(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記衝突回避部材は、前記フレキシブルプリント基板と前記ベースとの間に挟まれた金属カバーであって、前記コイル基板の内周側壁を覆うリング状の円筒部を持つ金属カバーから成る、請求項1に記載のレンズホルダ駆動装置。
前記支持部材が、前記固定部の外周部で第1の端部が固定された複数本のサスペンションワイヤから成り、該複数本のサスペンションワイヤは、前記光軸に沿って延在し、前記オートフォーカス用レンズホルダ駆動部を、前記固定部に対して前記第1の方向及び前記第2の方向に揺動可能に支持する、請求項6に記載のレンズホルダ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1乃至
図7を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10および、そのレンズホルダ駆動装置10を備えたカメラモジュール70について説明する。
【0028】
図1はレンズホルダ駆動装置10の平面図である。
図2は
図1の線II−IIについての縦断面図である。
図3はレンズホルダ駆動装置10の分解斜視図である。
図4はカメラモジュール70の平面図である。
図5は
図4の線V−Vについての縦断面図であり、
図6は
図4の線VI−VIについての縦断面図である。
図7はカメラモジュール70の分解斜視図である。
【0029】
ここでは、
図1乃至
図7に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図1乃至
図7に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図1乃至
図7に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本第1の実施の形態において、X軸方向(前後方向)は第1の方向とも呼ばれ、Y軸方向(左右方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0030】
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
【0031】
図1乃至
図3に示されるように、レンズホルダ駆動装置10は、オートフォーカス可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
【0032】
レンズホルダ駆動装置10は、後述するオートフォーカス用レンズホルダ駆動部20と、携帯端末用の小型カメラで画像の撮影時にこのオートフォーカス用レンズホルダ駆動部20に生じた手振れ(振動)を補正する手振れ補正部(後述する)とを含み、像ブレのない画像を撮影できるようにした装置である。レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20を、固定部13に対して、光軸Oに直交し、かつ互いに直交する第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)に移動させることにより、手振れを補正する。
【0033】
オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20は、レンズバレル12を取り付けることが可能なレンズホルダ24(後述する)を、光軸Oに沿って移動させるためのものである。
【0034】
図4乃至
図8に示されるように、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20の底部から離間して、固定部13が配置されている。この固定部13の下部(後部)には、撮像基板(センサ基板)72上に配置された撮像素子(センサ)76が搭載される。この撮像素子(センサ)76は、レンズバレル12により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子(センサ)76は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。
【0035】
撮像基板(センサ基板)72とベース14との間には、撮像素子(センサ)76を覆うと共に、赤外線カットフィルタ(IRCF)78を保持するための保持部材(センサカバー)74が設けられている。
【0036】
したがって、カメラモジュール70は、レンズホルダ駆動装置10の他に、レンズバレル12と、撮像基板(センサ)76が搭載された撮像基板(センサ基板)72と、保持部材(センサカバー)74と、を備えている。
【0037】
図3に示されるように、固定部13は、ベース14と、コイル基板40と、フレキシブルプリント基板(FPC)44と、金属カバー47とから構成される。
【0038】
ベース14は、外形が四角形で内部に円形開口14aをもつリング形状をしている。
【0039】
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、固定部13の四隅部で第1の端部161が固定された4本のサスペンションワイヤ16と、後述するオートフォーカス用レンズホルダ駆動部20の永久磁石28と後述するように対向して配置された手振れ補正用コイル18とを有する。
【0040】
4本のサスペンションワイヤ16は、光軸Oに沿って延在し、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20全体を、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに揺動可能に支持する。4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162は、上記オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20の上端部に後述するように固定される。
【0041】
このように、4本のサスペンションワイヤ16は、固定部13に対してオートフォーカス用レンズホルダ駆動部20を、第1の方向X及び第2の方向Yに揺動可能に支持する支持部材として働く。
【0042】
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、後述するように、永久磁石28と対向して離間して配置された1枚の四角リング形状のコイル基板40を備える。このコイル基板40は、後述するフレキシブルプリント基板(FPC)44を間に挟んで、ベース14上に取り付けられる。このコイル基板40に上記手振れ補正用コイル18が形成されている。
【0043】
本第1の実施の形態では、固定部13は、
図3に示されるように、ベース14とフレキシブルプリント基板(FPC)44との間に挿入された金属カバー47を備えている。
【0044】
詳述すると、
図3に示されるように、金属カバー47は、円形開口472aを持つ板状の金属板部472と、この金属板部472の円形開口472aを規定する内壁から上方へ突出するリング状の円筒部474とから成る。
【0045】
このような構造の金属カバー47は、金属板をプレス加工およびしぼり加工することによって製造される。
【0046】
金属カバー47の金属板部472は、ベース14とフレキシブルプリント基板(FPC)44との間に挟まれる。金属カバー47の円筒部474は、コイル基板40の円形開口40cを規定する内周側壁40cを覆う。したがって、金属カバー47は、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12とが衝突するのを防止する衝突防止部材として働く。換言すれば、金属カバー47は、少なくともコイル基板40の内周側壁40cを覆い、コイル基板40の内周側壁40cが削れてダストが発生するのを防止するダスト発生防止部材として作用する。
【0047】
図示の例では、金属カバー47は、その厚さが約50μmの洋銀(洋白)から成る。周知のように、洋銀(洋白)は、加工性が容易な銅ニッケル亜鉛合金である。なお、金属カバー47の材料として、洋銀(洋白)の代わりに、リン青銅を使用してもよい。いずれにしても、金属カバー47は、導電性が良好な材料であれば良い。
【0048】
図示のコイル基板40は、多層基板であるガラスエポキシ基板から成る。
【0049】
このような構造の金属カバー47を備えたレンズホルダ駆動装置10は、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12との間の衝突を防いで、コイル基板40の内周側壁40cの削れるのを防止することができる。その結果、比較的大きなダストの発生と落下を防ぐことができる。よって、ダストによる不良を抑えることができる。
【0050】
尚、図示の例では、金属カバー47は、グランドに接続されている。そして、金属カバー47の金属板部472は、ホール素子50f、50lや、フレキシブルプリント基板(FPC)44の半田付けされた箇所を避けるような形状をしている。一方、フレキシブルプリント基板(FPC)44は、手振れ補正用コイル18へPWM駆動の電流を供給するためのものである。
【0051】
したがって、この金属カバー47は、このPWM駆動の電流に起因する電磁波がフレキシブルプリント基板(FPC)44より下方(すなわち、撮像素子(センサ)76を搭載する撮像基板(センサ基板)72側)へ放射されるのを遮蔽する機能をも備えている。
【0052】
尚、衝突防止部材として働く金属カバー47は、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12とが衝突するのを防止することができる構造を備えていればよい。したがって、図示の例では、金属カバー47は、コイル基板40の内周側壁40cをその全周に渡って覆う円筒部474を備えているが、そのような円筒部474の代わりに、レンズバレル12と衝突しないような、例えば、1つ以上のスリットを有するような壁部を備えてもよい。また、本例では、金属製の金属カバー47を使用しているが、金属以外の材料のカバーを使用してもよい。また、図示の例では、金属カバー47にコイル基板40の内周側壁40cを覆う円筒部474を備えているが、コイル基板40の内周側壁40cを覆う円筒部474のみを備えてもよい。
【0053】
上述したように、ベース14と、コイル基板40と、フレキシブルプリント基板(FPC)44と、金属カバー47と組み合わせによって、固定部13が構成される。
【0054】
次に、
図3を参照して、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20について説明する。尚、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20は、AFユニットとも呼ばれる。
【0055】
オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20は、レンズバレル12(
図7)を保持するための筒状部240を有するレンズホルダ24と、このレンズホルダ24に筒状部240の周囲に位置するように固定されたリング状のフォーカスコイル26と、フォーカスコイル26と対向してフォーカスコイル26の外側に配置された永久磁石28を保持するマグネットホルダ30と、マグネットホルダ30の光軸O方向の第1及び第2の端30a、30bにそれぞれ取り付けられた、第1及び第2の板バネ32、34とを備える。
【0056】
第1及び第2の板バネ32、34は、レンズホルダ24を径方向に位置決めした状態で光軸O方向に変位可能に支持する。図示の例では、第1の板バネ32は上側板バネと呼ばれ、第2の板バネ34は下側板バネと呼ばれる。
【0057】
また、前述したように、実際の使用状況においては、Z軸方向(光軸O方向)の上方向が前方向、Z軸方向(光軸O方向)の下方向が後方向となる。したがって、上側板バネ32は前側スプリングとも呼ばれ、下側板バネ34は後側スプリングとも呼ばれる。
【0058】
マグネットホルダ30は略四角筒状をしている。すなわち、マグネットホルダ30は、四角筒形状の外筒部302と、この外筒部302の上端(前端、第1の端)30aに設けられた四角形の上側リング状端部304と、外筒部302の下端(後端、第2の端)30bに設けられた四角形の下側リング状端部306を有する。上側リング状端部304は、四隅で、各隅で2つずつ、上方へ突出する8つの上側突起304aを持つ。下側リング状端部306は、四隅で下方へ突出する4つの下側突起306aを持つ。
【0059】
フォーカスコイル26は、四角筒状のマグネットホルダ30の外形形状に合わせた、略四角筒状をしている。永久磁石28は、マグネットホルダ30の四角筒形状の外筒部302の内壁に、第1の方向(前後方向)Xおよび第2の方向(左右方向)Yで互いに離間して配置された、4片の矩形状の永久磁石片282から成る。これら4片の永久磁石片282は、フォーカスコイル26と間隔を置いて配置される。図示の実施の形態では、各永久磁石片282は、内周端側がN極に着磁され、外周端側がS極に着磁されている。
【0060】
上側板バネ(前側スプリング)32はレンズホルダ24における光軸O方向上側(前側)に配置され、下側板バネ(後側スプリング)34はレンズホルダ24における光軸O方向下側(後側)に配置される。
【0061】
上側板バネ(前側スプリング)32は、レンズホルダ24の上端部に後述のように取り付けられる上側内周側端部322と、マグネットホルダ30の上側リング状端部304に後述のように取り付けられる上側外周側端部324とを有する。上側内周側端部322と上側外周側端部324との間には、複数本の上側腕部326が設けられている。すなわち、複数本の腕部326は、上側内周側端部322と上側外周側端部324とを繋いでいる。
【0062】
レンズホルダ24の筒状部240は、その上端に、四隅で上方へ突出する4つの上側突起240aを持つ。上側内周側端部322は、これら4つの上側突起240aがそれぞれ挿入される4つの上側穴322aを持つ。すなわち、レンズホルダ24の筒状部240の4つの上側突起240aは、それぞれ、上側板バネ32の上側内周側端部322の4つの上側穴322aに挿入後、熱硬化樹脂を塗布及び加熱し固定される。
【0063】
一方、上側外周側端部324は、マグネットホルダ30の8つの上側突起304aがそれぞれ挿入される8つの上側穴324aを持つ。すなわち、マグネットホルダ30の8つの上側突起304aは、それぞれ、上側外周側端部324の8つの上側穴324aに挿入後熱溶着固定される。
【0064】
上側板バネ(前側スプリング)32は、上側外周側端部324の四隅で半径方向外側へ延出する4つの弧状の延出部328を更に有する。これら4つの弧状の延出部328は、それぞれ、上記4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328aを持つ。
【0065】
下側板バネ(後側スプリング)34は、レンズホルダ24の下端部に後述のように取り付けられるリング状の下側内周側端部342と、マグネットホルダ30の下側リング状端部306に後述するように取り付けられる、四隅に設けられた4個の下側外周側端部344とを有する。下側内周側端部342と上側外周側端部344との間には、複数本の下側腕部346が設けられている。すなわち、複数本の下側腕部346は、下側内周側端部342と下側外周側端部344とを繋いでいる。4個の下側外周周側端部344は、4本の棒状の接続部材348によって互いに連結されている。
【0066】
次に、板バネ32および34の腕部326および346の具体的な形状(構造)について説明する。
【0067】
これら板バネ32および34は、レンズホルダ24を弾性的に支持するためのものである。一般的に、板バネの光軸O方向のバネ定数は、オートフォーカス・ストローク特性に大きく影響するため、できるだけばらつきを抑え、設計値に合わせる必要がある。また、板バネの光軸Oと直交する方向のバネ定数は、レンズホルダ駆動装置10の高次共振周波数を決定する重要なパラメータである為、光軸O方向のバネ定数と同様に設計値に合わせる必要がある。
【0068】
ここで、板バネのバネ定数は、板バネの厚さ、腕部の幅、腕部の長さによって決定される。板バネは、圧延された金属板を前素形材として用いる為、実際には板バネの板厚がばらつき、これにより光軸O方向のバネ定数のばらつきが発生する。この板バネの板厚のばらつきを原因とするバネ定数のばらつきを防ぐために、板バネの腕部の幅を調整する必要がある。しかしながら、板バネの腕部の幅を調整することで、光軸O方向のバネ定数のばらつきを抑制したとしても、光軸Oと直交する方向のバネ定数が変化し、高次共振周波数がばらつくという問題が発生する。
【0069】
そこで、本実施の形態では、板バネの板厚がばらついた場合でも、後述するように、光軸O方向のバネ定数および光軸O方向と直交する方向のバネ定数の双方を設計値に合わせ、且つ高次共振周波数のばらつきを低減するバネ形状を採用している。
【0070】
具体的には、板バネ32および34の腕部326および346の幅を、板バネの板厚に対応させて、その両端部分と中央部分とで別々に分けて変更している。
【0071】
より詳細に説明すると、板バネ32および34の腕部326および346の両端部分の幅をt
1で表し、中央部分の幅をt
2で表すとする。本実施の形態では、両端部分の幅t
1と中央部分の幅t
2を、板バネ32および34の板厚にそれぞれ対応させて変更することで、光軸O方向のバネ定数と光軸Oに直交する方向のバネ定数とを同時に設計値に合わせることが可能となる。
【0072】
光軸O方向のバネ定数に対して、両端部分の幅t
1の寸法は大きく影響するが、中央部分の幅t
2の寸法は影響が小さい。一方で、光軸Oと直交する方向のバネ定数に対して、両端部分の幅t
1の寸法は比較的影響が小さいが、中央部分の幅t
2の寸法は大きく影響する。この特徴を利用して、本実施の形態では、両端部分の幅t
1と中央部分の幅t
2を適切な寸法とすることで、前述した問題を解決している。
【0073】
例えば、板バネ32および34の板厚が規定(所望)の板厚より厚かったとする。この場合には、光軸O方向のバネ定数の上昇を抑える為、板バネ32および34の腕部326および346の両端部分の幅t
1を細くし、光軸O方向と直交する方向のバネ定数を小さくしすぎないように、板バネ32および34の腕部326および346の中央部分の幅t
2を太くする(t
1<t
2)。
【0074】
逆に、板バネ32および34の板厚が規定(所望)の板厚より薄かったとする。この場合には、光軸O方向のバネ定数の低下を抑える為、板バネ32および34の腕部326および346の両端部分の幅t
1を太くし、光軸O方向と直交する方向のバネ定数が大きくなりすぎないように、板バネ32および34の腕部326および346の中央部分の幅t
2を細くする(t
1>t
2)。
【0075】
このようなバネ形状とすることにより、板バネ32および34の板厚がばらついた場合でも、光軸O方向のバネ定数と光軸Oに直交する方向のバネ定数の双方を、設計値に合わせることができる。
【0076】
下側板バネ34の下部には、4本の棒状の接続部材348を除いて、下側板バネ34と実質的に同一の外形を持つスペーサ36が配置される。詳述すると、スペーサ36は、下側板バネ34の下側外周側端部344と実質的に同一の形状を持つ、四隅に設けられた4個の外端部364と、下側板バネ34の下側内周側端部342および下側腕部346とを覆うような形状を持つ内リング部362とを有する。
【0077】
レンズホルダ24の筒状部240は、その下端に、四隅で下方へ突出する4つの下側突起(図示せず)を持つ。下側内周側端部342は、これら4つの下側突起がそれぞれ挿入される4つの下側穴342aを持つ。すなわち、レンズホルダ24の筒状部240の4つの下側突起は、それぞれ、下側板バネ34の下側内周側端部342の4つの下側穴342aに挿入後、熱溶着で固定される。
【0078】
一方、下側板バネ34の下側外周側端部344は、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aがそれぞれ挿入される4つの下側穴344aを持つ。スペーサ36の外端部364も、それら4つの下側穴344aと対応する位置に、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aがそれぞれ挿入される4つの下側穴364aを持つ。すなわち、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aは、それぞれ、下側板バネ34の下側外周側端部344の4つの下側穴344aを介して、スペーサ36の外リング部364の4つの下側穴364aに挿入後、熱溶着で固定される。
【0079】
上側板バネ32と下側板バネ34とから成る弾性部材は、レンズホルダ24を光軸O方向にのみ移動可能に案内する案内手段として働く。上側板バネ32および下側板バネ34の各々は、ベリリウム銅、リン青銅、ステンレス鋼等から成る。
【0080】
レンズバレル12をレンズホルダ24に装着するには、レンズバレル12をレンズホルダ24内に収容し、接着剤などによって互いに接合する。
【0081】
後述するように、フォーカスコイル26にオートフォーカス(AF)電流を流すことで、永久磁石28の磁界とフォーカスコイル26に流れるAF電流による磁界との相互作用によって、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整することが可能である。
【0082】
上述したように、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20は、レンズホルダ24、フォーカスコイル26、永久磁石28、マグネットホルダ30、上側板バネ32、下側板バネ34、およびスペーサ36から構成される。
【0083】
次に、
図3を参照して、レンズ駆動装置10の手振れ補正部について更に詳細に説明する。
【0084】
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、前述したように、固定部13の四隅部で第1の端部161が固定された4本のサスペンションワイヤ16と、上記オートフォーカスレンズホルダ用駆動部20の永久磁石28と対向して配置された手振れ補正用コイル18とを有する。
【0085】
4本のサスペンションワイヤ16は、光軸Oに沿って延在し、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20全体を、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに揺動可能に支持する。4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162は、上記オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20の上端部に固定されている。
【0086】
詳述すると、前述したように、上側板バネ32の4つの弧状の延出部328は、それぞれ、4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328aを持つ(
図3参照)。これら4つのワイヤ固定用穴328aに、4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162を挿入(嵌入)し、接着剤やはんだ等で固定する。
【0087】
尚、図示の例では、各弧上の延出部328はL字状をしているが、これに限定されないのは勿論である。
【0088】
4本のサスペンションワイヤ16のうちの2本は、フォーカスコイル26に給電するためにも使用される。
【0089】
上述したように、永久磁石28は、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yで互いに対向して配置された、4片の永久磁石片282から成る。
【0090】
レンズ駆動装置10の手振れ補正部は、4片の永久磁石片282とベース14との間に挿入されて、離間して配置された1枚のリング状コイル基板40を備える。コイル基板40は、その四隅に、4本のサスペンションワイヤ16を挿通し、かつ第1の端部161を固定するための貫通穴40aを持つ。この1枚のコイル基板40に上記手振れ補正用コイル18が形成されている。
【0091】
ここでは、4片の永久磁石片282において、光軸Oに対して、それぞれ、前側、後側、左側、及び右側に配置された永久磁石片を、それぞれ、前側永久磁石片282f、後側永久磁石片282b、左側永久磁石片282l、および右側永久磁石片282rと呼ぶことにする。
【0092】
コイル基板40には、手振れ補正用コイル18として、4つの手振れ補正用コイル部18f、18b、18lおよび18rが形成されている。
【0093】
第1の方向(前後方向)Xで互いに対向して配置された2つの手振れ補正用コイル部18fおよび18bは、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を第1の方向(前後方向)Xに移動(揺動)させるためのものである。このような2つの手振れ補正用コイル部18fおよび18bは、総称して第1方向アクチュエータと呼ばれる。尚、ここでは、光軸Oに関して前側にある手振れ補正用コイル部18fを「前側手振れ補正用コイル部」と呼び、光軸Oに関して後側にある手振れ補正用コイル部18bを「後側手振れ補正用コイル部」と呼ぶことにする。
【0094】
一方、第2の方向(左右方向)Yで互いに対向して配置された2つの手振れ補正用コイル部18lおよび18rは、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を第2の方向(左右方向)Yに移動(揺動)させるためのものである。このような2つの手振れ補正用コイル部18lおよび18rは、総称して第2方向アクチュエータと呼ばれる。尚、ここでは、光軸Oに関して左側にある手振れ補正用コイル部18lを「左側手振れ補正用コイル部」と呼び、光軸Oに関して右側にある手振れ補正用コイル部18rを「右側手振れ補正用コイル部」と呼ぶことにする。
【0095】
図示の手振れ補正用コイル18において、前側手振れ補正用コイル部18fおよび左側手振れ補正用コイル部18lは、それぞれ、対向する前側永久磁石片282fおよび左側永久磁石片282lの長手方向の中央で分離するように、2つのコイル部分に分割されている。すなわち、前側手振れ補正用コイル部18fは、左寄りコイル部分18flと右寄りコイル部分18frとから構成されている。同様に、左側手振れ補正用コイル部18lは、前寄りコイル部分18lfと後寄りコイル部分18lbとから構成されている。
【0096】
換言すれば、前側手振れ補正用コイル部18fおよび左側手振れ補正用コイル部18lの各々は、2つのループ部分から構成されているのに対して、後側手振れ補正用コイル部18bおよび右側手振れ補正用コイル部18rの各々は、1つのループ部分から構成されている。
【0097】
このように、4つの手振れ補正用コイル部18f、18b、18lおよび18rのうち、第1の方向X及び第2の方向に配置された特定の2つの手振れ補正コイル部18fおよび18lの各々は、対向する永久磁石片282fおよび282lの長手方向の中央で分離するように、2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbに分割されている。
【0098】
このように構成された4つの手振れ補正用コイル部18f、18b、18l、および18rは、永久磁石28と協働して、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20全体をX軸方向(第1の方向)およびY軸方向(第2の方向)に駆動するためのものである。また、手振れ補正用コイル部18f、18b、18l、および18rと永久磁石28との組合せは、ボイスコイルモータ(VCM)として働く。
【0099】
このように、図示のレンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20に収容されたレンズバレル12そのものを、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに移動させることにより、手振れを補正する。したがって、レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、「バレルシフト方式」の手振れ補正部と呼ばれる。
【0100】
レンズホルダ駆動装置10は、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を覆うシールドカバー42を更に備える。シールドカバー42は、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20の外周側面を覆う四角筒部422と、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20の上面を覆うリング状の上側端部424とを有する。上側端部424は光軸Oと同心の円形開口424aを持つ。
【0101】
図示のレンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、ベース14(固定部13)に対するオートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20の位置を検出するための位置検出手段50を更に備えている。図示の位置検出手段50は、ベース14上に取り付けられた2つのホール素子50f、50lから成る磁気式位置検出手段から構成されている。これら2つのホール素子50f、50lは、後述するように、4片の永久磁石片282の中の2片とそれぞれ離間して対向配置されている。各ホール素子50f、50lは、永久磁石片282におけるN極からS極への方向を横切るように配置される。
【0102】
図示の例において、一方のホール素子50fは、そのホール素子50fが光軸Oに対して第1の方向(前後方向)Xの前側に配置されているので、前側ホール素子と呼ばれる。他方のホール素子50lは、そのホール素子50lが光軸Oに対して第2の方向(左右方向)Yの左側に配置されているので、左側ホール素子と呼ばれる。
【0103】
前側ホール素子50fは、分割された2つのコイル部分18fl、18frを持つ前側手振れ補正用コイル部18fの、2つのコイル部分18fl、18frの分離した場所で、ベース14上に配置される。同様に、左側ホール素子50lは、分割された2つのコイル部分18lf、18lbを持つ左側手振れ補正用コイル部18lの、2つのコイル部分18lf、18lbの分離した場所で、ベース14上に配置される。
【0104】
このように、2つのホール素子50fおよび50lは、分割された2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbを持つ特定の2つの手振れ補正用コイル部18fおよび18lの、2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbの分離した場所で、ベース14上に配置されている。
【0105】
前側ホール素子50fは、それと対向する前側永久磁石片282fの磁力を検出することにより、第1の方向(前後方向)Xの移動(揺動)に伴う第1の位置を検出する。左側ホール素子50lは、それと対向する左側永久磁石片282lの磁力を検出することにより、第2の方向(左右方向)Yの移動(揺動)に伴う第2の位置を検出する。
【0106】
ところで、このような構成のレンズホルダ駆動装置10では、落下衝撃等によって、4本のサスペンションワイヤ16に伸張する方向の力がかかって、4本のサスペンションワイヤ16が破断する虞がある。この為に、本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、後述するような、4本のサスペンションワイヤ16の破断を防止する破断防止部材を備えている。
【0107】
前述したように、上側板バネ32は、上側外周側端部324の四隅で半径方向外側へ延出する4つの弧状の延出部328を有する。これら4つの弧状の延出部328は、その先端部に、それぞれ、上記4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328aを持つ。これら4つのワイヤ固定用穴328aに4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162を挿入して、はんだ付け又は接着剤により4つの弧状の延出部382に固定している。
【0108】
したがって、4つの弧状の延出部328は、4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162を固定するワイヤ固定部として働く。
【0109】
このような構成のレンズホルダ駆動装置10では、落下衝撃等により、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20にベース14(固定部13)から離れる方向の力が加わっても、4本のサスペンションワイヤ16Aの第2の端部162が上側板バネ32の4つの弧状の延出部328に固定された状態で、その4つの弧状の延出部328が弾性変形しつつオートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20が上昇することになる。
【0110】
その結果、4本のサスペンションワイヤ16が破断するのを防止することができる。したがって、4つの弧状の延出部328は、4本のサスペンションワイヤ16の破断を防止する破断防止部材として働く。
【0111】
一方、マグネットホルダ30は、上側リング状端部304の四隅で上方へ突出する4つの上側ストッパ308を有する。各上側ストッパ308は、上側板バネ32の上側外周側端部324と各弧状の延出部328との間に形成された開口32aから突出している。
【0112】
換言すれば、4つの上側ストッパ308は、マグネットホルダ30からシールドカバー42の内壁面へ向けて突出している。
【0113】
これら4つの上側ストッパ308により、
図2に示されるように、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20の上方向への移動が規制される。換言すれば、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20が上方向へ移動する際に、4つの弧状の延出部328が弾性変形するが、当該4つの弧状の延出部328が折れ曲がる前および4本のサスペンションワイヤ16に破断する力がかかる前に、マグネットホルダ30の4つの上側ストッパ308がシールドカバー42の上側端部424の内壁面と当接する。
【0114】
すなわち、4つの上側ストッパ308は、4本のサスペンションワイヤ16の破断防止を補助する破断防止補助部材として働く。
【0115】
なお、
図2に示されるように、固定部13(コイル基板40)とオートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20との間には、クリアランス(隙間)がほとんどない。したがって、たとえ落下衝撃等により、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20に固定部13(コイル基板40)へ近づく方向の力が加わっても、直ちにオートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20が固定部13(コイル基板40)の上面に当接するので、4本のサスペンションワイヤ16が座屈することはない。
【0116】
次に、
図3に加えて
図8をも参照して、ベース14とコイル基板40との間に配置される、金属カバー47およびフレキシブルプリント基板(FPC)44とその搭載方法について説明する。
図8は、ベース14とフレキシブルプリント基板(FPC)44との間に挿入された金属カバー47を示す斜視図である。
【0117】
図3に示されるように、ベース14は、その円形開口14a近傍の半径方向外側の対角線上に、上方へ突出する4つの位置決め突起142を持つ。一方、コイル基板40は、これら4つの位置決め突起142がそれぞれ装入される4つの位置決め穴部40bを持つ。フレキシブルプリント基板(FPC)44も、これら4つの位置決め穴部40bと対応する位置に、4つの位置決め穴部44aを持つ。したがって、ベース14の4つの位置決め突起142は、それぞれ、金属カバー47の開口部およびフレキシブルプリント基板(FPC)44の4つの位置決め穴部44aを介して、コイル基板40の4つの位置決め穴部40bに装入される。
【0118】
ベース14には、これら2つのホール素子50f、50lが嵌入される凹部14bが形成されている。
【0119】
また、
図3に示されるように、コイル基板40の裏面には、その中央部にある円形開口40cに沿って、4つの手振れ補正用コイル部18f、18b、18l、および18rへ電流を供給するための6つのランド18a(
図3では、2つのランド18aのみ図示する)が形成されている。一方、フレキシブルプリント基板(FPC)44には、これら6つのランド18aとそれぞれ対応する位置に6つの切欠き部44bが円形開口44cに沿って形成されている。したがって、これら6つの切欠き部44bに半田ペーストを載せ、半田リフローすることによって、フレキシブルプリント基板(FPC)44の内部配線(図示せず)とコイル基板40の6つのランド18aとを電気的に接続することができる。
【0120】
尚、図示はしないが、フレキシブルプリント基板(FPC)44には制御部が電気的に接続される。この制御部は、フォーカスコイル16に流す電流を制御したり、2つのホール素子50f、50lで検出された位置検出信号に基づいて、2つの方向ジャイロセンサ(図示せず)に基づいて検出された揺れを相殺するように、4つの手振れ補正用コイル部18f、18b、18l、および18rへ流す第1乃至第4のIS電流を制御する。
【0121】
次に、
図3を参照して、フォーカスコイル26への給電方法について説明する。
【0122】
レンズホルダ24は、その上端で左右方向Yに互いに離れる方向(半径方向外側)に突設した第1及び第2の突起部241及び242を持つ。図示の例では、第1の突起部241は、右側へ突出しているので、右側突起部と呼ばれ、第2の突起部242は、左側へ突出しているので、左側突起部と呼ばれる。
【0123】
一方、図示はしないが、フォーカスコイル26を構成した線材は、第1及び第2の末端部を持つ。フォーカスコイル26の第1の末端部は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突起部)241に絡げられている。同様に、フォーカスコイル26の線材の第2の末端部は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突起部)242に絡げられている。したがって、フォーカスコイル26の第1及び第2の末端部は、それぞれ、第1及び第2の絡げ部分と呼ばれる。
【0124】
一方、第1の板バネ(上側板バネ)32は、互いに電気的に絶縁された第1及び第2の板バネ片32−1及び32−2から構成されている。第1及び第2の板バネ片32−1及び32−2は、レンズの光軸Oを中心に回転対称の形状をしている。第1の板バネ片32−1は、マグネットホルダ30の第1の端(上端)30aで、実質的に後側および右側に配置されており、第2の板バネ片32−2は、マグネットホルダ30の第1の端(上端)30aで、実質的に前側および左側に配置されている。
【0125】
第1の板バネ片32−1の右側にある上側内周側端部322は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突出部)241と対応する位置で、右方(半径方向外側)へ突設した第1のU字状端子部322−1を持つ。同様に、第2の板バネ片32−2の左側にある上側内周側端部322は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突出部)242と対応する位置で、左方(半径方向外側)へ突設した第2のU字状端子部322−2を持つ。第1のU字状端子部322−1は右側U字状端子部とも呼ばれ、第2のU字状端子部322−2は左側U字状端子部とも呼ばれる。
【0126】
第1のU字状端子部(右側U字状端子部)322−1は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突出部)241で、フォーカスコイル26の第1の末端部(第1の絡げ部分)とはんだ(図示せず)で電気的に接続される。同様に、第2のU字状端子部(左側U字状端子部)322−2は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突出)242で、フォーカスコイル26の第2の末端部(第2の絡げ部分)とはんだ(図示せず)で電気的に接続される。
【0127】
また、前述したように、4本のサスペンションワイヤ16の内、2本のサスペンションワイヤ16(
図3の例では、右奥と左前)の第2の端部162は、ワイヤ固定用穴328aを通して、はんだ(図示せず)で弧状の延出部328に固定される。残りの2本のサスペンションワイヤ16(
図3の例では、左奥と右前)の第2の端部162は、ワイヤ固定用穴328aを通して、接着剤(図示せず)で弧状の延出部328に固定される。なお、この接着剤の代わりにはんだを使用してもよい。
【0128】
更に、前述したように、4本のサスペンションワイヤ16の内、2本のサスペンションワイヤ16(
図3の例では、右奥と左前)の第1の端部161は、貫通穴40aを通して、はんだでコイル基板40のランドに固定され、フレキシブルプリント基板(FPC)44に電気的に接続されている。残りの2本サスペンションワイヤ16(
図3の例では、左奥と右前)の第1の端部161は、貫通穴40aを通して、はんだ又は接着剤でコイル基板40のランドに固定されるが、フレキシブルプリント基板(FPC)44とは電気的に接続されていない。
【0129】
したがって、フレキシブルプリント基板(FPC)44は、右奥の1本のサスペンションワイヤ16、第1の板バネ(上側板バネ)32の第1の板バネ片32−1及び第1のU字状端子部(右側U字状端子部)333−1を介して、フォーカスコイル26の第1の末端部(第1の絡げ部分)と電気的に接続される。同様に、フレキシブルプリント基板(FPC)44は、左前の1本のサスペンションワイヤ16、第1の板バネ(上側板バネ)32の第2の板バネ片32−2及び第2のU字状端子部(左側U字状端子部)322−2を介して、フォーカスコイル26の第2の末端部(第2の絡げ部分)と電気的に接続される。
【0130】
このようにして、フレキシブルプリント基板(FPC)44から2本のサスペンションワイヤ16および第1の板バネ32を介してフォーカスコイル26への給電が行われる。
【0131】
次に、レンズホルダ駆動装置10の組み立て方法について説明する。
【0132】
先ず、レンズホルダ24、フォーカスコイル26、永久磁石28、マグネットホルダ30、上側板バネ32、下側板バネ34、およびスペーサ36を組み合せることによって、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を製造する。
【0133】
一方、上述した半田リフローによって、コイル基板40とフレキシブルプリント基板(FPC)44との組み立て体を作製する。その組み立て体を、4本のサスペンションワイヤ16の第1の端161側に設けられたベース14上に金属板46を介して搭載する。
【0134】
そして、上記オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を、上記組み立て体および金属カバー47を介してベース14上に搭載し、4本のサスペンションワイヤ16の第2の端部162をワイヤ固定用穴328aを通して、はんだや接着剤で弧状の延出部328に固定する。
【0135】
また、第1の板バネ(上側板バネ)32の第1及び第2のU字状端子部322−1及び322−2を、はんだで、それぞれ、フォーカスコイル26の第1及び第2の末端部(図示せず)に接続する。
【0136】
最後に、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)20を覆うようにシールドカバー42を被せて、シールドカバー42の下端をベース14に固定する。
【0137】
このように、レンズホルダ駆動装置10を容易に組み立てることが可能である。
【0138】
尚、このようにして組み立てられたレンズホルダ駆動装置10の寸法は、9.7mm×9.7mm×4.43mmである。
【0139】
次に、
図6を参照して、ベース14の4つの位置決め突起142とスペーサ36との間の第1のギャップδ1と、赤外線カットフィルタ(IRCF)78とレンズバレル12の底部との間の第2のギャップδ2と、の間の関係について説明する。
【0140】
レンズホルダ24の下端側には、剛性の強い金属板から成るスペーサ36が配置されている。したがって、レンズホルダ24およびレンズバレル12の光軸O方向の位置は、スペーサ36によって決まる。
【0141】
しかしながら、レンズバレル12が一対の板バネ32、34によって弾性的に支持されているため、後述する携帯端末の落下時の衝撃のように強い衝撃が加わった場合、レンズホルダ24とレンズバレル12から受ける衝撃でスペーサ36が撓むことになる。その結果、レンズバレル12が大きく移動し、レンズバレル12が他の部品と接触して部品同士が損傷する可能性がある。
【0142】
特に、レンズホルダ駆動装置10をカメラモジュール70に組み込んだ後は、レンズバレル12の下方に赤外線カットフィルタ(IRCF)78が設けられるので、衝撃によってレンズバレル12が大きく移動すると、レンズバレル12が赤外線カットフィルタ(IRCF)78と接触して、赤外線カットフィルタ(IRCF)78を割ってしまう可能性がある。
【0143】
そこで、本実施の形態では、上記第2のギャップδ2を上記第1のギャップδ1よりも大きくしている(δ2>δ1)。このような構造を採用することにより、衝撃負荷時にスペーサ36が変形してレンズバレル12が下方に向かって動いても、レンズバレル12が赤外線カットフィルタ(IRCF)78にぶつかる前に、ベース14の4つの位置決め突起142の先端とスペーサ36が先に接触する。その結果、レンズバレル12と赤外線カットフィルタ(IRCF)78とがぶつかるのを防止することができる。
【0144】
上述したような、本発明の第1の実施の形態によるレンズホルダ駆動装置10(カメラモジュール70)では、次に述べるような効果を奏する。
【0145】
ベース14とフレキシブルプリント基板(FPC)44との間に、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12とが衝突するのを防止する金属カバー(衝突回避部材)47を挿入したので、コイル基板40の内周側壁40cが削れるのを防止することができる。その結果、比較的大きなダストの発生と落下を防ぐことできるので、ダストによる不良を抑えること。
【0146】
図9は、カメラモジュール70を搭載したカメラ付き携帯端末80を示す斜視図である。図示のカメラ付き携帯端末80は、スマートフォンから成る。カメラ付き携帯端末80の所定の位置にカメラモジュール70が取り付けられている。このような構造により、使用者は、カメラ付き携帯端末80を用いて撮影することができる。
【0147】
尚、本例では、カメラ付き携帯端末80としてスマートフォンの場合を例に挙げて示しているが、カメラ付き携帯端末は、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラであってもよい。
【0148】
[第2の実施の形態]
図10乃至
図12を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10Aについて説明する。
【0149】
図10はレンズホルダ駆動装置10Aの平面図である。
図11は
図10の線XI−XIについての縦断面図である。
図12はレンズホルダ駆動装置10Aの分解斜視図である。
【0150】
ここでは、
図10乃至
図12に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図10乃至
図12に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図10乃至
図12に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本第2の実施の形態において、X軸方向(前後方向)は第1の方向とも呼ばれ、Y軸方向(左右方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0151】
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
【0152】
図10乃至
図12に示されるように、レンズホルダ駆動装置10Aは、オートフォーカス可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
【0153】
レンズホルダ駆動装置10Aは、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20と、携帯端末用の小型カメラで画像の撮影時にこのオートフォーカス用レンズホルダ駆動部20に生じた手振れ(振動)を補正する手振れ補正部とを含み、像ブレのない画像を撮影できるようにした装置である。
【0154】
図示のレンズホルダ駆動装置10Aは、金属カバーの構造(形状)とその配置場所が後述するように相違している点を除いて、
図1乃至
図3に示したレンズホルダ駆動装置10と同様の構成を有し、動作をする。したがって、固定部に13Aの参照符号を付してある。
図1乃至
図3に示したレンズホルダ駆動装置10と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のためにそれらの説明については割愛する。
【0155】
図示のレンズホルダ駆動装置10Aの手振れ補正部は、オートフォーカス用レンズホルダ駆動部20を、固定部13Aに対して、光軸Oに直交し、かつ互いに直交する第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)に移動させることにより、手振れを補正する。
【0156】
図示の固定部13Aは、金属カバー47の代わりに、別の金属カバー48を備えている点を除いて、
図3に示した固定部13と同様の構成を有する。
【0157】
金属カバー48は、円形開口482aを持つ板状の金属板部482と、この金属板部482の円形開口482aを規定する内壁から下方へ突出するリング状の円筒部484とから成る。
【0158】
このような構造の金属カバー48は、金属板をプレス加工およびしぼり加工することによって製造される。
【0159】
図13に示されるように、金属カバー48の金属板部482は、コイル基板40の上面に載せられる(被せられる)。金属カバー48の円筒部484は、コイル基板40の内周側壁40cを覆う。
【0160】
したがって、金属カバー48も、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12とが衝突するのを防止する衝突防止部材として働く。換言すれば、金属カバー48も、少なくともコイル基板40の内周側壁40cを覆い、コイル基板40の内周側壁40cが削れてダストが発生するのを防止するダスト発生防止部材として作用する。
【0161】
図示の例では、金属カバー48も、その厚さが約50μmの洋銀(洋白)から成る。なお、金属カバー48の材料として、洋銀(洋白)の代わりに、リン青銅を使用してもよい。いずれにしても、金属カバー48は、導電性が良好な材料であれば良い。
【0162】
このような構造の金属カバー48を備えたレンズホルダ駆動装置10Aは、前述した第1の実施の形態の金属カバー47と同様に、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12との間の衝突を防いで、コイル基板40の削れるのを防止することができる。その結果、比較的大きなダストの発生を防ぐことができる。よって、ダストによる不良を抑えることができる。
【0163】
尚、衝突防止部材として働く金属カバー48は、コイル基板40の内周側壁40cとレンズバレル12とが衝突するのを防止することができる構造を備えていればよい。したがって、図示の例では、金属カバー48は、コイル基板40の内周側壁40cをその全周に渡って覆う円筒部484を備えているが、そのような円筒部484の代わりに、レンズバレル12と衝突しないような、例えば、1つ以上のスリットを有するような壁部を備えてもよい。また、本例では、金属製の金属カバー48を使用しているが、金属以外の材料のカバーを使用してもよい。また、図示の例では、金属カバー48にコイル基板40の内周側壁40cを覆う円筒部484を備えているが、コイル基板40の内周側壁40cを覆う円筒部484のみを備えてもよい。
【0164】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置(カメラモジュール)に使用されるコーティング材について説明する。
【0165】
本第3の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置(カメラモジュール)の全体の構成は、ダスト発生防止部材の構成が相違している点を除いて、
図1乃至
図7を参照して図示した第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10(カメラモジュール70)と同様の構成を有し、動作をする。
【0166】
第3の実施の形態に使用されるコーティング材は、金属カバー47の代わりに、コイル基板40の内周側壁40cに設けられる。図示の例では、コーティング材は、低温速硬化性の熱硬化エポキシ樹脂を、コイル基板40の内周側壁40cに筆で塗り、オーブンにて加熱し硬化することによって得られる。
【0167】
このような構造のコーティング材を備えたレンズホルダ駆動装置(カメラモジュール)は、たとえ、コイル基板40の内周側壁40cにレンズバレル12が衝突したとしても、コイル基板40の内周側壁40cが削れるのを防止できる。その結果、ダストの発生、落下を抑制することできる。
【0168】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0169】
例えば、上述した実施の形態では、固定部に対してオートフォーカス用レンズホルダ駆動部を揺動可能に支持する支持部材として、固定部の外周部で第1の端部が固定された複数本のサスペンションワイヤを用いているが、支持部材はこれに限定されるものではない。また、本発明は、上述した実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10、10Aに限定されず、永久磁石を含むオートフォーカス用レンズホルダ駆動部(AFユニット)を備えた「ムービングマグネット方式」のレンズホルダ駆動装置に適用可能である。