特許第6094328号(P6094328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6094328無線受信装置、この無線受信装置を備えた無線通信機及び無線受信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094328
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】無線受信装置、この無線受信装置を備えた無線通信機及び無線受信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20170306BHJP
   H04B 1/26 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H04B1/16 J
   H04B1/26 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-73356(P2013-73356)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197810(P2014-197810A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2015年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131071
【弁理士】
【氏名又は名称】▲角▼谷 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(72)【発明者】
【氏名】大平 武昭
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−023610(JP,A)
【文献】 特開昭59−193632(JP,A)
【文献】 米国特許第5970105(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者によって操作される操作手段と、
受信周波数を変更する受信周波数変更手段と、
受信信号から妨害波を除去するフィルタ手段と、
操作者による前記操作手段の操作に応じて前記受信周波数、前記フィルタ手段の中心周波数及び前記フィルタ手段の帯域幅を変更する制御手段と、
前記受信周波数変更手段で設定した受信周波数と目的信号との周波数偏差を検出し、該周波数偏差が所定値以下になるように前記受信周波数変更手段の受信周波数を変更するオートチューン手段と
を備える無線受信装置において、
前記制御手段は、操作者による前記操作手段の操作に応じて受信周波数を変更して目的信号を捕捉する際には、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号を感知しやすい第1の帯域幅に設定し、さらに、目的信号が捕捉されると、前記オートチューン手段によるオートチューン動作処理を実行し、そのオートチューン動作処理が完了すると、混信を防止するために、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去しうる前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅に設定することを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
操作者による前記操作手段の操作に応じて目的信号を捕捉した後、さらに前記操作手段を操作したとき、又は所定時間前記操作手段が操作されていないときに、前記制御手段は前記オートチューン動作処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
CW通信又はSSB通信がなされている場合に、前記無線受信装置は前記オートチューン手段によるオートチューン動作処理が完了した後に前記フィルタ手段の帯域幅を前記オートチューン動作処理前よりも狭くすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の無線受信装置を備えたことを特徴とする無線通信機。
【請求項5】
操作者による操作手段の操作に応じて目的信号を捕捉する際には、フィルタ手段の帯域幅を、目的信号を感知しやすい第1の帯域幅に設定し、前記操作手段の操作に応じて受信周波数及び前記フィルタ手段の中心周波数を変更するステップと、
目的信号が捕捉されると、受信周波数と目的信号との周波数偏差を検出し、該周波数偏差が所定値以下になるように受信周波数を変更するオートチューンステップと、
前記オートチューンステップ処理が完了すると、混信を防止するために、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去しうる前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅に設定するフィルタ変更ステップ
を備えることを特徴とする無線受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線受信装置に関し、特に自動的に受信同調するオートチューン機能を持つ無線受信装置又は、このような無線受信装置を備えた無線通信機及び無線受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばアマチュア無線装置等の通信装置において、目的の信号を受信する際に、中間周波数に変換された目的信号から妨害波を除去するために、中間周波数フィルタ(以下、IFフィルタという。)が使用される。このIFフィルタは、目的信号を捕捉する際には広帯域幅に設定して広く信号を受信し、目的信号が捕捉されれば目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去するために狭帯域幅に切り替えて使用される。
【0003】
このIFフィルタの切り替えについては、2信号を同時に受信できる無線受信装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この無線受信装置は、第1及び第2の受信回路を備え、第1及び第2の受信回路で同一の目的信号を受信する。目的信号を受信した第2の受信回路は、受信出力を妨害波検出回路に出力し、妨害波検出回路は検出結果をフィルタコントロール回路に送信する。フィルタコントロール回路は検出結果に基づき第1の受信回路に設けられているIFフィルタを選択設定して、第1の受信回路で妨害波を除去した目的信号を受信する。
【0004】
また、上述の無線受信装置以外にも、受信周波数を変更する回転式の操作ダイアルの操作に応じてIFフィルタを切り替える無線受信装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この無線受信装置は、受信周波数を変更する回転式の操作ダイアルの回転速度を検出し、回転速度に応じて妨害波を除去するためのIFフィルタを変更する無線受信装置が存在する。この無線受信装置は、操作者が目的信号を捕捉する際に、操作ダイアルを高速に回転させている場合は広帯域幅のIFフィルタを設定し、低速に回転させている場合は狭帯域幅のIFフィルタを設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平04−004777号公報
【特許文献2】特開2010−226598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の無線受信装置において、無変調連続波(以下、CWという。)での通信では、送信側の周波数に正確に同調しなければ相手方が交信していることに気づいてくれないといった不都合を生じる。また、抑圧搬送波単側波帯(以下、SSBという。)での通信を行う場合に、送信側の周波数に正確に同調しなければ混信や受信音声に劣化等が生じる。
【0007】
CW通信においては、目的信号が音声成分を含まず搬送波のみで構成されているために、受信するだけであれば、相手の送信側の周波数に正確に同調する必要はないが、相手側の送信周波数に合わせて送信しないと上述の不都合が生じるため、交信する場合は相手の送信周波数と自己の送信周波数を同一にする(同調する)必要がある。また、SSB通信においては、占有周波数帯域が狭く伝送帯域を狭く設定等しているため、正確に目的信号に同調しなければ、「モガモガ」した音や「キンキン」した音になり、受信信号の音質が低下する。また、CW通信及びSSB通信において、目的信号に同調した後に良好な通信を行うためには、狭帯域幅のIFフィルタを設定して、目的信号の上側及び下側に存在する妨害波を除去しなければならない。
【0008】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に示される無線受信装置は、目的信号を捕捉した場合には、狭帯域幅のIFフィルタに切り替えて受信を行うが、ダイアル操作の有無や回転量に応じて、IFフィルタの切り替えが行われるため、手動で同調操作を行う必要があり、操作が煩雑である。また、自動で目的信号に同調させるオートチューン機能を有する無線受信装置に適用することができない(ダイアル操作が必要なので、オートチューン完了後にダイアル操作を行うと、同調がずれてしまうため)。オートチューン機能を有する無線受信装置で、IFフィルタの切り替えを行うには、何らかの手動操作を必要とするため、やはり操作が煩雑である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであって、目的信号に正確に同調するためにオートチューン動作を行い、オートチューン動作処理が完了した後に自動的に狭帯域幅のフィルタを設定して、良好な通信を行うことができる無線受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の無線受信装置は、
操作者によって操作される操作手段と、
受信周波数を変更する受信周波数変更手段と、
受信信号から妨害波を除去するフィルタ手段と、
操作者による前記操作手段の操作に応じて前記受信周波数、前記フィルタ手段の中心周波数及び前記フィルタ手段の帯域幅を変更する制御手段と、
前記受信周波数変更手段で設定した受信周波数と目的信号との周波数偏差を検出し、該周波数偏差が所定値以下になるように前記受信周波数変更手段の受信周波数を変更するオートチューン手段と
を備え、
前記制御手段は、操作者による前記操作手段の操作に応じて受信周波数を変更して目的信号を捕捉する際には、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号を感知しやすい第1の帯域幅に設定し、さらに、目的信号が捕捉されると、前記オートチューン手段によるオートチューン動作処理を実行し、そのオートチューン動作処理が完了すると、混信を防止するために、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去しうる前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅に設定することを特徴とする。
【0011】
また、操作者が前記操作手段を操作しながら目的信号を捕捉した後、さらに前記操作手段を操作したとき、又は所定時間前記操作手段が操作されていないときに、前記制御手段は前記オートチューン動作処理を実行することが望ましい。
【0012】
また、CW通信又はSSB通信がなされている場合に、前記無線受信装置は前記オートチューン手段によるオートチューン動作処理が完了した後に前記フィルタ手段の帯域幅を前記オートチューン動作処理前よりも狭くすることが望ましい。
【0013】
また、本発明の無線通信機は、上述の無線受信装置を備えたことを特徴とする無線通信機。
【0014】
また、本発明の無線受信方法は、
操作者が操作手段を操作しながら操作者による前記操作手段の操作に応じて目的信号を捕捉する際には、フィルタ手段の帯域幅を、目的信号を感知しやすい第1の帯域幅に設定し、前記操作手段の操作に応じて受信周波数及び前記フィルタ手段の中心周波数を変更するステップと、
目的信号が捕捉されると、受信周波数と目的信号との周波数偏差を検出し、該周波数偏差が所定値以下になるように受信周波数を変更するオートチューンステップと、
前記オートチューンステップ処理が完了すると、混信を防止するために、前記フィルタ手段の帯域幅を、目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去しうる前記第1の帯域幅よりも狭い第2の帯域幅に設定するフィルタ変更ステップ
を備えることを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
請求項1又は請求項5に記載の発明によれば、オートチューン動作処理が完了した後に、妨害波を除去するためのフィルタが自動的に狭帯域幅のフィルタに変更される。これにより、操作者による煩雑なフィルタ切り替え作業がなくなり、妨害波の少ない良好な通信を行うことができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、オートチューン動作がなされるため、受信周波数と目的信号との周波数偏差が小さくなり、フィルタが切り替えられた際に、目的信号が狭帯域幅のフィルタを通過できず、目的信号が受信されなくなることが防止される。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、CW通信又はSSB通信において、フィルタが切り替えられた際に、目的信号が狭帯域幅のフィルタを通過できず、目的信号が受信されなくなることが防止される。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、相手方と交信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る無線受信装置の受信回路構成図。
図2】同無線受信装置のオートチューン動作と周辺回路等との信号関係を示したブロック図。
図3】同無線受信装置のオートチューンの受信周波数補正動作を示した図。
図4】同無線受信装置のオートチューンの受信周波数補正動作のタイミング図。
図5】同無線受信装置のオートチューン動作を示したフローチャート。
図6】本発明の第2の実施形態に係る無線受信装置のオートチューン動作とフィルタ切り替え動作の両者を実行するフローチャート。
図7】本発明の第3の実施形態に係る無線通信機の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る無線受信装置について、図1乃至図6を参照して説明する。図1において、無線受信装置1は、アンテナ2からの受信信号を増幅する高周波増幅器(RF AMP)3、受信周波数を変更する局部発振回路(受信周波数変更手段)5の出力と受信信号に基づいて受信信号を中間周波数に変換するミキサ4、デジタル処理を行うためのマイクロプロセッサから成るDSP6、DSP6から出力される信号を増幅してスピーカ10に出力するための増幅器(AMP)9及び無線受信装置1をコントロールするCPUから成る制御回路11及びキー入力12を備えている。DSP6は、中間周波数に変換された受信信号から妨害波を除去するIFフィルタ(フィルタ手段)7及びIFフィルタ7を通過した受信信号を検波する検波器8を含む。また、キー入力(操作手段)12は、操作者によって操作される回転式の操作ダイアル12及びオートチューン釦12で構成され、操作者により操作され制御回路11に指令をキー入力する。
【0021】
アンテナ2から入力され、RF AMP3で増幅された受信信号(目的信号)は、ミキサ4で中間周波数の目的信号に変換される。目的信号は、IFフィルタ7で妨害波が除去され、検波器8で、目的信号に応じた復調方式で復調される。復調された目的信号は、AMP9で増幅されてスピーカ10から音声信号として出力される。また、オートチューン動作を行うオートチューン手段は、ミキサ4、局部発振回路5、IFフィルタ7、検波器8及び制御回路11から構成される。
【0022】
制御回路11は、操作ダイアル12の回転数及び回転速度を検出し、回転数及び回転速度に従って、局部発振回路5の発振周波数及びIFフィルタ7の中心周波数を変更する。また、制御回路11は、オートチューン釦12が押されたときにはオートチューン動作を実行する。
【0023】
DSP6は、制御回路11から送信されたIFフィルタ変更コマンドに従って、IFフィルタ7の中心周波数及び帯域幅を変更する。DSP6は、検波器8で検出された目的信号の出力レベルと、受信設定している受信周波数と検出された目的信号との差分である周波数偏差を制御回路11に送信する。
【0024】
次に、図2を参照して、無線受信装置1のCW通信モード時において、操作者の手動によるオートチューン動作を説明する。操作者は、2.4KHz帯域で操作ダイアル12を回転操作しながら、受信周波数を変更して目的信号を捕捉する。目的信号が捕捉されれば、操作者は、目的信号に正確に同調するためにオートチューン釦12を押す((1)キー入力)。
【0025】
(1)キー入力がなされる(オートチューン釦12が押される)と、制御回路11は、DSP6に、(2)AGC時定数設定コマンド、(3)CWピッチ設定コマンド、(4)オートチューン動作ON/OFFコマンド、を送信して、DSP6のモードを設定する。
(2)AGC時定数設定コマンドは、受信信号のレベルを一定にするためにDSP6に設けられているオートゲインコントローラ(図示せず)のリリースタイムを0.5secに設定するコマンドである。
(3)CWピッチ設定コマンドは、操作者がCWを可聴するため聴音を300Hz〜900Hzのいずれかの音階に設定するコマンドである。
(4)オートチューン動作ON/OFFコマンドは、オートチューン動作モードをDSP6に設定するコマンドである。このコマンドにより、DSP6は返答データを制御回路11に送信する。
(5)返答データは、DSP6の検波器8により検出された目的信号と受信周波数との周波数偏差と目的信号の出力レベルである。
(6)受信周波数補正は、制御回路11が返答データに基づき局部発振回路5の受信周波数を補正する。
(7)IFフィルタ変更コマンドは、DSP6のIFフィルタ7を狭帯域幅のIFフィルタ7に変更するコマンドである。このコマンドにより、制御回路11は、オートチューン動作が終了するとDSP6のIFフィルタ7を狭帯域幅のIFフィルタ7に変更する。
【0026】
上述のように、操作ダイアル12を操作しながら受信周波数を変更して目的信号を捕捉する際には、広帯域幅のIFフィルタ7を設定した方が受信帯域幅が広くなるので、目的信号を感知しやすい。目的信号が捕捉された後は、目的信号の上側及び下側周波数に存在する妨害波を除去して、混信を防止するために狭帯域幅のIFフィルタ7を設定する必要がある。しかし、無線受信装置1の受信周波数が目的信号に正確に同調していないと、目的信号が狭帯域幅のIFフィルタ7を通過できず、目的信号が受信できない惧れがある。本実施形態では、目的信号に正確に同調するためにオートチューン動作を実行させ、オートチューン動作処理が完了した後に狭帯域幅のIFフィルタ7に設定するので、目的信号が確実に受信される。
【0027】
次に、図3を参照して、本実施形態の無線受信装置1におけるオートチューンの周波数補正動作について説明する。図3において、太点線が目的信号で、太実線が無線受信装置1の受信設定周波数である。オートチューンによる周波数補正動作は、無線受信装置1の受信設定周波数を複数回のステップによって目的信号の周波数と一致させる動作である。ここではf1〜f6のステップによって、オートチューン動作を実行する例について示す。
【0028】
オートチューンの周波数補正動作は、できるだけ迅速、かつ、正確に行う必要がある。そのため、目的信号との周波数偏差が大きい場合は大きなステップで、周波数偏差が小さな場合には小さなステップで補正を行う。大きなステップで補正するか、小さなステップで補正するかの境目として、例えば、周波数偏差の250Hzをステップの境目とする。返答データの周波数偏差が250Hz以上のときは20Hzのステップ幅で補正を行い、周波数偏差が250Hz未満のときは10Hzのステップ幅で補正を行う。この場合、返答データの周波数偏差が−301Hzであれば、最初の補正ステップ幅は20Hzで補正を行う。補正は周波数を偏差の1/2周波数を超えない補正ステップ幅の倍数である周波数、つまり140Hzの周波数偏差まで補正される(図3のf1)。補正後の2回目の返答データの周波数偏差が−161Hzであれば、補正ステップ幅は10Hzとなり、偏差の1/2を超えない補正ステップ幅の倍数である80Hzの周波数偏差まで補正される(図3のf2)。この動作を繰り返し(図3のf3〜f5)、最終的に周波数偏差が±5Hz以下になればオートチューン動作を終了する(図3のf6)。
【0029】
次に、図4を参照して、上述のオートチューンの周波数補正動作のタイミングについて説明する。制御回路11から、図2に示す(4)オートチューン動作ON/OFFコマンドがDSP6に送信される。制御回路11は、200msec後にDSP6から返答データを受け取り、最初のオートチューン動作の周波数補正ステップを実行する。その後、制御回路11は、40msec毎にDSP6からの返答データを受信し、受信した返答データに基づいて、補正ステップを順次実行する。制御回路11は、上述の補正ステップによって、周波数偏差が±5Hz以下になった時点でオートチューン動作を終了する。
【0030】
次に、無線受信装置1の上述のオートチューン動作の詳細を図5を参照して説明する。オートチューン釦12が押されると、制御回路11は、タイムカウンタ及びレベルエラーカウンタをそれぞれリセットする(S1、S2)。タイムカウンタはオートチューン動作が所定時間内に終了しないときにエラーとしてオートチューン動作を終了させるタイムカウンタである。レベルエラーカウンタは、同調するための目的信号の出力が所定レベル以下のときエラー処理をするためのカウンターである。
【0031】
制御回路11は、オートチューン釦12が押された後、DSP設定コマンドをDSP6へ送信してDSP6のAGC回路(図示せず)の時定数等をセットする(S3)。制御回路11は、200msec後にDSP6から返答データとして目的信号との周波数偏差と目的信号の出力レベルを受信する。返答データは、DSP6から順次送信してもよく、制御回路11がその都度DSP6に要求してもよい。制御回路11は、DSP6から返答データとして送信されてきた周波数偏差が250Hzの範囲にあるか判断する(S6)。制御回路11は、周波数偏差が250Hzの範囲でれば、補正ステップ幅を10Hz(S7)とし、周波数偏差が250Hz以上であれば補正ステップ幅を20Hz(S8)とする。
【0032】
制御回路11は、設定した補正ステップ幅で補正ステップを実行(S9)する。制御回路11は、40msec後(S10)に、返答データを受信し目的信号の受信レベルが所定レベル以上か判断(S11)する。制御回路11は、目的信号の出力レベルが所定以上の場合、レベルエラーカウンタをリセット(S12)して、周波数偏差が5Hz以内か判断(S13)する。周波数偏差が5Hz以内であれば、制御回路11は、オートチューン動作を終了する。ステップ11で、目的信号が所定レベル以下である場合、レベルエラーカウンタをインクルメントさせ(S14)、次にレベルエラーカウンタが10回を越えたかどうか判断(S15)する。レベルエラーカウンタが10回を越えた場合、制御回路11は、目的信号が捕捉できないとして、エラー表示を行いオートチューン動作を終了する。
【0033】
S13で周波数偏差が5Hzでないときは、制御回路11は、タイムカウンタがタイムアップしたか判断する(S16)。タイムカウンタは、オートチューン動作の開始後に、2sec以内にオートチューン動作が終了しない場合、エラーとしてオートチューン動作を終了する。タイムカウンタが2secに達していなければ、制御回路11は、S6に戻って、補正ステップを繰り返す。
【0034】
本実施形態では、目的信号に確実に同調させるため、目的信号捕捉後に操作者がオートチューン釦12を押し、オートチューン動作処理が完了した後に自動的に狭帯域幅のIFフィルタ7に切り替えるようにした。これにより、目的信号が狭帯域幅のIFフィルタ7を通過せず、受信できないことが発生しない。また、オートチューン動作処理が完了した後に自動的に狭帯域幅のIFフィルタ7が変更されるので、操作者によるIFフィルタ7の切り替えの作業が軽減される。
【0035】
上述のオートチューン動作及びIFフィルタ7の切り替え動作態様は、CW通信について説明したが、SSB通信でも同様である。また、本実施形態の無線受信装置1は、CW通信やSSB通信のように、通信に使用する電波の周波数帯域が狭く、混信や妨害波による影響を受けやすい通信に適しており、振幅変調のAM通信やラジオテレタイプ(RTTY)にも適用が可能である。また、本実施形態では、無線受信装置の構成について説明したが、受信機能だけではなく、送信機能を備える通信装置にもこの無線受信装置を適用することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る無線受信装置について説明する。この無線受信装置は、第1の実施形態に係る無線受信装置1の変形例であり、第1の実施形態に係る無線受信装置1の制御回路11の処理動作が変更されている。この変形例においては、操作者が操作ダイアル12を操作して目的信号を捕捉した後に、操作ダイアルが所定時間操作されていないとき、自動的にオートチューン動作を始める。無線受信装置は、オートチューン動作処理が完了した後に、広帯域幅のIFフィルタを狭帯域幅のIFフィルタに自動的に切り替える。
【0037】
図6を参照して、第2の実施形態に係る無線受信装置の動作を示す。制御回路11は、妨害波を除去するためのIFフィルタ7を広帯域幅のIFフィルタ7に設定する(S20)。操作者は、無線受信装置の操作ダイアル12を操作して目的信号の捕捉を開始する(受信周波数変更ステップ)(S21)。操作者の操作ダイアルの操作が所定期間なければ(S22)、操作者が目的信号を捕捉したとして、制御回路11はその所定期間にDSP6から送信された目的信号が一定時間継続して所定レベル以上であるかを判断する(S23)。目的信号の出力レベルの確認は、目的信号が捕捉されて次のステップであるオートチューン動作を行う必要があるかを制御回路11が判断するためである。すなわち、瞬時、目的信号が一定レベル以上となった場合にもオートチューン動作が行われる惧れがあるため、このような不必要なオートチューン動作を防止するために、例えば、数百ミリ秒間(好ましくは、100ミリ秒から50ミリ秒程度)連続して目的信号が一定レベル以上であることを確認する。なお、目的信号の出力レベルのデータは、制御回路11がDSP6に対してコマンドで要求してもよく、DSP6が順次制御回路11へ送信してもよい。
【0038】
受信した目的信号の出力レベルが所定レベル以上である場合、制御回路11はオートチューン動作を実行させる(オートチューンステップ)(S24)。オートチューン動作処理が完了した後に、制御回路11はDSP6のIFフィルタ7を狭帯域幅のIFフィルタ7に変更する(フィルタ変更ステップ)(S25)。オートチューン動作及びIFフィルタ変更動作は、第1の実施形態の無線受信装置1の動作と同じである。
【0039】
本実施形態に係る無線受信装置においては、操作ダイアル12よる目的信号の捕捉動作終了後に自動的にオートチューン動作を実行させるため、操作者は捕捉動作の後に行っていたオートチューン釦12を押す必要がなくなる。これにより、操作者による目的信号捕捉後の煩雑なオートチューン釦を押す操作が不要となる。また。制御回路11が、目的信号の出力レベルを確認した後にオートチューン動作を行っているため、目的信号が捕捉されていない場合の不必要なオートチューン動作がなされない。
【0040】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る無線通信機について、図7を参照して説明する。この無線通信機20は、上述の無線受信装置1に無線送信部をさらに備えた無線通信機であり、無線送信部の構成について簡単に説明する。なお、上述の無線受信装置1と同じ部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図7において、無線通信機20の無線送信部は、マイク21、A/Dコンバータ22、DSP6に設けられた変調器23、送信部24及び送受信切換スイッチ25から構成される。送受信切換スイッチ25は、アンテナ2から受信した信号をRF AMP3へ入力するか、送信部24からの出力信号をアンテナ2から発射するかを切換えるスイッチで、制御回路11により制御される。マイク21に入力された音声信号等は、A/Dコンバータ22でデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された音声信号等は、変調器23により中間周波数に変調され、送信部24で所定のRF信号に周波数変換され、送受信切換スイッチ25を通じてアンテナ2から発射される。
【0042】
本実施形態に係る無線通信機20は、上述の無線受信装置1に無線送信部をさらに備えるため、単に所望の信号を受信するだけではなく、操作者の音声信号等を無線で送信することができるため、相手方と交信することも可能であるができる。
【符号の説明】
【0043】
1 無線受信装置
4 ミキサ(オートチューン手段)
5 局部発振回路(受信周波数変更手段、オートチューン手段)
6 DSP(オートチューン手段)
7 IFフィルタ(フィルタ手段、オートチューン手段)
8 検波器(オートチューン手段)
11 制御回路(制御手段、オートチューン手段)
12 キー入力(操作ダイアル、オートチューン釦)(操作手段)
20 無線通信機
S21 (受信周波数変更ステップ)
S24 (オートチューンステップ)
S25 (フィルタ変更ステップ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7