場合には(ステップS161で“NO”)、CPU11は、そのまま運動状態送信処理を終了する。
【0092】
保持状態又は歩行状態の何れかに変更されたと判別された場合には(ステップS161で“YES”)、CPU11は、変化後の運動状態を電子時計40に送信する(ステップS162)。そして、CPU11は、運動状態送信処理を終了する。
【0093】
図11(b)に示すように、スマートフォン10から運動状態送信処理のステップS162において送信された運動状態が電子時計40で受信されて盗難警告処理が開始されると、CPU41は、電子時計40の運動状態が保持状態であるか否かを判別する(ステップS461)。保持状態であると判別された場合には(ステップS461で“YES”)、CPU41は、スマートフォン10から取得された運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS462)。
【0094】
スマートフォン10の運動状態が歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS462で“NO”)、CPU41は、そのまま盗難警告処理を終了する。歩行状態であると判別された場合には(ステップS462で“YES”)、CPU41は、表示ドライバ52、ドライバ57、59、61の
うち一部、又は、全てに制御信号を出力し、表示部51、振動モータ56、ピエゾ素子58、LED60の
うち一部、又は、全てに警告動作を行わせる(ステップS465)。また、CPU41は、スマートフォン10に警告信号を送信する(ステップS466)。そして、CPU41は、盗難警告処理を終了する。
【0095】
一方、ステップS461の判別処理で、電子時計40の運動状態が保持状態ではないと判別された場合には(ステップS461で“NO”)、CPU41は、電子時計40の運動状態が歩行状態であるか否かを判別する(ステップS463)。歩行状態ではないと判別された場合には(ステップS463で“NO”)、CPU41は、そのまま盗難警告処理を終了する。
【0096】
電子時計40の運動状態が歩行状態であると判別された場合には(ステップS463で“YES”)、CPU41は、スマートフォン10から取得された運動状態が保持状態であるか否かを判別する(ステップS464)。保持状態ではないと判別された場合には(ステップS464で“NO”)、CPU41は、そのまま盗難警告処理を終了する。
【0097】
スマートフォン10の運動状態が保持状態であると判別された場合には(ステップS464で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS465に移行し、CPU41は、警告動作を行うと共に、警告情報をスマートフォン10に送信する(ステップS466)。
【0098】
図12は、Bluetooth通信により受信した盗難警告情報に基づく警告動作の動作手順を示すフローチャートである。
【0099】
図12(a)に示すように、電子時計40において、スマートフォン10から警告情報が受信されると、CPU41は、警告動作を行う(ステップS471)。警告動作の内容は、ステップS465の処理と同一であり、詳しい説明を省略する。そして、CPU41は、警告処理を終了する。
【0100】
一方、
図12(b)に示すように、スマートフォン10において、電子時計40から警告情報が受信されると、CPU11は、警告動作を行う(ステップS171)。警告動作の内容は、ステップS155の処理と同一であり、詳しい説明を省略する。そして、CPU11は、警告処理を終了する。
【0101】
以上のように、本実施形態の電子時計40は、Bluetooth通信を行うBluetoothモジュール53と、加速度センサ55と、報知動作を行う振動モータ56、ピエゾ素子58、及び、LED60とを備え、電子時計40のCPU41は、加速度センサ55の計測に基づいて判定された自機の運動状態と、Bluetooth通信により取得された外部機器であるスマートフォン10の運動状態とに基づいて報知動作の実行可否及び/又は動作モードの変更の設定を行い、この設定に基づいて報知動作を行わせる。従って、ユーザの操作を介さずに自動的に適切な状況で必要な報知動作を実行することが出来るので、ユーザの負担を軽減しながら当該報知動作に係る必要な情報を得ることが出来る。
【0102】
また、電子時計40の運動状態とスマートフォン10の運動状態とが異なる場合に、その異なる運動状態の組み合わせによって置き忘れの警告をしたり、盗難の警告をしたりすることが出来るので、紛失を防止し確実に電子時計40及びスマートフォン10を所持することが出来る。
【0103】
また、従来、電子時計40とスマートフォン10の距離が離れた場合のリンク切れで置き忘れの警告が行われているが、見通しが良い場合などで近距離無線通信の電波の到達可能距離が大きい場合には、警告がなされるまでに時間を要する場合があり、このような事態を避けることが出来るので、より容易、確実、且つ、スムーズにスマートフォン10などの紛失を予防することが出来る。
【0104】
また、電子時計40及びスマートフォン10の運動状態に加え、更に、報知動作を行うための条件を設定することで、多様な報知動作に関して何れの機器で報知動作を行わせるかをユーザの手を煩わせずに容易且つ適切に設定することが出来る。
【0105】
また、スマートフォン10への電話や電子メールの着信といったイベント発生についての報知を、スマートフォン10自身で報知しづらい状況を適切に判断して電子時計40で報知させることが出来るので、必要な連絡を適切なタイミングで取得することが出来る。
【0106】
また、特に、電子時計40の運動状態とスマートフォン10の運動状態とが異なった場合に、適切な待機時間(遅延時間)を設定可能とすることで、ユーザに不要且つ過剰な警告を行わず、且つ、必要な警告を適切なタイミングで行わせることが出来る。
【0107】
また、このような報知動作の可否や動作モードの設定を報知動作に係る条件ごとに個々に設定することが可能なので、多様な報知動作をそれぞれ最適な報知手段や報知タイミングで行わせることが出来る。
【0108】
また、歩行状態の場合など、報知動作をユーザが感知しにくい場合には、報知動作に係る出力レベルを上昇させることで、より確実にユーザに知得させる設定を行うことが出来る。
【0109】
また、
電子時計40の運動状態が変化した場合に、
スマートフォン10の最新の運動状態を取得しておくことで、タイミング悪く一時的に
スマートフォン10との通信接続が切断されてしまった場合にも報知動作の要否を判断可能とすることが出来る。
【0110】
また、電子時計40とスマートフォン10の何れもが静止状態である場合には、不使用状態と判断することが出来るので、Bluetooth通信を切断することで不要な電力消費を抑えることが出来る。この場合には、イベント発生に伴う報知動作は、そのイベントが発生した側の
電子時計40(又はスマートフォン10)のみで行われれば良いので、Bluetooth通信を介して他方
、即ち、スマートフォン10(又は電子時計40)により報知を行わせる必要がない。
【0111】
また、
電子時計40又はスマートフォン10の何れか一方が静止状態から脱した場合には、その時点でBluetooth通信の接続を再開すればよいので、必要な場合における通信接続を適切に維持することが出来る。
【0112】
また、Bluetooth通信の接続を再開する場合に、静止状態が維持されている側の携帯型電子装置がスマートフォン10や携帯電話などの通信機器である場合には、静止状態を脱した側の携帯型電子装置に着信履歴が送信される構成であるので、
当該通信機器を動作させなくても容易且つ確実に着信情報を知得することが出来る。
【0113】
また、
静止状態を脱した側の携帯型電子装置の表示部51が取得された着信履歴を表示可能な構成である場合には、当該着信履歴も表示させることが出来るので、
静止状態が維持されている携帯型電子装置を必要な場合にだけ動作させればよく、ユーザの手間が省ける。
【0114】
また、電子時計40がバンド401を備える腕時計であることで腕装着が可能となるので、両手が塞がっていて
スマートフォン10や携帯電話を保持できない状況や、スマートフォン10や携帯電話を手に保持することが好まれないフォーマルな席上などでも必要な情報を確実に知得することが出来る。
【0115】
また、ユーザ所望の複数のBluetooth通信に対応可能な携帯型電子装置
と外部機器との間で上記の報知動作の設定のやり取りを行うことが出来るので、状況によって複数の電子時計40を使い分けるユーザやスマートフォン10及び携帯電話を併用するユーザに対して容易且つ的確に報知動作を行うことが出来る。従って、ユーザは煩雑な設定を行わずに必要な情報を適切なタイミングで知得することが出来る。
【0116】
また、
携帯型電子装置に電話や電子メールの着信などのイベントの発生に係る報知を行わせる
外部機器では、
当該携帯型電子装置における報知動作の可否に応じてイベントの発生通知の
外部機器への送信有無を切り替えることが出来るので、報知されない不要なデータ送信を行う必要が無い。
【0117】
また、上記の報知動作の制御に係るプログラムを所望の携帯型電子装置に搭載可能とすることで、ユーザ所望の携帯型電子装置
と外部機器との間で柔軟に報知動作の制御を行うことが出来る。
【0118】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、運動状態として、歩行状態、保持状態、及び、静止状態の三通りに区分した例を挙げて説明したが、他の区分であっても良い。或いは、より多くの区分数を定めても良い。
【0119】
また、上記実施の形態では、電子腕時計を例に挙げて説明したが、携帯型の他の時計、例えば、懐中時計などであっても良い。また、本発明の通信システム1は、電子時計40とスマートフォン10との組み合わせに限られず、スマートフォン10同士や、スマートフォン10と携帯電話の組み合わせ、その他、PDA(Personal Digital Assistant)や種々のタブレット端末などを含んで構成されても良い。これらの適宜な組み合わせにより、例えば、着信情報などを一のスマートフォン10や携帯電話などで管理することが出来る。
【0120】
また、上記実施の形態では、Bluetoothにより通信接続された
携帯型電子装置と外部機器との二台の間での通信システム1を例に挙げて説明したが、三台以上の組み合わせに対しても適用することが出来る。
【0121】
また、上記実施の形態では、近距離無線通信としてBluetooth通信を用いたが、必要な情報のやり取りさえ可能であれば、状況に応じて他の方法、例えば、光通信や赤外線通信、UWB(Ultra Wide Band)通信などを用いても良い。
【0122】
また、上記実施の形態では、運動状態に基づく動作モードの変更として歩行状態の際に振動モータの振動強度を上げる場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、通常では振動モータだけによる報知動作を行い、歩行状態では音声出力を併用して報知動作を行わせる場合や、音声出力の音量を上昇させる場合や、表示部の表示の輝度を上げたり単純にコントラストの大きい表示、文字サイズや図形サイズの大きい表示に切り替えたりする場合などを含むことが出来る。また、歩行状態の際に出力レベルを上げる場合だけではなく、逆に、歩行状態や保持状態の出力レベルを通常の出力とし、静止状態の出力レベルを下げる制御を行っても良い。
【0123】
また、上記実施の形態では、運動状態の判定に加速度センサを用いた場合を例に挙げて説明したが、その他の計測機器、例えば、ジャイロセンサを用いたり、方位センサと組み合わせたりすることとしても良い。
【0124】
また、上記実施の形態では、報知動作を行う構成として表示部又は表示操作部の画面、振動モータ、ピエゾ素子、LED、スピーカを例に挙げて説明したが、その他のもの、例えば、豆電球などを用いても良い。
【0125】
また、上記実施の形態では、電子時計40で報知を行うスマートフォン10におけるイベントとして電話や電子メールの着信を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、スマートフォン10で設定されたアラーム時刻との一致やタイマー設定時間の経過、スマートフォン10が備える他の計測センサの計測値に基づく動作や状況の検出などであっても良い。
【0126】
また、上記実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてROM42及び不揮発性メモリからなる記憶部14を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROMやUSBメモリ等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成の細部や数値、制御手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0128】
[付記]
<請求項1>
設定された外部機器との間で近距離無線通信によりデータの送受信を行う無線通信手段と、
自機の所定の運動状態を判定するための物理量を計測する計測手段と、
所定の報知動作を実行する報知手段と、
前記計測手段による計測に基づく自機の運動状態、及び、前記無線通信手段により取得された前記外部機器の運動状態に基づいて、前記報知動作の実行可否及び/又は動作モードを設定する報知動作設定手段と、
前記報知動作設定手段の設定に基づいて、前記報知手段に前記報知動作を行わせる報知動作制御手段と
を備えることを特徴とする携帯型電子装置。
<請求項2>
前記報知動作を実行するための所定の条件が満たされているか否かを判別する動作条件判別手段を備え、
前記報知動作制御手段は、前記報知動作設定手段により前記報知動作の実行が許可され、且つ、前記動作条件判別手段により前記所定の条件が満たされていると判別されたときに前記報知動作を行わせる
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型電子装置。
<請求項3>
前記報知動作設定手段は、複数の前記所定の条件の各々に対して別個に前記設定を行うことを特徴とする請求項2記載の携帯型電子装置。
<請求項4>
前記所定の条件には、所定のイベントが前記外部機器で発生して、当該発生を示す情報が前記外部機器から受信されることが含まれることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯型電子装置。
<請求項5>
前記報知動作設定手段は、前記外部機器の運動状態と自機の運動状態とが異なる場合に、前記報知手段による報知動作を許可することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
<請求項6>
前記報知動作設定手段は、前記報知手段による報知動作の出力レベルを変化させる設定を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
<請求項7>
前記報知動作設定手段は、自機の運動状態が変化した場合に、前記外部機器に最新の運動状態に係る情報の送信を要求し、取得された当該最新の運動状態と自機の運動状態とに基づいて報知動作に係る設定を更新することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
<請求項8>
前記外部機器の運動状態と自機の運動状態とが何れも静止状態である場合には、前記外部機器との前記無線通信手段による通信を切断する通信切断手段と、
通信が切断された状態で自機が静止状態を脱した場合には、前記通信を再接続する通信再開手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
<請求項9>
前記報知動作を実行するための所定の条件が満たされているか否かを判別する動作条件判別手段と、
前記通信再開手段が前記外部機器との通信を再接続する際に、通信が切断されていた期間内に当該外部機器で生じた前記報知動作に係る所定のイベントの発生履歴の送信を要求して取得する履歴取得手段と、
を備え、
前記報知動作制御手段は、前記報知動作設定手段により前記報知動作の実行が許可され、且つ、前記動作条件判別手段により前記所定の条件が満たされていると判別された場合又は取得された前記発生履歴に前記所定のイベントの発生が含まれている場合の何れかの場合に、前記報知動作を行わせる
ことを特徴とする請求項8記載の携帯型電子装置。
<請求項10>
前記履歴取得手段により取得された前記発生履歴に係る所定の情報を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項9記載の携帯型電子装置。
<請求項11>
ユーザの腕に装着するための装着手段を備えることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の携帯型電子装置。
<請求項12>
請求項1〜11の何れか一項に記載の携帯型電子装置を複数備え、当該複数の携帯型電子装置の間で前記近距離無線通信により送受信された互いの運動状態に基づいて前記複数の携帯型電子装置の各々における前記報知動作の設定及び制御を行う通信システム。
<請求項13>
少なくとも一の前記携帯型電子装置は、
電話音声データ及び/又は電子メールデータを送受信する外部通信手段と、
他の前記携帯型電子装置から着信報知動作を行うことを許可する情報が受信されたか否かを判別する着信情報送信判別手段と、
当該着信情報送信判別手段により前記着信報知動作を行うことを許可する情報が受信されたと判別された場合に、電話及び/又は電子メールが着信した際に当該他の携帯型電子装置に対して着信情報を送信する設定を行う着信情報送信設定手段と
を備えることを特徴とする請求項12記載の通信システム。
<請求項14>
設定された外部機器との間で近距離無線通信によりデータの送受信を行う無線通信手段と、自機の所定の運動状態を判定するための物理量を計測する計測手段と、所定の報知動作を実行する報知手段と、を備える携帯型電子装置における報知動作制御方法であって、
前記計測手段による計測に基づく自機の運動状態、及び、前記無線通信手段により取得された前記外部機器の運動状態に基づいて、前記報知動作の実行可否及び/又は動作モードを設定する報知動作設定ステップ、
前記報知動作設定ステップにおける設定に基づいて、前記報知手段に前記報知動作を行わせる報知動作制御ステップ
を含むことを特徴とする報知動作制御方法。
<請求項15>
設定された外部機器との間で近距離無線通信によりデータの送受信を行う無線通信手段と、自機の所定の運動状態を判定するための物理量を計測する計測手段と、所定の報知動作を実行する報知手段と、を備える携帯型電子装置に用いられるコンピュータを、
前記計測手段による計測に基づく自機の運動状態、及び、前記無線通信手段により取得された前記外部機器の運動状態に基づいて、前記報知動作の実行可否及び/又は動作モードを設定する報知動作設定手段、
前記報知動作設定手段の設定に基づいて、前記報知手段に前記報知動作を行わせる報知動作制御手段
として機能させるためのプログラム。