特許第6094404号(P6094404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094404
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/12 20060101AFI20170306BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170306BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170306BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20170306BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20170306BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170306BHJP
   H01G 2/08 20060101ALI20170306BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20170306BHJP
   H01G 11/14 20130101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01M2/12 101
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/6551
   H01M2/02 A
   H01M2/10 E
   H01G9/00 331
   H01G11/18
   H01G11/14
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-141662(P2013-141662)
(22)【出願日】2013年7月5日
(65)【公開番号】特開2015-15173(P2015-15173A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】弘瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】篠田 英明
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−149901(JP,A)
【文献】 特開2010−087170(JP,A)
【文献】 特開2010−113888(JP,A)
【文献】 特開2013−114954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/12
H01M 2/02
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/6551
H01G 2/08
H01G 11/14
H01G 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに電極組立体が収容されるとともに、前記ケースの壁部に当該ケース内の圧力をケース外に開放させる圧力開放弁を有する蓄電装置において、
前記圧力開放弁は、前記ケース内の圧力が開放圧を越えた場合に破断する破断型であり、
前記圧力開放弁の設けられた壁部が放熱装置と熱的に結合されており、
前記放熱装置は、前記圧力開放弁の設けられた壁部において前記圧力開放弁を囲む位置と熱的に結合されていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記圧力開放弁の設けられた前記壁部はアルミニウム製であり、前記圧力開放弁は前記壁部と一体に形成されている請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記ケースは、前記圧力開放弁の設けられた壁部に繋がる別の壁部を有し、前記放熱装置は、前記別の壁部と熱的に結合され、かつ吸熱体と熱的に結合された放熱板を備えるとともに、前記放熱板に繋がり、かつ前記圧力開放弁の設けられた壁部において前記圧力開放弁を囲む位置に配置される放熱片を備える請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記蓄電装置は二次電池である請求項1〜請求項のうちいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
ケースに電極組立体が収容されるとともに、前記ケースの壁部に当該ケース内の圧力をケース外に開放させる圧力開放弁を有する蓄電装置を、前記圧力開放弁の設けられた壁部に繋がる別の壁部同士を対向させて複数並設した蓄電装置モジュールにおいて、
前記圧力開放弁は、前記ケース内の圧力が開放圧を越えた場合に破断する破断型であり、
前記圧力開放弁の設けられた壁部に放熱装置が熱的に結合されていることを特徴とする蓄電装置モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力開放弁を有する蓄電装置及び蓄電装置モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。例えば、この種の二次電池の構造の一例としては、金属箔に負極用活物質を塗布した負極電極と金属箔に正極用活物質を塗布した正極電極との間をセパレータで絶縁し、層状に積層した電極組立体を有するものがある。そして、二次電池は、ケースに電極組立体と電解液を収容して構成される。また、二次電池のケースには、ケース内の圧力が、予め設定された開放圧を越えた場合に破断して、圧力をケース外に開放させる圧力開放弁が備えられている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の組電池において、各単電池が備えるガス放出弁(圧力開放弁)は破壊式の弁であり、電池ケースのケース上面にて、その肉圧の一部を薄くすることで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−253735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大型の二次電池のケースには、放熱性が良い金属製のケースが用いられることが多く、特に、アルミニウム製のケースが多用されている。金属製のケースの一部の肉厚を薄くすることでケースと一体的に形成された圧力開放弁では、二次電池の異常等により、ケース内の温度が上昇し、ケースそのものの温度が上昇すると、圧力開放弁自体の温度も上昇する。この温度上昇により圧力開放弁の強度が変動してしまい、例えば、アルミニウム製の圧力開放弁では強度が低下し、ケース内の圧力が開放圧より低くても圧力開放弁が破断されてしまう。そこで、ケースの温度が上昇しても、予め定められた開放圧で圧力開放弁が破断するように、圧力開放弁の強度を高めて作製することも考えられる。しかし、この場合には、ケースの温度が上昇していない場合には、ケース内の圧力が開放圧に達しても圧力開放弁が破断されなくなってしまう。
【0005】
本発明は、ケースの温度の影響を抑え、予め定められた開放圧で圧力開放弁を破断させることができる蓄電装置及び蓄電装置モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、蓄電装置は、ケースに電極組立体が収容されるとともに、前記ケースの壁部に当該ケース内の圧力をケース外に開放させる圧力開放弁を有する蓄電装置において、前記圧力開放弁は、前記ケース内の圧力が開放圧を越えた場合に破断する破断型であり、前記圧力開放弁の設けられた壁部が放熱装置と熱的に結合されており、前記放熱装置は、前記圧力開放弁の設けられた壁部において前記圧力開放弁を囲む位置と熱的に結合されていることを要旨とする。
【0007】
これによれば、ケース内の温度が上昇したとき、その熱はケースに伝わり、圧力開放弁の設けられた壁部にも伝わるが、この壁部に伝わった熱は放熱装置に伝わり、放熱装置から放熱される。このため、ケース内の温度が上昇しても、圧力開放弁の設けられた壁部の温度上昇が抑えられ、圧力開放弁そのものの温度上昇も抑えられる。その結果、熱による圧力開放弁の強度変動が抑制され、圧力開放弁が予め定められた開放圧と異なる圧力で破断されてしまうことを防止できる。すなわち、圧力開放弁に及ぶケースの温度の影響を抑え、予め定められた開放圧で圧力開放弁を破断させることができる。
加えて、例えば、放熱装置が圧力開放弁を囲まず、その周囲の一部だけと熱的に結合されている場合と比べると、圧力開放弁の温度上昇を効率良く抑えることができる。
【0008】
また、蓄電装置について、前記圧力開放弁の設けられた前記壁部はアルミニウム製であり、前記圧力開放弁は前記壁部と一体に形成されている。
これによれば、ケースの温度が上昇し、アルミニウム製の壁部に熱が伝わっても、この壁部に伝わった熱は放熱装置に伝わり、放熱装置から放熱される。このため、圧力開放弁の設けられた壁部の温度上昇が抑えられ、圧力開放弁そのものの温度上昇も抑えられる。その結果、熱によって、アルミニウム製の圧力開放弁の強度が低下してしまうことが抑制され、圧力開放弁が予め定められた開放圧より低い圧力で破断されてしまうことを防止できる。すなわち、圧力開放弁に及ぶケースの温度の影響を抑え、予め定められた開放圧で圧力開放弁を破断させることができる。
【0010】
また、蓄電装置について、前記ケースは、前記圧力開放弁の設けられた壁部に繋がる別の壁部を有し、前記放熱装置は、前記別の壁部と熱的に結合され、かつ吸熱体と熱的に結合された放熱板を備えるとともに、前記放熱板に繋がり、かつ前記圧力開放弁の設けられた壁部において前記圧力開放弁を囲む位置に配置される放熱片を備えていてもよい。
【0011】
これによれば、ケースの別の壁部から放熱板に伝わった熱は、吸熱体に伝わり、別の壁部の温度上昇が抑えられる。そして、壁部から放熱片に伝わった熱も、放熱板から吸熱体に伝わり、圧力開放弁の設けられた壁部の温度上昇が抑えられる。したがって、ケース全体の温度上昇が抑えられ、圧力開放弁の温度上昇が抑えられる。
【0012】
前記蓄電装置は二次電池である。
また、蓄電装置モジュールは、ケースに電極組立体が収容されるとともに、前記ケースの壁部に当該ケース内の圧力をケース外に開放させる圧力開放弁を有する蓄電装置を、前記圧力開放弁の設けられた壁部に繋がる別の壁部同士を対向させて複数並設した蓄電装置モジュールにおいて、前記圧力開放弁は、前記ケース内の圧力が開放圧を越えた場合に破断する破断型であり、前記圧力開放弁の設けられた壁部に放熱装置が熱的に結合されていることを要旨とする。
【0013】
これによれば、複数の蓄電装置のうちのいずれかのケース内の温度が上昇したとき、その熱はケースに伝わり、圧力開放弁の設けられた壁部にも伝わるが、この壁部に伝わった熱は放熱装置に伝わり、放熱装置から放熱される。このため、ケース内の温度が上昇しても、圧力開放弁の設けられた壁部の温度上昇が抑えられ、圧力開放弁そのものの温度上昇も抑えられる。その結果、熱による圧力開放弁の強度変動が抑制され、圧力開放弁が予め定められた開放圧と異なる圧力で破断されてしまうことを防止できる。すなわち、圧力開放弁に及ぶケースの温度の影響を抑え、予め定められた開放圧で圧力開放弁を破断させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケースの温度の影響を抑え、予め定められた開放圧で圧力開放弁を破断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電池パックを備えるフォークリフトを示す側面図。
図2】カウンタウェイトと電池モジュールを備える電池パックを示す斜視図。
図3】電池モジュールの構成要素を示す分解斜視図。
図4】電池モジュールを示す斜視図。
図5】二次電池を示す断面図。
図6】圧力開放弁及び放熱片を示す平面図。
図7】電池モジュールの別例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、蓄電装置及び蓄電装置モジュールを二次電池及び電池モジュールに具体化した一実施形態について、図1図6に従って説明する。
まず、電池モジュールが搭載されるフォークリフト10について説明する。なお、以下の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」は、フォークリフトの運転者がフォークリフトの前方を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「左」「右」「上」「下」を示すものとする。
【0017】
図1に示すように、フォークリフト10の車体11の前下部には駆動輪12が設けられているとともに、車体11の後下部には操舵輪13が設けられている。また、車体11の前部には、荷役装置が設けられている。荷役装置を構成するマスト14は、車体11の前部に立設されているとともに、当該マスト14にはリフトブラケット15を介して左右一対のフォーク16が設けられている。そして、フォーク16は、マスト14に連結されたリフトシリンダ17の駆動により、リフトブラケット15とともに昇降される。また、フォーク16は、マスト14に連結されたティルトシリンダ18の駆動により、マスト14とともに傾動される。フォーク16には、積荷19が搭載される。車体11には、駆動輪12の駆動源となる走行用モータM1と、フォーク16の駆動源となる荷役用モータM2が搭載されている。
【0018】
また、車体11の中央には、運転室20が設けられている。運転室20には、作業者(運転者)が着座可能な運転シート21が設けられている。運転シート21の前方にはハンドル22が設けられている。運転室20の下部には、電池パック30が搭載されている。
【0019】
次に、電池パック30について説明する。
図2に示すように、電池パック30は、フォーク16に搭載される積荷19とつりあいをとるためのカウンタウェイト31を備える。カウンタウェイト31は、直方体状をなすウェイト部32と、ウェイト部32の短手方向一端からウェイト部32の厚み方向に立設された矩形板状のウェイト本体33とからなる。そして、カウンタウェイト31の側面視はL型である。ウェイト部32の短手方向他端には、ウェイト本体33から離間して設けられる逆U字状のフレーム34が立設されている。フレーム34の上面とウェイト本体33の上面には、天板35が支持されている。ウェイト本体33の厚み方向の一面は電池モジュール70が設置される設置面33aとされている。設置面33aには、複数の電池モジュール70が並設されている。
【0020】
図3に示すように、電池モジュール70は、電池ホルダ60に保持された二次電池40が厚み方向に複数並設されて構成され、設置面33aには6つの電池モジュール70が設置されている。
【0021】
次に、電池モジュール70の二次電池40について説明する。
図3及び図5に示すように、二次電池40は、ケース41に電極組立体42及び電解液が収容されて構成されている。ケース41は、有底箱状のケース本体43と、当該ケース本体43に電極組立体42を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体44とからなる。ケース本体43と蓋体44は、何れもアルミニウム製である。また、この実施形態の二次電池40は、ケース本体43が有底四角箱状であり、蓋体44が矩形平板状であることから、その外観が角型をなす角型電池である。また、この実施形態の二次電池40は、リチウムイオン電池である。
【0022】
ケース本体43は、矩形状の底板43aと、底板43aの短側縁から立設された一対の短側壁43bと、底板43aの長側縁から立設された一対の長側壁43cを備える。ケース41において、短側壁43b及び長側壁43cの開口端は蓋体44に接合されている。
【0023】
電極組立体42は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極を絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を塗布して構成される。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を塗布して構成される。そして、電極組立体42は、複数の正極電極と複数の負極電極を交互に積層するとともに、両電極の間にセパレータを介在した積層構造とされている。また、電極組立体42には、正極端子45と負極端子46が電気的に接続されている。これらの正極端子45と負極端子46の各一部分は、蓋体44からケース41外に露出している。また、正極端子45及び負極端子46には、ケース41から絶縁するためのリング状の絶縁リング41aがそれぞれ取り付けられている。
【0024】
蓋体44は、ケース41内に電解液を注入するための注液孔47を備え、この注液孔47は封止部材48によって封止されている。また、蓋体44は、破断型の圧力開放弁50を備える。この圧力開放弁50は、ケース41内の圧力が上昇し過ぎないように、ケース41内の圧力が所定の圧力である開放圧に達した場合に破断し、ケース41内外を連通させることによってケース41内の圧力をケース41外に開放させる。よって、本実施形態では、蓋体44が圧力開放弁50を備える壁部を構成している。また、長側壁43cが蓋体44に繋がる別の壁部を構成している。
【0025】
図5及び図6に示すように、圧力開放弁50は、蓋体44の厚みよりも薄い板状の弁体51を有する。弁体51は、蓋体44の上面に凹設された凹状部44bの底に位置しており、蓋体44と一体的に形成されている。また、弁体51はトラック形状である。また、ケース41の外側に位置する弁体51の表面には、開裂溝51aが凹設されている。この実施形態の開裂溝51aは、断面V字状の溝であり、2本の直線溝をX字状に交差させている。
【0026】
圧力開放弁50は、ケース41内の圧力が開放圧に達した場合に開裂溝51aから破断することによって開放される。そして、ケース41は、圧力開放弁50の開放によって圧力が下げられることにより、ケース41の過度な変形などが防止される。なお、圧力開放弁50の開放圧は、設計段階に予め定められる値である。そして、開裂溝51aの深さ、すなわち、弁体51の薄肉部の厚さは、設計段階で定める圧力開放弁50の開放圧によって破断し得る厚さに設定されている。
【0027】
また、ケース41内において、蓋体44の内面には電流遮断装置53(所謂CID)が配設されている。この電流遮断装置53は、ケース41の圧力が閾値を超えた場合に電流を遮断する。この電流遮断装置53の閾値は、圧力開放弁50の開放圧よりも低く設定されている。
【0028】
図3に示すように、電池ホルダ60は、U字枠状をなすホルダ本体61と、ホルダ本体61の外面の4隅から突出する直方体状の脚部62とを有している。ホルダ本体61は、ケース41の底板43aと、一対の短側壁43bと、蓋体44の両短側壁43b側を取り囲む状態で二次電池40と一体化されている。このため、電池ホルダ60に一体化された二次電池40は、一対の長側壁43cが、ホルダ本体61から外部に露出している。各脚部62には、ボルトB1が挿通される挿通孔62aが脚部62の長手方向に貫通して設けられている。
【0029】
図3及び図4に示すように、電池モジュール70の並設方向の両端にはエンドプレート69が設けられている。エンドプレート69は、矩形平板状をなす基部69aと、基部69aの四隅から突出する矩形平板状の突出部69bとを備える。突出部69bには、ボルトB1が挿通される挿通孔69cが突出部69bの厚み方向に貫通して設けられている。
【0030】
そして、電池モジュール70は、一方のエンドプレート69の挿通孔69cに挿通されたボルトB1が、各電池ホルダ60の挿通孔62aに挿通されるとともに、他方のエンドプレート69の挿通孔69cに挿通され、ボルトB1にナットNに螺合されることで一体に組み付けられている。よって、全ての二次電池40は、両エンドプレート69によって並設方向から挟持されている。
【0031】
図2に示すように、電池モジュール70は、両エンドプレート69に固定されたブラケット58に挿通したボルトB2がウェイト本体33に螺合されることで、ウェイト本体33に固定されている。
【0032】
図3及び図6に示すように、電池モジュール70において、並設方向に隣り合う二次電池40の長側壁43c同士の間には、放熱プレート71及び伝熱シート80が介装されている。また、エンドプレート69と、そのエンドプレート69に隣り合う二次電池40の長側壁43cの間にも放熱プレート71及び伝熱シート80が介装されている。
【0033】
放熱装置としての放熱プレート71は、矩形平板状の放熱板72を備える。この放熱板72は、二次電池40の長側壁43c及び蓋体44の長側縁の全面を覆う大きさである。また、放熱プレート71は、放熱板72の一対の短側縁のうちの一方から放熱板72の厚み方向に延びる矩形平板状の伝熱板73を備え、放熱板72と伝熱板73とから平面視L字型となっている。
【0034】
さらに、放熱プレート71は、放熱板72の一対の長側縁のうちの一方の一部に、四角環状の放熱片74を備えるとともに、放熱片74の内側に四角孔状の貫通孔74bを備える。放熱片74において、貫通孔74bの貫通方向を厚み方向とすると、放熱片74は、その両面が放熱板72の両面に対し直角となっている。
【0035】
そして、図5及び図6に示すように、一対の二次電池40の間に介装された放熱板72は、一面が一方の二次電池40におけるケース本体43の長側壁43c、及び蓋体44の長側縁に接触した状態で覆っており、放熱板72と一方の二次電池40の長側壁43cとは熱的に結合されている。また、放熱板72は、他面が伝熱シート80を介して他方の二次電池40におけるケース本体43の長側壁43c、及び蓋体44の長側縁に接触した状態で覆っており、放熱板72と他方の二次電池40の長側壁43cとは熱的に結合されている。
【0036】
また、放熱プレート71の伝熱板73は、二次電池40の一方の短側壁43b側に配置された状態で、電池ホルダ60の外面側に配置されている。したがって、電池モジュール70において、並設方向に延びる一側面には全ての放熱プレート71の伝熱板73が配設され、電池モジュール70外に露出している。そして、電池モジュール70の一側面に露出した全ての伝熱板73は、ウェイト本体33の設置面33aに接触し、伝熱板73と設置面33aとが熱的に結合されている。すなわち、放熱プレート71とカウンタウェイト31とが熱的に結合されている。
【0037】
さらに、放熱片74は、各二次電池40の蓋体44の外面44aに、圧力開放弁50の全周を囲む状態で配置されている。放熱片74は、厚み方向の一面74aが、蓋体44の外面44aで圧力開放弁50の周囲と接触して熱的に結合されている。
【0038】
次に、電池モジュール70、特には放熱片74の作用を記載する。
例えば、電池モジュール70の複数の二次電池40で、電極組立体42の温度が上昇したとする。このとき、電極組立体42で発生した熱は、ケース41に伝わり、ケース41の長側壁43cから放熱板72に伝わるとともに、蓋体44から放熱片74に伝わる。そして、放熱板72及び放熱片74に伝わった熱は、伝熱板73からカウンタウェイト31のウェイト本体33に伝わる。このため、ケース41全体の温度上昇が抑えられ、特には、圧力開放弁50の温度上昇も抑えられる。
【0039】
また、電池モジュール70の充放電に伴い、正極端子45、又は負極端子46が配置される蓋体44周辺で熱が発生することがある。このような熱は、より直接的に蓋体44に伝わるが、このような場合も、放熱片74により圧力開放弁50の温度上昇が抑えられる。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)放熱プレート71に放熱片74を設け、放熱片74を蓋体44と熱的に結合した。このため、電極組立体42の温度が上昇したとき、蓋体44に伝わる熱を、放熱片74から放熱プレート71を介してカウンタウェイト31に逃がすことができ、圧力開放弁50の温度上昇を抑えることができる。その結果、熱による圧力開放弁50の強度変動(低下)を抑えることができ、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断してしまうことを防止することができる。
【0041】
(2)ケース41をアルミニウム製とし、そのアルミニウム製の蓋体44に圧力開放弁50を一体的に形成した。そして、蓋体44に放熱片74を熱的に結合した。このため、蓋体44の熱を放熱片74からカウンタウェイト31に逃がすことができ、圧力開放弁50の温度上昇を抑えることができる。その結果、アルミニウム製の圧力開放弁50が、熱によって強度が低下してしまうことを抑えることができ、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断してしまうことを防止することができる。
【0042】
(3)放熱片74は、放熱プレート71の放熱板72に繋がり、この放熱板72は二次電池40の長側壁43cと熱的に結合されている。このため、電極組立体42の温度が上昇したとき、その熱を長側壁43cから放熱板72に伝え、カウンタウェイト31に逃がすことができる。よって、放熱片74及び放熱板72を用いてケース41全体の温度上昇を抑えることができ、圧力開放弁50の温度上昇を効率良く抑えることができる。
【0043】
(4)放熱片74は、圧力開放弁50の全周を囲む状態で蓋体44と熱的に結合されている。このため、蓋体44において、圧力開放弁50を囲むいずれの位置からも熱を放熱片74に逃がすことができ、圧力開放弁50に熱が伝わりにくくなる。よって、例えば、圧力開放弁50の周囲のうちの一部だけと放熱片74が熱的に結合されている場合と比べると、圧力開放弁50の周囲の熱を効率良く放熱することができ、圧力開放弁50の温度上昇を抑えることができる。
【0044】
(5)圧力開放弁50の開放圧は、電流遮断装置53が電流を遮断する圧力よりも高く設定されている。そして、圧力開放弁50の周りに放熱片74を熱的に結合して、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断されることを防止したため、電流遮断装置53が作動する前に圧力開放弁50が破断されてしまうことを回避できる。
【0045】
(6)電池モジュール70において、並設方向に隣り合う二次電池40の間に放熱プレート71を介装し、各二次電池40の蓋体44に放熱プレート71の放熱片74を熱的に結合させた。このため、電池モジュール70の各二次電池40で圧力開放弁50が過度に低い圧力が破断してしまうことを防止できる。
【0046】
(7)電池モジュール70において、各二次電池40の放熱のための放熱プレート71に放熱片74を設け、この放熱片74を蓋体44と熱的に結合して、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断してしまうことを防止した。したがって、圧力開放弁50が開放圧と異なる圧力で破断してしまわないための構成を、別部品で設ける必要がなく、電池モジュール70の構成を複雑化したり、部品点数を増やすことなく、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断してしまうことを防止できる。
【0047】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、放熱装置として放熱プレート71に具体化したが、これに限定されない。図7に示すように、電池モジュール70において、全ての蓋体44に跨るように二次電池40の並設方向に延びるダクト75を配設する。ダクト75は、蓋体44に向けて開口するとともに、ダクト75の長手方向両端部が開口している。ダクト75の長手方向一端側の開口側には送風装置76が配設され、送風装置76からダクト75に向けて送風された流体としてのエアがダクト75内を流れるようになっている。本実施形態では、ダクト75及び送風装置76が放熱装置を構成している。
【0048】
その結果、ケース41内で電極組立体42の温度が上昇したとき、蓋体44に伝わる熱を、ダクト75内を流れるエアに逃がすことができ、その蓋体44の圧力開放弁50の温度上昇を抑えることができる。その結果、熱による圧力開放弁50の強度変動(低下)を抑えることができ、圧力開放弁50が過度に低い圧力で破断することを防止することができる。よって、ケース41内の温度上昇時に、圧力開放弁50が開放圧で破断されるようにするため、圧力開放弁50の弁体51の厚みを厚くする必要が無い。
【0049】
○ 実施形態では、放熱プレート71の放熱片74を、圧力開放弁50を取り囲むように四角環状に形成したが、放熱片74は円環状でも三角環状でもよく、圧力開放弁50を囲んでいれば、放熱片74の形状は特に限定されない。
【0050】
○ 実施形態では、放熱プレート71の放熱片74を、圧力開放弁50を囲む形状としたが、これに限定されない。例えば、放熱片74を矩形板状とし、圧力開放弁50の一側方だけ、又は圧力開放弁50を挟む位置に配設され、圧力開放弁50を囲んでいなくてもよい。
【0051】
○ 電池モジュール70では、放熱プレート71の放熱板72は、一面はケース41の長側壁43cに接触し、他面は伝熱シート80に接触していたが、放熱プレート71の形状はこれに限らない。例えば、放熱プレート71における放熱板72の少なくとも一面に流路区画壁を立設し、その流路区画壁によって、ケース41の長側壁43c及び伝熱シート80の少なくとも一方との間に流路を区画してもよい。そして、流路に流体(エアや水)を流してケース41の熱を流体に逃がすようにしてもよい。
【0052】
○ 放熱片74は、圧力開放弁50を囲む四角環状であったが、蓋体44の全面を覆う板状とし、圧力開放弁50と対応する位置に貫通孔を形成して、圧力開放弁50を露出させてもよい。
【0053】
○ 実施形態では、二次電池40を電池ホルダ60に組み付け、その電池ホルダ60ごと二次電池40を並設したが、電池ホルダ60は無くてもよい。
○ 実施形態では、ケース本体43と蓋体44、及び圧力開放弁50をアルミニウム製としたが、例えばステンレス製など、他の金属製としてもよい。
【0054】
○ 圧力開放弁50における弁体51が有する開裂溝の形状を変更してもよい。例えば、3本の直線溝をY字状に交差させた開裂溝でもよい。
○ 蓋体44とは別部品の圧力開放弁を蓋体44に接合してもよい。
【0055】
○ 圧力開放弁50を設ける壁部として蓋体44に具体化したが、ケース本体43の短側壁43b、長側壁43c、及び底板43aを壁部として、ケース本体43の短側壁43b、長側壁43c、及び底板43aのいずれか一つに圧力開放弁50を設けるととともに、それら壁部に放熱片74を熱的に結合させてもよい。
【0056】
○ ケース41の外観形状を変更してもよい。例えば、ケース41は角型として立方体状でもよいし、円筒型でもよい。
○ 電極組立体42は、積層型に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回型でもよい。
【0057】
○ 二次電池40は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。また、蓄電装置としてキャパシタでもよい。
【0058】
○ 電池モジュール70は、フォークリフト10ではなく、車両電源装置として自動車に搭載してもよい。この場合、吸熱体は、車両ボディ等になる。また、電池モジュール70は定置用の蓄電装置に適用してもよい。
【0059】
○ 電池モジュール70ではなく、二次電池40を単体として用いてもよい。
【符号の説明】
【0060】
31…吸熱体としてのカウンタウェイト、40…蓄電装置としての二次電池、41…ケース、42…電極組立体、43c…別の壁部としての長側壁、44…壁部としての蓋体、50…圧力開放弁、70…蓄電装置モジュールとしての電池モジュール、71…放熱装置としての放熱プレート、72…放熱装置を構成する放熱板、74…放熱装置を構成する放熱片、75…放熱装置を構成するダクト、76…放熱装置を構成する送風装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7