【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に限
定されるものではない。
各成分の生成量は、得られた反応液を冷却し捕集した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製「GC‐2014」、GCカラム:TC−WAX、GC検出器:FID)を用いて分析を行った。内部標準としてジエチレングリコールモノエチルエーテルを用い各成分の生成量を求めた。
【0031】
[実施例1](Pd/Si
3N
4によるフェノールの水素化)
Si
3N
4(和光純薬工業製、粉末状、XPS N1s /eV:397.5)に対し、1.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。このように調製した 1.5wt%Pd/Si
3N
4 2 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズ(直径1mm、球形)を10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(38 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0.15 MPa(G)にてフェノールを2cc/h、水素ガスを38 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの収率は96.3%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は3.6%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの収率は0.1%であった。
【0032】
[実施例2](Pd/Si
2NO
2によるフェノールの水素化)
Si
2ON
2(宇部興産製、粉末状、XPS N1s /eV:397.3)に対し、1.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。このように調製した 1.5wt%Pd/Si
2ON
2 0.5 gとSi
2ON
2(宇部興産製) 0.5 gの混合物を1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より200 ℃の水素ガス(20 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0.15 MPa(G)にてフェノールを1.2cc/h、水素ガスを20 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの収率は94.2%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は5.6%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの収率は0.1%であった。
【0033】
[実施例3](Pd/BNによるフェノールの水素化)
BN(アルドリッチ製、粉末状、XPS N1s /eV:398.2)に対し、1.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。このように調製した 1.5wt%Pd/BN 1.0 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(38 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0.15 MPa(G)にてフェノールを2.0 cc/h、水素ガスを38 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.4%で
シクロヘキサノンの収率は95.2%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は4.7%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンは痕跡量であった。
【0034】
[実施例4](1.5%Pd/ポリアニリンによるフェノールの水素化)
ポリアニリン(アルドリッチ製、粉末状、XPS N1s /eV:399.5)に対し、1.5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させた。このように調製した 1.5wt%Pd/ポリアニリン 1.0 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(100 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、200 ℃、0.6 MPa(G)にてフェノールを0.8 cc/h、水素ガスを100 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.1%でシクロヘキサノンの収率は95.1%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は4.8%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの副生量は痕跡量であった。
【0035】
[比較例1](Pd-Na/Al
2O
3によるフェノールの水素化1)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに対し、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で乾燥した後、500℃で3時間焼成し、2%Na/Al
2O
3を得た。その後、2%Na/Al
2O
3に対し、0.1wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させ0.1wt%Pd-2%Na/Al
2O
3を得た。1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.1wt%Pd-2%Na/Al
2O
3 0.2 gと2%Na/Al
2O
3 0.6 gの混合物を充填し、その上部にガラスビーズ10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(10 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0 MPa(G)にてフェノールを0.5cc/h、水素ガスを10 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は99.8%であり、
シクロヘキサノンの収率は96.3%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は3.0%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの収率は0.7%であった。
【0036】
[比較例2](Pd-Na/Al
2O
3によるフェノール水素化法2)
酸化アルミニウム(Al
2O
3:エヌ・イーケムキャット製、円柱状)を破砕し粉体としたものに対し、2wt%となるように酢酸ナトリウムを含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥した後、500℃で3時間焼成し、2%Na/Al
2O
3を得た。その後、2%Na/Al
2O
3に対し、0.1wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12h以上乾燥させ0.1wt%Pd-2%Na/Al
2O
3を得た。1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に0.1wt%Pd-2%Na/Al
2O
3 0.9 gを充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(25 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0 MPa(G)にてフェノールを1.5cc/h、水素ガスを25 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は>99.9%であり、シクロヘキサノンの収率は87.9%、副生物であるシクロヘキサノールの収率は11.9%、2−シクロヘキシルシクロヘキサノンの収率は0.2%であった。
【0037】
[比較例3](0.5%Pd/TiNによるフェノール水素化法)
窒化チタン(TiN;和光純薬工業製、粉末状、XPS N1s /eV:396.8)に対し、1,5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12 h以上乾燥させた。このように調製した0.5%Pd/TiN1.0 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の反応管に充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(20 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0.15 MPa(G)にてフェノールを1.0 cc/h、水素ガスを20 cc/minで供給した。
反応はほとんど進行せず閉塞した。
【0038】
[比較例4](1.5%Pd/SiAlONによるフェノールの水素化)
サイアロン(SiAlON;宇部興産製、粉末状、XPS N1s /eV:397.2)に対し、1,5wt%となるように塩化パラジウム水溶液を含浸担持させ、110℃で12 h以上乾燥させた。このように調製した1.5%Pd/SiAlON 1.0 gを1/2インチのステンレス鋼(SUS)製の管に充填し、その上部にガラスビーズを10g入れて予熱層とした。触媒層を200 ℃に加熱し上部より水素ガス(20 cc/min)を流通させ前処理還元を行った後、160 ℃、0.15 MPa(G)にてフェノールを1.0 cc/h、水素ガスを20 cc/minで供給した。
反応開始から1時間の捕集液を切り捨て、その後の捕集液を用いてガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った結果、出発原料であるフェノールの転化率は95.3%でシクロヘキサノンの収率は84.4%、副生成物であるシクロヘキサノールの収率は13.5%、2-シクロヘキシルシクロヘキサノンの収率は0.4%であった。