特許第6094310号(P6094310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094310
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】可動演出ユニットおよび遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-67572(P2013-67572)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-188228(P2014-188228A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】清水 良治
(72)【発明者】
【氏名】古田 武彦
【審査官】 瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−212337(JP,A)
【文献】 特開2007−268210(JP,A)
【文献】 特開2003−212113(JP,A)
【文献】 特開2012−240463(JP,A)
【文献】 特開平03−178503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に備えられる可動演出ユニットであって、
少なくとも2つの直線部と2つの直線部の端部同士を連結する曲線部とを備えたレール部と、
上記曲線部に対して所定の間隔を隔てて対向するように配置されたガイドレール部と、
上記レール部に沿った移動経路を移動する可動演出部とを備え、
上記可動演出部は、
上記レール部の一方の面に当接する第1ガイドローラと、
上記レール部の他方の面に当接する第2ガイドローラおよび駆動ローラとを備え、
上記レール部は、上記移動経路に沿って移動する上記可動演出部と摺動する電気配線部を備え、
上記可動演出部は、上記電気配線部と摺動する摺動接点部と、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力により駆動される被駆動部とを備えており、
上記駆動ローラは、上記レール部を介して上記第1ガイドローラに対向する位置に配置され、
上記第2ガイドローラは上記第1ガイドローラに対して上記レール部を介して対向する位置よりも上記移動経路に沿った第1方向側に配置されており、
上記ガイドレール部は、上記曲線部における上記他方の面に対向する位置に配置され、かつ上記他方の面と共通の曲率中心を有する形状であり、
上記可動演出部は、上記直線部に沿って上記第1方向に移動することにより上記第1ガイドローラが当該レール部の上記一方の面における直線部と曲線部との接続部に到達したときに、上記第2ガイドローラが上記ガイドレール部に当接し、上記曲線部における上記他方の面および上記ガイドレール部に沿って上記曲率中心を中心とする回転運動を開始し、
上記曲線部において、上記他の面と上記ガイドレール部との間の間隔は上記第2ガイドローラの外径と同じであり、上記直線部において、上記他の面と上記ガイドレール部との間の間隔は上記第2ガイドローラの外径より大きいことを特徴とする可動演出ユニット。
【請求項2】
上記第1ガイドローラの中心と上記駆動ローラの中心とを通る直線を軸として上記第2ガイドローラに対して線対称な位置に第3ガイドローラが備えられており、
上記可動演出部は、上記直線部に沿って上記第1方向とは反対側の第2方向に移動することにより上記第1ガイドローラが当該レール部の上記一方の面における直線部と曲線部との接続部に到達したときに、上記第3ガイドローラが上記ガイドレール部に当接し、上記曲線部における上記他方の面および上記ガイドレール部に沿って上記曲率中心を中心とする回転運動を開始することを特徴とする請求項1に記載の可動演出ユニット。
【請求項3】
上記被駆動部は、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力を、当該可動演出部を上記移動経路に沿って移動させるための駆動力に変換する移動駆動部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の可動演出ユニット。
【請求項4】
上記被駆動部は、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力によって駆動される発光部材、可動部材、または発光部材と可動部材との組み合わせからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の可動演出ユニット。
【請求項5】
上記電気配線部は、上記被駆動部に電力を供給するための電源配線部と、上記被駆動部の動作を制御するための信号を伝達するための通信配線部とを備え、
上記摺動接点部は、上記電源配線部と当接する電源用接点部と、上記通信配線部と当接する通信用接点部とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の可動演出ユニット。
【請求項6】
上記レール部は、上記直線部と上記曲線部との組み合わせからなる略矩形形状を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の可動演出ユニット。
【請求項7】
上記駆動ローラは、上記レール部に設けられたラックと噛み合わされるピニオンであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の可動演出ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の可動演出ユニットとを備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項9】
外縁形状が矩形形状である主演出部を備え、上記レール部が上記主演出部の外縁に沿って配置されていることを特徴とする請求項8に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に備えられる可動演出ユニット、およびそれを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤に平行な所定の移動経路に沿って移動する可動演出部を備えた可動演出ユニットを有する遊技機が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、遊技盤の面方向に沿って回転可能に備えられた回動部を有する遊技機が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、円形環状のギアモジュールと、上記ギアモジュールに対してアーム部材を介して取り付けられた車(可動演出部)とを備え、上記ギアモジュールを回転させることにより、上記車を上記ギアモジュールが成す円形形状の内側に配置された楕円形の軌道に沿って移動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−034348号公報(2006年2月9日公開)
【特許文献2】特開2009−028208号公報(2009年2月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機の中には、画像表示装置(例えば液晶表示パネルなど)や回胴ドラム装置(円筒状のドラム部材を回動可能に備えた装置)などの矩形形状の演出部(以下、主演出部と称する)を備えたものがある。
【0007】
そのような矩形形状の主演出部を有する遊技機に可動演出ユニットを備える場合、演出効果をより高めるために、可動演出部の移動経路を主演出部の周縁部と重畳あるいは近接する位置に設定し、可動演出部の動作と主演出部の動作とを連動させて制御することが考えられる(この構成は本願発明者らが考案した構成であって公知技術ではない)。
【0008】
しかしながら、特許文献1,2の技術では、可動演出部を円形あるいは楕円形の移動経路に沿って移動させることはできるものの、矩形形状の移動経路に沿って移動させることについては考慮されていない。また、特許文献1,2の技術を用いて可動演出部を矩形形状の移動経路に沿って移動させようとすると、可動演出部が矩形形状の角部に引っ掛かって角部を通過することができない。このため、特許文献1,2の技術では、可動演出部の移動経路を円形または楕円形にせざるを得ず、可動演出部の移動経路が主演出部から離れた位置になってしまうので、主演出部の動作と連動させた高い演出効果を得ることができない。
【0009】
なお、可動演出部が矩形形状の移動経路に沿って移動しやすいように矩形形状の角部を曲線形状(R形状)にすることが考えられるが(この構成は本願発明者らが考案した構成であって公知技術ではない)、それによって仮に可動演出部が角部を通過可能になったとしても、直線部と曲線部との接続部において重力の影響等により可動演出部の姿勢が不安定になり、可動演出部を安定して移動させることができない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、直線部と曲線部とを有するレール部に沿って移動する可動演出部を備えた遊技機の可動演出ユニットにおいて、可動演出部の移動時の姿勢を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の可動演出ユニットは、遊技機に備えられる可動演出ユニットであって、少なくとも2つの直線部と2つの直線部の端部同士を連結する曲線部とを備えたレール部と、上記曲線部に対して所定の間隔を隔てて対向するように配置されたガイドレール部と、上記レール部に沿った移動経路を移動する可動演出部とを備え、上記可動演出部は、上記レール部の一方の面に当接する第1ガイドローラと、上記レール部の他方の面に当接する第2ガイドローラおよび駆動ローラとを備え、上記レール部は、上記移動経路に沿って移動する上記可動演出部と摺動する電気配線部を備え、上記可動演出部は、上記電気配線部と摺動する摺動接点部と、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力により駆動される被駆動部とを備えており、上記駆動ローラは、上記レール部を介して上記第1ガイドローラに対向する位置に配置され、上記第2ガイドローラは上記駆動ローラよりも上記移動経路に沿った第1方向側に配置されており、上記ガイドレール部は、上記曲線部における上記他方の面に対向する位置に配置され、かつ上記他方の面と共通の曲率中心を有する形状であり、上記可動演出部は、上記直線部に沿って上記第1方向に移動することにより上記第1ガイドローラが上記レール部の上記一方の面における直線部と曲線部との接続部に到達したときに、上記第2ガイドローラが上記ガイドレール部に当接し、上記曲線部における上記他方の面および上記ガイドレール部に沿って上記曲率中心を中心とする回転運動を開始することを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、可動演出部が直線部に沿って第1方向に移動し、直線部と曲線部との接続部に到達したときに、第2ガイドローラがガイドレール部に当接して曲線部における上記他方の面およびガイドレール部に沿って当該曲線部および当該ガイドレール部の曲率中心を中心とする回転運動を開始する。これにより、可動演出部が直線部と曲線部との間を移動する場合であっても、可動演出部を、上記曲率中心を中心とする円軌道に沿って移動させることができ、可動演出部の移動時の姿勢を安定させることができる。
【0013】
また、可動演出部の移動時の姿勢を安定させることができるので、摺動接点部の軌跡を一定にすることができ、電気配線部と摺動接点部との接触状態を維持しながら可動演出部を移動させることができる。また、電気配線部と摺動接点部との接触状態を維持するために必要な電気配線部の移動経路に垂直な方向の幅を狭くすることができるので、電気配線部を構成する材料の使用量を低減してコストダウンを図ることができる。
【0014】
また、上記第1ガイドローラの中心と上記駆動ローラの中心とを通る直線を軸として上記第2ガイドローラに対して線対称な位置に第3ガイドローラが備えられており、上記可動演出部は、上記直線部に沿って上記第1方向とは反対側の第2方向に移動することにより上記第1ガイドローラが当該レール部の上記一方の面における直線部と曲線部との接続部に到達したときに、上記第3ガイドローラが上記ガイドレール部に当接し、上記曲線部における上記他方の面および上記ガイドレール部に沿って上記曲率中心を中心とする回転運動を開始する構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、可動演出部が直線部に沿って第2方向に移動し、直線部と曲線部との接続部に到達したときに、第3ガイドローラがガイドレール部に当接して曲線部における上記他方の面およびガイドレール部に沿って当該曲線部および当該ガイドレール部の曲率中心を中心とする回転運動を開始する。これにより、可動演出部が直線部と曲線部との間を移動する場合であっても、可動演出部を、上記曲率中心を中心とする円軌道に沿って移動させることができ、可動演出部の移動時の姿勢を安定させることができる。
【0016】
また、上記被駆動部は、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力を、当該可動演出部を上記移動経路に沿って移動させるための駆動力に変換する移動駆動部を備えている。
【0017】
上記の構成によれば、可動演出部の移動時の姿勢を安定させて電気配線部と摺動接点部との接触状態を維持しながら可動演出部を移動させることができるので、被駆動部への電力供給を安定させることができ、可動演出部の移動を安定させることができる。
【0018】
また、上記被駆動部は、上記電気配線部および上記摺動接点部を介して供給される電力によって駆動される発光部材、可動部材、または発光部材と可動部材との組み合わせからなる構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、可動演出部の移動時の姿勢を安定させて電気配線部と摺動接点部との接触状態を維持しながら可動演出部を移動させることができるので、被駆動部への電力供給を安定させることができ、発光部材および/または可動部材の動作を安定させることができる。
【0020】
また、上記電気配線部は、上記被駆動部に電力を供給するための電源配線部と、上記被駆動部の動作を制御するための信号を伝達するための通信配線部とを備え、上記摺動接点部は、上記電源配線部と当接する電源用接点部と、上記通信配線部と当接する通信用接点部とを備えている構成としてもよい。
【0021】
また、上記レール部は、上記直線部と上記曲線部との組み合わせからなる略矩形形状を有している構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、可動演出部を略矩形形状の移動経路に沿って安定した姿勢で移動させることができる。
【0023】
また、上記駆動ローラは、上記レール部に設けられたラックと噛み合わされるピニオンであってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、駆動ローラの回転運動を、可動演出部をレール部に沿って移動させるための運動に変換し、可動演出部をレール部に沿って移動させることができる。
【0025】
本発明の遊技機は、上記したいずれかの可動演出ユニットを備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、直線部と曲線部との間を移動する場合であっても安定した姿勢で移動することのできる可動演出部を備えた遊技機を実現できる。
【0027】
また、外縁形状が矩形形状である主演出部を備え、上記レール部が上記主演出部の外縁に沿って配置されている構成としてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、可動演出部を略矩形形状の主演出部の外縁に沿って安定した姿勢で移動させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の一態様にかかる可動演出ユニットによれば、可動演出部が直線部と曲線部との間を移動する場合であっても、可動演出部の移動時の姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態にかかる可動演出ユニットを備えた遊技機の構成を示す説明図である。
図2図1に示した遊技機における制御系の構成を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる可動演出ユニットの構成を示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる可動演出ユニットの構成を示す説明図である。
図5図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図6図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図7図3に示した可動演出ユニットにおける電極部と接点部との当接部の構成を示す説明図である。
図8図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図9図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図10図3に示した可動演出ユニットにおける電極部と接点部との当接部の構成を示す説明図である。
図11】比較例にかかる可動演出ユニットにおける電極部と接点部との当接部の構成を示す説明図である。
図12図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図13図3に示した可動演出ユニットにおける電極部と接点部との当接部の構成を示す説明図である。
図14図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図15図3に示した可動演出ユニットにおける可動演出部とレール部との接続部の構成を示す説明図である。
図16図3に示した可動演出ユニットにおける電極部と接点部との当接部の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態について説明する。
【0032】
(1−1.パチンコ機1の全体構成)
図1は本実施形態にかかる遊技機としてのパチンコ機1の構成を示す説明図であり、(a)はパチンコ機1の正面図、(b)はパチンコ機1に備えられる遊技盤11の斜視図である。なお、本実施形態では、本発明を遊技機の一例であるパチンコ機に適用する場合について説明するが、これに限らず、例えばスロット機や各種ゲーム機等の他の形態の遊技機に適用してもよい。
【0033】
図1に示したように、パチンコ機1は、遊技盤11、表示装置(主演出部)12、ハンドル13、上皿14、下皿15、スタートチャッカー16、大当り入賞口17、可動演出ユニット20などを備えている。
【0034】
遊技盤11は、ハンドル13によって打ち出された遊技球が移動する領域の背面側に配置された板状部材である。具体的には、パチンコ機1の前面側はガラス板を嵌め込んだガラス枠(図示せず)によって覆われており、ハンドル13によって打ち出された遊技球は上記ガラス板と遊技盤11との間の領域を移動する。
【0035】
表示装置12は、遊技盤11の中央部付近における遊技盤11の裏側に配置された略矩形形状の表示画面を有する表示手段であり、大当り抽選を示す画像や大当りの期待度を示す画像など、各種演出のための画像の表示を行う。具体的には、遊技盤11の中央部付近には表示画面12aの形状に応じた略矩形形状の開口部11aが設けられており、パチンコ機1の利用者が開口部11aを介して表示画面12aを観察できるようになっている。表示装置12の構成は特に限定されるものではなく、例えば液晶表示装置や有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0036】
ハンドル13は、遊技球の発射操作を行うための装置であり、利用者がハンドル13を捻った状態で保持すると、遊技球が連続発射されるようになっている。上皿14には、遊技によって獲得した遊技球が貯留され、下皿15には上皿14から溢れた遊技球が貯留される。
【0037】
スタートチャッカー16には当該ゲートを通過する遊技球を検知する通過検出部16a(後述する図2参照)が設けられており、通過検出部16aの検知結果は後述する制御部30に伝達される。
【0038】
大当り入賞口17は、当該大当り入賞口17を開閉させる開閉処理部17aと、大当り入賞口17に入賞した遊技球の数を計数する入賞計数部17bとを備えている(後述する図2参照)。開閉処理部17aおよび入賞計数部17bは後述する制御部30に接続されており、開閉処理部17aの開閉動作は制御部30によって制御され、入賞計数部17bの計数結果は制御部30に伝達される。
【0039】
可動演出ユニット20は、図1の(b)に示すように、遊技盤11と表示装置12との間に配置されており、表示装置12の表示画面12aおよび遊技盤11の開口部11aの形状に応じた略矩形形状を有するレール部23と、レール部23に沿って移動可能に備えられた2つの可動演出部21とを備えている。これら2つの可動演出部21の構成は互いに略同一なので、本実施形態ではこれら各可動演出部を可動演出部21として示す。ただし、これら各可動演出部を区別する必要がある場合には第1可動演出部21および第2可動演出部21として示す。なお、上記各可動演出部21の動作は互いに独立して制御可能になっている。また、各可動演出部21には発光部21eとしての7セグメントディスプレイが備えられている。
【0040】
図2は、パチンコ機1の制御系の構成を示す説明図である。この図に示すように、パチンコ機は、当該パチンコ機1の各部の動作を制御する制御部30を備えている。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等からなり、各種センサの検出結果、ROM等の記憶手段(図示せず)に格納されたプログラムや各種データなどに基づいて当該パチンコ機1の各部の動作を制御する。
【0041】
具体的には、制御部30には、通過検出部16a、演出情報記憶部40、開閉処理部17a、入賞計数部17b、表示装置12、可動演出部21・21、および払出部41が接続されている。また、制御部30には、抽選処理部31、演出制御部32、表示制御部33、可動制御部34・34、開閉制御部36、および払出制御部37が備えられている。なお、上記の2つの可動制御部34の一方は第1可動演出部21の動作を制御するためのものであり、他方は第2可動演出部21の動作を制御するためのものである。これら各可動制御部34の構成は略同一なので、本実施形態ではこれら各可動制御部を可動制御部34として示す。ただし、これら各可動制御部34を区別する必要がある場合には第1可動制御部34および第2可動制御部34として示す。
【0042】
抽選処理部31は、通過検出部16aによって遊技球がスタートチャッカー16を通過したことが検知されたときに、抽選処理(大当り抽選および演出パターン抽選)を行う。抽選処理部31による抽選結果は、演出制御部32に伝達される。
【0043】
演出制御部32は、抽選処理部31の抽選結果(演出パターン抽選結果)に応じた演出情報を演出情報記憶部40から読み出し、読み出した演出情報に応じて表示制御部33および各可動制御部34・34の動作を互いに連動させて制御する。演出情報記憶部40の構成は特に限定されるものではなく、従来から公知の記憶手段を用いることができる。なお、本実施形態では、大当り抽選に当選した場合および落選した場合のそれぞれについて複数の演出パターンを示す演出情報が演出情報記憶部40に予め記憶されている。
【0044】
また、演出制御部32は、抽選処理部31の大当り抽選処理によって大当りに当選した場合に、演出情報に応じた演出処理と連動したタイミングで開閉処理部17aによる大当り入賞口17の開閉動作を開始させるための信号を開閉制御部38に送る。
【0045】
表示制御部33は、演出制御部32の指示に応じた画像を表示装置12に表示させる。
【0046】
可動制御部34・34は、演出制御部32の指示に応じて可動演出部21・21の動作を制御する。
【0047】
具体的には、可動演出部21は、移動駆動部(駆動手段)21a、位置検出部21b、回転駆動部21c、回転検出部21d、および発光部21eを備えている。また、可動制御部34は、移動制御部34a、回転制御部34b、および発光制御部34cを備えている。
【0048】
移動駆動部21aは、可動演出部21の外部(パチンコ機1の電源供給部)から供給される電力を、可動演出部21をレール部23に沿って移動させるための駆動力に変換するモータである。位置検出部21bは、可動演出部21のレール部23上における位置を検出する検出手段である。なお、本実施形態では、レール部23における可動演出部21の移動経路に沿って多数の溝(切欠部)が形成されており、位置検出部21bは可動演出部21が移動時に横切った溝の数を、光センサ等を用いて計数することで可動演出部21のレール部23上の基準位置からの移動距離を算出し、可動演出部21のレール部23上における位置を検出する。ただし、位置検出部21bの構成は特に限定されるものではなく、可動演出部21のレール部23上における位置を検出可能な構成であればよい。
【0049】
移動制御部34aは、演出制御部32からの指示と位置検出部21bによる可動演出部21の位置検出結果とに基づいて移動駆動部21aの動作を制御し、可動演出部21を所望の移動方向および移動速度で所望の位置まで移動させる。
【0050】
回転駆動部21cは、可動演出部21の外部から供給される電力を用いて発光部21eを回転させるための駆動力を生成するモータである。回転検出部21dは、発光部21eの回転角度を検出する検出手段である。本実施形態では、回転駆動部21cとしてステッピングモータを用いている。また、回転検出部21dは、発光部21eが基準位置(基準角度)に配置されていることを検出するための光センサを備えており、回転駆動部21cの駆動パルス数を検出することにより基準位置からの回転角度を検出する。なお、回転駆動部21cおよび回転検出部21dの構成は特に限定されるものではなく、発光部21eを演出制御部32の指示に応じて回転させる機能と、発光部21eの回転角度を検出して演出制御部32に伝達する機能とを実行可能な構成であればよい。
【0051】
発光部21eは、LED(発光ダイオード)等の光源を備えており、発光制御部34cからの指示に応じた発光色、発光強度で光源を発光させる。発光制御部34cは、演出制御部32からの指示に応じて発光部21eの動作を制御する。なお、本実施形態では、発光部21eとして図1に示したように7セグメントディスプレイを備えており、各セグメントに対応する光源の発光状態を個別に制御することにより、0から9までの数字、アルファベット、記号などを表示させることができるようになっている。ただし、発光部21eの構成はこれに限るものではない。
【0052】
なお、本実施形態では、可動制御部34・34が制御部30内に備えられるものとしているが、これに限らず、例えば可動制御部34・34を可動演出部21・21に設け、可動制御部34・34が制御部30から伝達される制御信号に基づいて可動演出部21・12の動作を制御するようにしてもよい。
【0053】
開閉制御部36は、抽選処理部31の抽選処理によって大当りに当選した場合に、演出制御部32からの指示に応じたタイミングで開閉処理部17aの開閉動作を開始させる。開閉制御部36は、予め設定された大当り時の開閉ルールに基づいて開閉処理部17aの動作を制御し、大当り入賞口17の開閉を行わせる。
【0054】
払出制御部39は、入賞計数部17bによって計数された大当り入賞口17に入賞した遊技球の数に基づいて払出部41の動作を制御し、パチンコ機1の上皿14または下皿15に入賞した遊技球の数に応じた遊技球の払出処理を行わせる。また、払出制御部39は、入賞計数部17bの計数結果を演出制御部32に伝達する。これにより、演出制御部32は、大当り期間中に、入賞計数部17bの計数結果に応じて表示装置12、第1可動演出部21、および第2可動演出部21の動作を大当り期間用の所定の演出ルールに基づいて制御する。
【0055】
(1−2.可動演出ユニット20の構成)
図3は可動演出ユニット20の前面側の構成を示す説明図であり、図4は可動演出ユニット20の背面側の構成を示す説明図である。また、図5は可動演出ユニット20における可動演出部21とレール部23との当接部の構成を示す説明図である。
【0056】
図3の(b)に示したように、レール部23は4つの直線部23a〜23dと4つの曲線部23e〜23hとを交互に組み合わせ、2つの直線部の端部同士を曲線部によって連結してなる略矩形形状の枠状の部材であり、可動演出部21はこのレール部23に沿って遊技盤11の盤面(利用者側の面)に略平行な面に沿った移動経路上を移動する。
【0057】
レール部23の前面側には、略矩形形状の周方向に沿って一周するように4本の電極部(配線)からなる電極部(電気配線部)51が形成されている。これら4本の電極部のうち2本は可動演出部21・21に電力を供給するための電力供給用電極部(電源配線部)51a,51bであり、残りの2本は制御部30が可動演出部21・21との間で通信を行うための通信用電極部(通信配線部)51c,51dである。なお、電極部51a,51b,51c,51dの材質は導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、リジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、およびオスチウム(Os)等の貴金属、あるいはリン青銅等の銅合金などを用いることができる。なお、本実施形態では4本の電極が備えられている構成について説明するが、電極数および各電極の配置順序はこれに限るものではない。
【0058】
また、レール部23における内径側の面には、レール部23の一部を周方向に垂直な方向に切り欠かいた多数の溝部(切欠部)52がレール部23の周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0059】
また、図3図5に示したように、レール部23の背面側には、可動演出部21の移動経路が成す平面に略垂直な方向に突出するように形成された、レールギア53、内径側レール部(第1レール部)54、外径側レール部(第2レール部)55、およびガイドレール部(移動規制手段)56が、レール部23の周方向に沿って一周するように設けられている。なお、本実施形態ではガイドレール部56をレール部23の周方向に沿って一周するように(曲線部および直線部の両方に)設けているが、これに限らず、例えば、曲線部にのみ設けてもよく、曲線部と直線部における曲線部との接続部の近傍とに設けてもよい。また、本実施形態では、電極部51がレール部23の前面側に配置され、レールギア53、内径側レール部54、外径側レール部55、およびガイドレール部56がレール部23の背面側に配置された構成について説明するが、これに限らず、例えば、電極部51がレール部23の背面側に配置され、レールギア(ラック、歯竿)53、内径側レール部54、外径側レール部55、およびガイドレール部56がレール部23の前面側に配置されていてもよい。
【0060】
また、可動演出部21・21は、前面カバー部71、接点基板部72、接点ユニット73、基台部74、背面カバー部75、移動駆動部21a、回転駆動部21c、モータギア67、ピニオンギア(駆動ローラ)66、第1ガイドローラ63、第2ガイドローラ64、第3ガイドローラ65、および位置検出部21bを備えている。
【0061】
モータギア67は回転駆動部21cに接続されており、ピニオンギア66はモータギア67およびレールギア53に噛合うように配置されている。これにより、回転駆動部21cの回転駆動力がモータギア67を介してピニオンギア66に伝達され、レールギア53に噛み合わされたピニオンギア66が回転することにより、ピニオンギア66の回転運動が可動演出部21をレール部23に沿って移動させる運動に変換され、可動演出部21がレール部23の周方向に沿って移動する。なお、回転駆動部21cは時計回りおよび反時計回りの両方向に回転可能であり、可動演出部21は回転駆動部21cの回転方向に応じてレール部23の周方向に沿って時計回りおよび反時計回りの両方向に移動可能になっている。
【0062】
第1ガイドローラ63はレール部23(内径側レール部54)の一方の面(法線方向がレール部23の内側を向く面)に当接するように配置されており、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65はレール部23(外径側レール部55)の他方の面(法線方向がレール部23の外側を向く面)に当接するように配置されている。また、第1〜第3ガイドローラ63〜65は、背面カバー部75に設けられた軸受部(図示せず)に回転可能に軸支されており、本実施形態ではこれら各ガイドローラの軸間距離は可動演出部21の移動状態にかかわらず略一定に固定されている。また、第2ガイドローラ64と第3ガイドローラ65とは、第1ガイドローラ63の中心とピニオンギア66の中心とを通る直線を軸として互いに線対称に配置されている。
【0063】
また、ガイドレール部56はレール部23(外径側レール部55)の上記他方の面に間隔を隔てて対向するように配置されており、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65は外径側レール部55とガイドレール部56との間に形成される溝状の領域をレール部23の周方向に沿って移動可能に収容されている。なお、外径側レール部55およびガイドレール部56は、レールギア53とピニオンギア66との当接部よりもパチンコ機1の前面側(遊技盤11側)に設けられている。これにより、レールギア53およびピニオンギア66の動作は外径側レール部55およびガイドレール部56の影響を受けないようになっている。第1〜第3ガイドローラ63〜65とレール部23との当接部(可動演出部21とレール部23との当接部)の詳細については後述する。
【0064】
図4に示すように、前面カバー部71の内部には、接点基板部72および接点ユニット73が収容されている。また、接点ユニット73には、接点部(摺動接点部)81a・81b、82a・82b,83a・83b,84a・84bが設けられており、これら各接点部はレール部23に設けられた電極部51の4本の電極部のうち当該接点部に対応する電極部に当接するように配置されている。具体的には、接点部(電源用接点部)81a・81bは電力供給用電極部51aと当接し、接点部(電源用接点部)82a・82bは電力供給用電極部51bと当接し、接点部(通信用接点部)83a・83bは通信用電極部51cと当接し、接点部(通信用接点部)84a・84bは通信用電極部51dと当接している。上記各接点部の材質は導電性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、電極部と同様の材質を用いることができる。
【0065】
なお、図4に示したように、接点部81a・81bは、可動演出部21の移動方向に沿って延伸する形状を有する板ばね部材からなり、延伸方向の一端側が接点ユニット73に固定され、他端側がレール部23の電極部51に当接するように配置されている。また、接点部81a・81bは、上記他端側が互いに対向するように配置されている。また、接点部81a・81bにおける上記他端側は、当該接点部における上記一端側よりも延伸方向に垂直な方向の幅が狭くなっている(他端側は一端側よりも先細になっている)。接点部82a・82b、83a・83b、および83d・83dの構成についても接点部81a・81bと略同様である。これにより、可動演出部21が時計回りおよび反時計回りのいずれの方向に移動する場合であっても、上記各接点部が、当該接点部を構成する板ばねの弾性力により当該接点部に対応する配線に押し付けられて接触した状態を維持したまま当該配線に対して摺動するようになっている。
【0066】
位置検出部21bはレール部23の溝部52に対向する位置に備えられており、可動演出部21がレール部23に沿って移動したときに横切った溝部52の溝の数を計数する。
【0067】
回転駆動部21cは基台部74に固定されており、発光部(発光部材、可動部材、被駆動部)21eは回転駆動部21cに対して回転可能に取り付けられている。
【0068】
(1−3.可動演出部21とレール部23との当接部の詳細)
図6は可動演出部21とレール部23との関係を示す説明図であり、可動演出部21が直線部を移動中の状態を示している。この図に示すように、可動演出部21がレール部23の直線部を移動中の状態では、第1ガイドローラ63が内径側レール部54に当接し、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65が外径側レール部55に当接し、ピニオンギア66がレールギア53と当接する。なお、直線部では外径側レール部55とガイドレール部56との間隔d1は第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の外径よりも十分に大きく設定されており、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65は直線部では外径側レール部55に当接する一方、ガイドレール部56とは離間している。
【0069】
これにより、移動駆動部21aが回転駆動されると、モータギア67およびピニオンギア66が回転し、可動演出部21がレール部23の直線部に沿って移動する。この際、可動演出部21の姿勢は、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64、第3ガイドローラ65、およびピニオンギア66との間でレール部23が挟み込まれることにより(第1ガイドローラ63と第2、第3ガイドローラ64,65とによって内径側レール部54と外径側レール部55との間が挟み込まれ、第1ガイドローラ63とピニオンギア66とによって内径側レール部54とレールギア53との間が挟み込まれることにより)、安定して維持される。その結果、図7に示すように、各接点部81a・81b,82a・82b,82a・83b,84a・84bと当該各接点部に対応する電極部51a,51b,51c,51dとの当接状態を維持したまま可動演出部21を移動させることができる。
【0070】
図8は可動演出部21とレール部23との関係を示す説明図であり、可動演出部21が直線部の終端部(直線部と曲線部との接続部)に到達したときの状態を示している。この図に示すように、可動演出部21がレール部23の直線部から曲線部に移行するときには、第1ガイドローラ63が内径側レール部54における直線部と曲線部との接続部54aに到達するのと略同時に、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方(図8の例では第2ガイドローラ64)が外径側レール部55における直線部と曲線部との接続部55aに到達するとともに、ガイドレール部56に当接する。
【0071】
すなわち、外径側レール部55の直線部は、当該外径側レール部55における内径側レール部54の直線部と曲線部との接続部54aに対向する位置よりも曲線部側に延伸しており、外径側レール部55における直線部と曲線部との接続部55aは接続部54aよりも曲線部側に配置されている。また、曲線部では、外径側レール部55の曲率中心と、ガイドレール部56の曲率中心とが共通になっており、第1ガイドローラ63が内径側レール部54における直線部と曲線部との接続部54aに到達するのと略同時に、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方(図8の例では第2ガイドローラ64)が外径側レール部55における直線部と曲線部との接続部55aに到達するとともに、ガイドレール部56に当接する。
【0072】
また、ピニオンギア66はレールギア53との当接状態を維持しており、移動駆動部21aが回転駆動されることによりモータギア67およびピニオンギア66が回転して可動演出部21がレール部23に沿って移動する。
【0073】
図9は可動演出部21とレール部23との関係を示す説明図であり、可動演出部21が直線部から曲線部に移行するときの状態を示している。この図に示すように、第1ガイドローラ63が内径側レール部54における直線部と曲線部との接続部54aを通過して曲線部に移行すると、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方(図9の例では第2ガイドローラ64)も外径側レール部55における直線部と曲線部との接続部55aを通過して曲線部に移行する。
【0074】
曲線部では、外径側レール部55とガイドレール部56との間隔d2は、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の外径に応じた間隔に設定されている。すなわち、曲線部における外径側レール部55とガイドレール部56との間隔d2は、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の外径と同じ、または外径側レール部55とガイドレール部56との間の領域を第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65が移動可能な程度に第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の外径よりもわずかに大きく設定されている。
【0075】
また、上述したように、曲線部では、外径側レール部55とガイドレール部56とは、互いの曲率中心が共通になるように配置されている。
【0076】
これにより、曲線部では、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ6は、外径側レール部55およびガイドレール部56に沿って、これら両部材の曲率中心を中心とする回転軌道上を移動し(回転運動を行い)、この回転軌道に沿った移動方向に対して垂直な方向への移動は外径側レール部55およびガイドレール部56によって規制される。
【0077】
一方、直線部では、外径側レール部55とガイドレール部56との間隔d1は、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の外径よりも十分に広く設定されている。
【0078】
このため、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方(図9の例では第2ガイドローラ64)が直線部から曲線部に移行した直後には、図9に示したように、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向とは反対側の方(図9の例では第3ガイドローラ65)は直線部に位置しており、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64とによって可動演出部21の姿勢が規定される結果、外径側レール部55から離間する。
【0079】
これにより、可動演出部21が直線部から曲線部へ移行するときには、第1ガイドローラ63と、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方(図9の例では第2ガイドローラ64)と、ピニオンギア66とによって可動演出部21の向き(姿勢)を規定し、可動演出部21の姿勢を安定させた状態で移動させることができる。その結果、図10に示すように、可動演出部21が直線部と曲線部との間を移行するときであっても、各接点部81a・81b,82a・82b,82a・83b,84a・84bと当該各接点部に対応する電極部51a,51b,51c,51dとの当接状態を維持したまま可動演出部21を移動させることができる。
【0080】
なお、可動演出部21が直線部と曲線部との間を移行するときの、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方の軌跡を規定しない場合、可動演出部21の姿勢が不安定になり、図11に示す比較例のように接点部と当該接点部に対応する電極部との接触状態が不安定になる。その結果、可動演出部21への電力供給や信号伝達が途切れてしまう場合がある。
【0081】
図12は、可動演出部21とレール部23との関係を示す説明図であり、可動演出部21が曲線部を移動中の状態を示している。この図に示すように、第1ガイドローラ63、第2ガイドローラ64、および第3ガイドローラ65がいずれも曲線部に移行すると、第1ガイドローラ63が内径側レール部54に当接し、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65が外径側レール部55に当接し、ピニオンギア66がレールギア53と当接する。
【0082】
これにより、移動駆動部21aが回転駆動されると、モータギア67およびピニオンギア66が回転し、可動演出部21がレール部23の曲線部に沿って移動する。この際、可動演出部21の姿勢は、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64、第3ガイドローラ65、およびピニオンギア66との間でレール部23の一部(内径側レール部54と外径側レール部55との間、および内径側レール部54とレールギア53との間)が挟み込まれ、かつ第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の移動方向に垂直な方向への移動が外径側レール部55およびガイドレール部56によって規制されることによって安定して維持される。その結果、図13に示すように、各接点部81a・81b,82a・82b,82a・83b,84a・84bと当該各接点部に対応する電極部51a,51b,51c,51dとの当接状態を維持したまま可動演出部21を移動させることができる。
【0083】
その後、可動演出部21が曲線部から直線部へ移動する場合には、上述した直線部から曲線部への移動時と逆の状態になる。
【0084】
すなわち、可動演出部21がレール部23の曲線部から直線部に移行するときには、第1ガイドローラ63が内径側レール部54における曲線部と直線部との接続部54aに到達するのと略同時に、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向とは反対側の方が外径側レール部55における曲線部と直線部との接続部55aに到達する。
【0085】
この際、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向側の方はすでに直線部に移行しており、図14に示すように、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうち移動方向側の方は外径側レール部55から離間し、移動方向とは反対側の方は外径側レール部55およびガイドレール部56によって移動方向に垂直な方向への移動が規制され、外径側レール部55に当接した状態が維持される。
【0086】
これにより、可動演出部21が曲線部から直線部へ移行するときには、第1ガイドローラ63と、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65のうちの移動方向と反対側の方(図14の例では第3ガイドローラ65)と、ピニオンギア66とによって可動演出部21の向き(姿勢)を規定し、可動演出部21の姿勢を安定させた状態で移動させることができる。その結果、可動演出部21が曲線部から直線部に移行するときであっても、各接点部81a・81b,82a・82b,82a・83b,84a・84bと当該各接点部に対応する電極部51a,51b,51c,51dとの当接状態を維持したまま可動演出部21を移動させることができる。
【0087】
その後、第1ガイドローラ63が内径側レール部54における曲線部と直線部との接続部54aを通過し、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65の両方が外径側レール部55における曲線部と直線部との接続部55aを通過して可動演出部21が直線部に入ると、図14に示すように、第2ガイドローラ64および第3ガイドローラ65が外径側レール部55に当接する。
【0088】
これにより、可動演出部21の姿勢は、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64、第3ガイドローラ65、およびピニオンギア66との間でレール部23が挟み込まれることにより、安定して維持される。その結果、図15に示すように、各接点部81a・81b,82a・82b,82a・83b,84a・84bと当該各接点部に対応する電極部51a,51b,51c,51dとの当接状態を維持したまま可動演出部21を移動させることができる。
【0089】
(1−4.まとめ)
以上のように、本実施形態にかかる可動演出ユニット20は、レール部23の一方の面に当接する第1ガイドローラ63と、レール部23の他方の面に当接する第2ガイドローラ64およびピニオンギア(駆動ローラ)66とを備え、ピニオンギア66は、レール部23を介して第1ガイドローラ63に対向する位置に配置され、第2ガイドローラ64は第1ガイドローラ63に対してレール部23を介して対向する位置よりも移動経路に沿った第1方向側に配置されており、ガイドレール部56は、曲線部における上記他方の面に対向する位置に配置され、かつ上記他方の面と共通の曲率中心を有する形状であり、可動演出部21は、直線部に沿って第1方向に移動することにより第1ガイドローラ63がレール部23の上記一方の面における直線部と曲線部との接続部54aに到達したときに、第2ガイドローラ64がガイドレール部56に当接し、曲線部における上記他方の面およびガイドレール部56に沿って上記曲率中心を中心とする回転運動を開始する。
【0090】
これにより、可動演出部21が直線部に沿って第1方向に移動し、直線部と曲線部との接続部54aに到達したときに、第2ガイドローラ64がガイドレール部56に当接して曲線部における上記他方の面およびガイドレール部に沿って当該曲線部および当該ガイドレール部56の曲率中心を中心とする回転運動を開始する。これにより、可動演出部21が直線部と曲線部との間を移動する場合であっても、可動演出部21を、上記曲率中心を中心とする円軌道に沿って移動させることができ、可動演出部21の移動時の姿勢を安定させることができる。
【0091】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、遊技機に備えられる可動演出ユニットに利用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 パチンコ機(遊技機)
11 遊技盤
12 表示装置(主演出部)
20 可動演出ユニット
21 可動演出部(第1可動演出部、第2可動演出部)
21a 移動駆動部(駆動手段)
23 レール部
23a〜23d 直線部
23e〜23h 曲線部
30 制御部
51 電極部(電気配線部)
51a,51b 電力供給用電極部(電源配線部)
51c,51d 通信用電極部(通信配線部)
52 溝部
53 レールギア(ラック)
54 内径側レール部(第1レール部)
54a 接続部
55 外径側レール部(第2レール部)
55a 接続部
56 ガイドレール部(移動規制手段)
63 第1ガイドローラ
64 第2ガイドローラ
65 第3ガイドローラ
66 ピニオンギア(駆動ローラ)
67 モータギア
71 前面カバー部
72 接点基板部
73 接点ユニット
81a,81b,82a,82b 接点部(摺動接点部、電源用接点部)
83a,83b,84a,84b 接点部(摺動接点部、通信用接点部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16