【実施例】
【0033】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の部、及び%は特に断らない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
【0034】
<実施例1>
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス社製、水分50%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)は550ml)を濃度4.0%になるように水を加え、ディスインテグレーターで離解して、パルプ分散液を得た。このパルプ分散液を長径250mmのグラインダー部を有する増幸産業社製のマスコロイダーを用いて、処理回数3回で解繊処理を行って微細化した。得られた解繊液の上澄み濃度は3.25%であった。また、上澄み中の微細繊維の幅は60〜700nmの範囲にあり、平均繊維幅は140nmであった。
上記解繊液の上澄みの濃度が約3%になるように水を加えて希釈し、ホモミキサーで攪拌してセルロース微細繊維分散液を得た。このセルロース微細繊維分散液の固形分濃度を測定したところ、3.0%であった。
ナノプラチナ−シリカ粒子((株)エブリウェアー製、PN−100SP)をセルロース微細繊維分散液の固形分100重部に対し1部となるように添加した。
以上の操作で調製したセルロース微細繊維とナノプラチナ−シリカ粒子を含有する分散液を508ナイロンメッシュシート上で厚さが均一になるようにアプリケータ(クリアランス1mm)で表面を均し、さらに下部より吸引脱水した後に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME、東邦化学社製、商品名:「ハイソルブMDM」、分子量134、沸点162℃、表面張力28N/m)を湿紙状態のシートの固形分100部に対して1200部を添加した。下部より吸引後、105℃に加熱したシリンダドライヤで0.2MPaに加圧しながら乾燥させた。以上の操作で無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シートを得た。
下記の液透過性表面シート、吸収シート、液不透過性裏面シートを用いて、吸収シートを液透過性表面シートと液不透過性裏面シートの中間に挿入した。次に、液透過性表面シートと液不透過性裏面シートを貼り付け、吸収シートが液透過性表面シートと液不透過性裏面シートとの間に包み込み、吸収体用基材を作製した。
【0035】
(液透過性表面シート)
液透過性表面シートとしては、無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シートを用いた。
(吸収シート)
綿状パルプ150g/m
2、ポリアクリル酸ナトリウム(高吸収性ポリマー)135g/m
2、熱融着性繊維(ポリエステル/ポリエチレン)15g/m
2、を均一に分布させたものを不織布で包み込み、表面温度150℃の熱プレスロールにて吸収体全体の緊度が0.10g/cm
3となるように調製し、吸収シートを得た。
(液不透過性裏面シート)
液不透過性裏面シートとしては、不織布を用いた。
【0036】
<臭い評価試験>
前記で作製した吸水性物品をポリフッ化ビニル製バッグ)3Lに入れ、密封後、ポリフッ化ビニル製バッグ内に1mlのアンモニアガスを注入し、ポリフッ化ビニル製バッグを密閉し60分間静置した。10人の被験者が各々ポリフッ化ビニル製バッグ内の臭い下記の5段階評価で判定した。10名の評価結果の平均値を表1に示す。
[臭い評価法]
1:無臭である。
2:何の臭いかわからないが、ややかすかに何かを感じる強さである。
3:何の臭いであるかわかる弱い臭いである。
4:明らかに感じる臭いである。
5:強い臭いである。
【0037】
<実施例2>
実施例1において、ジエチレングリコールジメチルエーテルを湿紙状態のシートの固形分100部に対して600部を添加した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
【0038】
<実施例3>
実施例1において、ジエチレングリコールジメチルエーテルを湿紙状態のシートの固形分100部に対して300部を添加した以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
【0039】
<実施例4>
実施例1において、マスコロイダーの処理回数を1回にした以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表1に示す。
【0040】
<比較例1>
針葉樹晒クラフトパルプ(王子ホールディングス社製、水分50%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)は550ml)を濃度4.0%になるように水を加え、ディスインテグレーターで離解して、パルプ分散液を得た。この分散液の濃度が約0.2%になるように水を加えて希釈し、ホモミキサーで攪拌して微細繊維分散液を得た。この分散液の固形分濃度を測定したところ、0.2%であった。
ナノプラチナ−シリカ粒子((株)エブリウェアー製、PN−100SP)を分散液の固形分100部に対し1部となるように添加した。
このように調製した分散液を508ナイロンメッシュシート上に展開し、下部より吸引脱水した後に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME、東邦化学社製、商品名:「ハイソルブMDM」、分子量134、沸点162℃、表面張力28N/m)を湿紙状態のシートの固形分100部に対して1200部を添加した。下部より吸引後、105℃に加熱したシリンダドライヤで0.2MPaに加圧しながら乾燥させた。以上の操作で、無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シートを得た。得られたシートを用いて、実施例1と同様の方法で吸収体用基材を作製し、臭いの評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示すように、吸収体用基材の液透過性表面シートとして、ナノプラチナ−シリカ粒子を含有するセルロース微細繊維シートを用いた試験において、セルロースシートに含まれるセルロース微細繊維の比表面積が大きい程、アンモニア吸着効果が高かった。
【0043】
<実施例5>
実施例1の<吸収シート>において、「綿状パルプ」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例1の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0044】
<実施例6>
実施例2の<吸収シート>において、「綿状パルプ」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例2の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0045】
<実施例7>
実施例3の<吸収シート>において、「綿状パルプ」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例3の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例3と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0046】
<実施例8>
実施例4の<吸収シート>において、「綿状パルプ」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例4の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例4と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0047】
<比較例2>
比較例1の<吸収シート>において、「綿状パルプ」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、比較例1の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て比較例1と同様の方法で試験した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示すように、吸収体用基材の吸収シートとして、ナノプラチナ−シリカ粒子を含有する。セルロース微細繊維シートを用いた試験において、セルロースシートに含まれるセルロース微細繊維の比表面積が大きい程、アンモニア吸着効果が高かった。
【0050】
<実施例9>
実施例1の<液不透過性裏面シート>において、「不織布」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例1の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
【0051】
<実施例10>
実施例2の<液不透過性裏面シート>において、「不織布」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例2の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
【0052】
<実施例11>
実施例3の<液不透過性裏面シート>において、「不織布」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例3の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例3と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
【0053】
<実施例12>
実施例4の<液不透過性裏面シート>において、「不織布」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、実施例4の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て実施例4と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
【0054】
<比較例3>
比較例1の<液不透過性裏面シート>において、「不織布」の代わりに「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」を用いた。また、比較例1の<液透過性表面シート>において、「無機化合物粒子を含むセルロース微細繊維シート」の代わりに「不織布」を用いた。それ以外の操作は全て比較例1と同様の方法で試験した。結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
表3に示すように、吸収体用基材の液不透過性裏面シートとして、ナノプラチナ−シリカ粒子を含有するセルロース微細繊維シートを用いた試験において、セルロースシートに含まれるセルロース微細繊維の比表面積が大きい程、アンモニア吸着効果が高かった。
【0057】
<実施例13>
実施例1において、ナノプラチナ−シリカ粒子の代わりに銀粒子を用いた以外は全て実施例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
【0058】
<実施例14>
実施例2において、ナノプラチナ−シリカ粒子の代わりに銀粒子を用いた以外は全て実施例2と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
【0059】
<実施例15>
実施例3において、ナノプラチナ−シリカ粒子の代わりに銀粒子を用いた以外は全て実施例3と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
【0060】
<実施例16>
実施例4において、ナノプラチナ−シリカ粒子の代わりに銀粒子を用いた以外は全て実施例4と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
【0061】
<比較例4>
比較例1において、ナノプラチナ−シリカ粒子の代わりに銀粒子を用いた以外は全て比較例1と同様の方法で試験した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4に示すように、セルロース微細繊維を含有するシートに無機化合物粒子として銀を添加した試験において、セルロースシートに含まれるセルロース微細繊維の比表面積が大きい程、アンモニア吸着効果が高かった。