特許第6094225号(P6094225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

特許6094225カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ
<>
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000002
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000003
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000004
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000005
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000006
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000007
  • 特許6094225-カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094225
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】カードケース、フック、カードホルダ、及び、紐付きカードホルダ
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/02 20060101AFI20170306BHJP
   A45C 11/00 20060101ALI20170306BHJP
   G09F 1/10 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   F16B45/02 B
   F16B45/02 A
   A45C11/00 A
   G09F1/10 U
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-1425(P2013-1425)
(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公開番号】特開2014-134228(P2014-134228A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】花川 陽一
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−169886(JP,A)
【文献】 実開平01−077423(JP,U)
【文献】 特開2012−067863(JP,A)
【文献】 特開2006−322577(JP,A)
【文献】 特開2003−103966(JP,A)
【文献】 実開昭56−077331(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3116524(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0229971(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0132132(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0093931(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0066969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 45/00−45/06
A45C 11/00−11/38
G09F 1/00− 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の軟質樹脂により形成され内部にカードを収容可能な収容空間を有した袋状のケース本体と、硬質樹脂により形成され前記収容空間に配されたプレート部材とを具備してなるカードケースを支持するためのフックであって、
前記カードケースに係わり合って支持する支持部と片持梁状に突設され吊り下げ用の紐を引っ掛けるための紐掛部とを有したフック本体と、前記フック本体の基端部から連続して設けられ前記紐を挿通可能な挿通孔を有するとともに前記支持部に当接可能に構成されたフックレバーとを備え、これらフック本体とフックレバーとが樹脂により一体に形成されたものであり、
前記フックレバーが、前記支持部に当接して前記カードケースの離脱を禁止し得る通常位置と、前記紐掛部と前記挿通孔との間の隙間を樹脂の弾性変形を利用して拡張可能な拡張可能位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とするフック。
【請求項2】
前記カードケースの前記収容空間が、複数枚のカードを収容可能な大きさに設定されている請求項1記載のフック
【請求項3】
前記カードケースの前記プレート部材の縦横寸法が、前記収容空間に収容されるべき前記カードの縦横寸法よりも大きく設定されている請求項1又は2記載のフック
【請求項4】
前記挿通孔が、前記紐掛部の上及び前に連続して形成されている請求項1、2又は3記載のフック。
【請求項5】
引っ掛け対象物に掛け止めするための掛け止め部を備えている請求項1、2、3又は4記載のフック。
【請求項6】
透明の軟質樹脂により形成され内部にカードを収容可能な収容空間を有した袋状のケース本体と、硬質樹脂により形成され前記収容空間に配されたプレート部材とを具備してなるカードケースと、請求項1、2、3、4又は5記載のフックとを備えてなることを特徴とするカードホルダ。
【請求項7】
請求項に記載のカードホルダのフックに吊り下げ用の紐を取り付けていることを特徴とする紐付きカードホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名刺や従業員のIDカード等のカードを収容して外部に表示させるためのカードケース、このカードケースを支持するフック、これらカードケースとフックを有したカードホルダ、当該カードホルダのフックに紐を取り付けてなる紐付きカードホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、名刺や従業員のIDカード等のカードを収容して外部に表示させるためのカードケースが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この種のカードケースには、軟質樹脂により形成されたいわゆるソフトタイプのものや、硬質樹脂により形成されたいわゆるハードタイプのものが存在する。
【0003】
従来のソフトタイプのカードケースは、軟質樹脂により形成されているため、軽量であり、家具や什器等の物品にぶつかった場合でも大きな音が生じないという利点がある。しかしながら、従来のものでは、従業員のIDカードに代表される硬質のカードを内部に収容した場合に、当該硬質のカードを外部からの衝撃に対して保護するには一定の限界があった。また、従来のものは、搬送時や保管時等において、曲がったり折れたりし易く所期の形状を好適に保持することができるものではなかった。
【0004】
一方で、従来のハードタイプのカードケースは、硬質樹脂により形成されているため、前述した硬質のカードを内部に収容した場合に、外部からの衝撃に対して適切な保護ができるという利点がある。しかしながら、従来のものでは、使用者に相応の重量感を与えるものとなっているとともに、家具や什器等の物品にぶつかった場合には大きな衝撃音が発生するものとなっていた。更に、ハードタイプのカードケースは、硬質樹脂により形状が明確に規定されてしまうため、適切に収容することができるカードの仕様や枚数が限定的になり易いものとなっていた。
【0005】
近時、セキュリティ対策の一環として硬質のカードであるIDカード等が広く普及しており、名刺等の比較的軽量で軟質のカードのみならず、IDカード等の硬質のカードにもそれぞれ好適に対応し得るカードケース、換言すれば、ソフトタイプのカードケース、及び、ハードタイプのカードケースのそれぞれの利点を持ち備えたカードケースの登場が望まれている。
【0006】
以上の事情は、カードケースを支持するフック、カードケースとフックを有したカードホルダ、当該カードホルダのフックに紐を取り付けてなる紐付きカードホルダについても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−67863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、家具や什器等の物品にぶつかった場合でも大きな衝撃音が生じ難く、内部に収容されるカードを外部からの衝撃に対して一定程度保護し得るカードケースを提供することにある。
【0009】
更に、本発明は、当該カードケースを支持するフック、当該カードケースとフックを有したカードホルダ、及び、当該カードホルダのフックに紐を取り付けてなる紐付きカードホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0011】
請求項1に記載のフックは、透明の軟質樹脂により形成され内部にカードを収容可能な収容空間を有した袋状のケース本体と、硬質樹脂により形成され前記収容空間に配されたプレート部材とを具備してなるカードケースを支持するためのものものであって、前記カードケースに係わり合って支持する支持部と片持梁状に突設され吊り下げ用の紐を引っ掛けるための紐掛部とを有したフック本体と、前記フック本体の基端部から連続して設けられ前記紐を挿通可能な挿通孔を有するとともに前記支持部に当接可能に構成されたフックレバーとを備え、これらフック本体とフックレバーとが樹脂により一体に形成されたものであり、前記フックレバーが、前記支持部に当接して前記カードケースの離脱を禁止し得る通常位置と、前記紐掛部と前記挿通孔との間の隙間を樹脂の弾性変形を利用して拡張可能な拡張可能位置との間で移動可能に構成されているものである。
【0012】
ここで、「透明」とは、透き通っているものであればよく、光を透過させて看者が視認可能な半透明を含む概念である。また、透明は、無色であっても有色であっても良い。要するに、「透明」とは、ケース本体の内部に収容されたカードを、ケース本体の外部から視認可能にするものであれば良い。
【0013】
請求項2に記載のフックは、請求項1に係る構成において、前記カードケースの前記収容空間が、複数枚のカードを収容可能な大きさに設定されているものである。
【0014】
請求項3に記載のフックは、請求項1又は2に係る構成において、前記カードケースの前記プレート部材の縦横寸法が、前記収容空間に収容されるべき前記カードの縦横寸法よりも大きく設定されているものである。
【0015】
請求項4に記載のフックは、請求項1、2又は3に係る構成において、前記挿通孔が、前記紐掛部の上及び前に連続して形成されているものである。
【0016】
請求項5に記載のフックは、請求項1、2、3又は4に係る構成において、引っ掛け対象物に掛け止めするための掛け止め部を備えているものである。
【0018】
ここで、「引っ掛け対象物」は、掛け止め部が係わり合うものであればどのようなものであっても良い。
【0019】
請求項に記載のカードホルダは、透明の軟質樹脂により形成され内部にカードを収容可能な収容空間を有した袋状のケース本体と、硬質樹脂により形成され前記収容空間に配されたプレート部材とを具備してなるカードケースと、請求項1、2、3、4又は5記載のフックとを備えてなるものである。
【0020】
請求項に記載の紐付きカードホルダは、請求項に記載のカードホルダのフックに吊り下げ用の紐を取り付けているものである。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、家具や什器等の物品にぶつかった場合でも大きな音が生じ難く、内部に収容されるカードを外部からの衝撃に対して一定程度保護し得るカードケースを提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、当該カードケースを支持するフック、当該カードケースとフックを有したカードホルダ、及び、当該カードホルダのフックに紐を取り付けてなる紐付きカードホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における正面図。
図3】同実施形態における斜視図。
図4】同実施形態における斜視図。
図5】同実施形態における側面図。
図6】同実施形態における側面図。
図7図2におけるX−X線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜7を参照して説明する。
【0025】
この実施形態は、本発明を、内部の収容空間spに名刺やIDカード等のカードKを収容可能に構成され外部にカードKを表示させるようにしたカードケースCを有する紐付きカードホルダAに適用したものである。なお、図1では、カードケースC内に収容されたカードKの一例として、硬質のカードである従業員用のIDカードを示している。
【0026】
紐付きカードホルダAは、カードケースCと、このカードケースCを支持するためのフックHと、このフックHに取り付けられた吊り下げ用の紐Sとを備えてなる。なお、カードケースCとフックHとによってカードホルダBを構成している。
【0027】
カードケースCは、略無色透明の軟質樹脂により形成され可撓性を有し内部にカードKを収容可能な収容空間spを有した袋状のケース本体1と、透明の硬質樹脂により形成され収容空間spに配されたプレート部材2とを具備してなるものである。カードKは、収容空間spにおけるプレート部材2の前側、及び、後側の位置に配されるようになっている。
【0028】
ケース本体1における収容空間spは、一般的な名刺サイズ(横91.0mm×縦55mm×任意の紙厚)のカードや、セキュリティカードやIDカードやクレジットカード等のJIS−X−6301準拠サイズ(縦54.0mm×横85.6mm×厚み0.76mmのものであり、以下、説明の便宜上「JISカードサイズ」という。)のカードKを収容可能な大きさに設定されている。
【0029】
なお、名刺サイズのカードは、情報印刷物であって主として紙により作られ一定の曲げ変形が許容される名刺が代表的なものであるが、名刺に限定されるものではない。また、JISカードサイズのカードKは、主として硬質樹脂により作られ一般に曲げ変形が殆ど許容されない硬質プレート状のものであり、従業員等の本人認証に用いられるIDカードや、扉の施錠や解錠に用いられるセキュリティカードや鍵代替カード、その他、クレジットカードやキャッシュカード等が代表的なものであるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
ケース本体1は、一方の面板である表側の面板11と、左右の側縁部及び下縁部を表側の面板11における左右の側縁部及び下縁部に接続した他方の面板である裏側の面板12と、表側の面板11と裏側の面板12の上縁部との間に形成された開口部gを閉塞するべく上縁部分を表側の面板11に接続した蓋用の面板13とを具備している。ケース本体1は、内部すなわち表側の面板11と裏側の面板12との間に、カードKを収容可能な扁平な収容空間spを有している。
【0031】
表側の面板11は、正面視略矩形状をなす透明のもので、裏側の面板12及び蓋用の面板13に対面する表側の面板本体11aと、この表側の面板本体11aの上端から連続して設けられフックHやその他の吊り下げ用の紐部材を通過させるための長孔h1及び丸孔h2を有した取付孔形成部11bを備えている。取付孔形成部11bは、中央及び左右の3箇所にフックHの支持部31が通過可能な大きさの長孔h1を備え、中央の長孔h1の左右2箇所に比較的小径の紐等が通過可能な大きさの丸孔h2を備えている。
【0032】
裏側の面板12は、背面視において略矩形状をなす透明のもので、上部の外面側に蓋用の面板13の下部を止着させるための係合用の突部t1を備えている。突部t1は、裏側の面板12の幅方向と略同じ長さを有している。
【0033】
蓋用の面板13は、背面視において略矩形状をなす透明のもので、上縁部分が表側の面板11における面板本体11と取付孔形成部11bとの境界部分に接続されているとともに下部が裏側の面板12の上部に外側から重なるように配されている。蓋用の面板13における下部の内面には裏側の面板12に設けられた突部t1に着脱可能に嵌合する凹部f1を備えている。
【0034】
プレート部材2は、透明の硬質樹脂により形成されたもので、本実施形態では厚み寸法が約1mmに設定された透明板状のものである。プレート部材2は、ケース本体1とは別個に形成されている。プレート部材2の縦幅及び横幅寸法は、収容空間spに収容されるべきカードKの縦幅及び横幅寸法よりも大きく設定されている。すなわち、プレート部材2は、ケース本体1の収容空間spに収容されることが予定されているカードKの上下寸法及び左右寸法よりも大きな上下寸法及び左右寸法に設定されている。本実施形態のカードケースCは、収容空間spに、名刺サイズのカード、及び、JISカードサイズのカードKを収容できるようにしており、当該収容空間spに配されるプレート部材2は、名刺サイズやJISカードサイズのカードKの寸法よりも大きな寸法に設定されている。この例では、プレート部材2は、縦幅寸法(上下寸法)が58mmに設定されており、横幅寸法(左右寸法)が93mmに設定されている。プレート部材2の4箇所の角部分は丸く形成されている。
【0035】
フックHは、カードケースCを着脱可能に支持するためのものである。なお、このフックHは、物品を引っ掛けて支持するとともに引っ掛けた物品を使用過程で離脱し難いようにしたものであり、本実施形態で示した物品であるカードケースC以外にも、種々の物品を支持することができるものである。
【0036】
フックHは、カードケースCに係わり合って支持する支持部31と片持梁状に突設され吊り下げ用の紐Sを引っ掛けるための紐掛部32とを有したフック本体3と、フック本体3の基端部から連続して設けられ紐Sを挿通可能な挿通孔41を有するとともに支持部31に当接可能に構成されたフックレバー4とを備えている。フック本体3とフックレバー4とは樹脂により一体に形成されている。また、この実施形態では、フックHは、被服におけるポケット縁部等の引っ掛け対象物(図示せず)に掛け止めするための掛け止め部5を備え、フック本体3及びフックレバー4とともに樹脂により一体に形成されている。以下、フックHについて詳述する。
【0037】
フック本体3は、カードケースCと係わり合う支持部31と、吊り下げ用の紐Sと係わり合う紐掛部32と備えている。
【0038】
支持部31は、カードケースCの取付孔形成部b11に設けられた長孔h1に挿通され下部のU字状に屈曲する部分において長孔h1の開口縁と係わり合うものである。支持部31は、短冊状の外形をなすもので、側面視において鉤型或いは釣り針状をなしたものであり、換言すれば、側面視略J字状に形成されたものである。
【0039】
紐掛部32は、紐Sと係わり合うべく凸状に形成されたもので、上下方向に延びる支持部31の上側部分と略直交する方向に片持梁状に突出して設けられている。紐掛部32は、支持部31の上側部分と略直交する方向、すなわち、使用時の基本姿勢における略水平方向に延びる紐掛部本体32aと、紐掛部本体32aの先端部から下方に突設され紐Sの前方への移動を抑制し得る下規制部32bと、紐掛部本体32aの先端部から上方に突設され紐Sの前方への移動を抑制し得る上規制部32cとを備えている。紐掛部本体32aは、柱状のもので、その下面部分と左右の側面部分が紐Sに接し得るようになっている。下規制部32bの下端には、紐Sの下方への移動を抑制し得る突出部32dを備えている。上規制部32cは、後述するフックレバー4の挿通孔41によって中央側に相寄せられた紐Sの前方への移動を規制し得るものである。
【0040】
フックレバー4は、通常の使用時において、フック本体3に支持されたカードケースC等の物品の離脱を禁止する機能を営むものである。フックレバー4は、フック本体3の基端部から連続して設けられ紐Sを挿通可能な挿通孔41を有するとともに支持部31に当接可能に構成されている。挿通孔41は、紐掛部32の上方及び前方に対応する部位に連続して形成されている。
【0041】
フックレバー4は、側面視において上下を逆転させた略L字状に形成されたもので、フック本体3の支持部31における上側部分と略直交する前方、換言すれば、紐掛部本体32aと略平行に延びる上壁部Uと、この上壁部Uの先端から下方に延びる前壁部Mとを備えている。挿通孔41は、紐掛部32の上方に対応する上壁部Uの左右方向中央部分、及び、紐掛部32の前方に対応する前壁部Mの左右方向中央部分に連続して形成されたものである。すなわち、挿通孔41は、主として使用時に紐Sが通過する上挿通孔構成部41aと、主として着脱時に紐Sが通過する前挿通孔構成部41bとを備えている。
【0042】
フックレバー4は、支持部31に当接してカードケースCの離脱を禁止し得る通常位置(R)と、紐掛部32と挿通孔41との間の隙間chを樹脂の弾性変形を利用して拡張可能な拡張可能位置(E)との間で移動可能に構成されている。
【0043】
フックレバー4における通常位置(R)とは、図5等に示すように、フック本体3における支持部31の先端部の内面部分に、フックレバー4の先端部の外面部分、すなわち、前壁部Mにおける先端部の外面部分を添設し得る位置であり、側面視においてフック本体3とフックレバー4とによって連続的な環を形成し得る位置である。フックレバー4が、通常位置(R)にある状態では、通常時、支持部31と前壁部Mとの間に形成される物品着脱通路wを閉塞し、支持部31に支持されたカードケースC等の物品の離脱を禁止し得るようになっている。一方で着脱時、すなわちカードケースC等の物品をフックHに支持させる際、或いは、支持された物品をフックHから離脱させる際には、フックレバー4を押圧して一時的に後方に弾性変形させることにより、フック本体3とフックレバー4との間に物品を着脱するための物品着脱通路wを一時的に形成し得るようになっている。
【0044】
フックレバー4における拡張可能位置(E)とは、図6等に示すように、フック本体3における支持部31の先端部の外面側に、フックレバー4の先端部、すなわち、前壁部Mにおける先端部が配される位置である。フックレバー4が、拡張可能位置(E)にあると、フックレバー4の前側に支持部31が位置して干渉することが無い。このため、フックレバー4の先端側を前方に引き上げる操作が可能になる。そして、拡張可能位置(E)において、フックレバー4の先端側を前方に移動する操作をすると、フックレバー4は、樹脂の弾性変形によってフック本体3に対して相対移動する。その結果、フックレバー4の紐掛部32と挿通孔41との間の隙間ch、すなわち、紐掛部32と挿通孔41の側面視における隙間chを樹脂の弾性変形を利用して拡張することができるようになっている。
【0045】
以上に説明したフックレバー4の通常位置(R)と拡張可能位置(E)との切換えは、図4に示すように、樹脂の弾性変形を利用して、前壁部Mの先端部がフックHにおける支持部31の先端部の外周を巡るようにして、フックレバー4を移動させることにより行われる。
【0046】
掛け止め部5は、フック本体3における基端部の後部から下方に垂下するように設けられた片状のものである。掛け止め部5とフック本体3との間には、引っ掛け対象物(図示せず)が入り込む引っ掛け用隙間51が形成されている。
【0047】
紐Sは、ネックストラップとも称されるものであり、主に使用者の首に掛けて吊り下げて使用されるものである。紐Sは、環状をなすもので、綿や合成繊維等を編んで製造された紐本体S1を主体に構成されている。紐本体S1は、フックHの紐掛部本体32aの長手寸法と略一致する幅寸法を有し、図7等に示すように2重に重なり合った状態でフックHの挿通孔41を通過可能な厚み寸法を有している。紐Sは、紐本体S1と紐本体S1の両端部に取り付けられた樹脂製の連結部材S2とを備えているものであるが、通常のものであるため詳細な説明を省略する。紐Sは、フックHに対して紐Sを着脱する際においても環形状が保持されている。換言すれば、紐Sは、使用者が使用する段階では、長さ調整は可能であるが吊り下げるための環形状を容易に分解できない態様で構成されている。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るカードケースCは、透明の軟質樹脂により形成され内部にカードKを収容可能な収容空間spを有した袋状のケース本体1と、透明の硬質樹脂により形成され収容空間spに配されたプレート部材2とを具備してなる。このため、家具や什器等の物品にぶつかった場合でも大きな衝撃音が生じ難く、内部に収容されるカードKを外部からの衝撃に対して一定程度保護し得るカードケースを提供することができるものとなる。
【0049】
主要部を構成するケース本体1が透明の軟質樹脂により形成されたものであるため、従来のハードタイプのものと比較して軽量なものを実現し易いものとなる。更に、セキュリティカードやIDカード等の硬質のカードKを内部に収容した場合であっても、収容空間spには硬質樹脂により形成されたプレート部材2が配されているため外部からの衝撃に対して硬質のカードKを好適に保護し得るものとなる。
【0050】
プレート部材2がケース本体1の収容空間spに配されているため、プレート部材2が、ケース本体1の形状が搬送や保管に伴う時間的経過に伴って変形してしまうことを好適に抑制するものとなる。すなわち、プレート部材2が、ケース本体1の所期の形状を好適に保持することができる。
【0051】
プレート部材2が透明のものであるため、内部に収容されたカードKの表裏両面を外部に表出させることができるものとなる。
【0052】
ケース本体1は透明の軟質樹脂により形成されているため収容空間spの柔軟性に優れており、カードKの仕様や枚数の増減に対して融通が利き易い、すなわち、カードKの仕様や枚数が異なっても好適な姿勢を保持して収容し易いものとなっている。
【0053】
収容空間spが、複数枚のカードKを収容可能な大きさに設定されているため、例えば、名刺とICカードを一緒に収容させたりプレート部材2の前後にカードKを収容させたりと、オフィス等における現実的な使用に好適に対応したカードケースCを提供することができる。
【0054】
プレート部材2の縦横寸法が、収容空間spに収容されるべきカードKの縦横寸法よりも大きく設定されているため、カードKを外部からの衝撃に対して好適に保護し得るものとなる。
【0055】
フックHが、上述した構成のカードケースを支持するものであるため、上述した作用効果を奏するものとなる。
【0056】
また、フックHが、カードケースC等の物品に係わり合って支持する支持部31と片持梁状に突設され吊り下げ用の紐Sを引っ掛けるための紐掛部32とを有したフック本体3と、フック本体3の基端部から連続して設けられ紐Sを挿通可能な挿通孔41を有するとともに支持部31に当接可能に構成されたフックレバー4とを備え、フック本体3とフックレバー4とが樹脂により一体に形成されたものとなっている。そして、フックレバー4が、支持部31に当接してカードケースC等の物品の離脱を禁止し得る通常位置(R)と、紐掛部32と挿通孔41との間の隙間chを樹脂の弾性変形を利用して拡張可能な拡張可能位置(E)との間で移動可能に構成されている。このため、フックHに対する紐Sの着脱を、フックレバー4を拡張可能位置(E)に設定することにより容易に行えるものとなる。
【0057】
つまり、拡張可能位置(E)にあるフックレバー4を前方に弾性変形させることにより、挿通孔41と紐掛部32の先端部である上規制部32cや下規制部32bとの間の隙間chが拡張することになる。この結果、紐Sは、通常位置(R)にある場合と異なり、フックレバー4の上壁部Uや前壁部Mによって移動を阻止されることが無く挿通孔41と紐掛部32との間を通過し得るものとなる。なお、図6では、取り外し過程にある紐S’を想像線で示している。
【0058】
従来のフックでは、紐を取り付ける部分を、特開2012−67863に示すような一対の挿通窓を通すようにしたもの等が広く知られていたが、このようなものでは紐を環状の状態を維持して着脱することができなかった。また、環状の状態で紐を着脱可能にした従来のフックでは、紐の着脱が可能であり且つ紐が抜け落ちない隙間が設定されたものであり、紐の着脱を行う際にその作業を行い易くするための構造をとるものは存在していなかった。本実施形態のフックは、かかる不具合を解消し、紐の着脱を容易に行うことができるフックを提供するものとなっている。
【0059】
挿通孔41が、紐掛部32の上方及び前方に対応する部位に連続して形成されているものであるため、紐Sを通過させるための挿通孔41が紐掛部32に対応する好適な箇所に設けられるものとなる。しかも、フックレバー4における紐掛部32の上方及び前方に対応する部位、すなわち上壁部Uと前壁部Mのそれぞれに挿通孔41が形成されているため、弾性変形をし易いものとなり、通常位置(R)と拡張位置(E)との間の移動を無理なく行うことができるものとなる。
【0060】
フックHが、引っ掛け対象物に掛け止めするための掛け止め部5を備えているので、紐Sを介すること無く、フックH自体を、被服のポケット等の引っ掛け対象物に直接的に掛け止めすることができるものとなる。
【0061】
カードホルダBが、上述した構成のカードケースCと、カードケースCを吊り下げて支持するフックHとを備えてなるものであるため、上述した作用効果を奏するものとなる。
【0062】
紐付きカードホルダAが、カードケースCを備えたカードホルダBにおけるフックHに吊り下げ用の紐Sを取り付けているものであるため、上述した作用効果を奏するものとなる。
【0063】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0064】
ケース本体の形状は、種々の形状を採用することができ、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。すなわち、ケース本体は、透明の軟質樹脂により形成され内部にカードを収容可能な収容空間を有したものであれば種々の形状のものを採用することができる。例えば、ケース本体には蓋用の面板が無いものであってもよいし、開口部を上側に設けずに左右側に設けたものであってもよい。
【0065】
プレート部材の形状は、種々の形状を採用することができ、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。すなわち、プレート部材は、透明の硬質樹脂により形成され収容空間に配されるものであれば、種々の形状のものを採用することができる。例えば、プレート部材を、周縁部分が枠状に形成されるとともに中央部分が貫通孔に形成されたものとしてもよい。また、例えば、プレート部材を、2枚の板材を重ね合わせ一端縁でこれら板材を連結するようにし、当該2枚の板材の間に名刺等を挟み込めるものとしてもよい。
【0066】
フックの形状は、種々の形状を採用することができ、本実施形態に示されるものには限定されるものではない。例えば、紐掛部は、片持梁状に突出したものであれば種々の形状を採用することができ、上規制部や下規制部を設けているものに限定されるものではない。すなわち、紐掛部は、単純な柱状のものであってもよいし、先端部に上規制部又は下規制部の何れか一方を設けているようなものであってもよい。
【0067】
また、フックにおける掛け止め部は、必ずしも必須の構成ではない。
【0068】
フックは、本実施形態においてはカードケースを支持するものとして説明しているが、カードケース以外の物品を支持することも可能である。
【0069】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…ケース本体
2…プレート部材
3…フック本体
4…フックレバー
5…掛け止め部
31…支持部
32…紐掛部
41…挿通孔
A…紐付きカードホルダ
B…カードホルダ
C…カードケース
H…フック
ch…隙間
sp…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7